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Characteristics and trends of emergency patients with drug overdose in Osaka

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Academic year: 2021

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(1)

学位論文審査結果の報告書

窪i田愛恵;

生年月日

本籍(国籍)

学位の種類

'

士(医学)

学位記番号

医第 1217

rコ 万'

学位授与の条件

学位規程第5条該当第2項該当

(博士の学位)

ノf

論文題目

Characteristics and trends of emergency patients with drU今

昭和40年6月26日

大阪府

.

(薬物過量服用にともなう救急患者の特徴とトレンド)

審査委員

Overdose in osaka

(主査)

(副主査)

(副主査)

(副査)

.

白川治

奥村二郎

中尾慎一

(2)

山制 薬物過量服用にともなう救急患者(薬物過量服用患者)に関する問題は、救急、領域でかかえる様々な問 題の中でも特に重要であり課題も大きい。従来、薬物過量服用患者については特定の病院に搬送された患 者に対して主に検討されてきており、 population・based study は不十分であった。そこで、一定の地域に おける救急搬送患者の網羅的なデータをもとに、薬物過量服用患者の特徴やトレンドを分析して問題点を 検討した。 【対象と方法】 大阪市(人口約267万人:2010年)を対象地域として、大阪市消防局の救急、活動記録にもとづき、 1998年1月1日から 2010年12月31日までの救急搬送患者のデータを解析した。患者数、年齢、性別 等の人口統計的1予性とともに、救急隊から病院ヘの患者受け入れ打診回数や、救急、コール(覚知)か ら病院到着までの時間など、時間因子について、経年的変化を分析した。2010年のデータについては、 ICD・10 にもとづき原因となる薬剤に関して検討した。 【結果】 薬物過量服用患者も、それ以外の救急患者も、搬送件数は年々増加していた。薬物過量服用患者は、1998 年には年間 1136人であったのが、 2010年には 1822人まで達した(Pく0.ooolfortr印d)。薬物過量服用以外 の患者では、66歳以上の年齢層の患者数の増加が著しく、高齢化の影響が大きいが、薬物過量服用患者で はこのような高齢化のトレンドは見られず、いずれの年でも16歳から40歳の年齢層が最も多かった。ま た、性別に関しては、薬物過量服用以外の患者では男性の方が多かったのに対'して、薬物過量服用患者では、 いずれの年でもおよそ70%が女性であった。薬物過量服用以外の患者では、病院ヘの到着時間は年々延長 していた(Pく0.ooolfortr印d)が受け入れ打診回数の中央値(メディアン)はいずれの年でも 1回にとどまっ ていた。これに対して、薬物過量服用患者では受け入れ打診回数の増加は著明であり、1998年には1回だっ , た中央値は2010年には3回に達した。病院ヘの到着時間も著しく延長した。1CD、10の分類では、 1822例 中、 T42(抗てんかん薬,鎮静・催眠薬及び抗パーキンソン病薬による中毒)に属することが確認できた例 が1038例であった。原因薬物の種類を救急隊員が特定できなかった例が558伊信忍められた。 【考察】 薬物過量服用患者の原因薬剤は主として鎮静・催眠薬で、その搬送件数は年々増加した。薬物過量服用 以外の患者数は、社会の高齢化にともない増加したが、薬物過量服用患者では別の要因が考察される。ま た、薬物過量服用患者では、女性が7割程度を占めておゆ性別に関しても特徴的であった。薬物過量服用 患者の医療機関ヘの受け入れは容易でなく、病院ヘの受け入れ打診回数や搬送時間が年々急速に増加して おり、救急システムに対する負荷となっていることが示唆される。 【結論】 . 薬物過量服用による救急患者は、他の救急患者と異なる特徴を有している。患者数の増加は、救急医療 システムに対する負荷を増大させていることが示唆される。 .

(3)

' ノf ゛ ノπ、 2015年3月15日公 (doi:10.1002/amS2.107) 表

Characteristics and trends of emergency patients With drug overdose in osaka

年 月 . 日 表 出版物の種類及び名称 出版物名

Acute Medicine & surgery

V01.2 237-243

.

(4)

畑的】 薬物過量服用にともなう救急患者に関する問題は、救急領域が抱える様々な問題の中でも特に重要 な課題である。従来、薬物過量服用にともなう救急患者については特定の病院に搬送された患者に 対して主に検討されてきており、 population-based studyは、不十分であった。そとで、一定の地 域における救急搬送患者の網羅的なデータをもとに、薬物過量服用患者の特徴やトレンドを分析し て問題点を検討した。 【対象と方法】 大阪市(人口約267万人:2010年)を対象地域として、大阪市消防局の救急活動記録にもとづき、 1998年1月1日から2010年12月31日までの救急搬送患者のデータを解析した。患者数、年齢、性別等 の人口統計的特性とともに、救急隊から病院ヘの照会回数や、救急コール(覚知)から、病院到着 までの時間などの時間因子について、経年的変化を分析した。2010年のデータについては、1CD-10 にもとづき原因となる薬剤に関して検討した。 【結果】 薬物過量服用にともなう救急患者も、それ以外の救急患者も、年々増加していた。薬物過量服用の 患者は、 1998年には、年間Ⅱ36人であったのが、 2010年には1822人まで達した(Pく0.ooolfor tr飢d)。薬物過量服用以外の患者では、66歳以上の年齢層の患者数の増加が著しく、高齢化に伴う 患者数の増加と考えられたが、薬物過量服用患者では、このような高齢化のトレンドは見られず、 いずれの年でも16歳から40歳の年齢層が最も多かった。また、性別に関しては、薬物過量服用以外 の患者では男性の方が多かったのに対して、薬物過量服用患者では、いずれの年でもおよそ70%が 女性であうた。薬物過量服用以外の患者では、救急隊から病院に患者を照会する回数は年々増加し た(Pく0.00仇 for trend)。しかし中央値(メディアン)は、いずれの年でも1回にとどまってい た。とれに対して、薬物過量服用患者では照会回数の増加は著明であり、1998年には1回だった中 央値は2010年には3回に達した。これにともない病院ヘの到着時間も延長した。1CD-10の分類で は、1822例中、 T42 (抗てんかん薬,鎮静・催眠薬及び抗パーキンソン病薬による中毒)に属する ことが確認できた例が1038例であった、原因薬物の種類を救急隊員が特定確認できなかった例が 郭8例認められた。 【考察】 , 薬物過量服用にともない救急搬送される患者の原因薬剤は、主として鎮静・催眠薬で、その搬送件 数は年々増加した。薬物過量服用以外の患者数は、社会の高齢化にともない増加したが、薬物過量 服用患者の増加には、別の要因が想定される。また、薬物過量服用患者では、女性が7割程度を占 めており性別に関しても特徴的であった。薬物過量服用患者の医療機関ヘの受け入れは容易でな く、病院ヘの照会回数や搬送までの時間が年々、急速に増加しており、救急システムに対する負荷 となっていると考えられた。 【結論】 薬物過量服用による救急患者は、他の救急患者と異なる特徴を有している。その患者数の増加は、 救急医療システムに対する負荷を増大させていることが示唆される。 .

(5)

2)論文審査結果の要旨 本論文に対する最終試験は、平成28年10月13日(木)の午後18時30分からd講堂において19時10分 まで実施された。最終試験では、薯者から本研究の社会的背景、研究体制の背景、対象、方法、結 果、考察、および本論文発表後の展開が説明され、それに対して副査である奥村二郎教授、中尾慎 一教授および主査である白川治教授が以下のような点に関して質疑があり、議論が行われた。 まず、16歳から40歳の女性に薬物過量服用で救急搬送される患者が多いが、その原因は何か、現象 だけでなくその背景となっている原因に関して考察を聞きたいという質問が、奥村二郎教授、およ び中尾慎一教授からあった。回答として、この期間中、対象地域の精神科のクリニックの数が増加 していることが、客観的な根拠のーつとしてはあげられ、向精神薬の入手が容易になってぃること が推察されるとした。また、自殺企図かどうかについては、少なくとも救急隊員が記載した内容で "自損"であると報告した症例がおよそ50%程度あることより自身の考察をのべた。この点に関し ては、主査からも、さらに質問があり、女性に薬物過量服用の患者が圧倒的に多いことは、精神科 領域では、すでに広く認識されていることであるが、今回の研究および著者の検討を通じて示唆で きることは何かを問うた。本学位申請者は、今回の研究自体は、この現象をプレホスピタルの視点 から明確化するものではあるが、申請者が長年勤務した日本中毒情報センターでの業務および調査 研究の経験より回答を加えた。すなわち、中毒関係では男性が農薬を多く自殺手段に用いており、 致死率の高い手段を用いているのに対して、女性では多く医薬品を用いるという特徴があった。女 性では電話相談でも援助希求性が強いことが特徴であり、今回の結果とも一致している。 中尾慎一教授から、薬物中毒とOverdoseの定義に関して、また、1CD-10を用いた分類がなされた が、精神および行動の障害(いわゆるFコード)と、 T36 T50コードの関連にっいて、どのように 考えるか質問があった。回答として、中毒とは、毒に中(あた)るという意味であるが、臨床的に は、必ずしも中毒症状が明らかでないものも含めて対象患者となるととから、 overdoseすなわち過 量服用として、扱われるという説明がなされた。2つのコードについては、これらの患者の多くは 重なり合うことも説明された。 ゛ 薬物過量服用の患者数の増加とともに、なかなか救急医療機関で受諾がえられない状況になったこ とに関しては、3教授から、それぞれの視点から質問がなされ中尾慎一教授からは、過量服用患者 の特徴からの分析と対策について、考察が求められた。また、奥村二郎教授からは、むしろ最近に なって状況が改善している点からの考察が求められた。さらに、主査からは、薬物過量服用患者が 直線的に増加した点はクリニックの数が増加したことで説明できるかもしれないが、その後、減少

に転じてぃる点にっいて説明がっかないこと、これらを含めた説明と今後の対策にっいての雇望を

質された。回答として、まず、過量服用患者を増加させないことに関しては、診療報酬上の規制だ けでなく搬送患者はりーピーターが多いことから、救急搬送のレベルだけではなく、救急コール前 の電話相談のシステム、自殺予防のための相談システム、薬斉珀市によるゲートキーパーとしての役 割の重要性について説明があった。医療機関での受け入れを円滑ばする仕組みに関しては、地域の 救急医療に関する協議会で、協議を進め、打診回数が一定の数を越えたら受け入れを担当する医療 機関を決めるなどの対策が関連している可能性が説明された。救急医療機関のマンパワ一やスタッ フの意識は重要な課題であるが、医療スタッフに対して、精神科的問題のある患者に、安全で標準

的な勒期診療ができるための講習コースが普及しっっあ、ことにっいても、述ベられ元。

最後に、主査から、著者の説明するような対策をとったとしても、複数の医療機関から薬物を多量 に処方してもらって過量服用する患者も少なくない。将来的な対策として著者の考えは何かが質さ れた。これに対して、今まで述ベた対策以外には、将来的には、薬歴などの医療情報の共有化のシ ステムの展開があげられることが説明された。 以上のように、本論文に関する質疑に関して、本学位申請者は的確に回答し、本学位論文が申請者 の研究成果であることを確認した。また、この公聴会では、論文発表後に引き続き検討されたデー 夕や今後の展望に関しても、申請者は自身の視点で回答を行い、研究者としての素養や見識が学位 に値することを確認した。 3)最終試験の結果:最終試験に合格と判断した。 . 4)学位授与の可否:学位授与可であると判断した。

(6)

審査委員

主査

学位申請者氏名

副主査 平成 白川治 副主査 28 畳△ 而冊 奥村二郎 旨 畑的】 薬物過量服用にともなう救急患者については、従来、特定の病院に搬送された患者に対して検討されてきており、 プレホスピタルの視点からの検討は、不十分であった。そこで、一定の地域における救急車によって搬送された救 急患者の網羅的なデータをもとに、薬物過量服用患者の特徴やトレンドを分析して問題点を検討した。 【対象と方法】 大阪市(人口約267万人:2010年)を対象地域として、大阪市消防局の救急活動記録にもとづき、1998年明1日から 2010年12月31日までの救急搬送患者(およそ209万人)のデータを解析した。 【結果1 救急搬送患者は年々増加していたが、薬物過量服用の患者は、1998年には、年間1136人であったのが、2010年には 1822人まで達した(Pく0.ooolfortr飢d)。薬物過量服用以外の患者では、 66歳以上の年齢層の患者数の増加が著し かったのに対して、薬物過量服用患者では、このような高齢化のトレンドは見られず、いずれの年でも16歳から40 歳の年齢層が最も多く、およそ70%が女性であった。薬物過量服用患者では救急隊から病院に受け入れを打診する 回数が明らかに増加して、病院ヘの到着時間も延長した。1CD-10の分類でT42に属する患者が多く、中でもベンゾジ アゼピンによる過量服用が多かった。 【考察】 薬物過量服用以外の患者数の増加は社会の高齢化の進展で説明できるが、薬物過量服用患者の増加は、それでは説 明できない。薬物過量服用患者の医療機関ヘの受け入れは容易でなく、病院到着までの時間延長に影響を与えてい ると考えられる。 【結論】 薬物過量服用による救急患者は、他の救急患者と異なる特徴を有している。救急隊から病院ヘの受け入れは容易で はなく救急医療システムに対する負荷を増大させていることが示唆される。 本論文に関する質疑に関して、本学位申請者は的確に回答し、本学位論文が申請者の研究成果であることを確認 した。 文題 年 副査 10 中尾慎一 月 目 18 日

Characteristics and trends of emergency patients with drug overdose in osaka

(薬物過量服用にともなう救急患者の特徴とトレンド) 亀 窪田愛恵 ,

⑳ 傷 '

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