• 検索結果がありません。

魚肉の鮮度低下に伴う遊離チロシン量の変化について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "魚肉の鮮度低下に伴う遊離チロシン量の変化について"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

魚肉の鮮度低下に伴う遊離チロシン量の変化につい

著者

太田 冬雄, 鰺坂 比呂志

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of

Fisheries Kagoshima University

3

1

ページ

98-102

別言語のタイトル

Variation in Free-tyrosine Content of Fish

Meat in the Course of Decrease of its

Freshness

(2)

98

魚肉の鮮度低下に伴う遊離チロシン量の変化について

太 的 冬 雄・頗坂比呂志

(大分水産高等学校)

variation in Free-tyrosine Content of Fish Meat in the

course of Decrease of its Freshness Fuyuo OTA and Hiroshi AJISAKA

党に筆者等は魚介肉の鮮度を簡単に判定する方法として,魚介内申のアンモニアをネス ラー比色法で測定する方法を報告し(1',その後諸種の機会にこれを実際に適用し,殆んど 支障なく実用出来る事を認めているのであるが,広く実際の場合について検討してみると, 例えばアンモニア量が同一であり乍ら,時に外観的な判定に於て特に魚体の硬度に明らか に差が認められる場合等があり,魚肉を食品として考える為の品質の判定に対して必ずし もアンモニア量のみをその尺度とする事の困難が考えられる・この執まアンモニアの生成 が細菌煩の硯アミノ作用即ち腐敗分解による事を主とするに対し実はそれに発行して主と して自己消化等に依る蛋白質の分解の行われている事から考えれば当然あり得る事なので ぁって,アンモニア量に依ればたしかに食用に対する適否或は鮮度の程度もかなり明らか に判定し得られる事は∴揮発性塩基が従来より長い間鮮度判定の目安として,広く利用さ れて来た事からも云い得るのであるが,上の様な事実に対しては更に別の立場から明確な 判定が望まれるわけである・その意味に於て魚肉中遊離テロシンを対象にする事は,本来 チ。シンは蛋白質の比較的初期の分解に由来するもの,であるから,アンモニアとは異った 意味で興味ある事で,すでにBRADLEY等`2)及びSIGURDSON(3'はこのチロシン量が鮮度低 下と共にかなり規則正しく増加する事を認めているし,叉天野等`4'は魚種に依らず鮮度低 下と共に遊離チロシンがペーパークロマトグラフで検出される事を報じている・ そこで本実験では,このチロシンの定量法について若干の吟味を加えると共に,チpシ ン量の変化がアンモ‡ア量の変化と如何なる差異或は関連をもつものであるか,そして叉 品質判定の根拠とする為には,その判定基準の絶卸値が普遍性をもたねばならないがこの 点は如何であるか,等を目的として試験したのであるが,その結果は殆んど満足すべき傾 向が認められたので鼓にその大要を報告し様と思うのである・ 実 験 の 部 〔l〕チpシンの定量法 チ。シンがヂアゾ試#,ミロン試薬に依って呈色し,又燐タングステン酸塩及び燐モリ ブデン酸塩の混合液を還元して呈色する事は省くから知られている反応でフ柳こ後者に依 る反応はその定量にも広く利用されている反応であるが,之に用いる試薬としては所謂テ ロシン試薬(5,,或は尿酸試薬と云われる調製の簡易なものと,之をリチウム塩としたフェ ノール試薬(6,とがある・そこで究づ前者のテロシン試薬について定性的な試験をしたので

(3)

あるがこの試薬ではHITCHING(7)も報じ ている如く実際の場合里色後混濁を呈す るので,試薬としてはフユノール試薬を 用いる事とした. 然し乍らフユノール試薬はテロシンと 同様にトリプトファン,システイン等に 依っても里色するから,厳密にはテロシ ./のみを定量する事にはならないので, 予めトリプトファンを分離除去する目的 で,普通に用いられる毎相愛水銀処理をな すとすれば,更にその影響を除く為にシ アン化アルカリの添加処理をなさねばな らないのであるが,念の為に一応呈色慶 に対するシアン化ソーダの影響をみたと ころ,第1表の如くその比色値は不定で シアン化アルカリが里色慶に著しく影響 する事を知った.勿論これはシアン化物 そのものの純度等にも依る事であろうが すでにFoLIN等(6)も認めている事で あったので,方法を簡易にする為にも教 では直妓トl)ブトフアン,システイン等 をも含めてテロシン値として定量する事 とした.尤も実際の魚肉中に見出される 遊離のト1)プトフアン等は甚だ少いと云 われるから,大部分はテロシンと考えて よいであろう. 次に実際の比色に際し,先ず浸出液よ り除蛋白すべきは当然であるので,敦で 除蛋白剤の適否について試験した所,節 2表の如く普通に用いられる三塩化酷酸, スルホサリチル酸及び硫酸酸性タングス テン酸塩即ちFouN-WU除蛋白剤の中ス ルホサリチル酸ではその添加によって対 照値より高い値を示すばかりでなく,添 加量の多少に依って明かに比色情は増減 されるが,他では殆んどその影響なく, 殊にFoLIN・WU除蛋白剤ではチロシン 量の興る場合についても,第3表に見ら れる様に何れも対照値と差がなく,然も 添加蛍の如何にかかわらず殆んど一定の 第1表 比色値に対するNaCNの影響(吸光偵) l対   照J NaCN動-の場合 第2豪 比色値に対する除蛋白剤の影響(吸光偵) 添加虫(cc.) スルホサリチル酸 ≡ 塩 化 酪 酸 硫酸酸性 タン グステン酸ソーダ o・1日o・2十o・P L竺4 _ 対      照 第3表 比色値に対するFoLIN-WU除蛋白剤の影響(吸光値) 1-1シン′宜(mg)

……三l ≡::o…8:

l i o.192⊇ 0.338 1 0.1891 0.330 I 0.1901 0.333

第4表誓錆に習すa(結麓f)H]

1、-、時間(分) アン′そこI _ て\

第5表誓誰に著すa(宏規甲

二二両面責汀- 「 アンモ \\ 三空車g %) \ ゴ マ サ バ マ イ ワ シ′ 2.5 1 5 0..62! 0.。bSi 0.068 1 0.220r 0.2 1 9 5 2 0 0 N 8 1 9 ●           ● 0   0   0   0 0   0   8   0 n J S   ′ 0   7 3   2   つ ん   つ ん 0   0   0   0

(4)

100       庫鬼島大学水産学部紀要 第3番 第1号 借を示す.故に本実験の為の除蛋白剤としてはFoI.IN-WU除蛋白剤を用いる尊とした. 次に実際の試料からのチロシンの浸出条件として,党づ浸出時間が問題になるので,之 をたしかめる目的で試験したが,その結果第4表,第5表の如く,手動で上下に激しく5 分間振造すれば機械的振並60分の場合と同様な浸出率が得られ,然も試料魚の種炉及び鮮 度に関係なく殆ど完全に浸出されることが認められたので,本実験での浸出は,方法を簡 易化する意味でも手動で5分間鍵盤する方法に依ることとした. 又テロシンの溶解度を考慮して浸出用液としての水と稀薄酸の場合について試験したが, その結果は第1図の如く特に両者の傾向に於て得失を見出せなかったので,浸出用液とし ては水を用いる事とした. 椅この場合に用いた稀酸は N/7.5硫酸であるが,之は次の処理の除蛋白時に於ける所 要硫酸量から算出したものである. 以上の結果よりテロシンの定量操作を要約すると次の如 くである. 細砕魚肉の10倍容水浸出液の10cc.に100/oタングステン 酸ソ-ダ1cc., 2/3N硫酸2cc.を順次に加え,混和後干燥 滅紙で滅過,逓液の2cc.に250/o炭酸ソーダ2cc.,水約10cc・ 第1図 魚肉中チ、一,シソの水及 び酸による浸出率 一打 チdo qsD シ JD を加え混和後フ-ノ-ル試薬0.5cc.を加え,全容を正確 1 に15cc.として10分の彼此色する. 楠本実験に於けるテロシンについての比色はすべて日立120 製光電比色計に依ったものである・ 〔2〕魚肉の鮮度低下とテロシン畳の変化 魚介額の鮮度低下によってテロシン量の増加する事は既

二孟  ノ

IO  20  カ 超過,呼伺 40 にのべた通りであるが,之を従来より広く鮮度の目安とされているアンモニア量の変化の 傾向と如何なる関係にあるかを確める為に,各種魚介額の細砕肉を窒温(23-28℃)に開放 第2図 魚類の鮮度低11.とチTJシソ鬼の関係 b カマス,アジ, の場合 確 過 時間 C アオリイカ,キス, チダイの場合 起 ie 好 聞

(5)

状態で放置し,随時その中より一部を採取してそのアンモニア量を此色淡く1㌔チpシン量を 前述の方法によって夫々測定した.即ち1ワシ,サバ,サンマについての結果は第2図a の如くで,之によってみると明かにアンモニアとチpシンとは臭った傾向が見EPtされる・ 即ちアンモニア量は従来云われている如く初期腐敗までは緩慢な増加をなして腐敗期に至 って急激に増加するに反し,チロシン畳は僻敗期以前の場合でも時間の経過と共に比較的 急激な増加傾向を示し腐敗期に至っても特に著しい変化はなく,それ以前と同様の傾向を 続け面もその増加率は前後を通じてかなり規則正しく段階的である・そして叉量的にみる と,サバ,イワシでは新鮮時では約15mgo/0,アンモニア量30mgO/oの初期腐敗時に は約40mgo/oに連している.之等の傾向はチダ右キス,ア*l)-jカ及びカマス,アヂに っいての場合(第2図b. C.)でも殆んど同様に云い得る事であって,ただ特に著しく異っ た傾向としてみられるのが第2図aのサンマの場合であるが,之は試料魚が遠隔の他県か ら移入されたものである事が明かであるから恐らく所謂腐敗分解は殆んどされていない が,自己消化の如きがかなり進んでいた為であろうと思われる・ 要するにテロシン畳の測定は腐敗分解の程度を示すアンモニアとは異るからその意味で の新鮮の度合或は食用の適否を求める等の為には困難はあるにしても魚類肉質の状態特に 自己分解の程度を知る上の目安としてかなり有力な対象となり得るものであると考えられ る.換言すれば魚肉を食品としての品質の立場から判定する上には,アンモニアと同時に 併せてチpシン量を測定する事が必要であろうと思われるのである・尤も実際にはチpシ ンの定量法についてはより簡易迅速なる方法が望まれるし,又判定の基準とする為の絶対 値を求める為には更に多くの統計的な結果の集録を要する事は云うまでもない・ 〔3〕要  約       こ、 1.チ。シンを定量する為の里色試薬としてフ-ノ-ル試薬,除蛋白剤としてFoLIN・WU 試薬の適当なる*,更にチpシンの浸田が水による短時間の手動振段で充分なる事等を明 かにし,魚肉中チロシン定量法の簡易化を計った・ 2.魚肉中チpシンほ鮮度の低下と共に増加するが,その増加傾向は新鮮時より不鮮時 に至るまで殆んど直線的で段階的に増加し,腐敗時までの傾向は明かにアンモニアのそれ よりも急激で,その差は大きく新鮮時,不鮮時の数値も種掛こよらずほぼ一定なる事等か ら,魚肉の品質判定に際しアンモニアと共に定量する必要のある事を推論した・ 楠本実験に要した費用の一部は厚生省の科学研究費(主任東海区水産研究所 天野慶之 技官)に仰いだ.記して謝意を表する・ 附記:筆者の一人鯵坂は大分水高より産業教育振興法に依る昭和27年嵐内地留学生と して本学に派遣された期間の一部に於て,本研究を分担したものである・ Resume

The variation in free tyrosine (and other chromogens) offish・meat in the depression course of its freshness, was examined by the colorimetric method with phenol reagent.

(6)

102

庫児島大学水産学部紅喪 節3番 節目3-arly during its storage at l・00m temperature, and the increasing rate of it was greater than that of ammonia, and further more, tyrosine values at both fresh and decayed stage offish was approximately definite in various fishes used for the test.

Therefore, it was infered that more reliable measurement of免sh-quality might be achieved by the estimation of tyrosine values in addition to the ammonia determination.

文 価

(1)太田冬緋:日水詰り17, 309-312 (1952)

(2) H・ C・ BRADLEY and B.E. BAII.EY : Food Research, 5, 487-493 (1940)

(3) G・ J・ SICrtJRDSON : Ind. Eng. Chem., Anal. Ed., 19, 892-902 (1947)

(4)天野慶之,犀藤万通:白水誌., 16, 526-532 (1951)

(5) 0・ FoLIN and J.M. LooNEY ‥ J. Biol. Chem., 51, 421-434 (1922) (ら) 0・ FoLTN and V. CIOCALTm- : J. Biol. Chem., 73, 627-650 (1927)

参照

関連したドキュメント

しかし、近年は遊び環境の変化や少子化、幼 児の特性の変化に伴い、体力低下、主体的な遊

少子化と独立行政法人化という二つのうね りが,今,大学に大きな変革を迫ってきてい

のアジそして富山県のサワラに比較的高い濃度の DP が残留していた。大型肉食魚であり河口や湾岸域に 生息するスズキは従来の

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

 我が国における肝硬変の原因としては,C型 やB型といった肝炎ウイルスによるものが最も 多い(図

■使い方 以下の5つのパターンから、自施設で届け出る症例に適したものについて、電子届 出票作成の参考にしてください。

各テーマ領域ではすべての変数につきできるだけ連続変量に表現してある。そのため

  支払の完了していない株式についての配当はその買手にとって非課税とされるべ きである。