Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
Influence of pre-laminated material on shock
absorption ability in specially designed mouthguard
with hard insert and space
Author(s)
半田, 潤
Journal
歯科学報, 112(2): 196-197
URL
http://hdl.handle.net/10130/2788
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 顎口腔外傷等予防のため衝撃吸収性に優れかつ違和感の少ない,カスタムメイドタイプマウスガード(MG) の使用が推奨され,徐々にではあるが様々なスポーツにおいてその使用率が高まっている。しかし,臨床では 外傷の危険度が高い種目や競技レベルの高い選手においては,一度補綴・保存療法を受けた歯に対して通常の エチレン酢酸ビニル(EVA)材のみを使用した MG ではその目的を達成できない場合も少なくない。我々の研 究室では,衝撃吸収性の高い MG の設計として,EVA 材のほかにアクリルなどの硬性材を使用し,かつ歯面 と接触する内面に一層のスペースを設けた MG について報告しているが,作製方法の複雑化や強い衝撃力が 加わった場合にアクリルが歯面と直接接触するなどのいくつかの課題を残した。 そこで今回,それらの課題を克服するべく硬軟2層よりなる材料を新しく採用し,EVA 材と組み合わせる ことにより,EVA 材の間に硬性材を有し,かつ歯面と接触する内面に一層のスペースを設けた Hard & Space MG(以下 H & SMG)を作製し,より臨床に近い形で顎歯模型上にて評価するとともに,加衝量の相違 がその衝撃吸収能に如何なる影響を与えるかを検討した。
2.研 究 方 法
MG 材 に は 硬 軟2層 よ り な る Kombiplast(Dreve 社 製,1.8mm お よ び3.0mm 厚 径,以 下 Kp),お よ び
EVA 材 Drufosoft(Dreve 社製,3.0mm 厚径,以下 EVA)を用いた。顎模型の左右中切歯唇側面部分にシート
ワックスを圧接することでスペース量および面積を後述する値になる様付与後,印象採得し作業模型を作製し た。始めに Kp を加圧形成し,その後 EVA シートをラミネートし,歯面から加衝部位までの厚さ3.0mm と 統一した。スペースの範囲は,歯冠部の2分の1とした。スペースの量は,1.0mm とした。コントロールは 厚さ3.0mm の EVAMG とし,試料はそれぞれ3個ずつ作製した。 衝撃力は,顎模型の右側中切歯舌側面の切縁より3mm の部位(歯冠部)と歯頸部に付与したひずみゲージ (SKF-20565,共和電業社製)および顎模型(ニッシン:500H)に付与した加速度計(AS-200HA,共和電業社製) を用いて測定した。加衝装置は最下点に達した時に右側中切歯の唇側面の切縁から1mm の部位に当たるよう に調節し,後上方 10 cm,20cm および30cm より衝撃を加えた。 測定は各条件下において10回ずつ行い,ひずみ,加速度をそれぞれ計測し,メモリーレコーダーアナライ 氏 名(本 籍) はん だ じゅん
半
田
潤
(千葉県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1900 号(甲第1152号) 学 位 授 与 の 日 付 平成23年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Influence of pre-laminated material on shock absorption ability in specially designed mouthguard with hard insert and space
掲 載 雑 誌 名 Journal of Prosthodontic Research,第55巻 214∼220頁 2011年
論 文 審 査 委 員 (主査) 石上 惠一教授 (副査) 櫻井 薫教授 小田 豊教授 松久保 隆教授 歯科学報 Vol.112,No.2(2012) 196 ―120―
ザー(EDX-1500A,共和電業社製)にて増幅,記録を行った。その後,コンピューターに転送し,解析ソフト
DAS-100A を用い,ひずみ,加速度それぞれの最大値を求め,統計解析ソフト SPSS11.0J(SPSS Japan Inc)に
て二元配置分散分析および多重比較を行い検討した。 3.研究成績および結論 それぞれの条件におけるひずみの波形を比較すると,マウスガード無の波形は他のマウスガート群に比べ強 く鋭かった。3.0mm の H & SMG において波形はほぼ平坦となった。 歯冠部および歯頸部のひずみは,すべての加衝距離でマウスガード無と比べ,EVAMG および2つの H & SMGにおいて有意に小さな値となった。1.8mm と3.0mm の H & SMG を比較すると,歯冠部では20,30cm の距離,歯頸部では30cm の距離において,3.0mm の方が有意に値が小さくなった。 顎模型の加速度は,すべての加衝距離でマウスガード無と比べ,3つのタイプの MG において有意に値が 小さくなった。EVAMG と H & SMG を比較すると,1.8mm については有意な差はなかったものの,3.0mm においては10,30cm において有意に値が小さくなった。H & SMG 問では,全ての距灘において1.8mm より 3.0 mm の方が有意に小さな値となった。 この実験から H & SMG は従来の EVAMG に比べ,歯のひずみに対してより高い衝撃吸収能を示した。ま た,より厚い3.0mm の H & SMG では,30cm 加衝距離において95%以上の衝撃吸収能が得られた。 論 文 審 査 の 要 旨 スポーツ時における顎口腔系外傷等予防のため,カスタムメイドタイプマウスガード(MG)の使用が推奨さ れ,その使用率が高まっている。しかし,臨床では外傷の危険度が高い種目,競技レベルの高い選手,一度補 綴・保存療法を受けた歯牙を有する選手等においては通常のエチレン酢酸ビニル(EVA)材のみを使用した MG ではその目的を達成できない場合も少なくない。本研究では硬軟2層よりなる材料(Kombiplast)と EVA 材と組み合わせることにより,EVA 材の問に硬性材を有し,かつ歯面と接触する内面に一層のスペースを設 けた Hard & Space MG(以下 H & SMG)を作製し,衝撃吸収能に如何なる影響を及ぼすかを検討した。実験
に供した MG はすべて歯面から3mm の厚径とし,Kombiplast の厚さ1.8mm と3.0mm を用いた2種類の H
& SMG,EVA シート2枚をラミネートした EVAMG を,それぞれ3個ずつ作製した。マウスガード無をコ ントロールとした。測定は,歯冠部,歯頸部のひずみおよび顎模型の加速度とし比較検討を行った。ふりこ型 の装置に付与した鉄球を用い,距離を10cm,20cm,30cm とし加衝を行った。その結果,マウスガード無の 波形は大きく鋭いのに対し,3.0mm の H & SMG の波形はほぼ平坦となった。歯冠部,歯頸部のひずみおよ び顎模型の加速度は,すべての加衝距離でマウスガード無と比べ,3種 MG では有意に小さな値となった。 さらに H & SMG は従来の EVAMG に比べ,歯のひずみに対してより大きな衝撃吸収能を示し,より厚い3.0 mm の Kombiplast を使用した H & SMG では,30cm 加衝距離においても95%以上の衝撃吸収能が得られ た。 本審査委員会では,1)本研究の新規性について,2)加衝距離の設定方法について,などの質問がなされ たが,概ね妥当な返答が得られた。また,論文の記述に対しての英語表現,図の記載方法,題名などについて 指摘され,訂正が行われた。本研究で得られた結果は,今後の歯科医学の進歩発展に寄与するところが大であ り,学位授与に値するものと判定された。 歯科学報 Vol.112,No.2(2012) 197 ―121―