化合物半導体の構造と欠陥の透過型電子顕微鏡観察
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(2) 1. 1章 序論. 1.1 研究の目的. 1. 1.2 Si単結晶の製法. 3. 1.2 1 FZ法 1.2 2 CZ法 1. 2. エピタキシャル法. 3. GaAs単結晶の製法. 1. 3. 1. 皿一V族化合物半導体の製法. 1.. 3.. 1.. Q LEC法 3.3 VCZ法 3.4 HGF法. 1. 1.. 1. 4. 3。’. GaAsの材料物性. 1。5 GaAsの結晶構造 1。. 5。 1. 皿一V化合物半導体の結晶構造. 1。. 5. 2. GaAsの結晶構造と回折パターン. 1.. 5. 3. GaAsの価電子分布. 1.6 電子顕微鏡 1.6。 1. 電子顕微鏡の種類. 1。 6. 2. 実験で使用する透過型電子顕微鏡. 1.6.3 実像と回折像. 1.6.4 菊池線 1。 7. 透過型電子顕微鏡観察試料の作成方法. 1.7.1 レプリカ法 1.7.2 金属薄膜法 1.7.3 その他の方法. 3 4 5 7 7 8. 10 11. 13 15 15 16 19 20. 20 22 23 25 26 26 28 30. 2章 実験方法. 32. 2。1 試料. 32.
(3) 2. 2. イオンミリングによる透過型電子顕微鏡観察試料の作成手順一33. 2.3. 金属顕微鏡による表面観察. 3章 結果および考察. 3. 1. 透過型電子顕微鏡観察試料の作成. 3. 2金属顕微鏡による表面観察. 39. 40. 40 42. 3.2.1 ZnドープGaAsウェーハと SiドープGaAsウェーハとの表面の比較. 42. 3.2.2 ZnドープGaAsウェーハと SiドープGaAsウェーハとの裏面の比較. 44. 3.2.3 機械研磨後のZnドープGaAsと SiドープGaAsとの比較. 46. 2.2.4 ディンプリング後のZnドープGaAsと SiドープGaAsとの比較. 47. 3。2.5 イオンミリング後のZnドープGaAsと SiドープGaAsとの比較. 3.2.6 SiドープGaAsウェーハのエッチピット分布 3.3 透過型電子顕微鏡による内部観察 3.. 3. 1. 試料の孔. 3。. 3. 2. 結晶方位の決定. 3.. 3。 3. 試料の形状. 3.. 3. 4. 試料の湾曲. 3.. 3. 5. 積層欠陥. 3.. 3. 6. 結晶粒界. 3.. 3. 7. 転位. 3.. 3.8. 点状のコントラスト. 3.. 3. 9. 斑点状のコントラスト. 3.4. 49 53 55 55 56 57 61 63 66 68 71 74. 電子顕微鏡によるZnドープGaAs試料と SiドープGaAs試料との比較. 75.
(4) 4章 結論. 81. 参考文献. 84. 謝辞. 86.
(5) 1.1 研究の目的. 20世紀初頭に3極真空管が発明され、1947年にはGeを使ったトランジスタが 発明され、電子管の時代から半導体という固体電子デバイスを用いたエレクトロニクス時. 代が始まった。1950年代にこのトランジスタ技術が目覚しい進歩、発展を続け、19. 60年代にはSiを中心とした集積回路が本格化し、Icは高集積化して一つのIcの中 に数万個以上のトランジスタが入ったLSI、数十万個以上のトランジスタが入ったVL. SIへと発展してきた。1946年に作製された真空管を使った最初のコンピュータEN. IACは1部屋以上もある大きなものだったが、それがトランジスタ、IC、LSI、V LSIの高集積化によってコンピュータはパーソナルコンピュータとして家庭の中に入っ てくるまでになった。. 現在、半導体の多くは元素半導体のSiを使うことが多いが、最近GaAsなどの皿一 V族化合物半導体を用いた諸デバイスが実用化されてきた。GaAs結晶の特徴は、①電. 子移動度が8500x104m2V4S4とSiの6倍以上も高く、超高速デバイスとして使 われる。②バンドギャップが1.43eVとSiの1.14eVに比べ大きいので、Si よりも高温まで安定な電気特性を示す。③バンド間の電子の遷移はSlは間接遷移であり、. エネルギーは光ではなく熱に変わってしまうが、直接遷移できるGaAsは光を発光させ ることができるなどの利点があり発光ダイオードやレーザーなどに多用されてきている。. このようにGaAsなどの化合物半導体はエレクトロニクスの世界ではとても:重要な位置 を占めるようになってきた。. しかし、大量生産の条件ではまだ以下に述べるような様々な障害がある。IC基板に求 められる条件として、一つは必要な電気特性を示すこと、すなわち、電子と正孔を必要な 数だけ、限られた場所と時間に作り出せること。二つにはその結晶が大量生産できること。. 三つにはデバイスプロセスで微細加工が容易にできることである。これらの条件を満たす には、単結晶構造が考えられる。現在のデバイス構造はすでに数千Aの大きさの単位で加 工されており、原子レベルの完全性がウェーハのいたるところで満たされている必要があ る。また、どのウェーハでも再現性よく同じ性質を示すためには、原子が集まって作る基. 本構造が3次元空間で周期的に繰り返された単結晶が適している。しかし、完全な単結晶 を作ることは難しく、単結晶製作段階で何らかの不純物や欠陥が入ってくる。不純物に関 しては電気的特性を操作するために用いることもあるが、欠陥については電気特性に重大. 一1一.
(6) な問題を引き起こすごζになるので欠陥をなくすことは大きな課題の一つである。よって 結晶の中にどのような欠陥がどのくらい存在するのか確かめることがとても重要である。 しかし、現在問題としている欠陥はとても小さく肉眼では直接観察することはできないの で透過型電子顕微鏡を使用して観察することが一つの手段となっている。. 本研究においては、三菱化学株式会社で作製されたZnドープGaAsとSiドープG aAsをイオンミリングを用いて、透過型電子顕微鏡観察試料の作成方法を確立すること、 また金属顕微鏡を用いて試料の表面状態を観察し、透過型電子顕微鏡を用いて内部状態を 調べ、欠陥の同定と分布状態を明らかにすることを目的とした。さらに、観察により見ら. れた欠陥を整理し、ZnドープGaAs試料とSiドープGaAs試料との比較検討を行 った。. 一2一.
(7) 1.2 Si単結晶の製法(1)(2)(3). Si単結晶の成長方法には大きくFZ法、cz法、エピタキシャル法などがある。FZ 法は原料棒の一部を溶融し、その融解部を移動することにより不純物の純化や単結晶化を. 行う方法である。CZ法は石英るつぼの中に高純度シリコンナゲットをチャージし、カー ボンヒーターで加熱溶解した後、上方に結晶を引き上げながら結晶戒長をする方法である。. エピタキシャル法は基板の上に同じ方位をもった結晶を成長させていく方法である。以下 にそれぞれの方法について詳しく述べる。. 1。2.1 FZ法 図1−1はFZ法(Floti皿g Zone)による単結晶工程である。炉内は大気圧のArなど. の不活性ガス雰囲気で覆い、高周波発信器から溶融コイルに1∼3MHzの高周波電力が 供給される。上下軸が独立に回転し、下方への移動速度を調節して単結晶の直径を制御す る。(a)ではカーボンを高周波に赤熱し、その輻射により多結晶先端部の温度を上げ、. 高周波の良導体にする。(b)で多結晶の先端に身体を作り、種結晶に溶着する。(c). において無転位単結晶になるようし1まり(∼3mmφ×30㎜)を行う。(d)では直 径を計算機制御 により行う。し. 。隣一・. 暫 .. ●. 9 囑. ●. .. ●. 辱 o. ,. ●. 6. ぼりの上部は数・. 10kgの単結. . . .. . ●. (=====’=エ==). ●. 磁器㈱休先端部(蝋翻. ノ 溶融コイル. 晶を支持するた (b). (a). め(e)のよう. (c). な装置をつけ. 巳L切鰍. る。(f)の成 ===⊃. ζ==⊃. 長の終了時に高. 〔〕. !. 周波電流を減じ. 単結晶. て融液量を減ら 結晶支持. し、上部の多結. 晶から三二を切 〈d). (e). (D・. り離す。. 図1−1 FZ法における6つの主要な単結晶製造行程. 一3..
(8) 次に述べるCZ法と比較してFZ法の利点は結晶成長の初めから終りまで成長条件がほ ぼ一定であるので,. ①成長方向の不純物分布が一定である, ②自動化が容易である,. ③熱容量が小さいので成長速度が大きい。. たとえば,150mm直径の結晶でも2mm/minが得られ, CZ法の2倍である。 CZ法比較して劣る点は、 ①結晶成長時に有転位化した場合に再溶融ができない。 ②溶融帯の制御を含めた引き上げ技術が難しい。. ③直径150mm以上の引き上げ技術が難しい。 などである。. 結晶品質におけるFZ法の特徴は, CZ法における石英るつぼのように他の物質に触れ ることがないので,酸素,ボロン,アルミ等に汚染されない。また,原則的には重金属不 純物は偏析係数が小さいのでより純化される。その結果,少数キャリアのライフタイムの. 値が大きく,かつ高抵抗率結晶が得られ,主として高耐圧のディスクリートデバイスに使 われる。一方,結晶中の酸素濃度が低いため,デバイス工程中に転位が発生しやすいこと や成長速度のむらを生ずるため添加不純物の濃度むらを発生しやすいなどの欠点がある。 改善方法として、中性子照射による抵抗率の均一化(neutron transmutation dophlg N T. D)が実用化している。現在、工業的に大量に使用されているシリコン単結晶は無転移単 結晶である。. 1.2.2 CZ法(Czochralski法) 現在のIC(htegrated Circut,集積回路)は主にCZ結晶によってつくられている。 それゆえ,CZ法における重要な問題は,いかに大直径結晶を効率よく生産するかである。 単結晶の成長は装置上のハード面ばかりでなく,成長技術のソフト面が重要である。すな. わち品質を一定に保つための管理である。たとえば,CZ結晶の晶質における特徴は,シ リコン二二によって溶解した酸素が成長する結晶にも混入するため結晶中の酸素濃度の絶. 対値の制御や結晶内の分布が重要である。 図1−2がCZ法による結晶成長装置である。 (1)装置の概要. ①成長炉内の雰囲気はFZ法と同じようにArであるが数∼数十Torrに調節され融液面. 一4一.
(9) から蒸発するSiO粉の除去を容易にしている。 ②炉内の構成は石英るつぼを除いて高純度の黒鉛からできている。加熱用ヒータには直流 電流を用いる。. ③石英るつぼの上下の摺動、回転に機密を保持するため磁気シールを用いる。. ③結晶回転と引き上げには巻き取りし. O. きワイヤを用いている。. ワイヤー巻取り機構. ■. (2)成長方法. ①石英るつぼに高純度多結晶Siを充 填しする。. @ Ar. 前面開閉扉. ②チェンバー内を真空に引き、Ar雰. 囲気に置換し、圧力を数10Torr. 纒蝿. ↑. 上げ室. iチャンバー). @引上げ軸. に調整する。. iワイヤー). ③黒鉛ヒータで加熱しSi多結晶を溶 @ 種支持具 解する。. @ 種結晶 @分離パルプ. ④種結晶を融液に浸し、無転位成長す. ト視窓. @ 真空ポンプ @ @. 光学システム (パイロメータ. @. るよう種しぼりを行う。. Ar. Si. ⑤融液温度を下げて直径を増大させ、. @ ’「_一” @ イ:十三 @ @. 目標直径にする。. ⑥所定の結晶長まで達したら成長終了. 石英るつぼ 黒鉛るつぼ 黒鉛ヒーター 熱遮蔽筒. 部は単結晶に転位が発生しないよう円 錐形にする。. ⑦成長終了後の冷却(アフターヒート ∼. ∼. 行程)が結晶品質を左右する。現在、. 驍ツぼ軸. Ar+Sio+CO ↑. ォ. Siの引き上げ行程はほぼコンピュー. タを使用して自動化されてきている。. 図1−2 CZによる単結晶製造装置. 1.2.3 エピタキシャル成長法 エピタキシ(ephaxy)という言葉はギリシア語のepi一(∼上に)という接頭語とtaxis (ある方向に配列させること)という言葉の合成されたもので,“ある方位をもった単結 晶基板上にその基板と同じ方位をもった結晶を成長させること”という意味である。IH一. 一5..
(10) V族など一般のエピタキシャル成長法には,固相成長,液相成長および気相成長がある。 シリコンでは結晶の完全性や量産性に適した気相成長法が使われている。また,研究的に. は錫(Sn)を溶媒にした液相成長で無転位のエピタキシャル層も得られている。気相成 長法の中には物理的方法のMBE(molecular beam epitaxy)やMOCVD(metal organic chemical vapor deposition)など超格子を制御してつくる方法もある。半導体のエピタ. キシャル成長の歴史は,まずGeについて研究が開始され,次いで1960年に入ってか らシリコンに関する研究が盛んになった。基板表面の塩酸(HCl)による気相エッチン グ技術が確立されてから,シリコンのエピタキシャル成長技術およびその成長装置の開発 は急速に進み,最近は安定した半導体プロセスとして定着している。. エピタキシャル成長技術は半導体デバイスの作製に大変重要である。半導体はその中に. 含まれる不純物によってp型とn型に分けられるが,一般に半導体デバイスはこのn型, p型の組合せによって種々の機能をもたせている。通常これらの不純物の導入(ドーピン グ)には拡散,イオン打ち込みなどのプロセスが用いられるが,これらの方法では急峻な 濃度勾配をつけたり,濃度の高い層の上に濃度の低い層を形成したりナることはたいへん 難しい。エピタキシャル技術を用いるとこれらのことが比較的簡単にできる。 n+ 一 P+. n. 図1−3 エピタキシャル成長により. 基板(n+). 作られる基板例. バイポーラトランジスタの場合、図1−3に示すように高濃度基板(n\pつ上に低濃 度(n}、p )(高抵抗率)のエピタキシャル層を形成する。また,バイポーラーC用の. 場合には選択的に埋め込まれた高濃度表面にエピタキシャル成長を行う。米国ではMOS −ICにもエピタキシャルウェーハを用いる。その理由は特性の向上,設計とプロセスの. 簡略化があげられる。高コストであるが,D−RAMを支配する高付加価値のロジック回 路素子に使われている。. 実際の製造では,いろいろな導電型と抵抗率,および結晶方位さらに仕上げたウェーハ. 表面に不純物の種類や濃度を制御して厚さ1μm以下から100μmぐらいまでの層に成. 長する。反応ガスにはsicI、(4塩化シラン)siHc13(トリクロルシラン),s. 一6一.
(11) iH2CI2(ジクロルシラン),SiH4(モノシラン)などを用いる。. 1.3 GaAs単結晶の製法(2)(4)(5). 1.3.1 皿一V族化合物半導体の製法 皿一V族の化合物半導体は,天然には存在しない物質である。例えば,今日の電子工業. の分野で重要な地位を占めているGaAs, InP, GaPといった皿一V族化合物半導 体を実用に供するには,皿族とV族のそれぞれの原料から化合物を合成した後に単結晶成 長しなければならない。これらの化合物は,高温におけるV族元素の蒸気圧が高いために,. 原料となる皿族元素とV族元素の合成が難しいばかりでなく,いったん合成した融液から もV族元素が解離しやすく,結晶の成長が非常に難しい。その上,これらの化合物を工業 目的に利用するためには,単に結晶を作るというだけではなく結晶の組成,電気特性,欠 陥密度などを制御しながら,結晶方位のそろった大型の単結晶にしなければならない。そ こで,これまでにさまざまな化合物半導体の結晶成長技術が開発され,いまなお開発,改 良が続けられている。. 現在,工業的に用いられている皿一V族化合物半導体結晶の結晶成長方法は,ボート成 長法と引上げ成長法の二つに旧きぐ分類できる。. ブリッジ磁. ボート法. ム:雛:劉;㌶蒙:. 温度傾欄法. ゾーンメルト法一HZM法(水平ゾーンメルト法). 引き鷹. 図1−4 皿一V族化合物半導体のバルク結晶成長方法. 一7一.
(12) このうち引上げ法は、成長容器による形状の制約がなく円形で直径の比較的大きな結晶の. 成長に有利であることから,様々な1卜V族化合物の成長法として用いられている。実用 化されているものに限れば,Siと同様の引上げ法(Czochmlski法, C Z法)によりIn Sbが, B 203などの液体封止剤を用いる液体封止引上げ法(Liquid Encapsulated. Czochralski法, LEC法)によってGaAs, GaP, InAs, InP, GaSbなど が製造されている。ここでは工業的に主に行われているLEC法、VCZ法、本研究で使. 用するGaAsウェーハが作られたHGF法について述べる。. 1.3.2 LEC法(液体封止チョクラルスキー法) (1)原理. LEC法は,Me重zらによってPbTe, PbSe結晶の成長法として考案された。. 皿一V族化合物半導体結晶への応用は,Mu澁1らが,この方法によっInAsとGaAs の結晶を成長したのが最初である。. LEC法は,その名の示すとおり,融液表面を液体封止剤で覆い,封止剤を通して結晶. を引き上げる方法である。LEC法の原理図を図1−5に示す。基本的にはSi結晶の成 長で一般的に用いられているCZ法と同じく,原料融液に所定の結晶方位を有する種結晶 をつけ,これを回転させながらゆっくりと引き上げることで単結晶を成長する方法である。. 成長中は,融液を覆った液体封止剤に融液の解離圧以上の雰囲気ガス圧力をかけて,高い. 解離圧を有する融液が分解するのを防止する。例えばGaAsでは0.1∼2MPa(1. 気圧∼20気圧)、InPでは4∼5MPa, GaPでは6∼8MPaと,ほとんどの化合物 が高圧力下で成長されている。ガスとしては,価格,純度,封止剤や融液との反応性を考. 慮してArやN2が最も多く使用されている。実験的にはGaAsでKrやHeの使用例も ある。液体封止剤は、上述の役割を果たすために次の条件に合致したものでなければなら ない。. ①原料融液,結晶,るつぼと反応しない。 ②高温(原料融液の融点),高圧下においても安定である。. ③原料融液よりも比重が小さく,三三上に浮く。. ④比較的低温から軟化し,原料表面を覆って原料の分解を防ぐことができる。 ⑤高温において粘性が小さく,結晶の回転,引上げが容易に行える。 ⑤透明で,液体封止剤中の結晶が観察可能である。. 一8一.
(13) ⑥高純度である。. これらの条件を満足する封止剤として,B203が広く用いられている。 B 203以外では,. BaC12,CaC12,KClなどが研究されたが,必ずしも全条件を満足できていない。 原料を収容するるっぽは,石英製のものとpBN(Pyrolytic Boron Nitride)製のものが,. 用途によって使い分けられている。石英るつぼは,安価で取扱いも容易であるが,Siに よる原料の汚染があるため汚染が比較的問題にならない導電性結晶の成長用に用いられて. いる。pBNるつぼは,材質が非常に安定であり,原料汚染の心配が少ないことから,不. 純物の混入が電気特性に強く影響するアンドープGaAs結晶やFeドープInP結晶な どの半絶縁性結晶の成長に用いられている。pBNは, BC13ガスとNH3ガスの気相熱 分解反応によるCVD法により,薄膜を1mm程度の厚さまで堆積させる方法で作られる. ため,非常に高価である。pBNるつぼが生産され始めた当初は,直径10cm程度の小 型のものしかできなかったが,最近では直径30cm程度のものが生産できるまでに製造 技術が進歩している。. (2)成長方法. GaAs結晶を用いるデバイスは,大きく二つに分けられる。一つは, GaAsのバン ド構造が直接遷移型であることを利用した発光デバイス(LED, LD)であり,もう一 つは,電子移動度が大きいことを利用した,高周波,高速デバイス(FET, IC, LS I)である。発光デバイス. ロードセル. 高圧容器. 用にはSiやZnをドープ した導電性結晶が用いられ. 高圧不活性ガス GaAs結晶. る。これらの結晶はLEC. 保温材. B203. 法でも成長できるが,通常. 転位密度の低い結晶が要求. 種結晶. 騒 ヒータ. されるため,それに有利な ボート法で成長される。一. 閉. GaAs三二. 方,高周波,高速デバイス. PBNるつぼ. 用には,素子間分離に有効. な107Ω・cm以上の抵 抗率を有する半絶縁性基板. 図1−5 LEC法. 一9..
(14) が使用されるため,半絶縁性結晶の得られるLEC法で成長される。. B203は熱の不良導体であること、およびB203層上部に存在する高圧ガスが炉内で大. きな対流を起こすため、B203層中の温度勾配は50∼100℃/cmと非常に大きい。. このためLEC法で成長したGaAs結晶の転位密度は数万個/cm2と非常に高い。引 上炉内のヒータおよび保温材はグラファイト製でありこのため炭素が不純物として1015. cm曜3程度結晶中に取り込まれ、GaAs結晶中では浅いアクセプターとして働く。浅 いドナーよりも過剰なこの浅いアクセプターをEL2と呼ばれる固有欠陥性の深いドナー (∼1016cm−3)が補償することにより、フェルミ準位が禁制帯中央付近に固定され高 抵抗化が実現される。. 1.3.3 VCZ法(蒸気圧制御チョクラルスキー法) 基本的にLEC法と同じであるが、結晶成長近傍の空間をベッセルで覆い、その中にヒ. 素蒸気を加えてある。これにより温度勾配を20∼50℃/cmとLEC法の1/2∼1 /3まで低減しても結晶表面からのAsの解離は起こらない。GaAs結晶のEPD(エ ッチピット密度)は平均5×103cm−2とLEC法と比べると約1桁程度の低転位化が 可能になる。. ロードセル ヒ素蒸気. 種結晶. ベッセル. 203. 保温材. 玉 ヒータ. 筆. GaAs融液. 図1−6 VCZ法. 一10一.
(15) 4 水平ブリッジマン法(横型ボート法、Horizontal Bddgman Gradient Freeze). ヒータ. ヒータ. ヒータ. 炉芯管 石英反応管. ヒ素. 石英ボート. GaAs融液. GaAs結晶 種 晶. 拡散障壁. 図1−7 横型ボート法. 3T−HB法. T1. 融点. T2(1100∼1200℃) 温 度. 図1−8 3T−HB法における温度分布.
(16) 温 度. 3. 図1−9 GF法における温度分布 GaAsを育成しようとすると、横型ボート法でも目的に応じていくつかの方法が考えら. れる。Si汚染の制御と結晶の長尺化を考えると3温度帯HB法(3T−HB)が有利であ. る。図1−7は3T−HB法の概略図である。石英反応管の中に、出発原料としてT3ゾ. ーンにAs(純度6以上)、T1ゾーンGa(純度6N以上)をチャージし中間のT2ゾ ーンには拡散障壁を設けるやり方もある。石英ボートの棚には種結晶を所定の成長方位に. 合わせて設置する。また石英ボートの内表面は、「ぬれ」抑制のためサンドブラストなど. により粗面化しておくのが通常の処理である。この石英反応管を図1−8のようにT1: 1240∼1250℃、T2:1100∼1220℃、 T 3:600∼620℃に昇温し、 GaAs融液が種結晶に. 触れないよう反対側に傾けながら合成する。その後、種付けを行ってから、温度分布と石. 英反応管を相対的に移動させ(3∼10mm/時)ながら結晶化させる。固化した結晶は、T 2ゾーンの中で急激な熱応力が発生しないように注意を払って冷却する。こうした結晶は. 長さで100cm、直径では3インチまでが量産化されている。 今回の実験で使った試料は温度傾斜凝固法(GF法)で作成されたものである。. GF法はHB法で行ったT1∼T3までの温度変化に図1−9のように傾斜をつけて行う 方法である。. 一12一.
(17) 1.4 GaAsの材料物性 表1∼3に,Ga, AsおよびGaAsの諸物性、表4にGe、Si、. GaPの半導体. との特性の比較を示す。. 表1 Gaの諸物性. 表2 Asの諸物性. 原子量. 69.72. 密度. 5.93×103kg/m3(R. T.). 融点. 29.78℃. 沸点. 2403℃. 原子量. 74.92. 密度. 5.73×103kg/m3(R. T.). 融点. 817℃(2.8MPa) 613℃. 昇華点. 表3 GaAsの諸物性 分子量 密度 密度 密度. 144.64 5。3161×103kg/m3(R 5。16×103kg/m3(m. 5.71×103kg/m3(m.. 融点. 1238℃. 解離圧. 1×105Pa(m。 p). 比熱. 325J/kg。K. 熱伝導率. 54W/m・K. 熱拡散率. 3.1×10−5m2/s. 線膨張係数. 6.0×106K’1(R. T.). 臨界せん断応力. (4.1±0.. P固体) P液体). 5)×104N/m2. 融液の比熱. 434J/kg・K. 三二の粘性. 2. 79×10−3Pa・s. 凝固潜熱. 7。 27×105J/kg. 一13一. T固体).
(18) 表4 半導体の特性(Ge、Si、GaPとの比較). Ge. (A). 分子量 密 度. GaAs. ダイヤモンド ダイヤモンド 閃亜鉛鉱構造. 結晶構造. 格子定数. Si. (cm}3). GaP 閃亜鉛鉱構造. ¥造. ¥造. 5.6575. 5.4309. 5,653. 5.4495. 72.59. 28,086. 144. 64. 100. 69. 5.3243. 2,328. 5,307. 4. 129. 2.4. 6.0. 5。3∼. 線膨張係数(106/K) 5.5. @ 5.81 熱伝導率. 0.6. 1.4. 0.54. 1. 1. 比 熱 (car 1 K−1). 5.59. 0. 17. 5.46. 5,243. 融 点. 959. 1410. 1280. 1350. 0.74 O.66. 1.20. 1.52. P,428. 2,338. P. 11. 4000. 1880. 8500. 200. 1500. 450. 420. 120. @ (Wcm−1K『1). (℃). 禁止帯の幅 (OK) ieV) (300K) 電子移動度(300K) @ (10’4m2V4 Sり. 正孔移動度(300K) @ (10’4m2V4 S4). 一14一. Q.26.
(19) 1.5 GaAsの結晶構造(5). 1.5.1 皿一V族化合物半導体の結晶構造 皿1−V族化合物半導体はいずれも、sp3混成軌道の結合により正四面体配位結合を持 つ。結晶を構成しているひとつひとつの原子に着目すると、図1−10のようにその原子 に結合する原子は4個あるが、いずれも等距離にあり、結合の成す角は等しくその角度は. 109。47。となる。 正四面体配位構造をもつような結合を したとき、各元素に割り当てられる半径. , 、. は表1−5のようになり、結合長はこれ. /1. らの和からほぼ計算でき、GaAsの場. / 1. 合は2.45Aとなる。このような配位 ノ. ヨ. /. \ \、. ∼. \、. へ. 構造を組み合わせることにより結晶が構. /. 1. 、. 成され、GaAsは閃亜鉛鉱構造となる。. ”. 図1−10 正四面体配位構造 表1−5正四面体配位結合による結合半径(A) 族. 1. H. 皿. IV. V. VI. w. Be. B. C. N. 0. F. 0,975. 0,853. 0,774. 0,719. 0,678. 0,672. Mg. Al. Si. P. S. C1. 1,301. 1,230. 1,173. 1,128. 1,127. 1,127. 周期. 2. 3. 4. Cu. Zn. P,225. P,225. ノ」■「,」■7,. 、Ga DlL225. 、Ge P11,225. 、As 匤T1.225. 、Se 高P1,225. 、. 、. Br P,225. 、. 5. ノ∠■■■7,」■■「,. 、. ノ」■膠ソ」■膠7,. ノ湖■■「,」■■7,. Ag. Cd. In. Sn. Sb. Te. 1,405. 1,405. 1,405. 1,405. 1,405. 1,405. 一15一. 1 1,405.
(20) 1.5.2 GaAsの結晶構造と回折パターン. S童、Geの結晶構造はダイヤモンド構造であり、GaAs、GaPの結晶構造は閃 (せん)亜鉛鉱構造である。これらの結晶構造は図1−11に示すように,いずれも結晶 系としては面心立方格子に属し,面心立方格子の格子点に2個の原子A,Bが所属するこ とにより成り立っている。すなわち,面心立方格子の稜の長さをaとし,三稜の方向に座 標軸をとると,面心立方格子の各格子点に対し,その相対的な位置関係が(0,0,0)と (a/4,a/4, a/4)で表されるように,2個の原子A, Bが所属している。ダイヤモン. ド構造と閃亜鉛鉱構造との差は,この2個の原子A,Bが同一元素のものであるか,異な る元素のものであるかの差だけである。従って,各格子点に属する2個の原子A,Bを一 まとめにして分子的に考えれば,ダイヤモンド構造も閃亜鉛鉱構造もともに面心立方格子. としてよい。図1−12、13、14はそれぞれの方位から観察した結晶構造と回折パタ ーンの方位依存性を示す。. 図1−11 GaAsの結晶構造. 一16一.
(21) Zbne癩=【0,qo】. 蟹. ろゆ. らヘコ. ●. ㊥ ご. れユ. ぬの. ●. ●. 嫡. ぢ. h麗. 6. はヨ. ㊥. ㊥. ●. [001]方位からの観察 図1.. 12. GaAs(閃亜鉛鉱構造)の結晶構造と回折パターンの方位依存性. 6. Zone aXls[0,0,01. ‘「‘’. 6 δ 一. 覧3昌. ご る. 9㌔. … ぴ δ 謬. 22「2. 2,る. 6 ご … ご 6 縞z. 6. [110]方位からの観察 図1−13 GaAs(閃亜鉛鉱構造)の結晶構造と回折パターンの方位依存性. 一17一. 2角■.
(22) Z㎝ea魎:[ααq. 辮... ・置. …辮. ご 貿・ ・謬. 置 :び 尋 ・・:畜. 敏. …謬. ・燥. [111]方位からの観察 図1−14 GaAs(閃亜鉛鉱構造)の結晶構造と回折パターンの方位依存性. 一18一.
(23) 1.5.3 価電子分布. 皿一V族化合物半導体の結合においてIV族のSiやGeなどの結合と異なる点は、結合 にイオン性があることである。SiやGeの結合は共有結合であるが、異なる元素が結合 しているm−V族化合物では共有結合に加えて、原子周辺の電荷の集まりに偏りがある。. 結合している原子間で負の電荷がより多い原子とより少ない原子がある。図1−15は、 (110)面上の価電子密度分布を濃淡で表している。周期表第3周期に属する原子から. なるIV族半導体Geとその両隣のIH−V族化合物GaAsを示している。Ge−Geの結 合では、結合の中心付近に価電子が集まり、かつ対称な分布をしている。Ga−As結合 では結合の間に価電子密度の山があるものの、As原子周辺に分布が偏っている。. 庶騒騒隷§・;¶. 難 :. .穏黙黙 .,鰯務搬難.. 難. 懇1蓼1議 .艦無. 嫉尊 .硬ご」二面. 灘釜驚騰 図1−15 GeとGaAsの価電子密度分布. 一19一.
(24) 1.6 電子顕微鏡. 電子顕微鏡には様々な種類があるが、ここではよく使われている走査型電子顕微鏡と本 研究で使用した透過型電子顕微鏡について述べる。. 1.6.1 電子顕微鏡の種類(6)(7). (1)走査型電子顕微鏡(ScamingElectron Microscop◎、 S E M). 電子線を試料の表面にあて て、その試料表面から発生す. ウエ編儲=柵 アノードー.仁鑛⊂1 ハ. る電子(反射電子、2次電子、. Auger電子、特性X線、燐光. 第1…. などがでる)を検出して、そ の信号をブラウン管に立体画 像として描かせるものである。. 走 査 電 源. li. 第2レンズ. 電子線を細く絞って試料に照. 図. 検出器\:♂ 略\. 射し、いずれかの信号を検出 すれば、照射した点の物質と. ホ向電極. 試料. 形状に関する情報が得られる。. さらに電子探針で試料面上を. 走査型電子顕微鏡. 増 幅. 器. 走査し、検出した信号を同期 図1−16 走査型電子顕微鏡の概略図. したブラウン管の輝度変調に入れれば試料の拡大像ができる。SEMの分解能は電子探針 の大きさで決まる。電子探針の径を10Aにするのは容易であるが、物質中で電子の散乱 が起こり、厚い試料では事実上の探針がより大きくなってしまう。焦点深度が深く、特に. 2次電子を使うと立体感のある像が得られる。レプリカ法の適用が困難な凹凸の激しい表 面や壊れやすい表面にも応用できる。また、2次電子が表面付近の弱い電解に敏感である. などの理由でpn接合やICの研究、試験などにも使われる。. (2)透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、 T E M). 透過型電子顕微鏡は電子線を試料に透過させて、その透過してきた電子線によって濃淡 のある平面画像を描かせるものである。. 一20一.
(25) 電子顕微鏡として最も簡単な構造のものは光学顕微鏡と全く同じで、図1−17のよう に試料の前方に収束レンズがあり、後方に対物レンズ、投射レンズがあってそれにより拡 大した像が得られるものである。光学顕微鏡と違う点は光ではなく電子によって像を描く ことである。電子線は散乱されやすいので電子線の通路は高真空になっている。. 透過型電子顕微鏡においては試料に電子線が透過して観察することができるので、試料 の厚さは薄い必要がある。また、レンズは電子線が磁場で曲がるのを利用して設計された 磁界レンズが用いられている。電子線は加速電圧をVボルトとするとき、. λ= 150/V(1+1σ6V). 〔A〕. 凹一電子銃. で表される波長をもっている。. 200kVの電子顕微鏡の場合で. ,ハ、 /\. は0.0250Aになる。これは光. の波長(4000∼7000A)に. □〈、、〉ロー第1収束レンズ ×. 比べて格段に小さく、このため小さ いものでも識別でき、高倍率の像を 得ることができる。. 光学系を見てみると、電子銃から. でてきた電子をコンデンサレンズ. ←陽極. ノ. □く♪ロー第2収束レンズ A,’一← ー’ 」___試料. iり. ノ. Er(酒:二凹型り. (第1,第2収束レンズ)で平行電. y \制限糊絞り. 子線にして試料にあてる。そして、. /\. 試料を透過した電子線を対物レン. ズ・輌レンズ・捌レンズで拡大 して蛍光スクリーン上に像を映す。. 写真を撮る場合は、蛍光スクリーン を上げて写真フィルム上に像を投影 する。中間レンズは倍率を上げるほ かに像のゆがみを小さくしたり、試 料が結晶質のとき制限視野回折法が 行えたりする利点がある。分解能は 数Aである。. ’ ノ. 、. 汽 ♪□←中間レンズ. 、. !. 、 、. ! !. /、. □《〉ロー投射レンズ x. ! !. 、 、. ノ ノ. [==ゴコ_蛍光板または 写真フィルム. 図1−17. 一21一. 電子顕微鏡の光学系.
(26) 1.6.2 実験に使用する透過電子顕微鏡. 実験においては図1−18のような透 過型電子顕微鏡H−800型を使用した。. 加速電圧は200kV、電子線の波長は. 0.0250A、分解能は数Aである。 図(a)の中央に立っている円筒形の上 部に電子銃があり、図(b)の中央にあ る台形状の窓からスクリーンを覗く。. 図1−18 実験で使用する透過型電子顕微鏡 (a)横からの全体写真 (b)正面からの写真. (a)横からの全体写真. (b)正面からの写真. 一22一.
(27) 1.6.3 実像と回折像(8). 電子銃から照射された電子線は第1収束レンズ、第2収束レンズによって平行電子線に して試料に照射される。試料を透過した電子線は、図1−19(a)のようにB1、 B2, B3に試料の電子顕微鏡像(実像)ができる。それと同時に試料によって電子線は回折現. 象を起こすので、行程の途中D1, D2, D3に回折像ができる。中間レンズの磁場の強. さを変えることにより、焦点距離を変えると、図1−19(b)のように蛍光板のところ に回折像をもってくることできる。実際に撮影したものが図1−20である。. ! !. 4■■隔 !屡、1!1、 1!1、1 、. バ l L. 、. !. 試料. 焦 !IV1、. ! 1! 、1 、 !匿 1、 、. ←→』←1→→一→ 対物レンズ マ■←←一r一一⇒. D会瓢1!驚’1・き二才も・ 11!1、、I. l!!、、響. けい光板∠一一一■L____ム. (a)電子顕微鏡像. (b)回折像. 図1−19 電子顕微鏡像と回折像の光学系. 一23一.
(28) (a)電子顕微鏡像. (b)回折像. 図1−20 透過型電子顕微鏡による像 その際、B1の第1段像のできるところに絞りを入れると電顕像は一部分だけの画像と なり、その条件で回折像をつくると電顕像に見えた一部分だけの回折像を見ることができ る。これが制限視野回折法で、これにより組織の一部分のみの結晶構造を知る手がかりに なる。. l lI・. 尋. 尋. l l. 尋. ’ ノ. 尋. ”. 試料己=:コ 1\へ, I\1\. (a)明視野法. [=コ. 氏卜、. /i/i. 1\1、. へ1・一I ’ も. 頃]. ,1’1. i\. 、’“‘. ハ 皆’撃. (b)暗視野法1. (c)暗視野法2. 図1−21 透過型電子顕微鏡による明視野法と暗視野法 図1−21(a)のように対物絞りで回折電子線をさえぎり直進してきた透過電子線で像. を結ぶものを明視野像という。図1−21(b)または図1−21(c)のように回折し た電子線で像を結ぶものを暗視野像という。GaAs半導体の観察では明視野法を使った。. 一24一.
(29) 1.6.4 菊池線(8) 単結晶電子回折図形内には斑点のほかに. 入射線・. 菊池線と呼ばれる線からなる複雑な模様が 観察される。これらの線は回折図形の散漫 ’ θ. バックグランド内の強度変化のために生ず. ’. る。この菊池線を使うと試料の方位を非常. ’. ’. 彰. ’. ’. に正確に決められる。. ’ ’. 90しθ. ’. 菊池線は結晶内でエネルギー損失を受け. \’LP ’. た非弾性散乱がある結晶面でブラッグ反射. ’ ’ ’. を起こすことによって生ずる回折図形であ. ’. /. 一. z. /. る。非弾性散乱波は通常、弾性散乱による. 〃 〃. 回折図形の下地強度として寄与している。 その強度は入射方向に緩慢な極大をもち、. L. 散乱角度の増加と共に単調に減少している。. しかし、結晶が完全で厚ければ、ある方向 に進んだ非弾性生散乱波はある結晶面で弾 性散乱を受け、ブラッグ反射を受けることが 図1−22 菊池線の原理図 ある。そのときは単調な下地強度に変化が現れるはずである。図において非弾性散乱波の. うちQP方向のものが網平面NN’でブラッグ反射を受けたとすると、 QP方向とNN’ に関して対称なRP方向の非弾性散乱波もNN’面の裏側でブラッグ反射を受ける。した がってPQ’方向ではQPのブラッグ反射で下地強度が増大し、 RP方向のブラッグ反射 ではそれが減少するはずである。ところがQP方向の非弾性散乱波の強度はRP方向のも のより大きい(散乱角が小さいため)ので差し引いた結果、PQ’方向では下地強度を強 めることになる。逆にPR’方向では弱めることになる。このようなことを3次元的に考. えると、非弾性散乱波のNN’面によるブラッグ反射はNN’の実践を軸として(90一 θ)を半頂角とする2つの円錐に沿って起こることになるから、これらの円錐と乾板との 交線が白黒の線となる。これらの線は双曲線であるが、θが小さいので実際には平行な直 線と見ることができる。これらの直線が菊池線と呼ばれるものである。白黒一対をなし、. 白い方が黒い方より入射点に近く、それらの発散角は2θである。結晶を傾けるとこれら の線は結晶に固定されたかのごとく動き、試料方位の変化に敏感である。. 一25一.
(30) 1.7 透過型電子顕微鏡観察試料の作成方法(η(8). 透過型電子顕微鏡は試料に電子線を当て、試料を透過した電子線を見ることによって試 料を見ることができる。そのため試料は電子線を透過することができるほどに薄くなくて はならない。ここではその試料をいかにして薄く作成するかについて述べる。 薄膜作成方法にはレプリカ法と金属薄膜法に大きく分かれる。レプリカ法では酸化皮膜. 法、合成皮膜1段法、合成皮膜2段法があり、金属薄膜法では電解研磨法、化学研磨法、 イオン研磨法などがある。. 1。7.1 レプリカ法 レプリカ法は、金属表面の凹凸を型にとって電子顕微鏡で観察できるような、無定型(非. 晶質)の膜を作る方法である。直接観察法が普及するまでに電子顕微鏡による金属組織の 研究方法として一般に行われてきた。レプリカ法は間接的方法であるために直接観察法に 比較して劣る点が多い。しかし、塑性変形したときの表面組織および破断面などを詳細に 観察したいときなどにはレプリカ法によらざるを得ない。レプリカ法は金属表面の微細な. エッチ・ピットやすべり線、または微細な組織を見るのに用いられる。図1−23は酸化 皮膜レプリカ法とレプリカ膜の電子顕微鏡コントラスト図である。. (1)酸化皮膜法. 金属試料表面に電気的または熱的に厚み500Aほどの酸化皮膜をつくり、これを母体金 属から電解法などによって離して検鏡する。酸化皮膜はほぼ均一な厚みをもって生成され ると考えられるので、表面が平坦な部分と傾斜した部分とでは電子線の透過距離が異なる。. したがって、電子線に対する散乱の度合いがそれらの部分で異なるためコントラストが現 れる。これらのコントラストを強調するため、一般には斜め方向から金属を蒸着しシャド ーイングをほどこしている。. 一26一.
(31) 試料. 1陽極酸化 酸化皮膜. \. 1はく離 レプリカ膜. \ , l l 0 1. l 6l 1 .. ■. 9 6. 11 瞳 1 置 響 11 l l 3 . ・1 塵 1 6 ・ 1・ 巳 . 巳 響 1巳 . . 1 9 暉1 1 . 1 ,. コ ロ. 9I. 響伽 .. ロ .圃 .・ ●o ロコ ココ. 8. 醜・ ・零 ●・ 巳・ 雪.. ・麺. ロ. l ■ ロ 1 9 コ 98. コ. liジヤiド1−iイ≒’ダ. コ. . 聖 1 6 唇醒 5 量ロ . 重 ・睡 ロ ・ 璽 1 昌 。。 ・ o ■ 9 ・。 . 8 8 巳 .睡 コ コ コ ロ コ ロ ロ ロ コほ. l l. レプリカ膜の電子顕微鏡像コントラスト. 図1−23 酸化皮膜レプリカ法とレプリカ膜の電子顕微鏡コントラスト (2)合成皮膜1段法 コロジオンおよびホルムバールをそれぞれ0.5∼1%の酢酸アルミおよび二塩化エチレ ンに溶かした溶液の少量を試料表面に流し広げて乾燥すると、表面には数百A以下の厚み のレプリカ膜ができる。これにセロハンテープを貼り付け、静かにそのテープを引きはが すとレプリカ膜はテープについてはがれてくる。次にテープだけが溶けてレプリカ膜は溶 けない溶液に入れるとレプリカ膜はテープから離れて浮遊するので、それを洗浄してメッ シュにすくい上げて検鏡する。レプリカ膜の試料面と反対の側はほぼ平坦なので酸化皮膜 よりは良いコントラストになりうる。しかし、完全に平坦でなく、かつ合成皮膜の電子線 に対する散乱能が小さいので相当な厚みの差がないとコントラストはつきにくい。しかし、. シャドーイングによって少しの厚みの差でも十分にコントラストをつくることができる。. 一27一.
(32) (3)合成皮膜2段法 試料表面における凹凸の度合いによっては1段法においてコロジオン膜を表面からはく離 することが非常に困難なことがある。そのような場合、はく離を容易にするために最初は. 厚いレプリカ膜をつくり、それをはく離してからその上にごく薄い第2のレプリカ膜を作 ってそれを検鏡する。第1段のレプリカ膜としてメチルメタクリル、アセチルセルロスな どの合成樹脂が、第2段のレプリカ膜としてはカーボン蒸着膜が利用されている。この場 合もコントラストをよくするために一般にはシャドーイングをほどこす。. 1。7.2 金属薄膜法 金属薄膜の作成法としては蒸着法、融解法およびミクロトームによる切断法などもある が、バルク金属の内部現象を調べるには、試料を融解したり変形したりせずにその内部状 態を保持したままで薄くできる実物薄膜法で作成することが望ましい。. 実物薄膜法は、バルク金属から0.01mm∼1mmの厚みの薄板を切り取る予備的過 程と、その薄板から直接観察用の薄膜試料をつくる仕上げ過程との2つからなる。検鏡用 の薄膜試料をつくる最終の仕上げ方法としては電解研磨法、化学研磨法、イオン衝撃法が ある。. (1)電解研磨法 電解液の中で試料を陽極として酸化する方法である。電解液として過塩素酸と氷酢酸の 溶剤などを用いる。この電解液の中に陽極として研磨しようとする試料を、陰極としては 白金板またはステンレス鋼板を挿入する。この極間に直流電圧を印加することにより研磨 が行われる。電解研磨法そのものは金属光沢を得るための表面処理として利用されてきた。. しかし、研磨の電気化学的機構については不明な点が多いため、薄膜作成に際してもどの ようにしたら要求する薄膜が作れるかという一般原則は確立されていない。 検鏡用の薄膜試料に対して要求されることは、①電解研磨中に試料の内部状態が変わら ないこと。②表面にできる酸化皮膜が薄いこと③電解研磨による表面模様などがない平滑 な表面であること。④均一な厚みの部分ができるだけ広いこと。⑤薄膜作成後、検鏡まで. の操作中にひずみが入らないこと。などである。①、②、③は主として電解液あるいは電 流、電圧および温度などの条件を適当に選ぶことによって満たされ、④、⑤は主として電 解装置あるいは試料の形状を工夫することによって満たされうる。. 一28一.
(33) (a)Bon㎞am法、または尖端陰極孔あけ法. 直径約2cm、厚さ0。1∼0.2mmの試料を陽極とし、この陽極の両側を尖端の鋭 い2本の陰極ではさんで研磨をおこなう。研磨が進行すると陰極に面した試料片の部分に 小さい孔が作られそこで研磨は停止する。この小さい孔の周辺部の比較的薄い部分を検鏡 試料として、適当な方法で切り出す。. (b)窓開け法 試料の研磨したい部分以外を絶縁性ラッカーを塗布して、平板状陰極を用いて研磨をお. こなう方法である。この他に試料を3mmの径の板にあらかじめ整形し、周辺をテトロン で作られた環状ホルダーによりはさみ、それをそのまま電極として電解研磨をおこなう方. 法はPTFEホルダー法といわれる。また、試料をあらかじめ10μmの厚さに整形し、 その一方の側に同種の金属をあて、もう一方の側には研磨したい部分を除いて絶縁性膜を を作り板状陰極を用いて電解研磨をする裏打ち法と呼ばれる方法もある。この場合、研磨 が進むと試料は薄片となって電解液中に沈み、これを洗浄後メッシュに乗せ検鏡試料とす る。. 一極. (c)ジェット法. 図1−24のように電解液をジェットとし て吹きつけて研磨する方法である。中央部に 小さい孔が開いたところでやめて、アルコー ルや水で洗って乾燥する。この方法は試料の 周囲が薄くならないので後の取り扱いが容易 である。窓開け法では試料全体が薄くなって いるので取り扱いに注意しないと、ひずみが 入ったりする。. 試料. 図1−24 一29一. ジェット法.
(34) (2)化学研磨法 電解研磨法は金属のような導電性試料に対してのみ応用できる方法であるが、化学研磨 法は試料に対する腐食液が見つけられる限りどのような試料にも応用することができる。 試料を腐食液の中に浸して腐食させ薄片を得る方法であり、電解研磨の場合と同じよう な噴射式化学研磨法が考えられている。その他、試料を冷たい腐食液の中におき、下から 熱源を設けて液の対流を起こさせながら試料の薄片を得る方法もある。. (3)イオン衝撃法 イオン衝撃法は古くからスパッタリング法として知られている。これは写真空中で高圧 放電によって生じた正イオンによって試料の表面原子を叩き出し、薄片試料を作成する方 法である。イオンミリングはこのイオン衝撃法にはいる。この技術は電子顕微鏡分野では 試料表面の清浄化、またはカーボン支持膜の親水化処理に用いられているほか、薄片試料. 作成にも合金、酸化物、セラミックスなどに応用されてきている。イオン衝撃法は主に電 解研磨や化学研磨の難しい試料に対して応用される。イオン衝撃による試料表面の腐食速. 度は試料の結晶学的方位に依存し、衝撃された面は一般に10Aぐらいの微細構造をもつ。 イオン衝撃に伴って試料内に空孔やそのクラスターなどの欠陥を作り出すこともあるが、 数万倍程度の倍率では問題にならない。. 1.7.3その他の方法. (1)電子線フラッシュ法. NaCl、KC1、LiF、MgO、PhO、ダイヤモンドなど、壁開性があり熱絶縁 の良い物質に適用されるものである。試料を数10μmの厚さにし、電子顕微鏡の試料室 に置く。そして、短時間、強い電子線を照射すると試料の表面層が壁開して飛び散り、検. 鏡可能な厚さの試料を得ることができる。短時間の強い電子線の照射をおこなうには、通 常の検鏡状態でコンデンサーを最高の明るさに調整しておき一瞬急激にコンデンサーの可. 動絞りを取り除けばよい。電流密度を10−2mA/cm2から急激に1∼70mA/cm2 くらいに増加し、1∼2secの照射により薄片が得られる。この方法で作られた試料は必 ずしも平坦なものとは限らず貝殻状の構造をもつ。. 一30一.
(35) (2)超薄切片法. この方法は元来生物試料に対して開発され現在もこの分野で多く用いられている。ダイ ヤモンドナイフで金属を切断する際に生じる変形が著しく、質の良い試料ができるとはい い難い。しかし、電解研磨法によっては薄片試料作成の困難な堅い多相合金に対しては、 切断による変形も比較的少なく相間の相対的関係を知ることができるなどの利点もある。. (3)金属の溶液からの薄膜作成 真空中または不活性ガス中におかれたるつぼ中に試料金属を溶融しておき、この中に細. いタングステン線で作られた径2∼3mmの環を入れて引き上げる。試料はその表面張力 によって環に薄膜となって固化する。これにより低融点合金の共晶組織が観察されている。. 一31。.
(36) 2 実験方法. 2.1 試料 図2−1(a)、(b)は三菱化学株式会社からウェーハの状態で戴いた試料である。. 試料は直径7cm程度の半円形状、厚さは1mm程度のものであり、GF法と呼ばれる横 型ボート法で作製したもので、図2−2のような棒状のものを切り出したものである。ま っすぐのびている方が表面(上)で、丸い方が石英ボートと接触している方(下)になる。. 導電性をもたせるためにSiまたはZnをドープしている。Siをドープするとn型にな り、Znをドープするとp型半導体になる。. (a) 試料 Si−doped GaAs Tail(111). (b) 試料 Zn−doped GaAs Tai1(111) 図 2−1 三菱化学株式会社から戴いたGaAsウェーハ. 図2−2 GF法で作成されたGaAs半導体単結晶. 一32一.
(37) 2.2 イオンミリングによる透過型電子顕微鏡観察試料の作製手順. 化合物半導体ウェーハ(1㎜程度の厚さ)のままでは透過型電子顕微鏡で試料内部 を観察することはできないので、電子線が透過できるほどに試料を薄くする必要がある。. ここでは透過型電子顕微鏡で観察するためのGaAs試料薄膜化の作成手順について述べ る。. 大きくは(1)打ち抜き、(2)機械研磨、(3)ディンプリング、(4)イオンミリン グの手順で試料中央部に小さな孔を開けた。孔の付近の薄膜化した部分が透過型電子顕微 鏡で観察可能となった。。. (1)打ち抜き。. ①試料をアクリル板にワックス(ステッキワックス)で固定する。. 1スラリードリル. GaAs半導体ウェーハ アクリル板. 図2−3 アクリル板に固定したGaAs半導体ウェーハの断面図. ②試料をスラリードリルの直径3㎜の管で打ち抜く。 透過型電子顕微鏡の試料ステージにのせるためには試料を直径3mmの大きさにしなけ ればならない。図2−4のスラリードリル(明和商事株式会社)で試料にダメージを与え. ないように試料に対するドリルの圧力を最小にし、最低の回転速度(100r.p.m)で 20分ほどかけて打ち抜いた。このとき、研磨剤を水でとき、試料の上に落としながら打 ち抜く. 一33。.
(38) 響1贈. (a)左側がスラリードリル右がコントローラー (b)打ち抜いている様子. 図2−4 スラリードリル. (model SDH−1 盟和商事株式会社). (2)機械研磨. 15μmのヤスリのついた研磨板を用いて手動で研磨する。図2−5左側の円盤の中央 部に試料をのせ、右側の円盤中央部の研磨板につけて研磨する。. 図2−5 研磨機. ① 試料をガラス板に固定. 直径3㎜に打ち抜いた試料を水洗いし、図2−6のように直径lcm、厚さ1mm のガラス板にワックス(ステッキワックス)で固定する。固定はホットプレート上にガラ. ス板を置き、80℃に加熱したところでワックスを溶かし試料をのせる。ホットプレート からおろし、室温に冷やせばワックスが固まり固定される。. 一34一.
(39) 試料. ガラス板 図2−6 ガラス板に固定した試料断面図 ② 表面研磨 研磨機中央部にグリセリンを半滴つけて①の試料を固定する。試料を研磨板につけて手. でゆっくりと回すようにしながら研磨した。一度に100μm以上研磨すると欠けやすい ので数μmずつ研磨していった。. ③ 補強リングの取り付け. 研磨した面に厚さ35μm、外径3mm、内径1.2mmの補強リングをワックス (Mounting Wax)で取り付ける。. 補強リング 試料. ガラス板 図2−7 補強リングを取り付けた試料断面図 ④ 裏面研磨. ③の試料をホットプレートにのせて加熱しガラス板から外す。試料を裏返してもう一度. ガラス板にワックスで取り付け裏側を研磨し、120μm∼180μmほどの厚さにする。. 120∼180μm. 試料. ジ補強リング ガラス板. 図2−8 機械研磨後の試料断面図. 一35・.
(40) (3)ディンプリング. 図2−9のディンプルグラインダーで中心部が20μm∼30μmの厚さになるまで凹 型に研磨する。. ①試料台に固定 ディンプルグラインダーの試料固定台に、機械研磨後の試料をガラス板に付けたままワ ックス(ステッキワックス)で固定する。専用顕微鏡で見ながら試料を回転台中央に置く。. ②ディンプリング. 図2−10のように研磨ホイール(燐青銅製直径15mm)と試料回転台が垂直に交わ って回転しながら試料を研磨する。このとき粒径2μm∼4μmのダイヤモンド研磨剤を 水で溶いてつけながら研磨する。研磨ホイール(1.7秒/回転)と試料回転台(10秒 /回転)の回転スピードは、試料の欠けや割れを防ぐため最も低速で行った。最終的には. 図2−11のような形状の試料とした。. 研磨ホイール. ○、 試料. コ. 試料回転台. 図2−10 ディンプリングの模式図. 図2−9 ディンプルグラインダー(左) と専用顕微鏡(右). (GATAN656形、 GATAN特製). 一36一.
(41) 120∼180μm 20μm∼30μm. 試料. \ 補強リング. \. 35μm 試料台. 図2−11 ディンプリング後の試料の形状. (3)イオンミリング. ガラス板から試料を取り外し、図2−12のイオンミリング装置の試料台に試料を取り. 付け、Ar+を照射する。照射角度10。、印加電圧5kV、印可電流0.5mA、時間 は3∼12時間で行った。中心部に穴が開くまでイオンミリングをする。イオンミリング の終点は試料に孔が開いた時点でイオンガンに供給される高電圧電源とガスを止めるため. レーザー終点検出器を使用した。イオンミリング後の試料は図2−13のようにくさび形 をしており、孔の周りの薄い部分を透過型電子顕微鏡で観察した。 載. 講. 礎。. ”謝楢,。. 鎌縫. ,醜瞭撫撫蝋麟・、. 、繋蹴. 図2−12 イオンミリング装置(E−300形、日立製作所). 一37一.
(42) Arイオン. ディンプラーで 研磨した試料. 1イオンミー. [====〉一く===コ試料 図2−13 イオンミリングにおけるAr+の照射角度とイオンミリング後の試料の形状. 一38一.
(43) 2.3 金属顕微鏡による表面観察. 試料作成段階において、ZnドープGaAsよりもSiドープGaAsの方がもろいこ とが判明したので、光学顕微鏡観察において違いがでるのではないかと考え、金属顕微鏡 で観察することにした。. 金属顕微鏡は図2−12の35mmフィルム写真撮影装置のついた「金属顕微鏡OPT IPHOT」(日本工学工業株式会社)を使用した。接眼レンズは10倍、対物レンズは. 5倍、10倍、20倍、40倍のものを使用した。 カメラへの光路についている接眼. レンズは2.5倍のものがついてお り、写真撮影においては少し倍率が 下がる。しかし、写真の焼き付け倍 率により、今回撮影した写真の最終 的な倍率は表2−5のようになった。. 写真の本体の左側のものが電源スイ轡 ッチおよび明るさ調整つまみ、右側 のものが自動露出計がついたコント. 。一ルポ。クスである.この顕微鏡簾 により、ウェーハ、研磨後、ディン プラー研磨後、イオンミリング後に おいてそれぞれ表面と裏面について 対物レンズをそれぞれ5倍、10倍、. 20倍、40倍を使って撮影した。. 図2−14. 35mmフィルム写真撮影装置付き 金属顕微鏡. 表2−5 金属顕微鏡による観察倍率 接眼レンズ. 2.5. 対物レンズの倍率. 5×. 10×. 20×. 40×. 写真焼き付けによる. 40倍. 80倍. 160倍. 320倍. ナ終倍率. 一39一.
(44) 3 結果および考察. 3.1 透過型電子顕微鏡観察試料の作成. (1)透過型電子顕微鏡観察試料の作成手順は、ウェーハから打ち抜き機で直径3mmの. 大きさに打ち抜き、それを機械研磨で厚さ120μm∼180μmとし、ディンプリング により試料中央部を厚さ20μm∼30μmにした後、イオンミリングにより中央部に直 径50μmほどの孔をあけることにより孔周辺の薄膜化した部分が観察可能となった。こ の手順においては以下のような注意が必要であった。 (a)打ち抜き. スラリードリルの回転速度が高いと半導体試料が欠けることがある。それを防ぐため最 も低速回転で行い、研磨剤を水で溶かし落としながら打ち抜いた。. (b)機械研磨. 試料をガラス板へ固定して機械研磨をする。電動で行うと試料に欠けや割れを生じやす いので手動で行った。試料が薄くな?てくると割れやすいので片面を研磨した後、補強リ ングを取り付ける必要があった。. 補強リングを取り付けるワックスは試料をガラス板に固定するワックスよりも融点の高 いもの(Mounting Wax)を使用した。(同じ融点であるとガラス板から試料を外すときに 補強リングも取れてしまう). ワックスを試料から除去するために洗浄液(洗浄液名「デベール」マルトー株式会社、. 有機溶剤を含まない化学洗浄剤であり、原液を10培希釈しPH12.5とした)を使用 した。80℃に加熱した洗浄液の中に試料を入れて洗浄した。その後水洗いをして乾燥さ せた。洗浄液につけて超音波洗浄機にかけるとワックスがきれいに取れるが、試料が破壊 されてしまうためできなかった。. (c)ディンプリング ディンプラーの試料への負荷は10g、回転速度は低速にし、試料の破損を少なくした。. 試料中央部は20μm∼30μmになるまでディンプリングをした。SiドープGaAs は20μm以下にすると、ディンプリング時に試料中央部が欠けたり、割れたりしてしま. うので30μmとした。. 一40一.
(45) (d)イオンミリング. イオンミリングにおける放電電圧は5kV、放電電流は0.5mA、イオン照射角度は 10。とした。. ZnドープGaAs(試料中央部が20μlnの厚さ)、SiドープGaAs(試料中央 部が30μmの厚さ)のイオンミリング時間はそれぞれ3時間、12時間ほどで試料中央 部に孔が開く。. 一41一.
(46) 3.2 金属顕微鏡による表面観察. 3.2,1 ZnドープGaAsウェーハとSiドープGaAsウェーハとの表面の比較 金属顕微鏡で撮影したZnドープGaAsウェーハ表面とSiドープGaAsウェーハ 表面の比較を40培∼320倍で観察した。. ZnドープGaAsとSiドープGaAsの表面の様子はほとんど変わらない。図3− 1、2に見られる直線的な筋はバルク結晶からウェーハに切断したときの切断機の跡が残. っていると思われる。図3−1,2には所々黒い点が見られる。これは後から述べるウェ ーハ裏面に見られたものと同じようなものであった。. 図3−3,4に見られるようにZnドープGaAs、SiドープGaAs共に波模様 が見られる。バルク結晶からウェーハ切断後に行われるエッチングによって滑らかな波模 様になったと思われる。. (a)ZnドープGaAs表面. (b)SiドープGaAs表面. 図3−1 ウェーハ表面の金属顕微鏡写真(40倍). (a)ZnドープGaAs表面. (b)SiドープGaAs表面. 図3−2 ウェーハ表面の金属顕微鏡写真(80倍). 一42一.
(47) (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs表面. 図3−3 ウェーハ表面の金属顕微鏡写真(160倍). 趨. (a)ZnドープGaAs表面. (b)SiドープGaAs表面. 図3−4 ウェーハ表面の金属顕微鏡写真(320倍). 一43一.
(48) 3.2.2 ZnドープGaAsウェーハとSlドープGaAsウェーハとの裏面の比較 金属顕微鏡でZnドープGaAsとSlドープGaAsウェーハ裏面を40倍、80倍、 160倍、320倍においてそれぞれ写真を撮影し比較検討した。. ZnドープGaAs、SiドープGaAsどちらのウェーハも、図3−5,6にあるよ うに切り出した裏面は切断機による切断の跡と思われる縞模様ができており、ざらざらし. た面で黒い三角形状の点が見られた。所々に波模様のようなところがみられた。そして倍 率を上げて黒い三角形状の点を見ると各頂点から中に白い直線がついていた(図3−7, 8)ピントを変えて見ると数十ミクロンの凹みであることが確認された。この凹みはエッ チピットであると考えられる。320倍で見るとわかるように皆同じような形をしており、 方向も同じ方向を向いている。表面より裏面の方がエッチピットの形が鋭い形となってい. た。化学量論組成あるいはAs過剰組成のメルトから製作されたLECのGaAs結晶で は円柱、球、4面体、8面体のAs微小析出物が形成されることが報告されている(11)の で、これらも微小析出物ではないかと思われる。また、エッチピットの数は表面より裏面 の方が多くあった。エッチピットの分布も場所によって異なり、ウェーハの底の部分に特 に集中しており、中心部で少なく、上部、周辺部へいくにしたがって徐々に多くなってい. る。これは水島らのLEC法で育成されたアンドープGaAs結晶の転位密度が中心部に 多く中間部に向かって減少した後、周辺部で増加し、直径方向にW字型をしている。との. 報告㈹とは逆になっている。しかし、周辺部で多くなることは共通しており、結晶成長 時にバルク表面付近では温度勾配が大きくなることに起因すると考えられる。. (a)Znドープウェーハ裏面. (b)Siドープウェーハ裏面. 図3−5 ウェーハ裏面の金属顕微鏡写真(40培). 一44一.
(49) (a)Znドープウェーハ裏面. (b)Siドープウェーハ裏面. 図3−6 ウェーハ裏面の金属顕微鏡写真(80倍). (a)Znドープウェーハ裏面. (b)Siドープウェーハ裏面. 図3−7 ウェーハ裏面の金属顕微鏡写真(160培). (a)Znドープウェーハ裏面. (b)Siドープウェーハ裏面. 図3−8 ウェーハ裏面の金属顕微鏡写真(320培). 一45一.
(50) 3.2.3 機械研磨後のZnドープGaAsとSiドープGaAsとの比較 金属顕微鏡で撮影した機械研磨後のZnドープGaAsとSiドープGaAsとの比較 をした。倍率は320倍で観察した。. ZnドープGaAs、 SiドープGaAsどちらのウェーハも同じような表面、裏面で あった。表面、裏面とも研磨後に直線的な白い筋が見られた。また図3−9、10の白く 斑点状に見える部分は顕微鏡のピントを変えることにより凹んだ部分となっていることが. 分かった、凹みの形や大きさは様々で深さ数ミクロンであった。SiドープGaAsの方 が凹みの深さが深く、数が多くできた。試料作成時からSiドープGaAsの方がもろく 壊れやすい性質があったが、そのことと凹みとの関連があるように思われる。. (a)ZnドープGaAs研磨後. (b)SiドープGaAs研磨後. 図3−9 試料表面の機械研磨後の金属顕微鏡写真(320倍). (a)ZnドープGaAs研磨後. (b)SiドープGaAs研磨後. 図3−10 試料裏面の機械研磨後の金属顕微鏡写真(320倍). 一46一.
(51) 3.2.4 ディンプリング後のZnドープGaAsとSiドープGaAsとの比較 金属顕微鏡で写真撮影した表面ディンプラー後のZnドープGaAsとSiドープG aAsとのを比較した。倍率は40倍∼320倍で観察した。 図3−11のようにディンプラー研磨後は機械研磨後(図3−9,10)よりも滑らか な表面となった。しかし、図3−12、13、14に見られる白い斑点はピントを合わせ てみると凹みであることが分かり、機械研磨後よりは小さくなってはいるがまだ光学顕微. 鏡で見られるレベルの凹みがあった。図3−14(a)、(b)を見比べてみるとZnド ープGaAsよりSiドープGaAsの方が深く、大きい(数ミクロン)。黒い線状にな った部分は溝になっており、方向性があり、ディンプラー研磨時に2μm∼4μmのダイ ヤモンド研磨剤を使用しているため、この研磨剤によって試料の弱い部分が優先的に削ら れたと考えられる。. (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−11 ディンプラー後の試料表面の比較(40倍). (a)ZnドープGaAs. (b) SiドープGaAs. 図3−12 ディンプラー後の試料表面の比較(80倍). 一47一.
(52) (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−13 ディンプラー後の試料表面の比較(160倍). (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−14 ディンプラー後の試料表面の比較(320倍). 一48一.
(53) 3.2.5 イオンミリング後のZnドープGaAsとSiドープGaAsとの比較 金属顕微鏡で撮影したイオンミリング後のZnドープGaAs(イオンミリング時間. 3時間)とSiドープGaAs(イオンミリング時間11.4時間)との表面の比較を行 った。倍率は40培∼320培で観察した。 イオンミリング後の表面はディンプリング後と比較してとてもなめらかな面になるが、. 10μmほどの網目模様ができている。イオンミリング後に図3−15(a)などの写 真に黒い筋が見られたり、図3−1(b)に見られるような割れ目が入ることがあるが、 割れ目が交差するところでは必ず60度の角度で入ることや、黒い筋のように見えるとこ. ろは試料の表(図3−17(a))と裏(図3−21(a))とで見比べると同じところ を通っていることから内部の欠陥(積層欠陥)によるものと考えられる。. イオンミリング裏面を見てみると、図3−19(b)に見える円形のものは補強リング である。中央に円形に見えているのがイオンミリングされた試料である。図3−20(a). と(b)の低倍率で見る限りはSiドープの方が表面が荒く感じられるが、高倍率の図3 −21(a)と(b)を比較すると網目になった部分が(b)のほうが少し大きくなって いる程度であまり差はない。これはイオンミリングの時間の違いにも関係すると思われる. が、ディンプリング後に図3−14で見えていた凹みがイオンミリングにより孔を滑らか にしてできた模様ではないかと考えられる。. (a)ZnドープGaAs. (b)SjドープGaAs. 図3−15 イオンミリング後の試料表面の比較(40培). 一49..
(54) (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−16 イオンミリング後の試料表面の比較(80培). (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−17 イオンミリング後の試料表面の比較(160培). (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−18 イオンミリング後の試料表面の比較(320培). 一50。.
(55) (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−19 イオンミリング後の試料裏面の比較(40培). 漣’. ハ. ’〆弊’論 .鷲. (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−20 イオンミリング後の試料裏面の比較(80培). 一51一.
(56) (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−22 イオンミリング後の試料裏面の比較(160培). (a)ZnドープGaAs. (b)SiドープGaAs. 図3−23 イオンミリング後の試料裏面の比較(320培). 一52一.
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