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(b)

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図3−31 (a)像コントラストの強度をを計算するための試料中の柱状成分       (b)その中の個々の原子散乱振幅を求める図式

トの式を得るために、各場所を透過したビームが試料の下面でもつ強度を計算しなければ ならない。そのために図3−31(a)のように試料中に細い柱の部分を考え、その下面 を出たところで電子線の強度を求めることにする。柱の長さPQの中点を座標軸の原点と し結晶の厚みをtとする。膜に垂直に近い方向S・で電子線が入射し、結晶内部で散乱を 受け、S方向に進みQから外部に出て絞りで防げられずに結像に参加するものとして、図

3−31(b)に示した柱の中のrj位置にある原子jを通る散乱波の振幅を原点を通る 波を基準として求めることにする。両波の光路差は丁度ml−onすなわち、S・r」一

So・rj =(S−So)・r5であるから柱の中の原子群について散乱振幅を合成す

ると

      A=Σ卿{2π,(S S・) η     入}

        ノ       (1)

f」はj原子の構造因子であり、λは電子線の波長である。振幅の時間部2πレtは強度 を求めるとき消えるので省いてある。fjは単一の原子集団では共通であるからΣの外に 出してもよい。また結晶では単位格子ごとの結晶構造因子Fを使って表現してもよい。何 れにしてもr」は周期的繰り返しになり共通なので、(S−So)・r」/λ=nのとき expの項は1となり散乱強度はIAI2極大となる。これがブラッグ反射である。

あるいは3成分に分けて

  (S−So)●a3hλ、  (S−So)●b =kλ、 (S−So)。c=1λ

と書けばラウエ条件そのものになる。図3−32に回折条件に関するエヴァルトの作図を 示す。試料の結晶格子の逆格子を描き、その原点0に向かって入射線方向を持ち、大きさ 1/λのベクトルを立て、その端のPを中心として半径1/λの球(エヴァルト球)を描

れば、それに相当する結 晶面は上に述べたブラッ グ反射を起こす条件にな

っていて、回折線の方向 はPとその逆格子点を結 ぶ方向である。またこの

ときには当然          図3−32

So/λ

9

S/λ

K

8

●G

      薄膜結晶に入射した電子線の散乱に関するエヴァルト球

(S−So)/λ=Gという反射ベクトルは逆格子ベクトルg (原点0と問題の逆格子 点Kを結ぶベクトルで、その方向は結晶面に垂直、その大きさは面間隔dの逆数)と一致

している。いま薄膜に入射した電子線は必ずしも回折条件に合っているわけではないから、

図3−32のGは9に一致せずに小さな量sだけのずれを示している。このとき前述のブ

ラッグの条件式の左辺の代わりに

    (S−So)・r」 /λ=G・r5課(9+s)・r」      (2)

と書かなくてなならない。ずれsは薄膜結晶では膜面に垂直かそれに近い結晶面が存在す る機会が多いから小さな量として現れやすい。この場合の合成振幅は

A=Σ二脚{2π∫㎏+・)・・j}=Σlj吻(2瑚

    ノ      ∫       (3)

となるから結晶構造因子Fを使い(従ってjは原子位置ではなくて単位格子の位置とす る)、g・r」=nを考慮し、柱の部分で垂直方向zについて積分して、

A謬F鵡岬(2πi・z)・d・一F(・inπ・t/π・)

      (4)

  ここでszはr5をz方向にとりs・zのスカラー積を書き直したものであり、t は結晶の厚みである。(4)式は図3−31(a)の柱の下端に出てきた電子波を寄せ集 めて合成したもので、合成によって振幅にsin形のうなりが生じている。

散乱強度1= [A12を作ると

 A=・iF12(sinπst)2/(πs)2       (5)

この式は厚みtによって、またブラッグ条件か らのはずれs(の厚み方向の成分)によって変 化するので種種の厚み、種種の結晶方位のずれ によって像には特別のコントラストが生じるこ とを示している。

 厚さに対する像の変化を見るために位相対振 幅の作図をする。図3−33のように半径1/

2πs円を描く。入射ビームが反射条件に近け ればこの円は大きく、遠ければ小さい。円周上 の1点を厚みの中心にとり左右に円周に沿って 進み、厚みt/2および一t/2に達したらそ

Q

一1/2

  r瓢1/2πs

κ=π  t

   V2

P       0

図3−33等厚干渉縞のコントラスト      を求めるための位相振幅図 の2点P之Qを直線で結ぶと、図中に示したzがπstとなるから長さPQが丁度(4)

式の変動部分(sinπst)/πsなっている。厚さtを増していくとP点とQ点は円 周上を互いに逆に同じ速度で回るから合成振幅は最大値1/πsをもって正弦波的に振動

し、図3−34のくさび型の厚みをもった部分では膜の像のコントラストは膜厚とともに

正弦波の二乗でで変化

して図3−34の下に

示したような等間隔の 縞が縁に現れることに なる。同じ厚みの場所 は同じコントラストを 持つことから、これを 等厚干渉縞と呼ぶ。図

3−30の写真は明視

野像であり、上の計算 では散乱方向Sの波の 柱下面における合成を したのであるからその 量は絞りの外側に去っ てしまい、結局見てい る明暗はSo方向の透 過波の強度から散乱波の 図3−34の下にかいた

0

等厚干渉縞

ノ》

.;

 …

 …  …  …  …  …

電子線

7)

墜、

ズくさび形試料 1〜

長♪

 i

i

0

一一

ィ端からの距離

       図3−34 くさび形の結晶試料を透過して像を形成する        電子ビームとそれによって作られる縞状のコンラスト

縞状強度を差し引いたものである。ブラッグ条件のずれと膜厚の傾斜の大小によって縞間 隔が異なる。また、膜の厚い部分では原子による散乱は1回のみではなく多重散乱となっ て干渉の振幅は次第に減少し、また透過能は下がり、図3−30のように等厚縞は消えて

いく。

 くさび型ではなく一様な厚みの膜の場合には一様なコントラストであるが、表面に荒れ があって小さな厚みの変化があるとき、等厚縞の適当な条件に当たっていれば、その荒れ は誇張されて見える。また、結晶内部に小空洞があると、その部分の厚みが変わっている から、非常に小さな空洞でもあれと同じく適当な条件かでそのコントラストがはっきりと 現れる。図3−30は等厚縞の間隔が等しく、傾斜がどこでも同じくさび型試料となって いることわかる。

3.3.4 試料の湾曲

 電子顕微鏡像をブラッグの反射条件近くで 観察していくと図3−35のような黒い筋状 のものが見られた。前述のように、この黒い 筋の部分は電子線が試料により散乱され絞り に遮られているために黒く見えているのであ る。この黒い筋は試料の角度を変えることに より波を打つように動いていくことから、試 料により散乱される部分が動いてると考えら れる。散乱される格子面自体が動くことは考 えられないので、散乱される場所が変わって きていると考えられる。

       図3−35 黒い縞模様

 試料の格子面により電子線が散乱される場合、ブラッグの反射条件が関わってくる。ブ ラッグ反射とは、運動力学的回折理論によると電子線の結晶による散乱振幅φ、は

  φ,俣Σ二F・岬(一2πiK ・r。)

       n       (6)

で表される。Fnはn番目の単位胞からの散乱因子、 rn(一nla+n2b+n3c)は n番目の単位胞座標位置、K はkおよびk をそれぞれ入射波および反射波の波数ベク

トルとしたときK 一k 一kで表されるもので、lK i−2sinθ/λ(θは散乱

角)である。K を逆格子空間内のベクトルとして

  K =9hkl=haホ+kb串+lc*       (7)

のごとく逆格子ベクトルに一致するとき(1)式は

φ,αΣIF・仰{一2πi(nlh+n、k+n,1)}

     n      (8)

となって強い散乱波を生じる。式(7)は次の関係式でもある。

  2dsinθ=nλ       (9)

これがブラッグの反射条件である。電子線の波長は10−2nmと非常に短いので、

2dsinθ=nλのブラッグ反射の角度θも当然10−2の程度、すなわち1。の桁の 小さい値となる。これは反射を起こしている結晶面が入射線に平行に近く、図3−36に

示したように膜面に垂 直に近いことを意味し ている。膜面の揺れが 同じく1。の程度であ れば、例えば、Aの場 所ではブラッグの条件 を満足せず、そこを通 った電子線は電子顕微 鏡像の形成にすべて寄 与するであろう。一方、

Bでブラッグ反射を起 こしているとすば、B に入射した電子波は反 射によって図の下部に おけるように、絞り板

A

等傾角干渉縞

B

電子線

試料

絞り孔………

       図3−36薄膜結晶試料の膜面の揺れとそれによる       ブラッグの反射条件の場所による変化

によって阻止されて結像に寄与しなくなることがある。そこでこの膜の電子顕微鏡像を観 察すると、Aの部分は光っており、 Bの部分は暗くなっている。 Bのようなブラッグ条件 を満足している場所は孤立している訳ではなく、膜面上をたどれば帯状の領域となってい るであろう。また、色々な反射面、色々な次数の反射があるから像の上で暗い帯状の部分 は錯綜した縞となって図3−35のように現れる。

 ブラッグ条件に合う傾きの部分を連ねた図形であるから、これを等傾角の縞と呼んでい る。 図3−35は等傾角干渉縞で、黒い縞模様が湾曲している部分は試料が湾曲をして いると考えられる。

3.3.5 積層欠陥

(a)黒いコントラストの積層欠陥    (b)平行な縞模様の積層欠陥       図3−37 積層欠陥

 図3−37(a)のように試料の中のある限られた所に黒いコントラストが見られたり、

(b)のように平行に走った縞模様が見られる部分があった。等厚干渉縞のときよりも縞 模様は平行で直線的に走っており、等傾角干渉縞や等厚干渉縞とは異なる縞である。この 縞模様について以下のように考えられる。ある密な結晶面において面内ずれがあってその 上下の結晶部分では構造周期に位相の差が生じている2次元構造を仮定する。図3−38 のようなfcc格子中の最も単純な{111}面のa/6<211>ずれが生じていると 考える。図3−38(a)のfcc格子の中の{111}面の積み重なりを上からABC

ABCAB…  として、中央のB面とC面の間でずれを与える。ずれはこの構造で最も 考えやすいb=a/6<211>のバーガーズベクトルで与えられるずれとする。bを図 の矢印のようにとると、図のように掃過した後では格子の右下半分の面の位置はC→A、

A→B、B→Cのようにずれる(左上半分は固定して考える)。これによって面配置は図

3−38(b)のように移り変わり、積層順はABCABlABC・・に変わる。1が半

転位の入った場所でそこを堺に鱗状に積層の不正が生じている。ABCが積層の1周期で あるからこのずれは1/3、位相にすれば120。である。

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