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JOY(横浜国立大学短期留学国際プログラム)の生成

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Academic year: 2021

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(1)」OY(横浜国立大学短期留学国際プログラム)の生成 教育人間科学部矢内 光一 (元教育担当職学長).  平成9(1997)二軍に横浜国立大学短期留学国際プログラム(JOY) が発足して間もなく10年が経過する。同プログラムは、その前年度の外 国人留学生委員会(当時の全学委員会の一つ)で審議を重ね、全学の合意 と協力を得ることによって生成するにいたった。平成8年度の同委員会の 委員長を務めた者として、それの立ち上げにまつわる諸事情を振り返り、 まとめておきたい。.  当時、日本の大学の国際性の進展を図るために外国人留学生を10万人受 入れる中曽根内閣以来の計画が国・文部省(当時)の留学生政策の重点的 な課題としてあった。その一回零して、短期留学の制度が整えられ、その ための奨学金も用意されていた。同制度を策定するさいにはヨーロッパの. ERASMUSプログラムを参考にしたと聞いているが、短期留学は、海外の大 学との問で学生交流に関する協定・覚書を結び、それにもとづいて、短期. 間(半年以上1年以内)、海外学生を日本の大学に受入れ、他方で、日本 人学生を海外の大学に派遣し、そして、留学期間中、学生に自大学を休学 させることなく、留学先大学で単位を取得させるというものである。また、. 大学問の協定・覚書にもとづいて受入れた学生から受入大学が授業料等を 徴収しない特別聴講学生と特別研究学生の制度や、外国人留学生を対象に した医療費補助の制度なども整えられていた。短期留学の制度によって、 日本人学生の海外派遣も既になされていたが、力点が置かれていたのは、 海外学生の受入のほうであった。.  短期留学国際プログラムも、外国人留学生の受入に関わり、内容的には、. 短期留学の制度に則り、海外の大学生(学部3年次生‘junior’が主な対象. とされていた)を特別聴講学生として受入れるものであるが、その最大の. 特徴は、留学期間が1年以内の短期であることから、留学生に日本語を習 得させながら、あるいは習得させたうえで、既存の日本語による授業を受 けさせることは現実的でなく、そのため、英語を使用言語とする授業科目. 一5一.

(2) を揃えてそれらを受講させるというところにあった。.  こうしたプログラムはすでに先行的に他の国立大学で実施されていたが、. その数はまだ一桁台の状況であり、横浜国立大学(当時は野村東太学長の 時期)でも、全国的に見てまだ比較的早い段階でそれを発足させようとし ていた。発足させるに当たっては、それが外国人留学生の受入に関わる全 学的な取組であることから、それの企画・立案は外国人留学生委員会に委 ねられていた。筆者が平成8年度外国人留学生委員会の委員長を務めるこ とが決まったあと、7年度末に当時の山口惇学生部長より、横浜国立大学. では短期留学国際プログラム設置に伴う概算要求(教授1、助教授1、係 長1の3ポストの純増要求)を行うべく、同プログラムに関して成案をま とめてそれを発足させることが懸案となっており、平成8年度委員会でも そのことが重要な課題になっている旨の説明を受けた。学内的には、大学 の国際性を進めるための新規事業に着手するだけでなく、概算要求によっ て純増ポストを獲得することも、大学の発展につながる魅力的なこととし. てとらえられていた。平成8年4月以降、山口学生部長の後任の奥村恵一 学生部長、山下正毅留学生センター長、稲葉元吉学長補佐(国際担当)と 相談し、小椋史朗留学生課長(ただし、年度当初は留学生課長が事実上不 在の状態であり、7月に赴任された)をはじめとする留学生課職員の方々の. 協力を得ながら、外国人留学生委員会の委員の方々と同プログラムの成案 に向けて知恵を絞っていくこととなった。.  しかし、筆者としてはそれ以前に留学生関係の事柄に特に深く携わったこ. とがなく、そのため、諸事情を学習しながら、問題の所在を把握し、課題 を明確化していくしがなかった。そのなかで、いくつかのポイントが明ら かになってきた。まず、短期留学国際プログラムを発足させるうえで最大 の課題となるのは、言うまでもなく、英語による授業をある程度まとまっ た形で新たに設けることにあった。そのためには、各学部・部局の理解と 協力を得て授業を提供していただく必要があった。しかし、それと同時に、. 短期留学の制度が海外の大学との学生交流に関する協定・覚書を前提にし ていることから、海外の協定大学を増やし、単位互換・授業料等の不徴収・. 宿舎の便宜などに関する覚書を交わしていくことも重要な課題であった。. 横浜国立大学はそれ以前から海外の10余りの大学と大学間の協定を結ん でいたが、協定を結ぶ意味が、研究者・学生の交流を推進するという一般. 一6一.

(3) 的・基本的な意味だけでなく、協定が短期留学の前提をなすと位置づけら れているために、より具体的で切実な意味をももつようになっていた。な お、協定・覚書には受入だけでなく派遣をも盛り込み、また、相手側大学 との間で派遣・受入の学生の数の均衡を図ることも記すことから、同プロ グラムはそれ自体としては海外学生の受入に関わるが、それを設けること. は日本人学生の海外派遣の推進とも関係した。そして、実際に大学問の協 定を結ぶには、それを所管する学術国際交流委員会(当時の全学委員会の 一つ)と連携をとる必要があった。さらに、同プログラムの授業科目は単 位互換を念頭に置いているため、正規の授業科目として制度上に位置づけ なければならなかったが(さもないと、英語による授業を実質的に行って も、形式上・制度上からして単位を出せないことになる)、しかし、既設 の正規の授業科目である教養教育科目と専門教育科目のいずれにも位置づ けがたいことから、学則を改正して、それを位置づけるための第3のカテ ゴリーを正規の授業科目として設けなければならず、また、同プログラム を実施・運営するための全学的な委員会をも新たに設けなければならなか った。それ以外にも、発足の目途が多少ともつけば、学生募集用のパンフ レットなどの作成をも手掛けなければならないことになる。.  こうした課題を1年間の委員会活動で解決していくことは容易でなく、ま. た、同年度の委員会は通常的な審議事項以外にも、留学生会館の改修問題 や、短期留学派遣学生の学内推薦順位の決め方の問題なども抱えていた。 しかし、幸いにも、委員の方々をはじめとする多くの方々の協力が得られ、. 年度末の3月の委員会で次年度からの同プログラムの発足を策定すること ができた。ここではそこにいたる経緯や委員会での審議・議論の詳細は省 略するが、最大の課題であった英語による授業を新たに設ける件は、学部・. 部局で事情が異なるために温度差もあったが、最終的には、全学部・部局 でそれを提供していただけることになった。また、海外の大学と協定を結 ぶことにも多くの方々の協力を得ながら積極的に取り組んでいった。オー ストラリア国立大学、シドニー工科大学、マッコリー大学、プリンダース 大学(以上、オーストラリア)、シェフィールド大学、ダーラム大学(以 上、英国)、リヨン第三大学(フランス)、ソウル市立大学(韓国)、北 京師範大学(中国)、オスナブリュック大学(ドイツ)などはほぼこの時 期に手掛け、漸次協定締結にいたった大学である。他方、同プログラムの. 一7一.

(4) 英語による授業を正規の授業とする件に関しては、教養教育科目と専門教 育科目に加えて国際交流科目を新たに立ててそこに位置づけることとし、. 国際交流科目を運営する委員会をも設けることにした。ただし、国際交流 科目の設置は手続きと日程の関係から年度内で完結せず、正式決定が平成9 年度にずれ込むこととなった。JOY(Junior Year Overseas at Yokohama National University)という名称は、同プログラムの目鼻が立ってきた段階で. 山田光義委員(留学生センター教授)が委員会で提案されて直ちに了承さ. れたものであるが、ともかくも、年度最後の委員会でプログラムがまとま り、平成9年10,月にJOYが生成する運びとなった。お名前を挙げることは控. えるが、委員各位、英語による授業を引き受けていただいた教員各位をは じめとして、JOYの立ち上げに関係されたすべての方々に、この場を借りて 改めて感謝申し上げる次第である。.  他方で、概算要求のポストも認められ、採用人事も起こされた。JOYはそ れらのポストに就かれた教員がコーディネーターとなって着実に運営され、 工夫・改善も加えられてこの10年間順調に歩み続けてきた(1)。JOYは歴史的. 使命を終えているわけでは無論なく、逆に、今後もさらなる発展が期待さ れる。この点からすれば、JOYで獲得したポストをも視野に入れた全学的な. 削減計画があるが、実際にポストを削減すれば種々の支障が生じるのでは ないかと案じられる。JOYの立ち上げに関わった者として、この件に関して. 何らかの工夫を行う余地がないのかということをあえて付言して、この稿 を瞬きたい。. 注(1)『横浜国立大学留学生センター 自己点検(1998年度∼2002年度)・. 外部評価報告書』 (横浜国立大学留学生センター・平成16年3月)を参照。. 一8一.

(5)

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