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使用者の質問権の限界論の展開 : ドイツにおける最近の議論を中心に

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使用者の質問権の限界論の展開

−ドイツにおける最近の議論を中心に−

倉 田 原 志

はじめに Ⅰ.これまでの議論   1.基本原則 2.個別の質問事項 Ⅱ.最近の展開   1.連邦データ保護法の改正 2.妊娠 3.重度障害 おわりに

はじめに

個人情報の保護は、2005年4月からの個人情報保護法の施行にもみられるように、大きな関 心事の一つでありつづけている。本稿は、個人情報の中でも労働者の個人情報に焦点をあて、 そのなかでも採用時に使用者による情報収集からいかに保護されるべきかという問題を、議論 の蓄積のあるドイツでの論議を素材に検討しようとするものである。この場面でも労働者のプ ライバシー権と使用者の採用の自由ないしは情報の自由との調整が問題となるが、これはドイ ツでは使用者の質問権の限界というテーマで長年にわたって論じられてきたものである。ドイ ツではすでに多くの研究があり1)、「十分に議論され、教義学の基礎は確固たるものになって いるが、新しい判決と新しい法律が、その基礎の上に築かれた建築物を変化させている、つま り、これまで争いのなかったグループが問題とされ、それに対して他の問題が解決されている のである」2)とされる状況にある。そこで、以下では、これまでの伝統的な議論をまず確認し (Ⅰ)、ついで最近の議論の展開をみてみることにしたい(Ⅱ)。

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Ⅰ.これまでの議論

本章では、まず、使用者の質問権の限界を設定するために、判例を中心にして形成されてき た判断の基本的枠組みを確認し、その後、その各論として、これまで問題とされてきた主たる 質問内容について、概観することとしたい。 1.基本原則3) 使用者の質問権は、基本権としては基本法2条1項および12条から導かれる契約締結の自由、 または基本法14条の財産権の保障を根拠とする。また、使用者の情報の自由としてまとめて論 じられることもある。一方、労働者の基本権としては、基本法1条1項の保障する人間の尊厳、 1条1項とむすびついた2条1項による一般的人格権、その内容としての私的領域の保護や情 報自己決定権、基本法3条3項による差別禁止、基本法9条3項による団結権の保障などが主 として考慮される。このなかで特に、基本法3条3項が列挙する血統、人種、言語、故郷、門 他、信条、宗教的および政治的見解に関する質問ならびに9条3項によって組合員かどうかに ついての質問は原則として禁止される。性別についても基本的に同様のことが妥当するとされ る。それ以外の質問については、使用者の利益と比較衡量されることになり、設定される予定 の労働関係に関連し、質問の答えに使用者の正当で保護に値する利益がある場合にのみ質問が 許されるという判断枠組みが判例によって形成されている。これらの比較衡量を必要とする事 項は相対的質問禁止事項とよぶことができる。 したがって、この基準にしたがって使用者の許される質問に対しては、答えないことによっ て不利に扱われることはありえるし、また、正しく答えなければ詐欺となることもあるが、使 用者の許されない質問に正しく答えない場合には、使用者は詐欺として民法123条にもとづいて 労働契約を取消すことができないとされている。これは、労働者に「うそをつく権利」がある と表現されることがある。 2.個別の質問事項 以上が使用者の質問権の限界についての判断の基本枠組みと、許されない質問に正しく答え なかった場合の法的効果の概略であったが、本節では、次章で判例や立法におけるアクチュア ルな展開のいくつかをみる前に、「本質的で実務にとって重要な個別の問題」4)をみておくこ とにしたい。 質問内容ごとにみてみると、これまで次のような事項について議論されてきた。これらは主 として前述の相対的質問事項に関するものであるが5)、これらの事項は、(1)予定されてい る仕事の遂行に必要な専門的能力、(2)労働関係の開始の時点での健康状態、(3)経営の目 的にかなった労務給付の遂行の前提である個人の性質、という区別が可能である6)。そこで、 以下では、そのそれぞれについてみていくこととしたい。 まず、(1)予定されている仕事の遂行に必要な専門的能力にかかわる質問である。この専

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門的能力の確認のためのデータ収集は、原則として問題がないと一般に理解されているが7) 次のものがあげられる。 ① 職歴 これまで受けた職業教育とこれまでの職業活動についての使用者の質問は、能力 と一般的な職業経験の推論を引き出す限り、許される8)。具体的には、これまでの職歴、学歴、 学校での成績、試験の成績、言語能力についての質問が許される、とされる9) ② 賃金額 これまでの賃金額についての質問については、評価がわかれている。無制限に 許されるとする見解もあるが1 0 )、労働者の交渉力を弱めることを理由とする反対説もある1 1 ) 連邦労働裁判所は、これまでの収入が当該ポストにとって訴える力(Aussagekraft)がなく、 応募者自らもそれを最低賃金として要求しない場合には、この質問は許されないとしている12) その際、連邦労働裁判所は、労働者の収入状況を保護された個人領域とみなしている。もっと も、これまでの賃金額が能力の推論を許すものである場合には、この質問権が考慮されるべき であるとする見解もある13) では、次に、(2)労働関係の開始の時点での健康状態についてはどうだろうか。 ① 身体上・健康上の適性 仕事にとって必要な身体的特性についての質問は原則として許 される1 4 )。連邦労働裁判所によれば、身体的障害とは、先天的な、ないしは病気・事故に起因 する「継続した身体的な障害」で、自らの生活を形成する可能性、特に運動能力の損傷、およ び生計就業能力の損傷を生じさせる障害と定義されている1 5 )。この身体的障害についての質問 は、一般的に許されるのではなく、当該仕事がその障害によって損なわれるかどうかを確定す ることが問題となる場合にだけ許される。なお、病気についても、当該仕事の遂行を損なうと いう意味で身体的障害と区別して論じる意味はないと考えられている16) 具体的にみてみよう。まず、これまでの慢性の病歴についての質問は、労働者の親密領域への 重大な侵害となるので、限定された範囲でのみ許される。この質問が許されるのは、事業所での 責任にかかわる限りであり、つまり、その他の労働者と労働に重要性がある場合、あるいは継続 して、ないし頻繁に反復される中断で仕事ができないか仕事が相当に損なわれる場合のみである17) したがって、たとえば、伝染する病気が他の労働者や顧客に危険でありうる場合には質問は許さ れる。その他、例えば「あなたは過去二年間に、予定されている仕事に影響を与えうる、重大な あるいは慢性の病気のために労働不能の病気でしたか」という質問は許される18)19) では、それを超えて、健康状態に関する一般的な質問はどうであろうか。つまり、健康に対す る潜在的な危険を明らかにする必要はあるかどうかである。これは、使用者は後の労働の損害の 危険を避けるために質問することが許されるかどうかという問題であり、病気・健康状態に関す る質問権の中心的な問題と位置づけられているが2 0 )、この質問は、許されないとされる2 1 )。その 理由としては、当該仕事の遂行には無関係であることをあげることができるが、他にも使用者と 労働者のリスク分配を考慮するとしても、労働者が自分の健康状態がそもそも、またどの範囲で 現実に悪化するかがわからない限り、明らかにする義務はないともいわれる2 2 )。遺伝的な素質を 調べるための遺伝子分析は原則として許されない23)ことは、遺伝子情報という情報の性質からし てもそうであるが、自分ではわからないということからも基礎づけられうるといえよう24)25)

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なお、労働者が採用の前に嘱託医によって検査される場合には、既往症だからといって質問 権は原則として拡大されることはできない。アルコールによる病気についても、上述の原則が あてはまり、労働者は明らかにする必要はない、とされる26) では、エイズ検査についてはどうか。たしかに、使用者は配慮義務にもとづいて、雇用して いる労働者を保護することが義務づけられ、このことはエイズの場合にも同様であるが、この 場合、上述の一般原則とならんで特別の考慮も必要である、とされる。つまり、発病と感染と が区別されなければならないのである。使用者は、急性のHIV発病については無制限に質問す ることができる、というのは、労働不能が予見できるからである27)。それに対して、HIVに感染 しているだけにすぎない場合は異なる。この場合には、質問が許されるのは、仕事によって同 僚ないしは顧客への感染の危険が高められる場合、たとえば健康サービス、料理人、食品製造 に関わる職業の場合だけである28)。なお、医学の知見によれば、職場におけるHIV感染者と通常 の接触では、感染するおそれはないので、原則としてエイズ検査はなされてはならない29)30) では、(3)経営の目的にかなった労務給付の前提である個人の性質に分類されるものにつ いてはどうだろうか。これは、使用者からするとその労働の処分可能性、つまり、当該労働へ のさしさわりがあるかどうかに関することと、労働者の信頼性にかかわることにわけることが できる31)。まず、前者の労働の処分可能性についてみてみよう。 ① 兵役・非軍事役務 兵役・非軍事役務をすでに果たしたかあるいはそれが間近に迫って いるかどうかの質問は、兵役・非軍事役務に行くつもりがあるかどうか、あるいは果たしたか ったかどうかの質問と区別されなければならない。というのは、後者の質問は応募者の兵役・ 非軍事役務に関する世界観ないし政治的見解を究明することを問題とするからである。しかし、 前者の質問の場合には、政治的見解ではなく、応募者の就労が制限されるのかそうでないのか が問題である。したがって、このような将来の兵役・非軍事役務についての質問は許されると みなすのが支配的な見解である3 2 )。しかし、この見解は、性別を理由とする差別禁止に関する ヨーロッパ裁判所の判決と一致するかどうかは疑わしい、というのは、この質問はもっぱら男 性の応募者にかかわり、このことで性別を理由とする不利益扱いでありうるからである、とい う見解がみられる3 3 )。したがって、性別を理由とする差別禁止を定める民法611a条の不利益の 禁止と、連邦労働裁判所のそれについて出された判決を考慮して、もはやこの質問は無制限に なされるのではなく、妊娠についての質問の許容性の判断と同様に判断されなければならない ことが指摘されている34) ② 競業の禁止 使用者は、前の労働関係から基礎づけられる競業の禁止については、当該労 働関係に関連する場合には質問することは許される35)。たしかに、この競業禁止は、応募者を法 的に、以前の使用者に対してのみ拘束するもので、新たな使用者と締結される労働契約の法的 有効性には直接影響を与えるものではない。しかし、以前の使用者がこの競業禁止にもとづい て法的措置をとった場合には、新たな使用者は、雇用しようとする労働者が仕事をはじめられ ない、ないしは、仕事をはじめたが続けることはできなくなるという危険を負うからである36) では、次に、個人の適性にかかわることのうち、労働者の信頼性に関してはどうだろうか37)

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③ 財産状態 財産状態については、信頼が問題であるとして、管理職と特別の信頼が必要と される職員(たとえば、支店長、銀行の会計係)については、質問が許される、とされる。そ れに対して、現場労働者や責任の程度が低・中程度の職員に対しては、許されない3 8 )。賃金差 押えや賃金譲渡についての質問は、特別の責任ある地位への応募者にのみ許される39) ④ 前科 前科は、これから入る労働関係に原則として関係するものではない。しかし、前科 から労働関係における義務の履行に関する信頼性という点で否定的な推論が生じうる、とされ 問題とされている4 0 )。連邦労働裁判所は、初期の判決において4 1 )すでに前科に関する質問につ いて、これからつく職場の種類に焦点をあて、その質問の許容性を判断した。この判決では、 横領をした人は銀行員にすることはできないし、性的犯罪で有罪となった人は、青少年補導員 としては配置されてはならないという、その後頻繁に引用される例を示した。しかし、前科を もつ人も完全に遂行すことのできる仕事も多いとこの判決は述べている。連邦労働裁判所は、 この判決のなかで、つく職場の種類ごとにさまざまの犯罪行為のグループ、たとえば、財産犯 罪、政治的犯罪、交通犯罪を区別している。前科に関して、使用者は無制限にではなく、つく 職場にとって重要な犯罪行為に関連してだけ質問することができる。その際、連邦労働裁判所 は、原告である建築貯蓄銀行の速記タイピストについて他の刑罰を列挙することはせず、連邦 労働裁判所は原告の前科のすべてを探求することは許されないとみなしたのである42) なお、捜査手続ないしは係属している刑事訴訟についての質問は、学説においては、許され ないとするのが支配的である43)44)45)46) 以上、これまでその許容性が議論されてきた主たる質問事項について概観してきた。そこで は、基本権を考慮しつつ、使用者の利益と労働者の利益が、1.でみた枠組みのもと衡量され、 結論が導き出されていることが確認できる。しかし、前述のとおり、最近、法的状況や判例の 展開がみられる質問事項があるので、それについて章をあらためて検討することとしたい。

Ⅱ.最近の展開

最近、特にこの5年間をみた場合には、連邦データ保護法の改正と、妊娠についての質問、 重度障害についての質問に関する展開が注目に値すると考えられる。そこで、以下では、その それぞれについてみていくこととしたい。 1.連邦データ保護法の改正 質問権については、データ保護法の観点からも議論されるようになっている47)ので、まずそ の内容をみてみよう48) 2001年の連邦データ保護法改正以前は、使用者は採用の際には、データ保護法上の規定を配 慮する必要はなかった、というのは、1990年12月20日の連邦データ保護法は個人データの収集 について規定をもっていなかったからである4 9 )。1990年連邦データ保護法28条1項2文は、「デ ータは信義則にしたがい、適法な方法で収集されなければならない」と定めるだけであり、情

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報の獲得が一般的な労働法の原則にもとづいて許される場合、すなわち、判例によって形作ら れた使用者の質問権の限界と労働法上の開示義務の範囲内にある場合には、適法とみなされた50) したがって、この限界を超えて得られたデータは、加工されてはならない、つまり、特に集積 され、引き渡されてはならなかったので、連邦データ保護法28条1項2文は、データ保護法に おける労働法上の評価のための足場を形成したとはいえるが、許されるデータ収集の条件は、 質問権によって決定され、質問権自体がデータ保護法によって決定されることはなかった51) しかし、この法的状況は、1995年10月24日のECデータ保護指令と、それを国内法化した2001 年5月23日の新しい連邦データ保護法によって、相当に変更された。つまり、連邦データ保護 法4条1項は、個人データの加工・利用とならんでその収集も連邦データ保護法自体か他の法 規定がこれを許すか、命令するか、本人が同意した場合においてのみ許されるとしているので ある。立法者はこのことでECデータ保護指令2条b)と7条の基準にしたがって、すでに1990 年連邦データ保護法4条1項に規定されていた許可条件をデータ収集にも拡大したのである。 そこで、この連邦データ保護法4条1項の帰結について議論されている。この法律は、収集 を一般的に当事者についてのデータの入手と理解しており(連邦データ保護法3条3項)、こ の広範な定義によって、原則として使用者による、労働関係設定のための交渉段階あるいはそ の設定後の情報の照会もそこに含まれる5 2 )。このことによって、使用者は応募者あるいはすで に雇用している労働者に質問をしようとする場合には、連邦労働裁判所の判決とならんで、連 邦データ保護法の規定も考慮しなければならないことになった。そして、連邦データ保護法違 反の場合に課される制裁は、連邦データ保護法43条によれば、権限のないデータ収集は秩序罰 として、25万ユーロ以下の過料が科されるので、過小評価されるべきではない53) では、以上のことを前提に、労働者のデータ収集について、連邦データ保護法はどのような 条件を設定しているのであろうか。ここで連邦データ保護法28条1項が問題となる。この規定 の1号によれば、個人データの収集が許されるのは、当事者(=労働者)との契約関係の目的 規定ないしは契約類似の信頼関係に役立つ場合であり、28条1項2号は、個人データの収集を 責任機関(=使用者)の正当な利益の確保のために必要で、加工・利用させないことについて の当事者の保護に値する利益が優越すると推定させる理由が存在しない場合をあげている。 1990年法の定式化と比較して、連邦データ保護法28条1項1号の新規定は、わずかに変化して いる。旧規定は、データ加工等が「契約関係の目的規定ないしは契約類似の信頼関係の枠内で」 生じることに焦点をあて、新規定では、収集・加工等はこの目的規定に「役立つ」ことに焦点 をあてた。法律の理由づけに基づくと、新しい文言の目的は、ただ、すでに妥当している許可 基準を言葉上、明確に強調することであった5 4 )。したがって、内容的には何も変更はなく、応 募者ないしは労働者からの個人データの収集が労働関係の目的規定に役立つかどうかは、その つどの個々の事例で質問される情報の内容と種類によって決まる5 5 )。その限りで、許可の限界 は引き続き、質問権についての判例の原則にもとづいて定まり56)、他に明白な基準はないので、 連邦データ保護法のこの改正は質問権に関してはさしあたり影響はない57) 次に、連邦データ保護法の改正として、センシティブ・データというカテゴリーが挿入され、

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これらに対して特別の保護の要請がたてられたことの意味が問題とされている。連邦データ保 護法3条9項は、人種、民族、政治的見解、宗教的あるいは哲学的信条、組合所属、健康、性 生活という特別の種類の個人データをあげている。これらのデータに対する特別の保護として は、第1に、そのようなデータの収集・加工・利用に関しての同意が明確にこれらに関連づけ られなければならないことであり(連邦データ保護法4a条3項)、第2に、連邦データ保護法 28条6項ないしは9項でこのセンシティブ・データの収集・加工・利用のためには、より厳格 な許可条件がたてられたことである。ECデータ保護指令8条1項によって要請された、セン シブルと位置づけられた情報の保護水準を高めることで、立法者はドイツのデータ保護法にお いてこれまで認められていた、データそれ自体が特別に保護に値するのではなく、むしろ保護 の必要性はそのつどの実際の文脈から生じるという原則を放棄した、とされる5 8 )。使用者の質 問権に関しては、この改正は、少なからぬ結果をもたらしうるものである、というのは、労働 裁判所が過去にとりくんだ複数のグループがこの特別の個人データに属するからであり、その 中に、連邦労働裁判所がこれまで使用者の質問を許してきた情報が含まれるので、連邦データ 保護法にもとづいて使用者の質問権が制限されることになるかどうかという問題がたてられ る、とされる5 9 )。具体的には、たとえば、これまでの重度障害や組合所属に関する議論との関 係が問われるのである。詳細はあとでみることになるが、重度障害は、連邦データ保護法3条 9項の意味での健康という概念を広く理解すればそのなかに含まれるが、判決は、健康上の損 傷あるいは身体的障害についての質問を、質問が予定する職場への労働者の配置可能性にかか わる限りにおいて、許してきた6 0 )。また、組合所属について判例・通説は、独自の協約に拘束 される際には、使用者は支払うべき給料の計算のために必要であるから、労働契約の締結後は、 応募段階とは異なり、労働者の組合所属についての質問も許している61)。しかし、組合所属は、 連邦データ保護法3条9項の意味での特別な個人データである。 そこで、この連邦データ保護法改正が上述のグループへ与える影響は、条文からすると連邦 データ保護法28条6項ないし9項における許可条件がそもそもおよびどれだけ労働者のこの特 別な種類の個人データの収集をカバーするかにかかっていることになる、とされる。労働関係 と関連しては、ただ連邦データ保護法28条6項3号だけが考慮され、それによれば、特別の種 類の個人データの収集が許されるのは、法的な請求権の主張・行使・防御のために必要で、当 事者の保護に値する利益が収集の排除に優越すると推定することに理由がない限りにおいてで あるとしているからである62) このことを質問権の限界に関連させ、次のような議論がみられる6 3 )。つまり、労働契約締結 前の情報の収集には、連邦データ保護法28条6項3号は、適用されない、というのは、この場 合、使用者にとって決定的に問題なのは、応募者の能力と知識ならびに募集した職場への適性 を確かめることであり、応募者ないしは他の第三者に対して、請求権を実現することではない からである。この点で、主張することの可能な請求権として、許される質問に対する正しくな い回答にもとづく使用者の取消権を引き合いに出したり、データ収集が使用者の潜在的な将来 の請求権の成立ないしは秩序にそった履行を審査することに役立つことを指摘して、採用段階

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での健康情報をめぐって使用者の質問権を連邦データ保護法28条6項3号に根拠づけることが 議論されているが、前者については、取消権の行使は民法194条の意味での請求権ではなく、 形成権であるということが指摘され、後者については、連邦データ保護法28条6項3号が単な る潜在的な請求権にも及ぶのかどうかに疑問がだされ、一般的に否定的にとらえられていると いえよう。 以上のことからすれば、連邦データ保護法の改正は、使用者の質問権の限界について、これ までの判例理論をこえて大きな影響を与えるものとはいえないものの、センシティブ・データ の収集の制限の挿入によって、議論を促進した面があるものといえよう。 2.妊娠 長い間、特に争われてきたのは、妊娠についての質問であった。これまでの連邦労働裁判所 の判例の展開は、次のようにまとめることができる。まず、初期の判決において連邦労働裁判 所は、妊娠については、適切な形態でなされる質問(たとえば、「あなたは喜ばしい期待があ りますか?」)は、許されるとみなした、というのは、労働者が妊娠すれば使用者には財政的 な負担が負わせられ、経営の経過に妊娠による就業禁止によって困難が生じるからである6 4 ) つまり、連邦労働裁判所は、妊娠に関する質問は、職場を考慮することなく原則として許され るとみなしたのである。 しかし、民法611a条1項1文の施行後は、女性だけが応募している場合にだけこの質問が許 されると連邦労働裁判所は判決した。それは、一つの性別の応募者だけしかいない場合には、 民法611a条に違反して性別を理由として誰も差別されることはない、つまり、比較の対象は同 じ状況におかれている男性の労働者であるからであるとしたのである(いわゆる「分離された 解決」)65)。この連邦労働裁判所の見解には、学説においては、賛成も批判も見られた66) しかし、ヨーロッパ裁判所の判決が連邦労働裁判所判決のその後の展開に決定的な影響を与 えた。この連邦労働裁判所の「分離された解決」という見解は、妊婦と妊婦でない人の差別は つねに性別を理由とする不利益であると評価するヨーロッパ裁判所の引き続く判決とおりあい がつかなかったのである。ヨーロッパ裁判所は、使用者は女性の採用を妊娠だけを理由として 拒否してはならないと判決した6 7 )。この判決によれば、使用者が妊娠している女性の採用によ って、国家法から生じる不利益を危惧しなければならないことを理由として、適切だとみなす 女性労働者と契約を締結することを拒否する場合には、EEC指令67/207の2条1項・3条1項 の平等取扱い原則に違反する。その際、ヨーロッパ裁判所は、男性がその職場に応募していな かった場合と区別しなかった68)ので、この判決にもとづいて、連邦労働裁判所1992年10月15日 判決は、この「分離された解決」を明文上放棄し、女性応募者が妊娠の存在についての質問に 故意に正しくなく、つまり妊娠していないと答えた場合にも、使用者の取消権はもはや存在し ないという見解を示した69)。連邦労働裁判所は、共同体法に適合する解釈の原則にしたがって、 ヨーロッパ裁判所によって展開された法原則に従わなければならなかったのである。このこと から、連邦労働裁判所は、女性労働者の採用前に妊娠についての質問は、通常は、性別を理由

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とする許されない不利益扱いであり、女性だけかあるいは男性もその職場に応募しているかど うかにはかかわらず、民法611a条の差別禁止に違反する、という立場をとることになった。た だ、連邦労働裁判所のこの判決によれば、妊娠によって予定されている仕事がそもそも開始で きない場合(たとえば、マネキン、ダンサー)あるいは、そもそも予定されている仕事を開始 してはならない場合(たとえば、母性保護法による就業禁止)には異なるとする。また、例外 として、診療助手としての採用前に妊娠について質問することは、就業禁止がなくても客観的 に女性応募者と胎児の健康上の保護に役立つ場合には許されるとしている判決もある70) しかし、この立場は、妊娠中の就業禁止は仕事を遂行できない一時的な障害にすぎないとす るヨーロッパ裁判所の判決71)とあいいれないだろう、という評価もみられる72)。また、2000年 2月3日のMahlburg判決において、ヨーロッパ裁判所は、妊婦の保護規定の適用が就労へのア クセスの際に不利益をもたらしてはならないと確認し7 3 )、この判決は、妊婦の期間の定めのな い雇用にかかわるものであるので、この判決も前述の連邦労働裁判所1992年10月15日判決の立 場に制限を課すものといえる74) 以上は、女性労働者が期間の定めなく雇用される場合に関するものであるが、有期雇用の場 合についても議論は展開している。そのきっかけは、Tele Danmark事件についての2001年10月 4日のヨーロッパ裁判所判決である。この判決において、ヨーロッパ裁判所は、差別禁止をも う一度厳しく解釈した7 5 )。この事件は、デンマークの女性労働者が6か月間雇用されたが、就 労1か月後、自分が妊婦であり、予定では4か月後に出産することを報告したところ、使用者 は、適用される労働協約によれば予定される出産前の8週間の有給の出産休暇の請求権がある にもかかわらず、採用の際に妊娠については聞かされていないことを理由にすぐに解雇した。 この女性労働者の損害賠償請求の訴えについて決定しなければならなかったデンマークの最高 裁判所は、ヨーロッパ裁判所にこの問題を移送し、ヨーロッパ裁判所は使用者のこの行為は許 されないと判断した。「女性労働者を妊娠を理由として解雇することは性別にもとづく間接差 別であり、しかも妊娠を理由とする欠勤によって使用者に生じる経済的損害の種類と範囲に無 関係であるので、この解雇が差別的性格をもつかどうかという問題の判断にとっては、労働契 約が期間の定めのあるものかあるいは期間の定めなく締結されたかどうかという問題は重大で はない。どちらの場合も、女性労働者が、労働契約を履行できないということは、妊娠にもと づくものである。」としたのである7 6 )。つまり、このヨーロッパ裁判所の判決は、妊娠を理由 として契約期間の本質的な期間中に労働できるかどうかに注意を向け、妊娠についての質問は、 女性労働者が一定の期間雇用され、契約期間の本質的な部分の間、労働できない場合でも、も はや許されないとするものであり、したがって、これまで広く主張されてきた次のような見解、 つまり、妊娠についての質問は、女性労働者が期限つきで雇用され、予定されている全契約期 間、母性保護の理由から就労できない場合には許されるという見解は、このヨーロッパ裁判所 の判決とあいいれないことになる77) このヨーロッパ裁判所の判決を受けて、連邦労働裁判所は、2003年2月6日の判決において78) 妊娠に関する質問禁止のこれまでの例外に関しても、その判決を修正した。連邦労働裁判所に

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よれば、期間の定めなく採用が計画されている女性の採用前の妊娠についての使用者の質問は、 通常は民法611a条に違反する。これは、女性が約束した仕事を母性保護法による就労禁止のゆ えにさしあたり遂行できない場合にもあてはまる、とした。この判決によって連邦労働裁判所 は、妊娠に関する例外なき質問禁止へさらに歩みを進めたと評価され、学説上も、ヨーロッパ 裁判所判決の概観からすれば妊娠についての質問は、最終的に許されないことから出発しなけ ればならず、また女性は、妊娠を原則として示す必要はなく、例外は、妊婦が当該労働を遂行 することができない場合のみあてはまる、という見解がみられる79) しかし、ドイツの連邦労働裁判所の判決に影響を与えた、妊娠にもとづく区別が性別を理由 とする間接差別であるというヨーロッパ裁判所の出発点と展開には、批判が出されている8 0 ) この別異扱いは、性別を理由としてではなく、妊娠を理由として生じており、女性ではなく、 妊娠している女性が不利に扱われているのであり、これは性別それ自体ではなく、性別を理由 とする差別を意図したものでもない、とする批判である。また、ヨーロッパ裁判所は、妊娠に 関わるさまざまな事件について81)について判断しているが、結果はつねに同じであり、妊娠を 理由とする区別は許していないので、ヨーロッパ裁判所判決の全体像にもとづけば、妊娠につ いての質問は、最終的にかつ例外なく禁止される、ということになることについても次のよう な批判がみられる。それは、個々の事件において、これはたいへん不満足な結果であり、たと えば、妊婦の代理として採用される予定だが、自分自身も妊婦である女性も、妊娠について使 用者に明らかにする必要はないことになることがあげられ、この結果は不合理であり、修正が 追求されなければならない。このためにヨーロッパ法にはきっかけがないようにみえるが、こ の場合、権利濫用の禁止ないしは信義則を引き合いにだすことができ8 2 )、労働できないことが わかっているにもかかわらず、応募する人は、矛盾した行動をとっている。その人は、労働を 事実上提供できないのではなく、労働の準備があることをただ見せかけるにすぎないのである。 したがって、「真剣な」応募はない、と批判するのである83) 以上の展開は、妊娠に関する質問については、判例はそれを初期においてはまさしく寛大に 許していたが、その後、徐々にそれに広範な限界を設定し、今や、この質問は全く許されない 段階に達しつつあることを示すものである。この展開については、批判もあるが、大きな流れ であることは少なくともみてとることができよう84) 3.重度障害85) では、重度障害についての質問はどうだろうか。これについては、ヨーロッパの裁判によっ てではなく、ドイツの立法によって展開がみられる。 2.でみた妊娠についての質問と異なり、連邦労働裁判所の過去の判例はつねに、重度障害 についての質問は許されるということから出発しており、その決定的な理由は、労働者の重度 障害には、労働関係が継続している間ずっと、使用者に対して多くの法律上の義務づけが結び ついているということであり、このことは使用者が重度障害について質問する正当な利益を基 礎づける、とされる86)。たしかに、一時的に連邦労働裁判所は、重度障害が仕事に意味をもたな

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い場合には、この質問を許容することが疑問でありうることを示唆したが87)、後の判決において この傍論としてのみ定式化された留保を再び放棄し、確立した判決の立場にもどった88)。その際、 この質問の許容性はたいへん広く、重度障害についての質問は、その障害が仕事に無関係であ る場合も許されるが、ただ、この場合も、障害についての一般的な質問と重度障害についての 質問は区別されなければならない、とされる89)。この連邦労働裁判所の判断には、重度障害とい う状態についての質問は、妊娠に関する質問と比較できないとすることが前提となっている、 とされる90)。というのは、妊娠は使用者の一時的な財政的負担だけを生じさせ、また、労働関係 の設定の際の性別を理由とする不利益扱いは明文上禁止されているからである。さらに、重度 障害者の保護のための法律上の制度として、割当制(重度障害者法14条1項、現在では、社会 法典第9編71条)があるからである。個々の重度障害者が、自己の重度障害の状態についての 誤った情報を通じて、雇用されることができるならば、この割当制と適合しない。このことを、 1994年に基本法3条3項2文が追加されることでなされた障害者の不利益の禁止も何も変える ものではない。したがって、第一次的には偏見、スティグマ化、接触の回避という形態での差 別と対抗するために努力がなされるべきであるが、割当制によって要請される労働市場への重 度障害者の公式のアクセスとならんで、それ以外の方法を使うことは努力されるべきではない、 という判断が前提となっているのである、とされるのである。 しかし、社会法典9編81条2項によって創設された新たな法状況を背景として、この問題は 新たに考慮されている。つまり、2001年7月1日に社会法典に重度障害者法が挿入される流れ のなかで、判例が最近の判決の中でそれがないことに依拠していた差別禁止が、社会法典9編 81条2項で創設されたという変化があったことである。この差別禁止規定は、民法611a条をモ デルとしており、使用者は重度障害をもった従業員をその障害を理由として不利益に扱っては ならない(社会法典9編81条2項1文)。さらに、障害を理由とする別異扱いは、合意あるい は措置が重度障害者によって遂行されるべき仕事の種類を対象としている場合および特定の身 体機能、精神的能力ないしは精神的健康がこの仕事にとって本質的かつ決定的な職業上の要請 である場合においてのみ許される(社会法典9編81条2項1号2文)。2000年11月27日の雇用 と職業における平等の実現に関するEC指令2000/78の5条に照らせば立法者は、これによって、 このEC指令2000/78の差別禁止を国内法化したのである9 1 )。したがって、連邦労働裁判所の従 来の判決は、もはや維持されえないことから出発することができる。たしかに、重度障害につ いての質問は、新しい法のもとでも許され、この質問は、差別のために使われる場合にみ許さ れず、これは、証明の問題であるとする見解もあるが9 2 )、学説においては、新たな法状況を背 景として単なる重度障害という性質、つまり仕事には無関係な重度障害についての質問は許さ れないという見解が支配的になっており、重度障害の存在についての質問、社会法典9編2条 2項にもとづく重度障害者との同等の地位にあるかどうか、それに対応する申請がだされかど うかについての質問は原則として許されず、応募者が正しく答えなくても使用者には民法123 条にもとづく取消権はないことになる、といわれる9 3 )。この評価は、特に以下の二つの議論に 依拠している、とされる9 4 )。まず、体系的な観点からは、社会法典9編81条2項の規定は今や

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民法611a条の規定と一致していることが考慮されるべきことである。重度障害者法からのこの 規定は、特に労働関係に入るときに性別を理由とする不利益扱いがなされてはならないとする 民法611a条1項と文言としてほとんど同じである。前述のように、これまで、連邦労働裁判所 は妊娠についての質問の許容性との比較は、許されないと議論してきた。というのは、民法 611a条においては明文で性別に固有の差別禁止が存在したが、障害の場合にはそれがなかった からである。この議論には現在では社会法典9編81条2項における差別禁止によって根拠がな くなった。したがって、体系的な観点からすると質問権に関して不平等取扱いはもはや正当化 されない9 5 )。第2に、この結果は目的論的観点からも生じるといわれる。つまり、社会法典9 編81条2項の目的は、障害だけを理由とする重度障害をもつ従業員の正当でない不利益扱いを 排除することにあり、これは、この規定の根拠となったEC指令2000/78から生じる。これで立 法者は、重度障害の存在に選択がむすびつけられることが許されないことを明らかにしたので、 特に採用にともなう経済的不利益と組織的負担を、使用者は甘受しなければならないことが帰 結される、とされるのである。 なお、採用後は、以下の理由から、重度障害をもつ従業員の開示義務が存在する、とされる96) というのは、そうでなければ、使用者が社会法典9編71条の意味での一定の障害者を雇用して、 さらにもう一度、社会法典9編77条の調整金を支払わなければならなくなるからである。使用 者は、従業員の重度障害の認識がなければ自らに課されている義務を場合によっては履行する こともできないことになるのである。 以上のことからすると、重度障害をもつ人の不平等取扱いは、その区別が性別による不平等 取扱いをも正当化するのと同様に重大な考慮によって正当化される場合にのみ許され、その限 りでは、社会法典9編81条2項1号の本質的で決定的な職業上の要請は、民法611a条1項2文 の不可欠性に対応する、ともいわれる9 7 )。また、2.でみたように妊婦の保護のための規定を 適用することは、妊婦に、雇用へのアクセスの際の不利益をもたらしてはならないとヨーロッ パ裁判所はMahlburg判決で述べたが、それに対応して、重度障害者の保護のための規定の適用 も、重度障害者に、雇用へのアクセスの際の不利益をもたらしてはならない、と定式化するこ とができるとされるのである98)

おわりに

以上、ドイツにおける採用時の使用者の質問権の限界をめぐる最近の動きを概観してきた。 まず、連邦データ保護法の改正によって、労働者のデータの収集も同法の規整対象となったが、 使用者の質問権の限界に関する判断枠組みに変化をもたらすものではなく、改正法のもとでも 実質的な判断は、判例・学説によってつくりあげられてきたこれまでの法理によってなされる ことになる。ただ、センシティブ・データについての特別の規定がおかれたことによって、特 に重度障害や組合所属に関する質問については、従来の議論との整合性が問題とされつつある

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といえる。次に、これまで長く議論されつづけてきた妊娠についての質問は、性差別であると するヨーロッパ裁判所の判決が推進力となって、議論の展開がみられる。この妊娠についての 質問は、許されるとされていたものが、男性が応募していない場合にだけ許されるという見解 をへて、現在では、期間の定めがない場合だけでなく、期間の定めのある雇用の場合でも許さ れないというのが支配的な見解となっている。第三に変化がみられるのは、重度障害について の質問である。これまでは、妊娠とは特に法的状況が異なるということを理由に質問が許され るとされていたが、社会法典に差別禁止条項がもうけられたことを契機に、重度障害の存在に ついての質問は原則として許されず、障害がないことが仕事にとっての本質的で決定的な職業 上の要請である場合にのみ例外的に質問できるということになっている。これらの立場には、 批判がないわけではないが、使用者の質問権を制限することは強い傾向であることは否定でき ないものであり、この傾向はさらに進むことが予想される9 9 )。これは、労働者の情報自己決定 権の保護に沿ったものであるが、この傾向に対して、使用者が得ることのできる情報が少なく なることによって生じる不利益、たとえば、十分な情報を得られないので使用者は採用を控え るのではないかという、「採用のブレーキ」としての人格保護ないしデータ保護という視点も、 再度指摘されている100)。ドイツでは、基本権の保障を出発点として、労働者データ保護法の制 定という方法も視野に入れて、今後も議論が続けられるであろうが、日本での議論にも大きな 示唆を与えるものと思われる。

1)このテーマを扱う研究書としてたとえば、Birk, Auskünfte über Arbeitnehmer, 1985; Brossette, Die Wert der Wahlheit im Schatten des Rechts auf informationelle Selbstbestimmung, 1991; Däubler, Gläserne Belegschafen? Datenschutz für Arbeiter, Angestellte und Beamte, 1993; Degener, Das Fragerecht des Arbeitgebers gegenüber Bewerbern, 1975; Reitemeier, Täuschungen vor Abschluss von Arbeitverträgen, 2001; Thees, Das Arbeitnehmer-Persönlichkeitsrecht als Leitidee des Arbeitsrechts, 1995; Zöllner, Daten-und Informationsschutz im Arbeitsverhältnis, 1982; Beck, „Fragerecht“ Daten-und „ Recht zur Lüge“ ,2004. 2)Thüsing/Lambrich, Das Fragerecht des Arbeitgebers, BB 2002, S.1146.

3)詳細は、拙稿「労働者のプライバシーと使用者の質問権の限界」立命館法学2005年2・3号(2006年) 217頁以下参照。

4)Braun, Fragerecht und Auskunftspflicht, MDR 2004, S.65.

5)日本語文献では、これらに言及したものとして、角田邦重「西ドイツにおける労働者人格の保障」横 井芳弘編『現代労使関係と法の変容』(1 9 8 8 年、勁草書房)3 9 9 頁以下、西谷敏『ゆとり社会の条件』 (1992年、労働旬報社)42頁以下、日本労働研究機構『労働者の個人情報保護と雇用・労働情報へのア

クセスに関する国際比較研究』調査報告書No.55(2003年、日本労働研究機構)216頁以下〔緒方桂子執 筆〕などがある。

6)Buchner, Münchener Handbuch zum Arbeitsrecht, Bd.2, 2.Aufl., 2000, §41 Rn.39. 7)Ebenda.

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26, Rn.16. 9)Buchner,a.a.O.(註6), Rn..41. 10)Shaub, a.a.O.(註8),Rn.17. 11)Vgl.ebenda. 12)BAG 19.5.1983 AP BGB §123 Nr.25. 13)Buchner,a.a.O.(註6), Rn.48. 14)Buchner,a.a.O.(註6),Rn.63. ただ、法的な評価の際には、特定の仕事をすることと対立する身体的 障害の存在についての質問と、重度障害の存在についての質問は区別されなければならない、とされる (Buchner,a.a.O.(註6),Rn.53)。身体障害と重度障害の関係については、BAG 7.6.1984 AP BGB §123 Nr.26; 5.10.1995 AP BGB §123 Nr.40参照。この重度障害についての質問については、最近、議論の展開 がみられるため次章で検討する。 15) たとえば、BAG 7.6.1984 AP BGB §123 Nr.26. 16)Vgl. Buchner, a.a.O.(註6), Rn.58.

17)Shaub, a.a.O.(註8), Rn.20;Braun,a.a.O.(註4), S.65. 18)Vgl. BAG 7. 6. 1984 AP BGB §123 Nr.26.

19)なお、応募者は特別の質問がなくても、就労開始時に予見できる病気がある場合ないしは療養に行って いる場合には、知らせることを義務づけられる(AP BGB §276 Verschulden bei VertragsabschluβNr.6)。 20)Buchner,a.a.O.(註6), Rn.60.

21)Shaub,a.a.O.(註8),Rn.20. 22)Buchner, a.a.O.(註6), Rn.61.

23)Wiese,Zur gesetzlichen Regelung der Genomanalyse an Arbeitnehmern, RdA 1988,S.217f.; Hunold, Aktuelle Rechtsprobleme der Personalauswahl, DB 1993, S. 229.

24)Vgl.Buchner, a.a.O.(註6), Rn.61. 25)Schaub, a.a.O.(註8), Rn. 21. なお、遺伝子分析にかかわる法律は制定されているが、(たとえば、 Gentechnikgesetz v.16.12.1993.)、労働法において遺伝子分析にかかわる法律は、政府案はあるが、まだ 制定されていない。しかし、全く禁止されるわけではなく、次のような条件を満たせば許されるという 見解がみられる。第1に、労働契約に関係する調査に限定されること、第2に、労働者が分析の範囲と 限界について知らされ、第3に、労働者があらかじめ同意を与えていること、第4に、結果の秘密保持 が確保されること、である(Shaub, a.a.O.(註8), §24 Rn.16ff.)。なお、Preis, Erfurter Kommentar zum Arbeitsrecht, 4.Aufl,. 2004, §611 BGB, Rn.371f. 参照。

26)それに対して、飲むアルコールの量については、答えなければならず、仕事に影響が出る可能性があ る場合は、特にそうであるという見解(Schaub, a.a.O.(註8), Rn.14)もあるが、休暇にアルコールを 飲むかどうかは原則として労働者の私的領域に含まれるので、労働関係に著しい影響が出ない限りは質 問してはならないとする見解もある(Buchner, a.a.O.(註6), Rn.98)。

27)Vgl.Braun, a. a. O.(註4), S.67; Heilmann, AIDS und (Arbeits-) Recht, BB 1989, S.1414f.; Richardi, Arbeitsrechtliche Probleme bei Einstellung und Entlassung Aids-infizierter Arbeitnehmer, NZA 1988,S.74. 28)Keller, Die ärztliche Untersuchung des Arbeitnehmers im Rahmen des Ardeitsverhältnisse, NZA

1988,S.563; Ehrich, Fragerecht des Arbeitsgebers bei Einstellungen und Folgen der Falsch antwortung, DB 2000,S.423.

29)Shaub, a.a.O.(註8),§24,Rn.14.

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展開がみられるので、次章で検討する。 31)Buchner,a.a.O.(註6), Rn.91.

32)Braun,a.a.O.(註4), Rn. S.66; Buchner,a.a.O.(註6), Rn.100. 33)Preis, a.a.O.(註25), Rn.348.

34)Buchner,a.a.O.(註6), Rn.100.

35)Braun, a.a.O.(註4), S.66; Buchner, a.a.O.(註6), Rn.105; Ehrich, a.a.O.(註28),S.422. 36)Buchner, a.a.O.(註6),Rn.105. 37)Buchner,a.a.O.(註6), Rn.113は、応募者の世界観・政治的見解・労働組合所属も労働者の信頼性にか かわることとしている。これらについての質問は原則として許されないが、詳細は、拙稿・前掲(註3) 219頁以下参照。 38)Buchner,a.a.O.(註6), Rn.155; Shaub,a.a.O.(註8), Rn.28. 39)Braun, a.a.O.(註4), S.66. 40)Buchner,a.a.O.(註6), Rn.145ff.. 41)BAG 5.12.1957 AP BGB §123 Nr.2. 42)Buchner,a.a.O.(註6),Rn.148. ただし、そこでは指導的立場につく人については、より広い質問権が 存在することが指摘されている。

43)Moritz, Fragerecht des Arbeitsgebers sowie Auskunfts- und/oder Offenbarungspflicht des Arbeitnehmers bei der Anbahung von Arbeitsverhaltnissen ?, NZA 1987,S.334; Schaub, a.a.O.(註8), Rn.29;Buchner,a.a.O. (註6), Rn.152.判例では、ArbG Münster, NZA 1993, S.461; 異なる判断を示すものとして、BAG 20.5.1999 AP BGB §123 Nr.50. Vgl.Ehrich, a.a.O.(註28), S. 422 ;Raab, Das Fragerecht des Arbeitgebers nach schwebenden Strafverfahren und die Unschuldvermutung des Bewerbers, RdA 1995, S.36ff..

44)いわゆる日本の前科照会事件においては、自動車教習所指導員の前科が解雇訴訟において問題とされ たが、最高裁判決(1981年4月14日民集35巻3号620頁)では、前科が「みだりに公開されないことは 法律上の保護に値する利益である」と述べている。ただ、犯罪については、マス・メディアによって報 道されていることが多く、プライバシーとして保護されることに疑問を示す見解もある。たとえば、棟 居快行ほか『基本的人権の事件簿〔第2版〕』(2002年、有斐閣)92頁以下〔松井茂記執筆〕。 45)その他、解雇制限法3条1項の意味で、使用者の決定を社会的に正当化するための観点、すなわち社 会的観点から、質問事項について言及されることがある。(Buchner, a.a.O.(註6),Rn.157ff.)。この観 点の持つ意味は少ないとされ(ebenda)、その中に含まれるものとして家族の状況があり、結婚・子ど もについての質問は許されないとされている(Buchner, a.a.O.(註6),Rn.161; Schaub,a.a.O.(註8), Rn.19)。なお、これは、事実婚・同性愛といったこととともに、個人的な生活環境についての質問とし て許されないともいえる(Braun, a.a.O.(註4), S.66.)。 4 6 )なお、労働者のデータ収集の方法についても議論されており、以下のような見解が主張されている (Vgl. Schaub, a.a.O.(註8),Rn.9ff.)。①筆跡鑑定は、つねに応募者の同意が必要である。これは、基本 法1条1項、2条1項を理由とする。②心理的適正検査は、応募者が同意していても、疑問とされてお り、専門の心理学者によってなされるなど厳格な要件が必要である。③知能検査は、応募者の同意があ り、比例原則がみたされることが必要である。④産業医による診断は、労働者の同意がある場合にのみ 許される。というのは、この場合にも応募者の人格権への広範な侵害があるからである。 47)Braun,a.a.O.(註4), S.68. 48)1990年連邦データ保護法の翻訳として、山下義昭「ドイツ連邦データ保護法」クレジット研究22号 (1999年)50頁以下、また、2001年連邦データ保護法の翻訳として、藤原静雄「改正 連邦データ保護

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法(2001年5月23日施行)」季刊行政管理研究99号(2002年)76頁以下がある。 49)Braun,a.a.O.(註4), S.68.

50)Däubler, Erhebung von Arbeitnehmerdaten, CR 1994,S.102,104; Müller, Arebeitnehmerdatenschutz im Lichte der EU - Datenschutzrichtlinie, in: Festschrift für Söllner zum 70. Geburtstsg, 2000,S.,820,833. 51)Ehrich, a. a. O. (註28), S. 421. Schaub,a.a.O.(註8), Rn.10は、「連邦データ保護法によって使用者

の質問権は制限されない」とする。 52)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2), S.1148.

53)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2), S.1149ff..ただ、この連邦データ保護法の規定については、わかりやす さ 、 あ る い は 使 い や す さ の 点 で 否 定 的 な 評 価 も み ら れ る 。 た と え ば 、 Däubler, Das neue Bundesdatenschutzgesetz und seine Auswirkungen im Arbeitsrecht, NZA 2001,S. 881;Gola, Die Entwicklung des Datenschutzrechts in den Jahren 1999/2000, NJW 2000,S.3750.

54) BT-Drucksache 14/4329,42.

55)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2), S.1150.

56)Däubler, a.a.O.(註53), S.1150. 876; Gola/Schomerus, BDSG, 8.Aufl., 2002, §28 Rn.28.

57)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2), S.1150.なお、連邦データ保護法28条1項2号が、労働者データの収 集を労働裁判所によって認められている程度よりも広範囲に許しているといえるかどうかについても議 論されている。連邦データ保護法28条1項2号は、前述のように、使用者の正当な利益の確保のために 必要で、加工・利用させないことについての当事者の保護に値し優越する利益が存在しないことを前提 としているので、使用者の情報入手の自由(基本法5条1項)ならびに経済活動の自由(基本法12条1 項、14条1項)と労働者の一般的人格権、具体的には情報自己決定権(基本法2条1項、1条1項)と の利益衡量が必要となる。しかし、このような基本権の地位を比較することは、同じように使用者の質 問権に関する労働裁判所の判決を通じてたてられた原則の目的であるので、連邦データ保護法28条1項 2号は労働関係の設定の前後における労働者データの収集を連邦データ保護法28条1項1号よりも広範 囲に許すことはできない、とされる(ebenda)。

58)Tinnefeld, Die Novellierung des BDSG im Zeichen des Gemeinschaftsrechts, NJW 2001,S. 3082. 59)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2), S.1151.

60)BAG 7.6.1984 AP BGB §123 Nr.26.

61)Buchner,a.a.O.(註6),Rn.18 ;Preis,a.a.O.(註25),§611 BGB Rn.343; Ehrich, a.a.O.(註28), S.426; それに対して、一般的に許されるとするのは、Schaub,a.a.O.(註8),Rn.17.

62)Thüsing/Lambrich, a.a.O.(註2), S.1151. 63)Vgl.Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2), S.1151f..

64)BAG 22.9.1961 AP BGB §123 Nr.15. 批判するものとして、Falkenberg, Fragen des Arbeitgebers an den einzustellenden Arbeitnehmer, BB 1970,S.1015; Leipold, Einstellungsfragebögen und das Recht auf Arbeit, AuR 1971,S.166.

65) BAG 20.2.1986 AP BGB §123 Nr.31.

66)賛成するものとして、Moritz,a.a.O.(註43),S.336; 拒否するものとして、Walker,Zur Zulässigkeit der Frage nach der Schwangerschaft, DB 1987,S.275f.; Donat, Die Frage nach der Schwangerschaft beim Einstellungsgespräch, BB 1986,S.2413.

67)EuGH 8.11.1990(Dekker)AP §119 EWG-Vertrag Nr.23.この判決については、西原博史『平等取扱の 権利』(2003年、成文堂)58頁参照。

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69)BAG 15.10.1992 AP BGB §611a Nr.8. 70)BAG 1.7.1993 AP BGB §123 Nr.36.

71)EuGH 5.5.1994(Habermann-Beltermann), AP EWG-RL 76/207 Art.2 Nr.3西原・前掲(註67)60頁参照。 72)Preis,a.a.O.(註25), Rn.345.

73)EuGH 3.2.2000, NJW 2000,S. 1019. 西原・前掲(註67)64頁参照。

7 4 )なお、支配的な学説は、当時は、期間の定めのある労働関係に関しては異なった評価をしていた。 Vgl. Stürmer,Bewerbung und Schwangerschaft, NZA 2001,S.529; Ehrich, a.a.O.(註28),S.425; Sowka, Die Frage nach der Schwangerschaft, NZA 1994,S.969.

75)EuGH 4.10.2001 (Tele Danmark), NZA 2001,S.1241. 西原・前掲(註67)64頁参照。 76)Ebenda.

77)Braun,a.a.O.(註4), S. 70. 78)BAG 6.2.2003, MDR 2003,S.96.

79)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2), S.1152. 80)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2), S.1146f..

81)採用について: EuGH 8.11.1990(Dekker); EuGH 3.2.2000(Mahlburg); 解雇について: EuGH 14.7.1994, (Webb); EuGH 29.5.1997(Larsson); EuGH 30.6.1998(Brown);就業禁止について:EuGH 3.2.2000 (Mahlbulg); EuGH 5.5.1994(Habermann - Beltermann);労働からの解放を求める潜在的な請求権につい て:EuGH 8.11.1990(Dekker);期間の定めのある雇用について:EuGH 3.2.2000(Mahlburg);期限の定めの ない雇用について:EuGH 4.10.2001(Tele Danmark).vgl.Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2),S.1147.西原・前 掲(註67)326頁以下も参照。 82)Vgl.Sowka, a.a.O.(註74),S.970f.. 83)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2),S.1147f.. 84)なお、連邦の行政、裁判所で働く人に適用される連邦平等法(Bundesgleichstellungsgesetz)7条2項 は、進行中あるいは計画されている妊娠について、面接および選抜時に聞くことを完全に禁止している。 85)2001年6月19日の社会法典9編の意味における重度障害者とは、身体的・精神的に障害があり、その

程度が50以上と認定される人のことである。(Creifelds, Rechtswörterbuch, 17.Aufl.,2002,S.1216f.;社会法 典9編2条2項参照)。

86)BAG 3.12.1998 AP BGB §123 Nr.49; BAG 5.10.1995 AP BGB §123 Nr.40 ; BAG 11.11.1993 AP BGB §123 Nr.38; BAG 1.8.1985 AP BGB §123 Nr.30; Schaub, §26 Rn.24. 重度障害を理由とする不利益が憲法上許さ れない(基本法3条3項2文)ことを指摘して、これに対して批判的なのは、D i e t e r i c h , E r f u r t e r Kommentar zum Arbeitsrecht, 4.Aufl,. 2004, Art 3 GG Rn.82; Preis,a.a.O.(註25), Rn. 347. 仕事との関連の 必 要 性 に つ い て は 、 Großmann, Schwer behinderte im Konflikt zwischen Statusrecht und Offenbarungsptlicht, NZA 1989,S. 702ff.参照。

87)BAG 11.11.1993 AP BGB §123 Nr.38.

88)BAG 5.10.1995 AP BGB §123 Nr.40 ; BAG 3.12.1998 AP BGB §123 Nr.49. Vgl.Braun,a.a.O.(註4), S.68. 89)BAG 5.10.1995 AP BGB §123 Nr.40.

90)Thüsing/Lambrich,a.a.O.(註2),S.1148.

91)Duewell, Neu geregelt : Die Stellung der Schwerbehinderten im Arbeitsrecht, BB 2001,S.1531. 92)Shaub, Ist die Frage nach der Schwerbehinderung zulässig ? NZA 2003,S.301.

93) Joussen,Si tacuisses - Der aktuelle Stand Zum Fragerecht des Arbeitgebers nach einer Schwerbehinderung, NJW 2003,S.2860f.; Messingschlager, „Sind Sie schwerbehindert? “ -Das Ende einer

(18)

(un)beliebten Frage, NZA 2003,S.305.この原則の例外は、前述のとおり、特定の身体機能、精神的能力、 精神の健康が仕事の本質的で決定的な条件であるときである。これは、社会法典9編81条2項1号2文 から明らかになる。

94)Braun, a.a.O.(註4), S.69.

95)Preis, a.a.O.(註25), Rn.347; Joussen, a.a.O.(註93),S.2860. 96)Braun, a.a.O.(註4), S.69. 97)Thüsing/Lambrich, a.a.O.(註2), S.1149. 98)Ebenda. 99)たとえば、ドイツの立法者は、EC指令2000/78によって、雇用と職業に関して宗教、世界観、年齢、 性的志向を理由とする差別を禁止することを義務づけられている。そうすると、これまで一般的に許さ れるとみなされてきた、公務員の採用の場合のサイエントロジー(Scientology)という宗教団体の会員 であるかについての質問は、疑わしいものになり、年齢についての質問は、通常は許されないものにな るだろう、という見解がある(Thüsing/Lambrich, a.a.O.(註2),S.1152)。 100)Ebenda; Braun,a.a.O.(註4),S.71.

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