サンゴ片移植によるサンゴ群集創出における逐次多回移植法: 沖縄地域学リポジトリ
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(2) 名桜 大 学 総 合研 究 ,( 1 2): 3337 ( 2 00 8). 短. 軸. サンゴ片移植によるサ ンゴ群集創出における逐次多回移植法 西平守孝. Suc c e s s i vet r ans pl ant at i onofc or alpi ec e sc ol l e c t e d f r om t r ans pl ant e dc ol oni e s Mor i t aka Ni s hi hi r a. 劣化 したサ ンゴ樵やサ ンゴ群集 を修復す ることを目的 としてサ ンゴの移植が広 く行 なわれるようになって きた が,それには克服すべ き課題が ないわけではない。サ ン ゴの移植お よび移植 に際 して留意すべ き点 などに関 して は, す で にい くつ かの マ ニ ュ ア ルが公 表 され てい る ( Edwar dsand Gome z,2 0 0 7 ;海の 自然再生 ワーキ ング. 0 0 3 ) 。 日本サ ンゴ礁学会 はサ ンゴの移植 に グループ,2 関するガイ ドラインも公表 し (日本サ ンゴ礁学会 ,2 0 0 4 ) , 沖縄県への特別採捕許可 にあたっての提案 と要望 を公表. 0 0 4 している (日本サ ンゴ礁学会サ ンゴ礁保全委員会 ,2 a,b)0 サ ンゴの断片 を岩盤 に固定 ( 移植)す ることによって. 図 1.逐次多国移植法の概念図. サ ンゴ群集 を創 出することは可能であ り,移植 されたサ ンゴの小片が再固着 した後 に成長 した群体か ら再 びサ ン ゴ片 を採取 して再度移植 し,成長 させ ることも可能であ. て近 くに移植す ることは可能であるが,その ような方法. るOこのように,移植 したサ ンゴが成長 した群体 を ドナー. で移植 を順次繰 り返 し行 な うことを,逐次多回移植法 と. として,逐次何 回 も移植 を繰 り返す ことも可能である。. 呼ぶ ことにする ( 図 1)0. 逐次移植には利点 も問題点 もあるが,問題点は工夫によっ. この方法で移植 を行 なえば,移植 して育てたサ ンゴを. てある程度軽減で きると思われる。 ここでは,沖縄 島南. ドナー として使用す るため, 自然 に棲息 しているサ ンゴ. 部のサ ンゴ礁横地で行 なっている小規模 な実験の一端 を. を移植片採取 のために損傷することはない。 とはいえ,. 紹介 し,逐次多回移植法について述べたい。. 移植 したサ ンゴは既 に自然 に放 された もの と見 な される ため,移植 を行 なった者 に もその所有権 はない。試験研. 逐次多国移植法の考 え方. 究 として逐次移植 を行 な う場合で も,漁業調整規則 に基 づ く特別採捕許可が必要である。サ ンゴ礁保全への市民. 群体性のサ ンゴは,群体が分断 された小 さな破片か ら. 参画の必要性が認識 される現時点で も,市民活動 として. 無性的に増殖す ることがで きる。 この性質 を活か して,. はサ ンゴ片 を直接移植す ることはおろか,逐次 多回移植. サ ンゴの断片 を岩盤 に固定すれば,サ ンゴ片 は再固着 し. を行 なうことはで きないことに注意 しなければならない。. て成長す る。サ ンゴ片 を移植す ることによってサ ンゴ群. 逐次多回移植法が持つ利点 と問題点 と して,おお よそ. 集 を創出す る場合,サ ンゴ片 を入手す ることが不可欠で. 次の ことが考 え られる。利点 と しては , 1) 自然 に生育. ある。沖縄では,試験研究の場合 を除 き,海中で採取 し. している群体 を不必要 に損傷す ることが ない ,2) サ ン. たサ ンゴ片 を直 に移植す ることは,漁業調整規則の現在. ゴの′ ト片が容易 に得 られる,3)移植 によって,すでに. の連用 によって許可 されていない。移植 したサ ンゴが十. その場所で生育で きることが証明 された種が使 える,4). 分 に成長 した後 に,その群体か らサ ンゴ小片 を切 り取 っ. サ ンゴ片の準備や運搬が容易である,な どがある。問題. 名桜大学国際学部観 光産業学科. 〒9 0 5 8 5 8 5 沖縄 県名護市字為又 1 2 2 0 1. De par t me l l tOfTour i s m,Me l OUni ve r s i t y 1 2 2 0 1 ,Bi mat a,NagoCl t y,Oki nawa9 0 5 8 5 8 5 ,Japan e mai lmor i t aka@mal l . me 】 Ou. ac . J p. -33. -.
(3) 図 . 枝状ミドリイシのドナー群体からのサンゴ片の採 取と, 切断された傷口の修復 (八重瀬町具志頭浜)。 , ドナー群体の枝をニッパーで切断して移植片を準備。 矢 印は切断面を示す, 切断した枝の傷口の修復状況 図 . 移植後約 日経過後の成長したサンゴの状況. (切断後 ヶ月。 矢印は伸長した中軸ポリプを示す)。. (八重瀬町具志頭浜)。 , 急斜面に移植した枝状ミドリ イシの一種 ()・コモンサンゴの一種 (
(4) )・コノハシ コロサンゴ (), 成長した枝状ミドリイシの周りに. の後, 間をおいて追加移植した枝状ミドリイシとコモン サンゴの一種
(5) は, 生残していたコノハシ. 集まる魚。. コロサンゴとともに順調に成長した。 それらのうち, 枝 状ミドリイシは成長が特に速く, 移植後約 日に群体 点としては, ) クローニングを繰り返すことになる,. 幅が約
(6) になり (図 ), 魚をはじめとしてさまざ. ) 遺伝的多様性の増加の可能性が望めない, ) 一斉. まな動物が棲み込むようになった (図 )。 固定後およそ 日目には, 成長した枝状ミドリイシ. 死亡の可能性が高まるかも知れない。 それらの利点や問題点を十分に認識したうえで, ここ. の群体がドナーとして十分な大きさに達したと判断でき. では沖縄島南部の 地点で行なった予備的実験を紹介す. た。 それらの群体から, 他の枝を損傷しないように注意. る。. しながら, ニッパーを用いて移植のためのサンゴ片を採 取した (図 )。 サンゴ片を採取した枝はおよそ 週間 で切断面が修復され, ヶ月で中軸ポリプが突出して再. 八重瀬町具志頭浜の礁池における実験. び旺盛な成長を開始した (図 )。 サンゴの移植実験を行なった八重瀬町具志頭浜の礁池. 準備したサンゴ片は, 先に移植した群体の間を埋める. の概要は西平 () に述べた。 礁池の石灰岩壁の急斜. ように, バネ法によって岩盤に固定した (図 )。 これ. 面やほぼ垂直な面に, バネ法 (西平, ) によって枝. は, 前回移植したサンゴ片が少なく, 群体は大きく成長. 状ミドリイシ , コノハシコロサンゴ . したとはいえ, いまだサンゴの被度が低かったためであ.
(7). の 種のサンゴを移植した (移植片の大きさ. る。 移植したサンゴ片は約 週間で再固着し, 切断面を. は.
(8) 程度)。 すでに報告したように (西平, ),. 修復して中軸ポリプが伸長して成長を開始した (図 )。. 枝状ミドリイシでは移植直後に病気により死亡した。 そ. コモンサンゴの一種 (図
(9) ) は, 被覆状∼準塊. − −.
(10) 図 . コノハシコロサンゴのドナー群体と移植されたサ ンゴ片 (糸満市大度)。 , 急斜面に移植したコノハシコ ロサンゴと移植片 (太い矢印)。 細い矢印は移植した枝 図 . 枝状ミドリイシの逐次移植 (八重瀬町具志頭浜)。. 状ミドリイシの小片, , バネ法で固定したコノハシ. , ドナー群体とサンゴ片の移植位置 (●), 枝状ミ. コロサンゴ小片。. ドリイシの小片をバネ法で固定した様子 (右)。 左はド ナー群体の一部の枝。 所に移植してあった枝状ミドリイシの群体からもサンゴ 片を採取し, 同様に移植した (図 , )。 ミドリイシは 状で, 再固着した後は全群体が順調な成長を見せ, ミド. 順調に再固着し, 成長を続けている。. リイシに次ぐ成長速度であった (西平, )。 しかし, 群体上方への突出成長はあまり顕著ではなく, 群体が未. 逐次多回移植法の適用にあたって. だに被覆状で立ち上がりがないためにサンゴ片採取が難 しく, 逐次移植を行なわなかった。 コノハシコロサンゴ. 最初の移植に続く逐次多回移植法によってサンゴ群集. (図 ) についても, 小片の切り出しに無理がある. を創出し, サンゴ群集を保全する試みはこれまで行なわ. ように思えたため, 今回は逐次移植を行なわなかった。. れたことがなく, この実験が初めてのものである。 逐次 移植によって移植したサンゴ小片が十分に成長した後,. 糸満市大度の礁池における実験. それからサンゴ小片を採取して移植を繰り返えせば, 自 然に棲息しているサンゴに損傷を与えることなく, サン. 糸満市大度の礁池では, 移植した 種のサンゴのうち,. ゴの被度の増加速度を促進させることができる。 とは言. 枝状ミドリイシの一種は再固着して順調に成長したもの. え, 逐次多回移植法では, 創出する群集の遺伝的多様性. の, その後シロレイシガイダマシに捕食されて全滅した。. の単純化は回避出来ないため, 初期の移植片の由来の多. 一方, コノハシコロサンゴは一部に離脱や海藻による被. 様化やドナーからのサンゴ片採取数, および逐次移植の. 覆などが見られたものの, ほぼ順調に成長した (西平,. 頻度などに留意する必要があろう。 また, 種類組成や配. 未発表)。 詳細は別途報告する予定である。. 置の工夫も求められる。. コノハシコロサンゴがドナーとして十分な大きさに達 したと判断できたため, 採取したサンゴ小片を成長した. 創出したサンゴ群集の発達に伴って誘起される多様な. 移植群体の間にみられる空地にバネ法で移植した (図 . 生物の棲み込みにも留意して, 目的に沿った種の選定と. , , )。 得られたサンゴ片は小型であったため, 再. 配置を行なうことも必要になる。 さらに, 棲息場所の提. 固着には時間を要するようであった。 また, 近接した場. 供による水中景観の修復と共に, 配偶子や幼生の生産と. − −.
(11) その供給源としての群集を存続させることも, あながち. の速かった枝状ミドリイシの群体からサンゴの小片を採. 困難ではないと思われる。 そして, このような取り組み. 取して第 回目の逐次移植を行なった。 ドナーとなった. を, 多くの地域で, その地域のサンゴを用いて, 地域の. 群体は大きな損傷を受けることなく切断面を修復・再生. 人々が試みることによって, 多くの市民が自らの海を保. した。 移植した小片も切り口を修復し, 基盤に再固着し. 全しつつ活用していく活動へつなげることが必要である。. た後に順調に成長しつつある。 糸満市大度の礁池では,. 沖縄におけるサンゴの移植活動には, あらかじめ基盤 に着生させたサンゴでなければ移植できないという, 漁. コノハシコロサンゴと枝状ミドリイシの逐次移植も試み た。. 業調整規則の運用による制約がある。 一般市民がサンゴ. . この方法によれば, 自然に生育している群体をい. 礁の保全活動としてサンゴ移植を考えた場合, 移植可能. たずらに傷つけることなくサンゴ群集の創出を進められ. な条件を満たす養殖・畜養され基盤に付着させたサンゴ. る。 移植片が同じ群体から採取されるために, 遺伝的多. を購入しなければならないのは大きな負担であり, 市民. 様性の増加が望めないという点では, いくらかの問題を. の取り組みの道を実質的に閉ざしているように思える。. 含んでいる。 小規模な範囲を対象とする場合は, それが. これは市民レベルあるいはコミュニテイーレベルでサン. 重大な問題になる可能性は少ないと思われるが, 広い海. ゴ群集の保全に取り組もうとする場合, 決定的な障害に. 域を対象とする場合には, 初期に移植するサンゴ片の由. なっていることを認識しておきたい。 それはさておくと. 来を多様にしたり, 再移植の際にさまざまな種の移植片. しても, 将来にわたって移植に用いるサンゴの断片をど. が混在するように工夫する必要がある。. こからどのようにして入手するかは大きな問題となろう。. . 市民やコミュニティーレベルでサンゴ群集の創出. 逐次多回移植法では, 自然のサンゴを撹乱せず, 移植の. や保全に取り組もうとする場合に, 活動を制約している. ためのサンゴ片を得ることができるが, 最初に移植する. 問題点を述べ, その解決の一部となりそうなことについ. サンゴ片を入手する際の経済的負担と, 成長した移植群. て考えた。. 体をドナーとして使用する場合にも必要とされる採捕許 可が得られないため, 市民による意味のある移植活動は. 謝. 辞. 実現不可能である。 そのような限界はあるものの, ) 台風時に破壊され. 野外実験は, 亜熱帯総合研究所からの受託研究によっ. て, 海底, 特に砂礫底や砂泥底に散乱した小型のサンゴ. て行なわれたサンゴ礁修復技術実証試験終了後に, 引き. 破片 (巨大な破片は十分に生存の可能性がある), ) 定. 続きモニタリングを継続している群体を活用しておこなっ. 置網のロープやモズク養殖網の支柱などの漁業施設に着. た。 逐次多回移植法については, 年月の日本サン. 生した群体で, 施設維持清掃のために除去されて海底に. ゴ礁学会第回大会で一部を報告した。 また, 野外実験. 散乱した群体 , ) 許可された埋め立てや浚渫などで,. の潜水作業の全体を通して棚原盛秀氏に同行して頂いた。. 破壊され消失することが明らかなサンゴ群体などを活用. 大度の実験においては, 実験後半から週末のダイビング. することができるようになり, サンゴ片の直接移植と逐. の際にシロレイシガイダマシの駆除を行なっていただい. 次多回移植法の実施に許可ガ得られるようになれば, 市. た譜久里. 民レベルでのサンゴ群集保全への取り組みは一気にその. 謝したい。 逐次移植に用いたサンゴ片の採取は, 沖縄県. 勢いが増すであろう。. の特別採捕許可を得て行なった。 これらの方々と機関お. このような状況がいつ実現されるかわからない。 サン. 茂氏とそのダイビンググループの皆さんに感. よび 名の査読者の助言に感謝したい。. ゴ群集の荒廃が著しいといわれている沖縄で, 必ずその ような日が来ることを希望しつつ, 試験研究は間断なく. 参考文献. 続けられなければならないであろう。 .
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(17) $ # %. まとめ. &
(18) &. . . '((( . 移植したサンゴ片が十分に成長し, ドナー群体と して利用できる大きさに達した後に, その群体からサン. # ) # . 日本サンゴ礁学会造礁サンゴの移植に関しての ガイドライン. & **
(19) . + *+ .
(20) * . ゴ小片を採取して移植することを繰り返し行なうことに よってサンゴ群集を創出する方法を考え, 逐次多回移植. 日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会, 造礁サ. 法と呼ぶことにした。. ンゴの特別採捕許可にあたっての提案.. . 沖縄島南部八重瀬町具志頭浜の礁池において, バ ネ法を用いて固定したサンゴ群体のうち, もっとも成長. & **
(21) . + *+ .
(22) * 日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会, $造礁サ. − −.
(23) ンゴの特別採捕許可についての要望.. る移植サンゴ片の生存と成長 名桜大学総合研究. .
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(25). . . . () . 西平守孝. . 伸縮性素材を用いたサンゴ片の新たな. 海の自然再生ワーキンググループ 海の自然再生. 固定法 名桜大学総合研究() . ハンドブック−その計画・技術・実践− 第 巻. 西平守孝. . 沖縄島南部具志頭浜海岸の礁池におけ. − −. サンゴ礁編 ぎょうせい東京 .
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