周期的温度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導度(II) : 湿った球形ガラス粒体における実験
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(2) . 北海道教育大学紀要 (第2部A). 第20巻 第2号. 昭和45年1月. 周期的温 度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導度※ 1 1 . 湿 っ た球形 ガラス粒体における実験. 谷. 長. 川. 敏. 男. 北海道教育大学旭川分校物理学数室. l I Di托us i iv i i t Therma t t t Porous N1 cul a edf rom s Cal e s of 訳′e a er a Per i odi c Variation of Temperature i I G1 i l l cles ca ass Part . Experimentsjn vvet Spher Tos io HASEGAWA i kawa Branch do Un Depar i iver i i t of phys tmen ty of Educa t cs ahi s on , As , Hokka. 0月1 4年1 6日 受 領 昭和4. SI.. 緒. 言. )において 筆者は試料と して湿った砂を用い その上表面を Angstrom の方法によって周 前報1 , , 期的に加熱したとき, 試料中各層における温度伝導度の二種類の値 ”,p と に, A (添字 IP は温度 変化の1周期波の位相差か ら, IA は同じく振中比か ら求めたことをあ らわす) のくい違い が下層 へ行く につれてどの様に変わ って行くかを詳 しく調べ, これには明確な一般的傾向が存在すること を見出し, 更に K. A 両者の値のくい違いは主として試料中の水分の蒸発および凝結にともな p , K,. う時間的平均の吸熱・発熱効果によ って生ずる らしいことを明かに した.. その後, 多孔性物質の標準的試料としてよく用い られる球形 ガラス粒体を使用 して主なる点につ いて同様な実験を行ない, 大体において砂におけると殆ど同様な傾向 が存在することを確認すると. ともに, 補足する必要のある新しい事実をもみいだ したので, これらの結果について報告する,. S2.. 実. 験. 方. 法. 使用 した試料はよく水洗して乾燥 し 1 0 ,. たのち節で選別 し た 粒 径 0,22~0.32 mm の球形 ガラス粒子で, その真の比. 6 0 . C 媛. 493 で あ る, 試 料 容 器 と し て 重は2 .. Fi g .1 に示される密 封 容 器を使用 し. 0 1 , Q 1 . 1 0 ・. た, この容器は前報で述べた密封容器 と大体同じもの (塩化 ビニール製円筒 形容器に, 上から約 lcm 間隔で6 組. 0 1 ・. の 銅 ・ コ ソス タ ソタ ソ熱 電 対 が 挿 入 さ. れている) である が, 試料上表面の温. Fi g ,1 試. 共 前報 ( 1 0( 196 9 ) )21 , 長谷川敏男:北海道教大紀要 (第2部 A) , ,2 (53). 料 容 器.
(3) . 長 谷 川. 敏. 男. 度をなるべく均一にするために, その上表面を墨で黒く塗 っ た鋼板をフタとして用いている, この 0%になる様になるべく 試料容器に球形 ガラス粒子をバイ ブレーターを使って乾燥時の空孔率が35 . 一様に填め, 殆 ど乾燥状態の試料を除いては, ス プレーヤーを使ってほぼ空孔満水状態になるまで. 水を加えたのち何日も放置して自然蒸発させ, 適当な含 水率になった後, フタをして密封したもの を実験に使用 した.. 試料の加熱方法, 温度変化の測定方法, 温度伝導度の計算方法, 試料中の容積含水率分布の測定 方法などは前報で述べたと殆 ど同様である.. S3 , 実験結 果とその考察 前報で述 べた様に, 湿 った砂における実験では開放容器, 密封容器のいずれを使用 した場合でも 得 られた に. p と K.A のく い違いの傾向は殆 ど同様であ ったので, 便宜上この実験では密封容器の. みを使用 して, 試料中の時間的平均温度勾配が小さい場合と大きい場合の両 グル ー プについて, そ れぞれ平均容積含水率が約0 .10 ,5 ,20%の各試料において実験を行なってみた, Table l 試料中の時間的平均温度勾配の小なる場合 Tab l e2 試料中の時間的平均温度勾配の犬なる場合 試料 層 番号. 1 2. ) (1. 3 4 5 1 2. 2 ) (. 3 4 5 1 2. 3 ( ). 3 4. β. oC) (. 50 ,8. 48 ,2. 45 ,9 43 ,8. 41 .8 53 ,1. 51 ‘8 50 ,5 49 .2 48 ,1 53 .3. 52 ,1 50 ,9. 49 ,8 5 48 ,8. 1. 2. 4 ( ). 3 4 5. 51 ,6 50 ,4 49 ,2 48 .1 47 .O. 試料 層 【 五 【 p l IA / / )( ) 番号 (%) (cm2 s e c cm2 s ec. 夢. 0 ,5 0 .3 0 .2 0 ,2. 3 ‐ - 1 ,3×10 < 1 ,7×lo 1 9 1 8 < , , 1 < 2,8 ,9. 1 2. ′ ) (1. 3 4. 0 ,I. 3 ,4 6 ,5. > 2.O > 1,6. 5. 3 ,2 3 .4. 6 ,4 4 ,4. > 5,7 > 4.O. 2. 3 .8 3 ,9. 3 ,7 3 ,2. < <. 4 .1 4 ,1. 3 .9. 3 ,1. < 5,9. 3 ,9 5 ,1. 5 ,0 4 ,0. > 4.1 > 3,5. 3 .0 2 ,1. < < 6.9. 4 ,6 4 ,1 3 ,6 2 .7 2 ,5. > 4,2 > 3,3 > 2,8. 7 .0 8 .6. 11 ,0 8 ,9 10 ,6 14 ,9. 21 .5 25 .4. 3 ,9. >. 3 ,6 3 ,5. 1. ′ 2 ( ). 3 4 5 1 2. ′ (3 ). 3 4 5 1 2. ′ 4 ( ). < 4.9 < 5,8. 3 4 5. β. の. て P I. 充 て IA. 51 .3. 0 ,3 0 .2. 3 1 ,8×1『 < 9 1 < ,. 2 ,7×10‐ 2 ,3. 0 .3. 2 ,0 5 .2. < 2,2 > 2.2. 44 3 ,9 3 .7. < 6.6 < 5,1. oC) (. 46 .5 41 .3 36 .4 31 ,5 53 ,9 50 ,O 45 ,7 41 ,4. 36 ,8 53 ,6 50 .O. 46 ,2 42 ,3 38 ,4. 52 .6 49 .1 45 ,1 41 .3 37 .5. / ) )( / c s ec cm2 (%) (cm2 S e. 0 .2 0 ,3 3 ,2 3 .9 3 .9 3 ,9. 1 ,9. 4 ,6. 3 .5 3 ,6. 5 ,3 6 .2. 4 .2. 5 .9 6 .8 9 ,9 7 .2 10 .0 13 .6. 19 ,9 25 ,2. 4 ,3. 3 ,9 3 ,5. 2 ,3. 3 .8. <. 2 ,4. < 5.4 <. 5 ,6 9 ,6. <. 6 ,6. <. < 4,9 < <. 4 ,8 4 ,4. <. 6 .4. <. 4 .8. 3 .7 4 .0. < 4,6 < 4,8. 3 ,7. < 5.6. 3 ,8. <. 5 ,O. 実験結果の要点は Table l 及び Table 2 に示される. 両 グルー プの試料中の時間的平均温度分 e 2 にお 布及 び容積含水率分布はそれぞれ Fi g ,2 及び Fig.3 に 示 さ れ る. Table l 及び Tabl ける げ は各層の時間と深さについての平均温度を, ヂ は同じく平均容積含水率をあ らわす, これ らの実験結果から, K, p と にー△ の大小関係 が第1層か ら下層 へ行くにつれて どの様になっ て い る か を 調 べ て み よ う. た だ し, g, p> Kしb k, p< Kい の 各 々 を そ れ ぞ れ P 及び A の記号であ らわ す こ と に す る. (54).
(4) . 周期的温度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導度. . \\. . ( - ’. . \ \ 、 (2つ \. (1). \ \ \ \ ) 1′ 5 ド. ). Fi g ,2 試料中の時間的平均温度分布 P--P--A - A. Fig .3 試料中の容積含水率分布. 試料中の時間的平均温度勾配が小なる場合. 平均含水率が0%に近い試料 ( 1 ) では, 奇妙なこと に A-A-A-P-P 型を示 し, しかも含水 率は上部程 高くなっている. この傾向は前 報で述べた湿っ た砂に おける結果とは全く異なった新 しい事実 である . 平均含水率が5%以上の ( 2 4 )~( ) の試料では, P-. --P - -A-A-A 型で湿った砂の場合と大体同じである 併 し 湿 った砂の 型又は P . ,. 場合に見 られた様な高含水率分布になるにつれて下層から順次 P が A に逆転する傾向は認め られ な い.. 2 ( ) 試料中の時間的平均温度勾配が犬なる場合 ′ 1 平均含水率が0%に近い試料 ( ) では A-A-A-A-P 型を示 し, 前述の試料 ( 1 ) の場合と A P が に逆転している. 試料中の含水率は上部から下部にかけてほぼ 似ているが, 更に下の層で 同 じで あ る,. ′ ′ 2 4 平均含水率が5%以上の ( )~( ) ではすべて A-A-A-A-A 型を示している, 湿 った砂に おいては, 試料中の時間的平均温度勾配を大きくするにつれて次第により 上層まで A に変わる傾 向があっ たが, 少なくとも第1層では P を示 し, この様に最上層ま で A となる例は全くみいださ れ な か っ た,. 次にこれらの結果について考察してみよう. そのために筆者は前報で述べ たと同じ方法 で 20oC における試料空孔内水蒸気の相対湿度と容積含水率との関係を調べてみた, その結果は F i g .4に示. される, この図か ら判る様に, 容積含水率約0 5%以下では試料の空 孔中の水蒸気は不飽和である. . o ) 温度変化測定時 における 温度が 50 C 位になってもこのことは殆ど変わらないはずであるから2 , 試料中の時間的平均の状態を考えると, 含水率約 0 5 %以下の層で は水蒸気が不飽和であっ たと考 , えられる. またこれ以上の含水率分布をもつ試料においても, 水蒸気の拡散の ために上部は水蒸気 (55).
(5) . 長 谷 川. 敏. 男. の不飽和領域となり, 下部は過飽和領域となるもの と考 えられる, 従って, 前報で述べ た推定が正 しいならば,. 5%以下の各層では常に K,p> K・A 含水率約 0 . , またこれ 以- ヒの含水率分布をもつ試料においては, 試料中の時間 的平均温度勾配 が小さいときには, 上部の各層で K・ p>. K. △ となり, 時間的平均温度 p<K. A , 下部の各層で K. 勾配が大きくなるにつれて次第により上部の層において もこの大小関係が逆転することが予想される, さきに述 べた様に, 本報の実験結果を調べてみると,. 5%より高い含水率分布をもつ試料では 大体予想通 約0 .. りの結果 が現われている. しか し, 時間的平均温度勾 配 4 2 が小さいとき (試料 ( ) ) )~( , 湿った砂の場合とは異 なって, 高含水率分布になるにつれて下層か ら 次 第 に に. A なる大小関係が逆転 して行くのが認められな p> K,. かっ たのは, 一つは砂の場合に比べて実験 データが少な. い こ と, も う 一 つ は 前 述 の Fi g.4 の結果か ら 判 る 様. に, 湿 っ た球形 ガラス粒体では砂に比べて試料空孔内水 蒸気が飽和状態になりやすく, これが一寸した動機で過 飽和状態に移行するので, 比較的低含水率分布の試料に. ) 〆%. Fi g ,4 試料空孔内水蒸気の相対湿度と. 容積含水率との関係. おいても下部の二三の層で K・ A の大小関係の逆 p と K. 転が起りやすく, このため比較的弱い含水率効果 が消さ. れてしまったのではないかと考え られる, 時間的平均温 ′ ′ 4 2 ) ) )~( 度勾配が大きいとき (試料 ( , 砂の場合と異. なって, 第1層においてさえ逆転が起こっているのは, この第2の原因が効 いているためと思われ る. しかし, この場合でも第1層の上部は恐 らく水蒸気の不飽和領域となっ ているであろう,. ′ 1 1) 及び ( )) では, さきに述べた予想に全 5%以下の含水率分布をもつ試料 (試料 ( 一方, 約 0 , と 同じ水蒸気の不飽和状態とい が現われている しかしよく考えてみる く反する結果 っても約 , , 5 %以下の含水率分布の場合とこれ以上の含水率分布の場合とでは本質的に異なるものがある 0, , ) 後者においては 時間的平均温 前者においては主 として水蒸気の吸着及び脱難が起こりうる3 . , 度勾配 が存在するために,水蒸気密度の高い上部か ら低い下部へ水蒸気が拡散 して行くので,上部に. 生じた水蒸気の不飽和領域では蒸発が起こり, 下部に生じた過飽和領域では凝結 が起こるはずであ 5 5%以上の含水率分布における水蒸気の不飽和領域は蒸発領域であり, 一方, 約0 る. 即ち, 約 0 . . %以下の含水率分布領域は水蒸気の吸着領域になることもあるし, 逆に脱離領域になることもある と考え られる. 湿 っ た砂においても約3%の含水率を境として同じことが考え られる, しかし, 前 報の実験では約 3%以下の含水率分布を示す第 1~第5層は一般に脱離領域であって, 脱離した水. 蒸気は拡散 して更に下方に至り, 吸着又は凝結 したものと考え られる. 本報の実験結果を調べてみ. 1 ) では含水率は上へ行く程大きくなっている, 周期的加熱開始前の試料は上か ら ると, 特に試料( 下まで含水率が大体一様であったはずであるか ら, 加熱中に下部の球形ガラス粒子か ら脱離した水. 蒸気が次第に上昇して上部に至りガラス粒子に吸着し, 温度変化測定時においても同じ状態が続い ていたのであ ろう, 即ち, 試料上部は吸着領域, 下部は脱離領域となっていたものと考え られる, ′ 1 試料( )では, この点は っきりしない が, 温度伝導度の データか ら考えて, 多分同様な状態になっ (56).
(6) . 周期的温度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導度 て い た も の と 思われる. , 従っ て, 湿った砂及び湿った球形 ガラス粒体における実験結果か ら 試料中の時間 的平均の状態 , における水蒸気の蒸発領域及び脱 離領域では Kp> に 凝結領域及び吸着 領域では K <K △ . . p A と , ・ I な る ら しい こ と が 考 え られ る そ れ 故 虻 p と に の値のくい違 いが生ずる主 ご . 原因は . A く低い , , , 含水率領域では脱灘・吸 着 より高い含水 率領域では蒸 発,凝結にともなぅ時間的平 均の吸熱,発 , , 熱効果 であると 考え られる .. S 4.. 結. 論. 湿った球形 ガラス粒体を試料と して その上表面を周期的に加熱 したとき , , 試料中各層 における ‐ 温度伝導度の二種類の値 忙. K と のくい違いが 下層 A p へ行くにつれてどの様に変わって行くかを . 調べる ために, 前報で述べたとほぼ同様な方法で主なる点について実験を行な ってみた, その結果 みいだ された主 なる事実は次の通りである . 1 ( ) ごく低い含水率分布の場合を除 いては 得られた に と 忙 のくい違いの傾向 は湿っ た A p , , . 砂における傾向とほぼ同じである ただし 湿った砂の場合に比べて 多少 に <” となりやす . , p A . . , い傾向が認め られる . 2 ( ) ごく低い含水率分布の場合 (容積含水率約05%以下 湿 た砂における約3%以下 と対応 . っ , する) には, 湿っ た砂における結果と全く異なって 試料上 部の各層では 忙 p<に. △ , , , 下層に至 っ てこの関 係は逆転する, これ ら及び前報の実験 結果の検討か ら 瓦 と K の値のくい違いが生ずる主 p △ 原因は, ごく低 . , . い含水率領域 では水分の脱離・吸着 より高い含水率領域では蒸発・凝結にともなう 時間的平均の , 吸熱・発熱効果であるらしいことを明らかにした . 終りに, いろいろ助言して下さった当教 室沢田孝土教授に厚く御礼申上げます , 文. 献. 1 ) 長谷川敏男:北海道教育大学紀要 (第2部 A)20(1969)21 . 2 ) 福田仁志;応用物理 25 (1956) 507,. 3 ) A.A, ロー ジェ:土壌と水 (東京大学出版会 1963 )p , ,28 ,.
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