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仰 岳 会 支 部 会 員 登 録 のお 願 い 現 在 組 織 されている 支 部 地 域 に 勤 務 または 居 住 しながら 支 部 に 会 員 登 録 をされていない 方 は 該 当 支 部 連 絡 先 までご 登 録 願 います 支 部 地 域 在 住 の 会 員 相 互 の 親 睦 と

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(1)

  岳      会 第 四 十 七 号 平 成 二 十 八 年 五 月

山門(井波彫刻)

雨晴にて

こう

  岳

がく

  会

かい

富山大学工学部同窓会

〒930-8555 富山県富山市五福3190 (富山大学工学部内)  TEL・FAX(076)445-6704(直通) E-mail tkougaku@eng.u-toyama.ac.jp ホームページ http://www3.u-toyama.ac.jp/tkougaku/

会 報

第47号

総合教育研究棟を活用した新たな教育研究

特 集

(2)

 第47号「仰岳会」会報の表紙絵並びに裏表紙絵は,本会報の顔としてすっかり定着致しました,富山市在 住の切り絵作家である岩田長峰(いわたちょうほう)氏による作品です。富山の風景を力強く美しく切り取 る氏の切り絵を用いた会報表紙は,毎年多くの好評を頂いております。  今号の表紙絵は,高岡市にある雨晴海岸を題材としたものです。かの源義経一行が奥州へ落ちのびる途中, にわか雨の晴れるのを待ったという話が「雨晴」の由来となっています。同海岸からは晴れた日に富山湾越 しに3000m級の立山連峰をみることが出来るのですが,船に乗らないで海と山とを同時に眺めることが出来 る場所というのは実は大変珍しく,この景色をカメラに収めようと,地元はもとより全国からもカメラ片手 に多くの方が訪れます。今号の表紙切り絵のように,雪の積もった立山連峰と荒々しい日本海の波という両 方の条件が揃う時期といえば冬季しかありません。しかしながら冬場に立山が綺麗に見える日が少ないこと は,かって本学に在学されていた皆様には十分ご承知のことと思います。そのあまりお目にかかれない絶景 を,女岩を中心とする美しい構図で今回切り絵にしてくださいました。日本海,立山,空のそれぞれ微妙に 異なる青の色使い,立山連峰の雄大さと日本海の波の荒々しさにもご注目いただければと思います。  裏表紙絵は南砺市井波地方の瑞龍寺にある山門(県指定文化財)の見事な彫刻を題材としたものです。高 さ17.4メートルの重層の総ケヤキ造りの見事な山門を飾る数多の彫刻の中で,特に切り絵の「波に龍」は, その構図のダイナミックさと奥行き感が見事な作品であり,明治12年の大火の時には近くの松に登って水を 吐いて焼けるのを防いだという言い伝えまでもあるほどです。その「波に龍」の彫刻を,周囲の美しい模様 と一緒に切り絵にしてくださいました。なお,この山門はもとより瑞龍寺境内,そして井波の町のいたると ころに彫刻作品がたくさんあるのですが,どの作品を見てもどうやって木を彫って作ったのかと驚くばかり です。まだ実物をご覧になったことのない方は,ぜひ一度ご覧になって欲しいと思います。  以下,多大なご協力を頂いております岩田氏のプロフィールをご紹介すると共に,ここに深く感謝申し上 げます。 岩田長峯(切り絵作家)プロフィール  1949年 富山市生まれ  1995年 第3回富山クリエーター大賞受賞      3月まで富山美術工芸専門学校と富山県大島町絵本館で広告美術や絵本創作の特別講師を務める  1997年 ふるさと切手『おわら風の盆』郵政省から発行  1999年 ふるさと切手『合掌造りとこきりこ踊り』郵政省から発行    2002年 絵入り官製はがき『おわら風の盆』郵政事業庁から発行  2003年 ふるさとかるた『となみ野紀行』砺波JCから発行  2004年 ふるさと切手『おわら風の盆Ⅱ』郵政公社から発行  2005年 絵入り官製はがき『おわら風の盆Ⅱ』郵政公社から発行  2007年 ふるさと切手『おわら風の盆Ⅲ 舞』郵政公社から発行  2008年 絵入りはがき『おわら風の盆Ⅲ』日本郵政から発行  現   岩田長峯切り絵デザイン事務所代表、富山市民大学講師を務める 主な作品『越中八尾三部作』、『郡上おどり』、『いきいき富山』のポスターやサッポロビールのラベルデザイ ン、高岡駅地下商店街のアートシャッターデザイン等がある。 (記:高松 衛)  現在組織されている支部地域に勤務または居住しながら、支部に会員登録をされていない方は該当 支部連絡先までご登録願います。支部地域在住の会員相互の親睦と資質の向上、支部活動の活性化に 皆様のお力添えを宜しくお願い致します。 北海道支部 支部長:真田雄三 東北支部 支部長:吉岡良雄 関東支部 支部長:水野義嗣 所属県名 :北海道(所属人数:41名) 支部連絡先:西野 守彦 / 企画・庶務担当   / m-nishi-@kk.iij4u.or.jp       綿谷 基樹 / 会計担当      / m-wataya@basil.ocn.ne.jp 所属県名 :福島,宮城,岩手,山形,秋田,青森(所属人数:126名) 支部連絡先:吉岡 良雄 / 支部長       / slyoshi@hirosaki-u.ac.jp       杉澤 正則 / 会計幹事      / masanori-sugisawa@allied-material.co.jp 信越支部 支部長:青木正紘 富山支部 支部長:有馬秀雄 石川・福井支部 支部長:村 弘行 東海支部 支部長:高山光直 関西支部 支部長:吉田俊朗 中国支部 支部長:吉田英人 四国支部 支部長:喜多功司 九州支部 支部長:木下智見 所属県名 :新潟,長野(所属人数:561名) 支部連絡先:青木 正紘 / 支部長       / aoki.masahiro@sea.plala.or.jp       塩浦 時宗 / 副支部長      / mshioura@hb.tp1.jp 所属県名 :東京,茨城,群馬,栃木,千葉,神奈川,埼玉,山梨(所属:1,553名) 支部連絡先:水野 義嗣 / 支部長       / fwgj3805@nifty.com 所属県名 :富山(所属人数:5,967名) 支部連絡先:有馬 秀雄 / 支部長       / arima.hideo@sea.plala.or.jp 所属県名 :石川,福井(所属人数:3,184名) 支部連絡先:村  弘行 / 支部長       / mura@jobcafe-ishikawa.jp 所属県名 :愛知,岐阜,三重,静岡(所属人数:2,586名) 支部連絡先:杉浦 浩一 / 幹事事務局     / kynj@snow.plala.or.jp 所属県名 :大阪,京都,奈良,兵庫,滋賀,和歌山(所属人数:1,428名) 支部連絡先:吉田 俊朗 / 支部長       / yoshidafam@ktf.biglobe.ne.jp 所属県名 :岡山,広島,鳥取,島根,山口(所属人数:132名) 支部連絡先:大根 世紀 / 副支部長      / zenroku_seiki@yahoo.co.jp 所属県名 :香川,愛媛,徳島,高知(所属人数:69名)       喜多 功司 / 支部長       / k-kita@shokokai-kagawa.or.jp 支部連絡先:相根 博道 / 副支部長      / n-sagane@ceres.ocn.ne.jp       竹上 隆也 / 会計委員      / takegami@aqua.plala.or.jp 所属県名 :福岡,佐賀,長崎,熊本,大分,宮崎,鹿児島,沖縄(所属人数:103名) 支部連絡先:木下 智見 / 支部長       / kinopy@wak.bbiq.jp       得田 邦洋 / 副支部長・庶務幹事 / fqxfh645@yahoo.co.jp       宮原  敬 / 会計幹事      / miyachan-mae5815@car.ocn.ne.jp       松倉慎一郎 / 庶務幹事      / matukura60@mms.bbiq.jp ※所属人数は2016年3月時点

仰岳会支部会員登録のお願い

(3)

仰 岳 会 会 員 各 位

仰岳会会長 

棚邉 一雄

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。  さて、平成28年度仰岳会通常総会を、関東支部と合同で下記の通り開催いたします。あわせて講演 会および懇親会を催します。会員の皆様にはお誘い合わせのうえ、多数のご出席を賜りますようお願 い申し上げます。 敬具 記 日    時  平成28年7月30日(土) 午後1時より   場    所  東京国際フォーラム ガラス棟会議室6階 G610号室         〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-5-1         ℡ 03-5221-9000   本 部 総 会  午後1時より   関東支部総会  午後2時20分より   講  演  会  午後3時より   ・講  師:古城 紀雄 氏(大阪大学名誉教授)   ・講演題目:「次世代へ向けての人材育成」   ・講演要旨:大学には学生を優秀な人材に育成して輩出することで社会に貢献する責務がありま す。受け入れる社会にとしても、どのような人材が今求められているかを明示する 役割を果たさなければなりません。各大学では様々な目標を掲げて特徴ある特性を 有する学生・院生の教育に邁進しているようです。具体的には、従来の人間力醸成 に加え、今日のグローバルな社会を生き抜くための「国際性の涵養」の特化した教 育方針が各大学で打ち出されています。ここでは人間力・国際力醸成の流れを、「大 学における国際交流の推進」を中心に概観し、これの効果及び問題点を共有し、優 秀な後輩の輩出への期待につなげたいと思います。   ・講師略歴:昭和42年3月 富山大学工学部金属工学科卒業         昭和44年3月 大阪大学大学院工学研究科冶金学専攻修士課程修了         昭和44年4月 大阪大学工学部助手         昭和56年9月 工学博士(大阪大学)、米国南カリフォルニア大学上席研究員(1年間)         平成6年6月 大阪大学留学生センター教授・大学院工学研究科マテリアル生産科 学専攻担当教授兼任、平成17年4月より同センター長(平成20年3 月まで)         平成19年10月 大阪大学世界トップレベル研究拠点免疫学フロンティア研究セン ター教授兼任(平成25年3月まで)         平成20年3月 定年退職         平成20年4月 大阪大学名誉教授   ・専門分野:材料組織制御学、超塑性材料工学、留学生教育学   懇  親  会  会場 レバンテ(東京国際フォーラム地上広場Aブロック2階)         午後4時10分より   会費 7,000円          (平成26年3月~平成28年3月卒業生は懇親会費無料) ※6月24日(金)までに出欠を綴じ込みハガキにてお知らせ下さい。 以上

平成28年度 仰岳会通常総会・講演会および懇親会のお知らせ

(4)

JR東京駅 JR有楽町駅 ●丸ノ内線 銀座駅 外堀通り ●日比谷線  銀 座 線 銀座駅 ●日比谷線  日比谷駅 ●三田線 日比谷駅 D C B A ★

G

●千代田線 二重橋前駅 ●銀座線 京葉駅 日比谷通り ● JR京葉線 東京駅 ●有楽町線 有楽町駅 千代田線● 日比谷駅  晴海通り 東京国際 フォーラム

仰岳会 関東支部会員各位

仰岳会関東支部長 

水野 義嗣

 新緑の候 会員の皆様には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。

 日頃は関東支部の活動に、ご指導・ご鞭撻を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、第9回関東支部総会・講演会および親睦会を本部総会と併せて開催することとなりました。

つきましては、何かとお忙しいこと存じますが、新入会員、友人・同期の方などお誘いの上、多

数のご出席を賜りますようご案内申し上げます。

 詳細は、前項の本部総会案内をご参照ください。

総会会場:東京国際フォーラムG棟6階610号室(地下1階からエレベータ)

懇親会場:東京国際フォーラムA棟2階 レストラン「レバンテ」

◎JR線

JR有楽町駅より徒歩3分

       東京駅より徒歩5分(京葉線東京駅と地下1階コンコースにて連絡)

◎地下鉄   ・東京メトロ有楽町線:有楽町駅と地下1階コンコースにて連絡

       ・日比谷線:銀座駅より徒歩5分/日比谷駅より徒歩5分

       ・千代田線:二重橋前駅より徒歩5分/日比谷駅より徒歩7分

       ・丸ノ内線:銀座駅より徒歩5分

       ・銀座線:銀座駅より徒歩7分/京橋駅より徒歩7分

       ・都営地下鉄三田線:日比谷駅より徒歩5分

仰岳会本部総会ならびに仰岳会関東支部総会開催のご案内

(5)

仰岳会会員名簿第17号発刊

 日 時 平成28年9月10日(土)  場 所 大博多ビル 12階 リファレンス貸会議室「SMR1205」  福岡市博多区博多駅前2-20-1 大博多ビル12階 頤和園(イワエン)前  (JR博多駅博多口より大博通りを直進、日航ホテルを経由して、徒歩5分)  総 会 15時より  講演会 15時40分より  〈演題〉『病みつきになった博多祇園山笠』  〈講師〉石 塚  智 様      *昭和51年度富山大学工学部電気工学科修士課程修了      *九州大学歯学部助手       および九州工業大学大学院准教授を歴任      *学術博士  懇親会 17時~19時  会 費 4,000円  ご案内 7月上旬に案内書を送付し、出欠の確認をさせて頂きます。  連絡先 庶務担当幹事 得 田 邦 洋 e-mail fqxfh645@yahoo.co.jp        ☎ 0940−36−2710   仰岳会名簿17号を平成29年10月に発行致します。名簿の整理から発行まで㈱サラトに委託しております。

(平成29年1月)

4,650円(送料・税込み)

約24,800名 40 A4判、約660頁

平成29年10月下旬発刊予定

第5回仰岳会 九州支部総会・講演会及び懇親会のお知らせ

(6)

 富山大学工学部とほくりく技術士未来研鑽会の共催で,技術士試験受験講習会を開催いたします。本年度か ら新団体のほくりく技術士未来研鑽会が発足し,北陸技術士懇談会富山県支部より,受験講習会事業を引き継 ぐことになりました。現在,講習会時の講師以外に,複数の建設系技術士や複数の技術部門の技術士も含めて, 多彩なスタッフを準備中です。 1.平成28年度(2016年度)技術士第二次試験受験講習会実施予定   1-1.第1回受験講習会(受験願書と勉強方法講座)        2016年3月19日(土)実施済  13 : 00~17:00 講習会(願書添削付)  17 : 30~19 : 30 交流会:富山駅近辺   1-2.第2回受験講習会(筆記試験の模擬試験(論文試験のみ))        2016年6月18日(土)予定    13:00~18:00 筆記試験模試(論文添削付)        18:30~20:30 交流会:富山駅近辺   1-3.第3回受験講習会(口頭試験指導:筆記試験合格者)        2016年11月下旬頃,富山駅近辺で開催予定  13:00~17:00 口頭試験模試        17:30~19:30 交流会:富山駅近辺 2.受講料:各講座6,000円(後日添削指導等込),交流会会費:4,000円程度(希望者のみ) 3.お問合せ:ほくりく技術士未来研鑽会 事務局 富山県高岡市福岡町矢部790-8        TEL(0766)64-8821   e-mail:hokugiken@atec-1.com        技術士受験講習会事務局担当:岩田清幸 e-mail:iwata.kiyoyuki@gmail.com ※受講を検討される方は,氏名,所属,連絡先を記載の上,上記の事務局へe-mailでご連絡ください。日程決 定後に,講習会のご案内を送らせていただきます。  仰岳会では以下のホームページを通じて最新情報をお知らせしています。是非ご覧ください。 http://www3.u-toyama.ac.jp/tkougaku/

富山大学工学部とほくりく技術士未来研鑽会共催

技術士受験講習会のお知らせ

仰岳会ホームページのお知らせ

(7)

仰 岳 会 会 報

第 47 号

仰   岳   会

〒930-8555 富山県富山市五福3190

(8)

目   次

《巻 頭 言》  ご挨拶………仰岳会会長 棚邉 一雄(1) (機械 昭和44年度卒) 《ご 挨 拶》  教える事・忘れる事………富山大学工学部長 堀田 裕弘(2) 《寄贈報告》  総合教育研究棟への寄贈の報告………仰岳会副会長 平澤 良男(3) (機械 昭和52年度修了) 《総合教育研究棟を活用した新たな教育研究》  Active-Learningと質保証を採り入れた産学連携による次世代ハイパーエンジニア養成プログラム 機械知能システム工学科 教授 川口 清司(4)  材料機能工学専攻 多国籍外国人講師による大学院授業の始動 材料機能工学科 教授 松田 健二(7) (金属 昭和62年度修了)  富山大学総合教育研究棟(工学系)について………知能情報工学科 准教授 高松  衛(9) (博シ生 平成11年度修了)  《寄  稿》  今井直明先輩の特別講義 鋼製部品の高速流水による焼き入れ技術 材料機能工学科 教授 柴柳 敏哉(11) 《講演会だより》  金属文化財の材料科学   ― 卑弥呼・三角縁神獣鏡の由来を求め,そして金属文化財科学の立場から得られたこと ― 講師:アジア鋳造技術史学会・会長/富山大学・名誉教授       大阪府立大学・客員研究員/㈱中村超硬・技術顧問  横田  勝(12) 《大学だより》  退任教員の挨拶   退任にあたって………環境応用化学科 教授 北野 博巳(20)  新任教員の紹介   着任にあたりて………先進電力システム(北陸電力)寄付講座客員助教 小出  明(21)   着任にあたりまして………機械知能システム工学科 助教 太田 俊介(21)  卒業祝賀会   平成27年度 富山大学工学部卒業・大学院理工学教育部修了記念祝賀会………(22) 《同窓会だより》  富山大学工学部金属工学科第17回卒業生同期会 ………池野  進(24) (金属 昭和43年度卒)  工学部工業化学科38会 同級会(昭和37年度第11回卒業生同級会) ………武部 幹夫(25) (工化 昭和37年度卒)  昭和41年度機械工学科 鎌倉同期会………西村 裕之(27) (機械 昭和41年度卒)  富山大学工学部 三原・田代研究室 同窓会 機械知能システム工学科 技術専門職員 桐  昭弘(28) 特 集

(9)

(電気 昭和46年度卒)  昭和47年度工業化学科卒業同窓会………乗京 逸夫(30) (工化 昭和47年度卒) 《本部だより》  平成27年度仰岳会総会報告………(31)  平成26年度 事業報告………(31)  平成27年度 事業計画………(32)  平成26年度 決算報告………(33)  平成27年度 予算………(33)  平成27年度 仰岳会役員名簿………(34) 《学生支援活動》  平成27年度 学生支援活動等の報告 ………(35)   学生の感想    模擬面接を受けてみて………材料機能工学科 3年 中村 直人(36)    企業見学の感想………電気電子システム工学科 3年 橋本 裕太(39)    平成27年度3年生合宿研修感想………知能情報工学科 3年 宮條  晃(39)    工場見学の感想………機械知能システム工学科 3年 渥美  樹(39)    企業見学の感想………材料機能工学科 3年 牧田 悠暉(39) 《支部だより》  東海支部………(40)  関東支部………(43)  関西支部………(45)  富山支部………(48)  石川・福井支部………(52)  信越支部………(55)  東北支部………(57)  中国支部………(59)  九州支部………(61)  北海道支部………(63)  四国支部………(65)  支部会計報告………(67) 《寄付について》 ………(68) 《事務局だより》  原稿募集・広告掲載のご案内………(70)  新入会員名簿(氏名及び卒業学科) ………(71) 《編集後記》 ………(74) 《広告》 ………(75) 《表紙説明》  会報表紙説明(岩田長峯氏の紹介)

(10)

 会員の皆さまにおかれ ましては、益々ご健勝に てご活躍のことと心より お慶び申し上げます。  又、日頃は仰岳会の運 営に対しまして、暖かい ご理解とご支援を賜り厚 く御礼申し上げます。  さて、昨今の日本経済は「アベノミクス」に より、円安・株高が進み、大企業を中心として 収益の大幅な改善が進んでいます。日本政府は、 この恩恵を中小・小規模事業所にまで行き届く よう切れ目のない対策を打っておりますが、そ の成果が出るにはもう少し時間がかかりそうで す。中国経済の減速も気になるところです。  又、昨年3月の「北陸新幹線開業」を機に「富 山」の話題がマスコミにも頻繁に取り上げられ るようになりました。我が富山大学におきまし ても、首都圏からのアクセスが良くなることか ら、県外学生の募集にも力を入れ、大学の魅力 を測るひとつの指標でもある「競争倍率」も3 倍を維持しているようです。この倍率を今後と も維持するためには、富山大学の魅力を広く全 国に発信していかなければなりません。  母校・富山大学の魅力を更に高めるためには、 高度な教育内容に加えて、「魅力ある教育環境」 の整備も必要であると考えます。  このようなニーズを先取りして、堀田学部長 をはじめとする大学の諸先生方のご尽力により、 昨年「新講義棟」が完成し6月より運用を開始 しました。新講義棟で学ぶ学生の表情の中には、 今までにない活力を感じることができます。教 育環境の向上が学生の質を高める事を身をもっ て感じる昨今です。  私たち同窓会と致しましては、今後とも教育 環境の充実に向けた支援を継続していきたいと 考えております。  おかげさまで、昨年は皆さま方から多額のご 芳志を戴き、備品の充実に当てさせて頂きまし た。誠にありがとうございました。又、昨年の 総会では「工学部移転」に伴う基金の残額を、 施設の充実のために活用することを承認いただ きましたので、学内委員の先生方に協議いただ き、新講義棟の屋上を「憩のテラス」にする事 と致しました。本会報におきましても、その一 部を紹介させていただきますが、大学にお立ち 寄りの節はぜひ足をお運びいただきたく、よろ しくお願い申し上げます。  昨年は東海支部の皆さまが大学を訪問し、学 部の先生方・在校生の皆さんと意見交換・交流 会を実施して頂き、大変好評でした。  今後は、大学を訪問する機会を創出していく ことも必要ではないか・・との各支部からの要 望があり、同窓会本部と致しましても全面的に 支援させて頂きたいと考えています。この活動 の輪が、広く他支部にも広がるよう願っており ます。  更に、昨年は「後援会」が設立され、教育内 容の充実に向けた活動が始動し、同窓会と「車 の両輪」となって、大学を支援する体制が整い ました。今年の卒業祝賀会は後援会との共催で 実施することができ、内容の更なる充実がはか られました。  会員の皆さま方におかれましては、今後とも 大学への支援に対しまして、より一層のご協力 を賜りますよう切にお願い申し上げますと共に、 仰岳会の運営に対しましてもご支援・ご協力を 賜りますようお願い申し上げます。  終わりに当たって、会員の皆さま方のご健勝 とご繁栄をお祈りし、ご挨拶といたします。 仰岳会会長 

棚 邉 一 雄

(機械 昭和44年度卒)

ご  挨  拶

巻 頭 言

(11)

 仰岳会会員の皆様には、ま すますご清栄、ご活躍のこと とお慶びを申し上げます。さ て、本工学部では、昨年4月 に「富山大学工学部創立70周 年及び新講義棟竣工記念式 典」を挙行させて頂きました。 これに併せて、新講義棟の施設整備の充実を主目的 として寄附金を沢山の仰岳会会員の皆様から頂戴い たしました。この御温情に対し、改めて心から御礼 申しあげます。  おかげさまで、昨年6月から新講義棟に教育現場 を移して、アクティブ・ラーニングを積極利用した 「ものづくり」人材育成を核とした工学教育を実践 しております。このアクティブ・ラーニングとは、 教員による従来の一方向的な講義形式の教育とは異 なり、学生の能動的な学修への参加を取り入れた教 授・学習法の総称で、学生が能動的に学修すること によって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知 識、経験を含めた汎用的能力の育成を図るものです。  「学習ピラミッド」(左下図)に示されているように、 学習の形態としては、講義を聴くだけでは記憶率が 5%と低いですが、教材利用、グループ討議、体験 学習などを実践することで記憶率が向上します。最 終的には、自分で調べたことなどを他人に教える事 が一番記憶に残るとされています。  また、人の記憶には、問題解決に関する情報を保 持する長期記憶(プロダクションメモリー)と、外 界から得られた情報を一時的に保持する短期記憶 (ワーキングメモリー、作業記憶)があります。こ の短期記憶で認知された情報が長期記憶中の知識と 照合されて行動につながり、この繰り返しで問題解 決が進行します。よって、問題が解決できると、そ の経験は他人に自信を持って教える事ができます。  一方、知識習得という観点では、復習が重要な意 味を持ちます。「記憶の忘却曲線」(右下図)に示さ れているように、人の記憶には時間的な限界があり ます。記憶した事柄は翌日には約80%は忘れてしま うのです。このことより、我々には復習という学び 直しの機会が幾度となく必要とされるのです。人生、 一生学び続けなければならないことは、脳機能的に も記憶の忘却曲線が関係すると考えられます。  よって、これからの工学教育では、プレゼンテー ションによる他人への教授を実践することが重要と 考え、より質の高いアクティブ・ラーニングを実践 するためにも、さらなる教育環境の施設整備が必要 と考えております。  さて、学部長に就任しましてから4年目に突入し ました。今年度からは、平成28年4月から始まった 第3期に関連する中期目標・中期計画を着実に実現 するべく、学部運営はさらなる機能強化改革が求め られています。政府の理工系人材育成政略に即した 本学理工系の組織再編・機能強化を行うべく、計画 構想も最終段階になっていきます。ここが改革の正 念場と捉え、次代の本工学部があるべき理想像を追 い求めて、できうる事を計画・実践していこうと思 います。今後も会員の皆様のご支援ご鞭撻を賜りた いと存じます。 5% 10% 20% 30% 50% 75% 90% 100 80 60 40 20 0 平均記憶率 復習 復習しなかった場合 復習 復習 講義 読む 視聴覚教材 実験機材 グループ討論 体験を通した学習 他人に教えた経験 講義 読む 視聴覚教材 実験機材 グループ討論 体験を通した学習 他人に教えた経験 Learning Pyramid

(出展:National Training Laboratories)

覚えている   % 2時間後 1日後 2日後 1週間後 1 ヵ月後 学習後の日数 エビングハウスの忘却曲線と復習の関係

教える事・忘れる事

富山大学工学部長 

堀 田 裕 弘

ご  挨  拶

ご 挨 拶

(12)

 昨年4月に工学部に新規の建物として「総合教育研究棟」が完成いたしました.4 階建,多目的ホール,講義室の他,イノベーションルーム,クリエーションルーム, 共同実験室等最新のAV機能を備えた部屋もある立派な建物です.しかし,予算低減 の影響もあって3階屋上部分や1階の中間スペース等は有効に利用されておらず,言 わば殺風景なものとなっているのも現実でした.昨年度の卒業祝賀会後の支部長会議 さらに仰岳会総会において,同窓会として何か協力するべきであるということで合意 が得られました.仰岳会が管理していた「50周年記念事業にともなう工学部教育振興 経費」を有効利用するいい機会でもあり,会長はじめ学内常任委員会で協議を重ね工学部執行部とも相談し た結果,学生が授業の合間などに憩いの場として利用できるような設備を設置することになりました.  下部の画像に示すような屋上パーゴラ,テラス家具を設置する案が工学部より提案されましたので,学内 常任委員会でも設備品内容について了承を得たものであります.リゾートホテルの屋外設備品ということで かなり高級感があるものとなっています.また,建物外壁を利用したプロジェクションマッピング設備も導 入可能なように屋外コンセントも設置されています.輸入品であるため,2015年末に発注,納入日は2016年 4月5日(火)と入学式直前の納入となりましたが,新入生保護者懇談会での贈呈式や保護者見学会でのお 披露目になんとか間に合った次第です.仰岳会寄贈の銘板も3箇所に設置されております. 屋上パーゴラ外観 保護者懇談会での贈呈式 屋外家具その2 屋外家具その1

総合教育研究棟への寄贈の報告

仰岳会副会長 

平 澤 良 男

(機械 昭和52年度修了) 寄贈報告

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特集:総合教育研究棟を活用した新たな教育研究

 仰岳会ならびに多くの卒業生、教職員の皆様、地元企業様の多大なご支援により、2015年 春、工学部に新しい校舎ができました。総合教育研究棟といいます。2015年の夏から利用が 始まりました。斬新なデザインで在学生の修学に適切で快適な施設であることはもちろん、 堀田裕弘工学部長先生をはじめとした皆様の様々なアイデアで、多角的な利用ができる校舎 となっています。今後、多くの皆様に利用していただけることと存じます。本号はこの新校 舎を利用した様々な企画、授業や催し物について、特集を組みました。近未来的な施設の一 端を感じていただければ幸いです。 1.緒言  近年,日本のものづくりを牽引してきた企業が苦境に立たされている。技術が成熟した製品ではコストが 重要であり,低コストで製造できる中国,韓国,台湾などの新興国に勝てなくなっている。日本にとっての 活路は高付加価値製品を低コストで生産することであり,従来以上に高い製品開発能力を有する技術者を緊 急に育成することが必要である。  一方,地域の課題として富山県は機械,電機,金属,プラスチック,機械加工,医薬品などの産業がさか んな県であり,社会人基礎力を備えた上で高度な専門知識と実践力を有する技術者のニーズが高い。そのた めには,高度な専門知識の定着と実践力を強化育成する新しい教育方法の開発と実践が必要である。  富山大学工学部では,これまでに地域企業と連携したものづくり教育を実施することにより,即戦力とし て活躍できる技術者を育成してきたが,地域企業のさらなる要望に応えて,地域産業を活性化するために, 従来のものづくり教育を継続するとともに,新たに独自のアクティブラーニングを用いた教育方法の改革と 学生の質保証に取り組んでいる。  ここでは,昨年4月に竣工した総合教育研究棟(工系)におけるアクティブラーニング専用室を活用した 教育の取り組み事例を紹介する。 2.Active-Learningと質保証システム  平成27年度文科省概算要求特別プロジェクトに富山大学工学部が提案した「Active-Learningと質保証シス テムを採り入れた産学連携による次世代ハイパーエンジニア養成プログラム」が採択された。工学部および 大学院では現在本事業を鋭意推進している。  本事業の概要は,工学部,工学部附属創造工学センター,大学院理工学教育部が主体となって,富山大学 モデルのActive-Learningと質保証システムを採り入れた産学連携型の独自のものづくり教育カリキュラム を構築・実施することにより,高度な専門知識とものづくり体験を有し,創造力や問題解決力などのものづ くり基礎力と,コスト・信頼性・安全性などのものづくり実践力を駆使して,商品として通用する本物を作 れる,質が保証された次世代ハイパーエンジニアを育成する。図1に本事業の概要を示す。

Active-Learningと質保証を採り入れた産学連携による

次世代ハイパーエンジニア養成プログラム

機械知能システム工学科 教授 

川 口 清 司 

《総合教育研究棟を活用した新たな教育研究》 特   集

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 本事業の特長は以下の通りである。 ①Active-Learningを採り入れることにより,知 識の確実な定着と,ものづくり基礎力やものづ くり実践力の効率的な育成を図る。 ②修得すべき専門知識,ものづくり基礎力,も のづくり実践力を有しているかどうか,項目別 に評価基準レベルを設定して,教員・学生・企 業講師の相互評価などにより,質の保証を行う。  本事業は平成27年度に,学士課程と修士課程 のそれぞれにおいて,Active-Learningと質保証 システムを採り入れた産学連携型の独自のもの づくり教育カリキュラムを構築・実施している。 【学士課程】 ①学部1年生を対象として,新規導入教育科目 「創造工学入門ゼミナール」を企画して実施した。これは,工学を履修する上で学修意欲の向上を目的とし, 製品を構成する技術を解剖して専門教育の内容と技術との関係を詳細に説明する。また,富山県機電工業会 と連携して,企業講師を招聘することにより,大学の専門科目の授業内容と製品技術との関係や企業で活躍 するために必要な能力について講演して頂いた。 ②学部生(1年生~3年生)を対象として,Active-Learningによる授業(計5回)を採り入れた「創造工学 特別実習1・2・3」を開講する。 ③学部生(3年生または4年生)を対象として,新規教育科目「創造ものづくり」を企画して実施した。これは, 専門知識を駆使して融合テーマに取り組み,ものづくりを体験する。産業界からも講師を招聘し,Active-Learningも採り入れながら授業を進める。また,ルーブリックを用いて修得すべき能力を項目別に評価基準 レベルを設定して,教員と学生が面談して相互評価し,企業講師も評価するシステムを採り入れる。 【修士課程】 ④大学院生(1年生)を対象として,新規教育科目「企業協働ものづくり研修」を企画して実施した。これは, 学生を国内外の企業へインターンシップとして派遣するとともに,独自の研修プログラムを履修する。研修 プログラムは製品開発に必要な知識(製品開発プロセス,コスト,信頼性,生産管理など)や技術が盛り込 まれた内容として,その中で課題発見力,問題解決力,プレゼンテーション能力を育成できるものとする。 ⑤大学院生(1年生)を対象として,新規教育科目「創造工学課題解決演習」を企画して実施した。これは, ものづくりに関する課題を解決しながらテーマ企画,課題発見,問題解決,プレゼンテーションなどを学ぶ 実習である。ロジカルシンキングを活用し,Active-Learningも採り入れながら授業を進める。また,修得す べき能力を項目別に評価基準レベルを設定して,教員と学生が面談して相互評価し,企業技術者も評価する システムを採り入れる。 3.富山大学モデルのActive-Learning  本事業におけるアクティブラーニングは, 学生の主体的学習態度の育成と,学修効果を 飛躍的に向上させるために,独自の富山大学 モデルのAdvanced-Active-Learningを提案し て実施する。図2に機械知能システム工学科 で開講した「創造ものづくり」科目の例を示 す。学生に4つのテーマを提示し,1つを選 択させる。それぞれのテーマについて,企画, 設計,製図,製作,性能評価を行う。企画・ 設計する過程の中で,学生は5名程度のグル 図1 事業の概要 図2 富山大学モデルのアクティブラーニング

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ープで4つのActive-Learningである「Group-Learning」(グループで討論),「Self-Learning」(自分で学習), 「Pair-Learning」(相互に教える),「Presentation-Learning」(学修成果を発表)を行うことにより,専門知 識の定着や創造力,問題発見・解決能力の向上が期待できる。  近年,アクティブラーニングは他大学においても積極的に授業に採り入れられ,成果を上げているが,富 山大学モデルは,①製品開発に必要なものづくり実践力を育成する産学連携型Active-Learning,②ペア学習 も含めた4つの学習の相乗効果による循環式Active-Learning,③質の保証を採り入れたフィードバック式 Active-Learningという点で他大学にはない大きな特長を有している。  図3に総合教育研究棟内に設けたプロジェクト企画スペースにおいてアクティブラーニング(グループ学 習)を実施している様子を示す。また,図4にクリエーションスペースにおいて成果のプレゼンテーション を行っている様子を示す。 4.おわりに  本事業は平成27年度からスタートし,1年が経過したが,各科目における授業実施方法や評価方法につい て,アンケート評価結果を中心として担当教員の意見も考慮しながら教育効果を分析することにより,課題 を抽出してさらなる改善につなげていきたい。 図3 グループ学習の様子 図4 プレゼンテーションの様子

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 金属工学科を母体とする材料機能工学科および材料機能工学専攻は、本学の材料分 野の教員によるプロジェクトとして、平成27年度 富山大学学長裁量経費が採択され、 「国際連携先端材料研究センター先行実施プロジェクト「ハイパーアルミ」創出拠点形成」を実施しました。 これは本学の強みとしてアルミニウム合金を中心とした材料系の世界的研究拠点を形成するとともに、国際 的な人材育成システムを構築することを目的としています。  本学科の働きかけによって、現在、中国・山東大学、アメリカ合衆国・バージニア大学、オーストラリア・ ニューサウスウェールズ大学、中国・上海大学、チェコ科学アカデミー科学機器研究所、ノルウェー科学技 術大学、ポーランド・AGH科学技術大学、タイ王国・チェンマイ大学、ポーランド科学アカデミー・材料冶 金研究所、スロバキア・コシツェ工科大学と8か国10機関と大学間または部局間学術協定を締結しています。 これまで、研究者の交流、学生の交換留学、学科と協定機関と共催の国際会議ICPMATを2006年から毎年行 ってきましたが、現在は大学院の英語教育の充実を目指した取り組みを行っています。平成27年度には前述 のプロジェクトに関連して、下記の8名の教員が来学し、新校舎を利用して、材料科学系の講義を大学院生 に対して実施しました。  受け身となりがちな日本の講義とは異なり、教員が学生に対して常に質問を課す対話形式で行われました。 20名程度の大学院対応の講義であったこともこの形態が成り立つ要因でもありました。学生の中にはこれら の講義に触発されて、英語論文の執筆をしたいと申し出る人もいたとのことです。また平成27年12月9−10 日にはこれら来日された教授陣と、日本のカーメーカー様、アルミ素材メーカー様、アルミ加工メーカー様 を講師としてお迎えして、「富山大学第1回先端材料研究フォーラム」をグランテラス富山で開催させてい ただくことができました。  このプロジェクトに加えて、JSTのさくらサイエンスプランが採択され、平成27年9月末にはタイ・チェ ンマイ大学から10名の学生と3名の教員、平成28年3月には中国・山東大学から10名の学生と1名の教員が 来日して、1週間の「アルミ研究プログラム」を実施しました。さらにノルウェー科学技術庁の「二国間ア ルミニウム教育研究プロジェクト」が採択されました。これはノルウェー科学技術大学と富山大学を中核に、 ノルウェー工業科学研究所、東京工業大学そしてハイドロとの共同研究とインターンシップを含む3年間の 教育研究プロジェクトであり、平成28年3月15日に、畑中保丸理事・副学長、堀田裕弘工学部長ご参列の下、 在日ノルウェー大使館にて調印式が執り行われました。  話が脱線してしまいましたが、外国人教員による講義は平成28年度後期に実施予定です。英語が苦手でも、 本学に入学することで海外に羽ばたくことができる学生の育成が大変期待されます。数年後には協定機関間 相互が学位認定を行うダブルデグリー制度の設立も目指しています!

材料機能工学専攻 多国籍外国人講師による

大学院授業の始動

材料機能工学科 教授 

松 田 健 二

(金属 昭和62年度修了)

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在日ノルウェー大使館にて平成28年3月15日に行われた調印式。 最前列・左からノルウェー・ハイドロ日本支社、堀田裕弘工学部長、東京工業大 学工学部長、ノルウェー工業科学研究所C.D. Marioara博士。第2列中央・在日ノ ルウェー大使。左隣・畑中保丸理事副学長、右隣・ノルウェー科学技術大学Randi Holmestad教授 受講生らと。最前列左から4人目、アメリカ合衆国・バージニア大学 Gary J. Shiflet教授と、5人目ノルウェー科学技術大学Randi Holmestad教授。 新校舎でのアメリカ合衆国・バージニア大学 Gary J. Shiflet教授による講義風景。 いつ質問されるかと学生も戦々恐々?!

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 平成27年1月,富山大学五福キャンパスの工学部エリア内に,富山大学総合教育研 究棟(工学系)が完成した。工学部エリア西側にある第2グラウンドの一角に建てら れた同棟は,これまでの講義室及び学科横断型講義の実験室を一箇所に集約したもの である。同年6月より,講義は全てこの新しい建物で開講されている。  総合教育研究棟は,コンセプトを「「イノベーション」にふさわしい工学部の新しい顔を創る」として,「そ と」と「なか」の空間をリニアにつなげる平面計画がなされている。  建物に入るとまずエントランス部には,広々とした吹き抜けに外からの太陽光が入り込み明るく照らされ たロッジアが設けられている。片方の壁は全てガラス張りとなっており,晴れた日には太陽の光がとても心 地よい。そのエントランス部の一番奥に教務担当の事務室があり,そこまで視線を遮るものは何もない開放 的な空間になっている。  建物中央には228名収容可能な多目的ホールがあり,このホールを囲むロの字形の廊下からどの講義室に もすぐに移動できる間取りとなっている。講義室はいずれも廊下側はガラス張りで,明るく開放的である。 また多目的ホールの上はあえて講義室とはせず,コミュニティスペースとして広く開放的なテラスが設けら れている。なお,このテラスにある各種設備は仰岳会からの寄付である。会員各位には,是非とも機会を見 つけて一度ご覧になっていただければと思う。その他にも建物のいたるところにコミュニティスペースが設 けられており,講義室ばかりであったこれまでの大学の間取りとは大きく趣が異なっている。  各教室に備えられた設備については,プロジェクターはスクリーンではなくホワイトボートに投影される ようになっている。そのため,プロジェクター投影画面に対する補足説明をホワイトボードに書き込みなが らより丁寧に説明することが可能となった。その他,ネットワークを用いて複数のプロジェクターから同時 に投影することが可能な講義室や,ディスカッションをしながら製作ができるよう可動式の椅子のみとして あるクリエーションスペース,小グループ対応のテーブルと椅子のセットを多数用意したプロジェクト企画 スペースまで,様々な教育方法に対応可能な様になっている。  間取り以外に耐震性に対しても十分配慮されている。富山大学五福キャンパスはすぐ横に呉羽山があり, 呉羽山活断層に隣接したエリアにある。総合教育研究棟は一度に多くの学生が利用する建物であり,そのた め通常求められている重要度係数(I=1.25)を上回る耐震性能を有している。  以上,簡単にではあるが総合教育研究棟について述べた。この新しい環境で高度な教育を受けた学生たち が,何年か後に富山大学工学部卒業生として社会で大きく羽ばたいてくことを期待する。  最後に,建物の概要に関する資料を以下に記載する。   建設地:富山県富山市五福3190(富山大学五福キャンパス)   建築面積:2.399m2   延床面積:6.378m2   階  数:地上4階   構  造:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造   基本設計:富山大学施設企画部施設計画チーム   実施設計:株式会社 山本・堀アーキテクツ(建築)        株式会社 新日本設備計画(設備)   工事監理:富山大学施設企画部施設計画チーム   施  工:株式会社 淺沼組   工  期:平成25年11月~平成27年1月 (資料及び写真提供:富山大学工学部総務課教務担当)

富山大学総合教育研究棟(工学系)について

知能情報工学科 准教授 

高 松   衛

(博シ生 平成11年度修了)

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開放的なテラス 多目的ホール

総合教育研究棟外観

プロジェクト企画スペース クリエーションスペース

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 平成27年7月1日(水)午後4時半から工学部203 講義室にて材料機能工学科平成27年度第1回特別講演 会を開催しました。講師は富山大学工学部金属工学科 を昭和31年 (1956年)に卒業された今井直明氏です。 私たちにとってはまさに大先輩です。  今井氏は鉄冶金の研究室を卒業後、不二越鋼材工業 株式会社(現・株式会社不二越)に入社され、熱処理 技術を中心とした技術開発に従事され、2003年に有限 会社エッチ・ティ・サポートを設立され真空浸炭、高 速流水焼入などの技術開発に携わり、現在においても 現役の技術者として仕事をしておられます。著書とし て「新・知りたい熱処理」(分担執筆、不二越熱処理 研究会編)、技術解説として「高速流水での鋼部品高性能、低歪焼入れ」(工業加熱、46-6 (2009), 1-7)を 著わされ、独自技術は特許化されておられます。  当初、私の研究室の少人数の勉強会として打ち合わせをさせていただき、そのつもりでこちらも準備をし ていたのですが、学科の先生方に講演会の話をしたところ、今井さんの話を聞きたいという大学院生、学部 生が集まりだしてついには講義室が満員になり立ち見がでるほどになりました。  「鉄のことを知っていますか?」孫に話しかけるような穏やかで優しい語り口で講義が始まりました。相 変態や材料組織学に関する丁寧な説明が始まり、次第にご自身の得意分野である熱処理技術へと滑らかに講 義が進み、聴講者を飽きさせない構成に講義を本業とする私も引き込まれていきました。交響曲のような静 と動の対比を楽しみつつ話は佳境に入っていきます。「新しいアイデアや技術は批判・攻撃の対象とされるこ とが多い」といったご自身の技術者人生に裏打ちされた箴言に心地よい陶酔感を覚えながら40分余りの講義 のエンディングへと向かいます。「でも、負けてはいけない。我々エンジニアは技術を世に送り出す責任が ある」という主旨のメッセージを若手研究者や院生・学生へ発せられ講義が幕を下ろしました。講義室に拍 手の渦が巻き起こったことは容易に想像できるでしょう。  特別講義の余韻を楽しみながら、第二部の懇親会へと場所が移り、今井先輩を囲んで焼き肉大会が始まり ました。今井さん自ら差し入れてくれた肉(2キロ分)を含め大量の食材が瞬く間に若者達の胃袋に収まっ ていく。その様子を楽しそうに眺めながら昔話を聞かせていただきました。同窓会誌の古い写真を見ながら 大昔の記憶をたどりつつ目の前にいる現在の学生と工学部の有り様をご自身の学生時代と対比したり驚いた りと時間を超えた人のつながりをとても楽しんでお られました。私たちも大満足で、「こういう技術者 になりたい」とホットプレートの湯気の向こうにお られる今井先輩をみながらそう思った次第です。  私の個人的な付き合いのある方の御父様が金属工 学科出身であるという奇跡的な接点を起点として今 回の特別講演会が実現しました。工学部卒業生で技 術者あるいは他の職種で懸命に自身の役割を果たし 続けてこられた先輩方はまだまだたくさんおられる と思います。今後も諸先輩に自慢話をしていただけ る機会を設けたいと思います。今井先輩、どうもあ りがとうございました。弥栄 材料機能工学科 学科長 

柴 柳 敏 哉

 

今井直明先輩の特別講義

鋼製部品の高速流水による焼き入れ技術

寄   稿

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1.はじめに  富山大学芸術文化学部の金属文化財科学,鋳造技 術史を担当する私たち3名ならびに奈良県立橿原考 古学研究所の考古学を担当する3名の計6名により 調査団を結成し,日本はもとより中国各地の考古学 研究所等が所蔵する2,000面余りの古代青銅鏡につ いて調査を行ってきました.どうして古代青銅鏡に 特化した調査を行ってきたか,それには裏話がある ことに気が付きました.それは,時代が遡り,卑弥 呼に辿り着くことが解りました.すなわち,卑弥呼 が統治した邪馬台国はどこであったのか,大和説や 九州説が鍔迫り合いをしているのは皆様ご存じの通 りです.両説のうち何れが正しいか,これに決着を 付ける鍵を握っているのが三角縁神獣鏡ではないか と注目されているようです.中国の魏志倭人伝によ りますと,魏王が邪馬台国の女王(卑弥呼)に金印 と鏡(青銅鏡)100面を下賜したと記されているの は皆様ご存じのとおりです.日本の古墳や遺跡から 発掘された三角縁神獣鏡がそれではないかと古代史 や考古学の研究者たちは色めき立ちました.ところ がその説には矛盾する点があることが指摘されてい ます.すなわち,日本国内で発見された三角縁神獣 鏡の枚数は100面どころか400面近くであること,ま た中国(魏)で製作されたとする三角縁神獣鏡が中 国では一面も見出されていないこと,等が指摘され ています.しかし魏,卑弥呼,三角縁神獣鏡を結び 付けたい学者たちは,その鏡は魏王によって邪馬台 国の女王のために特別に100面に限定して製作され たので中国では見つからないのだ(特鋳説)と言っ ているようですが,この説に対して三角縁神獣鏡の 鏡背側に印された銘文の韻律から魏で造られたもの ではないとの反論も出ている次第です.  このように邪馬台国,卑弥呼,三角縁神獣鏡の関 わりに付きましては百家争鳴の感があり,古代史や 考古学の専門家のみならず一般市民をも巻き込んだ 夢のあるミステリアスな話題と言えるかと思われま す.  このような背景のもとに,私は金属材料学の立場 から日本国内外における古代青銅鏡の調査団に加わ ってきましたが,長年月土中に埋もれていた青銅鏡 内における腐食・変質層の異常性に気付き,その生 成過程で微生物が大きく関与しているのではない かとの観点から科学的分析と検討を行ってきまし た.その異常な事象の一つとして,青銅合金(Cu-Sn 合金)中のCuが腐食・変質層内で純Cu塊に変化し ていることを確認しましたが,その生成過程で微生 物が関与しているのではないかとの予測の下に,私 たちの身の回りの生活環境(ドブや河川の底泥,水 田の土壌など)であたり前に生息する金属イオン還 元細菌と呼称されている通性嫌気性グラム陰性細菌 “Shewanella algae” を純粋培養し,これを用いて 酸化Cuが金属Cuへと直接還元されることを実験室 において実証致しました. 2.古代青銅鏡の腐食・変質層の観察と機器分析  古代青銅鏡はもとより,あらゆる有形文化財の材 料学的調査を行うには本体の一部を切り出さざるを 得ません.非破壊による材料学的調査は現在のとこ ろ不可能と言っていいでしょう.それだけに文化財 の材料学的調査を行う機会が少なくなり,その結果 この方面の調査・研究が遅れている原因になってい ると思われます.  今回,私はそのような背景のもとで幸運にもいく つかの古代青銅鏡の一部を切り出し,材料学的調査 が許されましたのでその主だった結果を要約してご 報告申し上げます.

平成27年度 仰岳会講演会

平成27年7月11日(土) ホテルセントノーム京都  平成27年度の仰岳会総会後に開催された講演会の内容をお知らせし ます。ご参加いただけなかった会員各位におかれましても、ご一読い ただき、仰岳会活動をご理解いただく一助になれば幸いと存じます。

金属文化財の材料科学

― 卑弥呼・三角縁神獣鏡の由来を求め,そして金属文化財科学の立場から得られたこと ―

講師 横 田   勝

アジア鋳造技術史学会・会長/富山大学・名誉教授 大阪府立大学・客員研究員/㈱中村超硬・技術顧問 講演会だより

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2-1.虁風鏡または獣首鏡(中国名:卾州回帯鏡, 中国湖北省発見,漢代中後期製作)の腐食層内で観 察された結晶学的特異現象  調査した青銅鏡の鏡背面(a)および鏡面(b) の外観写真は図-1に示す通りであり,一部に欠損部 はあるが概ね円形状の形態を残している.  肉眼目視による実物の鏡背面(a)は色鮮やかな 明・暗褐色の色彩を呈し,また凹凸状の文様は製作 時の形態が損なわれることなく正確な状態で保持さ れている.鏡面側(b)も鏡背側(a)とは全く異 なった色鮮やかな緑青色と漆黒色が混在した部分か らなっている.また鏡背面(a)および鏡面(b) ともに全表面はガラスで被覆したような艶のある状 態を保持している.  図-2に青銅鏡の断面写真を示す.写真の上方,鏡 の表面(A)から(D)の領域では深さ約300μmに およぶ腐食・変質層が形成されている.その下部 (鏡の内部)では一般的な高スズ青銅合金(Cu:77.7, Sn:18.8, Pb:3.5mass%)である.  エネルギー分散型 X線 分 光 分 析(EDS) および微小部X線回折 (μ-XRD)の結果に よると,鏡表面の薄層 (A)は厚さ約25μm の 半 透 明 なSn02薄 層 であることが確かめら れた.その内部(下方, (B)~(D))は腐食・ 変 質 し たCu-Sn-Pb複 合酸化物であった.ま た図-2中の四角で囲っ た領域(Ⅰ)はμ-XRD回折によると図-3に示すよ うに非晶質と見做せるCu-Sn-Pb複合酸化物であっ た.写真(図-2)中の(Ⅱ)と記した四角部分の回 折図形は腐食を受けていない青銅鏡内部の合金部分 から得られた結果であり,図-3中の回折曲線(Ⅱ) から結晶質合金であることが明らかである. 2-2 中国・古代青銅鏡(前漢~三国時代)の土中 で進行した腐食・変質層内に出現する純Cu塊と各 種化合物  中国の前漢時代から三国時代に製作された20面余 りの古代青銅鏡から材料学的調査のための小片試料 を採取する機会が与えられたので,それらの科学的 調査を行った.その中で典型的な腐食・変質層と純 Cu塊の出現形態を示した2面の青銅鏡(A:連孤紋 銘帯鏡−前漢代製作,およびB:匕縁渦状爬紋鏡− 前漢代製作)に関する結果に付いて記述する.  筆者のつぶやき(その1) ◎青銅鏡の腐食・変質層内で非晶質のCu-Sn-Pb複合酸 化物が検出されましたが,その成因は残念ながら全くの 不明です.何百年,何千年と気が遠くなる期間に現代の 科学では解き明かすことが出来ないミステリアスな(し かし科学的に根拠がある)世界があるのかも知れません. ◎今回調査した青銅鏡の中でその表面に形成される SnO2の薄膜形成についてすら解明されておらず,文化 財科学界では青銅鏡の製造後にSnメッキを施した(そ の後酸化)という説や青銅合金中のSnが優先的に鏡の 表面に浸出して選択的に酸化されたという説等が対峙し た状態にあります. ◎また,古代青銅鏡の調査を進めるにあたり,上で述べ ましたように青銅鏡の鏡背側と鏡面側の色彩が全く異な ることに驚かされます(カラー写真でお見せできないの が残念です).この鏡の腐食を受けていない部分のEDS 分析結果からも明らかなように,この青銅鏡は一般的な 高Sn青銅合金であり,この合金の本来の色彩は現代の 鏡と同様に典型的な銀白色です.それが長年月を経て鏡 の表側面と裏側面が全く異なった艶やかな色彩に変色し てしまったのはどのような原因に基づくものか,この鏡 が長い年月の間どのような環境に保存(放置)(土中放 置では決してない)されていたのかこれを推理しますと またまたミステリアスな世界に引き込まれそうになって しまいます. 図-1 古代青銅鏡・夔凰鏡の外観写真(漢代中後期製作,    中国・湖北省,出) 図-2 図-1に示した古代青銅鏡    の切断面写真. 図-3 図-2中の四角で囲ったⅠおよびⅡの部分のμ-XRD    回折図形.

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 先ず図-4のA-1は連孤紋銘帯鏡の全体写真を示し, 写真中の白色V字で記した部分の切断面をA-2~ A-4に示す.写真A-2で明らかなように,鏡の表面 から内部にまで腐食が進み,一部に表面から他端の 表面近くにまで腐食が進行している部分が観察され る.A-3およびA-4で示されるように球形のCu2Oお よび純Cuが析出し,中には同一球状塊の中にCu2O と純Cuが混在するものもある.  第2例の匕縁渦状爬紋鏡に関する結果を図-5に 示すように,先ず全体像をB-1に,切断面の低倍率 における顕微鏡写真をB-2,および高倍率の写真を B-3,B-4に示す.B-2で明らかなように鏡の表面か ら奥深くにまで腐食・変質層が進行し,鏡の薄い部 分では完全に腐食・変質層が貫通している.B-3で は純Cu塊が鏡の割れ目であったと予想される部分 や空隙部分に析出している.B-4では鏡の表面に層 状となった腐食・変質層が形成される.  EDS,EPMA,μ-XRDなどの機器分析による各析出 物の分析・回折結果によると,鏡の表面写真(B-4)の 左側に非晶質のSiO(Ⅰ),続いて結晶質のCu(OH)2 2 (Ⅱ),Cu2O(Ⅲ),非晶質のCu-Sn-Pb複合酸化物 (Ⅳ),純Cu(Ⅴ),腐食・変質層と腐食されていな い地金の混在部分(Ⅵ),内部の腐食されていない 地金部分へと変化する.  さらに,XPS(ESCA-X線光電子分光分析)によ り上記(Ⅰ)~(Ⅶ)各層の構成化合物等を確認す るとともに,特にCu2O(Ⅲ)層と純Cu(Ⅴ)層に挟ま れた非晶質の(Ⅳ)層で微生物による腐食と変質が  筆者のつぶやき(その2)  古代青銅鏡は高Sn青銅合金が採用されており,合金 組成は大概Cu-(15~30%)Sn-数% Pbであり,鋳造法 によって製造されます.すなわち,原料となるCuとSn (+Pb)を所定量配合し溶解した液体状の合金を鋳型 に鋳造,凝固させることは言うまでもありません.凝固 した鏡は当然CuとSnが殆ど均一に合金化しているはず です.ところが,長年月土中で腐食・変質を受けた青銅 鏡(器)にはその腐食・変質層内でCu-Sn-(Pb)合金 中のCuが純Cuの塊状として出現します.  他に例えますと,コップの水にインクを滴下させ,攪 拌すれば均一な色の水溶液が出来ますが,これを元の水 とインクに戻すことは人工的な手段を採らない限り不可 能です.しかし古代青銅鏡では原料の一つである合金中 のCuが純Cuの形へと変化して塊状で析出します.“エン トロピー減少の世界?” なんて笑うに笑えない現象に戸 惑いを感じました.  さらに,数多くの古代青銅鏡を材料学の立場から調査 してきた過程で大変不思議な現象があるのに気が付きま した.  それは,先ず図-2に示した古代青銅鏡(虁風鏡)では 腐食変質層が鏡の内部深くまで進んでいるにも拘らず純 Cu塊が全く見出されなかったことです.一方,20面余 りの古代青銅鏡では全てその腐食・変質層内で純Cu塊 の生成が確認されました,代表的な例を図4と図5に示し た通りです.これらの相違は何が原因か,それは全く未 知の世界です.ただ予想できることは,図1の青銅鏡は すでに述べましたように,鏡の,特に鏡背側の立体的模 様が全く変形することなく保持されている事,一方,他 の20面余りの青銅鏡は代表的な例として図4(A-1)お よび図5(B-1)で明らかなように腐食により鏡背面側 の模様がかなり激しく変形している事が分かります.図 1の青銅鏡が大気中または乾燥した土中に保存(放置) されていたのに対して図4および図5で示した青銅鏡は水 分を多く含む土中に埋没していたために無機化学的腐食 は当然ながら,微生物腐食が進んだのではないかと推察 しています.  以下の項目で青銅鏡の腐食・変質層内で出現する純 Cu塊の観察結果とその生成機構解明への経緯を述べた いと思います. 図-4 古代青銅鏡‐連孤紋銘帯鏡(前漢代製作)の    切断面写真 図-5 古代青銅鏡・匕縁渦状爬紋鏡(前漢代製作)の    切断面写真

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推察される結果が得られた.すなわち, 図-6(b)および(c)に示したように PbSO4とSn-有機化合物が検出されたこ とである.  この第(Ⅳ)層でPbSO4と微生物との 関係に着目したのは,青銅合金中には 本来イオウ(S)成分は含まれていない. それにも拘らず腐食生成物中にSが入り 込んでいるのは土中に潜む “硫酸塩還元 菌” 等により青銅合金が腐食を受けた結 果この菌の代謝・廃出物(H2S)である Sが合金内のPb成分と結合した結果であ ると推察した.  以上の第Ⅰ層から第Ⅶ層までの分析結 果を表-1に示す.  このような結果から古代青銅鏡の土中 における腐食は無機化学的な反応も当然進行するが, その一方で微生物が腐食・変質に重要な役割を果た しているものと推察される.  今回の科学的調査でSはPbSOとして検出され た.また偶然に観察したのであるが,古代青銅鏡, KU-E(匕縁渦状虺紋鏡 - 中国・前漢代製造)およ びKU-11(内向花紋鏡‐中国・後漢時代製造)を湿 式により鏡面にまで研磨後,恒温・恒湿のデシケー ターに約1ケ月間保存した後,青銅鏡の研磨面を SEM観察したところ,図-7中のKU-E-1およびKU-11-1に示されるような黴状の生成物が観察された.  図-7の写真KU-E-2においては “砂漠のバラ” の ような造形美に富んだ析出物が観察され,また写真 KU-11-2においては青銅鏡の細い割れ目から押し出 されたような析出物が観察された.  これらの析出物をEDSで分析したところCu2Sであ ることが明らかとなった.この青銅鏡に付いて各種 の機器分析を実施するにあたって,その前処理の段 階で硫酸などのS成分汚染は考えられない.まして や青銅合金中に合金成分としてSが含まれていない のは明白である.  古代青銅鏡が土中に埋没されている過程で,硫 酸塩還元菌等により周囲から取り込まれたS成分が  筆者のつぶやき(その3)  図-5および表-1で示しましたように,青 銅鏡の最外面に非晶質のSiO(Ⅰ)が観察2 されました.青銅鏡の合金成分としてSiは 全く含まれていないと見做すことが出来ま す.それではSiはどこから来たのか.青銅 鏡が埋もれていた周囲の土中から供給され たものと見做さざるを得ません.ここでも やはり微生物の所為によるものと私は確信 しています.微生物の生活環境は異なりま すが,これを裏付ける興味ある研究(田崎和 江−金沢大学・理学部)も報告されています. 図-7 古代青銅鏡の切断研磨面に出現した“砂漠のバラ”様の    CuS析出物 図-6 古代青銅鏡の腐食・変質層(図-5の(Ⅳ)層)内におけるX線光電子分    光分析(XPS)結果(特に(b)図中のSn-Organic と(c)図中の    PbSO4に注目) 表-1 図-5(B-4)に示した古代青銅鏡(E)の断面写真中(Ⅰ)~(Ⅶ)    における分析結果と化合物等の同定結果

参照

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