骨粗鬆症患者の非椎体骨折性腰背部痛に対する
運動療法と薬物療法の効果
Effect of Therapeutic Exercise and Pharmacological Managements
for Back Pain in Osteoporosis without Vertebral Fracture
大川 皓平
1)田中 浩平
1)鈴木 大夢
1)富永 琢也
1)高橋 弦
2)Kohei OKAWA, RPT1), Kohei TANAKA, RPT1), Hiromu SUZUKI, RPT1), Takuya TOMINAGA, JT1),
Yuzuru TAKAHASHI, MD, PhD2)
1) Rehabilitation Center, Sannoh Orthopedic Clinic Musculoskeletal: 160-1 Sannoh-cho, Inage-ku, Chiba-shi, Chiba 263-0002, Japan TEL +81 43-422-1011 E-mail: [email protected]
2) Pain Clinic, Sannoh Orthopedic Clinic Musculoskeletal
Rigakuryoho Kagaku 32(3): 371–376, 2017. Submitted Nov. 25, 2016. Accepted Jan. 10, 2017.
ABSTRACT: [Purpose] Three types of therapies for osteoporotic back pain were investigated. [Subjects and
Methods] The subjects were 51 females with back pain without vertebral fracture, who presented bone mineral densities of less than 80% of the young adult mean (YAM). The following therapies were conducted: exercise (n=4: mean age, 74.5 ± 12.2 years), osteoporosis drugs (n=21: mean age, 76.8 ± 8.4 years), and combined therapy with exercise and drugs (n=21: mean age, 77.2 ± 7.6 years). Pain intensity measured on the visual analog scale (VAS), YAM, and urinary type I collagen cross-linked N-telopeptide (uNTX) were measured at baseline and six months after the therapeutic interventions. [Results] After six months, VAS and YAM were unchanged in all of the groups, while uNTX of the combined therapy group showed a statistically significant decrease, indicating suppression of bone absorption by combined therapy. [Conclusion] The results suggest that combined therapy with exercise and osteoporosis drugs normalizes bone metabolism, resulting in a decrease in uNTX.
Key words: osteoporosis, therapeutic exercise, pharmacological management
要旨:〔目的〕骨粗鬆症患者の非椎体骨折性腰背部痛に,運動療法単独,薬物療法単独,運動療法と薬物療法の併用 を行うことで得られる効果を比較検討することである.〔対象と方法〕対象は非椎体骨折性腰背部痛を主訴とする YAM値80%未満の骨量減少,骨粗鬆症患者51例(全例女性)とした.治療の内訳と症例数は,運動療法群4例(平 均年齢74.5 ± 12.2歳),薬物療法群26例(平均年齢76.8 ± 8.4歳),併用群21例(平均年齢77.2 ± 7.6歳)の3 群に分けた.3群の治療開始前と6ヵ月後のVAS値,YAM値,uNTX値の変化を比較検討した.〔結果〕併用群の uNTX値だけが6ヵ月後に統計学的有意な減少を示した.〔結語〕運動療法と薬物療法の併用はuNTX値を減少させ, 骨代謝回転を是正させることが考えられた. キーワード:骨粗鬆症,運動療法,薬物療法 1) 山王整形クリニック 運動器リハビリテーションセンター:千葉県千葉市稲毛区山王町 160-1(〒 263-0002) TEL 043-422-1011 2) 山王整形クリニック 運動器ペインクリニック 受付日 2016 年 11 月 25 日 受理日 2017 年 1 月 10 日
I.はじめに
近年,我が国では急速な高齢化に伴い,骨粗鬆症患者 が増大の一途を辿っている.骨粗鬆症は脊椎,大腿骨近 位部,橈骨遠位端などの骨折を起こし,日常生活動作 (activity of daily living: 以 下,ADL) や 生 活 の 質 (quality of life:以下,QOL)の低下の一因となってい る.さらに,骨粗鬆それ自体の痛みや脊柱変形による腰 背部痛はADLやQOLに悪影響を及ぼし1,2),骨折の予
防とともに重要な課題となっている.
骨粗鬆それ自体が腰背部痛を発現するかは議論がある ものの,そのメカニズムは基礎研究により報告されてい る.後根神経節(dorsal root ganglion:以下,DRG)に おけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:以下,CGRP)陽性の細胞が感覚 神経に存在すること3)や,カプサイシンや熱刺激に反 応するカプサイシン受容体(transient-receptor potential vanilloid 1:以下,TRPV1)が感覚神経内に分布するこ と4)が知られている.これらのメカニズムからも,骨 粗鬆症患者が呈している腰背部痛は椎体骨折や脊柱変形 により生じた痛み以外に,感覚神経由来の痛みを呈する 可能性がある.本稿ではこれを骨粗鬆性腰背部痛と呼ぶ ことにする. 痛みに対して運動が与える影響として基礎研究では, Suzukiら5)は卵巣を摘出した雌ラットを用いて,DRG におけるCGRP陽性細胞を増加させることを指摘して いる.そして,Oritaら6)は運動とリセドロネートを併 用することによりCGRP陽性細胞を低下させたことを 報告している.骨への影響について,Iwamotoら7)は 荷重刺激による血清カルシウムの増加と副甲状腺ホルモ ンの減少が骨量を増加させるとし,Banら8)は骨芽細 胞を活性させるには,総蛋白質やtype Iコラーゲンの増 加,アルカリホスファターゼ活性が必要であることを報 告した. 骨粗鬆性腰背部痛の基礎研究における報告がなされて いる一方で,臨床研究において運動療法と骨粗鬆症治療 薬(以下,薬物療法)の疼痛緩和効果,骨密度上昇効果, 骨吸収抑制効果とそれぞれの関係を明確に示した報告は 少ない.本研究では骨粗鬆症患者の非椎体骨折性腰背部 痛に対する運動療法と薬物療法の痛み,骨密度,骨吸収 それぞれに対する効果を比較検討した.
II.対象と方法
1.対象 本研究のデザインは症例追跡研究である.対象は,骨 粗鬆症治療6ヵ月間以上の追跡調査が可能であった,骨密度が若年成人平均値(young adult mean:以下,YAM
値,%)の80%未満の腰痛症例51例(全例女性)を対 象とした.骨折がない場合には骨粗鬆症の診断基準は YAM値70%未満の場合であるが,本研究ではYAM値 70%超の場合でも「骨量減少」の状態として骨粗鬆症 治療を実施した症例が含まれていたため,YAM値80% 未満の症例を対象とした.脊椎椎体骨折を呈した症例, 化膿性脊椎炎,脊髄腫瘍などの重篤な脊椎・脊髄疾患を 呈した症例は本研究から除外した. 本研究の症例に対して行われた治療の内訳と症例数は, 運動療法群4例(平均年齢74.5 ± 12.2歳),薬物療法 のみ実施した薬物療法群26例(平均年齢76.8 ± 8.4歳), 運動療法と薬物療法を併用して実施した併用群21例 (平均年齢77.2 ± 7.6歳)の3群であった.これらの治 療 方 針 の 決 定 は, 医 師 が 再 診 時 に 得 ら れ たVisual Analog Scale(以下,VAS値,0~100 mm),YAM値, 尿 中I型 コ ラ ー ゲ ン 架 橋N‐ テ ロ ペ プ チ ド( 以 下, uNTX値)を基に決定された.これらの値から,骨粗鬆 症の程度が「軽度」と判断された場合は運動療法単独, 「中等度」と判断された場合は薬物療法単独,「重度」と 判断された場合は運動療法と薬物療法を併用し,治療が 処方された. 運動療法はストレッチ,徒手療法,筋力トレーニング, 荷重トレーニング,有酸素運動であり,週に1~3日の頻 度で,運動負荷は患者個々に合わせて実施された(図1). 薬物療法の種類は,両群の総和が,ビスフォスフォ ネート単独が27例で最も多く,次いでビスフォスフォ ネート+活性型ビタミンD3製剤10例,ヒト型抗破骨
細胞分化因子(receptor activator of NF-kB ligand:以下,
RANKL)モノクローナル抗体製剤(デノスマブ)4例, 活性型ビタミンD3製剤3例,活性型ビタミンD3製剤 +カルシウム薬2例,選択的エストロゲン受容体モジュ レーター(SERM)+活性型ビタミンD3製剤1例であっ た(表1). 倫理的配慮として,得られたデータは連続可能匿名化 した上でUSBメモリに保存し,セキュリティー対策を 行ったコンピューター上で管理を行い,個人情報を特定 できないように配慮した.また,得られたデータは,本 研究に使用する旨を対象者に説明の上,同意を得て使用 した. 2.方法 痛みの強度は動作時のVAS値を測定した.骨密度検 査は,骨密度を二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy x-ray absorptiometry法:以下,DXA法)により, 非利き手側の橈骨遠位1/3で測定し,YAM値を算出し た.また,日内変動を考慮して午前中に採尿し,骨吸収 マーカーであるuNTX値をクレアチニン(nmolBCE/ mmol・Cr)で補正した.VAS値,YAM値,uNTX値 はいずれも運動療法を開始する直前,薬物療法を開始す る直前をベースラインとした.これらの検査を実施した
日から6ヵ月後に再検査を実施し,それぞれベースライ ンとの変化を比較検討した. 統計解析は,群間と介入前後の二要因について二元配 置分散分析を実施し,交互作用もしくは主効果を認めた 場合は,多重比較として一元配置分散分析( Tukey-Kramer法)にて群間比較と群内比較を実施した.各群 のVAS値とYAM値,VAS値とuNTX値のそれぞれ変 化値の相関はPearsonの相関係数を実施した.統計解析 ソフトはStatcel 3を用い,有意水準はいずれも5%と した.
III.結 果
各群の初回と6ヵ月後のVAS値,YAM値,uNTX値 の比較した結果を表2に示す.
二元配置分散分析の結果,VAS値,YAM値,uNTX
値いずれも交互作用を認めず,相乗効果はなかった. VAS値は3群とも統計学的に有意ではなかったものの, 6ヵ月後には減少傾向であった.YAM値は,運動療法 群と薬物療法群,運動療法群と併用群の群間で主効果が 認められた.しかし,多重比較では運動療法群の初回 YAM値と薬物療法群の初回YAM値,運動療法群の6ヵ 月後YAM値と薬物療法群の6ヵ月後YAM値,運動療 法群の初回YAM値と併用群の初回YAM値,運動療法 群の6ヵ月後YAM値と薬物療法群の6ヵ月後YAM値 は統計学的有意差は認められなかった.uNTX値は薬物 療法群と併用群で主効果が認められ,多重比較では併用 群の初回と6ヵ月後のuNTX値が統計学的有意な減少 が認められた(p<0.05).
VAS値とYAM値,VAS値とuNTX値の相関係数は,
3群いずれも統計学的有意な相関は認められなかったが, VAS値とuNTX値は減少傾向であった(表3).
IV.考 察
本研究は骨粗鬆症患者の非椎体骨折性腰背部痛に対し て,運動療法単独,薬物療法単独,運動療法と薬物療法 の併用がもたらす,痛み,骨密度,骨吸収のそれぞれに 対する効果を比較検討した.その結果,3群ともVAS値,YAM値,uNTX値の相乗効果を認めなかった.VAS値 とYAM値は3群とも6ヵ月後に統計学的有意差を認め なかった.uNTX値は併用群のみ6ヵ月後に統計学的有 図1 運動療法の実際 運動療法はストレッチ,徒手療法,筋力トレーニング,荷重トレーニング,有酸素運動を実施 した.頻度は1~3日/週,強度は患者個々に合わせて実施した. 図1 運動療法の実際 運動療法はストレッチ,徒手療法,筋力トレーニング,荷重トレーニング, 有酸素運動を実施した.頻度は 1~3日/週,強度は患者個々に合わせ て実施した. 表1 薬物療法の内訳 分類名 薬物療法群(n=26) 併用群(n=21) ビスフォスフォネート 16 11 活性型ビタミンD3製剤 1 2 抗RANKL抗体 2 2 ビスフォスフォネート+カルシウム薬 2 ビスフォスフォネート+活性型ビタミンD3製剤 4 6 SERM+活性型ビタミンD3製剤 1
意な減少を認めた.これらの結果から,骨粗鬆症患者の 非椎体骨折性腰背部痛に対して運動療法と薬物療法を併 用することで,骨吸収抑制をもたらす効果が示唆され た.3群ともVAS値は減少傾向であり,YAM値は増加 傾向であったが,いずれも統計的有意差を認めず,痛み, 骨密度に対する効果は明らかでなかった. 新鮮椎体骨折がなくても腰背部痛が生じることは臨床 で経験することである.この場合,一次的もしくは既存 骨折などによる二次的変化として起こる脊柱変形により, 傍脊柱起立筋群や椎間関節,神経組織などにストレスが 加わることで生じると考えるのが一般的である9,10).新 鮮椎体骨折による痛みは明らかな侵害受容性疼痛である が,二次的な脊柱変形による痛みでは,侵害受容性疼痛 に加えて神経障害性疼痛を合併している可能性もある. 骨粗鬆症は女性ホルモンであるエストロゲンの減少, カルシウムやビタミンD,K欠乏により,副甲状腺ホル モンによる骨吸収亢進(高代謝回転)状態となり骨量が 減少する11).骨のリモデリング開始時に重要なのは, 破骨細胞による骨吸収とされ,エストロゲンとRANKL が骨吸収抑制に作用する11).エストロゲンが減少する ことで破骨細胞から炎症性サイトカインの産生が増加し, RANKLの発現が亢進する12).運動刺激はこれらの骨 吸収促進因子の亢進を抑制することが報告されてお り13,14),骨の高代謝回転を抑制する作用を有している と考えられる.運動,荷重刺激は骨密度上昇効果に加え て,骨の高代謝回転を抑制して正常化することで骨吸収 抑制効果を有しており,薬物療法との併用によりその効 果はさらに高まるものと思われる. 近年,動物実験により骨折のない骨粗鬆による痛みの 機序を鈴木ら15)は,骨粗鬆の状態がDRGにおける CGRP発現が増加することで痛覚過敏が生じることと, TRPV1発現の増加がCGRP発現の増加に影響している ことを報告している.さらに,破骨細胞からの炎症性サ イトカインによる炎症性疼痛と神経障害性疼痛が混合し て痛みを発現していることを示唆しており,これを骨粗 鬆性疼痛としている5).しかし,骨粗鬆それ自体の腰背 部痛はあっても無痛か16),痛みの強度がVAS値30 mm 以下の軽度の痛み17)であるので,骨粗鬆それ自体の腰 背部痛は複合的な原因が絡んでいると思われる.本研究 における各群のVAS値の平均をみると,運動療法群は 30 mm以下であるが,薬物療法群と併用群においては 30 mm超であり,ばらつきも大きいことから骨粗鬆性 腰背部痛以外の病態を呈していた症例が含まれていた可 能性も否定できない.現在,骨粗鬆性腰背部痛の診断基 準が明確ではなく,症例の多くで痛みの原因の診断は困 難であるため今後さらなる臨床研究が必要である. 腰痛とuNTX値の関係について,腰痛を呈する骨粗 鬆症患者に対してリセドロネートを投与したことで両者 表2 各群の初回と6ヵ月後のVAS値・YAM値・uNTX値の比較
運動療法群(n=4) 薬物療法群(n=26) 併用群(n=21) VAS値(mm) 初回 27.7 ± 15.7 46.3 ± 27.9 44.9 ± 24.2 6ヵ月後 25.7 ± 28.4 37.3 ± 30.5 34.8 ± 22.1 YAM値(%) 初回 75.5 ± 5.0 64.6 ± 8.0 62.4 ± 9.2 6ヵ月後 75.7 ± 5.3 65.0 ± 7.9 63.0 ± 10.2 uNTX値(nmolBCE/mmol・Cr) 初回 46.0 ± 16.0 55.1 ± 22.6 60.0 ± 35.1 6ヵ月後 41.2 ± 22.6 40.2 ± 17.1 36.4 ± 15.3* 平均値 ± 標準偏差.VAS:Visual analog scale,YAM:Young adult mean,uNTX:尿中Ⅰ型コ ラーゲン架橋N-テロペプチド.多重比較(Tukey-Kramer法),*:p<0.05(vs 初回).
表3 各群のVAS値・YAM値・uNTX値の相関関係
運動療法群(n=4) 薬物療法群(n=26) 併用群(n=21) VAS値・YAM値 相関係数 0.29 -0.36 0.13 p値 0.7 0.06 0.27 VAS値・uNTX値 相関係数 0.89 -0.09 -0.13 p値 0.05 0.66 0.72 Pearsonの相関係数,すべてにおいて有意な相関を認めず.
が有意に減少し,腰痛とuNTX値が相関を認めたとい う報告がある18,19)ことから,痛みと骨吸収は関係する といえる.しかし本研究においては,uNTX値は併用群 のみ統計学的有意な減少を認めたが,VAS値は3群と も減少傾向を示したものの統計的有意差を認めなかっ た.そして,VAS値とuNTX値の相関も明らかではな かった.運動療法と薬物療法の併用により,破骨細胞由 来の神経伝達物質に働きかけて骨吸収が抑制された可能 性が考えられるが,疼痛緩和効果については今後さらな る検討が必要と思われる.また,薬物療法群でuNTX 値の減少が認められなかった理由として,服薬のアドヒ アランスの問題が考えられる.服薬の継続は重大な課題 となっており20,21),運動療法と薬物療法を併用するこ とで理学療法士との関わり合いができ,服薬のアドヒア ランスが向上し,uNTX値が併用群で減少した可能性が ある. 運動療法の介入により骨吸収を抑制することで骨密度 が上昇し,痛みが減少すると推定したが,本研究では VAS値,YAM値には明らかな変化を認めなかった.痛 みの程度は社会的背景や個人的因子に大きく影響を受け ることが知られており22),運動療法という物理的アプ ローチだけでなく,個々の社会的・精神的側面の評価も 必要であったと考えられる.骨密度に関しては,荷重刺 激により新たな骨芽細胞が発現するのは6~8月後であ るという報告があり23),6ヵ月後の再検査時では未だ上 昇が確認できなかったのかもしれない.また,ガイドラ インによれば,骨密度検査は腰椎もしくは大腿骨での測 定が推奨されているが,今回の検討では橈骨で測定を実 施したことが,YAM値上昇を反映できなかった可能性 も考えられる. 本研究の限界として,第一に運動療法群の症例数が少 なかったことから,運動療法単独の効果を明らかにでき なかったことが挙げられる.他群との比較でも症例数の ばらつきがバイアスとなったことが考えられたため,今 後は症例数を増やすことでより明らかな効果が示せるか もしれない.第二に,運動療法の種類を統一できなかっ たことが挙げられる.腰痛に対する運動療法の種類や負 荷量などは,日本整形外科学会監修の「腰痛診療ガイド ライン2012」24)においても明らかになっていない.盆 子原ら25)は,骨粗鬆症患者に対して運動プログラム(腹 式呼吸,ストレッチ,上下肢・体幹の自動運動)を6ヵ 月,1年継続し,痛みと背筋力,腰椎骨塩量を比較した 結果,痛みを有意に減少させ,背筋力と腰椎骨密度の有 意な相関を認め,60歳以上の高齢者では腰椎骨塩量を 有意に増加させたことを報告している.今後は腰背部痛 を呈する骨粗鬆症患者に対して運動プログラムの見直し が必要であり,さらには筋力や筋肉量との関係から新た な骨粗鬆性腰背部痛の病態がみえてくるかもしれない. 引用文献 1) 宮腰尚久:重度骨粗鬆症による脊柱変形の病態の解明と 疼痛に対する新たな治療法の開発.Akita J Med, 2008, 35: 107-112. 2) 磯見 卓,笹生 豊,三浦竹彦・他:骨粗鬆症性胸腰椎圧 迫骨折患者の脊椎矢状面バランスの特徴とQOL評価および 運動療法の効果.Osteoporos Jpn, 2007, 15: 241-248. 3) Ohtori S, Inoue G, Koshi T, et al.: Sensory innervation of
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