社会科
の
授業
内容
構
成
一心 理 ・社 会
的ア プ ロ ーチ に よ る社
会科
教 授の場合
一森
万
里
子
1
は じ め に「子 どもは どの よ うな欲求を持っ て い るのだ ろ うか。 安全,衣服, 愛, 成功, 賞讃, 自 由, 積 極的な自己概念, 理想の友, 何か知ること, 空気を きれい にするこ と等々。 数え き れ ない ほ どの欲求 を持っ て いる子どもに直 面 して いたこ とに今 さらながら驚い て いる。」と ( ,PUJ
述べ て い るの は, ア メ リカ合衆国の ラ イア ソ (
Thomas
F
.Ryan
}と ホフマ ン (Alan
J
.Hoffman
)の 両氏である。 両氏は, 子どもが持つ こ の よ うな様々な欲求を社会科の授業で 満たしてゆ くことはで き ないで あ ろ うかと問いかけるこ とに よ り, 子どもの欲 求を中心 と した社会科を構想 してい る。 最 近, ア メ リカで は, 1960 年代の 「新 祉会科」,そ の反省に立つ 1970 年代の 「人間性 尊重」を経て ,1980
年代の課 題 として ,1
.市民性教育,2
.グロ ーバ ル ェ デュ ヶ 一シ ョ ン,3
.価 値 ・道徳 教育の 三 つ があげられて い る。 つ ま り, 「子 ども不在」, ( ) 「人間不在 」が さ けばれるAlL
]の社会科に おい て, 市民的資質の育成が再びその 目標とし て積極的に とりあげられて きて い るの で ある。 こ の よ う な な かで, 両 氏 も市 民 性 教育を 社会科の 目標とし, 「心理 ・社会的ア プロ ーチ に よ る社会科教育論」 (Teaching
SocialStudies
with a psycho ・social approach )を展開して い る。そ こで, 本小 論で は, 子どもの欲求 を中心 とし, 「子 ど も中心の社
会
科 」 と評さ れ る両 (@ P337) 氏の論で, 目標, 内容, 方法が どの よ うに展開されてい るのか を みて い くことに より, 市 民 的資質の再 定義, そ の育成原理 につ い て 考察をすすめて ゆ きたい。II
目標
(1
) 心理 ・社 会的アプローチ ラ ィァ ソ , ホ フ マ ン の両氏は, 市 民的資 質の育成を目標 とす る社会科 を構想 するにあた り, 市 民的資質と は 何 か, それ は どの よ うに育成されるのか を 研究課 題 とし, その 解 明の 方 法と して 「心理 ・社会的アプロ ーチ」を用い てい る。 この 「心理 ・ 社会的アプロ ーチ」は, 二 軸か ら構 成さ れ, 一つ は 心理的基軸であ り, も う一つ は社会的基軸で ある。 前者は, 主 として認 識 発達 を伴 う欲 求 を中心に子どもの発達 を と らえた もの であり, 後者は, 前 者を市民的資質へ と導 く社会的育 成力 を考え た もので ある。 そ の際,両 氏が 心理 的基軸で考えて いる欲求は,社会に存在す る人間 として積 極的に出 現する 「心理 ・社 会的欲求:(
psycho
・social needs )」とよばれる もので あ り育成の うえで重要なもの で ある。 そ こ で両氏は, この ような欲求が子 どもの発達におい て
どう作用 し,どの よ うに あ ら わ れ るの か を追求す るこ とに よ り,心 理的に人間の行動を 明 ら
か に し ようと したの である。 そして , 子どもの発達を次の よ うに四段 階に と らえて いる。
第一段 階は 「最初の探 究」 (lnitial−
Exploratory
), 第二 段 階は 「組み立て られ た依存」(
Structured
・Dependcnt
), 第三 段階は 「組み 立て られ た独立」(
Structured
・
lndepen
−dent
), そ して第四段 階は 「独 立した探究 」 (lndependent
−Exploratory
)である 。 こ の ような 四段 階に は各段 階を特徴づ け てい る 「影 響力の あ る欲求」 (Affective
Needs
)が あ り, それぞれ 「自己中心的 (Egoizing
)欲求」, 「支 配的 (Governing
)欲求」, 「交換 (Exchanging
)欲求」, 「生態化へ の (Ecologizing
)欲求 」で ある。 この よ う な 「心 理 ・ 社会的欲求」は, 各段階における子どもの感情, 態度, 行動,価値にか な りの影響を与え支 配的な機能を果してい る。 こ の よう な 心理 的基軸において両氏が最終目的と す るのは, 第 四段階の 「生態 化へ の欲 求」に基づ く行 動である。 また, 両氏は各段階に おい て も, 子 どもが 「生態 化の方法で機能 する こと」を め ざして い る。 「生態 化の方 法で機 能する」と 〔(D.P223♪ は,予 ど も が 人間 ,社会, 自然 を含め た 生態的シ ステム におい て, 自己 を その一 部分 とし て認め, 他者の立場をふ まえ, そこ に お ける自己の役割を遂 行するこ とで ある。 その際, 両氏は, こ の ような行 動の レ ディネス と して, 個 人的欲求の充足, 積極的な自 己概 念の 形成, 認識能力の育成をあげ, それ を満た し市民 的資 質の育成 力と し て 心 理 的基 ( .P225 ) 軸に作用する社会的基 軸を 設定 してい る。 それ は, 「私」, 「我々」, 「他者」とい う一定 の育成力を持 ち拡が る三場面 から構成 されてい る。 それぞれ個 人的経験, 社 会的 経験, 時 間,空 間 を越え た11
七罪にお け る 人々 との交 流に関す る場面で ある。 厂私」, 「我々」で は, 子どもに個 人的欲求か ら生 じ る感情を 認識能力に よ りコ ン トロ ール さ せ, 社 会的, 現実的 な自己概 念の形 成 を図ろこ とを ね らい として い るθ 「他者」で は, 前二場面をふ まえ, 全 人類的, 生態 的な他者の立場 を考慮し合理的選択 をする こ とが子どもに求め られて い る。「心 理 ・社会 的欲 求の充 足には, 臼己現実化 (sel
f
・realizati {〕n) と自Ll
実現 (seif ・actua −lization
) の二 つ の概念がある」と 両氏は 述べ て い る が , 「私」, 「我々」の 場面で 自己 を ( P41, 現実 化してゆ き, 「他 者」の場面をふま えた うえで 自己実現を達 成する とい う育成のプ ロ セス が社会的基軸で 設定さ れて い る。 以上, 「心理 ・社会的ア プロ ーチ」をみて きたが, 両氏はこ の 二 軸が構成するマ トリッ クス に おいて 市民 的資質を次の よ うに と らえて い る。 (2
) 予どもの 自 己拡張 ライア ソ, ホ フマ ソ の両 氏が マ トリ ッ クス で 明らか に して い る市民 的資質とは 「子ども の自己拡 張」 (Child
’ sExpanding
Self
)である。 それ は, 対角線と な る 一直線である 。 両 氏は, 各段階の子 どもの欲求を 三場面の育成 力 を通 しより洗 練化 さ れ た 行動の基盤へ と導 き, 最 終 的には, 「他 者 」の 状 況 をふ まえ, 「生 態 化へ の欲求 」に基づ き自己実現 する 人間 を 現代の 市民像 と して求 めて い る。 すな わ ち, 「子 どもの 自己 拡 張」と は, 欲求 を巾心 と した子 どもの心理 ・社会 的諸機能を個 人, 社会, 文 化的に拡張する経験領 域に おい て展 開して い くことに より, 子どもを 自己実 現か ら, 更には, 社会的自己実現へ と導 く育成原理 で あ る。 こ の よ う な育成原理に従い マ ト リッ クス に おい て具 体的な目標が 示 さ れて い る が, それ は後述の授業展 開で み てい く。 以上, 目標 を簡 単にみて きた が , 詳細は別の機会に譲 り, 次に, 〔子どもの 自己拡張」を 〔 ) め ざ す両氏の社 会科の内容, 方 法につ い て考察 して い く。
111
内 容 (1
) カリキュ ラム構成原 理 ラ イ ア ン, ホ フマ ン の両氏は, そ の祉会 科教 育論に お い て具 体的 なカ リキュ ラム を 明示 して はい ないが, 各段 階に提示 さ れ た単元か ら試案的カリキュ ラ ムを作成 する と 以 下の 表1
にな る。 表1
ス コ ープ ンーク エ ソス 第 一 段 階 第 二 段 階 第丁
二 学 年 第 三 ・ 四 学 年 本 念 基 概 私 (心 埋学〉 第 三 段 階 ヨ 己 空 樋 支 配 第 四 ・ 五 学 年 交 換 力 の 発 展 我 々 (社会学 ) コ ミュ ニ テ ィ 他 者 (人類学 〉 私とそ の文 化的背景 第 六 学 年 ↓ 第 四 段 階 生 態 化 グ ン ヤ 害 ギ 薬 社会一 経済的交 換 学級で の個 人的交 換。 個人一社会的交換 Q 〔売 買ロ ール プレイ) 自己評 価 。 社 会一経済 的交 換 。 他の人 々につ い (金採鉱キャ ン プ て の評 価
ILpr
迫割シ ミュ レーシ ・ ン ゲーム) 水質 汚染
ILP
「生存 者」 ピル グ リム 。フ ァ ー ザーズ 歴史一文化的交換 。 南北戦争の一兵士 。 学習 ゲーム 文化相互交換 。 イ ン ドにつ いて 交換ILP
「コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ソ」 地 理技 能交換多 くの
ILP
(lndividual
Learning
Package
) が合 ま れて い る。 「価値と 価値づ け」, 「抗 議音楽 」, 「狂っ た馬」, 「価値」,「キ ン グ牧師」, 厂ジェ イン ・アダム ス」, 「人類の起 源 と価 値」, 「2001 年の 輸送機関 」 等々。 ス コ ープ 心 理 学 地 理 学 歴 史 学 文化人類 学 学 学 学 理 治 会 飢 政 社 法 社 学 経 済 学 歴
i
史 学 政 治 学 社 会 学 諸学 相互 社会科学 行 動科 学 人 文科学表
1
か らわかる ように, カ リキュ ラ ム 内容の選択, 構成に関 して も心理的基軸 と社会 的 基軸の相互作用に より 「子どもの自己拡張 」を図るマ ト リッ ク ス が用い られ てい る。 つ ま り, 社会的基軸がス コ ープとなり , 心理 的基軸が シ ークエ ン ス とな っ て いる。 (2
) ス コ ープと シークエ ン ス表
1
に よる と,第一段 階は, 「空 間」,「コ ミュ ニ テ ィ」, 「私とそ の文化的背景」等の単 元 が 示 さ れて い る。 子 ど も自身, ま た彼の生 活周 辺に関する内容で, 心 理学, 地埋学, 歴 史学, 文化人類学な ど主 と して 総合的性格の 強い学問か ら導き出されて い る。 第二 段階で は, 「力の発 展」, 「ギャ ン グ」, 「ピル グル ム ・ファ ーザ ーズ」が示されて い る。 支配, 力, 秩序に関する内容で, 政 治学, 社会学, 法学, 社会心理学か ら選ばれて い る。 第三段 階 は, 「学級で の個人的交 換」か ら「地理技能交 換」まで, 交 換をテーマ とし, 経済学, 政治学, 地理学, 歴史学な ど分析的 学問を基礎と して いる。 第四 段階では, 「価値 と価値づけ」, 「抗 議音楽」 など 個 別化学 習の形 を と る
ILP
(lndividual
Learning
Package
)が 多 く含 まれて い る。 これ は, 個人, 小集 団が独 自のペース で学 習で きる よう組織さ れ た も の で, そ の内容も広 く社会科学, 行動科学,人 文科学か ら選 択 さ れて い る。こ の よ うに み て くると, 内容選 択の基準は各段階の子どもの 「心理 ・社会的欲求」の 特 質, つ まり心理 ・杜会的諸機 能である。 それは, 「自己」, 「支 配」, 「交 換」, 「生態 化」 で あ る。 こ の よ う な基 本概念 を基に社会 科学か ら導 き出さ れ た内容は, さ ら に, 「私」, 「我々」, 「他者」とい う個 人, 社 会, 文 化的領域で展開さ れてい る。 こ の展開領域は, そ れ ぞ れ 心埋学, 社会学, 人類学と 人間の行 動を追求する行 動科学に基づ い て い る。 す な わ ち, ス コ ープは, 心 理 ・社会的諸機能を基に した社会 諸科学の内容と,その 諸機能の展開 領域を示す行動科学がクP ス する範 囲か ら基本概 念を抽出する間学問的接近法が用い られ てい るの である。 そして その内容は, 人間の 「行動パ タ ーソ」の拡張 を通 し社会事象, 文 化を理解 するとい う文化縦断 的視点を持つ もの で あ る。 つ まり , それ は 「人間性探究 」の 内容であ る といえ る。 シ ークエ ン ス は, ピア ジエ の知的操 作を伴う「心 埋 ・社会的欲 求」を中心 とした子 ど もの 発 達 段階であ る。 従来, シークエ ン ス は同心円的拡大法が と られて い たが, こ こ で は適用 さ れて いない。低学年に お い ても子どもと遠 く離 れた人々,集団,国 々を 取 り扱っ て いる が, それ は子ど もの意識, 自我の形成, 経 験に意義,具 休性が あ る場合に取 りあげられて い る。 以 上,試案として み て きたが,その カ リ キ ュ ラ ム は,子 どもの心 理 ・ 社会的発 達 に即し, その諸機能の望 ま しい展 開 を図る 「子 ど もの 自己 拡 張 」の原理 に より構成されて いる。 子 どもの欲 求, 学 習経 験を 重 視 す る 意味で, 初期社会科, 経 験カ リ キ ュ ラ ム の 流れ を く むも の で ある。 しか し。 そ の 内容は, 「行動パ ターン」で示 される よ うに, 社 会科学, 行動科 学な ど 人問性の科学的 な探究に よ り明確になっ た価値概 念で ある。 つ まり,「心 理 ・社会的 アプロ ーチ」に よ る カ リキュ ラム は, 60 年代の 「新 社会科」,
70
年代の 「人間化」の成 果 を ふ ま え,80
年 代の 「価 値明確化 」に箸えよ うとするもので ある。それで は, この ようなカ リキュ ラ ム におい て,単 元は どの よ うに構成 さ れて い るので
あ ろ うか。 そこで, 次に具休的に単元 「ピル グリム ・フ ァ ーザ ーズ」の授業展開を中心に 考察 して い くθ
IV
方
法
(1 ) 単元構成の原理 「子どもの 自己拡張」を図るラィア ン , ホフ マ ン 両氏の 社会 科の 目標, 内容を みて き た が, 単元構 成の原理 も 「子どもの 自己拡張」で あるe 「ピル グ リ ム ・フ ァ ーザーズ」は, カリキュ ラム試案の第二段階, 「他 者」に位 置して い る単 元で,小 学校三 ,四 年段 階 を対 象としてい る。 これは, 「子どもの心 理 ・社会的欲求 に よ り合う よ う な政 治的態度や 価値」を子 ど もに 理解 さ せ る た め, 伝統的に教 え られて い ( .P174丿 た内容を両氏が再 構 成し たもの で あ る。 そ こで, こ の単元で 子どもの どの よ う な欲求か ら, どのような 「行動パ ターン」を 形 成 し, 「子 ど もの 自己拡張」を達 成し よ う と して い る のか。 また, 子どもの持つ 様々 な欲 求は どの よ うに組 織され るの か。 以上の こと を 分析 視 点に授業展開 を考 察して い く。 (2
) 学習内容の組織 こ の授業の概 念は 「支 配するこ と」で ,主要観 念は 「過 去,現 在の 入々は,共通の 目的, そ して組織された支 配機構を完成 す るの に団結 した」で ある。 こ の段階の子 ど もは自己の 力による支配可能なものに価値を 見い 出 し,そ の実現を図っ て い る。 そ こ で ,こ の授 業は , 本 来支配するとはど うい うこ と か とい う支配の本質を理解 させ ることに よ り, 自己の欲 求 か ら生 じ る価値実現を より望 ま しい方 向へ 導こ う と して い るの で ある 。目標は, 「1 .ロ ール プ レーイン グ を 通 しメ ィ フ ラ ワー号 上の条件を考えることに よ り その生活条件につ い て の 知識を 示す。2
.個々人の 日 記の再演を通しピル グリム 達の感情と情動につ い て の知 識を示 す。3
.メイ フ ラ ワー号誓 約につ い て の学級討 議を通し展開 さ れ た支配原理 を用い誓 約 とし て有名な支配機構をかたちつ くる こ と。」等以下6
つ が示さ れ て いる。 この単元 を学習内 ( .P176 ) 容,発問 ・指 示,予 想 さ れ る答 仔 どもの欲剥 を中心に指 導案に組み か えると表皿 にな る。 表皿 学 習 内 容 発 問 ・ 指 示 予 想 さ れ る 答 (主と して欲求 申心) 12
3
4
フ ロ リダ移住へ の仮定 ラ フ ワープ ソ ド (仮空 の 島)へ の移住 フ ラ ワーラ ン ドヘ トラ ン クーつ だ け 持 っ た移 住 ピル グリム ・フ ァ ーザ ーズ の紹介 。 フ ロ リダへ の移住に何を 持っ て い くか 。 フ ラ ワ ーラ ン ドへ 初めて の住人 と して移住 するの に何を持っ てい くか 。 フ ラ ワ ーラン ドへ 移住す る のに トラン クーつ に何 を 入 れて い くか (教師がピル グリ ム ・ファ ーザーズを紹 介する) 。 生 活必需品 だ けで な く , 様々 な欲求がで て くる。 。 生活必需 品に限定さ れて く る。 。 生理 的欲求 (食物 , 睡眠, 庇護 )を満たす もの に限ら れて くる。5
6 78
910
1211
3411
15
16
学 習 内 容 ピル グリム ・ファ ーザ ーズの移住前の 状況 (移住の原 因) 「圧政 」に つ い て の ロ ーノレプレ ーイ ソ グ 発 問 ・ 指 示鶚
羸
磁
ザ1
(移住の 手段) 1 ピル グ リム 家族の絵 画 作成1
メ イ フ ラ ワー 号上で の 生活 (ロ ール プ レ ーイ ン グ) 復 習 「メイ フ ラ ワ ー号物 語』 (映画 鑑賞 ) 船上で の 生 活休験 船上で の集 団生 活 (ロ ール プ レ ーイン グ} 船上生 活の壁画 作 り 新 大陸上陸 後の生 活 ピル グリム ・フ ァ ーザ ーズ とイ ン ディ ア ン と の 生活 (ロ ール プ レ ー イン グ ) 。 王の迂政に対 しのがれよ うと思 うか 。 その 場合 , 王に処罰を受 けた。 ど う思うか, ど う 感 じ る か Q 王の 圧政に ど う打ち勝て るか 。 ピル グ リム は,プライバ シ ーの欠如に どう対処し た のか Q あな た が眠く , 他の人 が 歌い たい場合ど うす るか ・ 九週 間 , 小さな空 間で ど の よ うに集 団に参加し た か 。 船上で は, どの よ う な 問 題 が 生 じ, そ れ を ど う解 決する か 。 メ イフ ラ ワ ー号誓 約に反 し罪 を 犯 し た ら どうす る か Q さらし台のあな た を友 人 が 笑 うな ら ど う感 じ る か, 逆の場合は どうか v イン ディ ア ンに 出会いお 亙 い に 理解 し合うに は ど うした らい い か 予 想 さ れ る 答 (主とh
て欲求 中心) 自由, 生 活の 安全, 安定1
を求めて, 王の もと (故 」 国)を去る。 集団のな かで, 自分の位 置を占め たい とい う様々 な欲求がで て く る。 集 団の一員と して承認 /さ れ たい, イ ン デ ィ ァ ■
1
ン に理解さ れ たい とい L う欲求が で て くる。L
丿
単元の 内容を分析 してみ る と, 内容1
〜3
, 4 〜 13, 14〜16
と三つ の部分に大きく分か れて い る。 そ して そ れ ぞ れ単元の導入, 展開, 終結 となっ て い る。導入部分では, 「フロ リダ, 仮空の島へ 移住す る と し た ら, あな た は ど うする か」とい う問いにより, 移住につ い て動 機づけを与えて い る。 展開部分で は, ピル グリム 達の移住前の本国での 圧 政状況, そ して その 状 況か ら逃れ, 新大陸を めざすメイフ ラ ワ ー号 上で の集 団生活が中心 と な り, ロ ール プレ ーイ ン グ を 通 し 授 業が展 開さ れて い る。 ま た当時の ピル グリ ム達の生 活条件を 子 どもに より鮮明 なもの に する ため, 絵画作成, 映画鑑賞など も取 り入 れ ら れて い る。 終糸Ili部分で は, 移住 後の生活が中心 で あるe メ イ フ ラ ワー号誓約を基に作 られ た 整 っ た 支配機構にお けろ生 渚, そ し て 文 化灼に 異なる インディ ア ソ との新 しい生活状況が Pt 一ル
プ レーイン グを通して展 開 されて い る。 こ のよ うな三部分 は, 個人 的場面, 社会 的場面, 文 化的 ・人類 的場面で あ る 「私」, 「我 々」, 「他者」に ほぼ一致する。 教師はこ の よ う な三場面で設定さ れ てい る状況 に おいて, 子 どもに 「どう思うか, どう感じろか, どう解 決するか」 と問いかける こ とに より, 子ど もか ら様々な欲 求を引 き出して いる。 各場 面で引 き出された欲求を まとめ る と, 表
1
[に あ る よ う に,「生 理的欲求」, 「生活の安定 を 願 う欲求」,「集団 参加へ の欲 求とそ こに お ける 自 己の地位獲 得の欲 求」, 「集 団の 一員と して承認さ れ たい , イ ン デ ィ ア ン に理解 さ れ たい 」 とい う欲 求にな る。 子どもはこの ような様々 な欲 求のな かで , 白己の欲求, 価値を分析し, 感情を探究し,白己の行 為の方 向を 選択 する よ う に な る。 これ を表わ し たのが表皿 で あ る。 表]ff
学 習 内 容 欲 求 の 種類1
場回
行 動H
標 (習 得される行動パ ター の19
】 nj4
56
78
9101112
13 1415
16 フ ロ リダ,フ ラ ワ}
一ラン ドへ の移住 ピル グ リム 。フ ァ ーザ ーズ の紹介 カ}
移住 前の状況 (ロ ール プ レーイ ン グ) 絵 画作成 船上での生活 (ロ ール プ レーイ ソ グ1
復習 映画鑑 賞 船上で の生 活体験 船上での生 活 (ロ ール プ レーイ ン グ) 壁画 作成 新大陸上陸後の生 活}
イソ ディ ア ン との 生 活 生理 的欲求 安全 ・安 定の欲求 愛 ・ 集 団所属の欲 求 自尊心 ・他 者に よ る尊敬の欲 求 私 我々 ○個人 は, 現 在の 自 己 の 能力, 関 心,強制を 基 に行動する。 。 個 人 は , 自己の価 値体系に基づ き 行 動する。 。 個 入は , 他の人々 の能力, 関心, 強制を受け 入れ行 動する。 ・ 個 人 は , 必要な ら, 個 人的欲 求を 他の 人々 の欲求と 調和させ ろ。 。 個人 は , 建 設 的 な集団の メ ソバ ー として参 加する。 。 個 人は , 適切な立場で主導 的役割 を 引 き受け る。 。 個 人は世 論に影 響 を与えろ よ う行 動する。 ・ 個 入は , 憲法や独立宣 言 (こ の 場 合はメィフ ラ ワー号誓約)に表わ れて い る価値に基づ き行 動する。 。 個人 は責 任を持ち, 市民 レ ベ ル で 政治に参 加 する。 o 個人 は, 自己の行動を社会 上, 法1
, 律上の束 縛と 調和させ る。1
・臥 は,建設 的 憾 情 臓 現する. 他者 Q 個人 は , 自己の集団の 文化 と他の 集 団の文化 との違いを 受 け 入 れ調 和させ る。 。 個人 は , 他の 国々 の文化的価 値 や 文化 的パ ターン を受 け入 れ理解 し よ うとつ とめ る。 。 個人 は,臼 己 自身の文 化 と 他の 集 団の 人種 的,宗教的,民族的,社会 的 階級の差異を受け入 れ調和する。表
1
皿に み られ る欲求の種類は, ア メ リ カ の著 名な心 理学 者で あるマ ズ ロ ーの 「欲 求 階 層 説」に基づ くもの で ある。 彼 は, 「生理的欲求」, 「安全 ・安定の欲求」, 「愛 ・集 団所属の 欲求」, 「自尊 心 ・他 者によ る尊敬の欲求」をひ とつ ひ とつ 満た してゆ けば, 自己実現を 達 成 する, と欲求をrl ’r 心に人間形成 論を 展開 してい る。 ラィア ソ,ホ フマ ン の両氏は, こ の 理論を基に子 どもの欲求を 分析 し, 授業を組織し たので あ る。 このように 自己実現に至るよう組織された欲 求は, 目標で既 に 述べ て き た 「私」, 「我 々」, 「他者 」とい う三場 面の育成力 を通して, 「生態化の方法で機能する」 とい う行動へ の基盤へ と導 かれて い る 。 そ の行 動に至 る プ ロ セ ス に おいて,子 ど も は,具 体的 に 「個 入 は, 現 在の自己の能力, 関心 , 強制を基に行動する」, 「個 人 は, 建設的 な集 団の メ ソバ ー と して参加する」, 「個 人は, 他の国々 の 文化的価値や文 化的パ ターンを受 け入 れ理解し よ う とつ と め る」とい う 「行動パ ターン」で 明示され た価値 体系を 形成して い くので あ る。 そ して, こ こで形成さ れ る価 値休系がこ の段階にお け る 「子どもの自己拡張 」で あ る。 以 上, 「ピル グ リ ム ・ファ ーザーズ」の 授業を中心に学習 内容の組織を みて き た が, そ れ は一 単元に おいて も 「子どもの自己拡張」がめ ざされ, その原理 の もとに内容が組織さ れて い る の である。 (5
} 学習指導の方法 学習指導の方 法は, 各場面における 「行 動パ ターン」形成のプ ロ セス へ の予どもの参加 の形で 示さ れて いろ。 その参 加の形に は, 「ピル グリム ・ フ ァ ーザーズ」で み られたロ ー ル プ レーイングがしば し ば用い られて いる。 子どもの欲 求を中心に学習 内容を組織す る授 業では, 具 体的な状況 に お け る自己理解の 能力, 他の 人々 の感情や 価値を自己 との関わ り で探究 する能力,感 情移入,他者の立場を理解す る能力,問 題解決,合理 的 選 択 をする能 力等を育成 するうえで, 実際 的 場面を与え る ロ ール プ レーイ ン グ は効果的で あ る 。 その 他, シ ミュ レ ーシ ョ ンゲーム , 学習 ゲ ーム, 絵 画作 成, 追 体験な ど 子 どもの 積極的 な猛動 を中心 と した学 習方 法が多 く とりあ げ られて いる。 V お わ り に 本小 論では ライア ソ , ホ フマ ン 両氏の 「心 理 ・社 会的アプロ ーチ によ る社 会科教育 論」 の目標, 内容, 方 法を考察して きたが, そ れ は一貫して子 どもの欲 求を中心に市民 的資質 の育成を図る 「子 どもの 自己拡張 」の原理に基づ いてい る。 価値学 習, 市民 的資質育成の 解 明に両氏は,「人間の本質は その人の欲求を述べ る ことか ら は じ まる。 ……そ して, 価 値 とは その よ う な欲求の充足で ある。」と述べ るマ ズ ロ ーの入間観を基に社会 科を構想 して ( P.73) い るの である。 両氏の論につ い ては, 子ど もの欲 求, 行動が中心 と な り教師の指 導性が薄 い, 心理 主義的傾 向が強 く教科の論理 が弱いな ど問題点は 残 る。 し か し, ア ど もの持つ 様 々な欲求を分析 しそれ を授業の な かで組織して い く「子 どもの 自己拡張」の原tt gは, 子 ど もの側に立つ 市民性 教育と して 意義あるもの で ある。 小学校 社会科の経験学習に おい て 活 用 され れば, よ り効 果的であろ う。ま た, 両氏の論は, 子どもの欲求の なかに子ど もが持つ 価値, 可能性を引き出 し, それ
を新しい発展の要 因である欲求へ と導き
, 育て, 実現して い くとい う積極的な社会科教育
論で あ ろう。
〈引用 ・参 考文献〉
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andRyan
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in
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Schoo1
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マ ズ ロ ーの心理学』 産 業能 率大学 出版 部 1972 .Alan
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.Hoffman
‘ ‘A
Case
for
Using
Survey
Techniques
withChildren
(with