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大学生の精神衛生-香川大学学術情報リポジトリ

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117 大学生の精神衛生

市 河 淳

本学に.おける学生相談の活動は昭和50年度から保健管理センタ′−で開始され 現在に至っている。本学での精神衛生に.関する学生相談ほ,自発来談と,新入 生を対象としたスクリ」−ニング・テストなどによる呼び出し面接の両方から行 なっている。呼び出し面接は基準をいろいろ変えて試みたが,主としてスクリ −−・エソグという早期発見や予防的機能の発揮というよりも,将来本当に因まっ た状況に陥った時にほ来所してくれるであろうこ.とを願って,啓蒙活動的意味 を込めたものであった。相談室の存在を知ってもらう紅は,少しずつ学生との ふれあいを通じた拡がりが最も重要だと考えたわけである。実際,ごくわずか であれ,そのことがきっかけで来所したり,友人に.紹介してくれた例もあるな ど,ある程度の効果も認められる。現在では,1∼4年の全学年が,新入生の オリエンデー・ジョンで学生相談の説明を受け,現実の認識の程度はともかく, 少くとも存在を知っていることになる。 本報告は,(1)これまでの精神衛生に・許する学生相談の概要(2)精神衛生 紅関する入学時健康調査(UPI)に・関する考察を行なう。 (1)本学における学生相談の概要 (i)自発来談…昭和50年度から53年皮(4月∼翌3月)に・わたる4年間の 自発来談ほ表1に/示す通りである(教官などに・よる紹介も含む)。相談室を訪ず れた学生数,延ケ−スとともに,年々少しずつでほあるが増加している。1人 あたりの平均面接回数は,昭和50∼52年の2.3∼2‖7回に対して,昭和53年では 4.1回となるが,実際には1回から20匡l以上にわたるものまである。自発来談

学生数の在箔数に対する割合は,昭和50年から順紅,0.2,0.6,0.6,0.9%と

なっている。また,学部別の在籍数に対する割合ほ,いずれも小さく,差が認 められない。

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市 河 淳 章 表1自発来談延ク−ス 118 男 5(2) 50年 0 計 16(6) 0 男 5(2) 18(8) 5(4) 28(14) 51年 女 4(2) 0 10(2) 14(4) 計 9(4) 18(8) 15(6) 42(18) 男

⊥当プ空

ー_− 2(1) 26(11) 52年 女 3(2) 計 20(6) 20(8) n 5(3) 男 0 53年 34(13) l30(9) 64(22) 1(1) 47(5)

計 31(10) 111(27)

()内は人数 延ケ−スを月別にみたのが表2に示してある。度数が少ないため,4年間の 延人数でみた面接状況を,月毎にまとめてみると,来談には3つの山があるよ うに思われる。第1は新学期開始後1・2カ月の,新入生を中心とした,新しい 生活環境に対する不安感情のあらわれである。入学後,ほたしてうまく適応で きるのだろうかという漠然とした不安,あるいは新しい集団内における人間関 係や生活行動に対する不安状況を反映している。これらのはとんどは夏休みに. 入る頃までにはどうにか大学生としての生活に慣れてくるのがはとんどであ る。次いで,10月および1月との試験期をはさんだ時期の不安定な状況とに.区 別される。こ.の期はストレスの相乗的な効果をもつのであろうか。主として長 期的継続ケ−スにあてほまる。

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大学生の椅神衛生 119 表2 月別自発来談延ケ」−・ス

蒜’\ヾ 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 計

50年 / 0 0 0 0 3 3 1 2 5 3 2 19 51年 3 0 11 3 3 0 3 4 6 4 2 3 42 52年 3 1 7 0 0 2 2 4 4 11 8 3 45 53年 8 14 17 8 5 9 10 8 7 11 9 5 111 自発来談を学年別に示したものが表3である。来談人数は1年生が最も多 く,はぼ学年順に.減少している。 1・2年生は,3・4年生の2倍以上であるが, 2年以上はそれはど変わらないことが示されている。 表3 学年別 自発来談(人数) ・皇・ 1l2 3 4 計 50年 男 女 1 3 2 0 0 3 0 0 1 4 男 1 2 14 女

51年 8 2 3 2 【0 0 4

0 11

52年 男 6 3 2 2

3 0 6 14 4 22

】− ̄

53年l許

ロ l l

3 5 表4は主訴の内訳を性別にみたものである。実数が少ないうえ,毎年同じ傾 向とは限らず,−・定の傾向を見い出すのは困難である。そこで,昭和50∼53年 度を合計した延人数で便宜泊勺にみると,最近4年間で最も多いものをあえて3 つあげるとすれば,身体(psychosomaticなものを含む),性格,進路に関する ものである。前2つの点に.関しては,いずれも男子で特に多い特徴である。

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市 河 淳 茸 表4 自発来談主訴の内訳 120

ヾヽニ→㌧、.旦遽 ■h●■ − 昭50年 男!女】計 昭 51年 昭 52年 昭 53年 昭50∼53年 男】女‡計 男l女l計 男1女i計 男妻女l計

不 安 感 情 人 間 関 係 身 体・心 身 性 格 進 路 意 欲 減 退 赤面(視線)恐怖 心因反応他 そ の 他 0 0 0 1 2 0 0 2 0 6 6 4 1 9 6 4 7 6 1 1 0 0 3 3 2 3 1 0 2 0 0 1 1 2 0 0 2 0 1 0 5 4 2 1 0 3 1 4 5 5 2 1 2 1 1 1 4 5 5 3 3 2 1 3 1 5 5 3 9 3 6 2 2 5 1 1 0 1 1 0 0 1 1 2 50119169 (ii)呼び出し面接…精神的健康管理としての相談活動は,上里・山下(1970) によれば,治療的機能,予防的機能,それに開発的機能に分類される。精神的 に不健全な,あるいは不健康に陥る可能性のある学生に対する予防的処置と して,早期発見のための手がかりをスクリ−ニング・テストに・求めて呼び出し 面接を行なうことは,意義あるものと思う。

本学でほ昭和50年以前からも,UPI(UniversalPersoIlalityInventory)が

新入生紅実施されてきている。スクリニー・ング・テストとしての意味に・かなっ た測定用具として最適かどうかは別として,現在も新入生のオ■リエンデーシ ョ ン時に.実施し,呼び出し面接の参考にしている。 昭和50年と51年度には.,前期と後期の2度にわたって呼び出し面接を行なっ たが,昭和52年度は前期だけ実施した。いずれも呼び出しの基準は,試行錯誤 的工夫の意味もあってその都度異なっている。 表5ほ,呼び出した学生数と,それ紅応じた人数とを表示したものである。 呼び出し人数は,在籍者の3∼10%の範囲内である。まず,呼び出した学生の 来所率は表に示されているように全体的に高いが,特紅女子学生の方が男子よ りも呼び出しによく応じることがわかる。ところが,表には示されていない が,前期に呼び出した場合は,7∼8割がそれに応じる。後期に呼び出すと, 例えば昭和51年の場合には55%の来所率に.見るように,低下する傾向がある。

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大学生の精神衛生 衷5 呼び出 し面接人数米 121

㌃遠ヾ産\賢、讐 教 育 経 済 農 学 計 簡捷人数/在箱歎 画数人数/呼び出し数

【 70.8(%)

昭5。年2

82,.8 25(29) 75小3 7(10) 62.0

昭51年 12(17)

79…2 19(27) 67り6 写(2) 79.3

昭52年 7(8)

80.0 9(10) 79.5 * ()内ほ呼び出し人数 昭和50年度前期の呼び出しでは,UPIの総得点を主として,重要項目に対す る反応内容なども考慮して任意的に・求めた基準に従った。一方,後期に.は, UPIの特定の項目(Q31)に.対する反応を示した学生のみを対象とした呼び出 し面接を行なった。すなわち,「死に.たくなる」を肯定して−いた者は,1年生の うち35名(在籍数の1.2%)に及び,そのうち25名が呼び出しに応じ面接を受 けた(男子12/18名,女子13/17名)。そのうちほとんどは,ロマンチックな反応 であったり,現実的レベルの反応でないことが確かめられた。しかし,現実的 レベルで,かつて考えたことがある者は2名いた。「死にたい」という反応が以 外紅多いのほ驚ろきであったが,同時に,設問の表現形式の問題だけでなく, 青年期の問題としてとらえるべきものなのであろうか。 UPIに.基づく呼び出し面接からは,継続的紅面接が必要と思われる者は,数 名紅過ぎなかった(スタリ−エソグとは本来そういうものかもしれないが)。特 に,新入生という特徴から,入学時の極めで一・時的精神状態を代表しているこ とが,呼び出し紅応じた学生との面接によって感じられる。むしろ,呼び出し にも応じてくれない学生の方が気になるところでもある。 昭和51年度からの呼び出しは,もっと本人の希望を生かした方法をとること にし,UPI調査の中で,「性格や悩みのことで相談してはしい」という別項目を 設仇 これに反応した学生を主として(中に.ほ反応内容を考慮して含めた者も

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市 河 浮 茸 122 ある)呼び出し面接の対象とした。この別項冒に反応している学生ほ,1年在 籍数の約1剖(男子9.5%,女子11.3%)にも及んだ。予想外紅多かったため, 前期と後期に分けて呼び出し面接を行なった。その結果,何らの問題も認めら れない暑が最も多く,次いで,入学時の不安感情や寮を中心とする(特に男子) 表6 呼び出し面接の結果 l

∵・

−−一二 二

* Dほ,まったく問題ないもの(以下の表記も同じ) 表7 呼び出 し面接(相談希望者)の結果 ・き

昭51年

昭 5 2 年

lれ!・重 男‡女i計 男 女 計

D 8 19 2 1 3 不 安 感 情

11 4 6

10 3 2 5 人 間 関 係 7 1 1 2 身 体・心 身 4 11 12 性 5 2 1 3 進 路

7 0 3 1

3 1 2 3 1 2 0 2 人間関係や生活習慣のとまどいなどに関するものが主な相談内容であった(表 6参照)。これらで相談希望者の70%を占めていた。従って,このような方法の 結果は,むしろ啓蒙活動的意味あいの方が依然として強いものであった。よく 読まず紅適当に印をしていたり,「先で因まる事があったらお願いしておいた方 がよいと思い_1などというものも含まれていたようである。そこで,昭和52年 度には,現在の状況が表わされるよう,現在という言葉をゴチ印刷にして添え て相談希望の反応をとり,希望者を呼び出し面接した。表6,7では,この間の相 違が読みとれる。このようにして行なった呼び出し面接(表5をみると,呼び

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大学生の精神衛生 123 出し紅応じる比率が全体紅高いこ.とがわかる)の特徴は,男子学生を中心とす る青年期特有の身体に関する不安や悩みが多かった(表7参照)。このはとんど は,正しい知識の不足に起因するものである。しかし,さしせまった相談希望 でない者も若干含まれていたので,昭和53年皮からは,新入生オリエンテーシ ョン時紅,各学部に依頼実施しているUPI調査の折に,相談希望項目に関して, 別に.インストライションをして:もらい,今すぐ相談したいことのある人紅反応 を求めてもらうよう改めた。従って,表1では昭和53年皮にほ,このように.し て面接した7名の学生も含めてある。表3で,昭和53年度の1年生の人数比率 が以前より増加しでいるのはこのためである。 以上,精神衛生に関する学生相談の活動状況を,昭和50年の初年度から4カ 年に.わたって,自発来談と呼び出し面接の両面から報告した。 (2)入学時の精神的健康調査(UPI)に関する考察 (i)UPIの結果…全国の大学で保健管理センターあるいほ学生相談室を中 心に行なわれている学生の精神衛生活動紅ほ,既紅示してきたように.,自発来 談の他に適応障害をもつ学生の早期発見や予防をどうするかという問題があ る。自ら相談にやってくる学生よりも,このような学生を発見し相談活動をす すめることの方がむつかしい。仮りに.,カウンセリングの必要と思われる学生 を呼び出しても,呼び出し軋応じない学生もあり,このような学生こそ問題を ほらんでいる場合もある。はたして,効果的な呼び出しであったかほ,予防的 見地からみると重要な問題である。スクリ′−ニングという観点からほ,どんな テストを援用するか,どんなテスト・バッテリーを考えるのか,ニ次的スクリ ーーエソグまで考慮するのかといった幾つかの問題が関係してくる。 山下(1965)紅よれば,スクリ・−ニング・テストの実施校は約60%紅及び, なかでも国立大学の場合は75%紅達する。最も利用されているスタリーーニング

・テストは,利用率の高いものから順に列記すると,UPI,Y−G,MMPI,

CMI,TPIらが挙げられ,その他にもMHSQ,NSなど,大学によって独自に開

発されたテストまで含めると20種類紅及んでいる。最もよく利用されている UPIほ,全国保健管理協会紅よって作成され,主として短時間紅全員面接する 時など,チ・ズック・リスト的に用いるのに便利なように.できている。しかし,

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市 河 浮 華 124 特定の2,3の大学のように,スタッフの多いところでほ本来の目的紅そった 使い方がされているけれども,むしろ例外である(山下。上里(1970》。テスト の作成経由K.ついで述べている宮田(1967)はPersonalityInventory という 意味でなく,むしろPsychiatricInventory と呼ぶべきものとしている。測定 内容紅ついてほ,身体的,性格的特徴,抑うっ状態,精神分裂症体験,生活意 欲の減退,対人的適応困難など,約60項目(Lie scale と呼ばれる4項目を除 く)から構成されている(改訂版A(1)∼A(5)で数項目少なくなっている)。測 度としては,Lie scaleを除く肯定項目数の合計を用い たり,特定の項目(重 要項目)に二任意的に.ク.エイトをかけて合計する方法などが用いられる。自己防 衛の強い人は極端な任得点として表われることも考えられ,そのこともまた問 題の対象とされている。 いずれ軋せよ,UPIをスクリ−ユング・テストとして用いる場合,標準化さ れた性格テストとl軋様の扱いをするのではなく,できるだけ,本来の目的にか なった使い方が望ましいわけである。テストとしての問題はあるものの,5∼ 10分で調査実施でき,採点も短時間に.処理でき経済的などの点が最も利用され る主な理由であろう。面接の導入匿も使い易い利点もある。 まず,UPIの結果を昭和50年皮(回収率・男子99.3%,女子97.9%)の場合 に.例をとってみよう(表8)。表中の数値ほ,ク・エイトをかけない粗点,すなわ ち,Lie scaleを除く6O項目中の平均肯定数をあらわしている。参考までに,

ウエイトをかける対象とされる重要項目(Q,31,32,46,53,60,62,63一改訂

A(5)版では少し異なる)の肯定は,全体的にみると平均1∼2個である。ウ エイトをかけた得点を求めても,個人の相対的得点の大/トはほとんどかわらな かった。むしろ,問題があるとすれば,クエ・イト以前の問題があるように思わ れた。 表8はフェイス・レ′−トのいろいろなクロス分析から,主な要因分析の例と してとりあげた。新入生の入学時のUPI得点が,宿所形態に.よって−相違して1、 ることがわかる(表9)。すなわち,自宅あるいほ下宿生と比較して,寮生の得 点が特に男子で高い。彼らに.とって,大学生活を始めるに.あたり,初めての集 団生活が,少くとも一・時的に.高い緊張と精神的不安定をもたらしているように

(9)

大学生の椅神衛生

表8 U PIの 結 果*

125

下 宿 寮 計

h、\\、、、住居 \.¶−__,_ 自 宅 ㌔性華竺竺 N声音IsD Nl夏 SD N 烹isD N!烹IsD

男 25 教育 女 計 男

79

経済 女 6 計 85 .; 10.5 1.0 10.0

農学 男 女 計 :…‡……;… 16018.19.9 1316.38.8 17317.99.8

男 271 16.1 9.2 80 全体 女 55 18.6 8.9 30 23517.9 9.7 . * 昭50年のデータ−,粗点の算出ほ重みずけしない場合 表9 分散分析表(表8の学部結合データ−) 変動因 SS df MS F 住居形態 17.31 2 8.66 6.77** 性 .03 1 .03 交互作用 8.28 2 4.14 3.23* 誤 差 893.15 698 1.28 *Pく105 **Pく.01 思われる。このことほ面接の印象とも符号する。高久ら(1975)が,面良者の 30%は寮生であるという他大学の結果も同様の意味を指していると考えられ る。 表10は,昭和51年のデータ・−から,結果を知りたいかどうか紅対する反応に・ よるUPI得点の差をみたものである。結果を知りたいと答えた者は,知りたく ないと反応した学生よりも有意に得点が高いことがわかる。もちろん,この場 合,相対的な比較での差であり,問題があるということではない。しかし,調 査に何らかの関心を示すものが,そうでない者よりも平均得点紅差のあること

(10)

市 河 淳 茸 表10 「結果を知りたいかどうか」によるUPI得点差 126 (昭51年のデー一夕」−う ほ興味深い。因みに,相談希望者の平均得点が,そうでないものよりも有意に 得点が高かったことは当然である。 (ii)UPIの変動性‥・UPIが,パーソナ・リティよりも,問題徴候的な側面を 測るものだとするならば,もともと入学時の徽候は,パーソナリティ的なもの よりも,自己の感じる状況によって変動しやすいものであると考えられる。 UPIで測られる測度が,どの程度個人紅備わる安定した側面をとらえているの であろうか。昭和50年あるいほ昭和51年に呼び出し面接した一・部の学生紅つい て,UPIの測度の時間経過に伴なう変動性の有無を試み的に.検討したのが表 11,12である。2度目のUPIの調査時期ほ,ランダムに面接の前,後でカウン タ・−・バランスをとった。表11と12では,入学時の平均得点が相違しているが, これは呼び出し基準が異なることに起因するのであろうか。いずれに.しても, 入学時から2カ月後の6月と,約半年後の9月のどちら紅おいても,4月時の 得点よりも著しく低下方向紅変動することが示された。これらの結果は,当初 の得点が比較的高い者でも,平均的な場合でも,いずれも入学時をピ−クにか なり変動することがわかった。従って,UPIの測度が将来を予測するという意 味よりも,現在の状態の表現であることがわかる。これこそ,UPI作成の本来 的意図に合致するというべきであろう。 時間経過に伴なって変動するとレても,変動しやすいのほどんな項目かとい

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大学生の精神衛生 表11UPIの変動性(4∼6月) 表12 UPIの変動性(4∼9月) 127 計

蚕;こp貰 N==31

4月sD .

6月sD .

Ⅰ .743 t い782 .752 t 3.25** 3.00** 4.45** 4月sD

吏 28.89 23.69 25.82 5..70 6.89 6.92

更’ 9月sD Ⅰ

.298 −.169 .074

5.16** 4.18** 6.45** ** P<.01(昭和50年のデーター・) ** P<=01(昭和51年のデ・−タ−) う問題がある。変動の方向が,肯定(否定)から否定(肯定),いずれも肯定 (否定)の4つの可能性について分析したが,何しろ内容分析する紅ほ対象が 少ないので,これ以上細かい内容についてはふれることはできない。 (iii)UPIのG・−P(上位−−■F偲)分析…・‥ここではUPIの項目の1 ̄upI測 度」に対する弁別性を全項目について,昭和50年度のデータ一により検討する。 まず,新入生全員のUPI得点(粗点)を順位づけし,得点の高い者,低い者を 上下約25%ずつ抽出した。分析の対象となったのは,High群169名(全体の

23.7%),IJOW群163名(22.9%)である。High群の平均得点ほ,衰=31.36,

SD=5.63,得点の範閉52∼25,bw群では衰=5.71,SD=2.52,得点の

範囲9∼0であった。平均得点間に学部,性差はなかったので,以下の分析は 男女合計のみで行なった(item番号は末尾の調査票参照)。 表14 弁別カの高い項目例(item47) 表13 弁別カの高い項目例(item8) 左京\華讐 高 低 計 肯定 131 14 145 否定 38 149 187 計 166 163 332 肯定 152 30 182 否定 17 133 150 計 169 163 332 X2ニ=160.23 df=1 P<∴001 X2=171..43 df=1 P<.001 表13,14は最も典型的な例である。UPIの測度で高得点となる学生が,ほと

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市 河 浮 章 128 んどその質問項目軋背走の反応をし,逆に,総得点の低いものがはとんど否定 する項目をあらわして/いる。このような項目は,この場合,総得点(UPI測度) 紅対する弁別カが強い項目だと考えられる。これと類似した反応パターンを示 したのは,7∼17,24,27,29,30,39,40,42,44,47∼49,の23個の項目に あてほまった(但し,15,17はUPIの改訂A(5)ではなくなっている)。 表13,14の例は,ある項目に対する反応の分布が比較的等分される項目であ る。項目に.よっては反応に.偏りがあり,もともと背走率の少ないものがある。 このような項目例が表15,16の例に示されている。これらの例ほ.,項目の弁別 力の弱いものである。ただし,表15に∴示されている例は.,重要項目と呼ばれる 表15 肯定率の低い項目例(item31) 表16 肯定率の低い項目例(item45)

.∴ ‥:‥;!l

偽 低 背定 34 0 34 否定 135 1(;3 298 計 169 163 332 肯定 54 10 64 否定 115 153 268 計 169 163 332 X2ニ=36.53 df=1 Pく.001 X2=35.54 df=1 P<」001 項目の1例である。もともと肯定反応ほ少ないものの,Low群にはまったく反 応がないところに意味があるといえる。従ってニ,重要な問題徴候とされること が,面接の結果と符号するものであるならば,これらの項目に弁別カをもたせ るために.,どの程度のウエイトを与えるかなどの検討が可能であろう。同様の 弁別カを示す項目は,2,18∼21,34∼37,41,43,45,51,52,61の他,重 要項目と呼ばれるもののうち,31,32,46,53,60,62,63の,合計22個紅認 められた。 その他の反応パタ」−ン例が表17,18である。表17の例でほ,Higb群間では 肯定,否定の率が同じ位であるがLow群の肯定率の低いもの,表18の場合紅 は,Higb群の肯定率が否定率をごくわずかにうわまわっている点だけが異な っている。しかし,Low群の肯定反応が少ないのは,Low群の得点範囲9∼ 0から考えても,あたり前であることを考慮すると,結局,High群の特徴が

(13)

大学生の精神衛生 129 衷17 その他のパターン例(iteml) 表18 その他のパターン例(item28) 這諒\攣竺 高 低 計 肯定 90 14 104 否定 79 149 228 計 169 163 332 X2=47り87 df=1 Pく.001 X2ニ76.94 df=1 Pく.001 はっきり出ない項目だとみなすことができる。 このような反応パター・ン紅分類されたのは,表17のバク−ンとして,項目1, 3,33,50,59,後者のパタ一−ンに、入るものとして,4,5,23,25,28が認め られた。 一方,UPIにほ4つのLie scaleと名づけられた,得点に無関係の項目があ る。ただしその内容は,むしろ他の項目と同様に傲候的項目の叫・部に.なるもの も予想される。 表19∼22ほ,これら4項月についての反応傾向が示されている。Lie scale 的反応バク′−ンを示すのは,項目6の,「身体の調子がよい」位のもので,統計 的にほ有意な差が認められるものの,あとはLie scaleと呼ぶ紅ふさわしい項 目かどうか疑わしい。結局,理想的なG・−P分析の分布を示す項目は半分に.満 たないことがわかった。 衷19 Lie$Calel(ite血6) 表20 ⊥ iescaie2(item22) 肯定 32 73 105 否定 137 90 227 計 169 163 332 Xヱ=69.60 df=1 P<.001 X2=ニ汚.64 df=1 P<り001

(14)

蒔 河 淳 牽 表21Liescale 3(item38) 130 表22 Liescale4(item45)

左京\空讐 高 低 計

肯定 49 65 114 否定 120 98 218 計 169 153 332 妄孟\\攣竺 高 低 計 肯定 72 121 193 否定 97 42 計

169163

X2=4.35 df=1 P<.05 X2=34、10 df=1 Pく.001 (iv)UPI測度の意味l…結局,UPIで高得点(相対的なものであれ)であ るということの意味について考察してみたい。衷23は,全学生の40%以上が肯 定している項目をまず抽出し,結果として得られた17項目のうちから,「総得点 (UPIの測度)の高い者が必ず肯定し,低い者は必ず否定する_;特徴を,5つ の特徴で説明できないものかと考えた。6188通りの組みあわせのうちから得ら れた最も典型的なバク−・ンが表23である。表でほ,ⅠIigb群の79.3%がこれら

5つの特徴のうち4つ以上を肯定し,逆にLow群の84.7%が1つ以下の肯定

しか示さない5つの特徴群をあらわしている。 表23 高得点・低得点著聞を弁別する特徴群 * X2=271ひ02 df=5 p<.001 *item8,26,27,29,39の組みあわせの結果 結局,UPIの高得点者は低得点者にくらべて,「とりこし苦労をする」,「なん となく不安である」,「ものごと紅自信をもてない」,「何事もためらいがちであ る」,「こだわりやすい」の5つの特徴をもった学生を弁別しているわけである。 これらのパーーソナリブイ特性は,神経症に陥りやすい特徴をあらわすものでは

(15)

大学生の精神衛生 131

あるが,必ずしも問題徴候とほならない場合もあるわけである。perSOnalityよ

りもpsychiatricなものとしながらも,結局,内向性の強いパ−ソナLリデイの

者を弁別することに.なると思われる。

表24ほ,本学把.おける新入生の肯定率の高いもの5つを選び,項目番号順に

列記したものである。香大生の新入生の反

表24・肯定率の高い項目 応の最頻値を示す特徴は,「気が小さい」, 「とりこし苦労をする」,「決断力が乏しい」, 「限が疲れる.」,「気をまわす」が挙げられ る。限が疲れるという受験戦争の残効的特 徴も,4月はじめに.してほうなづけるとし て,残りの特徴こそ,香大生のモー・ダル○ パ−ソナリティ特性をあらわすものであろ う。 とこ.ろで,表23と表24の項目比較でほ,はとんど共通性のないことがわか る。もしも,両者の特性が,ほとんど−・致するものであれば,母集団の肯定率 の高いものばかりであり,弁別性をもつ特性群とほいえない。肯定率の高いも の10項目まで拡大して−みても,2項目が重複するにすぎない。結局,塙定率の 高いものと弁別カのある特性群ほ独立したものであった。 UPIの構造的側面の検討に関しては,因子分析的手法など,さらに分析をす すめる必要があろう。 (Ⅴ)その他……UPIの平均得点についてみると,男女間に・差のないことは 先にもふれたところである。しかし,個々の項目紅ついてみると,大まかには はとんど差ほ.ないものの,肯定率に有意な差の認められるものがある。男子の 方が女子よりも有意に.高い肯定率を示すものに.,気が小さい(男子59.4%,女

子47.2%ズ2=9.46,df=1,P<.01,以下検定略),性器のことが気になる

(男子13%,女子2.6%),親が期待しすぎる(男子22.0%,女子11.1%)があ げられる。逆に.,女子の方が男子よりも有意に高い肯定率を示すものほ,頭痛 がする(男子22.4%,女子35.3%), ̄首サじや肩がこる(男子34・1%,女子50・6 %)の2項目である。

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市 河 浮 薄 132 要約 本報告は,(1)本学における昭和50年∼53年度にわたる精神衛生に.関 する相談活動の概況を,自発来談と呼び出し面接の両方から報告した。(2)本 学の呼び出し面接の資料として用いてきたUPIは,最もよく利用されているス クリ−ニング・テストである。UPIの特徴や限界についての知見をうるため, G−・P分析を行ない,また,測定されるものの意味について考察した。現在の 問題数候をチェックする目的のためには好都合なものと考えられるが,測度そ のものほ安定したものでほない。予防的観点からのスクリ−ニング・テストと して用いる場合,他のテスト・バッテリ−をエ夫するなり,第二次的スクリ− エソグの方法を考えるなどの方策が,よりよい効果をもたらすであろう。 附記‥UPIのデータ−集計にあたってほ,田北助教授に.大変お他諸になりま した。記して感謝いたします。 引 用 文 献 上運一一郎・山下 勲1970 精神的不健康学生のスクリ−エソグーその展望と探索的実践 一 広島大学教養部紀要欝2部,4,1−36. 宮田尚之1967 tTPIおよびNSテストについて 算5回全国保健管理研究集会報告番 139−143. 高久信一・・嘉部和夫・成田 諭1975 大学新入生の適応紅.ついて−−その1−UPIを中 心として 日本教育心理学金貨17回総会発表論文集 310−311. 山下 勲1970 わが国における学生の椅神健康管理のためのスクリーニング・テストの 実感調査結果についで 愛媛大学保健管理センタ−・

(17)

大学生の精神衛生 133 ○′完卜忘′蒜ざ雲Y彗ぶぜ・霊卓声3慧讐㌣造機1忘・芸遥蒜。′J袖トY晶VJ匂淋ヰ言争桝忘ソJ警刃J還室冨空言蓑J3J−く璧.小 量小中りUQく軍雲嶋・裏毛り音更○小山土e琵琶レポ壷瞥酎曝。′蒜ト︸′晶豊QuQトQ㌍臣唾空想Y不志学簑.融○±ソ′Jぐ生蒜芸Sり雲忘︺褒.芸J巡慧 記り小∪歪Q弱竺困遠簑岩崎へ㌣J感﹀ペリ垂押帝・芸‡Qぎ割慧騒警実機慧岩場・小言J。ト㌣思至難⋮∩白刃‖芸髄慧コ警、至Y㊤﹀褐裏匡短古白に 雪雲琴重言曇箋⑳ ハ\ 小い S 岬∵ ︵刃り・︶吏JY彊︶ふ−ヽ・ぺ−Hh ㌫ハ 。′品衷γて義亘讐誉−や亡㌫蒜義盛 〓 疇、 正 詞 莞は嵐輸出叩 専 窮 美恵粛#〉ぜ盛観ノー憲細・叫小ニ・ 箭 やく露簑だエ 黒路浣’出¢七紅鋸酎摘㍍ 鞘 五時儀礼∽捏ち恒 岩 侭出足〉ゼ吟 吊 宅摘怒山師 気 圧静創朗河G量刺日録 欝 母ゆ雫量竃∨りβエ ㌫ ゆQIJ刃夏山聖粛ゆソ蚕ふ 窮 詩 だヾ刃と〉K欄‖パ府吋 賃 載りロ○聖エ 諾 エふエ心」キ・トエ 宍 Kl井q一帖≠質量触ふ 塁 ニバ叫憾取引項洞 扇 扇 萬簑1帝L一再 宍+憲丹木巨1玖簑小恒頼 ご 竃策」戴い缶愈貞β 讐 裔数年1′麗箋戒山奥帝 巨 毎払ぃ量よ巾 ご 桑;ぢ重患tNJユ 巴 摂食簑尉pやすニ ≡ 聖覇簑璧る頁ユ 誓 やい絹判卿机旺じ 巴1律獣㌫描津∴丹.こ将 ご b士正副憾写・巾 雷 一待憫ふ付加 い ぐ和昭工芸卜冊シ婚ゆ め・小Nり亜取糾叫 やいト両津Hほ拙策ペニ の ぽケJ¢ノ喋造り沌 ・し丁 兎巾lユキノ割ゆ〉ふ卓簑1・り○ の 宅錯如仲川七沖/父射出亘叫 N t車齢封M州河

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参照

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