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全文

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政 策 情 報 学 会

第 1 回 研 究 大 会

2005 年 11 月 26 日(土)

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目 次

第 1 回研究大会 参加要領/プログラム・・・・・・・

研究発表詳細/ポスター発表・ペーパー発表 要旨集・・・

交通案内/大会会場周辺図/構内案内図・・・・・・・

研究発表予稿集・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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第 1 回研究大会

参加要領

プログラム

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大 会 参 加 要 領

1. 受付 2005 年 11 月 26 日(土) 09 時 00 分∼12 時 45 分:瑞穂会館4階ロビー 12 時 45 分∼18 時 20 分:7号館地下アトリウム 2. 大会参加費 正会員・学生会員:1,000円 非会員 :2,000円 ※学生会員の方は、身分証明書を提示して下さい。 ※参加費には、予稿集および資料代が含まれています。 3. 懇親会費 正会員 4,000円、学生会員 2,000円、臨時会員 5,000円 4. 学会費の納入 当日受付で、学会の入会申し込みおよび学会費(年会費)の納入を受け 付けます。 正会員 10,000円、学生会員 2,000円、賛助会員 30,000円(一口) 5. 学会発表 (口頭発表) ①1人あたり、発表 20分、質疑 10分とします。 ②ペーパー発表およびポスター発表は、13時 00分より 17 時 00分です。 ③シンポジウムは、15時 00分より 17時 00分です。 6. 欠席の場合 止むを得ない事情により、学会発表者が万一欠席される場合には、大会 前日までに学会事務局までご連絡下さい。なお、発表取り消しがあった 場合でも、プログラムの発表順を繰り上げることはありません。 7. お問い合わせ 政策情報学会事務局 TEL :047-372-4111(代表) 内線 821 FAX :047-373-9901 E-Mail:API-jimu@cuc.ac.jp 8. 大会実行委員会本部 千葉商科大学政策情報学部 熊田研究室 9. 会場 研究発表会場 :瑞穂会館 4階 A・B・C 会議室 ペーパー発表・ポスター発表会場:7号館地下アトリウム 基調講演会場 :7号館地下 702教室 シンポジウム会場 :7号館地下 702教室 10. 懇親会会場 本館 3階 ファカルティ・クラブ 会場 千葉商科大学 〒272-8512 千葉県市川市国府台 1-3-1 TEL:047-372-4111(代表) 主催 政策情報学会 (事務局)〒272-8512 千葉県市川市国府台 1-3-1 千葉商科大学 7 号館 2 階気付

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プログラム

受付 09 時 00 分∼12 時 45 分 12 時 45 分∼18 時 20 分 瑞穂会館 4 階ロビー 7 号館地下アトリウム 開会あいさつ 10 時 00 分∼10 時 10 分 瑞穂会館 5 階小劇場 大会実行委員長:熊田 禎宣(千葉商科大学) 全体司会 :宮崎 緑(千葉商科大学) 移動と休憩(10 分) 研究発表 10 時 20 分∼12 時 35 分 〔A 部会〕瑞穂会館 4 階 A 会議室 司会:丹羽 宗弘(千葉商科大学)、麻生 幸(千葉商科大学) 〔B 部会〕瑞穂会館 4 階 B 会議室 司会:石山 嘉英(千葉商科大学) 〔C 部会〕瑞穂会館 4 階 C 会議室 司会:小沢 一彦(桜美林大学) 昼食休憩 12 時 35 分∼13 時 30 分 (運営委員会) 12 時 40 分∼13 時 20 分 瑞穂会館 3 階食堂 7 号館 2-1 会議室 ペーパー発表・ポスター発表 13 時 00 分∼17 時 00 分 7 号館地下アトリウム 基調講演 13 時 30 分∼14 時 50 分 7 号館地下 702 教室 テーマ:「大学改革と政策研究」 基調講演者 :奥島 孝康(早稲田大学学事顧問) コーディネーター:藤川 吉美(千葉商科大学) 休憩(10 分) シンポジウム 15 時 00 分∼17 時 10 分 7 号館地下 702 教室 テーマ:「政策学を創る;明日への展望」 パネリスト :樹下 明(千葉商科大学大学院) 小島 朋之(慶應義塾大学) 福井 秀夫(政策研究大学院大学) 廣瀬 忠一郎(キャノン株式会社) コーディネーター:井関 利明(政策情報学会会長・千葉商科大学)

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Policy Informatics Kaleidoscope 17 時 10 分∼17 時 50 分 7 号館地下 702 教室 プレゼンター :楜沢 順(千葉商科大学) 朽木 量(千葉商科大学) 久保 裕也(千葉商科大学) 第 2 回総会 17 時 50 分∼18 時 20 分 7 号館地下 702 教室 懇親会 18 時 30 分∼20 時 00 分 本館 3 階ファカルティ・クラブ 会費:正会員 4,000円、学生会員 2,000円、臨時会員 5,000円

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研 究 発 表 詳 細

ポスター発表・ペーパー発表

要 旨 集

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学会発表〔A 部会〕 10 時 20 分∼12 時 35 分 瑞穂会館 4 階-A 会議室 司会:丹羽 宗弘(千葉商科大学)・麻生 幸(千葉商科大学) 10 時 20 分∼10 時 50 分 休憩(5 分) 「患者中心の医療実現のために――治験を事例に」 松田 茂(千葉商科大学大学院博士課程) 日本では治験(新薬の臨床試験)を実施するための環境が欧米に比べ、かなり遅 れているとされる。このような状況を「治験の空洞化」といわれているが、今後こ うした状況が改善していかないと、海外で販売されている新薬に日本の患者のアク セスができなくなるばかりか、医師など医療従事者の技術水準や日本の医薬品企業 の研究開発力が低下を招く状況になりかねない。 つまり、日本の保健医療水準や製薬産業の国際競争力は大きく低下してしまうの である。筆者は、こうした環境を解決するには、医療の中に医療消費者である患者 が積極的に参加し、その中心となっていかないと解決できないと考えている。本演 題ではこうした点を踏まえ、事例として「治験」を取り上げる。具体的には、治験 を事例として取り上げ、患者自らが主体的に医療に関わり方について論じる。 10 時 55 分∼11 時 25 分 休憩(5 分) 「「津浪被害からの非難行動」に関するアンケート調査の分析 ――東海・東南海・南海地震津波研究会(被害軽減部会)の WG より」 仲間 妙子(千葉商科大学大学院博士課程) 南海地震、東南海地震などの海溝型の巨大地震は、阪神大震災などの内陸の直下 型地震に比べて津波被害が緊急性をおび、かつ広域になる。従って、国や周辺自治 体の救援に依存した防災計画は物理的に無理があり、個々の市町村が自らの力で減 災を実現していく施策が必要である。さらに危惧すべきことは、総務庁「国勢調査」 及び厚生省国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成 9 年 1 月推 計)」によれば、65 歳以上の高齢者の割合が 2040 年頃には、総人口の 30%を超え ると見込まれている事である。 高齢者に代表される要災害援護者への対応において、市町村の果たす役割は極め て大きく、その現状を詳細に調査することは、被害軽減の意味でも極めて重要な意 味を持つ。 これらを鑑みて、本調査は、「東海・東南海・南海地震津波研究会(被害軽減部会)」 が平成 13 年度に実施したものをまとめたものである。具体的な調査方法は、当組織 が独自にアンケート項目を作成し、各市町村の防災担当者に送付して回答されたも のを集計・分析したものである。 11 時 30 分∼12 時 00 分 休憩(5 分) 「災害における組織対応のフレームワークの概念」 六十里 繁(千葉商科大学大学院博士課程) 大規模災害に対応する場合の災害対応機関としては、総理大臣をトップとする国の 機関があり、都道府県、更には、被災地となる市町村の機関がある。また、災害救 援の実働機関としては、警察、消防及び自衛隊等がある。デニス(1994)によると災害 への組織対応は、高度の階層性ある組織構造を基本とするトップダウンの指揮命令 系統による「指揮統制モデル」よりは、様々に変化する事態に対して、より柔軟で 機敏な対応を行い即席の解決策で対応することを基本とする「問題対応型モデル」 を基盤とした計画策定の方が、より効率的であると主張している。本発表において は、我が国において生起するであろう災害により誘発される危機状況に対して、如 何なる組織対応のフレームワークが適切となるのであろうかを考察する上で、近年、 米国等で構築している ICS(Incident Command System)などの知見も踏まえて、災害に おける組織対応のフレームワークの概念について論述する。

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7 12 時 05 分∼12 時 35 分 「省庁別財務書類の課題と展望」 東 信男(会計検査院) 各省庁は、2004 年 6 月に財政制度等審議会が策定した「省庁別財務書類の作成基 準」に基づき、2002 年度決算から所管の一般会計と特別会計を合算した貸借対照表、 業務費用計算書等の省庁別財務書類を作成しており、さらに、これらを連結した国 の財務書類も 2003 年度決算から作成している。この結果、我が国の省庁レベルでの 公会計の充実に向けた取組みは、1998 年度決算から開始された国の貸借対照表(試 案)の作成、1999 年度決算から開始された特別会計財務書類の作成を経て、省庁別 財務書類の作成に集約されることとなった。 省庁別財務書類の作成は、現行の公会計制度の課題に対応することがその背景に あったにもかかわらず、これまでの省庁レベルでの取組みと同様に現行制度の維持 を前提としている。このため、省庁別財務書類は、法的位置付けが明確にされてお らず、また、具体的な活用方法も明確にされていないため、これまでの取組みと同 様に作成しただけに終わることが懸念される。 そこで、本報告では、省庁別財務書類が有している課題について論ずるとともに、 現行の公会計制度を抜本的に改革することも視野に入れながら、今後の活用方法に ついて展望することとしたい。 (本報告は、すべて筆者の個人的見解であり、筆者が属する会計検査院の公式見解 を示すものではない。)

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学会発表〔B 部会〕 10 時 20 分∼12 時 35 分 瑞穂会館 4 階-B 会議室 司会:石山 嘉英(千葉商科大学) 10 時 20 分∼10 時 50 分 休憩(5 分) 「地方自治体の IT 調達改革の現状分析」 庄司 昌彦(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター) 平成 12 年ごろから経済産業省等が中心となって始めた中央省庁の IT 調達改革は、 総合評価方式一般競争入札の利用推進や、業務・システム最適化計画の導入、CIO 補佐官の登用などの改革が進行中である。一部の地方自治体でも、安値落札など IT 調達に関する問題を早くから認識して解決に向けた取組みを自発的に進めており、 中央省庁をリードしている面もある。 だが、地方自治体の IT 調達の現状やその改革への取組みについて、全国的な状況 を表した網羅的な調査や、その現状に基づいた研究、政策提言などは非常に少ない。 そこで、全国の都道府県と市に対し IT 調達改革の現状に対する調査を実施し、施策 の導入状況や効果などについての評価を行った。 その結果、改革の類型、入札制度改革がプロセス改革よりも進んでいる状況、地 方自治体の規模によって異なる進捗状況などが明らかになった。 10 時 55 分∼11 時 25 分 休憩(5 分) 「電子申請の個人利用促進の方策 ――企業による電子申請と個人による電子申請の比較」 山田 善弘(千葉商科大学大学院修士課程) 日本では、政府主導のもと、電子政府・電子自治体構築が推進されている。 その一翼を担うサービスとして、電子申請がある。電子申請は、年間取扱数の多 い申請から電子化が行われており、現在では、全体の申請の 96%(約 13000 件)の 手続きが電子化されている。 電子申請は、そのほとんどが企業等による大口の申請である。個人による電子申 請は、全くといっていいほど行われていないのが現状である。この原因として以下 の 3 点が上げられる。 1)企業による電子申請と個人による電子申請では、利用方法に大きな 開きがある 2)電子申請に対する認知度の問題 3)電子申請の「使い勝手」に大きな問題があることが上げられる。 企業による電子申請は、公的な認証局による認証によって申請が行われる。申請 のフォーマットは XML形式が多く、その仕様も公開されているためサードパーティ 製のツールが広く出回っている。その一方で、個人による電子申請では、住民基本 台帳カードと公的個人認証によって行われている。 申請には、IC カードリーダが必要であり、行政の WEB から申請を行うものがほと んどであり、「使い勝手」が悪い。企業と個人の電子申請を比べた場合、申請時のフ ォーマットと認証の方法が異なる。この差が電子申請の利用度に大きく影響してい るものと考える。本論文では、企業と個人による電子申請の方式の差異から、電子 申請の利用を促進するための方策を論じる。

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9 11 時 30 分∼12 時 00 分 休憩(5 分) 「「電子市民会議室」による直接民主制の可能性と政党機能」 木村 公勅(千葉商科大学(非常勤講師)) 本報告では、昨今各自治体で試みられている電子政府のなかで、「電子市民会議室」 が自治体行政に果たす影響について考える。特に直接民主制への可能性について言 及する。インターネットの電子掲示板を通しての市民の意見交換は政策過程への影 響は未だ未知数ではあるものの、インターネットの特性によって市民の意見のオー プン性は以前と比較して格段に高くなった。それに伴い、市役所・行政側も市民の 意見を率直に受け入れ、行政に反映させる努力がないと、市民に親しまれる行政は 不可能となる。インターネットをはじめとしたデジタル・ネットワークの影響は公 開性、即時性、空間・時間の制約を超えた自由度の拡大により、行政を市民にとっ てより身近なものにし、市民主役の行政への道に導き始めている。 しかし、直接民主制に言及するには時期尚早、との意見もある。インフラも十分 であるかどうかは疑問点が多い。法制度の改正も多く発生する。しかし、イアン・ バッジの著作に代表される楽観論があるのも事実である。 本報告では間接民主制(代表制民主主義・議会制)との比較を通じて、直接民主 制がどの程度インターネットに代表されるデジタル・ネットワークによって可能か を考察する。その際、検討に欠かせないのが「政党の存在」である。イアン・バッ ジは直接民主制への移行が進んでも政党は決して衰退せず、逆により政党の機能が 重要視される、と断言している。その仮説が日本の既存政党に当てはまるのか、ま たは来たるデジタル・ネットワーク社会に沿った新しい政党システムが生まれるの か、を検証する。これによって、新しい政党システム生成の可能性と、インターネ ットを通じた民主政治の理想的な手続法を提示したい。 12 時 05 分∼12 時 35 分 「客観指標を基盤とする政策プロセスの SQS による効率化」 久保 裕也(千葉商科大学) ベンチマーク・マニフェストなど、客観的指標を用いた経営管理的な発想に基づ く政策手法が普及しつつある。ただしこのときには、意思決定のために必要な定量 データを調査・集計する際の、費用面・人材面での課題をクリアしてゆく必要があ る。 そこで本研究では、無償・自由な利用が可能なソフトウェアとして筆者が開発し ている普通紙マークシート式調査システム、SQS(Shared Questionnaire system)を提案 する。SQS を用いることで,調査に要する金銭的・時間的コストを大幅に縮減でき る。 また、調査のプロセス情報を形式知化し、異なる組織間でも共有・再利用しやす い形で記述できる。 SQSの利用事例として、千葉商科大学の現代 GP プロジェクトにおいて、大学・自 治体・市民の三者の共同で行なわれた「地震災害と住宅対策についてのアンケート」 と、その調査結果に基づく地域防災計画策定の取組みについて報告する。

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学会発表〔C 部会〕 10 時 20 分∼12 時 35 分 瑞穂会館 4 階-C 会議室 司会:小沢 一彦(桜美林大学) 10 時 20 分∼10 時 50 分 休憩(5 分) 「ロシア連邦における社会経済格差と連邦制」 長谷 直哉(慶應義塾大学大学院博士課程) ソ連崩壊後の民族主義や地域主義の高まりを受けて、新生ロシアは国家体制とし て連邦制を選択した。連邦制は非集権制を前提とし、連邦政府と構成政府間におけ る主権の分有を制度的基礎とする。昨今、プーチン政権による中央集権的傾向に注 目が集まってはいるが、構成政府の自律性が奪われているわけではなく、ロシアは 連邦制成立から 10 年余の間、そのシステムを維持してきた。 しかしながら、問題がないわけではない。近年 BRICSの一角としてロシアの経済 成長に対する期待感が高まっている。ここ数年 GDP 成長率は 5%を越えて推移して おり、生活水準の向上も著しい。ただし、こうした経済成長の恩恵がロシア全土に あまねく広がっているわけではないのである。 ロシア連邦制の問題として、権限の非対称性や財政的な水平的不均衡がこれまで 指摘されてきた。モスクワ市やサンクト・ペテルブルグ市などの中核都市、工業が 盛んなウラル地域、石油やガスなど天然資源が豊富な地域では生活水準やインフラ 形成に顕著な向上がみられるが、それ以外の地域ではむしろ所得格差の拡大や貧困 世帯の増加などが社会問題となっている。ロシアでは住居やコミュニティー関連政 策、教育や保健衛生などの社会政策を主として構成政府が担っており、成長格差の 拡大が社会政策面における格差の拡大を助長しかねない構造となっている。 本報告ではロシアにおける地域間の社会・経済格差の実態を把握し、連邦制の導 入が社会政策の実施や結果およびインフラ形成にどのような影響を与えたか分析・ 検証することを目的とする。この分析が通して、連邦制と経済・社会格差の関係に ついて広く考察してみたい。 10 時 55 分∼11 時 25 分 休憩(5 分) 「身体障害者補助犬法における障害者のエンパワメント」 有馬 もと(社会福祉法人日本聴導犬協会) 2002 年 10 月、身体障害者補助犬(以下:補助犬)法が施行された。 補助犬法は、世界でも例をみない「補助犬ユーザーのため」の法律であり、先進 国における障害者差別撤廃法がない日本において、障害者全体ではなく、補助犬(盲 導犬、聴導犬、介助犬)ユーザー約 1000 人のために「ユーザーの権利でもある補助 犬同伴や補助犬使用者への権利や義務、育成団体への義務」などを規定をしたもの である。 傍目には、この法律の施行により、障害者の権利の一部が拡大されたように見え るが、補助犬法の中で何回も繰り返される「措置」の言葉は、2003 年に改正された 障害者基本法における「措置」から「支援」への、大前提が軽視された観がある。 また、本来の障害者エンパワメントとは、障害者自身が、福祉や施設運営の当事者 であり、その遂行に関して意見を述べ、自分たちにとって「あるべき」サービスを 主張できるはずであるが、補助犬法でも、ユーザーやユーザー希望者の意見よりも、 行政主体の行政指導的な内容が規定されている。 本発表では「補助犬法」の功罪とともに、「障害者のエンパワメント」とのかかわ りを論じてみたい。

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11 11 時 30 分∼12 時 00 分 休憩(5 分) 「日本における内部統制の変遷とその考え方」 末松 義章(東日本旅客鉄道株式会社) ここ数年来、日本では、1992 年にアメリカのトレッドウエイ委員会によって公表 された COSO レポートを中心として、現在の日本における内部統制についての解 説が多く行われてきた。しかしながら、過去にどのような経緯や必要性で、それが 議論されてきたかに関する説明は、僅かな量に止まっている。 そこで、本発表では、内部統制に対する理解を一層深めるために、日本における 粉飾の歴史から内部統制がどのようにすすめられてきたか、ということを考察した。 さらに、アメリカにおける内部統制の歴史や変遷を付記し、日本とアメリカにおけ る考え方の相違点等を明らかにした。 12 時 05 分∼12 時 35 分 「急がれるトランスメディア論の確立」 源 高志(株式会社ウェザーニューズ) 人類におけるメディアの発達は、その多様化、高度化に人々が順応してできた事 による。従って、コンテンツそのものもメディアに即したものの作成が可能だった。 歴史上の個々のメディアは、コンテンツと社会をひも解く事で理解できる。 しかし、通信と報道、情報とコンテンツ、その壁が取り除かれようとしている現 在、私たちは、情報伝達の手段としてのメディアの存在に迷う。PC もモバイルもメ ディアに融合される時、既成のメディア担当は、ワンソース、マルチソースと言う コンテンツの加工に走る。・・・がコンテンツとして成立し得ていない。 今、トランスメディア論を人類個々が、確立しなければ 21 世紀のメディアの多様 性に情報伝達手段を失う。 時代的にメディアが融合し、人々の意識に先んじてトランスメディアを形成して いる時、送り手、制作サイドは、トランスメディア論を確立しなければコンテンツ 制作も不可能となる。トランスメディアを具象的に表わすなら、PC とモバイル(携 帯電話)が、メディアとして普及した今日。マスメディアの持つ、最大公約数的な コンテンツは、PC、モバイルのメディア媒体では、コンテンツになり得ない事が、 その表われなのだ。 PC、モバイルの使用者は、自らの意志で使用を判断する(能動的)。求められるコ ンテンツは、最小公倍数的な要素が重大となる。この最大公約数的な価値観と最小 公倍数的な価値観が、混在するメディアは、トランスメディアとなり、今までのマ スメディアと明らかに異なる次元を形成している。 このトランスメディア論を確立し、そしてトランスメディアでのコンテンツ制作 を考える。

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ペーパー発表 12 時 40 分∼17 時 30 分 7 号館 1 階ロビー・エントランス 「大学を基盤とした学社融合プラットフォームの構築――USR の配慮行動と大学の機能」 濱野 和人(学校法人黒川学園黒川速算塾) 大学は従来、二つの使命を担ってきたといわれている。その二つの使命は「教育」と「研究」であり、それなりに成果を挙げ てきたといえる。 しかし、少子化問題により 2007 年に到来するといわれている「大学全入時代」など、社会も変化を見せており、この社会変 化に伴い大学への期待も大きく変化しつつある。この変化に対し、大学は従来の使命のほかに第三の使命を担うことになった。 それが「社会貢献」である。

第三の使命を担うにあたり、大学は USR(大学の社会的責任:University Social Responsibility)を視野に入れ、ステイクホルダ ー(地域社会)との関係をこれまで以上に深めつつ、実効性のある配慮行動をとる必要性がある。

本発表では、USR の配慮行動のひとつとして、近年広まりつつある学社融合に焦点を当てる。学社融合は、生涯学習社会化 の流れによりできた実践理論である。この学社融合に対するアプローチを、大学の機能の視点より考察する。

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13 ポスター発表 12 時 40 分∼17 時 30 分 7 号館 1 階ロビー・エントランス 「市民による地域環境の改善及び保全に関する研究――手賀沼の事例研究」 和光 秀樹(千葉商科大学大学院修士課程) 今日、環境問題は地球温暖化現象という世界規模の問題となり、深刻な問題と認識されている。環境問題は規模の大小も違え ば、各地域により異なり、種類も多く、原因はいくつも重なりあって複雑化しているのが現状である。最近、地球温暖化現象に おいては、京都議定書の調印がなされ、国境を越えて、この問題に取り組む姿勢が見られるようになった。境界線という枠に捉 われていては有効な政策はできない。なぜならば、環境問題は国や県、市町村や地域という枠を越えて存在するからである。 本研究では、「市民による地域環境の改善及び保全に関する研究―手賀沼の事例研究」と題し、手賀沼の水質汚濁の問題をめ ぐる政府や県政、地方自治体、さらには NPO 法人の改善活動のあり方を研究する。 手賀沼の水質汚濁の改善に関する政府や県政、地方自治体の活動として、2000 年に北千葉導水路事業がスタートした。この施 設の稼動により、化学的酸素消費量(COD)の数値は減少し、2002 年には水質は 27 年間続いた全国湖沼水質ランキングワース ト1位から脱却することができたのである。しかしながら、施設の稼動により、外来種であるタイワンシジミが手賀沼で生息す るようになり、生態系への影響が懸念されている。導水路事業により、水質の数値的な改善は成功したが、生態系などの数値で 表すことのできないものの改善にはまだ時間がかかる。また、手賀沼は8市1村の広大な流域面積をもち、それぞれの自治体独 自の施策により「縦割り」の活動が展開されているが良い成果は期待できそうにない。これからは「流域」として、市町村の枠 を越えて考えることが必要となる。 ここでは市民参加型プロジェクトを念頭に考えている NPO 法人美しい手賀沼を愛する市民の連合会を取り上げ、そのプロジ ェクトの可能性を探る。 「震災における協働・支援を充実させるための政策研究」 坂田 幸穂(千葉商科大学大学院修士課程) 近年、日本において頻発する自然災害の中でも特に、震災による被害が非常に集中している。 本発表では、これらの震災における被害を減少させるための政策を、人と人との関係性(コミュニティ)から導き出していく ものとする。発表の特徴は、文化人類学の分野で扱われている、限定コード(特定の地域でのみ有効なもの)と精密コード(意 味内容を共有するもの)を参考として、震災が生起した場合に、対面コミュニケーションとしてこれらをどの様に使い分けてい く事が望ましいのかを考察している点にある。 特に集団として被災地の住民の側(コミュニケーション内部)と、それらを外部から支援する側(コミュニケーション外部) では、お互いの集団で共有する情報が、共に限定コードである場合が多い。そのようなことから、本発表では、お互いのコミュ ニケーション方法を理解し、コミュニケーション内外を問わずに、協働・支援を充実させる政策を探究するものである。 「歩行者優先街路と社会的接触の関係性:下北沢におけるケーススタディ」 越川 和彦(千葉商科大学大学院修士課程) モータリゼーションの進展に伴い、都市は道路を中心とした大規模開発が進められてきた。 しかし、都市を取り巻く環境の変化や社会的状況の変化に伴い、道路の使い方を改める議論が高まっている。その根底には、 自動車交通が人と人のつながる可能性、社会的接触を減退させているという仮説がある。 本発表では、自動車優先で全国一律の都市計画の流れから遅れてきた街として、世田谷区の下北沢の街を取りあげ、歩行者優 先街路が社会的接触の機会を増加させるという仮説のもと、オーラルヒストリー調査を行った。そして、人々の記憶の中から、 下北沢における歩行者優先街路の形成において、そこから多様性が生まれ、その多様性が社会的接触の機会を増加させていると いうことを明らかにした。 最終的に、本研究で行ったオーラルヒストリー調査は、過去の歴史を生かして、新しい都市を創るうえでの重要な調査方法で あることが認識された。

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「Face to Face のコミュニケーションをうながす媒体(作品)の製作」 並木 真由美(千葉商科大学大学院修士課程) 現在におけるコミュニケーション事情は、デジタルコンテンツの発達により、コミュニケーションの可能性が広がっている。 しかし、現実にはコミュニケーション能力の低下という、相反する現象が起きている。 その一つの理由として、Face to Face のコミュニケーションを行う機会が、日常生活の中で減少したことが挙げられる。これは、 デジタルコンテンツによるコミュニケーションが増加し、Face to Face のコミュニケーションが減少したことにより生じている。 そのため、コミュニケーション能力低下に対する一つの解決方法として、Face to Face のコミュニケーションを増加させる必要が あると考えられる。 本研究の目的は、紙工作の作品を用いて Face to Face のコミュニケーションをうながす媒体(作品)を制作することである。 その作品が、どのようなものであれば Face to Face のコミュニケーションをうながす上で有効となるのか、その作品を使うこと で使わない場合に比べて、どのようなプラスアルファがあるかについて、ポスターおよび、作品で発表する。 「トランスメディアの概念を用いたメディアプラン」 千葉商科大学トランスメディア研究会 (源高志、山田善弘、丹羽薫子、並木真由美、澤田龍一、オウエン、ケイギョウ) 今日の社会は新聞・雑誌、テレビやラジオに加えて、インターネットの登場により多種多様なメディアが混在している。この ような社会の変化に伴い、メディアのあり方は大きく変容してきている。とりわけ、テレビとインターネットの分野では、「一 度テレビで放送され使用されたコンテンツを再びインターネット上で配信する」というワンコンテンツ・マルチユース(1 度使 用したコンテンツの 2 次使用)の展開手法が盛んである。しかし、このワンコンテンツ・マルチユースの展開手法は、今後さら に多様化するインターネット社会・モバイル社会で通用するとは考えがたい。将来的なメディアのあり方を考える上で、既存の メディア展開の手法にとらわれないより自由な発想として「トランスメディア」が必要となる。 トランスメディアでは、従来のワンコンテンツ・マルチユースの考え方ではなく、ワンソース・マルチコンテクストの考え方 を導入するものである。ワンソース・マルチコンテクストは、ひとつのソースを各々のメディアにトランス(変容)させ、その メディアにあったコンテクストで展開するものである。本発表では、新しいメディア論としてのトランスメディア概要及びトラ ンスメディアの手法を用いたメディアプランの発表を行うものである。 「「権利」のシステム論的検討」 服部 忍(千葉商科大学大学院博士課程) 法律現象を考える上で、『権利』は最も重要な法概念のひとつである。権利の動的態様を検討するために、権利が法現象を構 成する法的基本要素の有機的集合体として表されるものと規定する。そうすると、権利は法的基本要素が複数結合されて構成さ れ機能するシステムとしての構造をもつことになり、システムの働きとして所定の法的作用が生ずると考えられる。 このような観点から、本研究では権利という法概念をシステム的に構成する方法について検討するため、法的基本要素やモデ ル化について考察を行っている。また、権利との対概念である義務について検討し、さらに権利の発生、消滅、移転などの法律 行為などの権利の動的態様についてもシステム論的検討を行っている。 また、モデル化によって得られたシステムモデルを用いたシステム工学的手法等についても言及している。 「フランスの医療保険の現状と日本の医療制度改革について」 小沢俊康(千葉商科大学大学院博士課程) 日本もフランスも共に少子高齢化に対応した持続可能な公的医療保険制度の構築が急務であり、医療の質を高めながらより効 率的な医療制度を目指して各種の施策を実施し、改善を計っている。特に日本とフランスは共に国民皆社会保険制度を有し、伝 統的に患者が自由に医療機関を選択し、受診できるという共通の基本的仕組みを有している。 今般、フランスの医療制度改革の動向について現地を実地調査し、その特徴や長所、課題等を検討した。2005 年 1 月より患者 自己負担増・伝統的に守ってきたフリーアクセスの制限・適正医療及び医療の標準化・薬剤費の更なる抑制(後発品促進等)等 より踏み込んだ改革を行っている。また、日本では医療制度変革が厚生労働省試案を軸に議論されているが、フランスで実施さ れた医療制度改革施策が、日本に応用しうるかについて検討する。 *ポスター発表は当日までに順次追加されます。そのため、本冊子に所収されていないものもございます。

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交 通 案 内

大会会場周辺図

構 内 案 内 図

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交 通 案 内

大会会場周辺図

JR 総武線「市川駅」下車 JR 常磐線「松戸駅」下車 北総公団線「矢切駅」下車 京成線「国府台駅」下車 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ 京成バス「松戸駅」・「松戸車庫」行「和洋女子大前」下車 京成バス「市川駅」行「和洋女子大前」下車 京成バス「市川駅」行「和洋女子大前」下車 徒歩 10 分

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研究発表予稿集

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患者中心の医療実現のために

− 治 験 を 事 例 に −

千葉商科大学大学院政策研究科博士課程

松田 茂

キーワード:治験、国際競争力の強化、患者中心の医療 1. はじめに 日本における近年の医薬品の臨床試験(治験)の現状をみると、国内での治験よりも欧米での 治験が先行しているケースが増えている。このような状況は「治験の空洞化」と言われるが、実 際に国内における治験の状況を見ると、新有効成分の初回治験届出数や総治験数が共に 1993年の ピーク時と比べても、ここ数年は約 3分の 1の状況にあるのが現状である。しかしながら、こう した状況が続けば、以下のような様々な課題が提起される。 ①患者にとって、国内で治験が遅れる又は行われないことにより、最先端の医薬品等へのアクセ スが遅れる。 ②医療機関や医師等にとっても、最先端の医薬品等へのアクセスが遅れることにより、技術水準 のレベルアップが遅れる。 ③製薬産業等にとっては、国内での研究開発力が低下するだけでなく、新しい事業の振興やそれ に伴う雇用の創出といった面でもマイナスである。 厚生労働省は、国際的に魅力のある創薬環境の実現と医薬品産業の国際競争力の強化を目的と して、2002 年 8 月に医薬品産業ビジョンを公表して以来、約3 年が経つ。その後、ビジョンの 実現に向けた様々な取り組みが進められてきている。また、治験に関しても、文部科学省と共同 で「全国治験活性化 3カ年計画」を策定するなど、積極的な取り組みをしているが、思うように 治験の活性化が進んでいないのが現実である。こうした課題を解決するには、筆者は医療の中に 医療消費者である患者の参加が不可欠だと考えている。そこで、本稿では具体的には治験を事例 として取り上げ、患者自らが主体的に医療に関わり方について論じてみたい。 2. 治験のめぐる現状 国内における治験の空洞化が指摘されはじめたのは、1997 年 3 月に「医薬品の臨床試験の実施 の基準に関する省令」(以下、新 GCP)が定められてからのことである。 それまでの GCP は、1989年の薬務局長通知による行政指導という形態をとっていた。しかし、 治験の一層の適正な実施が求められたことに加え、ICH(日米 EU 医薬品規制調和国際会議)に おいて GCP が日米 EU 三極の合意を得たことなどからGCP の内容が改訂され、1996年の薬事法 改正で、GCP の根拠規定が整備され、治験を依頼する製薬企業だけでなく、治験を実施する医療 機関や治験担当者にも、GCP の遵守が義務づけられた。

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新 GCP の主な改正点は、①文書による説明と同意の取得の義務化、②治験総括医師制度の廃止、 ③治験依頼者の責任体制の強化、④治験審査委員会の機能の充実、⑤治験責任医師の責任と業務 の明確化、⑥治験実施医療機関の体制の充実、⑦治験依頼者の開発業務受託機関への業務委託を 明文化などに纏められる。さらに、それに加えて、GCP の原則として被験者の人権保護などを遵 守することを求めた内容となっている。 ところが、こうしたことが義務化されたことが、逆に被験者の治験への組み入れを難しくした とされる。現実には、医療機関や地検を担当する医師による、新 GCP への理解が十分でなかった こともあり、結果として、日本で治験を行うと治験に要する期間が長くなり、費用も嵩むように なり、前述のような「治験の空洞化」が起きてしまったとされている。これに対して、欧米の製 薬企業などは、このような日本における治験の空洞化の問題点が、治験のインフラ整備にあると 指摘しており、その点における改善を求めているのが現状である。 グローバルに事業展開する企業における最近の傾向をみると、画期的な新薬を医薬品の同時開 発、同時申請を計画しているところが多い。しかし、日本のように治験が遅く、費用がかかると いうことになれば、結果として日本の患者は、画期的な新薬へのアクセスができなくなるなどの 不利益が発生する恐れすらある。業界団体の調べによると、世界での売上上位 150 品目で、日、 米、英、仏、独の 5 カ国の中で最も遅い 5 番目に上市される品目の割合は日本が最も多く、その 数は 4 割に達している。治験の空洞化の解決することは、日本における医薬品産業の国際競争力 の強化はもちろんのこと、患者にとっても大きな利益をもたらすのである。 3. まとめ 全国治験活性化 3カ年計画の推進だけでなく、今年3月には製薬企業、医療従事者、法律家、 患者・市民代表など様々な立場の委員が参画し、国内の治験が抱えている課題を網羅的に抽出す るため、「治験のあり方に関する検討会」が設け、検討を開始しているが、まずは治験の事務的な 軽減など、短期的な課題の解決がその柱となっている。しかし、医療消費者である患者が主体的 に参加し、治験への理解を深めて進めていかない限り、治験推進の根本的な解決できないと考え られる。患者視点での治験をどう進めていくのかが今後の課題であると考える。 参考文献 Ø 厚生省健康政策局創薬・新医療技術研究会監修『創薬ビジョン』薬事日報社、1998 Ø 厚生労働省医政局『医薬品産業ビジョン』厚生労働省、2002 年 Ø 厚 生 労 働 省 ・ 文 部 科 学 省 『 治 験 推 進 3 カ 年 計 画 』 2003 年 <URL: http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/dl/s0329-13i.pdf> Ø 中野重之・大泉京子・神谷晃・野口隆志編『医薬品の臨床試験と CRC』薬事日報社、2004 年 Ø 成田喜弘・田村弘司『わが国の治験の活性化に向けて(政策研レポート No.3)』日本製薬工業協会医薬 産業政策研究所、2002 年 Ø 藤井基之『創薬論』薬事日報社、1995 年 Ø 和田勝『医薬産業論』ぎょうせい、1997 年

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「津浪被害からの非難行動」に関するアンケート調査の分析

― 東海・東南海・南海地震津波研究会(被害軽減部会)の WG より ―

千葉商科大学大学院政策研究科博士課程

仲間妙子

<概 要> 南海地震、東南海地震などの海溝型の巨大地震は、阪神大震災などの内陸の直下型地震に比べ て津波被害が緊急性をおび、かつ広域になる。従って周辺自治体の救援に依存した防災計画は物 理的に無理があり、個々の市町村が自らの力で減災を実現していく施策が必要である。さらに危 惧すべきことは、総務庁「国勢調査」及び厚生省国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推 計人口(平成 9年 1 月推計)」によれば、65 歳以上の高齢者の割合が 2040 年頃には、総人口の 30%を超えると見込まれている事である。高齢者に代表される要災害支援者への対応において、 市町村の果たす役割は極めて大きく、その現状を詳細に調査することは、被害軽減の意味でも極 めて重要な意味を持つ。これらを鑑みて、本調査は「東海・東南海・南海地震津波研究会(被害 軽減部会)」が平成 13年度に実施したものをまとめたものである。 キーワード:東海・東南海・南海地震、津波災害、被害軽減、情報伝達、防災教育、避難訓練 1. はじめに 近年、海溝型の巨大地震が多数発生し、深刻な被害をもたらしている。四方を海で囲まれてい る日本は、過去の災害史において幾度も大規模な津波災害に見舞われてきた1 南海地震・東南海地震などの海溝型巨大地震は、阪神大震災などの内陸直下型地震に比べて被 害が広域かつ大規模になりやすく、周辺自治体に依存した救援対策では早急なる避難対策上無理 があり、各市町村が自らの力で減災を実現する必要性が求められる。さらに特筆すべきは、高齢 者に代表される要災害支援者への対応において、市町村の果たす役割の重要性であろう2。本研究 報告書は、「東海・東南海・南海地震津波研究会」で実施した、津波被害の該当市町村へのアンケ ート調査結果を集計・分析したものであり、津波被害が予想される沿岸市町村の津波防災に対す る現状と今後の対策案に関するアンケート調査である。このアンケートの主たる目的は、各市町 村の津波被害軽減に寄与することにある。 2. アンケート調査の概要 本調査は、平成 13 年度に「東海・東南海・南海地震津波研究会の第三分科会(被害軽減部会)」 1 津波地震の大規模なものとしては、1896 年の明治三陸地震津波、1933 年の昭和三陸地震津波、 1944 年の昭和東南海地震、1946年の南海地震、1960 年のチリ地震津波等がある。 2 総務庁統計局「国勢調査」及び厚生省国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平 成 9 年 1 月推計)」では、2040 年頃には 65 歳以上の高齢者の割合が総人口の30%を超えると見 込んでいる。

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が津波防災の現状を知るために実施したものである。調査方法は、第三分科会で独自にアンケー ト用紙を作成し、各市町村の防災担当者に送付して回答を集計・分析したものである。 2.1 対象地域と回収率 地域は東海地震・南海地震・東南海地震に伴う津波の来襲が予想されている 11 府県の 203 市 町村を対象とした。また、これらの自治体の津波防災に対する状況をより客観的に調査するため、 「津波常襲地域」であり「津波防災の先進地域」とされる岩手県と宮城県の 24 市町村をも参考 地域として調査を実施した。総計13 府県内の 227 市町村にアンケート用紙を送付した結果、172 市町村(回収率は 76%)となった。 2.2 回収結果 各自治体の防災担当者が今後取り組もうとしている最重要対策に関しては、避難関連対策(避 難場所、避難路、看板、街路灯)が全体の 18.6%、要災害支援者が 15.2%、情報システム(行政 無線、衛星システム、観測施設)が 14.5%、マニュアルが 11.8%、ハザードマップが8.0%、自主 防災組織が 6.0%、防災訓練が 5.6%と集計できた。自主防災組織が比較的重要視されていないよ うに見えるが、これは既に自主防災組織が結成されている自治体が全体の 88%に当たる 152 市町 村であるためと考えられる。 実際に実施されている対策と今後実施していかなければならないと考えている対策を比較して みると、防災訓練、自主防災組織、情報収集システム(特に行政無線)については、現在の実施 率が高いため今後の対策内の割合は相対的に減少している。逆に、ハザードマップは 5.3%から 9.1%へ、マニュアルは 3.5%から 13.5%へ、要災害支援者対策は4.1%から 17.4%へ増加しており、 重要性が認識されていることがわかる。 重要な対策として確認できたのは、「避難場所の設置、避難路の指定、避難場所への看板の設置、 太陽電池式もしくは充電式の街路灯の設置、津波避難訓練の実施、自主防災組織の結成、同報系 の行政無線の設置、津波情報収集伝達システムの設置、潮位計・監視テレビなどの津波監視シス テムの設置、つり・海水浴・キャンプなどの観光客への避難対策の実施、津波避難ビルの指定、 ハザードマップ(津波浸水予測図)の作成、災害弱者対応、防災講演会の実施、啓発用の記念碑の 設置、津波パンフレットやマニュアルの作成、津波防災教育の実施」である。このうち3 つの対 策を目安に実施している自治体が 29 市町村で最も多いことがわかる。また、総対策数に対する 172 の自治体の対策比は 5.6% となった。 3. 結び 今回のアンケートで回答が得られた 172 市町村のうち、救命の鍵となる「避難場所」を指定し ているのはわずか 41%にあたる 71 市町村であった。避難場所は学校、公民館、公園、神社が全 体の 78%を占め、最も津波被害軽減に効果のある「津波避難ビル」の存在は15 市町村でわずか 8%であった。防災先進県の静岡県を除くと、避難ビルを避難場所に指定している地域は全体の 3%にも満たない危惧すべき結果となった。 本報告書は主観性を極力排除し、回答内容を忠実に反映するように努力した。しかし、情報の 収集の困難さと、津波被害軽減に関する認識の不透明から、学術的に論考しにくい部分や不明瞭 な部分が存在する可能性が否めない。また、本報告書の目的は、津波防災の現状と今後を把握す

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23 ることであり、各自治体の防災計画の評価にはいたっていない。 実際にアンケート調査を行って確認できたことは、津波被害の歴史を多く持ちながら、その頻 度の低さから被害対策が希薄な状況にあることの懸念である。今後、住民を巻き込んだワークシ ョップなどをさらに推し進めることにより、津波被害軽減のための防災プログラムの充実と、防 災教育の推進をさらに進展させる必要性を確認した次第である。 参考文献 Ø 羽鳥徳太郎 「津波による家屋破壊率」『東京大学地震研究所彙報-52』 1984年 Ø 都司嘉宣、五島朋子他共著 「三重県尾鷲市須賀利浦の大池の湖底堆積層中の歴史・および 先史津波痕跡」『津波工学研究報告-18』東北大学大学院工学研究科災害制御研究センター 2001 年 Ø 東京大学地震研究所 『新収日本地震史料5巻』1993年 Ø 渡辺偉夫著 「日本被害津波総覧」東京大学出版会 1985年 Ø 今村文彦他 「臨海都市域に来襲する津波の統合 シミュレーション開発」『海岸工学論文集, 第 51巻』2004年

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資料 1:アンケート用紙の概要 アンケートの題目を「津波防災対策現況調査票」とし、選択設問と記述設問とから構成される A4 版用紙 9 枚のアンケート用紙を作成した。各設問を以下に示す。 表 1 アンケート内容項目 問1. 市町村の過去(安政地震以降)の津波被害(人的)について教えてください。 問2. 貴市町村では、津波防災対策として取り組んでいることは何ですか。 問3. 津波緊急避難場所について 問4. 津波緊急避難路について 問5. 防災訓練(津波避難訓練)について 問6. 自主防災組織について 問7. 津波情報収集伝達システムについて 問8. 釣り、海水浴、キャンプなどの観光客等への避難対策(看板・チラシ)として対応されている ことはありますか。 問9. 津波避難ビルについて 問10. ハザードマップ(津波浸水予測図)について 問11. 災害弱者(高齢者、障害者)の津波避難対策について 問12. 津波警報が発令された場合、津波浸水予測区域内にある主要道路の通行車両などの対応(迂 回指示、進入禁止措置等)を具体的に検討されていることがあれば教えてください。 問13.津波避難の啓発活動等について 問14.その他、津波避難にかかる情報伝達、避難方法、防災教育等について、質問以外に取り組ん でいることやご意見があればお願いします。 資料 2:調査対象自治体と回収率 表 2 調査対象自治体と回収率 A:調査対象自治体 神奈川県 13 市町村(8 市、5 町村)― 11 市町村が回答回収率 85% 静岡県 37 市町村(11 市、26 町村)― 27 市町村が回答回収率 73% 愛知県 23 市町村(10 市、13 町村)― 18 市町村が回答回収率 78% 三重県 31 市町村(9 市、22 町村)― 24 市町村が回答回収率 77% 和歌山県 21 市町(6 市、15 町)― 21 市町が回答回収率 100% 大阪府 12 市町(9 市、3 町)― 6 市町が回答回収率 50% 兵庫県 9 市町(5 市、4 町)― 9 市町が回答回収率 100% 徳島県 13 市町(4 市、9 町)― 6 市町が回答回収率 46% 高知県 24 市町村(9 市、15 町村)― 15 市町村が回答回収率 63% 宮崎県 13 市町(5 市、8 町) ―11 市町村が回答回収率 85% 鹿児島県 7 町―5 町が回答回収率 71% B:参考地区自治体 宮城県 10 市町(1 市、9 町)― 7 市町が回答回収率 70% 岩手県 14 市町村(5 市、9 町村)― 12 市町村が回答回収率 86%

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資料 3:避難場所の指定

図 1 避難場所に指定されていた施設

資料 4:ハザードマップの作成

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災害における組織対応のフレームワークの概念

千葉商科大学大学院政策研究科博士課程

六十里 繁

<概 要> Dynes(1994)によると災害への組織対応は、高度の階層性ある組織構造を基本とするトップダウ ンの指揮命令系統による「指揮統制モデル」よりは、様々に変化する事態に対して、より柔軟で 機敏な対応を行い即席の解決策で対応することを基本とする「問題対応型モデル」を基盤とした 計画策定の方がより効率的であると主張している。本稿は、阪神・淡路大震災における初期消火 体制に関する検証作業及び 2003年 9月に発生した「ブリジストン栃木工場火災」事例の消防組織 の組織対応活動をとおして、災害における組織対応のフレームワークの概念について検討する。 キーワード:災害により誘発される危機状況、指揮統制モデル、問題対応型モデル、ICS 1. はじめに 1999 年 4 月に阪神・淡路大震災に関する「震災対策国際総合検証会議」が発足し、2000年 1 月に防災体制、保健医療・応急救助、災害弱者・ボランティア、被災者支援、まちづくり、復興 体制などの課題についての検証報告会が実施された。本稿では、上述の防災体制の一つとして ” 検証テーマ『初期消火体制の課題とあり方』” で取り上げた消防組織の組織対応の問題点に注目 する。また、2003年 9月に発生した「ブリジストン栃木工場火災」事例の中での消防活動におい て、上述の問題点が如何に解決されていたか、または、新たな問題点を生み出しているか等を分 析する。ここでは、これらの組織対応を指揮統制モデルと見るか問題対応型モデルとして見るか を分析の基軸とする。すなわち、Dynes(1994)は、災害への組織対応とは高度の階層性ある組織構 造を基本とするトップダウンの指揮命令系統による「指揮統制モデル」よりは、様々に変化する 事態に対して、より柔軟で機敏な対応を行い即席の解決策で対応することを基本とする「問題対 応型モデル」を基盤とした方がより効率的であると主張している。さて、災害における消防組織 の組織対応のフレームはどの様な位置づけとなるのであろうか。 2. 阪神・淡路大震災の検証作業 熊谷(2000)は、阪神・淡路大震災の検証報告の中で、次のような総括を行った。 (1) 震災時消防力の確保 ・ 常備消防は平常時の火災に対応するものであるが、発災直後から迅速に行動できる常備 消防等、以下に述べる広域的かつ組織的な運用が必要 ・ 消防団の消防能力の維持・向上を図るとともに、常備消防および住民と消防団並びに地 元企業との連携を密にすることによって、震災時の消防力を確保すべき

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27 ・ 広域的な消防力の運用には、阪神・淡路大震災以降抜本的に整備された都道府県相互応 援体制の他、同一都道府県内、同一消防本部内のレベルも視野に入れるべき (2) 消火活動と人命救助活動はどちらが優先されるべきか 出動途上では消火活動を優先しなければならないが、一方、出場する消防車両には可能な 限りの人命救助用資機材を搭載し必要な場合には人命救出現場付近の住民にそれらを貸与 する体制、また、指揮者は計画に齟齬をきたさない為に必要最小限の消防隊員と消火資機材 を火災現場に搬送する努力が必要 3. ブリジストン栃木工場火災事例 黒磯那須消防組合編(2003)によると、2003年 9月 8日 1140頃に発生した「ブリジストン栃木工 場火災」は、119番通報で地元黒磯那須消防組合本部の常備消防、消防団が出動し消火活動を開 始した。しかしながら、バンバリー棟(生ゴム、硫黄、カーボン、発泡剤を混合し、タイヤの部材 となるゴムの平板を製造する工場)の火勢が強く黒煙及び火炎をあげて延焼拡大した。そこで、所 轄消防本部の消防車両ではとても消火することが困難と判断し栃木県内応援消防と福島県からの 応援出動、更に、東京消防庁の特殊災害部隊等の緊急消防援助隊の追加派遣要請をして、2003年 9 月 10 日 1030にようやく鎮火した。 (1) 黒磯那須消防組合本部の常備消防、消防団の出動状況 出動延人員は常備消防が 279名、黒磯市消防団が 601名、那須町消防団が 334名 (2) 広域応援消防隊及び緊急消防援助隊の状況 栃木県内の応援消防隊は 14消防本部から 528名、福島県白川地方広域市町村圏消防組合消 防本部から 7名、及び東京消防庁(緊急消防援助隊)から 91名 (3)この火災からの教訓 ・ 応援の配備のあり方については、応援要請をしたが分散した地域から受援することになり、 非常に遠くからの応援隊の派遣もあった ・ 地元消防本部による現地指揮本部を設置して火災対応を行ったが、応援消防隊及び緊急援助 消防隊との指揮の調整活動は、地元の小さな消防本部の能力を超えるものであった 4. まとめ 野田(1997)は「災害危機をマネジメントするときに必要なことは、コントロールでなく調整と 協働にある」と主張した。筆者は、阪神・淡路大震災の教訓を受けて改善されてきた広域応援消 防と緊急消防援助隊による体制([3])による災害対応、すなわち、災害により誘発される危機状況 における組織対応のフレームワークについて、米国等において構築されている ICS(Incident Command System)の知見等([5],[7])を交えて考察する。

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参考文献 [1]黒磯那須消防組合編, “大規模工場火災資料”, 黒磯那須消防組合, 2003.9. [2]熊谷良雄, “検証テーマ『初期消火体制の課題とあり方』”, 震災対策国際総合検証会議, 『阪神・淡路大 震災 震災対策国際検証事業 検証報告 第 1 巻<防災体制>』, 2000.4., pp.139-179. [3]大規模災害応急対策研究会編, ”我が国の新しい大規模災害応急対策”, ぎょうせい,1996. [4]野田隆, “災害と社会システム”, 恒星社厚生閣, 1997. [5]野田隆, “広域災害における組織間調整のあり方に関する研究”, 平成 13 年度∼14 年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)(2)) 研究報告書, 2003.3.

[6]Dynes, R.R.(1994), “Community Emergency Planning :False Assumptions and Inappropriate Analogies”, International Journal of Mass Emergencies and Disasters ,Vol.12, No.2, pp.141-158, 1994.8.

[7]Federal Emergency Management Agency, “FEMA Independent Study Program:IS -100 Introduction to Incident Command System, I-100”, http://training.fema.gov/emiweb/IS/is100.asp, 2005.9.

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省庁別財務書類の課題と展望

会計検査院事務総長官房上席研究調査官

東 信男

1. はじめに 各省庁は、「省庁別財務書類の作成基準」に基づき、企業会計の考え方を活用して 2002 年度決 算から貸借対照表、業務費用計算書等の省庁別財務書類を作成している。この省庁別財務書類の 作成は、現行の公会計制度の課題に対応することがその背景にあったにもかかわらず、これまで の省庁レベルでの取組みと同様に現行制度の維持を前提としている。このため、省庁別財務書類 は、法的位置付けが明確にされておらず、また、具体的な活用方法も明確にされていないため、 これまでの取組みと同様に作成しただけに終わることが懸念される。そこで、本報告では、省庁 別財務書類が有している課題について論ずるとともに、現行の公会計制度を抜本的に改革するこ とも視野に入れながら、今後の活用方法について展望することとしたい。(本報告は、すべて筆者 の個人的見解であり、筆者が属する会計検査院の公式見解を示すものではない。) 2. 現在の省庁別財務書類の課題 現在の省庁別財務書類は、次のような限界を有しているため、現行の公会計制度の課題に対応 することはできないと考えられる。 ① 活用方法による限界 省庁別財務書類は、現行の公会計制度を維持することを前提に作りやすさと作ることが優先さ れ、具体的な活用方法については明確にされていない。 ② 作成基準による限界 省庁別財務書類は、決算修正方式で作成されているため、中間決算等の期中決算への対応が不 可能であり、また、当該年度の財務状況等に関する説明責任をタイムリーに履行することができ ない。 ③ 予算制度・決算制度による限界 省庁別財務書類は、政策別に区分されていない歳入歳出決算の計数を基礎としているため、政 策別のコストに関する財務情報を提供することができない。また、現行の予算書類・決算書類に は、アウトプット・アウトカムに関する業績情報が掲載されていないため、仮に省庁別財務書類 により政策別のコスト情報が提供されたとしても、行政サービスの効率性や費用対効果を評価す ることができない。 ④ 内部統制による限界 省庁別財務書類は、歳入歳出決算、国有財産台帳等の計数を基礎としているが、これらの適正 性が内部統制により確保されているわけではないため、信頼性の高い財務情報を提供することが できない。 ⑤ 会計検査制度による限界 省庁別財務書類は、その適正性が会計検査により保証されているわけではないため、信頼性の

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高い財務情報を提供することができない。 3. 新たな省庁別財務書類への展望 公会計制度の抜本的な改革も含め、現在の省庁別財務書類を全面的に見直すと仮定した場合、 新たな省庁別財務書類の活用方法として次のようなものが考えられる。 ① 財政規律への活用 マクロレベルの中長期的な財政規律を設定し、国全体の財政を統制するため、省庁別財務書類 が提供する財務情報を活用することが考えられる。この場合、財務情報として国全体の経常的収 入・経常的支出、資産・負債が必要になる。 ② 省庁の財務目標への活用 省庁レベルの単年度の財務目標を設定し、各省庁の行政マネジメントを財務面から統制するた め、省庁別財務書類が提供する財務情報を活用することが考えられる。この場合、財務情報とし て人件費を含めた裁量的経費のコスト内訳が必要になる。 ③ 実施庁の財務目標への活用 実施庁レベルの単年度の財務目標を設定し、実施庁の行政マネジメントを財務面から統制する ため、省庁別財務書類が提供する財務情報を活用することが考えられる。この場合、財務情報と して人件費を含めた裁量的経費のコスト内訳が必要になる。 ④ 政策評価への活用 各省庁がより効率性の高い、或いはより費用対効果の高い政策手段により多くの予算を配分す るため、省庁別財務書類が提供する財務情報を活用することが考えられる。この場合、財務情報 として政策別のフルコストが、また、業績情報として政策別のアウトプット・アウトカム業績目 標の達成状況がそれぞれ必要になる。 ⑤ 効率的な予算執行インセンティブへの活用 各省庁に対して、効率化を図りながら予算を積算通りに執行させるインセンティブを与えるた め、省庁別財務書類が提供する財務情報を活用することが考えられる。この場合、純資産に対し て資本コストを課すため、財務情報として人件費を含めた裁量的経費に係る資産・負債が必要に なる。 ⑥ 市場化テストへの活用 市場化テストを実施するに当たり、省庁別財務書類が提供する財務情報を活用することが考え られる。この場合、財務情報としてアウトプット単位当たりのフルコストが、また、業績情報と してアウトプットの量・質・タイミングがそれぞれ必要になる。 4. おわりに 我が国の厳しい財政状況を考えた場合、省庁レベルでの公会計の充実に向けた取組みは、企業 会計の考え方を活用して取りあえず財務報告を作成するという段階から、財務報告が提供する財 務情報を行政マネジメントに活用するという段階へ移行すべき時期に来ていると考えられる。そ のためには、先ず最初に現行の公会計制度では把握できないが、効率的な行財政活動を行う上で 必要となる財務情報を特定するとともに、その具体的な活用方法を明確にすることが不可欠であ る。これにより、現行の公会計制度の抜本的な改革も含め、必要な財務情報を入手したり、それ を活用するための制度を整備することが可能となる。この場合、各省庁の行財政活動は、財務情

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報だけでは評価できないため、いかに業績情報とリンクさせて活用するかが制度設計上のポイン トとなる。

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