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米国の鉄鋼需要はすでにピークを迎えていると見ている 鉄鋼需要産業見ると 自動車販売数は非常に高い水準で好調であるが ピークに達しており 更なる拡大は望めない 住宅 ビル建設向けの需要は堅調であるが若干の拡大程度 一方で エネルギー向け需要は非常に厳しい状況となっているのはご存知のとおりである それら

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Academic year: 2021

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2016 年 3 月 14、15 日の2日間、米国イリノイ州シカゴ市において、北米鉄鋼市場の Steel Markets North America Conference 2016 が開催された。主催は鉄鋼等の素材やエネルギ ー分野の情報提供、出版を行っているPlatts 社(米大手出版業の McGraw Hill Financial 社の一部門)。今回で12 回目の開催であり、約 200 名の鉄鋼業界関係者や専門家が参加し た。主に、北米における2016 年の鉄鋼需要の見通しや需要産業分野の動向、中国の鉄鋼生 産・輸出の影響、北米の鉄スクラップの動向、鉄鋼産業におけるリスクマネジメント手法 等について講演や議論が行われた。今回は主要な講演内容について報告したい。 1.2016 年の北米鉄鋼市場の展望 (講演者:Timna Tanners 氏、バンクオブアメリカ・メリルリンチ社 マネージングディレクター) 国内の鉄鋼需要は落ちており、それにともない鉄鋼の輸入も減少し、設備稼働率も落ち ているが、設備稼働率はまだ約70%と高い状態。更なる生産減が必要となっている。国内 の電気炉と転炉のシェアを見ると、電気炉での生産割合が増えており、電気炉を使う小規 模な製鉄所がよりシェアを伸ばしている傾向がある。転炉は2020 年までの間に 10~15% 生産シェアを減らすと見ており、その分、電気炉のシェアが増えると思われる。 米国内の鉄スクラップの供給については、現在、エネルギー関連設備・機器の鉄スクラ ップが安定的に発生していることから、比較的、潤沢な状況にある。ドル高の影響から、 鉄スクラップの米国外への輸出が抑制されていることも、米国内への鉄スクラップの供給 量が増えていることの原因である。 年 Mt(百万トン) (出典:米商務省、バンクオブアメリカ・メリルリンチ社) 図1 米国鉄スクラップの輸出の推移

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米国の鉄鋼需要はすでにピークを迎えていると見ている。鉄鋼需要産業見ると、自動車 販売数は非常に高い水準で好調であるが、ピークに達しており、更なる拡大は望めない。 住宅・ビル建設向けの需要は堅調であるが若干の拡大程度。一方で、エネルギー向け需要 は非常に厳しい状況となっているのはご存知のとおりである。それらを総合して考えると 更なる需要増は期待されない。鉄鋼輸入は、ある意味のその本来の役割を果たしていると 言え、安価な輸入品により、国内の鉄鋼価格の上昇を抑えている。但し、それにより世界 的な供給過剰状態の影響を米国も受けざるを得なくなっている。 今後の変動要因としていくつか例示したい。米国の鉄鋼業にとって良い材料も悪い材料 もある。まず、米国政府による鉄鋼産業へのサポートがどの程度続くかは想定がつかない。 現在、関税によって一時的に安価な鉄鋼の輸入を止めてられているが、今年の大統領選挙 後もその措置が続くのかは注視が必要である。また、設備稼働率が高い状況であることは 先ほど述べたとおりだが、更なる製鉄所の閉鎖や休止が今後ありうる。中国からの安価な 鉄鋼輸出は関税措置により押さえられているが、今度は鉄鋼材料から鉄鋼部品等の製品に 形を変え輸出が増えている。今後も動向は注視する必要がある。エネルギー産業の投資は 2014 年のレベルまでは回復しないと想定されるが、2017 年には少し回復すると思われるた め、期待をしたい。米ドル高に苦しめられたが、今後米ドル安の状況が続く可能性がある。 さらに、いったん収束したM&A が活発化する可能性があると見ている。 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015年 (予想) 2016年 (予想) 2017年 (予想) 粗鋼生産量

82

86

89

95

96

89

96

102

輸入

16

19

22

22

28

35

31

30

輸出

11

12

12

11

11

9

8

8

純輸出

-6

-7

-11

-11

-17

-26

-23

-22

粗鋼消費量

88

94

99

106

113

115

119

124

在庫変動

2

1

0

0

1.5

-1.6

0.4

0.2

消費量

86

93

99

106

112

116

119

124

消費量(対前年 比)

41.0%

6.7%

6.0%

6.5%

7.0%

1.5%

3.7%

4.0%

設備稼働率

70.5% 74.7% 75.7%

76.9%

77%

71%

75%

78%

(出典:バンクオブアメリカ・メリルリンチ社) 図2 粗鋼生産・消費量等の推移および今後の予測

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2.北米鉄鋼市場における中国の影響 (1)中国鉄鋼産業の今後の動向

(講演者:Terance Ko 氏、Hatch Associates 社マネージングコンサルタント)

中国の粗鋼生産量は2001 年の WTO 加盟後、2008 年の北京オリンピックなどを経て、 ここ15 年で急激に増加した。2014 年が粗鋼生産のピークとなり、8 億トン超の生産とな り、世界の鉄鋼生産の約半分を占めている。中国政府は、国内の鉄鋼生産を促進するた めに国内鉄鋼メーカーに対して補助金を投入してきた。また、補助金を受け取っていな い企業についても、税金の減免・免除措置を行うことで実質的にサポートしている。政 府のサポートは中央政府だけでなく、地方政府からも行われているのが特徴である。 %

鉄鋼生産量 (右軸) GDP成長率(左軸) Mt(百万トン) 固定資産投資(前年比)(左軸) (出典:中国鉄鋼工業協会(CISA)、Hatch 社) 図3 中国の鉄鋼生産量とGDP 成長率及び固定資産投資(前年比)の推移 2015 年の中国鉄鋼メーカーの利益の推移を見ると、2012 年より利益はほぼ無くなり、厳 しい状況であったが、2015 年はとうとうマイナスとなっている。多くの鉄鋼メーカーの収 益は悪化し、利益はプラスからマイナスへと転換している。一方で、政府からの補助金に より、マイナス分を補填している例がある。実際、2015 年の第3四半期までに中国の鉄鋼 会社34社が受け取った政府補助金の額は合計で約26 億元と言われており、それによって、 Nanjing Steel や Benxi Steel、 Chongqing Steel などいくつかの鉄鋼会社がマイナスの利 益からプラスへと転換した。

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国内の鉄鋼需要の見通しについては、不透明な状況が続いている。2015 年まで多くの分 野において成長が期待されてきたが、2016~2020 年の見通しとしては、インフラ投資は堅 調、不動産、自動車、家電分野等について成長が予測される一方で、機械や造船分野での 需要は横ばいかマイナスになると見られている。更に、長期の2021~2030 年の見通しでは、 不動産、インフラ、自動車、機械、造船、家電分野でマイナス成長が予想されている。 鉄鋼生産量(百万トン) 企業損益(十億元) (出典:CISA, Hatch 社) 図4 中国の主な鉄鋼メーカーの鉄鋼生産量と損益(2015 年) 中国国内及び海外の鉄鋼需要の下落にともない、中国の鉄鋼生産過剰問題は非常に長期 的な問題と認識されており、減産の努力が行われているが、構造調整のスピードは非常に ゆっくりとしたものとなっている。実際、2015 年に9百万トン分の生産可能量を削減して いる。それにより、2015 年の中国国内の設備稼働率は 65%まで下がったが、それでも、中 国国内の需要と供給の差である過剰生産量は約4億トンにも及んでいる。 2016 年 1 月に中国政府は新たな鉄鋼政策を発表した。現在の生産可能量を 2016 年~2020 年までの5 年間で 1.5 億トン減らすことを目標として掲げている。具体的には、新規プロジ ェクトの非承認や国内鉄鋼会社のM&A の促進、鉄鋼産業への海外資本の投資規制の解除、 中国鉄鋼メーカーの海外進出のサポートなどを行うことで生産可能量を削減していく方針 を示している。 但し、過去10 年の中国の生産可能量の動向を見ると、中国政府の生産可能量削減の政策 はあまり効果をあげていないのが実態である。その原因としては、中央政府の方針が削減

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方向を向いてはいるものの、他方で、地方政府が地元の鉄鋼メーカーを引き続きサポート していることが挙げられており、それらの地方政府の行動が地方の鉄鋼メーカーの生産可 能量の減少を妨げていると指摘されている。 3カ月 平均線 年 Mt(百万トン) 鉄鋼消費量 鉄鋼生産可能量 1.5億トン分の生産可 能量を2020年までに 削減予定 鉄鋼生産量 (出典:中国鉄鋼工業協会(CISA)、Hatch 社) 図5 中国鉄鋼生産可能量及び生産量、消費量の推移と今後見通し また、国内の過剰な鉄鋼生産の影響を緩和するために、中国政府は鉄鋼・鉄鋼製品の輸 出についても力を入れている。特に付加価値の高い下流の鉄鋼製品の輸出を促進しており、 上流製品については輸出税を付加する一方、下流製品について税金還付を行うなどして、 より付加価値の高い鉄鋼製品の輸出を後押しする仕組みを作っている。 3.2016 年の北米鉄鋼需要予測 (1)自動車産業の鉄鋼需要

(講演者:Richard Hilgert 氏、Morningstar 社シニアアナリスト)

多くのファインダメンタルが新車購入需要をサポートする材料となっている。たとえ ば、失業率はゆっくりと、しかも長期間に亘り段階的に回復してきた。今後もこの傾向 は続くと見られており、雇用環境の改善は自動車需要にとっては非常にプラスと判断さ

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れる。特に、16~24 歳の若い世代の失業率は、2010 年の 10%台後半から 10%近くにま で半減するぐらい改善してきており、今後の新車購入を後押しするものと思われる。ま た、消費者信頼感指数も水準で推移しており、自動車購入意欲を刺激する水準と言える。 ガソリン価格は低位安定中である。消費者は1ガロンあたり3ドルを切ると、ガソリ ン価格を気にしなくなると言われており、現在の2ドルを前後の状況は非常に自動車販 売にとっても良い傾向と言える。ガソリン価格の低位安定により、自動車の需要傾向は、 燃費のより小型車から、燃費の悪いより大きな車種にシフトしており、ピックアップト ラックやSUV などの大型車の販売が伸びている。小型車に比べて、大型車の生産に必要 な鉄鋼の量は当然多くなることから、鉄鋼需要にとっては非常に良い状況であると言え る。また、燃料価格が安いことにより自動車の走行量も増える傾向があり、これも自動 車の買い替え需要を促進する効果がある。 中古車価格は2014 年以降、若干ではあるがプラスの方向で推移をしている。継続的に 中古車価格が伸びることは、保障のある新車と中古車の値段差を緩和し、より新車購入 意欲を高める効果がある。 逆に懸念点として上げられるのは、住宅ローン残高が高いことや、個人消費が伸びて いないこと、自動車ローン残高の急激な増加などが挙げられる。但し、サブプライムロ ーン比率は上がっておらず、健全な借り入れであるとの認識である。また、自動車免許 保有者数が頭打ちとなる一方で、自動車販売台数が伸びている。米国内の自動車免許保 有者数が増えない中で、市場に自動車が過剰供給されるとの見方をすると、今後の新車 販売台数への影響は懸念される。更に、近年のUber などのカーシェアリングのサービス が拡大するに伴い、自動車の保有台数自体が低下する影響もありうる。今後も注視が必 要である。 百万人 新車販売台数(右軸) 自動車免許保有者(左軸) 百万台 年 (出典:Ward's Automotive, Federal Highway Administration) 図6 米国新車販売台数と自動車免許保有者数の推移

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(2)エネルギー産業の鉄鋼需要

(講演者:Nicole Leonard 氏、Platts 社エネルギーアナリスト)

北米市場の石油及び天然ガス市場は過剰供給状態であり、石油及び天然ガスの価格は 非常に低い状況である。石油価格は長期的には上がると見られているが、短期的な価格 へのプレッシャーは世界における石油供給量に影響される状況が続くと見られる。天然 ガスの価格は短期的には低価格化で推移するものと予想されている。長期的には輸出市 場が活性化されるタイミングで価格上昇に向かうと見ている。また、価格が戻ることに より、北米内のエネルギー関連の鋼管需要が2013 年から 2014 年レベルに回復すると見 られる。 石油価格は2016 年に底をつき、2017~2018 年にかけて回復し、2019 年以降の石油需 要に合わせて安定していくものと予想している。2020 年の平均原油価格は、1バレルあ たり、75.11 米ドルと予想されているが、現時点の価格から再度見積もると、低い水準で 推移した場合は、1バレルあたり46.42 米ドルとなりうる可能性もある。 1バレルあたりの価格 2020年平均価格 $75.11/bbl 年

(出典:Bentek’s Crude Oil Market Call, Bentek’s PADD Balances) 図7 Bentek’s 社の WTI 原油価格の予想

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(3)建設産業の鉄鋼需要

(講演者:John Cross 氏、American Institute of Steel Construction(AISC,米国鋼構造 協会)副会長) 米国の建設需要は、ビルや住宅向けがプライム市場といわれ、需要の全体の4割を占 めている。また、産業向けが4割であり、OEM 供給が2割となっている。プライム市場 にあたる居住、非居住住宅の施工面積は2009 年のリーマンショックから年々回復をして おり、2015 年まで上昇している。但し、2014 年から 2015 年は横ばい傾向で出ており、 伸び率としては弱まってきている。今後の予定されている建設プロジェクトの施工面積 を見ると明らかな横ばい傾向となっており、今後、現在の水準の維持した後、下降する ことが想定される。米国の建設市場は、過去の建設需要を分析すると 6~10 年サイクル で上昇と下降を繰り返しており、現在は2010 年から上昇サイクルに入り、2015 年にピ ーク地点に入ったと見ることもできる。 あくまで、予測であるが、構造用鉄鋼の需要は2016 年は対前年度比5~7%増程度で 推移するものと思われる。2017 年には横ばいとなり、2018 年には下降すると想定される。 千平方フィート 年 (出典:米国鋼構造協会(AISC)) 図8 非居住住宅の着工面積の推移と今後の予測

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(4)製造業の鉄鋼需要

(講演者:Philip Bell 氏、Steel Manufactures Association (SMA,米国スチール工業会) 会長) 米製造業の成長は予想よりもゆっくりとしたペースであり、まだ、リーマンショック 以前の水準まで戻っていない。2010 年からの平均成長率は年率 0.9%程度であるが、今 後3年間で、リーマンショック前の2007~2008 年レベルに回復するには年率 3.4%の成 長をする必要がある。 経済成長により、建設分野は高い水準であるため、それに関連する冷暖房機器や家電、 家具、建設機械などの製造業が牽引されると見られる。利上げによる利率の上昇や消費 者信頼感指数などが懸念材料となる。また、自動車販売が引き続き好調であり、ガソリ ン価格が低価格のままであれば2016 年は引き続き、自動車産業向けの需要は高い水準で 推移するであろう。但し、2017 年には横ばいになると見られる。総合して、機械製造の 水準はほぼ横ばいと見ており、農業機器やエネルギー関連機器については下向き、建設 機械、産業機械についてはゆっくりながら成長をすると見ている。 製造関連産業 2015年 2016年 2017年 住宅着工件数 11% 18% 10% 自動車部品 9% 7% 0% 家電 5% 6% 4% 鉄鋼製品 -11% 3% 0% 組み立て金属製品 1% 3% 3% 建設機械 7% 1% 3% 鉱山機械、石油・天然ガス関連機器 -14% -17% 14% 発電機器 7% 3% 4% 航空機、部品 4% 7% 7% 公共事業 3% 3% 1% (出典:米製造業者同盟(MAPI)) 図9 鉄鋼を消費する製造関連産業の成長予測(対前年比成長率%)

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