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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 山本信太 論文審査担当者 主査若林則幸副査三浦宏之 鈴木哲也 Effect of offset values for artificial teeth positions in CAD/CAM 論文題目 complete denture ( 論文の内容の要旨 )

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Academic year: 2021

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学位論文の内容の要旨

論文提出者氏名 山本 信太

論文審査担当者 主 査 若林 則幸 副 査 三浦 宏之 鈴木 哲也

論 文 題 目 Effect of offset values for artificial teeth positions in CAD/CAM complete denture

(論文の内容の要旨) <緒 言>

現在行われている全部床義歯の製作方法では、 臨床と技工操作に多くの複雑な工程を伴い、熟練 した技術を要する。この問題は Computer Aided Design (CAD) /Computer Aided Manufacturing (CAM) 技術を応用することにより、解決できる可能性がある。CAD/CAM 技術はクラウンなどの固定性補綴 ではすでに臨床応用されている。 一方、 CAD/CAM 技術の全部床義歯への応用は、1990 年代に始ま り、近年米国では商品化されたものもあることから、徐々に一般的なものとなりつつある。 金澤らは、CAD/CAM 技術を応用した全部床義歯の製作法において、切削加工した義歯の精度検証 を行い、義歯の研摩面では高い精度を示したが、咬合面において低い精度を示したことを報告した。 この方法では、まず印象採得後の印象体を Cone Beam Computed Tomography (CBCT)にて測定し、得 られた Digital Imaging and Communications in Medicine (DICOM) データを Standard Triangulated Language (STL) データに変換する。次に CAD ソフトを用いて得られた印象体データ上に人工歯デー タを排列後、研摩面形態を付与し、新義歯データを作成する。続いて、ブーリアン演算を用いて義 歯データより人工歯データを削除し、人工歯接着用のソケットを設けた義歯床のみのデータを作成 する。このデータを基に切削加工された義歯床に人工歯を接着し、義歯完成としている。この時、 人工歯と人工歯ソケット部との間にスペースがないと、人工歯がソケット内で干渉し定位に戻らな いことが考えられた。そのためソケットデータにはオフセット値を付与する必要がある。しかしな がらこれまでにソケットに付与するオフセット値を検討した報告は無く、最適な義歯床データのデ ザインは明らかとなっていない。そこで本研究の目的は、オフセット値が、義歯の人工歯位置精度 に与える影響を検証し、最適なオフセット値を検討する事とした。 <方 法> ・マスターデータの作成

CAD ソフト (FreeForm, Geomagic) を用いて義歯床モデルを作成した。人工歯(SURPASS G, GC) を三次元スキャナ(ATOS Triple Scan, GOM mbH)にて計測し人工歯の STL データを獲得した。今回 の実験で変位量の計測に用いた歯種は上顎左側中切歯 (UL1)、上顎左側犬歯 (UL3)、上顎左側第一 小臼歯 (UL4)、上顎左側第一大臼歯 (UL6)である。これらの人工歯を CAD ソフト (CATIA V5R19, Dassault Systemes) を用いて義歯床モデル上に排列した。それぞれの歯種を等間隔に 5 つ並べたも のをマスターデータとした。

・計測データの獲得

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- 2 - ット付き義歯床モデルデータを作成した。ソケットの中でオフセットを付与しないコントロールグ ループ(0.00)と、オフセット値を 0.10,0.15,0.20,0.25mm 付与した 5 つのグループを作成した。 この義歯床モデルデータを基に、マシニングセンタ(GM-1000, GC)にて試作加熱重合型義歯床用レ ジン(ACRON, GC)ディスクを切削加工し、ソケット付き義歯床模型を製作した。各オフセット値の サンプルサイズは 3 とした。人工歯の接着は臨床経験 3 年以上の義歯外来の歯科医師 3 名が行った。 一つの義歯床モデルに対して 1 人の試験者が即時重合レジン(ユニファスト,GC)をメーカー指示の 粉液比にて混和し接着した。人工歯接着後の義歯床モデルを CBCT(Finecube; Yoshida)にて計測 し、得られた DICOM データを CAD ソフト(Mimics, Materialise) を用いて STL データ化し、計測デ ータを得た。 ・マスターデータと計測データの偏差解析 計測データとマスターデータは Mimics を用いて重ね合わせた。重ね合わせ後 FreeForm を用いて 人工歯以外の余分な部分をトリミングした。偏差は計測データのサーフェス上の点からマスターデ ータまでの法線距離である。偏差解析には CATIA を用いた。測定項目は絶対値での平均偏差及び最 大偏差とした。平均偏差は偏差の絶対値の和を全ての点群の数で除したものである。 各歯種で得られた結果は、一元配置分散分析後、オフセット値の異なる 5 つの群間で Tukey 法を 用いた多重比較検定を行った。統計解析は統計ソフト (SPSS version 16.0, SPSS) を使用し、有意 水準は 5%とした。 <結 果> UL1 では、絶対値の平均偏差においてコントロール群は全ての群に比べ有意に大きな値を示した。 またオフセット値 0.10 群はオフセット値 0.15, 0.20 群に比べ有意に大きな値を示した。絶対値の 最大偏差においてコントロール群は全ての群に比べ有意に大きな値を示した。偏差解析後のカラー マップより、コントロール群では切縁付近において大きな偏差が認められた。 UL3 では、絶対値の平均偏差においてコントロール群は 0.15 群,0.25 群に比べ有意に大きな値を 示した。絶対値の最大偏差においてコントロール群は全ての群に比べ有意に大きな値を示した。偏 差解析後のカラーマップより、コントロール群では切縁付近において大きな偏差が認められた。 UL4 では、絶対値の平均偏差においてコントロール群は 0.25 群に比べ有意に大きな値を示した。 絶対値の最大偏差においてコントロール群は 0.15 群,0.20 群, 0.25 群に比べ有意に大きな値を示 した。偏差解析後のカラーマップより、コントロール群では咬合面において大きな偏差が認められ た。 UL6 では、絶対値の平均偏差、最大偏差ともにコントロール群は全ての群に比べ有意に大きな値 を示した。偏差解析後のカラーマップより、コントロール群では咬合面において大きな偏差が認め られた。 <考 察> 前歯部人工歯の切縁の位置や、左右の対称性は義歯の審美性に大きな影響を与える。そのため、 人工歯を義歯床に接着する際の変位を小さくすることは、義歯の審美性を向上する上で重要である と考えられる。UL1 と UL3 において、オフセットを付与したことで偏差が小さくなった。これは、

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- 3 - 人工歯とソケットの間にスペースが生まれたことで干渉が除去され、浮き上がりが小さくなったた めであると考えられる。また、コントロール群では唇側の偏差が大きいことが明らかとなった。基 底面形態が斜面であり、干渉が起きた点を支点とし人工歯が唇側に傾斜したためであると考えられ る。 上顎の小臼歯は歯列の中間に位置にし、審美性と咬合機能に影響を与える。そのため、人工歯を 義歯床に接着するときの変位を小さくすることで、義歯の審美性及び機能を向上することが可能で あると考えられる。UL4 の結果よりコントロール群では咬合面方向の偏差が大きいことが明らかと なった。また、頬側咬頭より口蓋側咬頭の浮き上がりが大きく、人工歯が頬側方向に傾斜している ことが明らかとなった。これは、UL4 の基底面は頬側に傾斜しており、オフセットが付与されてい ないと、接着時の咬合面方向からの力のベクトルが、斜面方向に向かいやすいためであると考えら れる。 上顎大臼歯は義歯の咬合に関係している。人工歯接着時の変位は咬合高径や咬合接触への影響が 考えられる。結果よりコントロール群では咬合面方向に均一に浮いているのが明らかとなったが、 偏差の値は他の歯種と比べて小さい。UL6 の基底面形態は平坦な部分の面積が大きく、ソケット内 で人工歯が変位しづらく安定しているためであると考えられる。 今回の実験では、絶対値における平均偏差及び最大偏差を測定項目とした。測定対象が基準に対 して表に位置しているものが正の偏差である。本実験では正負を区別せず絶対値として処理をした。 臨床上人工歯の変位の正負の方向は問題とならず、人工歯の変位量を可及的に小さくすることが重 要であると考えたためである。平均偏差は偏差の和を全ての点群で除したものである。点群は約 25000 個あるため、平均値では一部の大きな偏差が隠れてしまう。そのため平均偏差の値だけでな く、最大偏差の値や色分け図からの視覚的なイメージでの判断が必要である。 接着後の人工歯の測定には CBCT を用いた。CBCT は簡便に測定する事が可能であり、模型の計測 に用いられている。しかしながら実測値に比べ有意差はないが、やや小さな値を示すことが報告さ れている。 人工歯を接着する際に用いた常温型重合レジンの重合収縮の影響に関しては、人工歯とソケット の間のスペースは最大でも 0.25mm と小さく、また用いた常温重合型レジンの収縮率は 1%未満であ る事を考えると、影響はほとんどないと考えられる。しかしながら接着剤のフローや厚みの影響は 今後の検討課題と考えられる。 <結 論> CAD/CAM 技術を応用した全部床義歯製作法において、義歯床データのデザインはソケット部にオ フセットを付与することで、接着後の人工歯の位置精度が良好となることが明らかとなった。最適 なオフセット値は UL1 においては 0.15-0.25mm,UL3 においては 0.15, 0.25mm,UL4 においては 0.25mm,UL6 においては 0.10-0.25mm であった。

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論文審査の要旨および担当者

報 告 番 号 甲 第 4784 号 山本 信太 論文審査担当者 主 査 若林 則幸 副 査 三浦 宏之 鈴木 哲也 (論文審査の要旨) 現在行われている全部床義歯の製作方法では、臨床と技工操作に多くの複雑な工程を伴い、 熟練した技術を要する。この問題は Computer Aided Design (CAD) /Computer Aided Manufacturing (CAM) 技術を応用することにより、解決できる可能性がある。これまでの研究では、CAD/CAM 技術を応用した全部床義歯の製作法において、切削加工した義歯の精度検証を行い、義歯の研 摩面では高い精度を示したが、咬合面において低い精度を示したことが報告されている。この 方法では、まず印象採得後の印象体を Cone Beam Computed Tomography (CBCT)にて測定し、得 られた Digital Imaging and Communications in Medicine (DICOM) データを Standard Triangulated Language (STL) データに変換する。次に CAD ソフトを用いて得られた印象体データ上に人工 歯データを排列後、研摩面形態を付与し、新義歯データを作成する。続いて、ブーリアン演算 を用いて義歯データより人工歯データを削除し、人工歯接着用のソケットを設けた義歯床のみ のデータを作成する。このデータを基に切削加工された義歯床に人工歯を接着し、義歯完成と している。この時、人工歯と人工歯ソケット部との間にスペースがないと人工歯が CAD ソフ ト上で決定した位置に戻らないことが考えられた。そのため義歯床データのデザインにおいて、 ソケットデータにオフセット値を付与する必要がある。しかしながらオフセット値が人工歯の 位置精度に与える影響はこれまでに報告されていない。こうした状況を背景に、山本は人工歯 接着用のソケットに異なるオフセット値を付与し、接着後の人工歯の位置精度にオフセット値 が与える影響について検討した。 実験には上顎左側中切歯(UL1)、上顎左側犬歯(UL3)、上顎左側第一小臼歯(UL4)、上顎 左側第一大臼歯(UL6)の人工歯を用いた。これら 4 種類の人工歯を光学スキャナにて計測し、 STL データ化した。これら 4 種類の人工歯を、CAD ソフトを用いて設計した義歯床にそれぞれ 5 歯排列したものをマスターデータとした。マスターデータより人工歯部を削除しソケットデ ータを作成後、ソケットの中でオフセットを付与しないコントロールグループ(0.00)と、オ フセット値を0.10,0.15,0.20,0.25mm 付与した 5 つのグループを作成した。このソケット データから、マシニングセンタにて重合済みのレジンディスクを切削加工し、人工歯接着のた めのソケットを製作した。人工歯の接着は臨床経験3 年以上の義歯外来の歯科医師 3 名が即時 重合レジンを用いて接着した。人工歯を即時重合レジンにてソケットに接着し、CBCT にて測 定後、計測データとマスターデータを CAD ソフトにて重ね合わせ、偏差解析を行った。各オ フセット値における標本数は 3 とした。偏差解析により得られた平均偏差と最大偏差の結果を 一元配置分散分析後、オフセット値の異なる5 つの群間で Tukey 法を用いた多重比較検定を行 った。有意水準は 5%とした。 本研究は綿密な研究計画をもとに実施され、適切な測定手技により妥当性の高い結果を導い

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( 2 ) ており、研究計画から考察に至るまで高く評価できる。 本研究で得られた結果は以下の通りである。 1. 全ての歯種においてソケットデータをオフセットすることで、人工歯の位置精度が向上す ることが明らかとなった。 2. 最適なオフセット値は歯種により異なり、UL1 においては 0.15-0.25mm、UL3 においては 0.15, 0.25mm、UL4 においては 0.25mm、UL6 においては 0.10-0.25mm であった。 3. 歯種により人工歯接着時の変位の方向が異なり、これは人工歯基底面形態による影響が考 えられた。 本研究結果より、CAD/CAM 全部床義歯における人工歯部の変位量が減少し、完成した義歯 はより精度が高くなる可能性が示唆された。この研究から得られた結果は臨床的意義が高く、 CAD/CAM 技術を応用した全部床義歯製作法の臨床応用がより明確なものとなり、本研究は歯 科補綴学のみならず歯科医療の今後に寄与するところが大きいと認められる。よって、本論文 は博士(歯学)の学位を申請するに十分値するものと認められる。

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図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実