M9392A PXI
ベクトル・
シグナル・アナライザによる
マルチチャネル
ストリーミング・キャプチャ
記録
RF
レコーディングを使用した
干渉信号の捕捉/解析
RF
スペクトラムが広帯域化、マルチチャネル化す るに伴い、無線通信の電波干渉や間欠的な現象等、 開発エンジニアが今までに経験した事のない環境 に直面しています。2
チャネルPXI
シグナルアナライザによるストリーミ ング・キャプチャ記録システムでは高周波/広帯域 の間欠的な問題を捕捉/解析でき、新しいRF/
マイ クロ波デバイスの開発で生じるさまざまな問題の トラブルシューティングが容易になります。 このアプリケーション・ノートでは、問題を分析し ながらソリューションについて説明しています。Application Note
テストの限界に挑む
アジレントのモジュール計測器
はじめに
このアプリケーション・ノートでは、RF
環境でデータを捕捉す る際の問題を詳細に考察し、Agilent
のマルチチャネルPXI
レ コーディング/解析ソリューションを用いて問題を扱いやすく することでRF/
マイクロ波製品のデザインを成功に導くための 手法を紹介しています。概要
ソリューションの推奨構成:• 2
チャネル、50 MHz
∼26.5 GHz
、Agilent M9392A
ベクト ル信号解析システム•
ソフトウェア・アプリケーション:• Agilent Data Viewer
サンプル・ソフトウェア• Agilent 89600 VSA
ソフトウェア• X-COM Spectro-X
信号解析ツールキット利点
•
無線デザインの成功•
間欠的な問題の捕捉/解析•
高周波•
広帯域• RF/
マイクロ波デバイスの開発におけるさまざまな問題のト ラブルシューティングアプリケーション
•
航空宇宙/防衛•
無線通信•
レーダ/広帯域信号•
電子テスト目次
ページ番号RF
レコーディングを使用した干渉信号の捕捉/解析4
干渉の問題5
詳細 干渉源の識別 トリガ測定の設定6
∼10
最初の評価 他の現象のタグ付け 干渉の影響の表示11
∼13
まとめ14
構成情報15
オーダ情報15
関連情報15
概要 問題 ソリューション 結果 3概要
RF
レコーディングを使用した干渉信号の捕捉/解析
1. RAID:redundant array of independent disks(レイド)
RF
スペクトラムが広帯域化、マルチチャネル化するに伴い、無 線通信の電波干渉や間欠的な現象等、開発エンジニアが今ま でに経験した事のない環境に直面しています。 無線デザインの開発の成功は、実環境の干渉源を解析しモデ ル化する能力にかかっています。しかし、この作業は、干渉 信号が多種多様なため困難な作業となります。例えば、タイ ミング、バースト特性は複雑で、変調方式が動的に変化し、パ ワー・レベルも変化します。干渉の問題が間欠的な場合、トラ ブルシューティングは特に難しくなります。 間欠的な干渉を扱う場合、掃引スペクトラム・アナライザを使用 する従来の測定手法では、各掃引の合間で重要な情報が欠落 する可能性があります。これに代わる最新の手法として、独 立した2
セットのPXI
シグナルアナライザを使用して、RF
スペ クトラムをとりこぼし無しでRAID
システムにレコーディング する手法があります¹。 PXIマイクロ波シグナルアナライザ2セットを同一シャーシに収容 捕捉されたデータは、Data Viewer
ソフトウェアや検索機能を 搭載した信号解析ツールキットなどを用いて解析します。干渉 信号を特定した後、その特性を1
セット目のPXI
シグナルアナ ライザがチャネル内または隣接チャネルの信号をモニタする際 のトリガ・パラメータとして使用できます。トリガ・イベントによ って、2
セット目のPXI
シグナルアナライザの帯域内の収集が 開始されます。干渉信号をより完全に捕捉するために、プリ・ トリガ遅延を用いて、トリガ・イベントよりも早く、バッファ・メ モリ容量の範囲内で指定した時間の信号データを捕捉すること ができます。 このアプリケーション・ノートでは新しい802.11ac
デバイスに干 渉する間欠的な信号の例を用いて、とりこぼしの無いレコー ディング手法について説明しています。さらに、問題点、2
チ ャネル・ソリューション、測定結果についても説明しています。干渉の問題
測定ソリューションの概要
干渉による情報の欠落は、民生アプリケーションからビジネス・ アプリケーションまで、幅広いアプリケーションで起こる可能 性があります。原因が、デバイスの回路やアセンブリ、システ ムのデザインなど、内部に問題がある場合もあります。ある いは、周波数プランニングが十分でない、無認可のトランスミ ッタなど、外部に要因がある場合もあります。 ここで扱う課題は、新しい802.11ac
デバイスの検証テストで 発生する問題です。デバイスは、ケーブルを直結したテストで は良好に動作しましたが、実際のRF
環境でテストを行った場 合には期待される平均スループットを達成できませんでした。 問題の発生頻度が低く、原因が1
つではないため、原因を特定 するのが困難でした。 スペクトラム・アナライザで測定を行って手がかりが得られまし た。テストを行った数チャネルで予想以上に雑音が多かったの です。この測定は、2
つの80 MHz
のレンジで数時間の広帯域 掃引測定をアベレージングして行いました。この帯域には、無 線LAN 802.11
のチャネル100
∼112
と149
∼161
、周波数レ ンジ5.490 GHz
∼5.570 GHz
と5.735 GHz
∼5.815 GHz
が 含まれています。残念ながら、掃引測定を累積した振幅エン ベロープからは、バースト特性を示す干渉信号のタイミングや 持続時間に関する有用な情報は得られませんでした。 大容量で取りこぼしの無いレコーディングができるPXI
シグナ ルアナライザによって、周波数、振幅、タイミングに関する情 報が得られます。しかし、この手法を詳細に考察すると、潜 在的な問題があることがわかります。1
つは、アナライザが目 的の信号を捕捉するのに80 MHz
以上の帯域幅が必要なこと です。もう1
つは、レコーディングしたスペクトラム・データに 取りこぼしが生じないように、収集/記憶の処理を高速に行 う必要があることです。最後に、アナライザ間のタイミングの 違いが最小になるように、システムを構成する必要がありま す。これらの条件が信号コヒーレンスに影響を与えると、位相 オフセットや到着時間の差など、クロス・チャネル測定の品質が 低下します。 この結果から、間欠的な信号は、802.11
信号ではない何らかの 信号の可能性があります。その理由は、802.11a
または802.11n
の強い信号が存在する場合、衝突を回避する処理が行われ、 異なる802.11
伝送間の干渉は発生しないからです。皮肉なこ とに、この処理のために、802.11ac
デバイスが有効なタイム・ スロットを待って伝送できないこともあります。これが、平均 データ・スループットの低下の要因の1
つになっています。 SEMマスク・リミット/サブキャリア・フラットネス・リミット表示を含む、 802.11acのデュアル・チャネル測定の例 5ソリューション
推 奨システムは、
M9392A PXI
ベクトル信 号 解 析システム (50 MHz
∼26.5 GHz
)と、3
種類(Data Viewer
アプリケーシ ョン、89600 VSA
ソフトウェア、X-COM Spectro-X
信号解析 ツールキット)のソフトウェア・アプリケーションで構成されています。図
1
に、推奨ソリューションを示します。図1. レコーディング解析ソリューションは独立した2セットのPXIシグナルアナライザ、 必要な信号解析ソフトウェア・ツールで構成されています。
Agilent M9392A DataViewer
Spectro-Xソフトウェア XCOMシステム 89600 VSAソフトウェア 2チャネル M9392A VSAシステム JMR RAIDストレージ・ソリューション 2個の仮想RAIDドライブで 構成する場合は、2 PCIeポートの ホスト・アダプタに交換可能 M9047A x8 デスクトップ・ アダプタ Dell T3500/ T5500ワーク ステーション
マスタ/ スレーブ・トリガ スレーブVSA RFアンテナ2 RFアンテナ1 マスタVSA デ ジ タ イ ザ LO ア ッ テ ネ ー タ / プ リ セ レ ク タ UW ダ ウ ン・ コ ン バ ー タ RF ダ ウ ン・ コ ン バ ー タ デ ジ タ イ ザ LO ア ッ テ ネ ー タ / プ リ セ レ ク タ UW ダ ウ ン・ コ ン バ ー タ RF ダ ウ ン・ コ ン バ ー タ
ソリューション(続き)
図2
に、2
チャネルM9392A
ベクトル信号解析システムのPXI
モ ジュールの詳細なブロック図を示します。各チャネルには、M9202A PXI
広帯域IF
デジタイザとM9302A PXI
ローカル発信 器(2.75 GHz
∼10 GHz
)が含まれます。 測定チャネルは左から右に並び、システムは以下のモジュール も搭載しています。• M9360A PXI
アッテネータ/プリセレクタ (100 kHz
∼26.5 GHz
)• M9361A PXI
マイクロ波ダウンコンバータ (2.25 GHz
∼26.5 GHz
)• M9351A PXI RF
ダウンコンバータ(50 MHz
∼2.9 GHz
) すべてのモジュールはM9018A 18
スロットPXI
シャーシに搭載 されています。性能を最適化するために、M9018A
は、最大x8
Gen 2
のレートで動作する高性能なPCIe®
スイッチ・ファブリッ クを内蔵しています。 各M9202A
デジタイザは内蔵するFPGA
にデジタル・ダウンコン バータ(DDC
)を内蔵しています。ここで使用する構成は、デ ジタル・コンバータ(DDC
)により、データを2 G
サンプル/s
か ら必要なサンプル・レートにデシメートします。このソリュー ションは、取りこぼしの無い収集のために15 k
サンプル/s
∼125 M
サンプル/s
をサポートしています。 測定データには、16
ビットの直交データでインターリーブされ た16
ビットの同相データから構成されるIQ
ペアが含まれてい ます。したがって、最大サンプリング・レート125 M
サンプル/s
は、100 MHz
の瞬時帯域幅に相当します。 図2. 各チャネルで独立したLOを使用すれば、帯域内/隣接チャ ネルを異なる中心周波数で同時に測定することができます。詳細
7ソリューション(続き)
この構成は2
種類の収集モードをサポートしています。2
チャネ ル・レコーディングとマスタ/スレーブ・トリガ・レコーディング です。これにより、解析プロセスが2
つに分けられています。2
チャネル・モードを使用すれば、記憶媒体の容量に応じた時間 長で、2
つのチャネルの信号情報を取りこぼし無しで収集/記 録することができます。 独立したLO
を用いているので、1
チャネル目を5.530 GHz
の802.11ac
バンドに設定しながら、2
チャネル目を5.775 GHz
に 設定できます(図3
参照)。この上限周波数は、免許不要の産業 科学医療用バンド(ISM
)の中心で、コードレス・フォンなどの干 渉源が含まれています。2
チャネルのベクトル信号解析システ ムは、雑音源と干渉源を探索しながら両方のバンドを同時に 測定できます3。 図3. 802.11ac信号をアナライザ2チャネルで収集/測定/解析干渉源の識別
3. これはホストPC内のメモリまたは外部RAIDアレイのデスク・ スペースです。関連アプリケーション・ノートについては、この ノートの最後に掲載されている関連情報のリストをご覧ください。 長時間の捕捉の解析を迅速に行うために、データの解析は2
ス テップで行われます。最初に、Data Viewer
、信号解析ツー ルキットまたはVSA
ソフトウェアを用いて、干渉信号の識別/ 評価を行います。次に、信号解析ツールキットの検索機能を 用いて、データ記録中の類似した現象をすべて検出してタグ 付けを行います。干渉信号の特長を識別した後、その特性を 使用してマスタ/スレーブ・モードのトリガ・パラメータを設定 します。この動作モードでは、マスタ・チャネルがデータを収 集し、そのデータが干渉信号と相関をもつ場合にスレーブ・チ ャネルのレコーディングを開始します。レコーディング時間は、 任意に設定できます。 トリガ測定中は、最初に間欠的な信号が発生したときに、ユー ザが指定した時間長(記憶媒体の容量の範囲内)の収集がスレ ーブ・チャネルで有効になります。信号の状態を完全に捕捉す るために、プリ・トリガ遅延を用いて、トリガ・イベントよりも 前の状態をバッファ・メモリ容量の範囲内で時間を指定して信 号データを捕捉することができます。 5490 MHz 5570MHz 5735MHz 5815MHz 5835MHz 149 153 157 161 165 100 104 108 112 IEEチャネル 20 MHz 40 MHz 80 MHz 80 MHz テスト・チャネル テスト・チャネル 5 GHzバンドの802.11acチャネルのサブセットソリューション(続き)
図4. マスタ/スレーブの2つのチャネルをレコーディング中に、プリトリガ・バッファを使用して、 トリガ条件に一致する直前に発生する有用な情報をキャプチャできます。 マスタ/スレーブのトリガ・レコーディング・モードでは、システ ムのPC
がマスタ・チャネル・データの解析を完了した後に、スレ ーブ・チャネルのトリガが発生します。この場合はプリ・トリガ 遅延を設定する必要があります。PC
がマスタ・チャネルを解析 してスレーブ・チャネル・レコーディング用のトリガ発生を決定 する時間を確保する必要があるためです。この時間を確保で きれば、トリガ信号を発生できるハードウェアを使用してレコ ーディング・チャネルに対してソフトウェア・トリガを使用できま す(図5
)。たとえば、M9300A
周波数基準や、PC
のシリアル/
COM
ポートで発生できる簡単なトリガを使用できます。トリガ測定の設定
トリガ測定の設定には2
種類あり、どちらかの設定を行います。1
つは、マスタ・チャネルにトリガを設定し、マスタ・チャネル/ スレーブ・チャネルでデータをレコーディングする方法、もう1
つは、マスタ・チャネルにトリガを設定し、スレーブ・チャネル のみでデータをレコーディングする方法です。干渉源が明確で ない場合、2
チャネルのレコーディングは情報量が多く有益で すが、データ記録量が膨大になってしまいます。干渉の原因 が十分に理解できている場合、たとえそれが間欠的な現象で も、データ容量と解析時間の点で1
チャネルでのレコーディン グが効率的です。トリガ発生後の
2
チャネルの記録
ここでは、マスタ・チャネルは、中心周波数5.775 GHz
でスパ ンをモニタし、干渉の検出でトリガを発生して自身とスレーブ・ チャネルの記録を開始するように設定されています。レコーデ ィングごとにヘッダ・ファイルが作成され、ファイルには、トリ ガ・イベント発生時の時間が記録されます。このモードのトリ ガ・プロセスは複雑ではありません。予測される干渉信号の周 波数をマスタに設定すれば、測定帯域幅内で振幅トリガを設定 することができます。 一部のアプリケーションでは、トリガ・イベントの前に周波数ス ペクトラムで発生しているイベントを観測することが有益にな ります。各チャネルにプリ・トリガ遅延を設定すれば、トリガの 発生前に一部のデータをキャプチャできます(図4
)。実際の時 間はホストPC
のRAM
容量で制限されます。一般的には空きメ モリの75
%が使用可能です。プリ・トリガ遅延を設定して収集 する際は、空きメモリは連続リング・バッファとして構成され、 バッファが一巡した後は最も古いサンプルを上書きします。 キャプチャ・レコーディング(ストリーミング・モード)はAPI
で設 定できます。トリガ遅延の値を負の値にすればプリ・トリガ遅 延を設定できます。実際の遅延時間はメモリ容量に依存する ため、データの記録長がユーザが指定した時間長よりも短く なる可能性があります。 マスタ・トリガ 記録チャネル スレーブ・チャネル トリガ・チャネル マスタ・チャネル トリガ・イベント プリ・トリガ・データリガ デ タ コントローラの RAMバッファ ビデオ・トリガ/ 外部トリガ トリガ・イベント コントローラの RAMバッファ 9図5. マスタ・チャネルからの外部トリガのタイミングでスレーブ・チャネルのプリ・トリガ・バッファを使用すれば、 干渉イベントが実際に発生した瞬間からキャプチャが可能になります。
ソリューション(続き)
トリガ測定の設定
ここでは、マスタ・チャネル 4は、高周波側のバンドをモニタし、 干渉信号の検出時にスレーブ・チャネル 5(ここでは、中心周波 数は同一)にトリガ・コマンドを発生するように設定されていま す。この条件で収集を行うとデータの量が膨大にはならない ので、外部の記憶媒体の必要はなく、PC
内に保存が可能です。 また、検出された信号特性によってトリガ・パラメータを設定 するので、データ収集量が節約できます。 ここで、重要な注意があります。システムは、PC
がチェック するトリガ条件に依存しています。よって、マスタ・チャネル でデータ収集を行ってトリガ条件をチェックする時間と、スレ ーブ・チャネルに対してトリガ送信を行う時間との間の遅延を、 プリ・トリガで補償する必要があります。スレーブ・チャネルに 対するトリガ送信は、ソフトウェア・プログラム制御で外部トリ ガを発生できる測定器で行えます(図5
)。 レコーディング・チャネル 解析チャネル トリガ・イベント プリ・トリガ・データ 外部トリガ ビデオ・トリガ/ 外部トリガ コントローラの RAMバッファ データの収集 データの処理 処理時間<プリ・トリガ記録時間 である必要があります。 ? Y N 外部トリガは、プログラム制御でトリガ出力できる 装置であれば発生できます。 4. この例では、スレーブ・チャネルをレコーディング・チャネルとしています。 5. この例では、マスタ・チャネルをトリガ・チャネルとしています。結果
前述のように、ここで扱う問題は802.11ac
デバイスの開発時 に発生するものです。性能の問題は間欠的ですが、上記のシ ステム/プロセスを使用すれば、干渉信号がISM
バンドに存在 することがわかります。トリガ測定の設定
すべての802.11ac
デバイスをオフにした後、2
チャネルのデー タを長時間捕捉します。目的は、5.490 GHz.
∼5.815 GHz
で発生している定常信号と間欠的な信号のベースラインの全容 を捕捉することです。Agilent
のDataViewer
を使用して、レコーディング・データを スキャンすることができます。スペクトログラム表示で周波 数対時間、振幅対時間を表示すれば、さまざまな間欠的な信 号をクリアに表示できます(図6
は1
チャネルのみです)。無線LAN
のスペクトラム特性や時間特性に類似した信号がある一 方で、トランジェント・パルス・シーケンスやスプリアス搬送波信 号も見られます。 図6. DataViewerスペクトログラムで表示される802.11acの チャネル内の干渉信号 この後、DataViewer
でレコーディング・データの一部を切り取 り、X-COM
のSpectro-X
信号解析ツールキットで解析しまし た。図7
は、図6
と同じデータのスペクトラム残光表示です。こ のような全体像を利用することにより、外部要因を特定しや すくなります。 帯域内の信号のうち複数の周波数/振幅が、802.11ac
の伝送に 干渉する可能性があります。例えば、チャネル149/157/161
で20 MHz
帯域幅の無線LAN
信号の場合、チャネル149
とチャ ネル153
の間に40 MHz
帯域幅の802.11n
信号も存在する可能 性があります。 図7. Spectro-Xソフトウェアでキャプチャ・データの解析を行い、 他の無線LAN信号などの問題を表示できます。 図8. 残光表示で、802.11acの伝送に干渉する可能性のある トランジェント信号を表示できます。802.11ac
デバイスは他の無線LAN
信号との衝突を管理でき るようにデザインされているので、次に問題になる干渉源は、 振幅が低い無線LAN
以外の信号です。Spectro-X
ツールでは、 更新ごとに表示するデータや処理するデータの量を設定する ことができます。データ・サイズ、更新速度、残光度など、さ まざまな設定によって、大信号に埋没していたトランジェント 信号や低レベルの信号の検出が容易になります。図8
に例を示 します。バンド内のトランジェント波形の振幅は比較的小さい ですが、802.11ac
デバイスの伝送を劣化させる可能性が十分 にあります。 11結果(続き)
類似したインスタンスのタグ付け
詳細な解析を行うために、先に掲載したデータを表すI/Q
信号 をリファレンス・ファイルにコピーします。この信号は、データ・ レコード内で他の類似したインスタンスを検索するための基準 として使用されます。 ギガバイト(GB
)単位またはテラバイト(TB
)単位のレコーディ ング・データは、自動ツールを用いて検索するのが最適です。 幸い、Spectro-X
ツールキットは、このためにデザインされた 検索機能を搭載しています。20
%の信頼度をしきい値とした 検索によって、I/Q
信号に類似した信号が48
回発生している ことがわかります(図9
)。 図9. 検索結果のリストには、すべての信号相関について、 開始時間と信頼度レベルが表示されます。 図10. 周波数変移を表すスペクトログラム表示 検索結果内の個々のインスタンスを選択して、さまざまな 形式で表示することができます。例として、開始時間が133.710 ms
の相関データを、スペクトログラムで表示してい ます(図10
)。結果(続き)
図11. レコーディングされたスペクトラムのこのセグメントでは ノイズは最小で、802.11ac復調信号は良好です。干渉の影響の表示
チャネル内で周囲の雑音源/干渉源の特性評価ができたら、 次に、RF
環境で802.11ac
デバイスを動作させながら2
チャネ ル・レコーディングを行います。レコーディング・データの検索 結果から、特定の干渉信号が、数回、発生していることがわ かります。この部分を切り取って、89600 VSA
ソフトウェア の最新の復調機能を用いて解析しました。 結果を図11/
図12/
図13
に示します。3
種類の測定について、89600 VSA
ソフトウェアを使用して802.11ac
波形の復調と解 析を行いました。図11
は、雑音が最小で64QAM
コンスタレー ション(左上)も安定しています。高い平均スループットを実現 できる条件です。 図12
では、チャネルで予想以上に雑音が大きく、OFDM
トレ ース(上の真ん中)に搬送波が継続して見られます。搬送波の レベルが非常に低いため、スペクトラム・トレース(左下)には表 示されないことに注意してください。このような条件では、802.11ac
の送信は停止されませんが、高次変調方式を維持す る上で問題が生じます。その結果、平均データ・スループット が低下します。 最後に、図13
には広帯域の干渉信号が見られます。これによ って、OFDM
コンスタレーション(左上)に多くの歪みが生じ、OFDM
ベクトル・スペクトラム(上の真ん中)にも不要な周波数 成分が見られます。802.11ac
の伝送がオフになる兆候です。 雑音が多い条件でも802.11ac
デバイスは正常に伝送を継続で きましたが、低レベルの干渉信号によってデバイスの最大スル ープット性能は低下しました。最終的に、この解析で2
つの重要 な考察ができました。デバイスは正常に動作していること、ま た、問題の原因は製品デザインではなく外部にあることです。 図11. レコーディングされたスペクトラムのこのセグメントでは 図12. レコーディングされたスペクトラムのこのセクションでは ノイズは予想以上に多く、802.11ac復調信号にはいくつかの問題 があります。 図13. レコーディングされたスペクトラムのこの部分では、 広帯域の干渉信号と、その影響が示されています。 13ここに記載された手法で、間欠的な問題を解析するための課 題を
2
つ解決できます。1
つは取得データの取りこぼし、もう1
つは、効率的にポスト・プロセッシングを行いながら膨大な記 録データを解析できるツールに関する課題です。2
チャネル・シ ステムでは高周波/広帯域で間欠的な問題を捕捉/解析でき るので、新しいRF/
マイクロ波デバイスの開発時に発生する さまざまな問題のトラブルシューティングが容易になります。 また、連続的に長時間のデータをレコーディングし、チャネル 間の相関を詳細に解析する必要があるテストに、このシステム を汎用的に使用できます。システムを拡張して3
個以上のアナ ライザを搭載すれば、MIMO
や地理位置測定などのアプリケー ションにも使用できます。この場合、1
チャネル/2
チャネルの100 MHz
帯域幅のチャネルを同時にレコーディングするために は、2
チャネルPXI
ベクトル解析システムを、さらに1
セット追 加する必要があります。 マルチチャネル広帯域ストリーミング・ソリューションについて 詳細は、5991-0221EN
をご覧ください。まとめ
図14. M9018A 18シャーシ、M9392Aベクトル・シグナル・ アナライザ、M9021A PCIeケーブル・インタフェース、Y1202A PCIeインタフェース・ケーブル、Dell T5500デスクトップ(M9047A PCIe インタフェース・カード内蔵)の接続図。
デスクトップ・コントローラ(Dell T5500)
構成とオーダ情報
モデル
概要
M9392A
1PXI
ベクトル・シグナル・アナライザ:50 MHz
∼26.5 GHz
(2
チャネル・ソリュー ションには2
つのシステムが必要です)M9302A
PXI
ローカル発振器:3 GHz
∼10 GHz
M9360A
PXI
アッテネータ/プリセレクタ:100 kHz
∼26.5 GHz
M9202A
PXIe IF
デジタイザ:2 G
サンプル/s
1 GHz
、50 MHz
帯域幅ストリーミングM9202A-V10
PXIe IF
デジタイザ:100 MHz
帯域幅 ストリーミング・オプションM9361A
PXI
ダウンコンバータ:2.75 GHz
∼26.5 GHz
M9351A
PXI
ダウンコンバータ:50 MHz
∼2.9 GHz
M9300A
PXIe
周波数基準89601B
VSA
ソフトウェア89601B-200
ベーシック・ベクトル・シグナル・ アナライザ89601A-300
インタフェース・オプション89601A-AYA
ベクトル変調解析M9048A
PCIe
デスクトップ・アダプタM9021A
PCIe
ケーブル・インタフェースM9018A
18
スロットPXIe
シャーシY1202A
PCIe x8 Gen2
インタフェース・ケーブルSpectro-X
X-COM
信号検索ソフトウェアDell T5500
PC
ワークステーション (12 GB RAM
内蔵)JMR RAID
記憶 システム・ オプション1. AGIL-G4-DC-16T
またはAGIL-G4-DC-32T
2. Y1202A
インタフェース・ケーブル2
本 推奨構成 1. 100 MHz帯域幅のマルチチャネル・ストリーミングには、 12 GB RAM搭載のDell T5500を推奨します。ソフトウェア情報
関連情報
対応シャーシ・スロット:PXIe
システム・スロット サポートされている オペレーティング・ システムMicrosoft Windows
®XP
Microsoft Windows
®7
(32/64
ビット)Agilent IO
ライブラリ 内容:VISA
ライブラリ、Agilent Connection Expert
、IO
モニタ• White Paper
:Multichannel Wideband Streaming with the
M9392A PXI Vector Signal Analyzer
、カタログ番号5991-0221EN
•
アプリケーション・ノート:Capturing Events of Long Duration
or High Volume
、カタログ番号5990-7734EN
•
アプリケーション・ノート:M9392A PXI
マイクロ波ベクトル・シグナル・アナライザ(
RF
信号ストリーミング記録機能搭載)、カタログ番号
5990-8872JAJP
• White Paper
:Connecting and Configuring JMR RAID to Work
with the M9392A VECTOR SIGNAL ANALYSIS System
、カタ ログ番号5990-9483EN
•
製品カタログ:M9392A PXI
ベクトル・シグナル・アナライザ、 カタログ番号5990-6049JAJP
• Data sheet
:M9392A PXI vector signal analyzer
、カタログ番 号5990-6050EN
• Flyer
:Agilent M9392A PXI
ベクトル・シグナル・アナライザ、 カタログ番号5990-6051JAJP
•
アプリケーション・ノート:X-COM Interference test solution
、 カタログ番号5990-9243EN
• Symmetricom IRIG/GPS PCI Module
(
www.symmetricom.com/products/bus-leveltiming/
pci-express/
)
www.agilent.co.jp
www.agilent.co.jp/find/modular
www.agilent.co.jp/find/pxi-vsa-dualchannel
タングラム(組み合わせパズル)
本書に登場する四角形は、タングラムと呼ばれています。この7ピ ースのパズルは、数世紀前に中国で生まれました。その目的は、7 個のピースを使用して簡単な形状から複雑な形状まで、さまざま なシルエットを作成することです。タングラムと同様に、新しいテ スト・システムの作成には無限の可能性があります。Agilentの一 連のエレメント(アーキテクチャ、ハードウェア、ソフトウェア)を 使用すれば、簡単なシステムから複雑なシステムまで、必要なシ ステムを簡単に構築できます。PICMGおよびPICMGロゴ、CompactPCIおよびCompactPCIロゴ、AdvancedTCA およびAdvancedTCAロゴは、PCI Industrial Computers Manufacturers Groupの 登録商標です。"PCIe"および"PCI EXPRESS"は、PCI-SIGの登録商標です。 Microsoft、Windows、Visual Studio、Visual C++、Visual C#、Visual Basicは、 Microsoft Corporationの登録商標です。
テストの限界に挑む
Agilent
のモジュール計測器
myAgilentアジレント・テクノロジー株式会社
本社〒192-8510
東京都八王子市高倉町9-1
計測お客様窓口
受付時間9:00-18:00
(土・日・祭日を除く)TEL
■■0120-421-345
(042-656-7832)
FAX
■■0120-421-678
(042-656-7840)
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