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ソーラハイブリッド自動車のライフサイクルコスト * およびライフサイクル CO 2 の評価 ユーザ調査に基づく他車種との比較評価 1) 原卓也 2) 木村和峰 3) 工藤由貴 4) 佐藤彰倫 Techno-Economic Analysis of Solar Hybrid Vehicle - Com

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Vol.48,No.6,November 2017.

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た手と背中の局所快適感がその後維持できず減少に転じてい る. これは Zhang らの快適感推定によれば局所快適感は全身 温冷感に依存し, 手と背中は全身が暖かくなると局所的に涼 しいところで快適となるためである. これより, 補助ヒータ を一定温度制御ではなく細かく温調したり, HVAC と合わせ て最適化するロジックが必要となることが分かる. このよう, 乗員の温冷感/快適感を参照しながら制御ロジックを試 行でき, また, 温熱デバイスが消費するエネルギーも併せて 考慮することで効率的な制御ロジック開発につなげることが できる. 5.ま と め  本稿では補助温熱デバイスを含めた空調制御ロジックの検 討を可能にするため, シミュレーションで温熱環境や乗員温 冷感/快適感の評価を可能とするモデルを構築した. 温熱環境 は演算負荷の少ないコンパートメントモデルで記述すること で制御ロジックも含めたシミュレーションを可能とした. ま, 実験で得た乗員の温冷感申告値と対応付けることで温冷 感を推定可能にした. シミュレーションでは暖房の例を示し, 本稿で構築したモデルに妥当性があること, 乗員の温冷感/ 快適感や制御ロジックの動作, 温調エネルギーを確認しなが らロジック開発ができることを確認した.  これより, 実車実験に移行する前段階の設計フェーズにて, モデルを活用した机上での最適化や制御系設計が可能となり, 効率のよい制御ロジック開発につなげることができる. 構築 したモデルを利用した最適化や制御系設計については現在取 り組んでおり, 追って報告する. 参 考 文 献 (1) 郡逸平:EV 車におけるゾーン空調システムの可能性, 自 動車技術会シンポジウムテキスト, No. 1-12, p.1-6 (2012) (2) 大井元:シートヒータの使用による暖房エネルギ削減効果 の検討, 日産テクニカルレビュー, No.77, p.57-62 (2015) (3) 登坂淳, 宮下徳英:オートエアコン制御開発の効率化, カ ルソニックカンセイテクニカルレビュー,Vol.11, p.33-37 (2014) (4) 江崎秀範, 木滝泰隆, 尾関義一, 斉藤恒洋:温冷感・快適感 予測のための人体, シート熱モデルと車室内 CFD との連成解(第 1 報), 自動車技術会学術講演会前刷集, No.126-05, p.1-6, 20055706 (2005) (5) 江崎秀範, 高野茂喜, 植村健:温冷感・快適感予測のための 人体, シート熱モデルと車室内 CFD との連成解析(第 2 報), 自 動車技術会学術講演会前刷集, No.126-05, p.7-12, 20055707 (2005) (6) 久保田拓也, 渡辺亮:マルチゾーン空調システムのための モデルベースによるエネルギー消費と快適性の最適化, 自動 車技術会論文集, Vol.44, No.2, p.697-702 (2013) (7) 久保田拓也, 渡辺亮, 宮下徳英:自動車室内における乗員 への車室内長波放射と日射の影響, システム制御情報学会論 文誌, 第 23 巻, 第 6 号, p.115-127 (2010)

(8) J.A.J. Stolwijk : A Mathematical Model of Physiological Temperature Regulation in Man, NASA Report CR-1855 (1971) (9) 竹森利和, 中島健, 庄司祐子:人体熱モデルの開発, 日本機 械学会論文集B 編, Vol.61, No.584, p. 1513-1520, (1995) (10) K.C. Parsons:Human Skin Contact with Hot, Moderate and Cold Surfaces, Human Thermal Environments, CRC Press, p.409-444 (2014)

(11) S. Feher:Thermoelectric Air Conditioned Variable Temperature Seat (VTS) and Effect Upon Vehicle Occupant Comfort, Vehicle Energy Efficiency, and Vehicle Environmental Compatibility, SAE Technical Paper 931111 (1993)

(12) E.C. Chan, G. Karimi, D. Rose, J.R. Culham:Mechanical-thermal simulation of passenger-loaded vehicle seat in severe winter conditions, SAE Technical Paper 2004-01-1507 (2004)

(13) P.O. Fanger:Thermal Comfort, McGraw-Hill New York (1972) (14) ISO14505-2 : Ergonomics of the thermal environment - Evaluation of thermal environments in vehicles - Part 2: Determination of equivalent temperature (2006)

(15) A.P. Gagge, A.P. Fobelets, L.G. Berglund : A Standard Predictive index of human response to the thermal environment, ASHRAE Trans. Vol. 92, Part 2B, p.709-731 (1986)

(16) 今井健二郎, 片岡拓也, 増田貴文, 稲田智洋:車室内温熱

環境の新評価手法の開発, 自動車技術会論文集 Vol. 43, No. 2,

p.281-286 (2012)

(17) H. Zhang, E. Arens, C. Huizenga, T. Han:Thermal Sensation and Comfort Models for Non-Uniform and Transient Environments Part I~Part III, Building and Environment, Vol. 45, Issue 2, p.380– 410 (2010)

Fig.12 Thermal sensation and comfort Fig.11 Blower fan voltage and consumed power

ソーラハイブリッド自動車のライフサイクルコスト

およびライフサイクル

CO

2

の評価

―ユーザ調査に基づく他車種との比較評価―

原 卓也1) 木村 和峰2) 工藤 由貴3) 佐藤 彰倫4)

Techno-Economic Analysis of Solar Hybrid Vehicle

- Comparative Analysis of Lifecycle Cost and Lifecycle CO2Based on User Survey

-Takuya Hara Kazutaka Kimura Yuki Kudoh Akinori Sato

This study aims at evaluating economic and environmental benefits of Solar Hybrid Vehicle (SHV) by comparing other types of vehicle, such as internal combustion engine vehicle, hybrid vehicle, plug-in hybrid vehicle (PHV) and battery electric vehicle. Three different types of SHVs (SHVS, SHVM and SHVL) with varying photovoltaic panel (PV) size and battery were considered. The settings of cost and energy efficiency of each vehicle are based on assumed technology level in 2030. Our findings suggest PHVs to be the most cost effective option for the reduction of CO2

emissions. Next to PHVs, SHVs were evaluated as one of the most cost-effective vehicles among a wide range of users for the reduction of CO2 emissions.

KEY WORDS: Environment・Energy・Resources, New energy, Life cycle management, Solar Hybrid Vehicle (D2)

1.ま え が き

自動車由来のCO2排出量を削減していくことは自動車産業

に求められる重要な課題である.外部充電型の自動車(Plug-in

electric vehicle, PEV)はその課題に対応する有望な技術と考え

られているが,その有効性は利用する電力のCO2原単位に大

きく依存する.例えば石炭火力発電由来の電力を利用する場

合にはむしろCO2排出を増加させてしまう可能性が大きい(1).

通常のハイブリッド自動車の車体表面に太陽電池を搭載し

たソーラハイブリッド車(Solar Hybrid Vehicle, SHV)は,CO2

排出ゼロの電力を利用する新しいタイプの電気自動車となり 得る.SHV はまた日々の充電が不要であるという点で,利便 性の面でもPEV に対して優位性を持ちうると考えられる.た だし実環境での SHV の優位性は,日射や一日走行距離など 個々のユーザによって異なる条件に依存するため(例えば車 の受光量は居住地域の違いのほか,ガレージの有無でも異な る),ユーザの多様性を考慮することが評価に不可欠となる. これまでSHV についての研究はいくつかあるが(2)(3),多様な 使用環境を考慮して他車種との比較評価を行ったものはない. そこで本研究では,SHV の経済性,環境性(CO2削減効果) を,ウェブ・アンケート調査により得た詳細なユーザデータ (一日走行距離・受光量)に基づき,他車種(複数のPEV を 含む)との比較を通じて評価することを目的とする.筆者ら の既往の研究では,SHV について,1 種類の太陽電池(PV)・ バッテリサイズで評価したものがある(4).またカリフォルニア を想定した条件での評価もある(5).本論文では,PV・バッテ リサイズ大・中・小の3 種類を考慮し(大が既報(4)のサイズに 相当),日本を想定した条件のもと,比較評価した結果を報 告する. 2.データ 対象とする自動車のセグメントはコンパクトカーを想定し た.考慮する車種は,ガソリンエンジン車(ICEV),ハイブ リッド車(HV),プラグインハイブリッド車(ただしバッテ リ容量の小さいPHVS と容量の大きい PHVL の 2 種),電気 自動車(EV),3 種の SHV,の 8 車種とした. SHV については PV 搭載量とバッテリ量が異なる 3 種を考 慮した.コストや燃費は,2030 年に想定される数値を各種将 来見通しの資料を参考に設定した.各種前提条件の設定方法 の基本的な考え方は既報(4)と同じである. 2.1. 車種別設定 車両コストは,米国エネルギー情報局(EIA)のエネルギー 見通し(6)に基づく2030 年の コストデータを利用した.ただし そのコストデータをそのまま採用したのはICEV のみで,それ 以外の車種のコストはHV コストをベースとして搭載バッテ *2016 年 4 月 6 日受理.2016 年 10 月 19 日自動車技術会秋季学 術講演会において発表. 1)(株)豊田中央研究所(480-1192 愛知県長久手市横道 41-1) 2)・3)・4) トヨタ自動車(株)(410-1193 静岡県裾野市御宿 1200)

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自動車技術会論文集 リ量に応じて設定した.為替レートは1 ドル=100 円を用いた. 車両・バッテリのCO2排出量は米国アルゴンヌ国立研究所 が構築した自動車環境負荷評価モデルGREET(7)による評価値 を参考に設定した.車種別の燃費のうち,ICEV と HV につい ては EIA のエネルギー見通し(6)の値を用いた.EV の電費は EIA の値が低めと判断し,別途設定した.PHV の燃費・電費 は,Charge depleting モード(CD モード,あるいは EV 走行モ ード)とCharge sustaining モード(CS モード,あるいは HV 走行モード)の燃費がそれぞれEV,HV に等しいものとした. CD モード走行距離はそれぞれバッテリ搭載量に比例すると し,搭載量の 80%が利用可能電力とした.実際には燃費,電 費は車両重量の影響を受け,車重に違いがあるPHVS,PHVL, SHV では電費に違いが生じるはずであるが,重量については 搭乗人員・荷物等でも変動があることなど,バッテリ重量の 差以上に使用形態での差が大きいと考え,ここではその差を 無視して扱えるものとした.CD モードでも一定のガソリン消 費がある制御方式がとられる車もあるが,ここでも簡単のた めCD モードは充電電力のみによる走行と扱うこととした. SHV は,PHV に PV を搭載した車両を想定し,コスト・CO2 はPV 分を加えることで設定した.バッテリ・PV の搭載量に 応じ,車両コスト・車両CO2を設定した.バッテリのコスト は2.5 万円/kWh,CO2排出量は48.9 ㎏ CO2/kWh とした.搭載 する太陽電池(PV)のコストは 15 万円/kW,変換効率は 0.25 とした. PV 製造に起因する CO2排出量は1.5tCO2/kW とした. これはNEDO 報告書によるライフサイクル CO2排出量評価値 に基づく(8). SHV の概要図を図 1 に示す.PEVs および SHVs の設定を表 1 に示す.考慮する車種の車両コスト・車両製造由来の CO2 排出量の設定値を表2 に,燃費・電費の設定を表 3 に示す.

Fig.1 Conceptual image of solar hybrid vehicle Table 1 Settings of PEVs and SHVs

Engine Motor Battery CD mode

range PV module kW kW kWh (gross) kWh (net) km W m 2 PHVS 73 60 5 4 40 - -PHVL 73 60 20 16 160 - -EV 0 113 50 40 400 - -SHVL 73 60 5 4 40 1000 4 SHVM 73 60 2.5 2 20 500 2 SHVS 73 60 1.25 1 10 250 1

Table 2 Settings of vehicle cost and CO2 emissions

Vehicle cost(104 yen) Vehicle CO 2(tCO2) ICEV 234.0 7.3 HV 244.8 7.9 PHVS 254.0 8.0 PHVL 291.5 8.7 EV 343.8 10.0 SHVL 269.0 9.5 SHVM 255.3 8.6 SHVS 248.4 8.2

Table 3 Setting of energy efficiency

Fuel eff. /CS mode Elec. eff. /CD mode

km/L MJ/km km/kWh MJ/km ICEV 23.3 1.43 -HV 31.2 1.06 -PHVS 31.2 1.06 10.0 0.36 PHVL 31.2 1.06 10.0 0.36 EV - - 10.0 0.36 SHVL 31.2 1.06 10.0 0.36 SHVM 31.2 1.06 10.0 0.36 SHVS 31.2 1.06 10.0 0.36 2.2.エネルギー設定 ガソリン,電力および水素のコスト・CO2は表4 のように 設定した.ガソリン・水素のCO2原単位はGRRET(7)に基づき 設定した.電力のCO2原単位は2008 年の日本の平均電源構成 (原発比率26.0%含む)と各電源のライフサイクル CO2原単 位(9)を用いて得られた平均の電力CO2原単位を用いた.

Table 4 Settings of energy cost and CO2 intensity

Cost CO2 intensity

yen/(L, kWh) yen/MJ kgCO2/(L, kWh) gCO2/MJ

Gasoline 150 4.52 3.05 91.9 Electricity 20 5.56 0.51 141.8 2.3.ユーザ調査に基づく走行距離需要と受光量 日本の乗用車主運転者を対象にウェブ・アンケート調査を 実施した.都道府県別乗用車保有台数比率に沿うように都道 府県別の調査対象数を調整し,5000 台分の回答を得た.調査 内容は,平日・休日一日当たりの平均走行距離,過去一年間 の遠出(片道100km 以上)回数と片道走行距離,居住地,平 日・休日の所有車両の日当たり状況,である. 日当たり状況についての具体的質問は「あなたが主に運転 している車の平日(直近の晴れの日)の保管場所と,その場 所で車の屋根に直射日光が当たっているかどうか(日向か日 陰か)をお答えください.*車で移動時間中は,日向でカウ ントしてください(30 分以上の場合).*屋根の半分以上に 日光が当たる場合は日向を選択してください.カーポート(茶 色のガラス屋根等)の透過光が当たる場合は日陰を選択して ください」というもので,6 時から 19 時まで 1 時間ごとの日 当たり状況について回答を得た. 日射量は,気象庁が公開している全国48 観測地点の 2013

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年の10 分毎水平全天日射量データ一年分を用いた.居住地に 最も近い観測地点の日射量データと,日当たり状況のデータ を掛け合わせて,車の太陽光受光量365 日分を推定した. 走行距離については,平日・休日・遠出の3 パターンの回 答をもとに,365 日分の一日走行距離を推定した.なお一日走 行距離分布からもとめた5000 台の年間走行距離分布を道路交 通センサスのデータと突き合わせ,よい一致が見られること を確認している(10). 以上により,5000 台の一日走行距離と車の太陽光受光量デ ータ(ともに5000 台×365 日分)を作成した.以後,このデー タセットを,ユーザの一日走行距離・受光量パターンとよぶ こととする. 2.4.受光量と PV 発電による電力利用可能量 一日受光量S(kWh/m2/日)と,S を受け変換効率 0.25,面A(m2)のPV で発電して,最終的に利用可能となる電力 利用可能量S'(kWh/日)の関係は,次式で表されるものとし た. ܵᇱൌ ܵ ή ͲǤʹͷ ή ܣ ή ͲǤͻͳ ή ͲǤͻͷ ή ͲǤͻͲ ή ͲǤͻͷ െ ͲǤͳʹ ൌ ͲǤͳͺͶͺ ή ܵ ή ܣ െ ͲǤͳʹ (1) ただし第一式右辺の各係数は,PV 温度上昇による平均損失0.91),パワーコントローラによる損失(0.95),DC/DC コ ンバータによる損失(0.90),バッテリの充放電による損失0.95),およびバッテリのエネルギー制御ユニットによる電 力内部消費(0.12kWh/日)を考慮した変換効率である. 3.ライフサイクルコスト・CO2の比較 2 章で設定したデータを用いて,各ユーザ・各車種のライフ サイクルコスト(LCC)・CO2LCCO2)を計算する.各車種・ 各ユーザのLCC は次式で計算される(ただし PHV,SHV を 除く). ܥ௜௝ൌ ܫ௉௜൅ ܮ௝ܧ௜ܲ௙௨௘௟ܴ (2) ここでܥ௜௝は車種݅,ユーザ݆の LCC である.ܫ௉௜は車両コスト (表2),ܴは年金現価係数(資本回収係数の逆数),ܮは年 間走行距離,ܧは車種݅の燃費(MJ/km)(表 3),ܲ௙௨௘௟は車 種݅に対応するエネルギーの価格(表 4)である.ここで,車 両コストの係数となっている資本回収係数(年金現価係数ܴの 逆数)は,割引率ݎ(ここでは年率 20%の値を採用)を考慮 したうえで初期投資(ここでは車両コストܫ)を使用期間ܶ(こ こでは 12 年を採用)で均等化するための係数であり, ݎ௬ൌ ͲǤʹǡ ܶ ൌ ͳʹでܴ ൌ ͶǤͺ͹である(4.87 年分の使用コストを 考慮したことに相当). PHV と SHV については,一日の CD モード走行と CS モー ド走行の双方を考慮する必要があるため,次式で表される. ܥ௜௝ൌ ܫ௉௜൅ ܴ ෍ ሼ‹ሺܮ஼஽೔ೕೖǡ ܮ௞௝ሻ ଷ଺ହ ௞ୀଵ ܧ஼஽௜ܲ௘൅ ሺܮ௞௝ െ ‹ሺܮ஼஽೔ೕೖǡ ܮ௞௝ሻሻܧ஼ௌ௜ܲ௙ሽ (3) PHV,SHV とも,はじめに CD モード走行し,一日の走行 距離需要ܮ௞௝CD モード走行可能距離ܮ஼஽ ೔ೕೖ以上の場合は, 残りの距離をCS モードで走行するものとする.CD モード走 行可能量は,PHV ではバッテリの容量ܤで規定される(毎日 満充電状態からスタートするものと仮定)のに対し,SHV で は前日のバッテリ残量ܤௌு௏ ೔ೕೖషభと当日の電力利用可能量ܵԢ௜௝௞ から決まるものと仮定する(ただし満充電状態ܤௌு௏ ೔が最大 値).そのためܮ஼஽ ೔ೕೖはPHV ではユーザ ݆,日番号݇によらな い(ܮ஼஽ ೔ೕೖൌ ܮ஼஽೔ ൌ ܤ௜Ȁܧ஼஽೔)が,SHV ではユーザ݆,日番号 ݇によって異なる値となる(式(4),(5)参照). ܮ஼஽೔ೕೖ ൌ ቊ ܤ௜Ȁܧ஼஽೔ ሺ݅ ൌ ܲܪܸܵǡ ܲܪܸܮሻ ܤௌு௏೔ೕೖȀܧ஼஽೔ ሺ݅ ൌ ܵܪܸܮ̱ܵܪܸܵሻ (4) ܤௌு௏೔ೕೖൌ ‹൫ܤௌு௏೔ೕೖషభ൅ ܵԢ௜௝௞ǡ ܤௌு௏೔൯ (5) LCCO2を表すܦ௜௝は式(6)で計算される.ここで,車両 CO2 排出量ܫ஽௜を除す係数は,コストにおける資本回収係数に対し て,使用期間ܶとした.ܨ௙௨௘௟は車種݅に対応するエネルギーの CO2排出原単位である.この原単位は直接燃焼に由来するも のに加え,燃料製造に起因する分も含むためWell to Wheel の 原単位となる(表4 参照). ܦ௜௝ൌ ܫ஽௜൅ ܮ௝ܧ௜ܨ௙௨௘௟ܶ (6) PHV,SHV についての定式化は LCC と同様であるので略す. LCC・LCCO2と年間走行距離の関係を図2 に示す.LCC で は1 万 km 以下では ICEV,1 万 km 以上では PHVS が最小と なっている.LCCO2では年間走行距離が2 万 km 以下では, PHVS や SHVL,2 万 km 以上では PHVL や EV が最小である. なおPHV や SHV は同一年間走行距離でも幅があるが,こ れは,同一の年間走行距離でも一日走行距離の分布の違いや 受電量の違いにより,CD・CS モードの走行距離比が異なり, それにより LCC・LCCO2も異なるためである.また LCCO2SHV3 種だけをみると,同一の年間走行距離で SHVL が最 も幅が大きく,SHVS は最も幅が小さい.この幅の差は,太陽 エネルギーを利用できるポテンシャルの差による.

Fig.2 Comparison of life cycle cost and life cycle CO2

ユーザにより,一日走行距離と受光量のパターンが異な るため,同一年間走行距離でも CD モード走行距離が異な ることがわかった(なお総走行距離に占める CD モード走 行距離の比はUtility factor(UF)とよばれる).次に,各 PHV, SHVの UFおよび CDモード走行距離の分布を図 3に示す. わかりやすくするため,各車種について降順に並べ替えて

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自動車技術会論文集 示している. SHV で UF がゼロのユーザが約 20%いるが,これは常に車 が日陰にいるという回答がこれだけの割合あったためである. SHVL で最長約 1 万 km,多くのユーザが数千 km の CD モー ド走行が可能であることがわかる.

Fig.3 Distribution of UF and CD mode mileage 4.最適化モデルによる解析 4.1.モデル 3 章では,各ユーザについて各車種を使用した場合の LCC・ LCCO(2 ���� ��� )を求めた.4 章では,各ユーザの LCC・LCCO2 の総和である総LCC および総 LCCO2を目的関数とする多目 的線形計画モデルを構築し,ユーザに応じた車種の組み合わ せ(車種構成)と総LCC・総 LCCO2の関係を解析する. 総LCC・総 LCCO2はそれぞれ式(7),式(8)で表される. ������ � � ������ � � (7) ����� � � � ����� (8) 制約条件は式(9),式(10)で表される.式(9)は各ユーザが車 種を一つ選択することを保証するための制約である.また式 (10)は,EV の導入制約であり,一日でも EV の航続距離����� を超える走行距離需要があるユーザ �については EV は導入さ れないというものである. � ���� � � �� � ���� � ������ (9) ����� � �� ���� ����� �� � ���� � ������ � � ���� � ����� (10) 4.2.CO2価格導入による一般化コスト最小化 目的関数を式(11) として,CO2価格を徐々に上昇させた場 合の最適車種構成と,そのときの総LCC,総LCCO2を求めた. ����� ������ �������� (11) ただし���は一般化コストであり,式(11)は,「一般化コス ト=総LCC+CO2価格×総 LCCO2」を表している.これにより CO2削減において費用対効果の高い車種構成の変化を求める ことができる.結果を図4,図 5 に示す.4 の曲線は総 LCC・総 LCCO2の効率的フロンティア示し ている.効率的フロンティアは,異なるCO2価格のもとでの 一般化コストを最小化することで得られ,総LCC・総 LCCO2 の達成可能な組み合わせの境界を表すものである(コストと CO2のトレードオフ関係でもある).この曲線より左下の領 域は達成不可能である.コスト最小(�� �� �)での総 LCC・ 総LCCO21 として正規化した目盛りで表している.LCCO2について,コスト最小に比較してCO2最小では約 20%小さい.これが車種構成を変化させることによる CO2削 減ポテンシャルといえる.CO2価格が1,2,10 万円/tCO2時の CO2削減量は,CO2削減ポテンシャルに対してそれぞれ約36%, 54%,91%となった.CO2価格をこれ以上高くしても,CO2削 減量はそれほど増えず,これ以上の削減は費用対効果が低い と評価される. なお本研究では,CO2価格をCO2削減の費用対効果の相対 的な大小関係を表す指標として用いていることに注意された い.複数の技術のCO2削減費用対効果を比較する場合など, 異なる研究の異なる前提条件における結果を単純比較しても, 現実的に意義のある知見が得られないことには留意する必要 がある(CO2削減費用の計算結果は前提条件によって大きく 異なってくるため).なお本研究では割引率を20%と高く取 っているために,割引率3~5%程度で評価する研究に比べると 削減費用が高めに出ることになる.

Fig.4 A map of total life cycle cost and total life cycle CO2

5 は,効率的フロンティア上の点に対応した車種構成を 示している.コスト最小解では,7 割超が ICEV,残りの大部 分をPHVS が占め,SHVS もわずかに導入された.コスト最 小解からCO2価格が増加するにつれて,ICEV の割合が減り, PHVS,SHVS,SHVM の割合が増えた.SHVL は CO2価格10 万円/tCO2で最適解に登場するようになった.CO2最小解では, PHVS,PHVL,SHVL,SHVM,SHVS がそれぞれ 10~20%程 度ずつ,EV が 5%程度導入される解となった. SHV3 種について比較すると,CO2価格が低い段階(0~1 万円/tCO2)ではSHVS の方が導入が優先されるという結果が 得られた.これは言い換えると,PV およびバッテリ搭載量が 小さい車種の方がCO2削減の費用対効果がよい車種であると いうことである.これは,一日走行距離の最頻パターンが 10km 程度以下のユーザが一定程度存在し,そのようなユーザ にとってはSHVS 程度のスペック(フル充電時 10km の EV 走 Cost minimum CO 2 minimum Carbon Price (104 yen/tCO 2) 1 2 10 ∞ Infeasible region Feasible region 0

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行が可能)で最も効果的にCO2削減が可能であるためと考え られる. CO2価格がやや高い段階(2~10 万円/tCO2)では,SHVM やSHVL のシェアが SHVS より大きくなった.これは,SHVMSHVL が SHVS よりコストは若干高いが(図 2a),走行距 離が長いユーザにはCO2SHVS よりかなり小さくなる(図 2b)ためである.CO2をより多く削減する,あるいはより高 いCO2価格のもとでは,SHVM や SHVL が優位となるケース も多いということがわかる.

Fig.5 Vehicle mix for each case

コスト最小,CO2最小およびCO2価格3 ケースでの車種構 成解について,年間走行距離帯別の内訳を図6 に示す.コス ト最小解からCO2最小解にむかっての車種構成解の変化にお いては,走行距離が長い領域から更新が進むことがわかる. SHV についても,SHVS がより短距離帯,SHVM が中距離帯, SHVL が長距離帯で導入されることがわかる.

Fig.6 Breakdown of vehicle mix in each vehicle mileage traveled class for each case

4.3.PEV 導入制約時の総 LCC・総 LCCO2および車種構成 4.2.ではコストおよび CO2についての最適車種構成を求め, PHVS や PHVL が大きな割合を占めるという結果が得られた. 現実には,PHV や EV など PEV の普及は,充電インフラの普 及や充電時間等,充電に関する利便性の度合いに強い制約を 受ける可能性が考えられる.既報(4)では充電の必要性を利便性 に対するコストとして考慮した場合の最適車種構成を求めた. 本論文ではより極端な場合として,PEV を考慮対象の車種か ら外した場合の最適車種構成およびその時の総 LCC・総 LCCO2を求めた.なおこれは,最適解付近の解の多様性(総 LCC・総 LCCO2には大差がないが,導入車種が大きく異なる 解が存在する場合)を調べることにも対応している(11).結果 を図7,図 8 に示す.PEV が利用できない場合,コスト最小 解における総LCCO210%近く増加した.CO2価格の上昇に よりSHV のシェアは大きく増加し,総 LCCO2も減少してい く結果となった.この結果より,PEV の普及が何らかの要因 で進まない場合に,SHV は費用対効果高く CO2削減を進める ことを可能とする車種となることがわかる.

Fig.7 A map of LCC and LCCO2 under the condition that PEVs

are excluded

Fig.8 Vehicle mix under the condition that PEVs are excluded 4.4.最適車種の決定条件 最適車種の決定条件を,コスト最小解では年間走行距離, 年間受光量およびPHVS の UF の 3 要素で,CO2最小解では年 間走行距離と年間受光量の2 要素で説明するグラフを図 9,図 10 に示す.各点は 5000 ユーザのいずれかに相当し,そのユー ザにとっての最適車種を色・形の異なるマーカで表している.

Optimal solutions under the condition that PHVs and EV are excluded

Cost minimum CO 2 minimum Carbon Price (104 yen/tCO 2) 1 2 10 ∞ Infeasible region Feasible region 0 1 2 10 0 ∞

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自動車技術会論文集

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自動車技術会論文集9 からは,コスト最小解では年間走行距離およそ 1 万 km 以下でICEV,1 万 km 以上では PHVS および HV がおおむね 最適車種となることがわかる.図9a より 1 万 km 以上での最 適車種はPHVS の UF 値(ただし年間走行距離に依存)が一 定以上でPHVS,以下で HV に分かれることがわかる.また受 光量が800kWh/m2/年を超えるユーザのいくつかで SHVS が最 適となっている(図9b).必ずしもその領域の全員が PHVS あるいはSHVS で最適とならないのは,異なる一日走行距離 のパターンによりCD モード距離が異なり,それによりエネ ルギーコストが異なるためである. 図10 からは,CO2最小解での最適車種決定条件が見て取れ る.年間走行距離がおよそ1 万 km より長い場合には PHVL あるいはEV が最適,それより短い場合には受光量で区別され ることがわかる.受光量がおよそ500kWh/m2/年より大きい場 合にはSHVS~SHVL が最適となる.SHV 内の最適解は,走行 距離が短い方からSHVS,SHVM,SHVL の順で最適となる.

Fig.9 Positions of cost minimum vehicle type

Fig.10 Positions of CO2 minimum vehicle type

5.ま と め 本研究では,PV・バッテリサイズが異なる 3 種の SHV と ICEV,HV,PHV,EV について,コストおよび CO2の観点で 比較評価を行った.PHVS はコスト最小の車種構成解で長距離 ユーザにとって最適車種となり,またCO2価格が低い段階で はより短距離のユーザにとって最適車種となることから,CO2 削減の費用対効果の大きい車種と評価された.SHV は PHVS に次ぐ位置づけと評価された.またPEV の普及が何らかの要 因で進まない場合に,SHV は費用対効果高く CO2削減を進め ることを可能とする車種となることがわかった. 異なるPV・バッテリ搭載量の SHV について,最適車種は, 前提条件(想定したコスト・燃費,およびユーザの一日走行 距離・受光量パターン等)とLCC・LCCO2のバランス(CO2 価格の高低)に依存するが,年間走行距離が短くCO2価格が 低い場合にはPV・バッテリサイズが小さいタイプ(SHVS) の方が優位,年間走行距離が長く CO2価格が高い場合には PV・バッテリサイズが大きいタイプ(SHVM,SHVL)が優 位となるという結果が得られた. 参 考 文 献

(1) Huo, H., et al.: Environmental Implication of Electric Vehicles in China, Environmental Science & Technology, Vol.44, p.4856-4861 (2010)

(2) Arsie, I., Rizzo, G., and Sorrentino, M.: Optimal Design and Dynamic Simulation of a Hybrid Solar Vehicle, SAE Technical Paper 2006-01-2997 (2006)

(3) Spina, M.A., et al.: Some Issues on the Design of a Solar Vehicle Based on Hybrid Energy System, International Journal of Energy Engineering, Vol.2, No.1, p.15-21 (2012) (4) Hara, T., et al.: Techno-Economic Analysis of Solar Hybrid

Vehicles Part2: Comparative Analysis of Economic, Environmental, and Usability Benefits. SAE Technical Paper 2016-01-1286 (2016)

(5) 原卓也ほか:ソーラハイブリッド自動車の経済性と

CO2削減効果,第33 回エネルギーシステム・経済・環

境コンファレンス講演論文集,p.433-438 (2017)

(6) U.S. Energy Information Administration: Annual Energy Outlook 2015 (2015), http://www.eia.gov/forecasts/aeo/ tables_ref.cfm (2016.7.21 accessed)

(7) Argonne National Laboratory: GREET 1 and GREET 2 (2015), https://greet.es.anl.gov/ (2016.7.21 accessed) (8) みずほ情報総研株式会社:太陽光発電システムのライ フサイクル評価に関する調査研究, 平成 19~20 年度 NEDO 委託業務成果報告書 (2009) (9) 今村栄一,長野浩司:日本の発電技術のライフサイクル CO2排出量評価‐2009 年に得られたデータを用いた再 推計‐,電力中央研究所報告Y09027,(2010)

(10) Kimura, K., et al.: Techno-Economic Analysis of Solar Hybrid Vehicles Part 1: Analysis of Solar Hybrid Vehicle Potential Considering Well-to-Wheel GHG Emissions, SAE Technical Paper 2016-01-1287, (2016)

(11) 原卓也,志賀孝広:車種構成最適化モデルの挙動解析,

エネルギー・資源学会論文誌,Vol.33,No.2,p.61-70

Table 1 Settings of PEVs and SHVs
図 5 は,効率的フロンティア上の点に対応した車種構成を 示している.コスト最小解では, 7 割超が ICEV,残りの大部 分を PHVS が占め,SHVS もわずかに導入された.コスト最 小解から CO 2 価格が増加するにつれて, ICEV の割合が減り, PHVS,SHVS,SHVM の割合が増えた.SHVL は CO 2 価格 10 万円 /tCO 2 で最適解に登場するようになった. CO 2 最小解では, PHVS,PHVL,SHVL,SHVM,SHVS がそれぞれ 10~20%程 度ずつ, E

参照

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