公法判例研究一〇 優生保護法第二八条違反の罪
の成立を認めた事例
著者
高木 武
雑誌名
東洋法学
巻
13
号
1
ページ
135-144
発行年
1969-09
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00006131/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja判例研究
公法判例研究
一〇 優生保護法第二八条違反の罪の成立を認めた事例︵諜諏鞭離繁諜羅毒鑛鷺彫毯魂講贈窒輪龍袈号︶
︻事実︾ 麻薬取締法違反の事実を除いて、優生保護法違反の事笑のみの性転換手術を中心にして示せば、事実はつぎのようであ る。 被告人X︵薩騨入︶は、昭和三九年五月、A︵覇塒一一︶に対し、同年ご月、B︵覇備一㎜︶とC︵哨描一︶に対し、睾丸摘出、陰茎切除、外陰部 整形と造膣の手術を行った。A・BとCは、いずれも生物学的には男性である。 ︻判旨︾ 判旨は、優生保護法違反については、性転換手術の評価を中心とし、同法第二八条の舎憲性︵磁融聯;鱗︶、同条の規定 の解釈と犯意について示めされているが、ここでは問題の多いと考える性転換手術・診察について示すことにする。 本件の受術者は、性転向症︵霞き霧巽奏房躍︶と推認するが、性転換手術という場合、半陰陽に対するのでなく、専ら性的倒錯者を 対象とし、肉体を反対の性のそれに類似させるための手術を指すことがある。わが国では性転換手術に関する特別の制度︵鍛費︶もな く立法措置もない。性的倒錯者の対象は、真性同性愛ないし性転向症者であるとされているが、後者には、精神科的接近は、ほと んど絶望的であるから、 一応性転換手術が治療方法として考えらる。しかし、性転換手術を医療として直ちに肯定しない医師が多 く、社会的倫理的批評のほかに医学上の批評もある。性転換手術は、次第に医学的にも治療方法として意義を認められつつある公法判例研究 二二五
申果 悌伴 法 誉ず 一三六 が、正常な肉体を外科的に変更し、不可逆的手術であるから、 一定の厳しい前提条件ないし適応基準が必要であるはずである。現 段階においては、こうした基準を逸脱している場合は、治療行為としての正当性をもつことはできない。性転換手術が法的にも正 当な医療行為として.評価されるには、 つぎのような条件が必要である。 ④術前の精神医学ないし心理学的検査と一定期間の観 察 ㊥当該患老の家族関係、生活史や将来の生活環境の調査 ㊦手術の適用の決定は精神科医を混えた専門を異にする複数の医師 によること e診療録はもちろん調査、検査結果などの資料の作成と保存 ㊦手術の限界と危険性を十分理解する患者に対Lのみ 行い.本人の同意は勿論、配偶者のある場舎は配偶者の、未成年者の場合は、一定の保護者の岡意をうること。ところが本件の各 、、、、、多くの点で、この条件に適禽しないから.正当な医療行為として認容することがでぎない、 ︻研究凝 一 判旨には疑間がないとはしない、本件判決は.第一審のそれであり、とりあげて研究するには不適当 曽、あるかもしれない.しかし優生保護法第二八条の適購としては.最初の事例であり&騰難継徽滅遜℃㎏摺︶︶、基本 的間題も含まれているようであウ.ここにとりあげるごとにする。性転換手術が診療であるかどうかが基本的な間題 であるように思われるから.診療について考察し.性転換手術に対する判旨の評価に言及することにする。 H 診療の適法性 診療は.医師が行う医療であるとすれば判旨や一般において医療とされる書葉と同義であり ︵壌蘇躰稚鵬限瀦譲網噸欝魏曙議蹴躰灘麟織噸聯齢購衛畑璽蠣㎜謎㌃︶、治療に限定する場合、治療・治療行為︵響ま①ざ&一蓉σq・9暴ぼ魯 9富薦蟹εということができる。診療は.診察︵駐讐・。 肇膏︶と治療︵霞鼠霞窪帥︶であるが、人の身体に影響を及ぼし. またはそのよらな手段・方法からなりたっている︵断畷か灘灘隷辮騨嘘齪雄嫉尻諒鵠凱鏑諺ポ聚等︶。診療が.人の身体に対し て影響を及ぼすとみられる典型的例は.人体に対する侵襲︵囲薦象顔≧蚤濤︶・手術、薬剤の投与、注射.X線や放 射線の照射などである。その行為・事実︵艀漱.︶そのものは、刑法の暴行、身体侵害、監禁などの罪の構成要件にも当り.
危険でもある。実定法やその規定の解釈は、その対応を示している、ともいえよう︵酬灘︵臨廉滋凍難陛醗鹸庵灘懇蝦郷購雌嚥 蟄︶︶。 診療は、刑法においては刑法第三五条︵法令による行為と正当業務行為︶と刑法第三七条︵緊急避難など︶によっ て解釈されようとしている︵糀馴嚇雌臨礁謙髄撚醜鋤鮒齢難罐ぽての擁織鋪亭﹄融榊塒躍蹄脳滋騰螺弛碍餅鉱題︶が︵熊鄭郊講職鞭醗鍬灘醗礪騨鰍邪誘鵡臥畷︶、 しかし、刑法第三七条によって解釈することは、診療は局限的でしか認められず、あまり厳格すぎる憾みがあるから この説によることはできない。したがって通説的に刑法第三五条の解釈として考察することにする。診療の行為・事 実の違法阻却つまり適法性についての学説は、承認説、慣習法説、目的説︵治療目的説︶、国家認容説、承諾義務説、業務 権説︵正当行為説︶などに分けられる。その中でもその事実・行為を問題としながら、その違法性を阻却する説︵承 認説、目的説など︶と、その事実・行為は問題がなく、はじめから正当であるとする説︵国家認容説、業務権説など︶ に分けることができる︵ぜ測卿御鰍則湘嶺嚇蹴雛解駅㎞働鰍噺舗鵬略粛難繍蜘肺納畦聴翻雛獅切難蝋礒漣翫雀鷲誕樹編蛋誌鷹灘識幽は、競適ラ瀬摩た 村亀二﹁刑法総論﹂二八八頁︶。木村教授は、業務権説をしりぞサる理由として隆緬挽許は業務として治療竃為を行うことがでぎる者の範囲を決定するのみでその蓼の業務行 為の適法性を︸般的に認めたものでないことをあげられているが 医騨免許は一般的に禁止された診療を医師として実質的にも形式的にも資格をそなえる者に解除し適法に 行うこと赤でンさるようにする薯﹂とであり︵拙稿h要訣行政法﹂七三頁︶、すくなくとも医緬にその診療を適鞍に行う卸︶とを瀞したものであるから、その業務権にとって極積極 的意味を与えるのであろう。また事実として医師は自己の診療を緯法または問題があるとは意罎しないであろう。業務権説については、プロフェツションとしての緩師の 業務権︵診療権︶を考える場合、興昧と問題のあることを党える ︵参照.拙稿。前掲書︵高鴇編︶照四頁、押留毒瓜。昂い鈴拶溜零髪魯藻番鐵ゆユざ巴︸搾ω<象一窪㌣鎮’ 掛昏ざ曾ω磐2一實簿葬噂oε蒔3f、㌘鉱鳳3身o搾ヨ魁貯巴”おま︶、わが醒の刑法学における動肉は、硯らかでないが、欝法阻却説︵離者︶が通説的であろう。 勧油碁み嘔謙蔀騰吻瓢鰍謙畑舳議蘂の舞勧都羅鵬鑓髄瓢飾愈駄跡菰備3。いずれにしろ、正当な診療は一応違法ではないとして取扱 われている、とすることができよう。 治療目的説によれば、治療すなわち個人の健康を維持し病気の悪化を防止し、康健の回復をはかることは、国家的
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二二八 に承認された共同生活の臼的であるから.治療行為は、この目的達成に適当なものであるかぎり、違法性が阻却され ると解すべきである。治療行為は、免許を受けて業務として行う者の行為であるかないかを問わず、治療に関する科 学と技術について一般的に認められた能力がある者の行為であることを要し.又、治療行為の方法・手段が専門的に 一般に承認されたものであることを要する。したがって、効果がまだ疑問とされているような危険な手段・方法によ るときは、違法である。さらに治療に際しては.緊急を要する場合を除いては.本人の承諾.または.配偶者の承諾 をうることを要する、意思に反する牒専断的治療行為﹂︵禽露蹴鮮凝︸慧解魯讐舞圃叢︶は.違法である.治療行為は. 治療の麟的をもってなされることを要する︵齢郭無聾、以下.右について分けて考察すれば.次のようなことがいえよ 駆う藤 ② 診療の目的・範囲 診療の淺的については判例は.診療の麟的は、疾病の治療にある.とする︵耀騰賜而擁鱗鋤罐撫 姻麩、噸熱蜘擁蝋灘鱗蕗ル都場語誠龍爾麟難聯難財藷儲雛ζ融︶。学説は・その目的と範囲をわけ・これに保健指導を加え診療の霞的 は.疾病の診療と保健指導にある.とする︵撒醐畷灘麟纏講離磁締︶産講頭︶。しかし実際の医師の診療の範囲との関係からみ れば.診療の藏的・範囲は、 ﹁人に対して診療の目的の下に行われるところの、社会通念上この目的到達に資すると 認められる行為﹂と幽ラえられる︵難㏄樋灘藤笹離臆歌蜘碗齢購畷鰍鵬雌璽轟赫鵬瀧贈靴貸初聾。ここには.疾病の治療.予防︵疾病の︶、 妊娠.出産のごとき生理的作用の処置、美容目的からする整形手術が含まれる︵解鯉難牌驚糊妊卿蠕翻麟激彫鵬︶︵蹴⑳臆嘱紘鯛禰蜘醐 器︶っ翫%練鶏霧霧縢輪墓聾舞戦︵露論講蒙蹴飯薦齢蘇糀ぬ擁黙携麺縢麟欝.町曝魏鶏誌罷姦.認。叢融鴛。講−、∼融騨露.認継 裟籍師.艶証騰螺器醤雛霧翼篠瓢巽鴨製餐蝿窪誌舞鑓騒磯.羅蕪詰講駿魏謬覆繧藻鱗舘篶墓.、.︶.したがってここで治療の目的とは、こうした意味の診療の目的・範囲であるとすることができよう。問題は、医学の問題 でもあるが、ここでは美容整形が診療!整形外科に入るかどうかをみることが最適であろう。わけても歯科診療にお いては、装飾の目的で行われた歯科医師の行為は、歯科診療と認められ︵驕欄螺甦つ朋獅預創銅螺髪疏鮎︶、美容に対する積極 的な考えから、積極的に解さなければならないであろう。しかし現段階におけるその結果や方法に多くの問題があり ︵灘肝嘘鞠締喋纈尉痂醒覆翻趾㍑捉赫筋卿脚脚蜘妙籾加御棚鷹鯖鍵竃︶、判例は、﹁医ノ行為ハー⋮学理二背反セル絶対不能ノ方法二非サル限 リ治療ノ目的ヲ達スル可能性ヲ有スルモノハ従令現今医学界二於テ一般二承認応用セラレサル新療法ト錐モ医ノ治療 方法トシテ之ヲ採用スルニ妨ナシ﹂︵姻醤聯厘鎚醐第︶、 ﹁医学ノ原理ヲ応用シ人ノ疾病ヲ診療スルニ必要ナル行為ヲ指称 シ.⋮:医行為ハ医学ノ是認スルモノタルコトヲ要シ学理二背反スル絶対不能ノ方法ハ素ヨリ医行為二入ラサル﹂︵鋼鎌 灘螺や監。︶とする。結果や方法に問題がある以上、学理によるとみることができない。したがって現段階においては、 美容整形は、その方法や結果において、わけても学理に背反しないとすることもできず、医の本質にも反し、診療と 認められない、とすることができる︵鰍瞬騰搬蹴胴雄磁紛捻趣禮鵬噛訟瀧ゆ嘆瀦礫蹄︶。 日 一般的に能力を認められた者の行為であること これについては、わけても﹁一般的に認められた﹂という意 味が不明であるが、さきの﹁免許を受けて業務として行う者の行為であるかないかを問わず﹂という文言から、公的 な行政権力の認めた意,味でないことは、明白である。その目的とするところは、公認された医師においても、治療・ 診療と認められない行為があることを示すところにあるのであろう。しかし他の要件︵に能四︶によって違法とされるこ とが考えられるような場合が多いであろうから、とくにあげる必要もないのではなかろうか︵囁畑羅嚢﹂一、一罐﹀。
公法判例研究 ご二九
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一四〇 四 方法・手段が専門的に一般的に承認されたものであること これはさきの判例の文言をかりれば﹁現今医学界 二於テ一般二承認﹂された方法・手段であるとすることもできようが、さきの判例の﹁医学ノ是認スルモノタルコト﹂ でもあろう。それは、医学界一般に承認された方法・手段の意味であるすれば医学ー医術の進歩が考えられないから である。その方法は、﹁学理二背反スル絶対不能ノ方法﹂であることは、勿論許されず、 ﹁医学界二於テ一般二承認﹂ されなくっても.医学的に是認される方法・手段であればいいであろう。医学的に是認されることは. ﹁効果がまだ 疑問とされているような危険な手段・方法﹂ではないであろう. 的 本人の承諾 刑法におげる違法阻却の有力な原因の一つとして承諾は早.くから.ドイヅ・オーストリャやわ. が国では.数えられているようである︵畷飾離翻雄戴畷ぺ諦鯉︵顧撤滅濡ず嘩獄認秘奪戯猛凝認滋.3が.ドイッの学説では、判例 とは異って、承諾は.傷害罪の成否に関するものでなく.人格的な意思決定の自由を保護するものとされ.ーE︷ 奪︵欝滋駕︶ないし強要罪︵螺倣駕︶として問題にされている。 しかし.刑法二三九条・二四〇条で罰することがでぎる専断 治療もごく一部である。したがって現行法では、ここに明白な欠陥があることになる。判例が傷害罪を適用してきたさ のも⋮法の歪曲であり、罪刑法定主義の原則を侵害するものであるとして非難されるゆえんともなったのである.と れている︵頒い蠣鵬磯ハ︶。これについて論を.さしはさむ危険をおかす意思はないし.彼我は母娘法関係にあるとはいえ、 刑法の構造の相異からは、一概にはいえないが、この傾向はわが刑法においても.一考する価いもないことではなか ろう。 因 治療の譲的で行われること 治療の目的は、さきにみたところである︵%︶が、ああした治療の目的で、行われることが必要であることは、いうまでない。治療の目的がない場合または治療以外の目的で行われる行為は、違法で ある︵琳鮒.馨聖メ談︶。 二 e判旨は、性的倒錯者に対する性転換手術が、医学上広く診療として認められるかどうかとして、それを評価 する。それは、性転換手術の概要、同性愛と性転向症、両者の原因、そして両者の治療と性転換手術におよび、その 努力は、高く価値されなければならない。しかし、内外の文献、外国における研究の成果、その評価などや、これら と本件との関係は、必ずしも明白ではなく、わけてもわが国の医学ー医術や優性保護法の系譜と外国の文献や、これ らの研究・成果の系譜や関係が明示されることが必要ではなかったかと思われる。それは、その外国の文献やこれ らの研究や成果の評価さらに判旨の評価にも作用するからである︵鞭蝶噸難簾鴨髄噛騨謄臨蝋編繊醐照肺惹緬塵︵醐擁伽鋼謙畷縞燗鹸蝶ト細 稼﹁いわゆる療衛行為を医業類似行為と認定するには﹁人の健康に警を及ぼす麺があるか否かを﹂判示しなければならないか﹂ ︵法学新報第六七巻第二号七一預以下︶︶が﹁被 害なければ鋼罰なし﹂というアメリカのサブスタンティプ。デュプロセスの考え方のあらわれといっていいであろうとされている︵平螺竜一﹁法学における理論の役割﹂︵碧
磯廉籔羅轟二の鵜叡確蒙論講錫驚訟鴛窪鼓恥一鉱婁疑臨艶嚢鴨蘇巽雛暴鷹霧講誘鰻し︶.
口 判旨の性転換手術のわが国の医学界における位置、評価が不明または不適当のようである。なるほど、わが国 における性転換手術について、その特別の、制度もなく、立法措置もないことが明示されている︵購船漁搾窮而講繭筋融嫌魁 篠極魔幌蜘雛綱補欄骸︶。が、性転向症者には!一応性転換手術が方法として考えられる、とし、また性転換手術が次第に 医学的にも治療方法として意義が認められつつある、ともする、もっとも、これらの叙述は、逆接的叙述に続くが、 判旨からは、どちらかといえば、性転換手術の治療としての評価は、そのいずれの国のことか不明なこととわが国の 医学界においても、その地歩が認められるような印象もうける。公法判例研究 一四一
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一四二 日 判示は、医学界の決するような事項にも立入りすぎている憾みがある。それはわけても判示における性転換手 術が正当な診療行為として評価される条件の④、◎、◎とeにみられる。医師が疾病に対しては、その診断の霞由を もち、いかなる治療の手段・方法をとるかの決定の慮由をもつものであろう︵鋼剛魔唾鵜獅熈搬簾は多藁磁霧編糠蹴難莇鵡最踊肌峨 頁欝論第二九巻藷法二七五頁︶が、この反対解釈から医師の診察。診察の霞由も蒋えらおよう。 糎︶れらとあわせてその由来浄るところは診療権であろう︵拙稿。離掲轡︵蕎 綴編︶圏三頁︶。診療の懸曲ということもできよう。フランスでは治療の自貌が診察の酪由より認められているようである ︵鐘照・搾も o無く舞蒜さ︾鑓・誇蘇ぴざ一ω蝕く蓉脚露ω酔 鑓調譲蜷。鰻曙、︶。法は、そうした診療に関する医学ー医術の事項について法令によって規定されたときにはじめて法 四 隣的治療説を中心として.本件の性転換手術を評緬すれば、つぎのようにいえるであろう. ④ 診療の鱒的、範囲︵㍉﹀からみれば.診療ではないであろう、性転換手術は. ﹁正常な肉体を外科的に変更し反 対の性に解剖学、外観的に類似させるものであり、その点、美容目的もあるようであるが、一応本人に自己満足を 与え.精神的苦痛葛藤を減少させるのみであり.結果は、必ずしも良好でなく︵郵蹴ガ労醗犀備駒縣獅灘鱗留雄臓縢︶、 わけても 機能的には効果はない︵生殖作用は全く期待出来ない︶。しかも不可逆的手術である﹂。また、わが国では.性転換手 術が公然ではなく、秘かに個人開業医によって行われ、Xは.診療録を正規に作成せず.受術者から同意書をとらな いなど一般の診療とは異なる取扱いをしいることが、わが国における性転換手術の医学界ー医師界の一般的評価すな わち診療でないというを、如実に示しているともいえよう。 ◎ 一般的に能力を認められた者の行為であるかどうか︵︸㍉︶の点についてであるが、医師Xの能力が一般的に認め 訪難繍磐耀雛響諏貌器欝凝諮鮪矯裂欝諜麟灘嬬館蜘醗轟い慧鷲栖︶︶. 的対象.事項としてこれに関与することがでぎるものであろう︵蹴瀧”嶺滑懸螺醸驚舵隣鍬駅難掘鄭鵜騨殿磁鯖断ゼ器陀.劉騰礎蕨灘蠣解輪欄られた能力であるかは、その意味が不明であるから、どうともいえないし、その必要もない。 ◎ 方法・手段が専門的に一般に承認されたものであるかどうか︵㌃︶についてみれば、これは行為・手術そのもの の性質わが国における医学界の評価などとの関連があるから、その判断は困難である。その、方法・手段が判例の﹁医 学ノ是認スルモノ﹂であるかどうかから評価しても、その判断は、ほぼ同様に困難であるが、いずれの意味にしても 十分ではあると勿論いえない。必要、相当の方法・手段が行われないとみることは、さして危険ではあるまい。もっ とも判旨の示す︵絢琳筋㊥︶条件が行われなかったことは、いうまでもない。 e 本入の承諾についてはXは、A・BとCの積極的依頼によって手術を行ったのであるから、A、BとCの承諾 は、あったとみることができる。 ㊦ 治療・診療の目的で行われたかどうかの点についてみれば、診療の目的があるかどうかは主観的正当化の要素 である︵琳謝ル欄難︶が、Xの性転換手術の評価が基本的である。④で示したように、Xの、それ︵その評価︶は、必ずし も、診療とみていないと推定される。それは、わけても診療録を作成せず、手術の同意書をとることもなく行ったか らである。Xには、まして予防、妊娠、出産などの生理作用の処置わけても整形手術の目的・範囲をその手術に意識 したような事実を推定することもできないから、診療の目的があったかは、きわめて疑しいともいえよう。 以上の、わけても消極的な諸点から総合すれば、右手術は、診療とは認めがたいといえる。 三 判旨は、優生保護法つまり行政法体系における事案として、あえて刑法的理論によらず、性転換手術が診療で ないということを萌白にしながら、すすめられたようである。これは、当然であり、相当である。筆者は、どちらか