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視覚心理にもとづく日本語電子リーダーの「よみ」体験デザイン

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2015-DC-98 No.1 2015/7/13. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 視覚心理にもとづく日本語電子リーダーの 「よみ」体験デザイン 川嶋 稔夫1,a). 小林 潤平2,1. 概要: 言語を視覚的に置き換えたテキストを「よむ」行為は,人類の長い歴史の中で,様々な工. 夫を積み重ねた知的動作であるといってよいであろう.講演者は書物の歴史に関する専門家では ないが, 「よみ」の工夫は現在の書物の様式を見ていても推察することができる.  日本において活字による印刷が大衆化しはじめたのが明治中期であることを考えると,読書を 前提とする現代的なテキストの様式 (組版) の工夫が本格的に始まるのは,おおよそこれ以降のこ とであろう.国立国会図書館のデジタルコレクションを眺めると,たとえば 1905 年の医学中央雑 誌の場合,2段組みの枠内に上下の行端を揃えて活字を納める様式が取られている.改行位置は 行長で一定長に定められており,1行は 24 文字である.漢字とカタカナで構成された文の特徴は 「句点がない」ことで,1 文が終わるごとに改行されている.2 段組みの 1 段分である 24 文字× 20 行ずつ何ページか眺めてみると,1 段にはおおよそ 3 文から 5 文が書かれていて,1 行には 1 個程 度ずつ読点が打たれている.これらは「よみ」を前提としたテキストの視覚化の初期の工夫と思わ れる.これらの「よみ」の経験的な視覚心理に基づく工夫が,印刷技術と経済性の制約下で行われ て,現在の書物の様式へと受け継がれてきたのであろう.  「よみ」に関する視覚心理学研究は,印刷物やキャラクタディスプレイなどを対象に長年にわ たって行われてきている.個々の言語に固有の表記法や組版方式などの違いに基づく「よみ」の差 異が,眼球運動の分析などにより明らかにされている.また一方では,「よみ」を高速化するため の速読法など,特定の目的に対する独特な工夫とその実践的展開も行われてきてもいる.  さて,現在の電子出版は,これまでの「よみ」に根本的な変化をもたらす可能性を持っている. 新しい流通形態の出現であることはもちろん,高精細なタブレット端末を「よみ」に利用した電子 リーダーの出現によって,印刷や出版にともなういくつもの制約が過去のものとなってしまった. さらには,利用者によるテキストの操作 (たとえば自在な上下左右のスクロール制御) さえも可能 になっている.つまり,従来の組版の制約を受けない,電子リーダーに最適な「よみ」体験デザイ ンが可能なのである.  我々は現在,日本語電子リーダーの可能性を引き出す「よみ」体験の研究開発を進めている.行 長の最適化やスクロール方式の検討はもちろん,形態素解析に基づく改行の位置の設定や,インデ ントの工夫,さらには文節の微振動など,さまざまな「よみ」の視覚心理にかかわる因子を考慮 しながら最適な「よみ」体験の実現を目指している.その結果,速読とはまったく異なる意味で, 「よみ」を向上させうることが明らかになってきた.すなわち, 「よみ」に伴う眼球運動のミスや非 効率を改善することで,多くの人が「上手によめる」電子リーダーである.この講演ではその一端 を紹介するとともに,新しい電子リーダーの可能性について考えてみたい.. 1. 2. a). 公立はこだて未来大 Future University Hakodate, Hakodate, 041–8655, Japan 大日本印刷株式会社 Dai Nippon Printing Co., Ltd. [email protected]. ⓒ 2015 Information Processing Society of Japan. 1.

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