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男性不妊

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Academic year: 2021

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上海中医薬大学国際教育学院

2010 年度 日本大専班(推拿)

卒業論文

男性不妊治療の現状と中医臨床の実際、

及び日本での普及の可能性

松山 優

指導:何金森先生

答弁期日:2011 年 1 月 11日

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目 次 1.目 的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2、執筆経緯と意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2-1.論文執筆の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2-2.どのような意義があるか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2-2-1.現在の医療状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2-2-2.男性の健康について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2-2-3.子供の問題と家庭の安定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2-3.調査方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 3.男性不妊の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3-1.目下の状況についての報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3-1-1.過去 50 年問で精子濃度、 精液量ともに減少・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3-1-2.生活は豊かになっている、栄養は豊富になっている、精子量は下がっている・・・・・7 3-1-3.環境ホルモンで精子数減少・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3-1-4.ディーゼル車排ガス粒子の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3-1-5.20代で精子少ない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 3-1-6.年齢の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 3-2.男性不妊の種類と原因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 3-2-1.造精機能障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 3-2-2.精子輸送路通過障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 3-2-3.副性器障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 3-2-4.精子機能異常・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 3-2-5.参考:性機能障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 3-3.男性不妊の検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 3-3-1.基本検査の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 3-3-2.精密検査の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 3-3-3.精液検査について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 3-3-3-1.WHO による精液検査の正常値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 3-3-3-2.各項目についての概括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 3-3-4.内分泌検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 3-3-4-1.ホルモンについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 3-3-4-2.各ホルモンの正常値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 3-3-4-3.ホルモン負荷試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 3-3-5.精索静脈瘤診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 3-4.造精機能障害の病因病機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 3-5.男性不妊の治療方法 (概要)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 3-5-1.治療法の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 3-5-2.造精機能障害治療の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 3-6.調査対象(主に乏精子症及び精子減少)における薬物療法・・・・・・・・・・・・・・18

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3-6-1.ホルモン剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 3-6-2.非ホルモン剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 3-6-3.精子活性化剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 4.中医学における男性不妊の生理と病因病機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 4-1.主な臓腑の生理機能について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 4-1-1.腎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 4-1-2.肝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 4-1-3.心・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 4-2.外因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 4-2-1.火・熱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 4-2-2.湿熱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 4-3.内因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-3-1.情志の失調 (ストレス)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-3-2.思・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-4.不内外因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-4-1.飲食不節・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-4-2.労倦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-5.瘀血・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-6.臓腑気血弁証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-6-1.腎精不足・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-6-2.腎陰虚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4-6-3.腎陽虚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 4-6-4.気血両虚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 4-6-5.肝気鬱結・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 4-7.主な病因病機の治療原則・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 5.調査対象の臨床例と報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 5-1.鍼刺療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 5-1-1.鍼灸治療精液不液化症32例臨床小結・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 5-1-2.鍼刺治療少精不育128例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 5-1-3.鍼推療法治療男性肝気郁結型不育症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 5-2.灸療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 5-2-1.隔姜灸治療腎陽虚型精子活力低下55例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 贴 脐 5-2-2.祛痰衍嗣丹 灸治療男性不育 136 例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 5-3.鍼灸療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 5-3-1.鍼灸治療 54 例男性不育症臨床観 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 5-3-2.鍼灸治療精液異常男性不育症 86 例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 5-3-3.鍼灸治療男性不育症 36 例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 5-3-4.鍼灸弁証治療男性不育症 83 例療效観察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 5-3-5.鍼灸併挙治療男性不育症 189 例臨床探討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

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5-3-7.鍼灸は主治療不育症 54 例療效観察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 5-3-8.鍼灸治療 302 例精子異常療效観察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 5-3-9.鍼灸治療精液不液化症 48 例小結 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 5-3-10.鍼灸治療男性不育症 34 例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 5-3-11.鍼灸治療男性不育症13例臨床観察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 5-4.鍼薬併用治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 5-4-1.電鍼与中薬治療男性不育少、弱精子症臨床観察・・・・・・・・・・・・・・・・・27 5-4-2.鍼薬併用治療男性不育 297 例療效分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 5-4-3.鍼刺配中薬衝剤治療精液異常性不育症260例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 5-4-4.鍼薬併用治療 71 例男性不育症療效観察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 压 5-4-5.鍼刺耳 中西薬結合治療男性不育症的療效観察・・・・・・・・・・・・・・・・・29 5-4-6.鍼灸治療特発性精液異常 39 例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 5-4-7.鍼薬結合治療精液異常不育症的臨床観察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 5-4-8.鍼灸与中薬治療男性不育少、弱精子症療效観察・・・・・・・・・・・・・・・・・29 5-4-9.鍼薬併用対改善男性不育患者精液質量的影响・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 赞 5-4-10.鍼灸結合加味 育丹治療男性不育症 169 例・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 线 5-5.穴位注射療法と穴位埋 療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 5-5-1.薬物穴位注射治療少精、弱精症23例療效観察・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 线 5-5-2.穴位埋 治療男性不育 66 例療效観察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 6.考察と結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 6-1.西洋医学と中医学の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 6-2.中国と日本の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 6-3.中医による治療方法の考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 6-4.現在の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 6-5.医学面にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 6-6.中医学の展望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 7.謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

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1.目的

日本で不妊に悩む夫婦は年々増加しており、その数はおよそ 130 万組、夫婦 10 組に 1 組が不妊問題 に直面しているとも言われている。これは少子化が進む日本にとって一つの大きな社会問題でもある。 WHO(世界保健機構)が 1996 年に 7273 組の男女別不妊原因を調査したところ、男性のみ 24%、女性の み 41%、男女共 24%、原因不明 11%と、近年では特に男性側に原因があるカップルが 50%近くを占めてい るという報告がある。1 不妊問題は今まで女性側だけの問題として取り上げられるケースが多かったが、 近年では男性側に起因するところも多いことがわかってきた。 中国でも出産適齢夫婦の 10%が不妊に悩んでおり、以前 1 万組の不妊夫婦に対して調査した所、男 性不妊は 55%に達していた。現在、少なく見積もっても 3500 万人が男性不妊で悩んでいる状況である。 世界的に見ても男性不育が 5~8%、約 8000 万組から更に増加傾向という報告がある。2 不妊の原因調査(WHO1996 年) しかし男性不妊についての男性自身の認識や、治療方法等についてはまだ不足している部分も多く、 不妊問題の根本的解決に至っていない。このような現状を踏まえ、まだあまり認識のない男性不妊の問 題について、社会への認知向上と男性自身が不妊問題に積極的に取り組めるような環境を作り、不妊問 題の解決、しいては日本において少子化問題の解決が望まれる。 そこで今回、男性不妊の約 90%3 を占める造精機能障害において効果的な治療方法の理解を深めるこ とを目的に、治療方法やそれらの有効率を調査する。 不妊の定義 WHO による定義は「避妊をしていないのに2年以上にわたって妊娠に至れない状態」となっている。 但しこの定義には男女の区別が無い定義であり、男性側に原因があるものを男性不妊症と言う。なお、 女性については 2 年間と定義されているが、実は男性不妊症については確たる基準が無い。しかしなが ら多くのケースにおいて女性不妊の場合と同様に 2 年が一応の閾値とされる。またアメリカ不妊学会で はその期間を1年としている。 また通常の性行為が行われている事が前提のため、性行為自体が不能な勃起不全などは、厳密には男

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2、執筆経緯と意義

2-1.論文執筆の経緯 ・この目的を解明することは(臨床上)どのような意味があるか?実用性は?何に使うか? どんな分野でも細分化することで、その分野は深く発展していく。その反面細分化によって、例えば 西洋医学の分野で活躍している人が、中医など他の治療方法などを安易に選択できないのではないかと 考える。そのような環境の中で、未だ確立された治療方法がない現在、今回の調査によって治療選択肢 の幅の向上、認知度の拡大など今後の男性不妊治療の向上に役立てて頂ければと思い書写することにし た。 2-2.どのような意義があるか? 2-2-1.現在の医療状況 男性不妊の場合、炎症や感染症などは薬剤治療によって自然妊娠が可能になるケースがあるが、男性 不妊の 90%を占めている造精機能障害は原因不明のものが大半であり、現在のところ根治できる治療 法や効果的な薬剤がない。また、男性ホルモンの欠乏が認められる場合はホルモン剤が投与されるが、 長期の使用が逆に造精機能を悪化させることがあるので抵抗があるという人もいる。そのため男性不妊 のほとんどが、体外受精や顕微授精といった高度な生殖補助医療の選択を余儀なくされおり、更には生 殖補助医療を受ける際にも、数少ない精子の中から質のよい精子をなんとか選び出して、施術に挑んで いるという厳しい現状にある。 2-2-2.男性の健康について 男性の健康面において、一般に男性不妊の多くは日常生活で支障をきたす問題が無く、男性不妊の大 半を占める「精子の数が少ない・運動率が悪い・奇形精子が多い」という症状においては殆どの場合に 自覚症状がない。また性欲や射精回数の多さ、男らしさとも関係はない。しかし自覚的に健康と感じる 体でも、WHO の観点から言えば健康とは言えない状態である。 2-2-3.子供の問題と家庭の安定 一般的に、パートナーがいてお互いが子を望むのに結果が伴わない場合、それを改善することが医療 の努めであると思う。 なぜなら子供はお互いにとって何よりも共有できる存在で、それが夫婦の絆を強くし互いの幸福度 を高め、或いは労働意欲のためのエネルギー、将来の夢の創造など様々な効果が期待できる。また子供 が出来ることは離婚率の低下を促す可能性がある。それは地域や社会、ひいては国の安定に繋がるので はないだろうか。 2-3.調査方法 今回の調査は、次に述べる男性不妊の内 90%を占める造精機能障害の精子減少症、乏精子症、精子 無力症と精液不液化について西洋医学と主に鍼灸を中心とした中医学の治療方法、効果などを調査する。 従って今回の調査では造精機能障害における奇形精子症、無精子症及び、前立腺炎や先天性疾患での 精液不液化は対象外とする。また精子無力症については WHO の正常値を指標とし、運動精子(a+ b) を調査対象とする。したがって c、d は調査外である。 そのほか、日本と中国の中医における治療を比較する。

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3.男性不妊の概要

3-1.目下の状況と環境ホルモン、飲食、ストレス年齢などの関係についての報告 3-1-1.過去 50 年問で精子濃度、 精液量ともに減少 1992 年、Skakkebaek(スカケベック)らによって過去 50 年問の男性の精液所見が精子濃度、 精液 量ともに明らかな減少の事実が報告された。4 Skkebaek 報告は世界各地の 61 論文から 14、947 名の男 性について検索したものであり、1940 年に比較し 1990 年には平均精子濃度は 1.66 億 ml から 0.66 億 ml へ、精液量は 3.40 から 2.75ml へと減少を示していた。この減少は単純計算すると、50 年間で精子 濃度は約 25%、精液量は約 20%の減少を示す。 その他、精子数の変化に関する主な報告 年 報告者 国 精子数の変化 1992 カールセン デンマーク 52年間に半減 1993 ソーミネン フィンランド 44年間で変化無し 1994 アーヴァイン スコットランド 20代の精子が40代より4割減 1995 オジェー フランス 17年間で30歳の精子が半減 1996 フィッシュ アメリカ合衆国 25年間でむしろ増加 1998 押尾茂 日本 20代精子が40代より半減 3-1-2.生活は豊かになっている、栄養は豊富になっている、精子量は下がっている 慶応義塾大医学部産婦人科の末岡浩が今回の精子数調査に関して、非配偶者間の人工授精のための健 康男児の精子による過去 30 年間の 2 万人におよぶ調査で 10%の精子減少がみられることを明らかにし た。5 これは日本において 1948 年から非配偶者問人工授精を開始し、20~25 歳の良好な精液所見を有 する健康男児に限定され、均一な条件を備えたデータである。結果 1970 年~98 年、精子濃度は減少傾 向を示した。この中で 精子濃度は 1970~1989 年群でも、1990~1998 年群においても、ともに総検体 データについての検討で現在までに調査した範囲では減少傾向を示した。精子運動率については 1970 ~1989 年群で軽度の減少傾向を示したが、1990 年以降では減少傾向を示さなかった。抽出した母集団 の年齢が 20~25 歳であることから、内分泌撹乱化学物質によって胎内で成長する精巣形成過程で受け た影響が大きいと仮定すると、約 20~25 年前、即ち 1970~1998 年の値の低下は少なくとも 1940 年代 後半から 1978 年頃までの間に及ぼされた影響と考えることができる。 3-1-3.環境ホルモンで精子数減少 国立環境研究所、大迫誠一郎などの研究6 によると、生後 13 週目の雄ラットに、ビスフェノールA 0.2g/kg、ビンクロゾリン 0.025~0.1g/kg を 6 日間経口投与したところ、36 日後、ビスフェノールで 精子数が3億3800万個から3300万個に低下、ビンクロゾリンで 23%減少した。 3-1-4.ディーゼル車排ガス粒子の影響 東京理科大薬学部、武田健教授らは、ディーゼル自動車排ガスに含まれる微粒子が生殖機能に影響を 及ぼす可能性を指摘した。7 マウ ス60匹に 0.3mg/m3、1.0mg/m3、3mg/m3 の3種類の微粒子を 12 時 間/日で半年吸わせたところ、それぞれ精子生産能力が 21%、36%、53%低下したという。また、影

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3-1-5.20代で精子少ない 帝京大学医学部、押尾茂らの調査8 によると、東京近郊に住む男性で20代男性の精子数(平均値) は40代前後の男性の約半数しかないことが判った。年代・サンプル数精液1ml当たり精子数は 20代(平均約23歳) 4600万個(50人平均値) 37~53歳(平均約42歳) 8400万個(44人平均値) また、20~30代を対象に約20年前に行われた国内の調査では平均精子数が7500万~1億個 だったという。1992年に世界保健機関(WHO)で子供が生まれる最低限の数値として定めた基準 は約2000万個だが、これを40代前後で全員クリアできたのに対し、20代では86%だけだった。 3-1-6.年齢の影響 一般に年齢と妊孕性(妊娠しやすさ)は逆相関し、生殖器系の加齢が女性の不妊に大きく関与してい る。 1965 年から 1988 年の間に実施されたアメリカ国立保健統計局の研究では、妊娠しやすさが 1 年間で 最も急激に低下するのは 35 歳であることが確認されている。12 カ月妊娠が成立しないことを不妊の定 義とすると、35 歳以上の女性では 3 分の 1 以上が 1 年以内に妊娠できないことを示した。したがって、 女性の 35 歳という年齢は生殖機能が不可逆的に低下する境界線となる。 3-2.男性不妊の種類と原因 9 3-2-1.造精機能障害(不妊症の中で最も多い原因) 造精機能障害は、精子の数、運動率、奇形率によって、さらに次の 5 種類に分けられる。2 種類以上 の症状を併発することもある。判定については「精液検査について」の項目で述べる。 1精子減少症(2000 万匹以下)2乏精子症(1000 万匹以下)3精子無力症 4奇形精子症 5無精子症 原因: 1、原因不明の特発性精子形成障害:精巣内の男性ホルモンや FSH に対する受容体に異常があるとす る報告がある。造精機能障害の 6 割を占める。 2、精索静脈瘤:障害機序については精巣温度上昇による造精障害説や有害物質(プロスタグランデ ィンなど)の逆流説などがある。発症部位はほとんどが左側。手術により妊娠の可能性が期待できる。

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3、停留精巣:出生時には精巣は陰嚢にあるが、1~2 才までに精巣固定術を施さないと造精機能は 低下する。もし思春期までに行わないと造精機能は失われる。両側の停留精巣の場合は適切な時期に手 術を行っても 70%は不妊となり、片側では手術により 60~80%は妊娠可能となる。 4、内分泌障害:続発性精巣機能障害つまり視床下部や下垂体の障害による低ゴナドトロピン性の性 腺機能障害。視床下部障害では LH-RH 分泌障害、下垂体障害では LH、FSH の分泌障害となる。また、下 垂体腫瘍によるプロラクチン(乳腺刺激ホルモ ン)の分泌過剰によりテストステロン産生低下を引き 起こす。 5、染色体異常:ほとんどがクラインフェルター症候群で、核型は 47XXY を示し、精巣萎縮・無精子 症・女性化乳房が見られ、血中テストステロンは低く、LH、FSH は異常に高いものが多い。 6、物理化学的因子:放射線照射、高温度環境、ウィルス感染、カドニュウムや鉛の重金属、有機溶 剤エチレングリコールエーテル、アルコール、喫煙等。その他薬剤による造精機能障害もある。例えば、 癌の科学療法(シクロホスファミド等)、潰瘍性大腸炎(スルファサラジン)、蛋白同化ステロイド剤等 である。 7、精巣炎:成人してからの急性耳下腺炎(おたふくかぜ)の 20%で精巣炎を合併して、無精子症 または乏精子症となる。急性耳下腺炎や精巣炎の既往を問うのは大切な問診項目である。 8、その他:外傷や精巣捻転症により造精機能が低下する。ともに片側だけの障害でも免疫学的なし くみ(抗精子抗体)により健側の精巣にも造精機能障害が生じる可能性がある。また精巣捻転症発病後 6 時間以内に整復手術をしないと壊死してしまう。 3-2-2.精子輸送路通過障害 輸送路通過障害には精巣上体・精管・射精管の閉塞や狭窄、欠損がある。 障害部位について: ・精巣上体:原因不明(最も多いケース)、性精巣上体炎や外傷、精管閉塞に伴う二次的閉塞、先天的 精巣上体発育不全、Young Syndrome(精巣上体管頭部の特発性閉塞による無精子症と慢性副鼻腔炎や慢 性気管支炎そして気管支拡張症などを合併する。) ・精管:鼠径ヘルニア根治術による閉塞、先天性精管欠損症、パイプカット ・射精管:尿道炎や外傷、先天性の閉塞や狭窄 3-2-3.副性器障害 副性器は精巣上体・精管・精嚢・前立腺を指しているが、副性器障害と言う場合は主に精嚢あるいは 前立腺の炎症によるものを指す。この炎症により精液の分泌異常や免疫反応により、精子運動能や精子 受精能が低下して不妊となる。

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3-2-4.精子機能異常

精子機能異常とは精子自身に受精する能力がないもので、次のような場合がある。

1、精子の鞭毛構造異常:鞭毛の環状構造に欠陥があり精子運動は失われ受精する場所へ到達できず 不妊となる。また精子鞭毛運動障害がある場合、慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、再発を繰り返す上気道 炎などを合併する immotile cilia syndrome がある。

2、抗精子抗体:外傷や感染によって抗精子抗体ができて、精子の運動性や精子数を減少させること で不妊となる。 3、精子受精能低下:一般的な精液検査では全く異常がなく、主に先体反応の能力が低く卵子へ侵入 できず不妊となるものがある。 3-2-5.参考:性機能障害(定義でも述べたが厳密には男性不妊症には含まれない) 性機能障害には1インポテンス、2(ED)射精障害がある。 1、インポテンスの原因については、機能的インポテンス・器質的インポテンス・混合型インポテン スに分類されている。 ・機能的インポテンスとは勃起機能正常でも精神的要因等により性交不能となるもの ・器質的インポテンスとは陰茎異常・神経伝達異常(中枢性・末梢性ともに)・陰茎への血管系異常・ 性衝動に関係 する内分泌異常によるものを指す。 2、射精障害には精液射出障害と逆行性射精がある。 ・精液射出障害とは勃起は正常でも性交して精液が射出されないものを指し、その原因は脊髄損傷・後 腹膜リンパ節郭清術等による伝達神経障害・精神的素因等がある。 ・逆行性射精は内尿道口閉鎖不全により起るもので、完全逆行性射精と不完全逆行性射精があり、完全 逆行性射精は内尿道口が閉じないで前立腺の外側にある筋肉が閉じてしまい精液は膀胱内ヘ逆行する ものを指す。 ・不完全逆行性射精は内尿道口と前立腺外側の両方が開いているもので、射出される精液量が少なくこ れも不妊の原因となる。この逆行性射精の原因は糖尿病や骨盤内の手術によるもの、そして原因不明な ものが臨床上多い。

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3-3.男性不妊の検査 検査内容は次の 3 つで、基本検査で問題があった場合、原因を特定するため「精密検査」を行う。 1、「問診」 既往歴や性欲の有無、勃起の状態、性交回数等を確認する。 2、「視診・触診」 男性器の精索静脈瘤等の有無を調べる。 3、「基本検査」 精液の検査を行う。 3-3-1.基本検査の種類 基本検査について下記に述べる。このうち今回の調査で重要な下記1、2、6、9の項目については 詳しく述べるが今回調査外の検査方法は概要だけに留める。 1、精液検査:マスターベーションで採取した精液から精子数や精子運動率をチェックする。 2、精子生存性検査:精液中に動いていない精子が多い場合、その精子の生存を判別する。 3、精液培養検査:精液検査で白血球が多くみられる場合、細菌の種類を調べる。 4、尿検査:採尿して尿糖や尿蛋白、赤血球、白血球の数を調べる。 5、尿中精子検査:無精液症や精液減少症の場合に射精後の尿を採取し、膀胱に精子が逆流していな いか調べる。 6、内分泌検査:採血して、血中の男性ホルモン値、卵胞刺激ホルモン値、黄体化ホルモン値、プロ ラクチン値などを調べる。 7、抗精子抗体の検査:精液の状態から、精子に対する抗体の有無を調べる。 8、フーナーテスト:女性の排卵日に合わせて性交した後、女性の子宮頸管粘液を採取して、その中 にいる精子の状態を調べる。 9、陰嚢部超音波検査:陰嚢部に超音波をあて、精巣容積や腫瘍の有無などを調べる。 3-3-2.精密検査の種類 1、精巣生検検査(無精子症や乏精子症の疑いがある場合) 陰嚢を 1cm ほど切開して精巣の組織を採取し、造精機能を調べる。 2、精管精巣造影検査(精管通過障害の疑いがある場合) 陰嚢の一部を切開し精管に造影剤を入れて、X 線撮影し、精管の様子をチェックする。 3、染色体検査 精液中から運動精子を数百匹ほど選び、1 匹ずつ性染色体を調べる、もしくは、血液中のリンパ球を 培養して染色体を調べることによって、性染色体や常染色体の異常を調べる。 4、遺伝子検査(高度の乏精子症や非閉塞性の無精子症の場合) Y 染色体の欠失、先天性精管欠損症による嚢胞性繊維症の責任遺伝子との関係を調べる。 5、精子尾部検査(生存しているが動かない精子が多い場合) 電子顕微鏡で精子の尾部を観察し、異常の有無を調べる

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3-3-3.精液検査について 3-3-3-1.WHO による精液検査の正常値 臨床上は1つの項目だけが異常であることは少なく、通常は複合した検査結果が得られることが多い。 また精液検査の結果は同一人物でもばらつきがあるので、最低 2~3 回行う必要がある。 精子検査の WHO 基準(WHO1992) 検査項目 正常値 異常時の表現 精液所見の基準値 pH 精子濃度 総精子数 運動率(射精後 60 分以内)* 正常形態精子 生存性 白血球数 抗精子抗体 イムノビーズテスト MAR テストラテックス 精液量 2.0ml以上 7.2~7.8 1ml 中に 2、000 万個以上 4、000 万個以上 運動精子(a+ b)50%以上 前進運動精子(a)25%以上 15%以上 75%以上生存 1ml 中に 100 万個以下 ビーズ付着運動精子が 50%未満 粒子付着運動精子が 50%未満 精液減少症、無精液症 乏精子症、無精子症 精子無力症 奇形精子症 精子死滅症 膿精液 免疫学的不妊 *精子運動性のグレード a:高速前進運動(37℃ で 25μm/秒以上、20℃ で 20μm/秒以上.なお 25μm とはおよそ頭部の長さの 5 倍、または尾部の長さの 1/2 に相当) b:ゆっくり、または不活発な直進運動 c:非前進運動(5μm/秒未満) d:不動

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3-3-3-2.各項目についての概括 1、精液量:精液は精漿と精子の混合物で、精液量過少は主に精漿量の減少が反映している。精漿は 精巣上体・精管・精嚢腺・前立腺と尿道球腺により分泌される混合液体であり、その中で前立腺と精嚢 腺の分泌物が最も多い。つまりどのような原因で生じた性腺分泌減少はみな精液生成障害と精液量減少 を引き起こす。また別の面として、精液の排泄障害も射精量減少を引き起こす。つまり精液量が 2.0ml 以下の原因は、低アンドロゲン・射精障害・射精管閉塞・精管欠損症等が考えられる。 2、不液化:精液不液化とは、精液が体外に排出されて 30 分経過してもゼリー状に凝結したまま液 化しない、或は 1 時間以上経過して液化を開始する精液液化遅緩の総称である。正常な男子の精液は射 出時に一定粘度の液体を呈し、その後すぐにゼリー状に凝固し 10~20 分後には液化を開始して稀薄な 液体に変化する。もし精液凝固が変化しない或いは液化が不完全なら、精子の活動能力は大幅に束縛さ れ精子が子宮に進入して受精する能力は減弱、或は抑制されるので不妊症となる。そのメカニズムは、 前立腺が産生する蛋白分解酵素・線維素溶解酵素およびその他の精液液化因子により、精嚢腺が産生し ている凝固因子を破壊して液化が行なわれる。したがって不液化の原因は、前立腺炎による液化物質分 泌低下、テストステロン分泌低下により前立腺機能低下、前立腺の先天性疾患等がある。 3、不凝固:不凝固とは精液の射出時にゼリー状を呈さず直接液化状態になるもので、正常男子の精 液は体外へ排出された時に空気に触れて凝固過程を起こし、約 15 分後には液化を始めるが、精液が終 始稀薄なものは精子の活動に対し影響を及ぼし不妊となる。附属性腺の炎症・内分泌異常および生殖器 官の先天的な原因はすべて精液不凝固の病因となる。 3、精子濃度:精子濃度が 2000 万/ml 未満を乏精子症というが、精子の運動性・形態が正常であれ ば精子濃度が 500 万~1000 万/ml でも妊娠は期待できる。精子濃度の計測は Makler 精子計算盤を用い て行なわれ、その他に精子運動率や精子運動性を目算法で評価する。 4、総精子数:総精子数は精液量×精子濃度によって得られる。 5、精子運動率:運動精子の測定は Makler 計算盤の 100 マスの中から 10 前後のマスにある精子の不 動精子と運動精子数をカウントして、その比率を運動率とする。運動精子の分類は「精子運動性のグレ ード」で述べたように a~d の 4 つに分類される。運動精子 a+b が 50%以上かつ前進運動精子 a が 25% 以上で正常値、これに満たないものを精子無力症という。 6、正常形態精子:精子の形態異常は精巣に温度・ホルモン・血流障害・薬物などの影響が及だ時に、 幼若細胞や未熟精子が現れる。精子形態の観察は染色法により行なわれ、100 または 200 個の精子を観 察し次式により計算する。 ・精子奇形率(%)=(奇形精子数/全精子数)×100

精子の形態分類として Kruger らの Strict Criteria がある。Strict Criteria は正常精子の厳しい判定 基準を各部(頭部・頚部・中片部・尾部)について示している。

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-Strict Criteria-

頭部 ・なめらかな楕円形。

・明瞭な先体が頭部の 40~70%を占める。 ・大きさは長さ 3~5μm、幅 2~3μm* ・頭部の幅は長さの 3/5~2/3**

・従来言われていた borderline normal head form は異常とする。 頚部 ・長軸方向に結合 中片部 ・細長く、長軸方向に結合。 ・幅は約 1μm、長さは頭部の 1.5 倍。 ・頭部の 1/2 より大きな cytoplasm droplet がない。*** 尾部 ・中片部よりやや細く、長さは約 45μm で均一。 ・ coil 状を呈さない。 注*:大きさは染色法により異なる。表の数値は Papanicolaou 染色によるもので、Diff-Quick 染色による ものは長さ 5~6μm、幅 2.5~3.5μm、WHO マニュアル第3版では長さ 4~5.5μm、幅 2.5~3.5μmと している。 注**:WHO マニュアル第3版では長さは幅の 1.5~1.75 倍としている。

注***:WHO マニュアル第3版では 1/3 より大きな cytoplasm droplet がないとしている。

7、精子生存率:死滅した精子がエジオン Y 液に染色されることから算出できる。

8、白血球数:本来精液中には白血球は無く、高倍率で 1 視野当たり 5 個以上あると膿精症となる。

9、抗精子抗体:Immunized test、 MAR test により評価する。

精子奇形率については、P12 表と左図を参考 にして算出する。 精子の凝集 運動精子が互いに頭部・中片部・尾部のいず れかを接着している場合は、免疫性不妊が考え られる。

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3-3-4.内分泌検査 3-3-4-1.ホルモンについて 3-3-4-2.各ホルモンの正常値 3-3-4-2.各ホルモンの正常値 内分泌機能検査により視床下部・下垂体・精巣の機能を判断することができる。例えば T 値が標準値 以下の場合、精巣自身の障害による原発性精巣機能障害であるか、視床下部-下垂体の障害による続発 性精巣機能障害かを FSH と LH の値から判断することができる。つまり FSH、LH が高値なのに精巣 自身がそれに反応せず T 値が低いのは原発性精巣機能障害、反対に FSH、LH が低値で精巣を刺激で きず T 値が低いのは続発性精巣機能障害と判断できる。さらに詳しく調べるにはホルモン負荷試験があ り次項で述べる。 視床下部から GnRH が出て下垂体前葉へ 作用して FSH と LH が分泌され、FSH は精 巣のセルトリ細胞を刺激して精細胞発育を 促進し、LH は精巣の間質にあるライデッィ ヒ細胞を刺激してテストステロンを産生さ せる。図中の E2(エストラジオール)とは 女性ホルモンであるエストロゲンの 1 種で、 ライディッヒ細胞で作られ、T とともに視床 下部へ作用して GnRH、LH、FSH の分泌を 抑制する。 図中のインヒビンはセルトリ細胞から分 泌され GnRH、LH、FSH の分泌を抑制する。 その他、下垂体前葉から分泌されるプロラク チン(PRL)は催乳ホルモンであるが、ライ ディッヒ細胞を刺激して T の分泌を抑制する ので臨床上重要な検査項目である。

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3-3-4-3.ホルモン負荷試験 ホルモン負荷試験には、LH-RH 負荷試験・HCG 負荷試験・クロミフェン試験等がある。 1、LE-RH 負荷試験:LH-RH とは黄体形成ホルモン放出ホルモンのことで下垂体を刺激して性腺刺激 ホルモンを放出させる働きがあり、この LH-RH を静脈注射して 120~180 分の間血中 FSH、LH を測定す る試験。その目的は FSH、LH を放出する下垂体の機能を検査する。もし下垂体に障害があれば試験期間 中 FSH、LH の値は正常値以下を示し、下垂体機能が正常ならば FSH、LH の値は正常値を越える。 2、HCG 負荷試験:HCG とはヒト絨毛性性腺刺激ホルモンを指し、LH と同様の作用がありライディッ ヒ細胞を刺激して男性ホルモンである T(テストステロン)を産生する。この HCG を 3000~5000 単位、 3~7 日間連続して筋肉注射して、連日或は負荷前後に血中のテストステロン濃度を測定してライディ ッヒ細胞の機能を検査するもの。もし原発性精巣機能障害によるライディッヒ 細胞の機能低下があれ ば T 値濃度は正常値以下で変化を示さない、一方続発性精巣機能障害では負荷前の低値が次第に増加し て正常値或はそれ以上になる。正常な場合は負荷後の値は負荷前値より 2~4 倍増加する。 3、クロミフェン試験:抗エストロゲン作用を持つクロミフェンを使って視床下部へのフィードバッ クシステムを遮断させ、FSH、LH 分泌量を測定する。目的は視床下部の機能を検査するもので、方法は クロミフェンを 50~100mg7 日間連続経口投与して、投与前後の FSH、LH 分泌量を測定する。FSH が 1.5 倍、LH が 2 倍以上になれば正常反応である。 3-3-5.精索静脈瘤診断 精索静脈瘤の診断は立位での安静時と腹圧負荷時の両視触診を行い、視触診で診断できる顕性静脈瘤 は 1~3 度の分類がある。確定診断するには、静脈内血の逆流を観察するカラードップラー超音波断層 法、陰嚢部皮膚温の上昇をみる赤外線サーモグラフィーなどを行なう。 1 度:立位で腹圧負荷を加え、はじめて静脈の拡張を触知できる。 2 度:立位で静脈の拡張を容易に触知できるが、視診では分らない。 3 度:立位時に陰嚢皮膚を通して大きく怒張した静脈瘤が見え、容易に触知できる。 3-4.造精機能障害の病因病機(3-1-1で述べたのでまとめだけにする) ・内分泌障害:間脳下垂体精巣系の失調(FSH、LH の分泌低下やプロラクチンの分泌上昇など)、続発 性精巣機能障害(低ゴナドトロピン性の性腺機能障害) ・物理化学的因子:環境ホルモンによる抗テストステロン作用、放射線照射、高温度環境、ウィルス感 染、カドニュウムや鉛の重金属、有機溶剤エチレングリコールエーテル、アルコール、喫煙、その他薬 剤(シクロホスファミド等、スルファサラジン、蛋白同化ステロイド剤)など ・精索静脈瘤:精巣温度上昇、有害物質(プロスタグランディンなど) ・停留精巣 ・染色体異常:クラインフェルター症候群 ・精巣炎:成人してからの急性耳下腺炎 ・その他:外傷による血行不良や精巣捻転症、活性酸素による精巣胚細胞のアポトーシス

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3-5.男性不妊の治療方法(概要) 「3-2.男性不妊の種類と原因」で述べた項目について、治療法の概要を記述する。今回の調査は 造精機能障害が対象なので、それ以外の治療方法の詳しい内容は省略させて頂く。 3-5-1.治療法の概要 1、造精機能障害の治療:造精機能障害では、精子の数や運動率によって治療の進め方が異なる。一般 的には、薬剤治療を試しつつ、効果がみられなければ生殖補助医療へ進むことが多い。この項目は次項 で詳しく述べる。 2、精子輸送路通過障害:精路通過障害は症状によって、手術又は薬剤治療が行われる。但し時間が経 過している場合は治療後も精子が増えないことも多く、最終的には生殖補助医療へと進む。 3、副性器障害:副性器障害では結核菌やクラミジアなどの原因菌に応じて抗菌剤が投与される。抗菌 剤の投与により比較的簡単に治療できる場合が多い。 4、精子機能異常:精子機能異常では精子の不動、奇形、死滅の状態にあるので、多くは生殖補助医療 へ進む。 5、性機能障害:性機能障害では身体的な問題ばかりでなく精神的な問題が関与している場合が多い。 治療は主として薬物療法と心理療法が行われる。 - 補足:生殖補助医療について- 卵子や精子などを体外に取り出して妊娠への行 程 を 一 部 助 け る 医 療 の 総 称 を 生 殖 補 助 医 療 (ART)という。 ・ 人工授精を(AIH・AID):採取した精液を女性 の子宮内に直接送り込む方法。薬剤治療で効果が みられない場合に第一段階の治療として行われ る。 ・ 体外受精胚移植(IVF):女性の卵子を体外に取 り出し精子と一緒にして受精を待ち、受精した卵 を体内へ戻す方法。 ・ 顕微授精(ICSI 法): 顕微鏡下で 1 匹の精子を 卵子内に注入し受精させた後、その受精卵を子宮 内部に戻す方法。

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3-5-2.造精機能障害治療の内容 1、精子減少症:軽度の場合は薬が使われるがその効果は不明である。経過や状態によって人工授精・ 体外受精・顕微授精となる。 2、乏精子症:軽度の場合は薬が使われるがその効果は不明である。経過や状態によって人工授精・ 体外受精・顕微授精となる。 3、精子無力症:経過や状態によって人工授精・体外受精・顕微授精となる。 4、精子奇形症:正常な精子を選び、体外受精・顕微授精となる。 5、無精子症:精巣や精巣上体に精子が見つかれば、顕微授精となる。 以上のことから、3~5の項目は生殖補助医療が選択肢となる 3-6.調査対象(主に乏精子症及び精子減少)における薬物療法 3-6-1.ホルモン剤 1、ゴナドトロピン製剤 ・hCG 1000-5000IU:LH 作用(LH はライデック細胞に作用しテストステロンの生成を促進) ・hMG75-300IU:FSH 作用( FSH はセルトリ細胞に作用しアンドロゲン結合蛋白などの産生を促進さ せ精子形成を促進) 週に1~2回筋注、造精機能不全による男性不妊症に適応があるものは、hCG と PMS である 10 2、抗エストロゲン製剤 クエン酸クロミフェミン:25-50mg/日;視床下部のエストロゲンレセプ ターに競合的に結合し、ネガティブフィードバックを抑制し内因性のゴナドトロピン分泌を亢進させる。 大野洋介らは乏精子症患者 53 例に対しクロミフェン 50mg を隔日 1 回、3 ヶ月投与した所、29 例(55%) 改善し 9 例(17%)妊娠に至ったとの報告がある。11 3、抗プロラクチン剤 ブロモクリプチン:高プロラクチン血症による造精機能低下に適応とされる。 石井弘之らの報告では 34 例の精索静脈瘤患者に 6 ヶ月投与した所、改善率 40%だった。12 3-6-2.非ホルモン剤 1、カリクレイン カリクレイン、150~600KU/日;精子運動改善作用 2、ビタミン B12 メコバラミン(メチコバール(R))1、500~3、000μg/日;造精機能賦活作用 10

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3、漢方薬 補中益気湯、八味地黄丸、牛車腎気丸など 13 注)すべてツムラエキス剤による治療 3-6-3.精子活性化剤 1、ペントキシフィリン 射出精子に対しフォスフォジエステラーゼ阻害作用により細胞内cAMP 濃 度を高め、精子運動賦活作用を有する

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4.中医学における男性不妊の生理と病因病機

4-1.主な臓腑の生理機能について 4-1-1.腎 生理機能:1、蔵精、生長、発育と生殖 2、水を主る 3、納気を主る 1、腎は精を貯蔵する:腎は人体の生命活動を維持する基本的な栄養物質である精を貯蔵、五臓の六 腑の要求に応じて随時供給し、それらの健全な働きを維持している。その腎が蔵する精気によって、人 体の生長、発育、生殖は行われる。そして生殖用の精は、先天的な腎気が後天的な五臓の精気と結合し て生成されたもので腎精と呼ばれ、その生成貯蔵、輸送はすべて腎が管理している。 「精」は「先天の精」と「後天の精」とから成り立ち、機能の上からは「精気(正気=気・火・津液・ 血を包括した概念)」と「腎精(生殖の精)」とに分類される。 2、腎精:精には先天の精と後天の精があり両者は相互関係にある。先天の精は父母から授けられた 生殖の精であり、後天の精は飲食物が脾胃で化成されて作られたものである。両者は互いに助け合い腎 の中で強く結合して、腎中で精気と腎精になる。精気は気・火・津液・血を包括した概念であり、五臓 に広く分布していて人体を構成し生理機能を営み、外邪から身体を防衛するものを指す。そして腎精は 人体の成長・発育をコントロールし、生殖活動の源泉となる「生殖の精」を指している。 3、天癸:天癸は生殖機能の成熟を促す物質であり腎気と密接な関係がある。天癸は腎中の精気によ って化生し、腎中の精気(腎精)が一定程度まで充満することにより生じる産物である。もし天癸を西 洋医学で解釈するならば、性ホルモンにあたる物質と考えられる。さらに男性では精子産生にあたり、 女性では排卵と月経の機能を指す。天癸の主な生理機能は、人体の生殖機能を促進し維持することであ る。人体内では 14 歳(女子)、または 16 歳(男子)前後から腎中の精気が絶え間なく充満して天癸を産生 する。 天癸が作用し始めると腎気は旺盛となり、任脈が通じ太衝脈が充満して性機能が成熟する。そして、 女子では月経、男子では射精という現象が現れ生殖能力が備わる。その後年齢が増し中年から老年に至 ると、腎中の精気は次第に衰退し、天癸の生成が減少するに従って男子では精液の減少、女子では月経 停止が起こり生殖能力は失われていく。このように腎中の精気の盛衰によって、天癸の化生すなわち生 殖機能は影響を受ける。また腎中の精気の盛衰は精を貯蔵する腎の機能に依存しているため、もし腎の 機能に異常があれば天癸の化生は影響を受け、女性の不妊症や男性の精子減少など生殖機能の病変が生 じる。 4-1-2.肝 生理機能:1、疏泄を主る 2、蔵血を主る 1、肝は思推の中枢:肝の性質は剛強で、肝は病邪を防ぐ一切の思慮、計謀を司る。つまり、肝は思 推活動の中心であり、人が思考思索をめぐらすことのできるのは肝のためである。この肝に異常が生じ ると思推活動が鈍り、ぼんやりとして、無気力になることが多い。

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2、情志の調節:中医学では人の情志活動はすべて「心の神明を主る」という生理機能と関係がある と考えられているが「肝の疏泄」とも密接な関係がある。肝の疏泄機能が正常であれば、気機は正常に 働き、気血は調和し気分も良くなる。しかし肝の疏泄機能が失調すると情緒に変化が起こりやすくなり、 抑鬱か興奮状態になる。肝気が鬱結すると憂鬱状態になり、昇発しすぎるとイライラし易くなり怒りっ ぽくなる。これらは肝の疏泄機能が情緒に及ぶ影響である。一方、外界の精神的刺激、特に「怒」は肝 の疏泄機能に影響を及ぼしやすく、これにより肝気鬱結、或いは昇泄過多の病理変化が起ることもある。 4-1-3.心 生理機能:1、血脈を主る 2、神志を主る 1、心は神に通ず:心は精神の中枢であり、すべての生命活動は心により統率されている。心の生理 機能が正常で気血が充足していれば精神は安定し、意識や思考もしっかりするので物事に対する反応も 速い。もしこの心に病変が生じると、動悸、恐怖、不眠、健忘、胸苦、譫語、意識の昏迷、認知障害な どの精神状態の乱れとして現れる。 2、心と腎の関係:心は火を主り、腎は水を主る。心と腎は、昇降関係にあり、正常な状況下では心 の陽は下に降って腎の陽に交わり、腎陽を助けて腎水が冷えすぎないように温めている。また腎の陰は 上に昇って心に至り、心陰を滋養して心陽が亢進し過ぎないように冷やしている。このように心と腎の 間には相互制約、相互依存の関係があり、この関係は水火既済または心腎相交、心腎相通と呼ばれてい る。この関係が失調すると心腎不交の病態が現れる。例えば腎陰が虚して心に上昇できなくなり、心陽 が心陰の衰退とともに高揚し、イライラしたり、不眠になったりなど、いわゆる心火熾盛の症候が現れ、 これが内熾してしまうと心陽は腎と交わることが出来ずかえって腎陰を吸収し心腎不交の状態となり イライラする、心悸、腰痛、遺精などの症候が現れる。 4-2.外因 4-2-1.火・熱 1、炎上性:火熱は炎上する特性があるので火熱による病には高熱、煩渇、顔面紅潮、目赤などの症 状が表れる。精子は熱に弱く高熱などが続くと死滅し、また睾丸の造精機能も失調する。 2、気津損傷:火熱の邪は津を体外に追い出すだけでなく陰液を焼灼し、人体の陰津を最も消耗しや すい。そのため津液損傷による陰虚証を引き起こす。腎の陰虚は特に精子の減少と係わりが深い。また 火熱の邪は元気を消耗しやすいので倦怠、精神疲労、乏力などの気虚の症状を随伴することが多い。こ のような状態は精子の運動力低下に影響を及ぼす。 4-2-2.湿熱 湿熱が長引くとこれが腎陰に及び、精液を栄養できなくなる。その上精液が熱を受けて煎じられ、 膠のような状態になると不液化を発症する。また熱により精子の奇形率も高くなりやすい。その他、 湿熱が下注して男性の精室の阻滞を引き起こす。

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4-3.内因 4-3-1.情志の失調(ストレス) 情志が不安定な状態は病状の悪化を加速させる:過度の情志変化は臓腑気血の機能に影響を及ぼす一 方、臓腑気血の機能が失調すると情志の変化を引き起こしやすくなり、この情志因子が再び人体に悪影 響を与え病状を悪化させる。情志が内傷すれば肝気は疏泄を失常して、気滞血淤か気鬱化火から傷陰と なる。また男性の性機能をコントロールしている男性ホルモンはストレスの影響によって、その分泌量 が低下してしまう。テストステロン値が低下すると、精子数減や精子の運動率低下を引き起こす。 4-3-2.思 気結する:思慮しすぎると気機を鬱結させ心神が消耗し、これが脾気にも影響する。脾気を損傷する と運化無力になり精子量減少と運動能力低下につながる。 4-4.不内外因 4-4-1.飲食不節 過度の飢餓は気血の生化が不足し長引くと気血両虚を引き起こす。反対に過食による脾胃の損傷や、 脂っこいもの、甘い物などは内熱や火を生じ易くさせ湿熱を引き起こす。 4-4-2.労倦 労力過度:過度の労働による気血の消耗が長期間続くと気血両虚になる。 心労過度:過度のストレスは心と脾を損傷、そのほか男性ホルモン低下を引き起こす 4-5.瘀血 瘀血は疾病過程で形成された病理産物であるが、これは全身的な循環不全と局所的な血流停滞、内出 血などを指す。男性不妊における瘀血にはおもに 2 つあり、一つは精索静脈瘤があげられる。これは陰 嚢静脈から精管静脈にかけての静脈が変形した状態で陰嚢部にみみず腫れのようなものが見られる。2 つめは微小循環障害によるもので、瘀血により睾丸機能の低下で十分な精子が作れなくなることである 4-6.臓腑気血弁証 4-6-1.腎精不足 腎精不足は腎精虧虚で現れる証候で、男性不妊の精子減少の多くがこの証候で現れる。腎精は生長発 育生殖の本であり、腎精不足では気血の化生が影響され、生殖機能における精子減少或いは活力低下、 性欲減退などの障害が見られる。また腎精が不足すると男性ホルモンの分泌が低下し、同じく精子数減 や活力低下を引き起こす。 4-6-2.腎陰虚 腎陰虚は腎の精と陰液不足で現れる症候で、精の減少による男性ホルモン低下で生じる精子減少や、 腎陰が不足したため陽気が相対的に余り、虚熱によって陰液が灼かれるため更に精液の産生が不足し、 粘度が増して精子の運動が障害される。また陰が不足すると相対的に陽が亢進した状態になるので、体 には熱の症状が出る。この場合の熱は虚熱の内生によるもので、陰虚火旺と呼ばれ陰虚によって火が旺 盛した状態になっている。

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4-6-3.腎陽虚 腎陽虚証は腎陽虚衰で現れる証候で、腎陽不足で命門の火が衰えると生殖機能と固摂機能が低下する。 そして精と陽気が不足した状態であるから、精子を培育する能力と運動力の低下が見られる。 4-6-4.気血両虚 気虚と血虚が同時に存在する証侯で、気虚では全身の機能や活動が減退し、血虚では血の全身を滋養 する作用が失われる。気は血を生み、血は気を生み出すことから、進行すると気血両虚になる。だから 慢性疾患や過労、虚弱体質などで脾の運化機能が低下すると、気血の産生不足から気血両虚となり、精 の生化の源が失われ、生殖能力が衰える。性欲低下や精液量が少なく、不眠や頭のふらつきなどの症状 が伴う。 4-6-5.肝気鬱結 肝気鬱結証は、肝の疎泄機能が失調し、気機が鬱滞することによって生じる証候で、精神的ストレス でイライラする、または緊張などにより肝気が鬱結して疏泄が乱れると気血の流れが悪くなり血瘀を生 じる。 参考: 14 4-7.主な病因病機の治療原則 男性不妊の本質は本虚標実である。治療原則は治本:益腎、補陰、填精、壮陽、補気、養血等と、 治標:活血、化痰、清熱、利湿、解鬱などで治療する。 ・ 腎精不足-補腎填精、補益腎精 ・ 腎陰虚-滋陰補腎、填精種子 ・ 腎陽虚-益腎温陽、佐以補精 ・ 気血両虚-益気健脾、養血生精 ・ 肝気鬱結-疏肝解鬱 ・ 心腎不交-清心泄火、滋陰安神 ・ 湿熱下注-清熱利湿、消腫解毒

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5.調査対象の臨床例と報告

5-1.鍼刺療法 5-1-1.鍼灸治療精液不液化症32例臨床小結15 刘酷は鍼刺治療精液不液化症32例を行い、主穴に関元、中極、腎兪、三陰交穴、陰虚火旺型には太溪、 泻 照海、神門を加えて補法を、湿熱下注型は次髎、会陰、陰陵泉、豊隆を加えて 法を隔日1回、1O回1 クールとした。結果:治癒26例、好転6例であった。 5-1-2鍼刺治療少精不育128例16 庞保珍らはl994.6~2003.12までの期間で少精不育128例の患者に鍼刺治療を行い検証してみた。128 例を弁証したところ腎陽虚証45例、腎陰虚証53例、痰湿内蕴証10例、肝郁血瘀証20例となった。治療は 主穴:腎兪、関元、脾兪、足三里。随証配穴として腎陽虚者は命門、腎陰虚は太溪;痰湿内蕴或は肝経 泻 湿熱には太衝、陰陵泉、肝郁血瘀には血海、期門を加えた。操作方法は平補平 法で毎日1回、25日を1 クールとし、クール間は7日間休みを入れた。4クール終了後、効果を検討してみた。結果は治癒42例、 有效76例、無效10例、総有效率は92.19%。妊娠に至ったものは42例であった。 5-1-3.鍼推療法治療男性肝気郁結型不育症17 陈封は1998年9月~2001年l1月までの期間で、鍼刺加点穴按摩療法治療を肝気郁結型男性不育症79例 に行い観察した。治療方法は疏肝解郁を主に補腎壮陽も行い任脉、督脉、足厥陰肝経を中心に治療した。 鍼灸主穴:関元、曲骨、肝兪、腎兪、内関、太衝、三陰交、陽陵泉。腹、背部穴位は平補平泻、四肢穴 泻 位には 法をして留鍼15分。毎日1回、10日を1クールとした。推拿処方:点穴按摩関元、気海、腎兪、 肝兪、内関、太衝、期門穴。平補平泻で持続刺激20分、 隔日1回行った。 結果、治癒(治療後妊娠)37例で全体の46%、有效(症状改善)25例で32%、無效(改善なし)l7例で22% となった。 5-2.灸療法 5-2-1.隔姜灸治療腎陽虚型精子活力低下55例18 韪 朱 は隔姜灸を関元、腎兪穴に施灸する方法で腎陽虚型の精子活動力低下患者55例を観察した。治療 前は活動精子数(射精後1h)が9例<70%、11例<60% 、35例<50%であった。治療方法は主穴:関元、 両腎兪。 治療は中等艾炷隔姜灸を用い.毎回治療時に施灸5壮で施灸後は局所が軽く発赤する程度を行った。 毎日一回施灸を15日続け5日間休む。これを3クール行った。 結果:55例中、41例>70%、4例>6O%、3例>50%、7例<50%で有效率は74.5%であった。 5-2-2.祛痰衍嗣丹贴 脐灸治療男性不育136例19 庞保珍らは1994年3月~2003年l2月までの男性不育136例の患者に対し祛痰衍嗣丹贴 脐灸治療を行い 経過観察した。136例中、WHO指標で精子濃度が重度者46例、中度者60例、軽度者30例。精子活動力低下 の重度者30例、中度者70例、軽度者36例であった。治療方法は中薬人参30g、淫陽藿30g、菟丝子30g、 陈皮30g、半夏30g、云苓30 g、枳实30g、 前子20g、麝香1g、生姜片10片~20片を艾炷状にして42壮(黄车 豆大)行った。3日で1回使用し10回1クールとした。結果136例中、治癒50例、顕效43例、有效36例、無 效7例、総有效率は94.85%だった。

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5-3.鍼灸療法 5-3-1.鍼灸治療54例男性不育症臨床観20 钱志云は男性不育症54例に対し鍼刺艾灸結合療法を行い、主穴:中極、関元、足三里、三陰交、鍼刺 後に灸を30 min加えた。結果54例男性不育症中、治癒30例、有效13例、無效11例、総有效率は79.63% 、 治療最長時間は3ヶ月、最短は1ヶ月、平均治療は20.5回だった。 5-3-2.鍼灸治療精液異常男性不育症86例21 岳广平は 87 例精液異常不育症者に鍼刺艾灸結合療法を行い、主穴:1、関元と足三里 2、腎兪と 三陰交、両組穴位を交互に用い、腎陽虚者には、鍼刺後に関元或は腎兪穴に清艾条施温和灸を用い 20 min、 腎陰虚者には、太溪穴に鍼刺捻転補法を行った。また痰湿或は瘀血を兼ねた者は八髎 、中極、血海に 泻 鍼刺 法を行い、これを毎日 1 回、3 个月を 1 クールとした。結果 87 例中、治癒 46 例、顕效 23 例、 有效 13 例、無效 5 例、総有效率は 94.19%だった。 5-3-3.鍼灸治療男性不育症36例22 罗琳は男性不育症36例に対し鍼刺艾灸結合療法を行い、主穴1、関元、足三里、三陰交 2、腎兪、 志室、太溪を用い、鍼刺時に関元と腎兪両穴に得気を得たあと烧山火手法を行った。隔日行い、その間 に隔姜灸を主穴、艾条雀啄灸を配穴に施灸し、鍼刺と交代して行った。結果36例中、治癒2O例、顕效1 2 例、有效3例、無效1例、総有效率は97%だった。 5-3-4.鍼灸弁証治療男性不育症83例療效観察23 廉玉麟らは男性不育症 83 例患者を 4 つの分類で中医弁証して検討した。 惫 ①腎陽虚 型:治療は温腎壮陽で、主穴:命門、関元、大赫、中髎、足三里、太溪に毫鍼で補法、命門、 関元、足三里に灸を加えた。 ②腎陰不足型:治療は滋陰填精で、主穴:腎兪、関元、気海、精宮、三陰交に毫鍼で補法。 ⑧気滞血瘀型:治療は理気活血で、主穴:中極、陰廉、太衝、行間、三陰交に毫鍼で泻法。 蕴 ④痰湿内 型:治療は蠲湿去痰で、主穴:中極、精官、気穴、太白、陰陵泉に毫鍼で泻法。 結果 83 例中、治癒 56 例、好転 19 例、無效 8 例、総有效率は 9O.4%。1クール最短者2ヶ月、最長 者14ヶ月、平均クールは 4.5 ヶ月だった。 5-3-5.鍼灸併挙治療男性不育症189例臨床探討24 陈 鹏は男性不育症 189 例の不同証型患者に鍼灸治療を行い観察した。 ①腎陽虚衰型:治療は益腎温陽で、主穴:志室、腎兪、命門、気海 ②寒滞血瘀型:治療は活血化瘀と温通経脉で主穴:志室、腎兪、気海兪、命門、気海、関元 ③腎陰虚損型:治療は滋益腎陰で主穴:志室、腎兪、照海、三陰交、関元 以上を提插補法で鍼刺、艾灸を気海、関元両穴に毎日 1 回、12 回を 1 クールとした。臨床有效 169 例で無效 3 例。有効の 169 例中、腎陽虚衰型を 107 例が占め、寒滞血瘀型が 35 例、腎陰虚損型 27 例だ った。治療最長者 5 クール、最短 3 クール、そのうち妊娠者 128 例であった。腎陽虚衰型の効果は良好 で、寒滞血瘀型及び腎陰虚損型との相対も僅差だった。

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5-3-6.鍼灸治療精液異常症的臨床検験与観察25 王雪迎らは精液異常男性不育症 106 例に鍼刺艾灸結合療法を行い、主穴:1、次髎、腎兪 2、関元、 陰陵泉、三陰交 3、足三里、大赫、蠡沟の 3 組を交互に使用し、温鍼灸或は隔姜灸を腎兪、関元、足 三里に併用した。3 ヶ月治療後、妊娠 52 例、妊娠率 49.1% 、総有效率 89.6%だった。 5-3-7.鍼灸は主治療不育症54例療效観察26 贺心云は鍼刺配合薬物治療を用い54例の男性不育症を治療した。主穴:1、気海、中極にパルスを加 え、関元に灸頭鍼、精宮、三陰交、足三里、神庭、百会 2、腎兪にパルスを加え、命門に灸頭鍼、気 海兪、次髎、腰陽関、三陰交、足三里、神庭、百会を交代で25日続けて治療し、3—5日休息を3ヶ月続け、 これを1クールとした。同時に氯米芬25mgを25日服用し、5日休んだあと再度服薬を開始した。結果2ク ール終了後54例中、治癒3O例、顕效10例、有效10例、無效4例、総有效率は92.6%だった。 5-3-8.鍼灸治療302例精子異常療效観察27 任民杰らは1988—08~2006—03の期間で来院した精子異常患者302例に鍼灸治療を行い観察した。治療 は主穴:1、関元、気穴、三陰交、内関、 2、命門、腎兪、太溪、足三里、侠脊穴を使用し、提插捻 転手法を用いて会陰部に得気を得るよう行い、1と2をそれぞれ5日間交互に治療したあと5日休みとした。 これを10回1クールとし3クール後観察した。結果、総有效率は93.1%であった。 5-3-9.鍼灸治療精液不液化症48例小結28 杨仲歧は精液不液化症患者48例を鍼灸治療し経過を観察した。48例で証型が2つに分かれ、陰虚火旺 者が25例、湿熱下注者が23例であった。治療原則は陰虚火旺者には調補腎陰で補法を行い、湿熱下注者 泻 には清泄湿熱で 法を行った。主穴:関元、中極、腎兪、三陰交。陰虚火旺者には太溪、照海、神門を 加え、湿熱下注者には次髎、会陰(或曲骨)、陰陵泉、豊隆を加えた。操作は関元、中極、曲骨を刺針時 に斜刺で1 5~2寸、捻転手法を採用した。陰茎或は会陰部に得気を得た所で止める。また他の腎兪、三 陰交等も同じく得気を得るよう刺鍼した。間隔は隔日1回行い、10回1クールとする。結果は48例中、治 癒34例で全体の70.8%を占め、好転14例で29.2%を占めた。その内妊娠に至ったものは14例で全体の29.2% であった。 5-3-10.鍼灸治療男性不育症 34 例29 镇 余 北は鍼灸治療にて男性不育症 34 例の患者を治療し検討した。主穴:1、项 丛刺(下脳戸、風府、 亞門)。下脳戸は乳突根部分を 6 等分した所の刺激点で共に 15 点刺激。毫鍼 25 mm を用い、垂直鍼刺 4~8分、切忌捻転を行い得気を得る。2、骶丛刺:八髎穴の処で毫鍼 40mm を用い上髎、次髎に鍼刺深 度 1 寸、中髎、下髎は 1 寸~5 分。毎穴鍼 3鍼呈齐刺状、共に 24 鍼。不做過重手法で人骶孔内への放 散痛は認めなくても良い。3、体鍼:中極(両)、三陰交(両)、太溪(両)。中極には陰茎周囲に得気を得 烧 るよう 山火手法を行った。結果は臨床 34 例中、治癒 25 例、好転 6 例、無效 3 例、有效率は 91.18% であった。

参照

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