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この社会の変革時に,特に医療体制の在り方が論じられてる時期に東京都薬剤師会の 理事に就任することになりました事は,身の引き締まる思いであります。 この原稿を依頼されまして今までの私の人生を思い起こしますと,いまさらながら多 くの人との出会い貴重な教訓を得ました。 この経験が現在の私に大きな影響をもたらしております。多くの人から得ました教え から薬剤師として今日まで職能にプラスに影響している点を記述したいと思います。 私にとって人との出会いは両親を除いて,アメリカへ渡った伯父から始まります。 世の中で人の役に立つ人間になれと言われました。この言葉は幼い心に強く響き,第 二次世界大戦が終わって疎開先から東京に戻り,この伯父の手紙により教会に行くよう になりました。一日一善と人のために何が出来るかとよく考えていましたが,そのよう な心掛けで毎日を過ごす事は困難でありました。 高等学校にはいるとM先生に出会いました。先生は常に「真実を見抜く力をつける様 に心掛けよ」と言われ,何が真実であるかをよく考えて,他人の話をそのまま鵜呑みに しないように指導されました。 薬科大学に入り薬理学のT教授に出会いました。先生は薬理学の指導の傍ら,教授室 でお抹茶を立てて下さったり,またグルメの方でもあって,有名なお店に連れて行って いただきました。そうした中で折に触れ薬理の実験について話されておりました。特に 印象に残っているのは,医薬品の作用は薬理実験で証明できるが方法によっては誤った 判断をしたり,異なる結果が示されることがある。よって,研究設計にはこの事に対し 十分に配慮し,研究レポートを読む場合には注意して理解する必要があるという話です。 現在,製薬会社から示される薬理データについて誤った考察をしているのを発見したり, 実験結果の考察に疑問を感じたり,誤った方法を用いているのではないかと思われるこ とも有りますが,これは先生の指導の賜物であります。 その後,大学病院の薬剤部に研究生としてはいるとN教授にお会いしました。先生は 「患者に対しては健康体の人とは異なるので心から誠意を持って応対しなければならな い」と言われました。また,薬の説明にしても「相手の立場に立って言葉を選び,分か

一期一会

随 想

社)東京都薬剤師会 理 事 

まつ

よし

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りやすく話す事が必要で,薬剤師が日常なにげなく使用している言葉でも患者には理解 しがたい事があるのではないか,多くの言葉を弄しても何の意味も持たない」と言われ ました。 更に「調剤行為に当たっては身なりを整えて気持ちを入れて調剤をすべきで,多忙に 追われて処方箋の処理のみに終始してはならない」と言われました。今日,インフォー ムドコンセントが言われ,患者への服薬指導の在り方が叫ばれていますが,薬の適正使 用の為に十分な服薬指導が大切であることを既にN先生は若い薬剤師にたいして指導し ていたのであります。 さらに「保険薬の購入に際しては値引きのみを追求するのでなく,迅速な供給が出来 るかを含めて考えてデイラーを選定し,薬価差のみを求めてはならない。薬剤師は適正 な技術料があれば良い」と言われました。「その為には,薬剤師は患者が薬を服用しやす く,かつ薬効を十分に発揮するように調剤技術の向上を図ることが大切である」と述べ られていました。 ある時,薬剤部の薬剤師を集め,錠剤やカプセル剤の服用に際し必ず水や白湯で薬を 飲む人は何人いるか調査したが,約半数近くの人が錠剤をそのまま服用しておりまして, 「自ら薬を正しく服用していなければ,患者に対して服薬指導を十分には行えない」と諭 されました。N先生は私にとって大変尊敬する人の一人で今日まで私の薬剤師としての 心構えに大きく影響しております。 その後,転勤となり移動先の病院にM先生が調剤主任としていらしゃいました。M先 生は旧陸軍の薬剤官だった人で,陸軍病院での話を良くされていましたが,その当時薬 剤師は多くの知識をもって幅広い仕事をされていた。医薬の知識のみならず医療用具や 医療材料についても深い知識を要求されていたとの事で色々と教えられました。 その後,教授のアドバイスで外資系製薬会社に転職し,製剤の研究に従事したが,そ の時のボスがR氏でありました。製剤機械の設計・組立から工場経営学に至るまで全て をこなす人でした。一般的に日本人は一つの領域に深く精通している人が多いですが, マルチタイプの人で,それも確実に仕事をこなす人は少ないと思います。 後に,開発部長となりヨーロッパ各国の製薬会社の研究者の人達とお会いする機会が ありましたが,R氏だけでなく多くの人がそうである事を認識しました。 この様に思い起こすと多くの人に会い多くの事を学びましたが,既に来世に旅立った 人も大勢いるような年輪を私も重ねました。しかし,これからも人との出会いを大切に して行きたいものであります。 患者さんに対しても,茶道の一期一会の心を持って接し,応対すれば服薬指導一つに しても誤解を招くことはないであろうと思います。

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家庭内暴力の果てのバット殺人事件,学校内ナ イフ殺人事件などが紙面を賑わす今日この頃で す。小児の精神科を専門とする私どもの病院でも, 「落ち着きなく,集中力を欠き,カーッとなりや すい」小児の来院が増えています。これらの来院 児 の 診 断 の 中 で 注 目 を 浴 び て い る の が A D H D (Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)です。 当院の統計では,これらの診断基準にあてはまる 外来初診者の割合は,10年前の約4.5%から約 13%に増加しています。(図1参照)

1.どんな障害でしょうか

興味のあることには集中可能ですが,嫌いなこ とや,よく分からないことにはほとんど関心を示 さず,落ち着きを欠く子どもが以前から知られて いました。これらのうち多くの子どもは長ずるに つれて落ち着きを取り戻し,同年令児と大きな違 いは認めなくなります。しかし,小学校高学年に 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 0 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 14 12 10 8 6 4 2 ADHD 総数 西暦 図1:外来初診者の変遷(18歳未満)

話題

ADHDの医療最前線より

―注意欠如多動性障害―

東京都立梅ヶ丘病院

市川

いちかわ

宏伸

ひろのぶ

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なっても変わりなく,他児との関係がうまくとれ ず,衝動性を増してくる子どもが以外に多いこと が最近指摘され,教育現場を中心にその対応が問 題になっています。児童青年精神医学では,“注 意欠如多動性障害”や“多動性障害”として取り 上げられています。 歴史的には,1920年代後半から脳炎の子どもの 後遺症として多動が報告され,1930年代には多動 を主徴とする症候群が提唱されました。1937年に は中枢刺激剤のアンフェタミンが多動性に有効で あると報告されています。

2.どんな症状があるのでしょうか

不注意,多動,衝動性などが就学前までに生じ て,その後も持続する一群です。不注意には,注 意の集中時間が短いこと,注意の方向がすぐに変 わること,注意の不足に基づく過ちが多いことな どがあげられます。多動はその内容から,離席な どの移動性の多動と手足をモジモジさせるなどの 非移動性の多動に分けられます。衝動性には,順 番が待てない,他人の行動に割り込む,過度のお しゃべりが目立つなどがあげられます。これ以外 に不器用さを認めることも珍しくありませんが, すべての症状が揃っている必要はありません。年 令が上がるに従い,多動は表面的に目立たなくな りますが,特定の興味あることを除けば,集中力 の欠如や持続力の不足は続きます。知的遅れはほ とんどないのに,学業成績は低く,科目間のバラ ツキが大きいのが特徴です。学校では,能力があ るのに努力を怠る子どもとされ,先生からは叱ら れることが珍しくありません。社会的常識が不十 分なため,注意や遠慮が不足して,良好な対人関 係を築くのが苦手です。小学校高学年以上では, 集団から外れて“いじめ”の対象になったり,家 庭でも学校でも叱られ続けるため,挫折感や劣等 感が強まり,結果として衝動性が昂進する場合も あります。 随伴する症状には,チック症状(不随意で突然 に起こる,反復される非律動性の常同的な運動あ るいは発声)や強迫症状(その行為を無意味で効 果のないものと認識しながら,何度も繰り返され る常同行為)などが知られています。これらの症 状の共通性については,病因をめぐってなんらか の関連性が示唆されています。衝動性の高い症例 では脳波異常を伴うこともよく知られています。

3.診断はどのようにするのでしょうか

最近の小児精神科の診断基準は,多くの研究者 の約束事に基づく,操作的診断基準が使われます。 こ の 診 断 基 準 に は , 米 国 精 神 医 学 会 が 作 っ た DSM−Ⅳ(Diagnostic and Stastical Manual of Mental Disorders,Fourth Edition)と世界保健機 構 ( W H O ) に よ る I C D − 1 0 ( I n t e r n a t i o n a l Classification of Diseases,Tenth Edition)があり ます。 DSM−Ⅳ診断では,注意欠如破壊性行動障害 の中に注意欠如多動性障害(ADHD)を設けてお り,診断基準としては,他の精神疾患や重度の精 神遅滞によらず,特徴的な集中困難,衝動性,多 動の症状を呈し,7才未満に発症して,少なくと も六ヵ月以上続くものを挙げています。(表参照) ICD−10では多動性障害という項目を設け, 「早期に発症し,認知の関与を必要とするような 活動を持続できず,一つの活動を終わりまで成し 遂げることなく次々に別のことに移り,まとまら ず,統制を欠いた過動を伴う」ことを特徴として います。不注意,過活動,衝動性が六ヵ月以上持 続し,発症が7才以前であり,家庭,学校,診察 室などのうち二ヶ所以上で出現することが必要で す。DSMの注意欠如多動性障害と臨床的には大 きな違いは認めません。類似の診断としては, MBD(Minimal Brain Dysfunction:微細脳機能 不全),LD(Learning Disabilities:学習障害)が 知られてます。 小児神経科の分野では落ち着きを欠き,手先が 不器用で,集中力・持続力が乏しく,学業が知的 水準に比べて低く,行動異常を生じやすい子ども 達をMBD(微細脳機能不全)と呼びましたが, 微細な神経学的異常(Soft Neurological Sign:ソ フトサイン)以外に積極的診断基準を欠くため近 年この呼称は使われなくなってます。 教育の立場では,知的水準に比べて極端に学力 が劣ったり,科目間のバラツキが見られたり,授 業に集中できず,落ち着きを欠く一群を学習障害 (LD)と呼んでいます。狭義には,学習能力の正 常な習得パタ−ンが発達早期から損なわれる障害

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A.(1)か(2)のどちらか: (1)以下の不注意の症状のうち6つ以上が,少なくとも6ヵ月以上続いたことがあり,その程 度は不適応的で,発達の水準に相応しないもの: 不注意 (a)学業,仕事,または他の行動において,しばしば綿密に注意できない,または不注意な 過ちをおかす。 (b)課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。 (c)直接話し掛けられたときに,しばしば聞いていないように見える。 (d)しばしば指示に従えず,学業,用事,職場での業務をやり遂げることができない。 (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。 (f)(学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することを,しばしば避 ける,嫌う,または嫌々行う。 (g)(例えばおもちゃ,学校の宿題,鉛筆,本,道具など)課題や活動に必要な物をしばし ばなくす。 (h)しばしば外からの刺激によって,容易に注意をそらされる。 (i)しばしば毎日の活動を忘れてしまう。 (2)以下の多動性−衝動性の症状のうち6つ以上が,少なくとも6ヵ月以上続いたことがあり, その程度は不適応で,発達水準に相応しない。 多動性 (a)しばしば,手足をそわそわと動かし,または椅子の上でもじもじする。 (b)しばしば,教室や,その他,座っていることを要求される状況で席を離れる。 (c)しばしば,不適切な状況で,余計に走り回ったり,高い所に昇ったりする。 (d)しばしば,静かに遊んだり,余暇活動につくことができない。 (e)しばしば“じっとしていない”または,まるで“エンジンで動かされる様に”行動する。 (f)しばしばしゃべりすぎる。 衝動性 (g)しばしば,質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう。 (h)しばしば,順番を待つことが困難である。 (i)しばしば,他人を妨害し,邪魔する。(例えば会話やゲームに干渉する) B.多動−衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳以前に存在し,障害を引き起こしてい る。 C.これらの症状による障害が,2つ以上の状況において(例えば学校〔または仕事〕と家庭) 存在する。 D.社会的,学業的または職業的機能において,臨床的に著しい障害が存在するという明確な証 拠が存在しなけらばならない。 E.その症状は広汎性発達障害,精神分裂病,または,その他の精神病性障害の経過中にのみ起 こるものではなく,他の精神疾患(例えば気分障害,不安障害,解離性障害,または人格障害) ではうまく説明されない。

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であり,精神遅滞,後天的な脳の器質的障害,学 習機会の欠如などで説明できない時に使用され, 読字障害,算数障害,書字表出障害が知られてい ます。これらの子どもの多くに多動,不注意,不 器用,衝動性などの行動上の問題が出現すること が知られています。いずれの概念も視点が異なり ますが,かなり重なりあう状態をさまざまな側面 から観察していると考えられています。 似たような症状を一時的に示すため,鑑別を必 要とする診断には,常同運動障害(重度精神遅滞 を伴う小児が多動や注意に大きな問題を呈し,し ばしば常同行動を有する),知的能力の高い広汎 性発達障害(多動や不注意は類似するが,独特の 言語などコミニュケ−ション・パタ−ンが異なっ ている),行為障害(反復し持続する反社会的, 攻撃的,反抗的パタ−ンを有し,衝動性の昂進や 多動は類似しているが不注意は目立たない),躁 病,うつ病,不安障害などがあります。 知的水準が低い場合は自己統制が悪く,結果と して注意持続の困難,多動,衝動性の昂進などを きたしやすいと考えられています。ADHDと診断 する場合は,精神遅滞は伴わないか,あっても軽 度とされています。また知能検査の下位項目を調 べるとバラツキの多いことが報告されています。 診断の精度をあげるため,生理学的・生化学 的・心理学的検査が行なわれています。40∼90% に軽度の脳波異常が報告されており,その内容は 基礎律動の異常が中心ですが,30∼50%で発作性 波の出現があるとされています。ADHDに特異的 な異常波の報告はありませんが,衝動性と関係が あるとされている,特徴的な陽性棘波(positive spike)の出現などが知られています。知能検査 (WISC−R:Wechsler Inteligent Scale for Child)

においては,言語性得点(学習など積み重ねて獲 得される知識)と動作性得点(日常の生活の中で いつのまにか獲得される知識)の解離や下位項目 のバラツキが指摘されています。10∼25以上の言 語性得点と動作性得点の解離は,なんらかの認知 の偏りを示唆するとされ,これらは集中力の欠如 に関係すると考えられています。同じく認知機能 に 関 係 す る 指 標 と さ れ る , 言 語 学 習 能 力 検 査 (ITPA:Ilinois Test of Psycholinguistic Abilities)

における視覚性と聴覚性回路の解離も意味がある とされています。微細な神経学的検査における異 常なども,ADHDに基づく不器用さの指標として 挙げられています。これらと上記の診断基準を総 合的に勘案して,より的確な診断を行なうように 努めています。

4.疫学・予後・原因については

どんなことが分かっているでしょうか

多くの症状は幼少児期から出現していますが, 典型例を除くと就学前に診断できないこともあり ます。国により報告は異なりますが,有病率は学 齢期の3∼5%とされており,男女比は4∼9: 1で男子に多いとされています。 成長するにつれて,多動は目立たなくなります が,注意集中・持続力の欠如は続きます。忘れ 物・不注意の多さ,指示された際の学習効果のな さ,知的レベルと学業成績の解離なども目立ちま す。周囲からは「素直でない」,「怠惰である」な どの評価を受け,自己評価が低下したり,衝動性 が昂進することもあります。多くの場合,同年令 児の気持ちを思いやることは苦手で,良好な友人 関係の成立が困難です。小学校高学年以上では集 団に入るのが難しく,特別視されて“からかい” や“いじめ”の対象になることもあります。以前 は長期的予後は良好とされていましたが,3∼4 人に一人は青年期以降も障害を残して,行為障害 や反社会的行動に至ることもあるとされます。 これまでの報告から,いくつかの原因が考えら れています。最初に報告された例は脳炎後遺症で したし,極端な栄養障害,頭部外傷の後遺症,一 酸化炭素中毒,鉛の慢性中毒などが原因と推測さ れる例もありました。これらは,生後に罹患した 疾患により,脳に機能的障害がもたらされたと推 測されるものです。一方,低体重出産,新生児仮 死,重症黄疸など周産期の異常がなんらかの関与 をしていると考えられる場合もあります。これ以 外にも,家族的賦因や,染色体異常などの遺伝的 検討も行なわれています。しかし先天的にも後天 的にも,はっきりとした原因の特定できないもの がほとんどです。

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て用量の増加を防ぎます。副作用としては,食欲 の低下,衝動性の昂進,チック症状の出現などが あり,この場合には減量または薬物の変更を行な います。思春期以降では,幻覚・妄想など精神症 状が報告されているため,注意して投与する必要 があります。国内では,義務教育年令者が通常は 対象ですが,米国では,成人に投与しても有効で あるとの報告があります。リタリンによる著明な 改善が約30%,軽度の改善も含めれば70%近くに 有効です。しかし,厚生省では,この薬のADHD への使用を認めていないこと,服薬前に有効な者 と無効な者との判別が難しいことなどの問題があ ります。中枢刺激薬以外では,脳代謝賦活薬や抗 うつ薬も使われますが,効果の出現がゆっくりで, 弱いのが難点です。 衝動性の高さに対しては,脳波異常も改善する カルバマゼピン(carbamazepine:テグレト−ル) などの感情安定薬が使用されます。興奮が激しい 場 合 は 鎮 静 効 果 の 強 い ハ ロ ペ リ ド − ル (haloperidol:セレネ−ス)などの抗精神病薬が 用いられるます。チック症状が出現する時は抗精 神病薬や抗うつ薬などの使用が考慮されます。 (図3参照)

6.生化学的背景について

中枢刺激薬が多動や集中力の欠如に効果を示す ことから,中枢刺激薬の作用機構を基にした生化 学的研究が行なわれてきました。多動や集中力の

5.薬物治療については

どんなものがあるでしょうか

以前より,中枢刺激薬が多動や集中力の改善に 有効であることが知られており,現在も第一選択 薬となっています。(図2参照)多動や集中困難 の原因を覚醒・睡眠レベルの障害ととらえ,昼間 の覚醒レベルを引き上げることにより,覚醒度を 上げて症状を改善すると考えると,容易に理解で き ま す 。 海 外 で は , メ チ ル フ ェ ニ デ − ト (methylphenidate)が第一選択薬ですが,効果が 得 ら れ な い 時 は , デ キ ス ト ロ ア ン フ ェ タ ミ ン (dextro-amphethamine),ペモリン(pemoline) などの中枢刺激薬が使用されます。デキストロア ンフェタミンは国内で販売されておらず,ペモリ ンは作用が弱い割に肝機能への影響が知られてい ます。多くの中枢刺激薬は覚醒作用があるため, その使用が制限されており,国内で臨床的に使用 されているのは安全性が高いとされるメチルフェ ニデ−ト(リタリン)が大部分です。睡眠前に投 与しますと,不眠を招くこともあり,通常は朝1 回または朝と昼の2回投与されます(5∼20mg/ 日)。効果は数時間であり,学習時間などを考慮 した投与が必要です。長期間の投薬では,効果が 減弱しますが,用量を漫然と増加すると過鎮静を きたす場合があるため,週末などの休薬日を設け 脳波異常 情動障害 多動・集中困難 衝動性 抗てんかん薬 感情安定薬 抗精神病薬 抗うつ薬 抗不安薬 抑うつ・不安 中枢刺激薬 脳代謝賦活薬 Yes Yes Yes Yes Yes non-effective No No No sedative Tic Pemoline Methyl phenidate Amphetamine O O O NH NH COCH3 HN CH2 HC CH3 NH2 図2:Stimulantsの構造式 図3:臨床的薬物療法の概略

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欠如を示す動物モデルを作り,多動症候群の研究 を行なう試みも行なわれています。 中枢刺激薬が神経末端からのド−パミンの湧出 を促進すること,ド−パミンを阻害する薬物を投 与してから中枢刺激薬を与えても効果がないこと などから,ド−パミンの関与が示唆されています。 しかしド−パミンのアゴニストには臨床的効果が ないとされており,髄液中のド−パミン代謝産物 も増加していません。まとめると,「ド−パミン を放出する物質は効果あるが,ド−パミンそのも のの投与はあまり効果がない」ということになり ます。ちょっと矛盾しているようにも思われます が,ここでは脳の片側を破壊したラットの回転運 動における,アポモルフィンとアンフェタミンの 効果の違いを例としてあげておきます。(図4) ノルアドレナリンも中枢刺激薬により放出が促進 されますが,投与された時の尿中代謝産物は減少 しており,神経末端における再取り込みの促進が 考えられています。抗うつ薬の効果も報告されて おり,前駆物質であるトリプトファンの効果も考 慮すると,セロトニンが関与している可能性もあ ります。鉛を摂取したり,鉛に長時間暴露された 際の多動が報告されており,この場合はアセチル コリンの関与が推測されています。脳内のアミン の関与を前提にモデルは工夫されていますが,生 化学的背景を完全に説明できるメカニズムは判明 されていません。 6−ヒドロキシド−パミンにより,生後すぐに ド−パミン系を壊したラットでは,一定の期間後 に多動を示し,これにアンフェタミンを投与する と改善することが知られています。これらの動物 における脳内生理活性の変化を調べると,一種類 の物質だけで説明するのは難しく,ド−パミンに 加えてセロトニンの関与も推測されています。 近年は,ド−パミントランスポ−タ−の多型や ド−パミン受容体の多型が注目されています。 ド−パミン4型受容体の第3細胞内ル−プ(第Ⅲ エクソン)の48塩基対の反復数とADHDの関連が 報告されています。7回反復型が対照群に比べて 有意に多く,この受容体が中脳皮質路(主として 前頭葉)と扁桃体に存在することから,ADHDの 注意欠如や興味の偏りと前頭葉の関係が注目され ています。

7.薬物以外の治療には

どんなものがあるだろうか

ADHD児では,症状のために新しい能力を獲得 する過程での失敗が多いため,正常な自我の発達 が妨げられています。このため,自己評価の低下, 自信喪失,自己卑下,引っ込み思案などの心理的 特徴が挙げられます。家人も,知的水準の高さな どから患児の行動に対して叱責したり罰を与える 図4:回転運動とドーパミン神経回路の摸式図 (こころの科学37(日本評論社)より) 受容体 APO DA 破壊 DA 受容体 伝達 回転 ①通常 ②片側破壊 ③APO投与 ④AMP投与 - - - + + + (正) - - ( ) ( ) ①通常はほぼ左右対称にドーパミンが放出され線条体の受容体に作動する。 ②破壊側ではドーパミンは放出されないため受容体は過敏状態となって代償しようとしている。 ③ドーパミンの代わりにアポモルフィンが作動し,破壊側では過敏に反応し,伝達も増加する。非破壊側は過敏でないため  作動は変わらない。結果として,非破壊側へ回転する。 ④非破壊側では,アンフェタミンによるドーパミンの放出が増大するが,破壊側ではドーパミンの放出は変わらず,結果と  して破壊側へ回転する。 [略号] DA:ドーパミン, APO:アポモルフィン, AMP:アンフェタミン

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ため,自尊心を傷つけたり自信喪失を促進させて しまいます。患児が自尊心を回復し,自己評価を 高めるような環境を作る必要があります。家人に は,障害の本質をよく理解してもらい,患児の精 神的成長を阻害しないように心がけてもらうため の心理療法が用意されています。 患児自身の多動に対するフィ−ドバック能力を 高めるために,「適切な行動が見られた時はこれ を強化する」行動療法的対応が提唱されています が,技法の難しさや適用年令の設定などには更に 工夫が必要と思われます。 小学校の低学年では多動が,学年があがるにつ れ,学業不振や対人関係での障害が目立ち始めま す。ADHDの90%で学力の障害があるとされてお り,知的水準からは説明できない学力不振がある ため,学校の先生からは叱責され,結果として “反抗的態度”をとることも多くみられます。学 校 の 先 生 に も 患 児 の 障 害 を 理 解 し て も ら い , ADHD児に適切な環境を作ってもらうことが重要 となります。LD児への教育については文部省が 教育現場での対応を考えている段階であり,教育 指導法などはこれから考慮される予定です。 慢性的な食餌アレルギ−による頭痛,思考力の 減退,集中不能,多動,易刺激性が報告されてお り(アレルギ−性緊張弛緩症候群),これに対し ては食餌内容の変更が必要とされます。以前,米 国で食品添加物,食用色素が多動と相関している とされ,食品添加物・着色剤を除去した食餌が提 唱されたこともありましたが,FDA(食品医薬品 局)の指摘もあり治療法とはなっていません。最 近は,“環境ホルモン”なども取り上げられてい ますが,まだ緒についたばかりで,はっきりした 因果関係は分かりません。

8.心がける対応とはなにか

現時点では,はっきりした原因は分かっていま せん。前述したように,脳内のアミンなど生理活 性物質の異常が多動や集中力の欠如に関係してい ることが指摘されています。学童期までの一次的 な治療は薬物(中枢刺激薬,脳代謝改善薬)によ りますが,薬物に対する反応は一人ずつ異なって いますし,劇的に効果が得られるのは30%近くで す。効果があるか否かを事前に推測することは難 しいし,全く効果の得られない場合も40%位あり ます。しかし,それ以上に重要なことは,二次的 にもたらされる自己評価の低さ,学力不振,衝動 性の高さ,集団からの孤立などです。幼少時より 行動上の問題を抱えており,家人が注意しても, 少し時間が経つと同じことを始めるため,いつも 叱られることになります。時には,周囲から「家 人の対応が悪い」とされ,家人も非難されること もあります。“誉められない”で生育するするこ とにより,自己評価の低下,劣等感の増大,努力 することの放棄などが出現し,さらに叱られる悪 循環を繰り返すこととなります。その結果として 自暴自棄な行動,衝動性の昂進が目立ち始め,反 社会的な行動へとつながる場合もあります。家人 も行動の特質を理解し,ただ叱るだけでなく,少 しでも“誉める”ことに心がける必要があります。 自己評価の低下や劣等感の出現などを防いだり, 軽減することにより悪循環を断つことができま す。悩んだり,困ったりした時は,きちんとした 診断を受け,必要なら治療に結びつけることも大 切です。学校でも,知的水準に比べて学力は不振 であり,授業中の態度も問題があり,友人関係も 上手くありません。先生からは叱られ,友人から はあきれられたり,馬鹿にされたりしやすい状況 にあります。学校関係者も本人の特質を理解し, 先生からは少しでも“誉められ”,友人からは “さすがだなあ”と思われる場面を提供するよう こころがける必要があります。年少時からの意味 のある対応によって,学童期後半以降の行動上の 問題の増加を少しでも軽減することが大切です。

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はじめに 今,全地球的課題のひとつとして,地球の温暖 化が問題になっております。特に,南北に長い日 本列島では,植物や動物の生態の変化の現れ方が 顕著であるためでしょうか,いろいろな報告がな されております。これは,菌類の世界も同じであ り,熱帯性のきのこの発生が北上していることが わかっております。たとえば,今回の情報で報告 します,ニオウシメジもそのひとつであります。 以前は,沖縄,九州などでの発生がほとんどで, 数年前には関西以西のきのこなどといわれていま したが,最近では,東京都の三鷹市や埼玉県など にも発生したとの報告があり,明らかに,北上し ていることがわかります。さらに,懸念されるこ とには南方系のきのこといわれるドクカラカサタ ケが四国に大発生したとの情報があります。近い 将来東海地方を経て,関東にも発生するかもしれ ません。よく似た食用のカラカサタケとの誤食が 心配されるところです。 菌類にはまだまだわからないことが多く,さま ざまの方面からの研究が待たれるところでありま すが,食用といわれているきのこにも,いろんな 危険性があり,それが事件の直接の原因とはなら なくても自然界の不思議な要素を垣間見ることに なると思われるので,3例の事件の概要を報告い たします。 (事件調査は千葉県野田保健所が行ったもので ある。) 【事件の概要】

その1

松茸による食中毒様症状について

平成8年10月に三重県の松茸生産農家より購入 後送られてきた松茸2本(1本は正常,他は茎部 に白カビ状のものが発生していた。)正常のもの を家族2人が焼いて食べたが,異常は無かった。 翌日,残りの一本の表面をおよそ1㎜を削ぎカビ 様物質を取り除き調理(茶碗蒸し,吸い物,松茸 ご飯)して喫食した,2∼3分後に激しい嘔吐・ 下痢を起こし病院で治療をうけた。その結果,翌 日には二人とも回復したが,保健所に相談がなさ れ,有症苦情として扱われることとなった。 【調査の結果】 聞き取り調査の結果,松茸が原因食と思われる ので,原因食より抽出した液をアフリカツメガエ ルに経口投与し,対照のもの(精製水を使用)と 比較した。原因食の抽出液を投与されたカエルは 3∼5分ぐらいでもがき始め2時間後には腹部が 膨満し動けなくなる個体が出てきた。また,抽出 物を精製し分析した結果アミノ酸分解アミン(不 揮発性腐敗アミン,ガダベリンなど5種以上が検 出された。 【考   察】 松茸を食べて中毒を起こす例が全国では,いま までに数例ありその原因について調査が進められ ているが,この例では白いカビ様の物質といわれ ているが,学術的に確認がなされてはおらず,白 い細菌のコロニーである可能性もあり,真菌類に よるものと断定はできなかったが,以前より古く なりはじめた松茸は嘔吐,下痢,腹痛などの中毒 を起こすといわれていた。腐敗により発生したヒ スタミンに松茸の含有成分のフェネチルアミンが 作用すると相乗的に毒性が増すとの研究者の報告 があるが,今回はヒスタミンは検出されなかった。

食品衛生

毒キノコ情報

杏林大学保健学部

やま

ぐち

ひで

あき

(11)

しかし,ヒスタミン以外の不揮発性腐敗アミンで も同様なことが発生する可能性はあり,注意を要 するところである。一般にキノコのうま味成分は 多種多量アミノ酸であるといわれ,これらアミノ 酸やタンパク質を含む食品は微生物による腐敗や 酵素による分解を受けやすく,いろいろなアミン 類を生成しやすいといわれている。今回の中毒例 では喫食者は嘔吐,下痢など消化器系の症状を示 し,ヒスタミン(蕁麻疹様アレルギーを起こす) やチラミン(偏頭痛)などは検出されず分析結果 と一致するが,発症時間が一般の消化器系毒キノ コ中毒と異なり極めて短時間に発病していること からアレルギー様中毒がおきていた可能性が強 い。 松茸は発生後雨が降り続き高温の時期が続いた 場合などでは,自生中に菌類などにより変敗し有 毒な松茸となることがあり,これは9月∼10月中 旬に多いといわれている。 このような有毒松茸より分離した菌類のうち Citrobacter Ballerup属の菌株で同じような中毒を 再現させたとの報告もあり,症状も今回の事件に よくにている。この例は松茸に限らず他の食用キ ノコにも当てはまることが,十分考えられるので, 野生,栽培種とも調理するときに必ず確認するこ とが大切である。また,白色を呈するなど,カビ 様部分の微生物の影響は,その部分を取り除いて も,深部まで及んでいることがあるので,十分な 注意が必要である。 【事件の概要】 平成8年5月に,県外の保養施設において下痢, 吐き気,嘔吐などを主な症状とする事件が発生し た。調査の結果206名中35名が発症しており,発 症者は刺し身,煮物,揚げ物などのほかに鉄板焼 きの食材としてニオウシメジを食べていた。この ニオウシメジが千葉市内に生産農家があるため, この事件の調査は千葉市千葉保健所が行ったもの である。事件発生場所を担当する保健所の調査で は,患者の検便,食材などからは食中毒細菌は検 出されず,残品のニオウシメジからシアンが検出 された。この事実をもとに生産農家のニオウシメ

その2

食用のニオウシメジによる有症苦情について

ジのシアン含有量について調べた結果以下のよう なことが判明した。 【調査の結果】 検査を行ったニオウシメジから24.9∼114.0μ g/gの範囲でシアンが検出された。茎の部分で 24.9∼67.2μg/g,傘の部分で36.7∼114.0μg/gで 傘の部分の方の含有量が高い傾向がみられた。ま た,生産に使用したオガクズから24.0∼49.3μ g/gの範囲でシアンが検出されていることから, オガクズからの侵出も考えられる。しかし,採取 後6日目から20日までの経日的変化を見たとこ ろ,14日目でほぼ倍量に増加していることがわか り,ニオウシメジが成長する段階でシアンを生成 しているのか,あるいは,酵素などによって内容 成分の分解が進みシアンが生成されるなどのこと が考えられる。しかし,他の栽培種のきのこのシ アン含有が本体で0.2∼0.3μg/gであることから みるとニオウシメジのシアン含有量は痕跡ていど とはいえない数値である。 【考   察】 自然界にはシアンを含有するものは多く,豆類, バラ科の植物などが知られている。私たちが通常 に食するインゲンにも20μg/g,アンズの種子に は600μg/gものシアンが含有されている。今回 のニオウシメジによる事件がシアンによるものか どうかは判明しがたいところである。また,ニオ ウシメジが生(調理の過程でしっかり火を通さな い状態も含めて考えること)で食べると中毒する キノコと判明していること,ニオウシメジに含有 しているシアンは加熱処理で減少するので,これ が直接の原因とは考え難いことなど,ニオウシメ ジにも,まだまだ,不明な部分がおおくあるが, 自然界には思わぬところに有毒成分を含有するも のがあることが判明しただけでも,今回の事件は 貴重なものといえる。また,キノコのなかに,生 食(串焼き,バーベキューなどで生焼けなど)厳 禁のものが多くあり,これらの注意書を十分理解 しないまま調理し,事件になるケースの多いこと を考え合わせると「生食注意」のただし書きの大 切なことが理解されると思われる。

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カエンタケは清水大典氏などが中毒を起こすと 報告をしているが,中毒例が少ないことなどから カエンタケによるものかどうか疑問視されてい た。しかし,1991年に山梨県で発生した事件が本 菌によるものであることが確認されたことなどか ら新しい毒キノコと考えられるようになった。土 居祥兌氏によると,本菌は子嚢菌門核菌網肉座菌 目に属し,高さ13㎝,茎の直径1.5㎝に達するキ ノコであり,形は普通こん棒状であるが掌状にな ることがある。各地のブナ,ミズナラ,カシ林に 発生する。小型でこん棒状のものでの中毒が東南 アジアで報告されており,原因菌のP.zeylanica Pehは本菌と同種またはごく近い近縁の種であ る。これら2例の共通した症状は運動・言語に障 害がでること,症状は時間がたつと軽くなるが, しばらく後遺症が残ることがある。山梨県の例で は数センチを天麩羅にして食べたところ,数日後 に40℃以上の熱がでて,その後,髪の毛が抜け, 運動機能に障害がでた。医師の診断では小脳が萎 縮しているとのことで一年後でも運動,言語に障 害が残っているとのことである。この事実から考 えると,極めて危険なキノコであることがわか る。 ○カエンタケについて (私の未知キノコノートから) 1989年10月22日Mt Fujiの四合目付近の雑木林 の地上でベニナニガタタケに似たキノコを発見し た。3本ほどあったと記憶している。以前,ベニ ナニガタタケは富士山麓で採取し,食べてみたこ とがあったが,このキノコが極めて稀にしか見つ からないことを知った。1985年頃のことであった と思う。ベニナニガタタケは食べてみて,味など に特徴のあるキノコではなかったので,1989年の ときもベニナニガタタケと思い手に取ってみた が,手触りや表面の様子が異なっており,別種の 未知のキノコと考え,とりあえずノートに特徴や 写生をしておいた。(図−1) これがカエンタケである可能性がでてきたの は,山と渓谷社の「日本のきのこ」が出版され, この中にカエンタケの写真が載っていたのを知っ たときであった。このときにはこのキノコに小脳

その3

新たに毒キノコと判明したカエンタケについて

を萎縮させるほどの毒性があるとの記載もなく, 記憶の隅に止めておいた程度であったが,土居氏 の報告を読み強烈なショックを受けました。あの とき,一口でもかじっていたらとの思いが,頭の 中を過りました。長野県のキノコ指導員の小山昇 平氏もこのキノコを口にした経験がある一人です が,後頭部を鈍器で殴られたようなショックがあ ったといっており,いずれにしても,カエンタケ はキノコを指導する立場のものとして,少し位は 食べても大丈夫との認識を根底から変えさせられ たキノコになり,もう一度本菌を手にとる機会を 待っております。 なお,小山氏の信州のキノコ(信濃毎日新聞社 発行)には,もともと本菌にはアルコールにしば らく浸けておくと皮膚を溶かす作用があるとの報 告があり,キノコと名がつけばなんでも食べてみ ることの危険さを警鐘しています。 おわりに 今回,報告しました3例の事件のうち,マツタ ケの事例は従来から古くなったマツタケは中毒を 起こすといわれていたことの事件として,野生種, 栽培種でも,古くなり微生物などが繁殖したもの は,危険であるとの警告になりました。 第2例は,近年,栽培が可能になり流通に乗っ てさまざまな料理に登場するようになってきたニ オウシメジですが,キノコ全体が肉厚で,しっか りしているところから,バーベキューなどの野外 料理やキノコのステーキとして宣伝されていまし た。しかし,加熱が不十分であると,消化器系の 図1:未知のキノコノートのスケッチより 採取日’89.10.22 Mt.Fuji4合目 鮮紅色 中実

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食中毒を発生させることがわかり,使用の際の注 意を徹底させていたところでの事件だったのです が,調査の結果,場合によっては,人体に影響が 考えられるほどのシアンが検出され,菌類にもシ アンを含有するものがあることがわかり,ニオウ シメジの中毒との関係にどんな関わりをもつのか 興味のあるところであります。また,シアンは加 熱により揮発する性質があることと,生焼けでの 中毒の発症との関係なども同様に追求して調査が 必要であると思われます。 第3例,これは野生のキノコを指導する立場の ものにとって,非常に重要な事実となります。私 もニガクリタケなどは少量を噛んで確かめること を勧めていましたが,確かな指導者のいない場合 には,これが大変危険なことであったことについ て,反省をしているところであります。幸いにし て,カエンタケは頻繁にみかけることのないキノ コでしたので,被害が少なかったのでしょうが, 指導には細心の注意と情報のいち早い収集が必要 であると思いました。また,薬学の分野から考え ても小脳を萎縮させるような薬理作用がある成分 を含んでいることは,大変興味深いところであり ます。 なにかと,話題性のつきないキノコですが,こ の他にも,人類にとって有益な物質や情報を提供 することの可能性が考えられる菌類について,菌 類に限り無い興味をもたれる皆様方の英知を集め た研究が進むことを願っております。 [参考文献] ・食品衛生監視員協議会 関東ブロック研究発表会抄録 平成9年度 ・山と渓谷社 日本のきのこ ・Biosphere 1993 5 No.6

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はじめに 精神神経科ことに精神科における(特に精神分 裂病患者に対しての)服薬指導は,精神科疾患に 対する様々な偏見と共に,困難なものであるとの 印象が強く,数年前までは精神科単科病院におい てすらその実施が躊躇されていた。長い間,患者 との直接的な係わりの少なかった薬剤師にとって 精神科患者との係わりは殆どが未知であったこと から,服薬指導の実施には踏み出せずにいたこと も事実である。しかし,精神科においてもこの1 ∼2年間で薬剤管理指導の届け出施設数が増加し てきており,薬剤業務関係の書籍にも頻繁に取り 上げられる様になってきていることは,診療報酬 上のメリットの大きさもそのインセンティブとし て働いていることは確かであるが,精神科におけ る服薬指導の必要性が少しづつではあるが理解さ れてきたことも事実であろう。又,このような流 れは医薬分業の進展と無関係ではなく,精神科に おいても院外処方せんの発行により,入院患者に 対する服薬指導が可能となっている施設が少なく ない。従って,調剤薬局においても精神科を受診 した患者への対応が増加しており,薬剤情報の提 供方法を検討する必要が生じていると考える。 今回は調剤薬局等において精神科の患者(分裂 病患者)に対してどのような服薬指導を行えば良 いのか,その目的と考え方法について解説する。

Ⅰ.精神科における服薬指導について

1.服薬指導の目的 精神科においては様々な治療的立場はあるが, 薬物療法が治療の基本であることにちがいなく, 患者のQOLを大きく左右するため,安全で効率 的な薬物療法の実施が必要である。長期にわたっ て向精神薬を服用する場合が多く,一般診療科と 同様に,副作用,相互作用,重複投与などのチェ ックのために薬剤師の関与は不可欠である。特に, 精神分裂病患者の薬物療法の主体となる抗精神病 薬は,その薬効により直接QOLと深い関わりを 持つ。つまり,抗幻覚・妄想作用,鎮静作用,精 神賦活作用などは患者の疎通性を改善し,社会適 応能力を向上させる。しかし,抗精神病薬の副作 用である,眠気,倦怠感,口渇,便秘等はかなり の頻度で発生し,コンプライアンスの低下により QOLを低下させる。更に,パーキンソニズム, アカシジア,ジストニア,ジスキネジアといった 錐体外路症状は社会生活を著しく阻害する1) したがって,向精神薬に関する正しい知識を身 につけることが必要であり,患者自身が様々な副 作用を回避し,あるいは副作用が発生した場合に おいても,的確な対処行動(coping)が可能にな ることが重要である。精神科における服薬指導は, 服薬教育と考えるべきで,繰り返し薬剤に関する 情報を提供することにより,服用薬に関する知識 の増加と,服薬の継続に対するモチベーションを 向上させることが目的となる。更に,服薬指導は, 服用薬に関する正しい知識の理解により,退院後 の服薬の中断による再発の防止にも有効であると 考える(表1)。服薬の中断は再発に対する最大 の危険因子であり,社会心理的介入の有効性は抗 精神病薬の維持療法を基盤としている為(表2), 長期に渡って治療関係を継続し,患者の服薬受容 性を確保することは再発予防のための最も基本的 な前提である2)。服薬の中断による再発率は1年 以内に60∼70%,1年半では70∼90%といわれて いることからも(表3),患者が服薬教育から得 た知識をどの様に自身の治療に生かしていくこと ができるかが重要で,患者自身が主体となって, 薬物とともに病気に立ち向かっていく姿勢を作っ

服薬指導

―精神神経科の場合

(1)服薬指導の目的

桜ヶ丘記念病院薬剤部 

よし

たかし

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ていくような教育的配慮が必要であり2),薬物療 法に関する教育を通じて治療に自ら参加するモチ ベーションの形成も服薬指導の目的となる3) 八木はその著書―精神分裂病の薬物治療学―の 結語の中で,“自助の援助としての薬物療法”と して,精神病からの回復者によれば,精神病は自 分が治そうとしなければ治らないが,外からの援 助が必要であるのは,自分では自分を治す具体的 な方法を見出せないためであり,治療は人間の心 が心に働きかけて治そうという気を起こさせるの が中心で,精神病の治療はここから出てこなけれ ばならない(大竹 1987)。言い換えれば,人間の 生体は環境に対して開かれた,そして精神に対し て開かれた(つまり様々な理解にたいして開かれ た)システムであり(Blankenburg 1982),この ことは分裂病患者についても例外でないと述べて いる。 調剤薬局においても心理教育的な介入は当然重 要であり,できれば家族等も含めた服薬教育が安 全でより効率的な薬物療法の実施に必要である が,薬局の窓口においては時間的制約やスペース の問題等で服薬教育の実施は難しいと思われる。 又,現実には処方せんを持って来局する患者の多 くは一般科の患者であり,精神科の患者はごく少 数である。しかし,精神疾患も様々な疾患の一つ であることを認識し,その特性を理解した上で自 然に対応することが必要である。 2.服薬指導とインフォームド・コンセント 長期通院患者においても3人に1人は服薬不良 者(non−compliant)であり,薬物コンプライア ンスへの影響因子としては,アカシジアの不快感, 自我親和的な誇大性の精神病理,病識,誇大性と 疾病感・病識の欠如,病識ではなく抑うつ,など 様々な因子が考えられている2)。前述した通り, 服薬指導は服用薬に関する正しい知識の理解によ り,退院後の服薬の中断による再発の防止にも有 効であると考える。しかし,精神分裂病では,同 意能力に問題があるという点で一般的な服薬指導 とは異なり,インフォームド・コンセントに関し ても,それを治療の入口に捉えるのではなく,治 療目標として捉えることが,精神療法における患 者―治療者間の共感の構築が治療目標であるよう に重要である4)

McGhie & Chapman(1961)は分裂病の本質は 認知障害であると指摘し,Dawson & Nuechterlin (1984)によれば,分裂病の患者は刺激を認知し て区別することや適切に刺激を統合・蓄積した り,想起し用いたりすることが難しいとし,今日 分裂病の患者には脳の機能的なバランスの乱れに よる情報処理過程の障害が生じていることが判明 している。 確かに急性期の患者の多くは十分な判断能力を 持っておらず,急性状態での薬物療法の開始には, 患者本人のインフォームド・コンセントが必ずし も必要でない場合もある。しかし,症状の安定し た患者に対しての治療は別と考えるべきで,北村 俊則ら(1994)によれば,内科病棟入院中の患者 と精神科開放病棟入院中の患者との比較では判断 能 力 に は 差 が な か っ た と し て い る 。 し か し , Grossman L & Summers F(1980)によれば,20 人の分裂病の患者のうち60%がインフォームド・ コンセントを与えはしたが,その内15%しか告知 表2 家族療法と社会技能訓練の併用による再発予防効果 治療の組み合わせ 例数 1年再発率(%) 神経遮断薬(NLP)単独 20 41 NLP+社会技能訓練(SST) 20 20 NLP+家族療法(FT) 21 19 NLP+SST+FT 20 0 文献6)より引用 表3 薬をやめた場合の再発率 すっかり安定している期間 1年間の再発率 1年半の再発率 1∼2年 70% 80% 2∼3年 65% 90% 3∼4年 60% 70% 合 計 60% 80% 文献5)より引用 表1「薬をやめての再発」と「薬を続けていての再発」 薬をやめての再発 薬を続けていての再発 自傷 27% 11% 反社会的行為 22% 4% 入院 65% 14% 強制入院 28% 4% 文献5)より引用

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内容を理解していなかったと報告しており,分裂 病の患者への説明の難しさがある。 したがって,分裂病の患者に対しては,インフ ォームド・コンセントを得るために服薬指導を実 施していくという考えの方が自然であると考え る。 3.精神科における薬剤師のトレーニング 冒頭に述べた通り,精神科における最も大きな 問題は精神障害に対する様々な偏見であり,医療 従事者である薬剤師は当然精神障害を正しく理解 した上での対応が求められる。精神科の患者に対 する服薬指導に際してどのようなトレーニングを 行って行けば良いのか簡単に解説する。 精神科疾患別ビデオ,精神科看護教育用ビデ オ等を用いて精神科医療全般について学ぶ 精神科教育用に様々なビデオが作られており, 薬剤師にとっても大変理解し易い物が多く参考に なる。製薬会社によっては独自のビデオを制作し ているところもあるので利用すると良い。特に看 護教育用のビデオは患者との接し方に関する物が 多く薬局窓口での対応の参考になる。 参考になる図書 ①八木剛平編著:精神科診療の副作用・問題点・ 注意点.患者・家族・治療者からのメッセージ, 診療新社,大阪,1998. 精神科薬物療法について学ぶ 薬物療法を学ぶことは薬剤師にとって最も重要 なことであるが,薬学部で用いるような薬理学の 専門書よりも臨床家による解説書の方が理解し易 く現実的である。 参考になる図書 ①大月三郎監修:抗精神病薬の使い方,日本アク セル・シュプリンガー出版,東京,1996. ②八木剛平:精神分裂病の薬物治療学.ネオヒポ クラティズムの提唱,金原出版,東京,1995. ③島薗安雄,保崎秀夫:精神科領域における薬物 療法.精神科MOOK増刊1,金原出版,東京, 1989. ④ハロルド・I・カプラン,ベンジャミン・J・ サドック(監訳;神庭重信,八木剛平):精神 科薬物ハンドブック.向精神薬療法の基礎と実 際,医学書MYW,東京,1997. ⑤アレン・フランシスら(訳;大野 裕):エキ スパートコンセンサスガイドライン.精神分裂 病と双極性障害の治療,ライフサイエンス,東 京,1997. ⑥融 道男:向精神薬マニュアル,医学書院,東 京,1998. 向精神薬の解説の方法,服薬指導の方法につ いて学ぶ 薬物の有用性,個々の作用,望ましくない副作 用については,その薬を服用している患者や家族 が完全に理解しておく必要がある。患者自身が 様々な副作用を回避し,あるいは副作用が発生し た場合においても,的確な対処が可能になること が必要で,精神科における服薬指導は服薬教育と 考え,繰り返し薬剤に関する情報を提供すること により,服用薬に関する知識の増加と,服薬の継 続に対するモチベーションの向上が目的となる。 心理教育,リハビリテーションについて学ぶ 精神科における治療の場は病院での入院治療か ら外来治療,地域社会におけるリハビリテーショ ンに移行しつつある。このことは今後院外処方せ んが増加することを予想させる。精神科における 心理教育とは何か,一般のリハビリテーションと 精神科のリハビリテーションとはどのように異な るのか知っておく必要がある。 参考になる図書 ①木戸孝聖監修:心理教育実践マニュアル,金剛 出版,東京,1996. ②R. P. リバーマン(監訳;安西信雄,池渕恵 美):リバーマン実践的精神科リハビリテーシ ョン.創造出版,東京,1993.

Ⅱ.精神科における服薬指導の問題点

1.情報の提供範囲 精神科における情報提供は,精神分裂病の病名 告知問題にも絡み複雑な状況にある。厚生省・精 神科医療におけるインフォームド・コンセント研

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究班によれば,精神分裂病という病名のスティグ マ性については多くの精神科医は懸念をもってお り,80%以上の医師達が説明にためらいを感じる といい,患者に説明する必要性の高いものとして 病名をあげる医師は少ない。その一方で,薬剤の 効果・副作用に関しては約90%の精神科医が患者 に説明する必要性の高い事項としてあげているが, 患者・家族ではその説明を受けたとしているのは 約20%である7)。当院における調査でも薬名・薬 効については90%の医師が説明しているとしてい るが,患者では51%が説明を受けていないとして いる。又,副作用については50%以上の医師が対 象者を選んでではあるが説明しているという8) 薬剤師による情報提供は薬剤に関することに限 られており,病名告知に関与することはないと考 えるが,薬剤の種類,薬効の説明に際しては病状 との関係が重要である。又,抗精神病薬を精神安 定剤と説明することは実際的でないと考えるが, どうも抗精神病薬という名称の響きがその説明を 躊躇させるらしい。その意味では精神科医の分裂 病の病名告知に対する懸念と類似しているとも考 えられる。しかし,どちらにせよ問題はその名称 ではなくその中身が重要であることを理解しなけ ればならない。従って,我々薬剤師による情報提 供は“薬剤に関する正しい情報”でなければなら ない。精神科医が行う情報提供には精神療法的な 要素が多くふくまれている場合が少なくないが, 薬剤師が同様の情報提供をすることは不可能であ る。著者は薬剤師による情報提供は“服薬に関す る教育”或いは“心理教育の一部”と考えており, “正しい情報の提供”が患者自身の治療への積極 的な参加を可能にすると考える。つまり,服薬指 導は“治療”ではなく,“教育”として捉え,実 施するべきものであると考える。 2.情報提供の副作用 精神科において,特に分裂病患者に対する情報 提供には様々な危惧が存在することは確かである。 精神科診療の場において様々な介入が行われてい るが,それぞれに副作用が存在することが論じら れている。我々の行っている情報提供つまり服薬 教育についても様々な評価方法を用いて調査・検 討したが,服薬指導が患者に与える影響は9) ICD−10による精神分裂病(F20. X)の診断名を もつ22名の患者に対する調査では6ヶ月の服薬指 導で抗精神病薬名,服用薬の種類,薬効,服薬の 必要性についての理解は向上することが認められ たが,BPRS,DIEPSSにおいては変化が見られな かった。しかし,6ヶ月間の服薬指導終了後6ヶ 月を経て前回と同様の調査を行ったところ,抗精 神病薬名や服用薬の種類についての認知は維持さ れているが,薬効の理解や服薬の必要性の認知は 低下してしまうことが認められた。このことは所 謂“病識のなさ”と関連付けられることであると 考えられるが,この結果から,薬剤師による服薬 指導により何らかの副作用を生ずるということは 認められず,むしろその中断によって患者にとっ て不利益を生ずることの方が副作用であるのかも しれない。 文 献 1)吉尾 隆:精神科における患者のQOL.薬 事新報633,1855(1995). 2)八木剛平:精神分裂病の薬物治療学,ネオヒ ポクラティズムの提唱.161−163,金原出版, 東京,1995. 3)吉尾 隆:薬剤管理指導料取得への取り組み. 薬事新報509−514,1901(1996). 4)吉尾 隆,鈴木康一ら:精神科単科病院にお ける長期入院患者に対する入院調剤技術基本料 について,インフォームド・コンセントの観点 から.精神経誌96:1032,1994.

5)Johnson DAW:Observation no the use of long-acting depot neuroleptic injections in the maintenance therapy of schizophrenia. J. Clin. psychiatry 45 (5):13―21,1984

6)Hogaty GE, Andeson CM, Reiss DJ et al: Famity Psychoeducation, Social Skills, and maintenance Chemotherapy in Aftercare Treatment of Schizoprenia. Arch Gen psychiatry 43:633−642,1986 7)高柳 功:精神科におけるインフォームド・ コンセント,精神科診療の副作用・問題点・注 意点(八木剛平編).診療新社,p52−61,1998 8)遠藤 洋,吉尾 隆,中谷真樹:精神科単科 病院における薬剤管理指導業務について(その 5),薬剤師による服薬指導を患者及び医療ス タッフはどのように捉えているか.精神経誌 98:1005,1996 9)吉尾 隆,中谷真樹:精神科単科病院におけ る薬剤管理指導業務について(その4),薬物 療法に関する教育は精神分裂病患者にどのよう な影響を残すか.精神経誌98:1005,1996

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都薬の皆様こんにちは!“どんぐり”こと“か んのつとむ”でございます。今月から6回にわた って,「こんなに簡単!誰でもわかってしまう薬 物動態学!」を連載することになりました。どう か宜しくお願いいたします。次回以降のテーマは 次の通りです。 第2章「薬物動態学をブラックボックスにしな いための五つのパラメータ」,第3章「投与設計 をする前に考えてみよう!患者さんのこと,くす りのこと」,第4章「単回投与の投与量はこうし て決める!」,第5章「連続投与の血中濃度を推 理してみよう」,第6章「急に血中濃度があがる 非線形速度過程」。 イラストを担当するのは,薬局新聞社から出され ている「イラストでわかる病気とくすりの本」のイ ラストレーター“くまちゃん”こと“桜井理恵子さ ん”です。私同様どうか宜しくお願いします。 さーて,それでは早速第1章の開幕です。今月 のテーマである“薬物動態学の三種の神器”とは, 理論の土台である“コンパートメントモデル” “たった三つのパターンしかないくすりの消失速 度過程”,そしてこの理論のロマンとも言うべき “血中濃度予測式”です。それでは,まずコンパ ートメント理論から行きましょうか! くすりが投与されたときに,くすりはすぐに人 間のからだ全体に均等に分布するか,または,二 つか三つの場所に順次分布していくように見えま す。そこで,分布する場所をコンパートメントと 呼ぼう!と提案したのは,T.Theorellさんで, 1937年のことでした。この私でさえ,まだ産まれ ていませんでしたから,薬物動態学のルーツって 随分古いのですね。 Theorellさんは,コンパートメントの大きさを 分布容積Vdと呼び,このコンパートメントから くすりが消失していく速度を消失速度定数Kelと 決めました。そして,Theorellさんは,コンパー トメントが一つの場合を1−コンパートメントモ デルとし,二つの場合を2−コンパートメントモ デルとしました。“コンパートメント”って,客 車の個人用寝室を意味するんですね。 2−コンパートメントモデルは「投与されたく すりは,最初は比較的血液の環流が良い心臓,腎

1.薬物動態学の神髄!コンパートメント

モデル

1)

こんなに簡単!誰でもわかってしまう薬物動態学

第1章 

これさえわかれば恐くない!

薬物動態学の三種の神器

㈱小田島 

かん

つとむ ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,, ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,

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臓,脳などの中央コンパートメントに分布し,そ こから血液環流に乏しい筋肉,皮膚,脂肪組織な どの末梢コンパートメントに分布する」と仮定し ます。“仮定”ですから,コンパートメントは体 内のどこなのか?という問いには答えることはで きません。2−コンパートメントモデルでは,中 央コンパートメントの分布容積をVdα,末梢コン パートメントの分布容積をVdβと呼んでいます。 くすりの血中濃度半減期は,一つのくすりに一 つしかないと思っている人は多いのですが,実は そうではありませんね!半減期はコンパートメン トの数と同じ数だけあるのです。中央コンパート メントα相の半減期をt1/2α,末梢コンパートメン トβ相の半減期をt1/2βと呼んで区別しています。 例えば腎移植や骨髄移植のときに使われる免疫 抑制剤のシクロスポリンは,3−コンパートメン トを示し,α相6分,β相1.1時間,γ相14∼26 時間の三つの半減期をもっています。コンパート メントモデルは,通常は1−コンパートメントモ デルが使われ,せいぜい多くても3−コンパート メントモデルまでです。通常示されるのはβ相の 半減期です。 このように,2−コンパートモデルの場合には, 分布相(α相)の血中濃度曲線は,くすりが,血 液の環流が良い中央コンパートメントに分布して いく過程ですから,急激に低下していきます。や がて,くすりは血液環流に乏しい末梢コンパート メントに分布し,そして全身からくすりが消失し ていく消失相(β相)に入りますので,血中濃度 曲線は穏やかに低下して行きます。 このコンパートモデルと対照的なのが,1966年 にBishoffによって提唱された「生理学的モデル」 です。生理学的モデルは,実在する臓器のマルチ コンパートメントモデルで,このコンパートメン トを流れる血流の中のくすりの動態を研究します。 従って,それは頻回の採血とときには組織標本 を必要とし,通常は人間でやることはできません から,もっぱら動物を使って行われます。医療機 関において,日常の業務の中で薬物動態学を応用 しようとする場合は,コンパートメントモデルで 十分です。 体内からのくすりの消失の仕方は,たった三つ のパターンしかありません。一つ目は体内にある くすりの量に比例して,くすりが体外に出ていく パターンです。二つ目は体内にくすりがいくらあ ったとしても,常に一定のきまった量しか体外に 出て行かないパターンです。そして,三つめはこ のふたつが投与量によって起きる場合です。 一つ目のパターンは体内量に比例してくすりが 消失して行くのですから,体内にいっぱいくすり があるときはいっぱい消失していき,少ししかな いときには少ししか消失していきません。従って, 血中濃度は,最初は大量の水が急流を流れるよう に急激に下がって行きますが,やがて時間がたつ と水が川下にきてゆったり穏やかに流れる如く 徐々に低下します。これを一次速度過程と言って います。

2.たった三つしかない体内からのくすり

の消失パターン

2)

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et al.: Sporadic autism exomes reveal a highly interconnected protein network of de novo mutations. et al.: Patterns and rates of exonic de novo mutations in autism

5) Goéré D, Glehen O, Quenet F, et al: Second-look surgery plus hyperthermic intraperitoneal chemotherapy versus surveillance in patients at high risk of developing

We observe that the elevation of the water waves is in the form of traveling solitary waves; it increases in amplitude as the wave number increases k, as shown in Figures 3a–3d,