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切羽前方の地下水圧管理に基づく断層破砕帯のトンネル掘削

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Academic year: 2022

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(1)

切羽前方の地下水圧管理に基づく断層破砕帯のトンネル掘削

鹿島建設株式会社  正会員  ○北村  義宜  影山  心    工藤  翔太 西日本高速道路株式会社  正会員    前田  佳克  福島  博文  荒木  武雄 1.はじめに 

箕面トンネルは,新名神高速道路(高槻第一 JCT〜神戸

JCT  全長 40.5km)のうち,大阪府箕面市北部を東西に横

断する全長約5kmの 2 車線双設道路トンネルであり,本工 事では西側約3kmの施工を行っている. 

下り線トンネルを 370m 程度掘削した時点で断層破砕帯 に遭遇し,多量の被圧湧水がトンネル内に噴出した.本ト ンネルでは切羽前方水圧の測定結果に基づいて適切な支保 パターンを選定しながら,地下水位が高い状態で断層破砕 帯を突破できたので,この施工実績について報告する. 

2.水圧測定結果を考慮した支保パターンの選定方法  断層破砕帯(Fs-7)に遭遇した時点で,掘削位置近傍に設置し た水位観測孔の地下水位はトンネル計画高より 40m程度上方 に位置していた(図-1参照).地下水位が高い状態で掘削を継 続すれば,切羽の崩壊や支保変状などが生じる懸念があるため,

図-2 に示すフローに従って水圧測定結果を考慮した支保パタ ーンの選定を行った. 

(1)切羽前方における動水勾配の評価 

先頭管には有孔管,中間から端末管には無孔管を用いた直径

76.3mm,延長19mの鋼管を切羽前方に挿入し,端末管に水圧

計を設置することで,切羽より 19m 前方の水圧(hw)を計測し た.次に切羽位置から9m前方の動水勾配(i=hw/L)を求め,こ れが限界動水勾配I以下であればこの位置まで掘進してよいも のとした(図-3参照). 

限界動水勾配は微小土塊に作用する浸透力Pwと抵抗力Fが 等しくなるときの動水勾配として規定される.ここで,トンネ ル切羽周辺では緩みにより応力が緩和されることを考慮して 抵抗力に寄与する土被り厚さhrを 0 に設定し,切羽前方地山 

は土砂化していると想定して密実な砂質土の物性値(g=19kN/m3,C=0kN/m2,f=30°)を用い,表-1に示す式によ り限界動水勾配Iを計算した.この結果I≒1.0となり,次回水圧測定位置における動水勾配が限界動水勾配を超え る場合は,追加水抜きボーリングにより地下水位を低下させることとした. 

浸透力Pw Pw = gw × hw × a2

抵抗力F F = g'×(4hr +2a) ×tanf×a×L+4×a×L×C 限界動水勾配I I=hw/L=(4C+2a×g'×tanf)/(a×gw)≒1.0 gw:水の単位体積重量(=9.8kN/m3)  a:土塊断面辺長(=10m)

L:土塊長(=10m)  hr:抵抗力に寄与する土被り厚さ(=0m)

g' :土塊の水中単位体積重量(=9.2kN/m3) 

C:土塊の粘着力(=0kN/m2)f:土塊の内部摩擦角(=30°) 

キーワード:破砕帯,水圧測定,限界動水勾配,骨組み構造解析,支保パターン選定

連絡先:〒563-0252  大阪府箕面市下止々呂美301 Tel :072-732-2000 Fax :072-732-2001 表-1  限界動水勾配の計算式1)

図-1  切羽位置と地下水位の関係 

図-2  切羽前方水圧を考慮した        支保パターンの選定フロー 

図-3  切羽前方における動水勾配の概念図    水位観測孔 

地下水位 40m

Fs-7 

切羽位置

STA.No 

水圧に応じた  支保パターン選定 

次回水圧測定位置まで掘進 START 

切羽前方の水圧測定 

動水勾配の評価 

追加水抜きボーリング 

I≧1.0  I<1.0 

END 

限界動水勾配I  限界動水勾配I

L

微小土塊  a

hw

Pw

浸透力

F 抵抗力 

トンネル切羽 L=10m L=9m

掘進距離  水圧測定孔残尺 

hw

動水勾配  i=hw/L

トンネル  切羽位置  次回水圧測定位置 

水圧測定孔  土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑1527‑

Ⅵ‑764

(2)

(2)水圧に応じた支保パターンの選定

トンネル左側の背面地山に出現した脆弱な岩盤から被 圧湧水が噴出していたため,水圧に起因する外力がトンネ ル左側壁に偏圧として作用することで支保が変状すると 想定した.このため,支保剛性の異なる 3 種の支保パター ンを対象として図-4に示す条件で骨組み構造解析を実施 した.それぞれの支保パターンが対応できる水圧は表-2 のようになり,水圧測定結果に応じた最適な支保パターン を選定した. 

3.水圧測定及び支保パターンの選定結果

No.348(坑口より377m)から71mの区間において9mごとに 6 回の水圧測定を実施した.このときに計測され た水圧と追加水抜きボーリングの施工本数,水圧測定時の地下水位及び採用した支保パターンを図-5にまとめた. 

No.348にて測定した水圧が0.10MPaであったため,この位置から8m前方までは支保パターン 支保剛性増強

を選定した.これ以降は,切羽前方の水圧が高い場合に水抜きボーリングを追加し,水圧を0.093MPa以下に低下 させたうえで支保パターン DⅠ-a-B を選定した. 

水位観測孔における地下水位もトンネルの進行に応じて漸減し,Fs-7 断層を突破しNo.421(坑口より441m)に 到達した段階でトンネル計画高より5m上方まで低下したため,これ以降は通常の掘削体制に戻した. 

4.まとめ 

当工事では,切羽前方水圧の測定と切羽の安定性を確保するための水圧制御,水圧測定結果を反映した適切な支 保パターン選定を通じて,工期を大幅に延伸することなく地下水位が高い状態で断層破砕帯を突破することができ た.今後,土被り及び地下水位が高い山岳トンネルを施工する事例が増加すると予想されるが,この際に当工事の 事例が参考となれば幸いである. 

D 級岩盤 

変形係数※1      E  =200MN/m2 地盤反力係数※2 kn=43731kN/m2

CL 級岩盤 

変形係数※1        E  =400MN/m 地盤反力係数※2kn=87462kN/m2

鋼製支保工(HH-100)  変形係数 E=2.0×105MN/m2 断面積  A=3.39×10-3m2 断面二次モーメント  I=6.36×10-5m4

吹付けコンクリート(t=100)  変形係数 E=6.0×106kN/m2 断面積  A=0.10 m2

※1:岩盤の変形係数は原設計の規定値 

※2:地盤反力係数は,「道路橋示方書・同解説  下部構造編」の地盤ばね算定式より算出 

初回水圧(MPa) 0.10  0.06  0.10  0.04 

水圧測定不実施 

(切羽前方の湧水なし)

追加水抜きボーリング(本)

―  ― 

追加水抜き後水圧(MPa)  0.09  ― 

初回水圧(MPa) −  0.20  0.10  0.04 

水圧測定不実施 

(切羽前方の湧水なし)

0.04  0.01  追加水抜きボーリング(本)

― 

―  ―  ― 

追加水抜き後水圧(MPa)  0.09  0.09 

支保パターン 支保剛性

増強 DⅠ-a-B  DⅠ-a-B 

(長尺鋼管先受け工) DⅠ-a-B

水位観測孔地下水位  (    )は FH からの高さ

243m  (40m) 

223m  (20m) 

221m  (18m) 

216m  (13m) 

214m  (11m) 

211m  (8m) 

209m  (6m) 

208m  (5m) 

8m  10m  8m  9m  9m  9m  9m  9m 

No.348 No.364 No.375 No.383 No.392 No.401 No.410 No.419 No.427

水圧測定孔  長尺ボーリング 

支保 

パターン  鋼アーチ支保工 吹付けコンクリート (f’ck=36N/mm2)

対応水圧  (MPa)  DⅠ-a-B

(現状)  HH-100/1.0m t=100  0〜0.093  支保剛性

増強  2HH-100/1.0m t=200  0.093〜0.162 DⅡ-a-B HH-154/1.0m t=150  0.162〜0.207

表-2  支保パターンと対応する水圧 

図-4  支保への水圧の作用を考慮した  骨組み構造解析イメージ 

図-5  水圧測定結果と採用した支保パターン  参考文献 

1) 依田 淳一 越川 俊幸 :火砕岩類の高圧湧水帯を水抜きボーリングで突破 北陸新幹線高社山トンネル北 工区 トンネルと地下 第 35 巻 2 号 pp95-100

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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