キーワード 地中連続壁工法,地中構造物,止水壁,高圧噴射
連絡先 〒182‑0036 東京都調布市飛田給 2‑19‑1 鹿島建設(株)技術研究所 TEL0424‑89‑7692 ポンプ
スイング掘削
高圧泥水
ジェット
コンクリート
地盤改良工 排泥 送泥
排泥
排泥
固化材 トレミー管
高圧噴射 安定液充填 地中構造物下部掘削
固化材打設 対面施工、埋設物上部地盤改良 地中構造物近傍高圧噴射
▽ 先端ケーシング
ノズル
既設 既設 既設
既設地中 地中 地中構造物 地中 構造物 構造物近傍 構造物 近傍 近傍における 近傍 における における高圧噴射 における 高圧噴射 高圧噴射地山切削 高圧噴射 地山切削 地山切削 地山切削の施工管理手法 の施工管理手法 の施工管理手法 の施工管理手法
鹿島建設(株)技術研究所 正会員 ○上本 勝広 笹倉 剛 鹿島建設(株) 船迫 俊雄,山本 信也,谷井 史郎
1.はじめに 1.はじめに 1.はじめに 1.はじめに
近年,都市部における地中連続壁工事では,移設不可能な地中構造物と干渉するケース(図−1参照)が多 くなっている.このような場合,連続壁欠損部となる地中構造物下部の施工方法が問題となる.今回,筆者ら は,地中構造物周辺に確実な遮水壁をより安全,かつ経済的に構築できるラッピングウォール工法の開発を行 い,実施工に適用した.本報告では,工法開発の一環として行った,既設地中構造物に損傷を与えず周辺地山 を切削するために採用した高圧噴射による地山切削時の施工管理手法について述べる.
2.ラッピングウォール工法概要 2.ラッピングウォール工法概要 2.ラッピングウォール工法概要 2.ラッピングウォール工法概要
本工法は,安定液により地山の安定を保ちながら新たに開 発した可動式チェーンソ型の掘削機を用いて地中構造物下部 の地山を掘削し,その掘削溝に置換材料を充填することで,
地中構造物周辺に確実な地中遮水壁を構築する工法である
(図−2参照).本工法において地中構造物周辺に確実な遮水 壁を構築するためには,置換材料を充填する前に,地中構造 物周辺の地山をいかに完全に取り除くことができるかが重要 となる.当該部の掘削を機械掘削方式とすれば,地山を完全 に取り除けないだけでなく,地中構造物への損傷が問題とな るため,本工法では図−2(青字部)に示すように地中構造物 近傍での地山掘削を機械掘削方式ではなく,高圧噴射切削方 式を採用することによりこれらの問題の解決を図った.
3.
3.
3.
3.セグメント影響評価実験及び地山切削効果確認実験セグメント影響評価実験及び地山切削効果確認実験セグメント影響評価実験及び地山切削効果確認実験セグメント影響評価実験及び地山切削効果確認実験 高圧噴射切削方式においても地中構造物に接近した位置か ら超高圧噴射を行えば,地中構造物に損傷を与えることにな る.また,高圧噴射は地中深くの安定液中で行うため,地山 切削の出来形を確認することができない.そこで,セグメン トに対する影響評価実験及び地山切削効果確認実験を実施し,
最適な高圧噴射仕様・地山切削能力の把握を行った.
高圧噴射での切削能力は,ノズル径(今回はφ4.6mm)を 一定とすると,①噴射流量,②地中構造物からの離隔距離に 影響を受けることから,地中構造物に損傷を与えない限界噴 射仕様を把握するため,これらをパラメータとしてセグメン トに対する影響評価実験を実施した.実験では,実施工に近 づけるため,実際のセグメントを準備し,実施工で用いる配 合の安定液を安定液中にて直接セグメントに噴射した.実験 からセグメントに損傷を与えない複数の噴射仕様が得られた が,これらのうち,噴射流量が最も大きい噴射流量 140L/min,
地中構造物 地中連続壁
連続壁欠損部 地下高速道路
(新設)
(既設)
図−2 ラッピングウォール工法概要図 図−1 地中構造物と干渉する地中連続壁工事例 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)
‑251‑
6‑126
離隔距離 70cm の噴射仕様を採用した.
次に,この仕様での地山切削能力把握(噴射時間に対する 地山切削距離の関係)及び,実施工での施工管理手法確立(効 果的かつ効率的な噴射時間の設定)のため,転圧締固めによ り模擬地盤(現地盤を想定したシルト質,砂礫質の 2 種類)
を造成し,地山切削効果確認実験を実施した.実験では特定 時間ごとに噴射を停止し,泥水を一旦下げて地盤の切削状況 を確認した.実験から得られた地盤の切削状況確認結果を図
−3(例:砂質シルト地盤)に,また,これを基に切削距離−
噴射時間関係に整理した結果を図−4に示す.
4.施工 4.施工 4.施工
4.施工管理手法の提案管理手法の提案管理手法の提案管理手法の提案
地山切削効果確認実験から得られた結果(図−4)は特定の 地盤に対して得られたものであるため,この結果をそのまま 直接現場へ適用できないという問題があった.そこで,高圧 噴射地盤改良工法で地盤評価指標として用いられている N 値 を管理指標とし,図−4 の N 値の異なる各地盤材料に対する 切削距離−噴射時間関係を図−5 に示す噴射時間ごとの N 値
−切削距離関係に変換し管理図として用いることとした.な お,模擬地盤の強度評価は簡易動的コーン貫入試験(換算 N 値)により行った.本管理手法により,ある N 値を有する砂 質シルト地盤に対して切削距離を与えれば,前述の噴射仕様 での必要噴射時間を求めることが可能となる.
また,砂礫地盤に対しても原理的には同様の方法で管理手 法が得られるが,地山切削効果確認実験で造成した模擬地盤 の土被りが 50〜70cm と拘束圧が小さいため,現場での砂礫地 盤の大きな N 値(N≧50)を再現できなかった.そこで,高圧 噴射地盤改良工法において実績のある標準設計数値1)から所 定の改良有効径を得るための N 値による砂質土と粘性土の関 係(表−1)を用いて,図−5の砂質シルト地盤の N 値−切削 距離関係を砂礫地盤のものへと変換し,さらに,これに模擬 砂礫地盤(N 値=22 相当)での地山切削実験から得られた結 果を合わせて補正することで,図−6 に示す砂礫地盤での管 理図を設定した.
5.おわりに 5.おわりに 5.おわりに 5.おわりに
現在,現場では本検討で提案した管理手法に基づいて施工 が進められ,良好な結果が得られている.都市再生に伴い地 中構造物を横断した地中連続壁を構築する必要がある案件が 多くなると予想されることから,今後,本技術が多くの土木・
建築工事に活用されれば幸いです.
参考文献 参考文献 参考文献 参考文献
1)JET GROUT ジェットグラウト工法 技術資料(第 10 版), JJGA 日本ジェットグラウト協会,2002,p.19.
▽
0 15 0 10 0 5 0 0
10 10
20 20
30 30
40 模擬地盤 40
50 50
60 60
70 70
※ハッチング部は締固め過大により切削不能となったため手掘りを実施
模 擬 地 盤 深 さ
切削距離 高圧噴射
ベントナイト泥水 模擬地盤幅 (cm)
200
(cm)
5min 5min 5min 5min
12min 12min 12min 12min 20min 20min 20min 20min 44min
44min 44min 44min
32min 32min 32min 32min
12min 12min12min 12min
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
0 2 4 6 8 1012141618 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 噴射時間(min)
切削距離(cm)
ケース①:砂質シルト GL-20cm N値=6 ケース①:砂質シルト GL-45cm N値=12.5 ケース①:砂質シルト GL-60cm N値=9 ケース②:砂礫 N値=22
ケース③:砂質シルト N値=3.3
0 50 100 150 200 250 300
0 50 100 150 200
切削距離(cm)
N値(砂質シルト→砂礫)
2min 4min 6min 8min 10min 14min 16min 20min 24min 32min 44min 砂質土 N<30 30<N
<50 50<N
<100 100<N
<150 150<N
<175 175<N
<200
粘性土 - N<3 3<N<5 5<N<7 - 7<N<9
0<Z<30 2.0 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2
0<Z<31 1.8 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0
16 20 20 25 25 25 N値
引き上げ時間(分/m) 有効径(m)
(深度Z(m)による区分)
0 2 4 6 8 10 12 14
0 50 100 150 200
切削距離(cm)
N値(砂質シルト)
2min 4min6min 8min 10min 14min 16min 20min 24min 32min 44min
図−6 N 値−切削距離関係(砂礫地盤)
図−5 N 値−切削距離関係(砂質シルト地盤)
表−1 CJG 工法における標準設計数値 図−4 切削距離−噴射時間関係 図−3 切削状況確認結果(砂質シルト地盤)
土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)
‑252‑
6‑126