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センタードレーン工による水位低下の影響範囲に関する考察

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Academic year: 2022

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(1)

1) 盛土施工前

(地下水位:地表面附近)

2) 盛土施工中

(地下水位低下)

3)盛土施工後

(地下水位:地表面附近)

浮力分:盛土荷重減少

センタードレーン工による水位低下の影響範囲に関する考察

(独)土木研究所 寒地土木研究所 正会員 ○山木 正彦 同 上 正会員 山梨 高裕 同 上 正会員 橋本 聖 同 上 正会員 林 宏親

1.はじめに

センタードレーン工法は,軟弱地盤上に構築された盛土が自重により沈下し,めり込んだ盛土底部に集水された 地下水を一般工事用の排水ポンプで強制的に排水し,盛土内水位を低下させることでサーチャージ効果が期待でき る工法である(図 1参照).東日本・中日本・西日本高速道路の設計要領1)には,強制排水工としてセンタードレー ン工に関する記述はあるものの,その設置間隔などに関する記載はなく,あくまで概略的な内容に留まっている.

本研究では,センタードレーン工に関する試験施工を実施し,その水位低下量および影響範囲を把握するととも に,浸透流解析によりセンタードレーンの設置間隔に関して検討を行った.

2.試験施工

北海道の泥炭性軟弱地盤上に建設された国道において実施されたセ ンタードレーン工による水位低下の影響範囲を調査した.原位置での詳 細な地盤情報等は文献

2

)を参照されたい.

盛土の構築にあたっては,まず暗渠排水とともにサンドマット(厚さ

80cm

)を施工し,盛土の構築に合わせてセンタードレーンおよび水位観 測のためのガス管(最下部の開孔率

1%

3)),基礎地盤沈下観測のための 沈下板を設置して,ドレーン内に設置した排水ポンプの稼働による経時 的な盛土内水位および沈下に関する計測を行った.観測のためのガス管,

沈下板は,盛土縦断方向にセンタードレーン直近と,そこから

10m

20m

30m

の位置に設置した.これら設置状況を図 2に示す.センタードレーン内に設 置した排水ポンプ(図 3)は上部と下部にフロートが付いており,上部フロート に水位が到達した段階で

50cm

下にある下部フロートの位置まで水位を自動的に 下げる構造となっている.観測結果は次章浸透流解析の説明とともに紹介する.

3.浸透流解析 3-1 再現解析

試験施工における観測結果を基に,センタードレーンを通る盛土縦断面(サンド マット以浅)に関して,センタードレーン箇所から縦断方向に

200m

の区間を有限 要素法でモデル化した.解析モデル模式図を図 4 に示す.図中には観測箇所における水位

(標高)とサンドマット高さ(標高)を示している.浸透流解析は二次元の定常解析およ び非定常解析を実施した.両解析ともセンタードレーン箇所から

200m

離れた地点を固定水 頭とし,センタードレーン箇所の水頭は定常解析では固定水頭,非定常解析では変動水頭 とした.なお変動水頭は

1

時間で水位を標高

6.3m

から

5.4m

まで低下させることとした.

これは,センタードレーン箇所の観測水位は

5.9m

であったが,事前の解析の結果,先に示 した排水ポンプの構造上,マイナス

50cm

とした

5.4m

の方が再現性が高いと判断したため である.再現解析における盛土およびサンドマットの地盤定数は表 1 に示す.なお比貯留 キーワード 泥炭性軟弱地盤,センタードレーン工,試験施工,浸透流解析

連絡先 〒062-8602 北海道札幌市豊平区平岸 1 条 3 丁目 1-34 TEL011-841-1709

図 1 センタードレーン工法の概要

盛土縦断方向

図 2 センタードレーン設置状況

沈下板 ガス管

センタードレーン

10m 20m 30m

図 3 排水ポンプ

50cm

下部フロート 上部フロート

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑293‑

Ⅲ‑147

(2)

係数および不飽和浸透特性(比透水係 数および負の圧力水頭)は河川堤防の 構造検討の手引き4)から得ている.

定常,非定常による再現解析の結 果を観測水位との関係で図 5に整理 した.図より定常,非定常とも観測 水位より若干高くその傾向は非定常で顕著

であるが,センタードレーンからの距離が離れると,解析結果と 観測水位の差が一時大きくなり,その後再度小さくなるという傾 向は同じである.以上,両解析結果はセンタードレーンによる水 位低下効果を過小に見込んでおり,安全側の評価と言えるため,

簡易な定常解析を良として,次節の検討に入る.

3-2 センタードレーン設置間隔の検討

センタードレーン工はその構造上,基礎地盤の沈下量が大きいほ ど盛土内水位を低下させることができ,その影響範囲も広くなると 思われる(図 6 参照).そこでセンタードレーンの適切な設置間隔 を検討すべく,図 6 で示す水頭差(沈下量と初期水位の差分)をパ ラメータに二次元の定常解析を行った.なお地盤定数は再現解析と 同じである.

解析はセンタードレーン箇所の水頭を

50cm

で固定し,そこから

200m

離れた箇所の固定水頭をパラメータとした.センタードレー ン箇所の水頭を

50cm

としたのは,設置した排水ポンプの吸水口の 位置を考慮したためである.なお基礎地盤の沈下は盛土縦断方向に 一律に生じたものと仮定している.

図 7に解析結果の一例を示す.横軸の

0

がセンタードレーン箇所 を意味する.同じセンタードレーンからの距離で水位低下量を比較 した場合,固定水頭が高いほど低下する水位は大きい.

ここで,各固定水頭から

50cm

(もしくは

100cm

)以上水位 低下する距離(センタードレーンからの距離

x

50(100)

(m)

)を,

センタードレーンによる水位低下(50cmもしくは

100cm)の

影響範囲とみなし,水頭差(

S

h

(m)

50cm

(もしくは

100cm)水位低下を見込めるセンタードレーン間隔 Lc

(2x50(100)

(m)

)との関係を図 8に整理した.種々の地盤条件での検討が 必要ではあるが,この図より,初期水位と沈下予測の計算結 果から,所定の水位を低下させることが可能なセンタードレ ーン間隔

Lc

m

)を設定することが可能となる.

【参考文献】

1

)東日本・中日本・西日本高速道路(株):設計要領 第一集 土工編,

2009

2

)橋本聖,山梨高裕,林宏親,梶取真一:寒地土木研究所 月報,

No.727

pp.23-29, 2013. 3)(独)土木研究所ほか:河川堤防における堤体内水位

観測マニュアル(案),土木研究所共同研究報告書第

377

号,

2008

4

)(財)

国土技術研究センター:河川堤防の構造検討の手引き(改訂版),2012.

‐20

‐10 0 10 20 30 40

0 10 20 30 40

観測水位cm

センタードレーンからの距離(m)

定常解析 非定常解析(7日後)

非定常解析(14日後)

非定常解析(21日後)

非定常解析(28日後)

非定常解析(365日後)

図 5 再現解析結果と観測水位の比較 表 1 地盤定数一覧

透水係数 比貯留係数

k(m/sec) Ss(l/m) 比透水係数 負の圧力水頭

盛 土 5.70×10-5 サンドマット 1.72×10-4

項 目 不飽和浸透特性

1.0×10-4 文献4)から設定

(砂質土[S-F])

図 8 センタードレーン間隔

Lc

設定図

0 20 40 60 80 100 120

0 1 2 3 4 5 6

センタLcm

水頭差 (m):

(予測沈下量)-(原地盤面から初期水位までの深さ)

水位低下50cm 水位低下100cm 変動水頭(非定常)(定常の場合標高 5.4m で固定)

5.842 5.856 5.841 5.984

5.734

5.020 4.955 5.992

距離(m)

図 4 解析モデル模式図

0 1 2 3 4 5

0 50 100 150 200

サンドマット(0.8m)

図 7 二次元定常浸透流解析結果

(m)

(m) 固定水頭

▽Y=4.8m

▽Y=2.8m

▽Y=1.8m 固定水頭 Y=0.5m

センタードレーンからの距離 x(m)

図 6 センタードレーン工における

沈下・水位の考え方(盛土縦断面)

センタードレーン

サンドマット 盛土

軟弱地盤 沈下量S (m) サンドマット

盛土

軟弱地盤

初期水位 GL-h (m)

センタードレーン

水頭差Sh (m)

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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