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Academic year: 2021

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(1)

もの忘れの予防と生活習慣病

(2)

JAAD

■認知症の定義

いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、

複数の認知障害があるために社会生活に支障をきたす

ようになった状態。

(認知障害の中でも記憶障害が中心となる症状で、

早期に出現することが多い)

■認知症と区別すべき病態

意識障害・せん妄、加齢による認知機能の低下、うつ

状態による仮性痴呆、精神遅滞ほか。

認知症とは?

(3)

JAAD

「老人保健福祉計画策定に当たっての痴呆老人の把握方法等について」 平成4年2月老計第29号、老健14号

1.5

3.6

7.1

14.6

27.3

65~69 70~74 75~79 80~84 85歳以上 30 25 20 15 10 5 0 (%)

高齢者の年齢段階別痴呆出現率

認知症を有する高齢者の割合

(4)

JAAD

*%は65歳以上の老人人口に対する痴呆性老人の出現率 厚生省「1994年 痴呆性老人対策に関する検討会報告」 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年

300

250

200

150

100

50

0

(万人) (%)

15

10

5

0

2020年

126

156

189

226

262

292

6.9%

7.2%

7.6%

8.1%

8.4%

8.9%

認知症を有する高齢者の将来推計(数,有病数)

認知症を有する高齢者人口の推移

(5)

記憶とは

1.記憶の三過程

①登録:

感覚器官を経由して,脳に知覚・認知

②把持:

入力されたものを把持しつづける

把持時間の長さにより

「短期記憶」

「長期記憶」

③再生:

登録・把持されたものを必要に応じて

呼び出すこと

*「注意」

「反復」

が重要

(6)

記憶とは

2.記憶の三段階

①瞬間記憶

immediate recall

(=短期記憶)

非常に時間の短い記憶.数字の項唱など

②近い記憶

recent memory

瞬間記憶より長い記憶.数分〜数時間〜

どんどん忘れてしまう記憶

③遠い記憶

remote memory

学習されている,かつての生活史

(7)

瞬間記憶

(短期記憶/作業記憶)

近い記憶

遠い記憶

(8)

若いときは・・・

(9)

年をとると・・・

(10)

気分の落ち込み

気力の低下

注意

うつ状態(仮性痴

呆)

(11)

健康な老人の「もの忘れ」と

病的な「もの忘れ」

普通のもの忘れ(良性健忘)

病的なもの忘れ

・体験の一部分を忘れる

・全体を忘れる

・進行しない

・進行する

・失見当なし

・失見当あり

・自覚している

・自覚しない

・生活に支障なし

(12)

健康な老人の「もの忘れ」と

病的な「もの忘れ」

普通のもの忘れ(良性健忘)

病的なもの忘れ

・体験の一部分を忘れる

・全体を忘れる

例)

昼食を数人の友人ととった

昼食をとったこと自体を

直後に,ある友人の名前を

すっかり忘れる.

どうしても思い出せない.

心の生活が,線でなく

不連続な点

になる

(13)

健康な老人の「もの忘れ」と

病的な「もの忘れ」

普通のもの忘れ(良性健忘)

病的なもの忘れ

・進行しない

・進行する

健忘期:記憶障害

失計算,失語

混乱期:失見当,徘徊

精神錯乱(夜間せん妄)

幻覚ー妄想状態

痴呆期:高度の認知障害,失禁

時間的な経過

(14)
(15)

JAAD

*調査対象は65歳以上の痴呆患者 「平成7年度東京都社会福祉基礎調査・高齢者の生活実態」 アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症 その他の認知症 不明

23.7%

31.4%

7.7%

37.2%

43.1%

30.1%

8.1%

18.7%

1987年

(n=156)

1995年

(n=123)

認知症の原因疾患の割合

(16)

1983年 第9回 サミット

ロナルド・レーガン(1911〜2004)(93歳没)

マーガレット・サッチャー(1925〜2013)(87歳 没)

(17)

物忘れ(認知症)を呈する疾患

・変性疾患:アルツハイマー型認知症,ピック病,前頭葉型認知症,

レビー小体型認知症,進行性核上性麻痺など

・脳血管障害:脳血管性認知症

・感染症:脳炎,神経梅毒,エイズ脳症,プリオン病

・腫瘍:脳腫瘍

・外傷:慢性硬膜下血腫

・髄液循環障害:正常圧水頭症

・内分泌・代謝疾患:甲状腺機能低下症,肝性脳症,シャント脳症

・中毒・栄養障害:アルコール中毒,ビタミン

B12欠乏

(18)

アルツハイマー病

(19)

アルツハイマー病

病因:不明

病因・病態解明の手がかり

#1.遺伝性アルツハイマー病

原因遺伝子:

アミロイド前駆体蛋白

(APP)遺伝子

プレセニリン1

(PS1)遺伝子

プレセニリン2

(PS2)遺伝子

危険因子:

アポリポ蛋白

E(ApoE) ε4

#2.神経病理

1.

老人斑

アミロイド

β蛋白

の蓄積

2.

アルツハイマー神経原繊維変化

タウ蛋白の蓄積

3.

神経細胞の萎縮・消失

(20)

JAAD

①老人斑(主成分:アミロイド・ベータ蛋白(Aβ))

②神経原線維変化(主成分:異常リン酸化タウ蛋白)

③神経細胞の脱落

メセナミン-Bodian染色

〈原図〉 金沢大学 神経内科 山田 正仁

アルツハイマー型認知症の脳病変の特徴

(21)

JAAD

タウ

アミロイドβ蛋白(Aβ)

免疫染色で老人斑が陽性

タウ免疫染色で神経原線維変化

(

矢印

)

老人斑の変性神経突起

(

)

が陽性

〈原図〉 金沢大学 神経内科 山田 正仁

老人斑

神経原線維変化

(22)

アルツハイマー病の病態生理:アミロイド仮説

アミロイド

β蛋白の蓄積→老人斑形成

タウ蛋白の蓄積

→神経原繊維変化

神経細胞死

(23)

アミロイド

イメージング

(アミロイド

PET)

(24)

アルツハイマー病の根治療法 〜現在研究中〜

A.アミロイドをターゲットとする治療

1.アミロイド

β蛋白の沈着を抑制する薬剤

A.アミロイドβ蛋白ワクチン療法

2.アミロイド

β蛋白の産生を抑制する薬剤

A.Γ-セクレターゼ阻害薬

B.Β-セクレターゼ阻害薬

3.アミロイド

β蛋白の凝集を阻害する薬剤

B.タウをターゲットとする治療

1.タウリン酸化阻害薬

2.タウ凝集

.重合阻害薬

(25)

アルツハイマー病の病態生理:アミロイド仮説

アミロイド

β蛋白の蓄積→老人斑形成

タウ蛋白の蓄積

→神経原繊維変化

神経細胞死

認知症

Preclinical AD=根治療法の治療ターゲット

(26)

アルツハイマー病の治療(対症療法)

〜現実に現在使用可能な治療〜

1.アセチルコリンエステラーゼ阻害薬

神経伝達物質アセチルコリンの分解を抑制し,アセチルコリンを増やす

塩酸ドネペジル

(アリセプト):平成

11年発売

ガランタミン

(レミニール):平成

23年発売

リバスチグミン

(リバスタッチ):平成

23年発売

2.

NMDA拮抗薬

メマンチン

(メマリー):平成

23年発売

(27)

塩酸ドネペジル(アリセプト)

効能・効果

アルツハイマー型認知症における

認知症症状

の進行抑制

〈効能・効果に関する使用上の注意〉

1. アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること

2. 本剤がアルツハイマー型認知症の

病態そのものの進行を抑制する

という成績は得られていない.

3. アルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患において

本剤の有効性は確認されていない.

(28)

脳血管性認知症

脳血管障害

卒中

(29)

脳血管障害(脳卒中)

1.脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞:

比較的太い血管の動脈硬化

ラクナ梗塞:

穿通枝という細い血管の動脈硬化.高血圧が危険因子

心源性脳塞栓症:

心臓に病気があり,心臓内の血栓が脳の血管につまる

2.脳出血

高血圧性脳出血

脳動静脈奇形,海綿状血管腫,もやもや病

3.くも膜下出血

脳動脈瘤破裂

(脳血管攣縮

→脳梗塞,水頭症)

(30)
(31)

認知機能に重要な意味を持つ領域の単一梗塞

(32)

認知機能に重要な意味を持つ領域の単一梗塞

後大脳動脈領域

海馬:記憶

(33)

認知機能に重要な意味を持つ領域の単一梗塞

角回

角回

角回症候群

・失語

・失読

・ゲルストマン症候群

失算

失書

左右失認

手指失認

(34)
(35)

橋本 龍太郎(

68歳

没)

腸管虚血

小渕 恵三(

62歳没)

脳梗塞

(36)

動脈硬化

血管病

脳血管

冠血管

腸管血管

下肢血管

脳梗塞

狭心症

虚血性腸炎

閉塞性動脈硬化症

(37)

アルツハイマー病の予防

1.危険因子の修正

危険因子 ①生活習慣病 ③その他の病態・変化 肥満(中年期) 低体重(中年期) 高血圧(中年期) 低血圧(老年期) 心疾患(虚血性,心不全,心房細動)(老年期) 視力障害(老年期) 糖尿病(中〜老年期) 聴力障害(老年期) 高インスリン血症(老年期) 筋力低下(老年期) 脂質異常症(中年期) ②精神神経疾患 脳血管障害(中〜老年期) 頭部外傷(中〜老年期) うつ病(中〜老年期) 心的外傷後ストレス障害(退役軍人コホート)

(38)

脳血管性認知症の予防

1.動脈硬化の危険因子の修正

動脈硬化の危険因子

1.加齢

2.高血圧

3.糖尿病

4.高脂血症

5.たばこ

6.アルコール

7.肥満

(39)

認知症の予防(アルツハイマー病 &

脳血管性認知

症)

=生活習慣病の改善

高血圧

糖尿病

脂質異常症

血管老化

代謝老化

アルツハイマー病

脳血管性

認知症

里 直行先生

(40)

生活習慣病の予防はいつから始めるか

A先生の頸動脈エコー所見(42歳頃)

右総頚動脈縦断像

ここにプラーク(動脈硬化)がある!

横断像

A先生の動脈硬化の 危険因子 1.加齢 (+) 2.高血圧 (+) 3.糖尿病 (ー) 4.たばこ (ー) 5.アルコール (+) 6.肥満 (ー) 7.心房細動

自覚症状は無い=サイレント・キラー

(41)

マルチプルリスクファクター症候群

シンドローム

X

死の四十奏

インスリン抵抗性

内臓肥満症候群

症候群

G.M.Reaven

N.M.Kaplan

R.A.DeFronzo

松澤 佑次

(1988年)

(1989年)

(1991年)

(1987年)

インスリン抵抗性

上半身肥満

肥満

内臓脂肪蓄積

高インスリン血症

耐糖能異常

糖尿病

インスリン抵抗性

高中性脂肪

高中性脂肪

高インスリン

耐糖能異常

HDL-C

高血圧症

血清脂質異常

高脂血症

高血圧症

高血圧症

高血圧症

冠動脈硬化症

(42)

メタボリックシンドロームの診断基準

1.

内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積

ウエスト周囲径

男性≧

85cm

女性≧

90cm

(内臓脂肪面積 男女とも≧100cm2 に相当)

2.上記に加え以下のうち2頄目以上

①高トリグリセライド血症

150mg/dl

かつ/または

HDL コレステロール血症 <40mg/dl

②収縮期血圧

130mmHg

かつ/または

拡張期血圧

85mmHg

③空腹時高血糖

110mg/dl

(43)

メタボリックドミノ

網膜症

神経障害

肥満

インスリン低抗性

食後

高血糖

高血圧

高脂

血症

糖尿病

腎不全

動脈

硬化

脳卒中

心臓病

伊藤 裕

(44)

アルツハイマー病の予防(コホート研究より)

1.危険因子の修正 = 生活習慣病の改善

2.防御因子の修正

防御因子 ①心理・性格要因 実直さ 高い人生の目的意識 ②運動・余暇・嗜好 適度な運動 認知刺激を伴う余暇活動 適量飲酒 コーヒー飲料 ③食事・栄養要因 地中海食 魚(n−3系多価不飽和脂肪酸)の高摂取 葉酸高摂取 ビタミンC・E高摂取

(45)

アルツハイマー病の予防

:防御因子の修正:運動・余暇・嗜好の修正

=『廃用症候群』の予防

運動不足または日常の活動性の低下により惹起される疾病群の総称

「機械も使わなければ錆びてしまう!!」

臓器

廃用による生理変化

疾患(症状)

骨萎縮・強度の低下

骨粗しょう症

関節

可動域制限

関節拘縮

皮膚

萎縮・菲薄化

裂傷・褥瘡

筋肉

萎縮・筋力低下

歩行障害・転倒

心・血管

耐久性低下

頻脈・起立性低血圧

精神活動性低下

物忘れ・認知症

(46)

70歳代 男性の廃用症候群

大リーグ症候群!(定年退職・毎日が日曜

日)

起 床 朝 食 テレビ:大リーグ 昼

6時

12時

18時

テレビ: ナイター 夕 食 *酒・タバコやめたら,何の楽しみが残る!! *ゲートボールやるほど,年じゃない!! *デイサービスなんて,くだらねー!!

(47)

廃用症候群による,残存機能の喪失

普通のもの忘れ

病的なもの忘れ

・進行しない

・進行する

廃用症候群により,進行する

さらに進行する

健忘期:記憶障害

失計算,失語

混乱期:失見当,徘徊

精神錯乱(夜間せん妄)

幻覚ー妄想状態

痴呆期:高度の認知障害,失禁

時間的な経過

(48)

アルツハイマー病の予防

:防御因子の修正:高い人生の目的意識

三浦 雄一郎(

80

歳)

2013年5月23日 午前9時(日本時間12:15)

エベレスト登頂

(49)

アルツハイマー病の予防

1.危険因子の修正 = 生活習慣病の改善

2.防御因子の修正 = 運動・余暇・嗜好の修正,高い生活の目的意識

3.脳には良くなる力(可塑性)がある

=リハビリテーションの重要性

(50)

認知症の予防:

脳の可塑性:リハビリテーション

「寡黙なる巨人」

多田

富雄

2008年 第7回 小林秀雄賞受賞 1934年 茨城県生まれ 東京大学名誉教授.免疫学者. 千葉大学医学部卒.千葉大学教授, 東京大学教授,東京理科大学生命科学研究所長

(51)

発 病 直 後 は 絶 望 に 身 を 任 せ る ば か り で , 暇 さ え あ れ ば 死 ぬ こ と ば か り 考 え て い た . 言 葉 を 発 す る こ と が で き な い の で , た だ お ろ お ろ と , 人 の い う が ま ま に 動 い て い た . ・ ・ ・ 後 で 考 え れ ば 得 が た い 経 験 だ っ た が , そ の と き は 絶 望 で 何 も か も が 灰 色 だ っ た . 希 望 の か け ら す ら な か っ た . そ れ が リ ハ ビ リ を 始 め て か ら 徐 々 に 変 わ っ て い っ た の だ . も う 一 人 の 自 分 が 生 ま れ て き た の で あ る . そ れ は 昔 の 自 分 が 回 復 し た の で は な い . 前 の 自 分 で は な い 「 新 し い 人 」 が 生 ま れ た の だ . 私 は こ の 「 新 し い 人 」 の 目 覚 め を , こ の 本 の 中 で 繰 り 返 し 書 い た . そ の 「 新 し い 人 」 は , 初 め の う ち は ま こ と に 鈍 重 で ぎ こ ち な か っ た が , 日 増 し に 存 在 感 を 増 し , 「 古 い 人 」 を 凌 駕 し て し ま っ た . 今 で は 彼 の 天 下 で あ る . 私 は 脳 梗 塞 の 発 作 に よ っ て , 生 ま れ 変 わ っ た の だ と 信 じ て い る . そ の 前 の 自 分 は 確 か に 死 ん だ の だ . 新 し い 自 分 が 生 き て い る の だ . そ ん な 「 回 生 」 の き っ か け を 綴 っ た の が 「 寡 黙 な る 巨 人 」 で あ る .

(52)

認知症の予防:

脳の可塑性:リハビリテーション

長島

茂雄

2013年 国民栄誉賞

1958年〜1974年(17年) 1974年〜1980年 1992年〜2001年 計15シーズン 2004年3月脳梗塞〜

(53)

一病息災

健康寿命

介護を受けたり,病気で寝たきりになったりせず, 自立して健康に生活できる期間

平均寿命 ー 健康寿命

要介護寿命

79.55

71.68

7.87

86.30

75.32

10.98

2010年)

(54)

PPK運動(ピンピンコロリ)

原点:昭和

54年長野県下伊那郡高森町で開かれた長野県体育学会で,高森町内

の中高年齢者の体力・健康づくりのキャッチフレーズとして利用した.

平成

10年 『PPKのすすめ』 水野 肇編 により全国的に広がる.

三大死因 ・悪性新生物

→ 早期発見・早期治療.

「検診」のすすめ

・心疾患/脳血管疾患

→ 動脈硬化の予防

生活習慣病の予防/治療

寝たきりにならない/させない

→ 「元骨セミナー」(骨粗鬆症・転倒予防教

室)

「いきいき教室」(もの忘れ予防教室)

(55)

自己決定の重要性

「この認知症の患者さんは,胃瘻をつくことを本当に

望んでいるのであろうか?」

認知症になってしまったら,

(56)
(57)

生前の意志

自らの知能・精神状態が健全な時

に,

自らの意志をできれば文書にて表明しておく

「日本尊厳死協会」

「事前指示書」

「エンディング

ノート」

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