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仮設足場上の歩行特性 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)仮設足場上の歩行特性. 吉村 誠. 件) 死傷災害発生件数(. 建設業労働災害の発生要因は,気候,工事量などの環 境要因,労働者の年齢,行動などの個人要因,仮設物, 建設機械などの物的要因がある. この中で, 環境要因は, 殆どが個人要因や物的要因に影響を及ぼすもので,災害 の発生への関与は間接的である.これに対して,個人要 因である労働者の行動や物的要因である設備の不備など の災害発生への関与は直接的であると考えられる.. 10000. 100. 8000. 80. 6000. 死傷災害発生件数 累積率. 4000 2000. を分析することで,仮設足場という特殊な環境が作業者. 0. に及ぼす影響を分析し, 検討することを目的としている.. 墜 落 , 転 落. 災 害 型. 2. 墜落・転落災害の型別発生傾向. 飛 こ は 激 転 激 道 高 そ の 来 す さ 突 倒 し 路 ・ い 交 低 他 , れ ま , 落 動 通 温 れ 激 突 下 作 事 度 さ 物 故 れ. 図 1 災害型別発生件数. 図 1 に平成 14 年度の建設業労働災害における災害型. 災害発生率(%). 60. 別の発生数を示す.図 1 より,墜落・転落災害が,全災害 26,512 件中 9,200 件発生しており,およそ 3 割強を占め ている.この傾向は調査期間中およそ 15 年間で大きな 変化は見られない. 表 1 に災害統計上 1),墜落・転落災害の小分類に分類さ れている項目のうち,被災者が災害発生時に身体の安定. 50 40 30 20 10. する災害は, 墜落・転落災害のおよそ半数を占めており, 高い発生率を示している.この発生率は調査期間およそ. 倒 壊 他 者 設 定. 倒 壊 自 者 設 定. ). う. )を示す.表 1 より,被災者の身体の不安定を原因と. 作 業. 足 場 不 安 定. (. よび墜落・転落災害全数に対する割合(以下,構成比とい. 移 動. (. 行 動 型. ). 0. を失ったために発生したと考えられる災害の発生件数お. 図 2 被災者の行動型別災害発生率( ビル工事). 15 年間で同様の傾向を示している.. 40. 災害発生率( %). 図 2 に, ビル工事における墜落・転落災害発生時の被災 者の行動型別にその災害発生率を示す 3).図 2 より,ビ ル工事において,墜落・転落災害は,作業者の移動時にそ のおよそ半数が発生することがわかる. また, 図 3 に墜落・転落災害発生時の被災者の移動の型. 9,200. 49.9. 50.1. 100.0. 20 15 10. 移 動 型. 上 方 向. 下 方 向. 通 路 外 通 路 な し. 斜 面. ). 通 路 外 通 路 あ り. ). ※災害統計上,墜落・転落災害の型別小分類において,作業者の 姿勢が不安定になり発生したと考えられる災害を抽出して集計し た.. 水 平. (. 計. 4,608. 25. (. その他. 4,592. 30. 0. 表1 姿勢が不安定になり発生する墜落・転落災害 不安定. 40歳未満 50歳以上. 35. 5. 別の災害発生率を示す.図 3 より,墜落・転落災害は年齢. 発生件数 (件) 構成比 (%). 40 20. 0. 本研究は,物的要因である仮設足場における歩行特性. 60. 図 3 移動の型別災害発生率 45-1. ス レ ー ト 面 上. 累積比(%). 1. はじめに.

(2) 平面図. 3,900 立面図. 図 4 分析システムの概要 層問わずに,水平移動時に最も多く発生していることが. か検討するために,被験者は,足場での作業経験のない. わかる.. 非熟練工 5 名とした. 歩行条件は,歩行による移動(以下,自由歩行)と,. 以上のことより,建設業労働災害で最も多く発生する 墜落・転落災害は, 水平移動時に労働者が何らかの原因で. その比較のために,荷物を持った歩行(以下,運搬作業). バランスを崩し発生することが多いということがいえる.. の 2 つの作業動作を実験の対象とした. なお,運搬作業時に手に持つ荷物は,RMR がおよそ 2. 3. 実験概要. 倍となる 4)20kg のものと,JIS で規定されている 25kg. 3.1 実験目的. を超える 30kg のもの(ともに,バケツに砂を入れたも. 本実験は,仮設足場という特殊な環境が作業者に及ぼ. の)を用い,これを右手に持たせることで行った.. す影響を分析するために,足場と作業者の接触部である. 足場条件は,まず,被験者の通常時の歩行特性を分析. 足底部の変化を分析することを目的としている.. するためにコンクリート製の水平面とした.次に,仮設. 3.2 分析システムの概要. 足場は,スムーズに足を前に振り出すことができる幅. 本研究では,足底部の力学的変化を分析するために,. 500mm の枠組足場と,足を前に振り出す際,一旦足場. 歩行時や作業時の足底部の圧力変化や,重心の変化を時. の外側に足を振り出さなければならない幅 250mm の枠. 系列的に分析することが可能である分析システムとして,. 組み足場を用いた.また,足場の長さは,分析システム. 足底圧分析システム F-SCAN( (株)ニッタ)を用いた.. の都合上 5,500mm とした.足場の高さは,本実験の被. この分析システムは,足型にカットされたセンサシー. 験者が非熟練工であるため,実験上の安全を考慮し,ま. トを対象者の靴の中にセットし,対象者の歩行やジャン. た,高さによる心理的・生理的影響を除外するために. プなどの動きに応じて発生する圧力の分布を計測,記録. 500mm と低いものとした.. するシステムである.センサシートは,感圧抵抗変化を 示す物質で形成されており,感応部はマトリクス数 21. また,実験時の環境は,季節や気候などの環境要因を 除外するために,実験室内で行った.. ×60 の計 1260 ポイント,平面状の分解能は 5.08mm 間 隔,圧力の測定範囲は 2.0∼147.0(N/cm2)である.サ. 1.2. ンプリング周波数は,2.5×10-4∼165(Hz)である.. 1.1 1.0. ルビデオカメラ(以下,DV カメラ)を用いて撮影した.. 0.9. 図 4 に測定システムの概要を示す.なお,測定データ と DV カメラ画像データを同期させるためにトリガボッ クスを用いた.これは,スイッチを押すと足底圧データ を測定し始めると同時に,LED ランプが点灯し,それを. 歩幅 (平地移動基準). また,測定時の上体の変化を記録するために,デジタ. 画像に取り込むことによって,画像データと足底部のデ. 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4. ータを同期させるものである.これにより,足底部のデ. 0.3. ータと画像データにずれがなく,上体の動きと足底部の. F- 0 50- 0. F- 20 50- 20. F- 30 50- 30. 25- 0. 25- 20. 25- 30. 0.2. 力学的変化を同時に分析することが可能である.. 50. 60. 70. 80 体重 (kg). 3.3 実験条件. 図 5 歩幅の測定結果. 仮設足場が作業者の動作にどのように影響をおよぼす 45-2. 90. 100.

(3) 2 0. 40. -2. 20. -4 0.5. 1.0 1.5 時間(sec.). 2.0. 0 00 .0. 2.5. 1.0 1.5 時間(sec.). 2.0. 0. 40. -2. 20. 50-20-L-P 50-20-R-P. 0.5. 1.0 1.5 時間(sec.). 2.0. 60. 2 0. 40. -2. 20 0 00 .0. 2.5. 1.0 1.5 時間(sec.). 0. 40. -2. 20. ︶. 2.0. 1.0 1.5 時間(sec.). 2.0. 2 0. 40. -2. 20. 0. 40. -2. 20. 0.5. 1.0 1.5 時間(sec.). 2.0. 25-30-L-P 25-30-R-P. 25-30-L-X 25-30-R-X. 60. 2.5. 0.5. 移動. 1.0 1.5 時間(sec.). 2.0. 2.5. 4 2 0. 40. -2. 20. -4 0 00 .0. 4 2. 4. 25-20-L-X 25-20-R-X. 60. 2.5. 2.5. -4. 2.5. -4 0.5. 50-30-L-X 50-30-R-X. 60. 0 00 .0. 荷重(体重比) (%). 2. 2.0. 80 25-20-L-P 25-20-R-P. 荷重(体重比) (%). 60. 0 00 .0. 50-30-L-P 50-30-R-P. 80 荷重中心X座標(cm). 荷重(体重比) (%). (. 足 場 25 cm. 0.5. 4. 25-0-L-X 25-0-R-X. 1.0 1.5 時間(sec.). -4. 80 25-0-L-P 25-0-R-P. 0.5. 4. 50-20-L-X 50-20-R-X. -4 0 00 .0. -2. 20. -4. 荷重(体重比) (%). 2. 0. 80. 4 荷重(体重比) (%). 60. 4 2. 40. 0 00 .0. 2.5. 80 50-0-R-X 50-0-L-X. 荷重中心X座標(cm). 荷重(体重比) (%). (. 足 場 50 cm ︶. 0.5. 荷重中心X座標(cm). 80 50-0-R-P 50-0-L-P. F-30-L-X F-30-R-X. -4. 荷重中心X座標(cm). 0 00 .0. F-30-L-P F-30-R-P. 60. 荷重中心X座標(cm). -2. 20. 60. 荷重中心X座標(cm). 0. 40. 4. F-20-L-X F-20-R-X. 荷重(体重比) (%). 2. F-20-L-P F-20-R-P. 荷重(体重比) (%). 60. 80. 4 荷重中心X座標(cm). 荷重(体重比) (%). 平 地. F-0-L-X F-0-R-X. 荷重中心X座標(cm). 80 F-0-L-P F-0-R-P. 荷重中心X座標(cm). 80. -4 0 00 .0. 運搬(20kg). 0.5. 1.0 1.5 時間(sec.). 2.0. 2.5. 運搬(30kg). 図 6 測定結果 3.4 実験および測定方法. 物 30kg の運搬作業では,どの被験者も 1 割以上減少し. 実験は,被験者を単管足場上で歩かせ,そのときの足. ており,体重 52kg の被験者は 5∼6 割と大きく減少して. 底部の力学的変化を,足底圧分布測定システムを用いて. いる.また,足場幅が減少するとともにその減少率は大. 測定し,上体の動きを DV カメラで撮影した.. きくなる傾向がある.. また,歩数をカウントし,歩行距離を測定した.これ. これらのことは,足場幅が小さくなるとともに荷物の. により,歩行の基礎的なデータである歩幅を,歩行距離. 重量の影響が大きくなることを示している.また,体重. を歩数で除することで求めた.. が小さい被験者ほど歩幅の減少率が大きく,荷物の影響. 被験者は,実験条件を一定にするために,作業着を着 用し,靴は安全靴を着用した.. が大きい. 体重 52kg の被験者の 20kg の運搬作業におけ る歩幅と体重76kg の被験者の30kg の運搬作業における 歩幅は同程度で,自由歩行と比較して,1∼2 割程度減少. 4. 結果および考察. している.どちらも荷物の重量が被験者の体重のおよそ. 足底圧分布測定システムを用いて,自由歩行,運搬作. 4 割であることから,作業者の体重によって,作業者が. 業について,3 つの足場条件(平地,幅 500mm,幅. 持つことができる荷物の重量を制限する必要があると考. 250mm)での歩行動作要素および足底部の力学性状につ. えられる.. いて,測定および分析を行った.その結果および考察を. 4.2 足底部の荷重値変化 図 6 に,足底部の荷重値と荷重中心座標を条件別に示. 以下に示す. 4.1 歩幅. す.荷重値は,体重の影響を除外するために被験者の体. 図 5 に,歩行条件,足場条件別の,歩幅の測定結果を. 重に対する比で示した.荷重中心座標は,足底部の荷重. 示す.なお,図 5 の値は,平地における自由歩行の値を. の重心の座標である.座標軸は,センサシートの踵部端. 1 としその比で示している.. を原点として,足底部の幅方向を X 軸(身体の中心から. 図 5 より,歩幅は,自由歩行では,足場条件に関わら. 外側を正とする) ,長さ方向を Y 軸(体の前方を正とす. ず,通常の歩行と同程度あるいはそれを上回る傾向があ. る)とした.なお,図 6 には,進行方向に垂直な方向の. ることが分かる.荷物 20kg の運搬作業では,体重が小. 動揺を分析するために,X 座標のみを示している.. さい被験者は 1∼2 割程度減少し,足場条件により異な. 図 6 より,通常の歩行における荷重値は,左右の足と. る傾向が見られた.体重が大きい被験者は自由歩行と同. もに,既往の研究にも示されているように,足底接地時. 程度で,足場条件に関わらず一定の値を示している.荷. に 1 つ目のピーク(以下,第 1 ピーク) ,立脚中期に極 45-3.

(4) 小値,踵離地時に 2 つ目のピーク(以下,第 2 ピーク). ために生じた反応であり,非熟練工にとって不安定な歩. があるという変化を示している.また,荷重中心の X 座. 行環境であると考えられる.. 標は,足底接地後,立脚中期にかけて外側に移動し,そ. 運搬作業では,250mm 幅の足場よりも 500mm 幅の. の後,足尖離地まで内側すなわち親指の付け根まで移動. 足場の方の上昇率が高い傾向が見られた.これは,. する.平地の自由歩行では,全被験者でこの傾向が見ら. 250mm 幅の足場は,500mm 幅の足場と比較して,進行. れ,最も荷重値が低い立脚中期に荷重中心が最外縁にあ. 方向に対して,横方向の動作が制限されているため,慎. るため安定的な歩行であると考えられる.. 重に歩行した結果であると考えられる.また,被験者の 体重が小さいほど荷物による影響が大きく,被験者の体. また,実験条件が厳しくなるとともに,荷重値の変化 形状が大きく変わっている.荷物側の足の第 1 ピークが. 力の限界に近いと考えられる.. 上昇しているのが多く確認された.これは,荷物の影響 まとめ. で上体が荷物側に大きく振られ,それを支えるために,. 仮設足場上での歩行特性を分析するにあたり,作業者. 踏み込みの荷重値が大きくなったと考えられる.また, 荷物と反対側の足の第 2 ピークが上昇している. これは,. の足底部の変化を測定し,その変化が特徴的であった立. 被験者が,安定させるために荷物と反対側に身体を傾け. 脚中期の荷重値を分析した.. ようとして,蹴り出しの力を強くしたためであると考え. 仮設足場上で,立脚中期の荷重値は,平地と比較して. られる.このとき,荷重中心の X 座標は,平地の自由歩. 上昇する傾向にあるが,足場の幅の影響は見られなかっ. 行と比較して,荷重値の高い時点で最外縁に達している. た.運搬作業時にも,同様の傾向が見られるが,被験者. ことが確認された.. の体力の影響が大きく,体力の低い被験者ほど立脚中期 の荷重の上昇率が高い傾向がある.. また,条件が厳しい際に,通常の歩行では荷重値が極 小となる立脚中期において 3 つ目のピーク(以下,第 3. 仮設足場での歩行は,経験のないものにとって不安定 な歩行環境であると考えられる.. ピーク)が現れることが,多くの被験者で見られた.こ のとき, 荷重中心の X 座標は大きく動揺しており, また,. 【参考文献】 1)中央労働災害防止協会: 「安全衛生年鑑」 ,1996∼ 2002 2)中村隆一他: 「基礎運動学」 ,医歯薬出版株式会社 3)江川義之他: 「建設工事における高所作業に関する 人間工学的研究」 ,産業安全研究所特別研究報告集, NIIS-SRR-NO.28(2003) 4)日本建築学会: 「建築設計資料集成 3」 ,丸善株式会 社 5)小山田英弘他: 「建設業における労働安全衛生マネ ジメントに関する研究―建築工期と災害発生率の 関係―」 ,九州大学工学集報 第 74 巻 第 3 号. 外側にあるため,非常に不安定な歩行であると考えられ る. この第 3 ピークは, 250mm 幅の足場での歩行や 30kg の荷物の運搬作業ではほとんどの被験者で確認された. そこで,立脚中期の荷重値,すなわち,第 3 ピークが 実験条件とともにどのように変化するのか検討するため に,平地の自由歩行における荷重値を基準としてその比 を求め,図 7 に示す.図 7 より,仮設足場上での自由歩 行では,両脚とも平地よりも上昇しているが,ほとんど の被験者で足場の幅による影響は見られなかった.これ は,仮設足場が,コンクリート床と比較して剛性が低い 4.0. 立脚中期荷重(F-0基準). 3.5. F-20 50-20 25-20. 4.0. F-30 50-30 25-30. 立脚中期荷重(F-0基準). F-0 50-0 25-0. 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0. F-20 50-20 25-20. F-30 50-30 25-30. 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0. 0.5 50. F-0 50-0 25-0. 3.5. 0.5 60. 70. 80. 90. 100. 50. 体重 (kg). 左足. 60. 70 80 体重 (kg). 右足 図 7 条件別立脚中期荷重値 45-4. 90. 100.

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