唐音による悉曇学 文雄.悉曇字記訓蒙﹄を中15に ︵下︶
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大二同シカラス︒其形音義ノ三ツ備ハル者ハ︑漢字ト内典ノイハユルー所謂釈迦相承︑大日相承ト称スル梵字ノミナリ︒之ヲ除キテ ー ー 一6V義﹄︶のような声調注記をしばしば伴っている︒その理由はさまざまであるが︑例えば︑母音の長短の別や有声無気音・有気音の別など︑
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肥爪 周二む︶の問題として処理しようと努めた結果︑従来の悉曇学には見られない斬新な成果を上げることができたのである︒ b. ﹃悉曇字記﹄を唐音により読むこと 文雄は﹃悉曇字記﹄を唐音によって読むべきことを主張する︒凡例の第三条には次のようにある︒ 二六いる︒まず︑ ヤス 音ヲ知ルコトハ︑頗ル易カラス︒一タビ対註ノ漢字ヲ下シ︑又 イカン 反音ヲ註ストイヘトモ︑其正音ヲ呼フコト難シ︒何トナレハ我 邦ノ人︑漢字ヲ読ムニ︑呉音漢音唐音ノ不同アリ︒今序寵゜ノ音︑ 何レニ随ハンヤ︒是音ヲ学フノ難キ一ナリ︒又其呉音漢音唐音 二︑各正音アリ︒託音アリ︒人人読ム所︑一準ナラス︒今何レ ヲ以テ︑字記ヲ読ムヘキ︒是学ヒ難キニツナリ︒又案スルニ︑
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キョ カキャウ 冨字ノ註二︑居下反音近二姜可反一トス︒漢音ヲ用ヒバ︑居下姜 力 可二反︑全ク同音二帰ス︒何ソ音近ト云ン︒但此字ノミナラズ︒ 以下体文ノ註︑下ト可トヲ別音トセリ︒此二知ヌ︒漢音ニアラ サルナリ︒として︑これも否定する︒日本漢字音の呉音・漢音で﹃悉曇字記﹄ ツウジ カ ニシテ︑中辺諸国︑異音多ク︑舌人ヲ仮ラサレハ︑其語通セサ ル処処アリ︒是同時ニシテ此ノ如シ︒若シ歴世ノ不同ヲ論セ ハ︑唐音多種ナルコト知ヌヘシ︒ ﹃悉曇字記﹄の冒頭には﹁大唐山陰沙門智広撰﹂とあるが︑この智広がどういう人であるかはもちろん︑﹁山陰﹂が中国のどの地を指し
圃
の対注漢字を読めば︑さまざまな矛盾が生じるのは当然のことであているかについても定説はない︒文雄は﹁山陰ハ地名ナリ︒会稽郡肥爪 周二︿表一﹀ 二八文雄は正統な中国音に対して︑﹁唐音﹂という呼称を使わないわけで
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梵 吾 音 訳漢字はないけれども︑大体は﹁華音﹂という呼称を用いている︒これは︑
芸口AグループBグループ前出の荻生但練・太宰春台の用語を継承したものである︒ところが 無声無気音清音清音﹃悉曇字記訓蒙﹄においては︑中国音は一貫して﹁唐音﹂と呼ばれて 無声有気音次清音次清音いるのであって︑やや不審である︒あるいは︑書写の段階で﹁華音﹂
有声無気音濁音清濁音←﹁唐音﹂への用語の統一が行われたに過ぎないのかもしれない 有声有気音濁音濁音が︑こうした事実は︑﹃悉曇字記訓蒙﹄に文雄以外の人の手が加わっ 鼻 音清濁音清濁音+韻尾ていることを疑わせるに十分なものである︒
国音﹂いのは ﹁南天般若菩提﹂基本的にはAグループに属するのであるが︑ 余国有音壌︒⁝﹀﹂ しかしながら︑ ﹁唐音﹂ の対注漢字は
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このグループと﹃韻鏡﹄の歯音とを結びつけることに拘った︒しかし︑﹃韻鏡﹄の歯音の序列の中においては︑破擦音︵精母等︶が摩擦音︵心母等︶に先行している︒文雄が8字等と歯音を結びつける際︑破擦音を排除して摩擦音を採用する理由は︑﹃韻鏡﹄内部にも存在しないのである︒ 結局のところ︑文雄の判断に最も大きな影響を与えたのは︑五十音図であったと考えられる︒文雄は伝統的な悉曇学の枠組みから比較的自由ではあったけれども︑五十音図は文雄の音韻学に根深く浸透し︑﹃韻鏡指要録﹄などの漢字音研究書においても諸処で利用され
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ナル︒凡ソ世界万国一切言音無窮ナリトイヘトモ︑其本ハタ・五十音アリ︒五十音トハ︑アイウエヲ︑カキクケコ︑サシスセソ︑タチツテト︑ナニヌネノ︑ハヒフヘホ︑マミムメモ︑ヤイユエヨ︑ラリルレロ︑ワヰウヱオナリ︒此五十音ノ終声︑只ア ﹁唐音による悉曇学lI文雄﹃悉曇字記訓蒙﹄を中心に ︵下︶﹂レド︑智広又ハ玄 師ナトノ唐音ニハ︑ア・ノ音二呼ヒシト見ユ︒今モア・ト呼ハサレハ︑字記ノ文消釈スルコト能ハス︒ア・トヲ・トハ︑元来別音ナルニハアラス︒舌唇ノ伸縮開合ノ ノヘチ・メ按排ニテ︑ア・ト呼ヘトモヲ・聞ユルアリ︒ヲ・ト呼ヘトモ 三五醐
囲
肥爪 周二語の発音﹂を考究し斬新な成果をあげた︑文雄・行智らの学問の歴史的意義は計り知れない︒ 注︵←林史典解説﹃重校正字磨光韻鏡・磨光韻鏡字庫﹄︵勉誠社文庫︑昭和五六 年︶による︒︵2︶﹃大日本仏教全書﹄第一〇四巻︵仏書刊行会︑大正六年︶による︒
︵14︶︵15︶ 年︶︵16︶ 集﹄︿表二﹀ 場合 ﹂︵﹃明海日本語﹄三号︑北京大学中国語言文学系・語言学教室編改革出版社︑一九八九︶による︒林史典解説﹃重校正字磨光韻鏡・磨光韻鏡字庫﹄ による︒拙稿﹁行智の悉曇学とその発達段階﹂ 第三〇号︑平成九年︶参照︒平成九年V︒ 三八 ﹃漢語方音字匪﹄第二版︵文字 ︵勉誠社文庫︑昭和五六︵茨城大学人文学部紀要﹃人文学科論
阿
3︶源信の創建と伝えられる︒現在は浄土宗鎮西派︑知恩院の末寺︒梵字﹃悉曇字記訓蒙﹄の発音梵字一﹃悉曇字記訓蒙﹄の発音