陸上競技の指導に関する研究 その1
陸上競技に関する実態調査の報告と考察
体育研究室野田洋平
(1968年11月12日受理)
1. 実態調査の意義と目的 2.実態調査の方法 3.調査項目と調査の目的 4.実態調査に関する考察
5. まとめ
イ 陸上競技指導の問題点 ロ 混成競技指導への指針
1・実態調査の意義と目的
文部省学習指導要領によると,小学校,中学校,高等学校に於ける陸上競技の学習内容 は,下記の様な内容であることが明記され,望ましいものとされている。
小学校 1年 かけつこ,置換えリレー,並びつこ,川とび,ゴムとび。2年 かけつ こ,回旋リレー,かけ足,川とび,ゴムとび。3年 短距離走,折返しリレー,かけ足,
走り高とび。4年 短距離走,円形リレー,持久走,走り巾とび,走り高とび。5年 短 距離走,リレー,障害走,持久走,走り巾とび,走り高とび。6年 短距離走,リレー,
障害走,持久走,走り巾とび,走り高とび,立三段とび。
中学校 1年 短距離,リレー,走巾跳,走高跳,長距離。2年 短距離,障害走,走巾 跳,走高跳,長距離。3年 短距離,三段跳,長距離,砲丸投(男),ソフトボール投(女)。
高等学校 短距離,中長距離,障害走,リレー,跳躍法(走高跳,走巾跳,三段跳,棒 高跳),投てき(砲丸投,ソフトボール投)。
私の教職経験は高等学校を振り出しに高等専門学校,大学とその学校のもつ性質が全く 異なった三種の学校を経て来ています。それらの学校の持つ基礎学歴は中学校卒であり,
高校卒であります。しかし,私自身が,標題にあります様な陸上競技の指導を受け持った 時,中学校卒である高校高専,高校を経て来た大学とそれら二つの異なった学生層に指導
するその技術,内容には大いなる差異はなく,同質の内容を同じ様にふりむけています。
そこに疑問が生じます。高校,高専生は陸上競技の内容については前記指導要領に示され ている様に,小学3年から中学3年まで(厳密には小学1年からですが陸上競技の形をと るスタート法などの学習経験を小学3年からとるためにその様に区別した)の学習経験で あり,大学生は,その上に更に,3年の積みかさねがある筈であります。それにもかsわ
らず,同じ様な理解をさすための努力をすることには抵抗があります。3年間の学習の 開きというのは実際には無影響。無価値なものなのだろうかと反問しない訳にはいきませ ん。例えば,陸上競技短距離に於けるクラウチングスタートをとりあげてみよう。この技 術は指導要領によれば,小学4年生からとりあげていsことになっています。4,5, 6年の間
に距離も50mから100mに増加しますし,クラウチングスタートも一応の完成をする様にな っています。そして更に体力をともなった中学期にも1年から3年まで学習が予定されて います。そうすると都合ア年,高校を入れると10年近くもこのスタート法に取り組むこと になります。学習時間も105時間の15〜20%とすると1年間に16〜21時間となり小学校3年 間では48〜63時間があてられ,更に中学では37〜49時間,高校では約50時間が陸上競技にさ
しむけられ,その中で重要な部分を占めるスタート法にも,可成りの時間がかけられるもの と思われます。だからといつて,クラウチングスタートが競技者の如く上手に迅速に行われ 得るとは期待していませんが,形の,ある程度の完成は期待してもい\様に思えます。前後 足の位置,手のつき方,腰のあげ方,前傾,首,目のつけ処等々の基本となる技術の理解はあ
ってしかるべきと思、っています。ところがこれら三種の学校でのクラウチングスタートの 指導では,いつでも最初から,1から指導していかねば授業が進みません。言葉を換えれば,
小学校と中学校,中学校と高校,高校と大学と縦のつながりが見出せないことです。技術知 識の経路が全く止絶し孤立してしまっています。そのために教師も生徒も毎年毎年同じ様
なことを教え, 教わり,興味をなくしていってしまいます。そのことが生徒側にとっては,
面白くない,単調な,変化のない授業・指導となってあらわれてきますし,教師側では,
陸上競技は生徒には喜ばれない種目という,歪曲された方向に指導の本質を見失ってしま います。その結果として,全く学習の痕跡のない学生・生徒が多数大学に入り,社会に出 て行くことになります。私達が教育というものを目指すとき,学習の効果を,その学習の 痕跡の蓄積とそれを基盤とした広い深い思惟への変化にみると思われます。そうすると,
痕跡のない学習は当然,基盤のない,進行の止まったものになり教育としての,授業とし ての,指導としての価値を有さなくなります。私は今この時点で学校が上に進むにしたが って蓄積される筈の知識がk絶する原因・痕跡をのこすことの少ない学習を追求し,それ によって起る陸上競技のゆがみ・ひずみの原因を解決していかねばならないと思います。
2.実態調査の方法と対象・人員
質問紙法を用い,高校・高専の各一年生対象に調査した。
調査人員は 男子519名 女子100名である。
茨城大学学生1年(教育学部,工学部生100名)大学生には,陸上競技の授業を通して 特に技術面での調査をした。
00イ
口
Aの調査から 2創意工夫のある種目,3走跳 投の割り合い。
Bの調査から 1興味関心について。
Cの調査から 1得意種目となりうるもの,2得意種目と興味関心との関係。
Dの調査から 1どんな指示,説明を記憶しているか,2間違った知識があるかどうか 3記憶している理論にはどんなものが多いか。
Eの調査から 1授業が為になったかどうかの記述とその理由,そこから陸上競技に対 調査項目と調査目的
調査項目 A 学習種目 B 記録の記憶 C 得意種目
D 教師の指示・説明の記憶事項の記述 E 授業内容についての記述 そのl F 授業内容についての記述 その2 G 「よかったこと」の記述 H 体育教師についての記述
1 体力に関する記述 J 受講時間についての調査 K 知識・技術に関する理解調査 1 クラウチングスタート 2 砲丸投
3 走高跳
L 大学生の技術の実態 調査の目的(ねらい)
する理解を分析する。
Fの調査から 1面白かったかどうかの理由記述により,生徒の興味をかりたてる要素,
面白くさせない要素をさぐる。
Gの調査から 1陸上競技をしてよかったことの記述から,競技のもつ本質がその喜び と通じているかどうかをみる。
Hの調査から 1教師の指導の態度のよい点,よくない点を記述させて,興味や関心の 点からそれを追求する。 2教師の得意種目との関係をみる。
1の調査から 1陸上競技を体力問題とどの様に結びつけているか,2体力がついたと いう判定をどんな証拠でなしているのか。
Jの調査から 1受験のために授業が片寄ってはいないか,2平均して授業が行われた
かどうか。
Kの調査から 1陸上競技に関する知識・技術の程度をみる。
Lの調査から 1大学生の技術の実態を把握する。
4. 実態調査に関する考察
A 学習種目に関する調査(表1参照)
中学校指導要領によると,短距離に於ては100mと発走法,リレー中心の指導,中距離 はなく,長距離で男子200m,女子100mを自分の走力を認識した上でのペースを中心にし た指導,障害走は50m〜80mの低障害,跳躍種目に於ては,走巾跳,走高跳,三段跳では 特に巾とび,高とびに中心をおいており,投てき種目では,砲丸投(男子)とソフトボール
スm−(女子)の種目が指導される様に示されている。しかし,実態調査の結果から云う と男子100m,女子50m, lOOmは80%〜90%強の実施をみている。しかし発走法とも関係 のもっとも深い100mについては,100%の実施を是非達成させる必要がある。女子に於ては 低率ながら200m〜800mも実施している様だし,男子に於ては,それ以上に200m,400mの 実施をみることが出来るのも,可成りの問題がある。200m,400mはその距離・疲労・荷重か
ら影響を受ける心肺機能への影響問題などもからみ充分な検討をすべきである。更に1500 m,マラソン等高い実施率をあげていることは,陸上競技に対する茨城の特性とも考え合せ てみると符号するところ大であると思われるが,これも200m,400mと同様に過度の精神的
・肉体的負担のかSらぬ様いたずらに競争心をあおることのない様に当事者は考えるべき である。投てき種目は砲丸投,ソフトボールスロー共に指導が立ちおくれている。ハードル
・リレー種目については自由記入にしたので率は低い。しかしそれにしてもハードル種目 も指導不足の感はまぬがれ得ない。又創意工夫した新しい種目が出てくることを願ってい
たのだが,たx 一・項60m障害というのが出たにとどまった。現場でのなやみ,苦労がわかる 様な気がする。女子になると長距離の必須履修種目である1 QOOm持久走が24%の低率にあ るのが目立つ。そのかわりマラソン(学校マラソン)が相当に普及し実施されているのが
表1 実施種目 組合せ
男子 男子 女子
50m 385 74.2% 95% 走投跳 男子 男子 女子
100m 430 82.9 ア4 (2〜3)1 2 171 32.9% 38%
200m 200 38.5 21 2〜3 1 3〜4 113 21.8 11
400m 99 19.1 9 10種以上 73 14.1 2
800m 59 11.4 5 111 101.92
1 500m 296 57.0 24 長投跳 2 0.4
2000η 173 33.3 10 走跳 12524.142 マラソン 371 71. 5 90 走投 4 0.8 2 駅伝 46 8.9 3 投跳 1 0.2
走高跳 4ア9 92.3 86 走 13 2.5 3
走巾跳47591.589投 10.2
三段跳 195 3ア.6 17 跳 2 0,4 棒高跳 9 1.7 2 長距離
砲丸投 376 63.ア 50 短距離
三種 24 4.6 3 無解答 4 0.8
ノ、一ドノレ 89 17.1 20
リレー1 7 3.3 ボールスロー 7 1.3 7 無解答 2 0,4
目立つ。この事実は手離しでは喜べない。マラソンの基礎となるべき,そして長距離走の 重点課題であるペース走を充分にこなした上でないと,マラソンでの効果は期待出来ない
この意味あいから中学校に於ては男女共に意図したペースでの練習を積ませ1 OOOm,2000 mの長距離走を徹底的に生徒のものとなる様な指導がなされるべきと思う。投てき種目は 男子と同様,いやそれ以上に欠けている。女子の体育が女子の教師に指導されることも多 いことを考えてみるとこのあたりの改善が必要にもなろう。ハードルの学習経験が少ない ことも年老いた教師が担当しているから,とばしてくれないからという事実が報告されて いる。一番男女共学習している種目は跳躍種目の様である。高さを征服する,遠くえとぶ というこの種目の放つ特性に生徒が魅力を持ち興味を示している一つの証左にもなる。そ れにこの種目に於ては,1000mや2000mの様に遠く走ることも,頑張ることも要求されない ので非常に楽に感じとめていることも見のがしてはいけまい。その証拠に走巾跳の跳走は 15mから25mぐらいまでであるし,高とびでは5歩から7歩ぐらいの助走ですんでいる。
本格的に実施するとなると気軽に入りこめない厳しさのある種目ですが生徒達の実力から すると入りこみやすいものになっている。
組合せについてみると指導要領にも示してある様に走跳投のバランスがなくてはいけな い.走が2〜3種目,投が一種目・B兆が2〜3翻の様な組合せがい\様に思う・そうして 表1をみてみると,男女共約30%強しかその様な組合せでの指導をうけていない。跳躍種目 に重点を置いているとみられる20%強の組合せも問題はあるにしても表面的にはバランス が充足されている様に思える。しかし他の45%(男子)では片寄りのある種目での学習が行 われているとみられる。走跳だけの種目とか,走・投・跳一種目の学習などは,組合せ以前 の姿勢の問題になる。それが女子になってもこの傾向は止みそうもなく,特に走,跳のみの 指導が42%もあり,男子に比して約15%も増えている事実は見のがせない。この学習種目 の調査から,種目の片寄り,或は広く浅くと多種目の指導に走り勝ちである点を指摘出 来よう。
B 記録の記憶に関する調査
イ)表2から各々9グループについてみると,1−1のCがやはり抜群である。1−1・
1−2,1−OではB<Cであるが,2−1,2−2ではB<Cであり他はいずれもB〈C である。DについてはO−0の30.6%を最高にやはり1−1,1−Oが少ないし, O−1,0−
2は20%を越している事実はグループ構成上から致し方ないとしても考えねばならない。
表2記録を記憶している生徒の調査 (%)
1−i 1 i−2 1 i−・2−ij2−・12−・・−1。−21・一。IZ
A 5.O
1
W・718・6 8.3 18.8 8・31…1・・41 10.2B
26.2
37.7140.O l50.0 45.3 33.3 27.3 36.4 24.5
C
57.4
1Q6.2[40,0 125.0 21.8 41.7 45.5 38.2 34.7
D 11.4 1
一
P7.4h1.4 1
16.7
14」
16.721.2 20.0 30.6
計 12・・213・36・712・3i12・312・3i・・3511…P8・9
A=陸上競技の記録を測定しない B=記録は測定したが記憶が不確実 C=記録を確実に記憶している
D=無解答
1−(授業が自分の為になったグループ)
{詑響馨・た噌
計=調査人員519名に対する割り合い
{−1 面白かった 一2 面白くなかった
一〇 無解答グルー一プ
8,7
32.6 40.8
17.9ロ)表3に於てみてみると,興味。喜び・関心のあると思われる学生をもつグループがそ
表3 グループ別の記憶の調査 (%)
1 2 3 4 5
晩諮縮陛貌親夢㌍掩1碧鱒茗摩ル蟹プ篁
A 6.5 10.6
5.4 i lI.2
1
B
31.4 44,3
C28.0
49.o i
L
25,0
14,753.2
1D l 13・1 13.4
計
47・2
^ 17.O35.8
39.9 31.9
17.O36.2
10.2
24.5 34.7 30.6 18.9
計=調査人員(519)名に対する割り合い
の率が大であることがわかる。即ちA.B, C.Dを比べてみると次の様な成り立ちをみる ことが出来る。
Aでは 3<1<5<4<2 Bでは 3<5<1〈4<2 Cでは 3>1>5>4>2 Dでは 1<3<2<4<5
となり,興味,関心と記録記憶の関係がはっきりしてくる。しかし上位の3と1のグルー プだけははっきりわかるが下位2・4・5に関する限りではその差を断言することは危険 であると思う。この辺りが今後の指導のポイントになると思われる。
ハ)表4から,陸上競技が為になった,面白かったとするグループはやはり自分の記録を記 憶している割り合いが他のグループよりもすぐれていることがわかる。こXからO−1のグ ループを1のグループに組みこむことが必要になるし,0−O,0−2のグループを困難では あるが1−0グループに近づける指導を考えねばなるまいそうすればふんぎりのつかない,
表4種目実施者と記録を記憶している者の割合い (%)
」」−1 F 1−21−・i2−1i・−212−・1。−1!・一・i・一・IT
50m 100m 200m
4002η 8002η
1500m
20002η マラソン 駅 伝
43.4134.5
__一_
v__26.8 」 20.0
10.9 8,8
15.1
4,17
15,5
7・314.5
o.9
2砲9 「6・7
14.3 18.2
22.22
18.225.0
12.5 16.1
17.3 16.7
8.0
28,6 27.3 20.0
16.7
34.8
35.1一8:3
25.0
29.3123.1
23.9
4.O
9.1
8.6
1て
17,5
MJ,一
10.0 7.7 12,3
1.4
30.9 22,3
9.5 6,1 1.ヲ『14.2 5.2 0.5
走高跳 走高跳 三段跳 棒高跳 砲丸投
三 種 ハードル
リ レー
委ヨ生
35.3
23・X−.
1.9
24.6
…喜
8.6 1.9
19.2 一函7
15.6 16.7
3,7
16.7 10,0 10.O
7.4 16.4
「 27.3i
16.7
30.0 27.6
7.18.7
16,7 17.3 14.6 4,2
一一一
?[δ
10.O
23,6
19.1 2,95.7
L,・−1
24.2 20.2
2.0 5,3 5.1一「4.6
陸上競技への参加から抜け出ることが出来る様に思われる。50mの記憶率が高くなって いることは,体力測定により,又は各校独自の体力検定章などを出していてその為に50m の記録を計ることにより31%と高い率を占めているものと思われる。全体的にみると決し て満足のいく様な認憶率ではない様に思える。特に砲丸投,三段跳,長距離の男子2000m などは生徒も教師も相当に苦労した筈とも思えるにもかxわらず低くなっている。跳躍の 走巾跳,走高跳にしても実施者率からゆうと高い学習率を示していたにもかxわらず20%
前後と振るわなかった。この原因を考えてみると施設,用具の整備充実,記録の正確さに対 する信頼度(測定方法,器具),指導の内容,方法等の改善が望まれるし,更に記録を記憶 したからといって今後の人生には何の意味を持たないなどと放言する風潮があることも見 逃せない原因の一つである。こXから推して,個別指導をもっと徹底する必要がおきてこ
ようし,記録の持つ意義をもっと本質的に掘りさげ指導していかねばこの問題は解決しな いと思われる。
二)表5から 1,2,3種目の記憶が多い。
しかしこSでも50mの記録だけ1種目記憶しているとする生徒が多数いることは注目に
カ価する。こSでも1−1グループが記憶する種目でもよいことがうなずける。それと同時 にO−0グループが可成りの率を示したことは,前述した様に何かのきっかけさえつかめ ばこの無関心グループと称するところから1−1 1−2 1−Oグループへの移行変化 がみられるものと思われる。 .
」 C 得意種目に関する調査
イ)表6から 得意種目ありと答えた160名についてみると,学習種目の割り合い,記憶 の度合いからいって走高跳が約22%であることは合点がいく。こsで得意種目としてあげ
られたものを短距離,中長距離,跳躍投,投てき,ハードル,三種競技などとわけてみると 順に31.7%,37.6%,33.8%,10.6%,6・3%,1・3%となる。即ち・得意種目をつくるた
表5 記憶している種目数 (%) (全体に対する割り合い)
璽目釧1−1、1−21−・12−ii2−2!2−。1。−1。−2・一・IT
1 11.7912.83{1.880.94 1.88 1
1
0.47 0.47
3.3。i2.83一
2 11.79 2.35 2.83
5.410.47
1.883.30 5.66
3
4.71 1.413.30
1.41O.94
2.3512.35@ 1一
4 4.24 2.83
1.41 1.410.47
1.885 3.77
1.410.47 O.47
1.88 1.416
1.410.94 O.47
1.887 0.47 0.47
T l38.20 E 11.7916.6。 ト
1.41
6.60
2・3517・°7,9・90戸6・°326.41 29.71 16.50 12.26 9.43
4,710.94
表6 得意種目 160名
種目厩%好%樋酬男例女子%陣目防例好%
50m 100m
200m 400m 800m 1500m
6.3 30.81
15.6 ア.6 4.4 3.8
,・9
P
…1
11.9
2000m
マラソン
駅 伝
走 高 跳 走 巾 跳 三 段 跳
…1
11.3 11.5
1・3P
21・9 i …
・・4
P3。・8
i i・g
棒 高 跳
砲丸投
三種競技 長中距離 ハードル
短距離
・・6
P
10. 6 3.8
L31
5・・ P3・8
・・3i
・・4 P3・8 めの要因は短距離,跳やく,中長距離が同じ程度の魅力をもつものと考えられる。そして 砲丸投,ハードル競技,三種競技などに関してはその指導普及がまだまだ充分に行き届い ていないことを物語っていわしまいか。女子についてみると100名中26名の人数なので断 定は下せないが男子と同様の傾向を示している。男子では走り高とびが最高を示している が,女子に於ては走り巾とびがそれにとってかわっている。このことは女子の身体的特性 とも関連があり興味深い。
ロ)表7と8より
前項Bと関連がある。得意種目と記録の記憶の関係をみてみると,得意種目があるとな しではかなりの差がみとめられる。得意種目ありとなしのグループに於てA.B. C.Dを 比較してみると男女共に同様の傾向がみられる。
あり A < なし A ク B 〈 〃 B 〃 C > 〃 C 〃 D < 〃 D
表7得意種目有無と各グループとの関係 得意種目あり 160名 (%)
1−11−2[1−・i・−12−2 1 2−。「。−11・一・。一・IT
A
B C D T
O,6 1.9
9.428.1 4.4
431
5.6 1,9
3,1
2.5
13,1 3.1
O.6
56
1.9 3.8
−{゜・6 m2・5
0・6i 1・3}
1.3
3,1 7.5 1,3
b 1.gl O.6
L −
3.1
6.9 1.9 IO.6 3,7
0.6 2.5 6.3 3.1 12,5
3.1
27,5 55.0 14.4
表8
得意種目なし 359名
11−11i−・li−。12−11 2−2
(%)
2_00_11。_2 。一。 撃s A
B C D
1.7 6.2 10.0
0.8 4.7 5.6
2.5 2.2
O.8 3.1 2.5
O.3
O.8 0,6
3.310.3
、.、11.4
2.5 0.5
・・Sl・・3i 2・・1・・6
O.6
1.7 11.1 11.1
0.8 5.3 4,5
2.5 5.3
7. 0
3」レ・・
11.1
34.8 34.3 19.8
Tl2・・313・413・旧・gl14・52・814・5i13・・121・gl
得意種目があれば記録の記憶は大であるという仮説はそのま}・・通用する。しかしこSで,
160と359名という数字の差は考えてみなければならない。それは1−1とO−1の2つの グループでありとする人数となしとする人数が69対73,17対16で接近している丈であとは すべてなしとする人数の方が圧倒的に多い。更にくわしく2つの表をみてみると,表7に 於ては1−1が全体の43.1%で他グループとの差は明白である。表8に於ては1−1と他
の差は前表程のものはない更に表7でC>B>D>Aの順であるのに表8では僅差ではあ るがB>C>D>Aとなっている。Dに於ては表7<表8,Aでは表7<表8となってい る。即ちこxから得意種目なしグループに於けるD.Aの占める割り合いが, B. Cの割
り合いと同程度になっていることは注目せねばなるまい。無関心学生が増えること,陸上 競技をしていながらその特性をとらえることがなく,個人の記録も進歩の度合いも確認せ
ぬ参加態度,指導が行われてはいけない。女子に於ては男子に比して表7でもBとCの差 がないし,表8ではBとCの差が大であり,C=Dであることがみられる。これらは学習 の態度,担当教官の指導に影響されるとみられる。
D 教師の指示,説明の言己憶に関する調査
イ)表9により記入した表と記入しない表とを調べてみるとこの様な結果になった。
約2対3の割り合いである。
1−1,2−1,0−1については記入者が他より多い。これらは全て為になった,面 白かったというグループであり,この面でもその様な意識をもっともたないのとでは,知 識吸収の上で相違が生ずることは論をまたない。
表9 教師の指示説明の記述 (%)
記入者
li−ili−2ii−・2−12−2i2−・1。−il・−2i・一・
無記入者
is・ 991・・7813・・8P・5415・391,・・513・2・12・5・h・・
ll・,・1・・Sil 3・661α7716・ 93i 1・isi 3・。818・。・115・41
計1
計
・2・1gl 219名
57・・8・
P3・・名 27・ 161 13・ 296…1・・311 12・ 332・3。1・・351 1・・ Sgi 1S・ S71
女子に於ては,その数が少なかったために一概には云いきれないが男子とは一寸違った結 果になっている。こSでも無記入の者が1.5倍なることに注目する必要がある。
ロ)指示説明で記憶している内容の調査
記入者219名430項目について検討し次の様な部門に分けて考察することにした。
1精神的な支えとなる助言 80項目 2 陸上競技の技術に関する助言
出発法 短距離 長中距離 跳躍 投てき ハードル
リレー その他
41項目 25〃
64 〃 127 〃 29 〃 25 ク 8 〃
31〃
考察
1精神的助言に関して
イ)全項目450に比して80項18.6%。
ロ)精神的助言の個々の内容について 1 他人を意識させる助言 2 勝敗を強く意識させる助言 3 他人,勝敗を意識させない助言 4 作戦指示の助言
5 態度に対する助言 6 その他
1についてみると,a)自分が苦しい時は他人も苦しい, b)他人より少しでも記録を伸 ばせ,c)他の人より走りこめ, d)他人に出来てお前に出来ぬ訳がない。
2についてみると,a)競技するからには勝て, b)他人にまけるな, c)他人にまけぬ 様に頑張れ,d)二度とまけるな。
3についてみると,A)精神力を換起させる助言, B)記録を伸すことを助言, C)頑張 りという言葉で表現される助言,D)励げましの助言に分けて考えてみることが出来る。
但しこのAからDまでが個々別々にあらわされてはいなくむしろ混然一体となっているも のが多いということが特徴でもあろう。
a)最後まで走れ,b)出来る丈の力を出せ, c)追いつき追いこせ, d)最後まで頑張れ・
e)勝敗を度外視して頑張れ,f)一生懸命努力せよ,9)おちつけ, h)出来なくてもやっ てみろ,i)こわがらずにやれ, j)休まずにやれ, k)根性をもて,1)最後までやりぬけ In)ラストだ, n)男ならやってみろ, o)自信を持て 等々。
4についてみるとa)絶対についていけ,b)追いつきおいこせ, c)はなれるな, d)
一息いれて 等4。
5についてみると a)真面目な態度真剣な態度,b)スポーツマンらしい態度, c)ス ポーツは自分の為にという認識,d)集中的な取り組み, e)勝敗よりも全力, f)遊び半 分の態度はいけない。
6 その他の助言としては授業時に於ける約束ごとに対する励行へのはげましの助言。
2 陸上競技の技術に関する助言
イ)出発法についてはa)スタートの構えについて(目の位置,腰の高さ,手のつき方),
b)スタートの方法について(腰の位置,前傾,第一歩目,腕の振り,ダッシュ),c)クラ ウチングスタートが大切であるという認識。
ロ)短距離についてはa)前傾,b)脚を高くあげる走法,腕の振り方,スピードをおと さぬ走り方。
ハ)中長距離についてはa)呼吸法,b)前傾走法, c)ストライド, d)ピッチ, e)ペ ース,f)作戦,9)精神力・根性の換起。
二)跳やくについて ④走り高跳 a)助走,b)踏切り(位置,タイミング), c)ベリー ロールのとび方。⑧走巾跳a)助走,b)踏切り, c)空中動作, d)そりとびの方法,
e)ジャンプカ,f)スピード。◎三段とび a)リズム, b)3つのジャンプの割合い, c)
フオーム。
ホ)投てき (砲丸投げ)については,a)押し出せ, b)投射角度, c)構え・支え, d)
手首の使い方,e)サークルへの出入りの仕方(ルール)。
へ)ハードルについてはa)またぎ越し,b)インターバルの歩数, c)重心の移動, d)ル ール,)e)前傾,f)リズム。
ト)リレーについてはa)バトンパス,b)バトンの持ち方, c)うけわたし時の注意。
チ)その他についてはa)準備体操について,b)練習前の心構え, c)一般的な走法につ いて,d)走ることの必要性, e)ルール遵守の精神, f)態度について。
以上が細かい項目の抽出である。そしてこれらを分析してみると,1つには精神的な助 言がかなりよく記憶されているということだ。約20%弱であるが中長距離の項でも精神的 な助言に密接に結びついているので,事実はもっと%が上昇するに違いない。そして教師の 助言するそれらの言葉がた}S 単なる情動を激しく鼓舞するだけの支えに終ってしまうとし たらいかにも残念である。技術的指導を尽くしてもうこれ以上という時,その生徒を激励 する,雰囲気をかえ情動をうながす大切な言葉なので基礎の技能に裏打ち出来る性質を持 つものであって欲しいと思う。助言が頑張れ式のものになってしまうことは,この上もな い危険を伴い,無気力無関心生徒は勿論のこと科学性をもたない多くの生徒を醸成させう る要素を内蔵している。2つとして技術に関する助言の記憶は,表現の言葉があと一つ足 りないものが多いし,抽象的な文が非常に多い。例えば,スタートは早く出るのだとか,ラス トの10mは大切だ,ラストではスピードをおとしてはいけない等々の表現がいたる処でみ られる。こXでも精神的な助言にふれる様な,いなむしろ,そこに接点を求める様なものが 多すぎる。又三段とびに於ける3つのジャンプの割合は6:4:5だからそれでとべなどとい う助言はよく考えてみると何がなんだかわからなくなる様な助言ではなかろうか。大切な 基本となるその本質をどこかに忘れてきてしまった様な一本釘の抜けた記憶である。3っ としてやはり間違った助言を記憶している生徒が多い。とくに走高跳,走巾跳の助走の仕 方に関する誤認が多い。それに次いで砲丸投げの突き出し動作の誤認,長中距離の走法等 々である。我々も教師としてやはり誤認されやすい個所の指導には徹底を計り何故間違い を起させたか,その原因を求明して,正しい技術を認知させる必要があるが。4つとして 以上のことを考察すると,技術修得,本質を追求していく中で,どこにでも精神的な助言 が優先し主張されていて,真に得るべきものを覆ってしまっている。根性論,精神論に指 導を委ねる取り組み方をしている。私達は技術論,本質論で解決出来ない監路に入ったと き,その助言を支えとし,新しい情動への動機づけとし,緩衝としてやるべきである。そ のために教師と生徒の信頼関係が基底に存し,教師自身の人格の陶冶がその前提条件とし て,ととのえられねばならない。
E 授業内容についての記述 その1
こXに於ては特に陸上競技の授業が,あなたの為になったかどうかを選ばせ,その理由 を記入してもらった。そして出て来た理由を次の様に分けて考えてみることにした。
a)記録の伸長 b)体力増強・確認
c)健康(身体的な側面から)
d)精神的向上
e)ルー一一・一ル知識の向上・技術理論の獲得
f)認識の問題
そしてこれら夫々について分析検討を加えた。
a)についてみると直接的に記録の向上があったからという答えが常識的ではあり,20 項目中14項目を占めている。このことは記録の向上が,生徒の心の中で重要なポイントを 指向し,良悪の判断基準としていることがわかる。更にその他1〜2項つつではあるが,
④記録の確認が出来た,ロ)記録更新の意欲又は向上心,ハ)記録の伸びる自信,二)記 録への挑戦のむずかしさ等々の発言をしている。これらの発言は少ないながら記録のもつ 本質をついているのでおろそかにしてはいけないと思う。
b)についてみると イ)そのものずばり体力がついたというものが7順目あり,体力 向上に対する陸上競技の教材性が如実にあらわれている様だ。ロ)体力がわかった,体力 の物指しになった,体力づくりに役立っ等々がある。ハ)体力を持久力・筋力・柔軟性等 に分けて考えている。体力という言葉に包含されるそれらの内容を指摘したものも34項目 を数えることが出来た。
c)健康とはあげてあるが身体的な側面全てを含んだものと解釈されたい。したがって,
イ)健康になった,ロ)丈夫になった,ハ)病気にかSらない,二)形態の発育,ホ)体 調,へ)機能の発達(内臓),イ)が7項目,ロ)16項目,へ)16項目等である。
d)については イ)根性がついた32項目,ロ)頑張り13項目,ハ)忍耐力6項目・二)
精神鍛錬5項目,ホ)自信4項目が主なるもので他には,規律,意志,集中力などとなっ
ている。
e)ルール技術理論については イ)ルールを憶えた,ロ)技術が向上したが7項目と 28項目つつ記入されている。
f)認識などという言葉を使用したので混乱を起しそうであるが・前項までのものとは まったく別の表現をとっているものを,体育というオブラートで包んでしまい,技術など とは別な意識が働いているとみられるものをこSに入れた。したがって生徒の表現も難解
なものが多くあがっているがその中でも,イ)スポーツのもつたのしみ,喜びがわかった,
ロ)自分の力の確認で方向が認識された,ハ)競技をみるときへの応用を考えることが出 来た・二)走ることの必要性,ホ)交友関係等々33項目があげられている。
以上の6項目から為になったという理由を考察してみると,為になったという判定の基 準は前6項目ではあるが,特に記録の伸びというものが絶対的な力をもっていること,そ
して記録の向上の為にはなくてはならない要素である技術が向上したという記述が多くあ ったことは,欠くべからざる二つの要因に魅力を求め喜びの対象としている事実があろう かと思う。そしてこxでも根性の問題が大きくとりあげられ,東京オリンピック以来護符 の如き感を呈していることがこXにもあらわれているし,生徒達が陸上競技の単調さの中 に持つきびしさ,目標の達成の喜びを精神力の鍛錬を通して得ようとしている姿勢がある こともうなづけよう。しかし前にも書いた様に,余りにも精神力に期待しすぎると,とり かえしのつかぬ,本質を見失う恐れがある。最後に少しではあったが陸上競技を通してそ れらのスポーツのもつ良さ,豊かさ,美しさが認識されつSあることは喜ばしい。陸上競 技のもっているその文化性が益々向上することと思われるし,我々もそれに手をかさねば なるまい。
陸上競技の授業をうけても自分の為にならなかったと認識している生徒が非常に多い。
そしてこSにその理由を記述してもらった。我々はこの発言に耳を傾け参考にする必要が ある。指導上でさけて通ることの出来ない重要な種々相を含んでいるし,指導の隣路がど
うゆう風に生徒にうけとめられ拡大していくのかつきとめることが出来ると思われる。
そしてその理由を次の二つに分けてみた。
1.原因が自分にあるもの
学習態度,好悪,病気,疲労,限界等々。
2.原因が他にあるもの
授業時数・指導の継続系統性,指導の方法。
1については100項目中71%を含む。
具体的には次の様な項目が出ている。
イ)進歩しなかった,ロ)学習態度がわるかった(進んでやらなかった,なまけた,適当 にやった,乗り気がしない,不真面臥不熱心等),ハ)好きでない,きらい,二)病気 をした,怪我,体がよわい,見学,ホ)疲労をした(つかれる丈である,学習の邪魔にな
る)。
2については,イ)授業時数(少ない,自由時間がない),ロ)継続的系統的でなかった,
晴耕雨読ハ)指導方法の問題(面白くない,ルール説明だけまとまりがない,理論と実
技の不一致,単元が消化しない,やらない等々,二)よい教師がいない。
以上を含めて考察してみると原因が個人にあるものについては,生徒達は素直に自分の 非を認めている。この項目の数が多いことを考え合せると自己批判した生徒には,実はそう 感じた時に正しい道を志向出来るとすれば随分と方向をかえてやれたろうと思う。そのタ
イミングに困難さはあるにしろ,配慮して生徒の手綱をひきしめれば,無関心な生徒になる ことはさけられうる。そして進歩しなかったからという理由に対しても,我・ezは,その生徒 に合った答えを用意してやらねばならぬ。進歩の度合いの漸進性・進歩への真の努力の可 否,努力の尊さ,先人の教訓等種々用意し処方してあげねばならない。又病気についても,
授業で施設用具は勿論のこと教師側の意気込み,注意力,生徒把握の力,理解,安全性等を充 分に考慮すれば先天的なものはのぞいて助けられる部分があるだろう。疲労についてもそ
の生徒の体力を知り,練習の内容の精撰,加減が出来ればこれも解決出来る。個人のものだ からといって突っぱなさずに,教師と生徒という対等の関係の中で親密な関係をつくり一 体となって,生徒の為に指導を続け,努力の姿勢をくずさぬことが意欲をわきたたせ,努力
の高価さを知り,自分の力を知り,態度を直すに違いない。原因が他にあるものについては 大部分の責任は教師側でとらざるを得まい。たY生徒が誤認している部分については尚十 分な話し合いの場を持ち指導理念なり,計画なりを熟知させ一本のレールの上を走るよう にすべきと思う。その為には教材研究を基礎とし,生徒に写った現象が歪曲されて伝幡し ている事実をつきとめ深みのある立派な授業をする必要にせまられよう。最後によい教師 がいないから云々という発言があったが,それについては茨城県の教員の構成上体育の免 許状保有者が非常に少ないことから免許外の先生の消極性,取り組み方不足があげられる かもしれぬ。しかし免許外でも十分に腕をふるっている学校も相当多い事実から,免許外 ながら出来得る部分での協力は惜んではいけまい。ちなみに最近調査した100名の体育担 当の中学教師については77名の免許外担当者があることがわかったが,全県的にはその率 はもっともっと上がるに違いない。
F 授業内容についての記述その2
陸上競技の授業の中で面白かった,面白くなかったと生徒達は批評する。それらの批評 を記述してもらうことにした。面白かった理由を次の様に二通りに分けてみた。
1 面白かった理由が自分にあると思われるもの。 ( )内項目数 イ)記録の伸長
記録に関するものとは云っても次の様に種々に分けられる。
a)記録がのびる⑳,b)破るたのしみ(5), C)記録がわかる(3)・d)記録をあげる(4)・
e)挑戦(2),f)測定(2),9)比較・反省・競争。期待・更新などの言葉で表現している。
ロ)好き
a)好き(38),面白い(9),たのしい(4),興味があった(3)。
ハ)他人との比較
他の人と競走出来た(8),他の人よりすぐれた点があった(4)。
二)技術の向上
色々な種目が憶えられた(6),技術が向上した(5),うまく出来た(3)。
ホ)自己発見
得意種目がある(14,自分の力がわかる(2)。
へ)運動後のたのしさ
とべた瞬間のたのしさ,走ったあとのたのしさ。
ト)意欲・努力。向上心
本気になってやれる,陸上競技をやりたい,走り抜くことが出来た,カー杯,やり甲斐,
相手にかつこと,出来るから,上手になる。
チ)交友関係
友人と仲良く出来た(6),応援するこ(1),話し合い② リ)運動自体のたのしさ
思いっきり運動出来た,身体をうこかす,自由にとびまわれる。
ヌ)その他
なんとなく,むずかしくない,ルールがわかる,勉強とは違った勉強,一人で練習。
考察
1)記録が伸びるということは本当にたのしいし考えてみると面白いものである。生徒に とって自分の記録が伸びたという時間は,充実した悔いのない時問である筈だ。だから記 録のもつ魔力にひきいられる。しかし記録はいつでも伸びていき破れるものであるという 保障はない。のびる時期伸びない高原の時期の悩み,下降をたどる時と起伏に富んでいる。
そこで我々はこの記録のもつ複雑さを解明し,伸びている時のみでなく高原で停たいして いる時も下っている時も,自己向上の指針としての記録を正しい目で見る見方を指導して おかねば,たX 単なる魔力に魅せられた心のない人間が出来上ってしまう様に思われる。
記録の持つ面白さが成績のよい生徒のための代名詞とならない様に誰れにでも平等にある べき記録のために,又そうゆう記録にするために努力せねばなるまい。
2)好きだからたのしいから興味があるから面白い。これが一般的かもしれない。しかし それらの言葉は成績のよい一部の者のための言葉かもしれぬ。そこで,下手でも好きにさ せる指導・成績のよい生徒もわるい生徒も平等に喜びあえる授業構成,方法,雰囲気を作
るべきである。
3)他人との比較,技術の向上,自己発見,運動後のたのしさ,意欲,努力,向上心には 少数ではあるが陸上競技への素朴な,本質的な参加が芽生えていることは喜ばしい。負け 惜しみなどということではなく,この中に成績云々を離れたところに面白さが存在してい
るということを如実に示している。
4)陸上競技の指導は生徒同志の連帯感が稀薄なのはその競技の特性から肯ける点もある が,指導の仕方によっては交友関係を親密にする機会をとらえた指導がなされ得るし,教 師側からの押しつけでなく,生徒がその必要性を認識したところにその言葉のもつ意義が あると思われる。しかしこれ丈の資料からではまだ断定を下すのは早計すぎよう。
5)実技指導の場に於て,理論だけですました指導が間々みうけられる。例えば走巾跳の 授業でこんなとび方があると跳び方を表現し生徒には確認させない指導,こうなると最早 体育の指導(実技)の範疇から抜け出してしまう。だから逆説的に,思いっきり運動出来
て面白かったということにもなると思われる。
だが生徒共々に運動自体をたのしむ瞬間を作っていくことも大切なことであり,又それ を大切にしたい。
6)最後に,なんとなく面白かったという答えの生徒がかなりあったことは問題である。
面白ければよいと思われがちだが,わるく云えば,他の人が面白そうな授業を自分でも面 白かったと錯覚し他の人に調子を合せる様なことがありわしなかったか疑わしい。生徒へ 強い印象を与える授業が不足である様にも見受けられる。
2.面白かった原因が他にあるもの
一緒になってやった(9),指導のうまさ(6),ユーモア(5),教師が面白い(4),よくわかる示
範(2),教師がよかった(5),きびしい(1)等がある。
考察
1)条件として教師の人格,行動言動からのユーモアときびしさが要求されよう。
2)指導の面白さ,変化,巧みさ,実動時間の考慮等が考えられる。
3)教師がその人のもつ人格で指導の技術を巧みにしていけば,そして更に永続性,科学 性等を取り入れて生徒の興味関心を色あせたものにしていかない努力が必要だろう。
3.面白くなかった理由 その原因が自分にあるもの イ)記録
記録がわるい⑳,のびない(8),比較をされた(1)。
ロ)嫌い
嫌い⑬
ハ)病気。疲労
つかれる丈(7),病気のため(5),つらい②,他②。
二)劣等感
不得意eg),出来ない⑩,苦手(9),早くない(7),下手(6),劣る(6),にぶい(2),体力がな
い(7),他。
ホ)興味・関心
たのしんでやれない(8),興味がない(6),面白くない(3),やりたくない(3),身が入ら
ぬ(2)。
へ)その他
技能の向上がない(3),単調なスポーツ②,自分に合わない②,他。
考察
以上の項目から考察してみると1番の原因としては,劣等感による挫折が多い様に見受 けられる。劣等感が背景になっている嫌いという拒否姿勢,好嫌で物を判断する基準の甘 さ,追いうちをかける様に記録の伸びなやみ,興味をなくし,たのしさを失い,病気で見 学欠課となると体育は別の世界のものと化してしまう。これらのヴエールをとりのぞくた めに我々は様々な試行錯誤を繰り返し繰り返し行う必要に迫られる。不得意種目をもっと やわらかいものに仕上げていく,賞讃する,厳格に叱る,劣等感の排除,どん底へのつきお とし,病気障害の治療と安全性確保,記録の確認,意義の説得と緩急折りまぜ心理をゆり うこかしてみよう。そして少くても一時間意味もなく走りっぱなし,先生が先頭に立って 引っぱって行く,毎時間恐い顔をして命令し走らせるという光景をみせてはいけない。
4.面白くない理由
原因が他にあると思われるもの
イ)授業時間の不足,ロ)授業の変化のなさ,ハ)授業の態度,二)指導法。
項目数が非常に少ないので(29項目)早急に結論を引き出すことには危倶を感ずる。し かし傾聴すべき示唆に富んでいる。
1)時間が少ないという問題がこSでも出て来ていることだ。陸上競技が嫌いだという先 入観の前にすくなくとも,生徒が満足する様にとばせたり,投げさせたり,走らせる時間
をとるべきであると思われる。
2)内容の精選と授業の変化,練習方法の謬着化からの脱皮,種目の並列化と掘り下げ。
3)教師に対する不満が随所に見られる。
生徒の誤解も勿論あるにはあるが,それでもなお,29項目中6項目にみられることはそ
のまSですましてはいけない。
教師への目の向け方は生徒は敏感である,だから最低でも約束の破棄をしない,時間Q 厳守,ひいきをしない公正さ,口でばかりの指導をしない,罰を強調しない,きびしすぎ ない等々は守る必要が起って来る筈である。
4)教師側への批判であるが,第三点とからみ合せて,指導の徹底と内容の熟慮がされな ければならぬことは必要であり,こまかいことながら罰を陸上競技の授業の中に持ちこま ぬことが大切と思われる。
G 陸上競技をしてよかったこと
為になったかどうかとか面白かったかどうかなどの設問が前にあるのでよかった理由を 前と混同してしまわないだろうか心配もしたが,前二問と表現された文章の上では重複す るところは多々あるが208項目の多きを記入してくれた。
そしてこれらを次の様に分けて考えた。
記録中心の記述 体 力
身 体
技術
授 業 認 識 精神力
45項目
53 ク 21
6
20 14 49 1 記録記述した208項目中45項目であり,生徒にとっては記録の伸びが与える影響は,やはり,
はかり知れないものをもっている。
記録がのびた(31),比較できた②,競走出来た(7),向上のバロメーター(3),記録をの
ばすたのしみ(2)。
こSでは記録の持つ良さ,即ち記録の良くなった事実,記録の絶対性の持つ比較,そし て少ないながらも向上のバロメーター一としてのとらえ方,記録を伸ばしていこうとする努 力目標として,そして更に記録を競いあうたのしみを指摘している。我々はこの態度を各 個人がすべて持つ様に指導していかねばならぬことと思う。
2)体力に関するもの 53項目については,
体力がつく(38),筋力がつく(7),体力がわかった(5),運動能力の発達(2),敏速になっ
た(】)。
よかった理由の中で一番多いのがこの項である。特に体力がつくという理解を大部分の
生徒が認識している様だ。しかし注意しなければいけないことは,古来陸上競技が,基礎 体力養成などという観点から,無味乾燥な内容のものとして,思想を謬着化させて来た事 実を体力がついたという美名の下に覆ってはいけないことだ。そして更に体力というもの に対する理解をたゴ単に持久力がつくと同義語に考えはしまいか。狭義の体力に解したと き,そして体力養成という流れの中に入ったとき陸上競技のもつ本質を見失う結果になら ぬとも限らぬ。この項はこうゆう点で大切である。
3)身体に関するもの21項目
丈夫(9),健康(3),たえられる体(3),内臓がつよくなった(2),食欲,体調,抵抗力 等 約10%が身体に関する記述であり特に健康,丈夫という様な観点から論ぜられているこ
と非常に良いことと思われる。病気であった生徒,弱かった生徒が教師のたゆまざる努力 と洞察力,運動処方,健康管理の為に立派になったとしたら陸上競技のもつもう一面,つ まり競技性とは別な面での効果が充分にあらわれたと思える。丈夫,健康になり,食欲が 出,体調がわかるまでに昇華されれば望外の喜びとする処である。
4)技術に関するもの
この項目は残念ながら非常に少ない。前述の面白かった理由の中では記録ののびと両輪 の関係にあったのだが,こSではその神通力も色あせてしまっている。このことは,よか
ったという喜びの発想が最早技術の進歩云々とは別な次元で考えられているということと 思われる。しかし我々は技術が憶えられ,獲得されていく道程をさぐりその内にさえも十 分な喜びがかくされていることを知っている筈である。我々は生徒の全てが好記録を出す ことを期待してはいけない。それ程現実はきびしい条件が存している。性格・体格・素質 等まったく異なった生徒に同一の記録が出よう筈がない。たBL 共通して云い得ることは,
技術マスターの過程への努力とそれへの志向を適確にとらえて指導助言し,いくらかでも 接近させて伸ばしていくことだと思われる。そこに技術マスターの喜びが存在しないとし たら教育不在といわれても仕方あるまい。
5)授業に関する記述
他の項より少なくはあるがよかったという理由の中に授業の雰囲気というものが抜いて はいけない重要なものとして存在している。そしてその中でもたのしい,興味,とかの表 現が実は友人が出来た,協同生活が出来た,友人の激励等の中に含まれるであろうことは 十分に察せられる。教師側の持ったのしい,面白い,興味ある授業の展開がその位置でク
ラス員同志の連帯交流を活発にさせていくことが授業の中で考えられねばならない。
6)認識に関するもの
前にも書いた様に認識などというむずかしい語を使用する必要がないかもしれぬが,適