秋 田 大 学 教 育 文 化 学 部 研 究 紀 要 教育科学第75集別刷 令和2年3月
小学校中学年のムーブメント教育における学習者の形成概念
— ツリー法を中心として —
松 本 奈 緒
Students’ conception in learning movement education model:
An analysis through tree method.
MATSUMOTO, Naho
小学校中学年のムーブメント教育における学習者の形成概念
— ツリー法を中心として —
松 本 奈 緒
Students’ conception in learning movement education model:
An analysis through tree method.
MATSUMOTO, Naho Abstract
The purpose of this study was to grasp actual state of learner’s conception in movement education, educational gymnastics units using ‘tree method ’at elementary school physical education. Subjects were 61 (boys 29, girls 31) 3rd and 4th grade students, as method ‘tree method’ was used in which students write free word in blank square, respond to open question ‘What did recognize and learn in this physical education lesson?. And it was taken after every class. Those date was analyzed content by one specialists, who was sports pedagogy researcher working at university, to make theme. As total 4538 description was emerged, as theme ‘body・
movement’ (73.4%), ’space’ (15.7%),’time’ (7.4%),’equipment (1.0%),’relationship’ (1.0%),’quality(1.0%)’was emerged. In ‘body・movement’, there were words about variation of movement, and learner recognized body parts. And although it was a little, there were words about body consciousness and movement principle. It was consider those would transfer to gain another movement skill, it suggested be important. And It confirmed learner also recognized‘space’, ’time’, ‘quality’, that is important concept in Laban theory.
Key words : students’ conception, movement education, tree method, Laban, elementary physical education
1.諸言
ムーブメント教育論はアメリカの体育において一定の 位置を築いている,ムーブメントを中心として体育を構 築する考え方及びそのカリキュラムである(
Sidentop,
1980;Barrett,
1990;Buschner,
1994:Logsdon and others,
1997a
;1997b
;1997c
;1997d
;Allison and Barrett,
2000;Graham and others,
2010;Rovegno and
Bandhauer,
2013)。例えば,全米体育協会の体育の全米基準において,基準1の「身体的教育を受けた人は様々 な運動の技能やパターンで有能さを示す」,基準2「身 体的教育を受けた人は知識や概念,原理,戦術や作戦を ムーブメントや実演に適用する」(
SHAPE America,
2013)が特に基礎的な技能習得や概念獲得を中心とした ムーブメント教育論の目標に関連している。また,カリ フォルニア州は体育カリキュラムとしてムーブメント教 育論を採用している。例えば,Logsdon
はムーブメント 教育論の目標を①反応が求められる状況で多彩で,効果 的効率的に実演しながら技能的に動く,②実演者として かつ観察者として動きの意味や意義,示唆,フィーリング,喜びに気づく,③人間の動きを統括する知識を獲得 し応用する,と述べている(
Logsdon,
1984)。Graham
は①若者が生涯にわたって身体的に活動的になるための 技能獲得が中心となる,②基本的な技能やスポーツ関連 の技能において十分に技能的になることを目指す,と ムーブメント教育論の体育論としての基本的な考え方に ついて述べている。また,Graham
は発達段階によって 目標が変化していくことについて言及し,幼稚園(K
) から小学校5年生までを運動の基礎づくりの時期,小学 校6年生から中学校2年生までを可能性の探究の時期,中学校3年生から高校3年生までの時期を発展的熟達の 時 期 で あ る こ と を 述 べ て い る(
Graham and others,
2010)。Rovegno
とBandhaue
は①ムーブメントにより 生涯にわたる身体活動の概念的・技能的基礎をつくる,②発達の視点をもち,ムーブメントの概念的知識,動機 づけ,考え,情緒性,社会性を構築する,とムーブメン ト教育論の体育論としての基本的な考え方について述べ ている(
Rovegno and Bandhauer,
2013)。その適用範囲 はK-
12(幼稚園から高校まで)のムーブメントを中核秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門 第 75 集
とした体育理論および体育カリキュラムを示す場合もあ るし,小学校体育に限定した体育カリキュラム及び実践 を示す場合もある。それらに共通するのは,多様なムー ブメント課題や環境下において行う,体つくり,動きづ くり,運動感覚づくりの活動及び考え方であり,単に動 きを学ぶだけでなく,ムーブメントに関連する知識や概
念(
Laban
の原理,動きの仕組み)と結びつけながら体験的に学習することにある。松本(2014)はムーブメン ト教育は,運動の概念の学習と関連付けながら,創造的 なムーブメント活動を行い,動き方を学ぶ,動きを多様 化し拡大する,身体の動きに気づき再認識する,動きの アイディアを分かち合う,そして最終的には総合的に巧 みに動くことを目指す(図1)と定義した。
図1 ムーブメント教育論の構造(松本,2014)
ところで,学習者の認知について,体育学習ではどん な意味を持つのだろうか。高橋(1989)は体育の目標の 構造を技能目標,認知目標,社会的行動目標,情意目標 の四つの柱として捉え,運動が上手になるためには体育 の科学的知識,体力・トレーニングの知識,技能・戦術 についての知識及びその認知が大きく関係することを示 した。
また,構成主義において,学習者の認知が重要視され ている。構成主義(
constructivism
)とは,1980 年代よ り始まった考え方であり,絶対的な知識を伝達すること の限界を指摘し,学習者の学習の実態を見つめ直し真正 の教育を目指すこと,知識は「与えられるもの」ではな く「自ら構成するもの」と考えること,学習者主体の経 験による教育を重視すること,知識は学習者の持つ既存 の概念の上に再構成されること,をその特徴としている(
Rovegno and Dolly,
2006:Ennis, C,
2007:Allison and Barrett,
2000)。Glasersfeld
は「知識の再構成」という言 葉を使い,主観的な領域である経験的な現実は個人の心 によって構成されること,知識は人々の頭の中にあり主体は経験に基づいて知識を構成することを述べている。
これら構成主義の学習の考え方に沿うと,授業や経験に より培った獲得概念(知識)は各々が異なり,学習の評 価を行う際に一律に学習目標に沿った共通の質問項目を 用いて確かめることは,真の学習者の教育内容をはかる ために充分でなく,ひとりひとりの構築した知識や概念,
それらを集めたものを検討することが必要となることが 指摘される。
これまで,ムーブメント教育においてどのような研究 がなされてきたのだろうか。
Gayle
は伝統的モデルと ムーブメント教育論モデルの技能テストの得点を統計的 に比較し,小学校1年生の実践ではムーブメント教育論 モデルの方が統計的有意差を伴って技能が改善したこと を明らかにした(Gayle,
1965)。また,Schwarz
は1〜4年生のムーブメント教育論の実践を通して学習者の技 能テストの得点が統計的有意差を伴って技能が改善した ことを明らかにした(
Schwarz,
1970)。これらは,ムー ブメント教育論の成果を技能の向上で測るものであり,学習者の認知や学習を通じて形成した概念を測るもので はない。
そこで本研究では,ムーブメント教育論における学習 者の認知,学習を通じてどんな概念を獲得しているのか を明らかにする。
2.方法
2-1.研究の対象
ムーブメント教育は,
K-
12 の体育プログラムと言わ れ,運動の基礎基本を中心とした創造的活動を行う。毎 時間の学習をするテーマを決めたテーマ単元を採用し,アメリカのムーブメント教育論では
Laban
のムーブメ ント概念と運動の原理(biomechanics
)を中核として学 習内容が構成される(Barrett,
1990:Buschner,
1994:Logsdon and others,
1997:Allison and Barrett,
2000:Graham and others,
2010:Rovegno and Bandhauer,
2013)
。
Laban
のムーブメント概念は時間(time
),空間(space)
,重さ
(weight)
,流れ(flow
)といった基本原則を応用し,「身体(
body
)」,「空間(space
)」,「質(effort
)」,「関係 性(relationship
)」から成り立つ内容を教える(Lodgston
,Allison and Barrett
)。以下Logston
の整理を元に説明を 行うこととする。「身体(body
)」とは身体は何を行う のかを扱い,重心移動や力の適用等の「身体の部位の動 き」,伸ばす,曲げる,ねじる等の基本の身体の動き,狭いや広い,角ばった,丸めるからなる「身体の形」,
移動の運動(歩く,走る,跳ぶ等),その場の運動(バ ランスをとる,その場で回る,ねじる等),操作の運動(投 げる,捕る,打つ,蹴る等)等の「身体の活動」から構 テーマ1
テーマ2
テーマ3 テーマ4 創造的 ムーブメント
活動 動き方を学ぶ
動きを多様化 し拡大する
身体の動きに 気づき再認識 する 動きのアイデ ィアを分かち
合う 総合的に巧
みに動ける 子ども ムーブメント課題
ムーブメント回答
核
運動技能
ラバンの理論
× 運動の原理(バイ オメカニクス)
成されている。「空間(
space
)」とはどこで身体が動く のかを扱い,前に,後ろに,横等かの「方向」,高い,低い,中くらい等からなる「高さ」,一般の,個人的な 等の「領域」,空間を,床を,まっすぐ,ジグザグ等の「経 路」。正面の,水平,矢状等の「面」,大きい,小さい,
遠く,近く等の「拡大」から構成されている。「質(
effort
)」は身体はどのように動くのかを扱い,速い,遅い等の「時 間」,柔らかい,固い,軽い,強い,脱力した,緊張し た等の「重み(勢い)」,まっすぐな,フレキシブルな等 の「空間」,決まった,自由な,とぎれとぎれの,持続 した等の「流れ」,ひとつの要素を探究した,2つの要 素を組み合わせた,8つのエフォートアクション等の「時 間,重み,空間の動き」から構成されている。「関係性
(
relationship
)」は,上,下,離れて,一緒に,後ろに,前に,向かい合って,後ろを向いて等の「身体の部分」,
上,下,離れて,一緒に,後ろに,前に,鏡の動き,ひ とりで,皆で揃えて等の「ひとりでとグループで」,超 えて,下の,上の,近く,遠く等の「器械や用具」,パ スした時のボールの位置,対象を操ったり受けたりする ときのプレーヤーの位置,マーク等の「ゲームでの関係 性」,リズム,音楽,詩,物語,言葉等の「他の関係性」
から構成されている(
Logsdon and others,
1997a
)。ムーブメント教育の領域は,教育的体操,教育的ゲー ム,教育的ダンスからなる(
Buschner,
1994:Logsdon and others,
1997a
;1997b
;1997c
;1997d
;Allison and
Barrett,
2000;Graham and others,
2010;Rovegno and
Bandhauer,
2013)。教育的体操は器械を使って様々な身体の動かし方や動きの創造を行う。器械運動領域のよう に決められた技を行う訳ではない。教育的ゲームは将来 的に球技につながる領域であり,用具の操作等の技能を 用いた簡易活動を行う。教育的ダンスは動きの創造活動 を行うが,表現的で物語的というよりは,
Laban
のムー ブメント概念を用いて動きの多様さを学習したり動きの バリエーションを創ることにその中核がある。本研究では,小学校3,4年生 61 名を対象とし,教育 的体操の単元を取り扱うこととする。
Logston
らのモデ ル(Logsdon and others,
1997a
;1997c
)を参考にし,全 9〜 10 時間の教育的体操モデルの単元をA
国立附属小 学校で実施した(表1参照)。1,2時間目は「移動とバ ランス」,3時間目は「身体部位を用いて移動,方向と 速度」,4,5時間目は「形」,6時間目は「転がる-
重 心移動と手足を使ったステップ」,7時間目は「ジャン プ−着地」,9,10 時間目は「器械の上と下で形をつくる,器械使って跳び降りる」を各学習テーマとした(表1参 照)。
例えば,1時間目に実施したバランスのテーマの3点 で体を支えるの活動では,3点で体を支える活動をポー ズを考えた。たとえばある児童は両手と片足で自分の体 を支えもう一方の脚を上に挙げるポーズを行い,またあ る児童は両膝と頭で体を支えるポーズを行った。また,
表1 ムーブメント教育(教育的体操)の単元計画
1時間目 2時間目 3時間目 4時間目 5時間目 6時間目 7・8時間目 9・10 時間目
「移動とバラ
ンス」 「 移 動 と バ ラ
ンス」 「身体部位を 用 い て 移 動,
方向と速度」
「形(細長い,
幅広い)」 「 形( 丸 い,
角ばった)」 「 転 が る
-
重 心移動と手足 を 使 っ た ス テップ」「 ジ ャ ン プ −
着地
-
転がる」「 器 械 の 上 と 下で形をつく る,器械使っ て跳び降りる」・移動→バラ ンスをとる
・静止ピタッ と静止,形 を変えて
・動かないた めにはどう したらよい か考える
・3点で身体 を支える
・移動→バラ ンスをとる
・3点で身体 を支える
・3→2→1 と支える部 分を少なく する
・発表
・リモコン(方 向)
・手で方向を 確認する
・2人組で相 手の指示し た方向に進 む(フープ を用いなが ら)
・合 図 で ス ピードを変 える
・様々な形を つくりジャ ンプ( 幅 広 いジャンプ,
細長いジャ ンプ)
・もっと細く・
狭く,広く
・自分の動き をつくり発 表
・細長い,幅 広い動きの 復習
・丸い動き(背 中も胸も)
・角ばった動 き
・上半身と下 半 身 で 異 な っ た 形
(角ばった
-
丸い)・両手を着き,
しっかりと 体 重 を 支 え,下半身 をジャンプ さ せ た り,
バランスを とる
・しっかりと 上半身に力 を入れ,下 半身を浮か せられる感 覚
・手で支えて ステップの ような動き をつくろう
・発表
・様々な形で ジャンプ
・台を用いて 腕のスイン グ や 膝 を やわらかく 使ってジャ ンプ
・高くジャン プ
-
着地・できるよう になったら 転がるを入 れる
・( と び 箱 を 使って)台 の 上 か ら ジャンプ→
着地
・静かに着地 するにはど うしたらよ いか
・連続写真の ように形を つくる
秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門 第 75 集
9・10 時間目には,とび箱の上からとび下りる活動で,
児童は大の字ジャンプや体をひねるジャンプ等様々な ジャンプを行い,また,静かに着地するにはどうしたら よいか意見を出し,試技をした。
対象者は 61 名(男子 29 名,女子 32 名)であり,3 年次ひとクラスと4年次ひとクラスの実施とした。
2-2.研究方法
学習者の認知研究の方法では,様々な方法が用いられ ているがその調査法としてインタビューや記述分析を用 いることが多い(
Ennis,
2007;Solomon,
2006;松本,2012;2015;2016;2017
a
;2017b
)。そのひとつとして ツリー法(Jonassen,
1987)
があるが,ツリー法は思いつ いた概念を単語で書き,関連のある場合にはそれをつな げる方法をとる。本研究では,調査票はA4の用紙にいくつか四角を描 き,そのまわりに木の絵を描き,その上に質問項目とし て「今日の体育の授業で学んだことを言葉で書きましょ う。またかんれんする言葉(四角と四角の間)に線を引 きましょう。」と記載した(資料1参照)。毎時間ムーブ メント教育の実践を行った体育授業の終了後の小学校で の空き時間(休憩時間や帰りの会等の時間)に対象者に 記入させた。研究者から調査紙を体育担当教諭や担任教 諭に渡して依頼し,記入後回収した。回収率は3年生 93
.
3%,4年生 86.
4%であり,全体で 90%であった。資料1 ツリー法調査票
分析方法は KJ 法による内容分析であり,全てのツリー 法で得られた回答の意味内容毎にグループ化しラベルを 付け,さらに大きなグループでまとめられる場合はさら にグループ化しその上位概念についてもラベル付けを行 い飽和状態になるまで分類を行った。分析作業は大学で 体育科教育を専門とする研究者(大学での勤続 11 年)
1名で行った。
3.結果
研究の結果として全 4538 回答が得られ,全体の傾向 をみると以下のことは明らかとなった。学習者の記述内 容をカテゴリー化した結果,「身体・動き」についての 記述が 3333 回答みられ,全体の 73
.
4%を占めた。次い で「空間」についての記述が 705 回答みられ,全体の 15.
5%を占め,「時間」についての記述が 337 回答みられ,全体の 7
.
4%を占めた。また,「用具」についての記述が 46 回答(1.
0%)みられ,「関係性」についての記述が 45 回答(1.
0%)みられ,「質」についての記述が 44 回 答(1.
0%)みられた。「その他」についての記述が 28 回答みられ,0.
7%を占めた(図2,表2参照)。以下そ の内訳について説明する。図2 ツリー法記述によるムーブメント教育の学習者の 形成概念
表2 ツリー法記述によるムーブメント教育の学習者の形
成概念
N=
4543記述内容大カテゴリー 回答数 比率 身体・動き 3333 73
.
4%
空間 705 15.
5%
時間 337 7
.
4%
用具 46 1
.
0%
関係性 45 1
.
0%
質 44 1
.
0%
その他 28 0
.
7%
記述内容
身体・動き 空間 時間 用具 関係性 質 その他 73. 4%
15. 7%
7. 4%
1. 0% 1. 0% 1. 0% 0. 7%
「身体・動き」の小カテゴリーの内訳として,動きの 種 類(2488 回 答,72
.
8 %), 身 体 の 部 位(473 答,14
.
2%
),形(200 回答,5.
1%
),身体意識(169 回答,5.
1%),工夫(19 回答,0
.
06%),多様性(17 回答,0.
05%),オ リジナリティ(7回答,0.
02%),動きの原理(7回答,0
.
02%),その他(13 回答,0.
04%)が明らかになった(表 3参照)。「空間」の小カテゴリーの内訳として,高さ(253 回答,
35
.
9%),方向(190 回答,27.
0%),大きさ(128 回答,18
.
2%),幅(112 回答,15.
9%),経路(13 回答,1.
8%),隊形(6回答,0
.
9%),その他(3回答,0.
3%)が明ら かになった(表4参照)。「時間」の小カテゴリーの内訳として,速さ(308 回答,
91,4%),リズム(28 回答,8
.
3%),時間(1回答,0.
3%)が明らかになった(表5参照)。
「用具」の小カテゴリーの内訳として,マット(25 回答,
54
.
3%),コーン(7回答,15.
2%),とび箱(4回答,8.
7%),その他(10 回答,21
.
8%)が明らかになった(表6参照)。「関係性」の内訳として,人数(23 回答,51,1%),グルー プ(11 回答,24
.
5%),上で(5回答,11.
1%),組み(4 回答,8.
9%),仲間(1回答,2.
2%),まわりで(1回答,2
.
2%)が明らかになった(表7参照)。「質」の内訳として,静かに(14 回答,31
.
8%),強弱(5 回答,11
.
4%),カクカク(5回答,11.
4%),なめら かに(4回答,9.
1%),ぴんと(4回答,9.
1%),ふわっ と(3回答,6.
8%),くねくね(2回答,4.
5%),うま く(2回答,4.
5%),その他(5回答,11.
4%)が明ら かになった(表8参照)。表3 身体・動きの記述内訳
n=
3333記 述 内 容 小
カテゴリー 回答数 比率 記述内容の具体例
動きの種類 2428 72
.
8% 歩く/
走る/
ポーズ/
バランス/
回転/
前転/
後転/
ジャンプ・とぶ/
スキップ/
ストップ・止まる/
動く/
移動/
静止/
着地/
立つ/
動物歩き/
くも歩き/
くま 歩き/
あざらし歩き/
ほふく前進/
支える/
しゃがむ/
まね/
こだま等身体の部位 473 14
.
2%
足/
手/
肘/
片足/
かかと/
つま先/
右手/
右足/
尻/
上半身/
下半身/
3 点(ヶ所)/
2点(ヶ所)/
1点(ヶ所)/
4点(ヶ所)形 200 6% 丸く
/
角ばって/
形/
四角/
三角/
ギザギザ/
ダイヤ/
ハート/
星/
スペード/
大 の字/
なみ/
不思議な形/
輪身体意識 169 5
.
1%
力を入れる/
力/
力を抜く/
あまり力まない/
両手感覚/
力強い/
がまん/
着地 したらしっかりバランスをとる/
つま先に力を入れる/
姿勢をのばす/
両足に 同じ体重をかける/
がんばる時に腕や足に力を入れた/
息をとめない等 工夫 19 0.
06% 工夫/
おもしろい/
考えた多様性 17 0
.
05% いろいろな/
いろいろな動き/
いろんな体の形/
いろんな歩き方/
いろいろな おもしろいポーズがあった/
ポーズは自由に/
自由に/
変化/
極端オ リ ジ ナ リ
ティ 7 0
.
02%
オリジナルの/
自分でつくった/
同じにしない/
なるべくみんながおもいつか ないようなことをした/
みんなのいいことを生かしてやった動きの原理 7 0
.
02%
動きが大きい―力を使う/
動きが小さい―力をあまり使わない/
曲がる力が大 きい―曲がりにくい/
曲がる力が少ない―曲がりにくい/
ジャンプ時に腕をふ る/
速いときは力を入れる/
遅いときは力をあまり入れないその他 13 0
.
04%
自分の苦手な歩き方もマスターした/
みんなのまねをして自分でもできるよう にした/
疲れる/
体力をつかう/
バランスがとりにくい等表4 空間の記述内訳
n=
705記 述 内 容 小
カテゴリー 回答数 比率 記述内容の具体例
高さ 253 35
.
9%
高い(く)/
低く/
中くらい/
高さ方向 190 27
.
0%
右/
左/
前/
方向/
ななめ/
前向き/
横/
まっすぐ/
後ろ向き/
右ななめ/
左なな め他大きさ 128 18
.
2%
大きく/
小さく/
中くらい/
小さくなる/
大きさ幅 112 15
.
9%
細く/
広く/
太く/
細長く/
幅/
幅広い/
広く大きく/
平べったく 経路 13 1.
8%
ジグザグ/
まっすぐ/
カーブ/
うねうね隊形 6 0
.
9% 線の上/
列/
一列 その他 3 0.
3% 角度秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門 第 75 集
4.考察
ムーブメント教育の学習の中心は動きの学習にあり,
技能的に動けること,技能的に動くことのできる身体を 獲得することにあるが,本研究の結果において,「身体・
動き」に関する回答が 7 割以上を占めたことが確認でき た。特に,「身体・動き」の中でも多様な動きの種類,
多様性に関する回答が多く,ムーブメント教育の活動の 中で学習者はムーブメント課題に沿って動きを多様化さ せた結果,様々な動きを体験・認知していたことが分かっ た。また,身体の部位に関する記述も多種みられたこと
から,様々な動きを拡大し経験する過程の中で普段意識 しない様々な身体の部位について意識できたことが推察 できる。さらに,少数の回答ではあったが,身体意識,
動きの原理についての回答もみられた。具体的には,身 体意識は,力を入れる,力を抜く,あまり力まない,着 地したらしっかりバランスをとる,つま先に力を入れる,
両足に同じ体重をかける等の回答がみられた。動きの原 理については,動きが大きい―力を使う,動きが小さい
―力をあまり使わない,曲がる力が大きい―曲がりにく い,曲がる力が少ない―曲がりにくい,ジャンプ時に腕
表5 時間の記述内訳
n=
337記 述 内 容 小
カテゴリー 回答数 比率 記述内容の具体例
速さ 308 91
.
4% はやい(く)/
ゆっくり/
遅い(く)/
速度・はやさ・スピード/
中位/
スローモー ション/
すばやく/
ふつう/
素早さ/
ゆったりリズム 28 8
.
3% リズム 時間 1 0.
3% 3秒表6 用具の記述内容
n=
46記 述 内 容 小
カテゴリー 回答数 比率 記述内容の具体例
マット 25 54
.
3% マット コーン 7 15.
2% コーン とび箱 4 8.
7% とび箱その他 10 21
.
8% イス/
白帽子/
青帽子/
太鼓/
マーク/
矢印/
ケンステップ表7 関係性の記述内容
n=
45記 述 内 容 小
カテゴリー 回答数 比率 記述内容の具体例
人数 23 51
.
1% ペア/
4 人/
2 人/
8 人/
3 人/
シングル/
○組 グループ 11 24.
5% グループ上で 5 11
.
1% 上で/
台の上で/
イスから/
とび箱1段の上から 組み 4 8.
9% 組み/
人組/
2 人組仲間 1 2
.
2% 仲間と協力して まわりで 1 2.
2% まわりで表8 質の記述内容
n=
44記 述 内 容 小
カテゴリー 回答数 比率 記述内容の具体例
静かに 14 31
.
8% 静かに 強弱 5 11.
4% 強弱カクカク 5 11
.
4% カクカク/
カクッと なめらかに 4 9.
1% なめらかにぴんと 4 9
.
1% ぴんとふわっと 3 6
.
8% ふわっと/
ふんわり くねくね 2 4.
5% くねくねうまく 2 4
.
5% うまくその他 5 11
.
4% ピタッと/
ピッと/
ぐるぐる/
バラバラ/
極端をふる等の回答がみられた。身体意識は動きの内的感覚,
動きの原理は動きの客観的な原理や法則であり,動きを 感覚的に捉えたり,体験から動きの原理や法則を獲得す ることで動きのコツを認知できていることが確認でき た。これら身体意識や動きの原理は,ムーブメント教育 以外の全ての運動に活用することができ,運動学習にお いて学習が転移する手助けとなる。これらの回答が得ら れたことが本研究で確認できたことは大きな意義を持つ ことであろう。
次に,「空間」,「時間」のムーブメント要素が「身体・
動き」に次いで多く回答されたことから,学習者は動き を多様化するだけでなく,動きを拡大するための概念に ついて学習していたことが明らかとなった。例えば,「空 間」では,高い低い等の高さ,右,左,前,横等の方向,
大きく,小さく,中くらいの大きさの概念が明らかになっ た。「時間」では,はやい,ゆっくり,遅い,速度・は やさ・スピード,スローモーション等の速さが明らかに なり
,
リズム等のリズムが明らかになった。これらの概念は
Laban
のムーブメント概念であり,学習やムーブメント課題を通じた運動の経験によって学習者が
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のムーブメント概念を学習できたことが確認できた。さらに,少数の回答であったが,「質」についての回 答もみられた。具体的には,静かに,強弱,カクカク,
なめらかに,ぴんと,ふわっと等であるが,シンプルな 回答ではあるが,子どものなりに動きの質の違いを捉え,
概念化できていたことが明らかとなった。
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のムー ブメント概念の特徴として,動きの質を捉えたこと,ま た,動きの「質」という学習内容は他のスポーツ教育論 やフィットネス論ではみられない,ムーブメント教育論 特有のものであるが,少数ではあったが本実践での形成 概念として獲得できたことを確認できたことは意味のあ ることであろう。また,実践での動きの導き方によって はこの概念を認知できるようにより改善することが可能 であろうと考える。5.まとめ
本研究は,小学校3,4年生 61 名(男子 29 名,女子 32 名)を対象とし,全9,10 時間一単元のムーブメン ト教育論の実践を行い,学習を通じた学習者の形成概念 について明らかにした。研究方法はツリー法で調査用紙 に対象者に単語で学習内容について回答させ,毎時間体 育授業終了後学校での自由時間に回答させた。分析方法 は対象者の回答(単語)を内容毎に分類し,カテゴリー 化した。研究の結果,全 4538 回答が得られ,「身体・動 き」(73
.
4%),「空間」(15.
7%)を占め,「時間」(7.
4%)「用具」(1
.
0%),「関係性」(1.
0%),「質」(1.
0%),「そ の他」(0.
6%)が明らかになった。「身体・動き」の中でも多様な動きの種類,多様性に関する回答が多く,ま た,多様な動きを行う中で身体の部位が意識できたこと が確認できた。また,少数ではあったが,身体意識,動 きの原理についての回答もみられ,全ての運動に応用で き学習が転移するという点でこれらは重要であると考察 できた。また,「空間」,「時間」,「質」といった
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の原理特有の概念も本ムーブメント教育の学習で獲得で きたことが確認できた。付記:本研究は,秋田大学手形地区ヒトを対象とした研 究倫理審査委員会の倫理審査を受け,2003 年 12 月 25 日に認定(第 26 − 1 号)の元,実施してい ます。
本研究は平成 24 〜 26 年度科学研究費補助金若手 研究(B)課題番号 240618(研究代表者 松本 奈緒),の研究助成を受けて実施されています。
謝辞:本研究の実践は,柴田優樹,三浦大介先生によっ て実施されたものです。ここに記して感謝の意を 表します。
参考引用文献
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秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門 第 75 集