• 検索結果がありません。

学位論文 (博士 -甲)審査結果 の要 旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文 (博士 -甲)審査結果 の要 旨"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

氏 名 ・(本籍) 里吉 梨香(宮城県)

専 攻 分 野 の 名 称 博士(医学)

学 位 記 番 号 医博甲第 883 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 27 年 3 月 22 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項該当 研 究 科 ・ 専 攻 医学系研究科医学専攻

学 位 論 文 題 名

Asporin activates coordinated invasion of scirrhous gastric cancer and cancer-associated fibroblasts.

(アスポリンはスキルス胃癌と癌関連線維芽細胞の協調的浸潤を促進する)

論 文 審 査 委 員 (主査) 教授 羽渕 友則

(副査) 教授 大西 洋英 教授 後藤 明輝

(2)

学位論文内容要旨

Asporin activates coordinated invasion of scirrhous gastric cancer and cancer-associated fibroblasts.

アスポリンはスキルス胃癌と癌関連線維芽細胞の協調的浸潤を促進する 里吉 梨香

研究目的

スキルス胃癌は、間質の線維化を特徴とし、様々なタイプの胃癌の中でも転移浸潤能が高く予 後の悪い癌である。癌の間質に存在する癌関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast: CAF)

は、癌細胞の浸潤に有利な細胞外マトリックスを形成することでスキルス胃癌の進展に寄与する と考えられているが、その分子学的機序は十分に明らかにされてはいない。我々はCAFが産生す るアスポリンという分泌性のタンパク質を同定し、このタンパク質が癌細胞とCAFの協調的浸潤 に与える影響、またその分子生化学的機序について検索した。

研究方法

1)ヒト胃から採取した正常線維芽細胞(non-lesion fibroblast: NF)とCAFにおけるマイクロ アレイの結果を比較し、CAFで発現が上昇している遺伝子を検索した。

2)CAF、NFおよびヒトスキルス胃癌細胞株である44As3におけるアスポリンのmRNA 発現 RT-PCRにて、蛋白発現をWestern blotting法で確認した。

3)CAFアスポリンノックダウン株とNF アスポリン過剰発現株を作成し、アスポリンが細胞の 浸潤に与える影響を3次元ゲル浸潤アッセイにて評価した。

4)アスポリンによる細胞浸潤亢進の機序を検索するため、Rac1の活性をpulldown assayで評 価した。Rac1を活性化させる分子の一つであるCD44とアスポリンの結合をみるため、免疫沈降 を行った。

5)CAFが産生するアスポリンの癌細胞へのパラクリン効果を見るため、ゲル内の2つの小孔に それぞれCAF44As3を培養し、44As3のゲル内浸潤を評価した。

6)44As3 CAFおよび NF とともにマウスの胃粘膜下に移植し、細胞の固有筋層への浸潤を in vivoで評価した。

(3)

研究成績

1)マイクロアレイにより、NFと比較してCAFで発現が上昇しているタンパク質を検索し、small leucine rich proteoglycanであるアスポリンを同定した。

2)NFに比較して、CAFではアスポリンのmRNA発現とタンパク発現が上昇しており、44As3 では発現していなかった。44As3 NF を共培養した場合、また NF 44As3 conditioned

mediumを添加して培養した場合、NFにおけるアスポリンの発現が上昇した。

3)3次元ゲル浸潤アッセイにおいて、44As3およびNF単独ではゲル内への浸潤はほとんど見 られなかったが、アスポリンを過剰発現させたNFおよびCAFは単独でもゲル内へ浸潤した。さ

らにCAF44As3を混合した場合に最も著明なゲル内細胞浸潤が観察され、多くの場合、CAF

44As3の浸潤を先導していた。また、CAFのアスポリンをノックダウンする事で、CAFおよ

び共培養した癌細胞双方の浸潤が抑制された。

4)CAFにおけるアスポリンの発現は、CAF自身および共培養した44As3細胞のRac1を活性 化した。また44As3細胞の培地中へアスポリン蛋白質を添加する事でも、44As3Rac1の活性 は上昇した。アスポリンと結合する分子として、免疫沈降法にてCD44の細胞外ドメインとの結 合が認められた。

5)ゲル内培養において、44As3 CAF の細胞塊に向かって浸潤したが、アスポリンをノック ダウンしたCAF に対しては浸潤性(走化性)を示さなかった。また、44As3CD44をノック ダウンする事で、44As3CAFに向かう浸潤が抑制された。

6)CAF44As3を混合してマウス胃壁に移植すると、著明な固有筋層への浸潤がみられるが、

CAFのアスポリンをノックダウンすると両者の浸潤が抑制された。また、NFにアスポリンを過 剰発現させると胃癌細胞の浸潤を促進した。固有筋層内の浸潤範囲を定量すると、in vivoにおい てもCAF44As3より広範囲に浸潤がみられた。

結論

スキルス胃癌の新たな細胞外基質因子としてアスポリンを同定した。CAFと癌細胞の協調的浸 潤において、CAF は癌細胞の浸潤を促進した。癌細胞が産生する何らかの液性因子により CAF のアスポリン発現が誘導され、細胞外に分泌されたアスポリンは CAF および癌細胞の CD44 の結合を介してRac1を活性化させることで癌組織全体をmotileにし、浸潤を亢進するものと考 えられた。アスポリンはスキルス胃癌の進展を促進する分子であり、癌の治療標的分子になりう ると考えた。

(4)

学位論文 (博士 -甲)審査結果 の要 旨

主査: 羽渕 友則 申請者:里吉 梨香

論文題名:

Asporin activates coordinated invasion of scirrhous gastric cancer and cancer-associated fibroblasts

(アスポリンはスキルス胃癌と癌関連線維芽細胞の協調的浸潤を促進する)

要旨

スキルス胃癌は、間質の線維化を特徴とし、様々なタイプの胃癌の中でも転移浸潤能が 高く予後の悪い癌である。癌の間質に存在する癌関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast: CAF)は、癌細胞の浸潤に有利な細胞外マトリックスを形成することでスキル ス胃癌の進展に寄与すると考えられているが、その分子学的機序は十分に明らかにされて はいない。申請者らは CAF が産生するアスポリンという分泌性のタンパク質を同定し、

このタンパク質が癌細胞と CAF の協調的浸潤に与える影響、またその分子生化学的機序 について検索した。

1) マイクロアレイにより、正常線維芽細胞(NF)と比較してCAFで発現が上昇している

タンパク質を検索し、small leucine rich proteoglycanであるアスポリンを同定した。

2) NF に比較してCAFではアスポリンの mRNA とタンパク発現が上昇しており、胃癌細

胞株44As3では発現は認められなかった。44As3NFを共培養した場合やNF44As3 conditioned mediumを添加培養した場合、NFのアスポリン発現が上昇した。

3) 3次元ゲル浸潤アッセイにより、44As3およびNF単独ではゲル内への浸潤はほとんど 見られなかったが、アスポリンを過剰発現させたNF (NF ASPN) およびCAFは単独で もゲル内へ浸潤した。さらにCAF44As3を混合した場合に最も高度なゲル内細胞浸 潤が観察され、多くはCAF44As3の浸潤を先導していた。またCAFのアスポリンを ノックダウンすると、CAFおよび共培養した癌細胞双方の浸潤が抑制された。

4) CAFのアスポリンの発現は、CAF自身、および共培養した44As細胞のRac1を活性化 した。44As3の細胞培地へアスポリン蛋白質を添加すると、44As3Rac1の活性が上 昇した。免疫沈降法にてアスポリンとCD44細胞外ドメインとの結合が認められた。

5) ゲル内培養において、44As3CAFの細胞塊に向かって浸潤したが、アスポリンをノ

ックダウンしたCAFに対しては浸潤性(走化性)を示さなかった。また、44As3CD44 をノックダウンする事で、44As3CAFに向かう浸潤が抑制された。

6) CAF44As3を混合してマウス胃壁に移植すると、固有筋層への高度な浸潤がみられ

(5)

るが、CAFのアスポリンをノックダウンすると両者の浸潤が抑制された。またNFにア スポリンを過剰発現させると 44As3の浸潤を促進した。固有筋層内の浸潤範囲を定量 すると、in vivoにおいてもCAF44As3より広範囲に浸潤がみられた。

以上の結果より、CAFと癌細胞の協調的浸潤において、CAFは癌細胞の浸潤を促進する が、その細胞外基質促進因子としてアスポリンが重要であることが示された。癌細胞が産 生する液性因子により CAF のアスポリン発現が誘導され、細胞外に分泌されたアスポリ ンはCAFおよび癌細胞のCD44との結合を介してRac1を活性化させることで癌組織全体

motile にし、浸潤を亢進することが示唆された。アスポリンはスキルス胃癌の進展を

促進する分子であり、癌の治療標的分子になりうると考えた。

1)斬新さ

① 世界に先駆けて、CAFと癌細胞の協調的浸潤において、CAFは癌細胞の浸潤を促進し、

その細胞外基質促進因子としてアスポリンがkey playerであることを示した点。

② 胃癌細胞が産生する因子によりCAFのアスポリン発現が誘導され、細胞外に分泌さ れたアスポリンはCAFおよび癌細胞のCD44 と結合し、この結合によって Rac1 活性化し、癌細胞やCAFmotilityinvasivenessを亢進させることを示した点。

2)重要性

腫瘍微少環境と腫瘍の浸潤、遊走、転移は腫瘍制御や治療には非常に重要なテーマである。

また癌関連線維芽細胞(CAF)が腫瘍進展に重要な役割を果たしていることが示唆されて いるが、その詳細な分子メカニズムは不明である。本研究はCAFから分泌される蛋白(ア スポリン)が CAF 自身や癌細胞の浸潤、遊走に重要であることを示し、新たな知見を提 供するものである。またアスポリンのような蛋白は治療標的分子としても有望であり、本 研究は基礎的、臨床的にも重要性は高い内容となっている。

3)研究方法の正確性

本研究は、共培養、3D gel invasion assayなどの細胞生物学的解析法、ウェスタン、pulldown assay、免疫沈降法、免疫染色など分子生物学的腫瘍な基本的手法、動物実験など、標準的 な確立された方法に準じて行われており、正確性や妥当性に問題は無いと判断される。

4)表現の明瞭さ

抄録、背景、対象と方法、結果、考察、結論、表、図など簡潔で明瞭に記載されている。さらに、

すでに学術雑誌に英文論文として掲載受理されており、学位論文として校正、表現など問題な い。

以上、本論文は学位を授与するに十分値する内容と判定された。

参照

関連したドキュメント

beam(1.5MV,25kA,30ns)wasinjectedintoanunmagnetizedplasma、Thedrift

添付)。これらの成果より、ケモカインを介した炎症・免疫細胞の制御は腎線維

図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実

RNAi 導入の 2

カバー惹句

本文書の目的は、 Allbirds の製品におけるカーボンフットプリントの計算方法、前提条件、デー タソース、および今後の改善点の概要を提供し、より詳細な情報を共有することです。

(batter)又はパン粉でおおった魚の切身、加熱による調理をした魚)

40m 土地の形質の変更をしようとす る場所の位置を明確にするた め、必要に応じて距離を記入し