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スケルトンソリのランナー形状に及ぼす操作性の影 響

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Academic year: 2021

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(1)

スケルトンソリのランナー形状に及ぼす操作性の影

著者 長坂 明彦, 村田 貴大, 松原 達郎, 小林 豊, 下崎 和, 磯部 浩己

雑誌名 長野工業高等専門学校紀要

巻 49

ページ 2‑1

発行年 2015‑06‑30

URL http://id.nii.ac.jp/1051/00000962/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

1

スケルトンソリのランナー形状に及ぼす操作性の影響

*

長坂明彦*1・村田貴大*2・松原達郎*3・小林豊*4・下崎和*5・磯部浩己*6

Effect of Operability on Runner Shape of Skeleton Sled NAGASAKA Akihiko, MURATA Takahiro, MATSUBARA Tatsuro,

KOBAYASHI Yutaka,SHIMOZAKI Nodoka and ISOBE Hiromi

キーワード : スケルトン,ランナー,3軸加速度センサ,ローパスフィルター

1.緒言

スケルトン1)は,氷で作られたコースを鉄製のソリ にうつぶせで乗り,頭を前にして滑走しタイムを競う 競技である.スケルトンは,2002 年のソルレークオ リンピックで再び正式種目となったことを機に注目 を集めるようになった.また,1998 年長野オリンピ ックのボブスレーおよびリュージュ競技の会場とな ったスパイラルは,2007 年からナショナルトレーニ ングセンター競技別強化拠点に指定さている.

著者らは,これまでにスパイラルにおいてスケル トンのソリフレーム変形特性や合成加速度aは垂直 方向加速度azが主となり,データ分析の指標となる ことについて報告してきた2).しかしながら,リュ ージュ競技等に関する研究報告3)はあるが,スケル トン競技に関する研究は十分に行われていない4)

そこで本研究では,2018年のピョンチャンオリン ピック等に向けてスケルトンのファイナルタイム

(滑走タイム)を短縮することを目的として,スケ ルトンソリのランナーを作製し,操作特性の評価を 試みた.実際にコースで滑走を行い,タイム等の各 データを比較・検討した.

2. 実験方法

図1にランナーを示す.表1にランナーの形状を示 す.滑走テストでは,本研究で作製したランナー(図 1)と基準となるライアン社製のランナーの計3種類

* 2015124 長野体育学会第50回大会にて一部 発表

*1 機械工学科教授

*2 (株)前田製作所(平成26年度機械工学科卒業)

*3 長野県ボブスレー・リュージュ連盟

*4 (有)ナツバタ製作所 社長

*5 機械工学科学生

*6 長岡技術科学大学准教授 原稿受付 2015520

のランナーを使用し,加速度データの比較を行った

(表 1).3軸加速度はコンパクトレコーダ,3軸加 速度センサおよびバッテリーを滑走者が背負った状 態で測定した.データの比較は,3軸加速度センサで 取得できたデータを容易に比較できるように,ローパ スフィルター(LPF)処理し,グラフにデータを表示 することで可視化した.

図2にソリのフレームを示す.フレームは溶接固定

(ライアン製)で,右側がソリの進行方向となる(図 2(a),(c)).上下部にある長い板が縦フレームである.

同様に,左右側にある短い板が横フレームである.そ れぞれのフレームは長方形構造で,ソリの四隅で固定 されている.縦フレームの間にある長方形の板がサド ルである.ハンドルはサドルに固定されている.2本 のランナーは平行である(図2(b)).

図3に測定装置を装着した選手を示す.水平方向加 速度ax,進行方向加速度ayおよび垂直方向加速度az

測定には3軸加速度センサ((株)共和電業,AS-10TG

(±10G))を用いた.なお,垂直方向加速度az測定 は,ソリの進行方向に対して感度軸を垂直方向に向け 下側をプラス方向にして,水平方向加速度ax測定は

Type A B C

溝の本数(本) 1 1 1 溝の長さ(mm) 383 383 383 溝の形状 90°V 135°V U

100 mm

1 ランナー

1 ランナーの形状 後ブロック ポスト

前ブロック

(3)

長坂明彦・村田貴大・松原達郎・小林豊・下崎和・磯部浩己

2 ソリの進行方向に対して左右方向に感度軸を向け右 側をプラスとして,進行方向加速度 ay測定はソリの 進行方向を感度軸のプラス側にして測定を行った. 3 軸加速度センサおよびコンパクトレコーダ,バッテリ ー(単3電池10本)はバックパックに入れ,滑走者 が背負った状態で測定した.

滑走テストによる評価は長野市ボブスレー・リュー ジュパーク(以下スパイラル)で行った.図4にスパ イラルのコースを示す.ここで,C1~C15はカーブ番 号を示す.また,STはスタートタイム,MTは中間タ イムおよびFTはファイナルタイム(滑走タイム)の 位置を示す.

3.実験結果および考察

ランナーにはそれぞれNC工作機械で溝加工を施し,

比較・検討を行った.ランナーの材質はSUS304を使 用し,ランナー溝の本数は1本で,溝の形状の違う2 種類のランナーを作製した.図5に加工したランナー 溝の断面形状を示す.溝はセンターから2.13mmの位 置に深さ1.7mm,幅2.5mmの切削加工を行った.Type Aは溝の形状が90°Vで長さが383mm,Type Bは溝の 形状が135°Vで長さが383mm,Type Cは基準のラン ナーとなっている.

ランナーの寸法は径16mm,全長1000mm,溝は全 長383mmで1本とした.これらはFIBT1)およびライ アン製の1本溝ランナーを参考にした.また,溝形状 の選定は,被験者の試乗を第一に考え,選手の意見を 採用した.

図6に滑走時の水平方向加速度ax,進行方向加速度 ay,垂直方向加速度azと時間Tの関係を示す.それぞ

2 ソリフレーム

4 スパイラルコース

(a)

(c) (b)

<表>

<表>

<裏>

((a)スケルトンフレーム(表),(b)スケルトンソリ(裏),

(c)スケルトンソリ(表))

サドル 横フレーム

縦フレーム

バンパー

100 mm

ソリ

バックパック

3 装置を装着した選手

100 mm ax az

ay

(4)

3

-2 -1 0 1 2

a x ( G )

Start

S01 S06 S08 M10 S13 S17

(a)

Finish LPF

-1 0 1

a y (G )

Start

S01 S06 S08 M10 S13 S17

(b)

Finish Uphill

-10 -5 0 5

60 80 100 120 140

a z (G )

Start

S01 S06 S08 M10 S13 S17

(c)

T (s)

Finish

れ色の付いた線が生データ,黒い線がLPFの1Hzで 解析したものである.加速度の単位はG(1G=9.8m/s2) で,時間は秒で表されている.S01がスタートタイム,

S06,S08,M10が中間タイム,S13,S17がファイナ ルタイムとなっている.この時間は光電センサで計測 され,リザルトで確認することができる.

垂直方向加速度 azは,最も大きな出力となり,カ ーブの位置を確認する指標となる.C7 のカーブに注 目すると,生データでは 10G 程度となり,解析後は 3G程度となっている.

水平方向加速度axは,±2G程度の生データとなっ ている.解析後は±0.5G程度になり,カーブでの操作 を解析することに有益なデータと考えられる.ここで,

C7のカーブに注目すると,0.5G程度の大きな力がか かっていることがわかり,また,データの形から2度 上がりしていることが予想される.

進行方向加速度ay は,±1G程度の生データとなっ ている.解析後は±0.2G程度になり,2か所の登り坂 では ayがマイナスとなることで減速していることが 確認できる.

なお,ランナーの溝形状の違いは,135°V溝が操作 性に優れることが被験者の感想から確認できた.水平 方向加速度 axのデータ比較より,同じランナーであ っても日によって滑走面の状況が違うため,その影響 で操作性に少し差異がみられることがわかった.水平 方向加速度axのデータ比較より,3種類のランナーの

中では135°V溝のランナーが水平方向加速度axの振

れが少なかった.よって,操作性に優れていると言え,

被験者の感想とも一致した.

(a) (b)

5 ランナー溝の断面形状

(a) Type A(90°V 溝) (b) Type B(135°V 溝)

6 滑走時の水平方向加速度ax,進行方向加速度ayおよび垂直方向加速度azと時間Tの関係

5 mm

(5)

長坂明彦・村田貴大・松原達郎・小林豊・下崎和・磯部浩己

4

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6

29 30 31 32 33 34

B

T (s)

a

x

(G )

A B

C

図7にローパスフィルタ処理を行ったC7カーブ付 近での90°V 溝のランナー,135°V 溝のランナー,U 溝のランナーの水平方向加速度axの比較の図を示す.

横軸は時間で,30s付近の点線から33s付近の点線ま でがカーブの区間となっている.

カーブの区間におけるデータの振れ幅は90°V溝ラ ンナーが0.2Gから-0.7Gの0.9G,135°V溝ランナー が0.2Gから-0.5Gの0.7G,U溝ランナーが0.1Gか ら-0.7Gの0.8Gとなっている.このことより,一番 振れ幅の小さい 135°V 溝ランナーが操作性に優れて いると考えられる.

スケルトンソリのランナーは,直径16 mmでラン ナー溝の深さが FIBT規格で2mmまでと決められて いる.本研究では,ランナーの溝パターンおよびラン ナー断面形状を設計変更後実験し,被験者が2015年 1月25日,スパイラルでの長野県大会で優勝の一助 となった.

4. 結言

スケルトンソリの最適なランナーの条件を導出す ることについて,得られた結果は以下のとおりである.

(1)ランナーの溝形状の違いは,135°V溝が操作性に優 れることが被験者の感想から確認できた.

(2)水平方向加速度のデータ比較より,同じランナーで あっても日によって滑走面の状況が違うため,その 影響で操作性に少し差異がみられることがわかっ た.

(3)水平方向加速度のデータ比較より,3種類のランナ ーの中では 135°V 溝のランナーが水平方向加速度 の振れが少なく,操作性に優れていると言え,被験 者の感想とも一致した.

参 考 文 献 1) FIBT International Skeleton Rules,2014.

2) 長坂明彦,関翼,内山了治,渡辺誠一,生駒良弘,

越和宏,池田芳正,松原達郎:スケルトンのソリフ レーム変形特性,スポーツ産業学研究,19,2,(2009), pp. 113-118.

3) 青木博夫,宮尾芳一,芳賀武,浅川司,藤沢謙一 郎:長野冬季オリンピックのリュージュ競技結果に 対する分析-上位者と下位者の比較-,長野体育学 研究,10,(1999),pp. 17-24.

4) 長坂明彦,関翼,田中裕樹,岡田拓真,穂刈聡,

内山了治,渡辺誠一,生駒良弘,越和宏:スケルト ンの溶接構造ソリフレームの操作特性,長野体育学 研究,18 (2011),pp. 1-7.

5) 長坂明彦, 宮本安暁, 松原達郎, 竹把悠, 磯部浩 已:スケルトンそりのサドル製作および操作特性,

長野工業高等専門学校紀要,第48号,2-1 (2014),

pp. 1-3.

7 C7カーブ付近での90°V溝のランナー(A),135°V溝のランナー(B),

U溝のランナー(C)の水平方向加速度axと時間Tの関係

図 6  滑走時の水平方向加速度 a x ,進行方向加速度 a y および垂直方向加速度 a z と時間 T の関係

参照

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