『社会科学ジャーナノレ』 3 0 ( 1 ) 〔 1 9 9 1 〕 p p . 1 ‑ 2 0
The J o u r n a l o f S o c i a l S c i e n c e 3 0 ( 1 )〔1 9 9 1 〕 ISSN 0 4 5 4 2 1 3 4
比較政治・行政研究に関する考察
一範囲及び方法一
慎 斗 範
I はじめに
比較政治学もそれが政治学という科学の 分野である以上,科学のそも そもの目的である一般化・抽象化・理論化への限りない衝動をもっている ことも否定できない。つまり,社会的な個別事象の 般化・抽象化・理論 化への運動が比較政治学の中にも存在しているのである。。}
比較政治学の歴史は大きく分けて政治学の理論化・科学化がまだ未発達 で,逆に比岐によって政治学を語ろうとした 1 8 ・ 19 世紀と,逆に理論化・
科学化を中心として比較政治学を語ろうとした 20 世紀の,特に第二次大戦 以降とに区分できるだろう。ちなみに戦後のアメリカ社会科学は何よりも 行動科学の旗じるしのもとに自然科学との類似性をアピールすることに よって諸科学の統ーをはかることを急務の課題とした。こうした行動科学 運動のなかで政治学はその後発性ゆえに,かなりきびしい試行錯誤を経な ければならなかった。 構造( s t r u c t u r e ) ' 機 能( f u n c t i o n ) 'インプット ( i n p u t ) 'アウトプヅト ( o u t p u t ) 'フィードパック ( f e e d b a c k ) 'システ ム〔 system 〕といった社会学的分析概念を導入することによって政治学は 理論的厳密性と経験的研究を 政治システム の概念枠組の中に統合し,
一般化を検討しようとした。 ω
それにもかかわらず近来我々が比較政治 行政を研究するに当たって は,多くの学者達の議論もあって最も適した方法論を発見することは非常 に難しい状況のもとにあるといえよう。
以下本稿においては比較政治・行政研究の方法論として 3 つの次元
〔 t h r e ed i m e n s i o n s )すなわち 比較の対象 ( t h es u b j e c t m a t t e r 〕 比較の 範囲 〔 t h es c o p e o f a n a l y s i s )および 発展水準の比較 〔 d e v e l o p m e n ta s an i n d i c a t o r o f c o m p a r i s o n 〕を掲げ,順次考察することにする。
I l
比較の対象
最初に何をもって比較の対象とすべきかという問題については伝統的接 近方法( t r a d i t i o n a la p p r o a c h )行動的接近方法( b e h a v i o r a la p p r o a c h )お よび後期行動的接近方法( p o s t ‑ b e h a v 旧国la p p r o a c h )の三つのカテゴリー に分けて説明することができる。
第 に伝統的接近方法においては抽象的な外国の政府と官僚制,そのな かでも西欧諸国に見られる議会制度のような 公式的な政治制度 ( f o r m a l p o l i t i c a l i n s t i t u t i
叩s )が比較の主要対象になる。すなわち公式的政府組織 の形式的構造を分析することが統治現象を理解するうえでの基本的方法の ーっとして活用される。∞このような制度的接近方法は統治過程において 公式的政府組織を重要な要素とみなすものであり,長い間統治現象に対す る伝統的認識方法としてとらえられてきた。
第二に行動的接近方法においては先述の公式的制度よりも 政治的行為 者( p o l i t i c a la c t o r s )の行動を分析することに主要関心がょせられた。すな わち行動的研究の主要目標は人聞がどのような理由で政治的な行動をとる のかに関して解明することにあった。また,行動的研究における学者たち の究極的関心はおのおのの固における異なる 行動類型 ( b eha v i o r a l p a t t e r n )に関する一般理論を樹立することにむけられた。
1 9 6 0 年代に入りいわゆる後期行動主義運動が若手の学者たちによって提
唱され,比較政治・行政研究における行動的接近方法の妥当性に関して疑
問を抱くようになった。その結果として第三の後期行動的接近方法が出現
するようになったが,この背景には当時アメリカをはじめとする世界の
国々において混沌とした状況が発生した事実仰がある。一方 後期行動主
義( p o s tb e h a v i o r i s m )に関連して新しい理論および接近方法が続出し
比較政措・行政研究に関する考察 3 た。向
勿論前者の行動的接近方法においては学問分野に科学的原理を導入する ことが強調されたが,後期行動的接近方法においては発展した国々および 発展途上の国々における社会階層聞の公平問題伺および不平等な発展など 規範的な価値∞に関連した主要問題が強調された。
i l l 比較の範囲
次は官僚制をどの範閤内で比較すべきかに関して考察したい。とれに関 しては比較政治・行政研究の学問分野における分析の範閤および方法を巨 視的接近方法〔macro‑approach )微視的接近方法(m i c r oa p p r o a c h 〕およ び中範囲接近方法(m i d d l e ‑ r a n g ea p p r o a c h )の三層に分けて説明すること にする。
第ーに巨視的接近方法は官僚制を総体的に把握しようとする視点に基づ き,構造機能的接近方法(s t r u c t u r a lf u n c t i o n a l a p p r o a c h 〕によって国家 聞における全体としての政治形態(p o l i t y )もしくはシステム変数(system v a r i a b l e s )を比較しようとするものである。
これに関連して G a b r i e lA. Almond は JamesS . Colemanとの共編著 発展途上地域の政治 ( T h e P o l i t i c s of t h e D e v e l o p i n g Areas 〕の序章 で,政治 γ ステムの概念や機能を中枢として比較枠組を提示した。すなわ ち比較政治に対する伝統的な制度的,あるいは構造的接近方法に,機能的 接近方法をおきかえようとする包括的な努力の中で,最も有力な努力は Almond が払ってきた努力であった。仰
しかしながらこのようなシステム概念を最初に政治学の分野に導入した のはD a v i dEaston である。側 D a v i dE a s t o n によって提示されたシ λ テム・
モデルは,政治システムと環境問の関係をあらわしている。ここで政治シ
ステムは投入 ( i n p u t s 〕産出(o u t p u t s 〕そしてフィードパック ( f e e d ‑
back )を通じて環境との関係を継続して維持する。要するにシステム理論
は政治三ノステムを環境との絶え間ない相互作用のなかで,その有機体二存続
を追求していくものと規定している。間
以上のEaston の基本的なシステム概念を土台にして,次の図表にみられ るように G a b r i e lA. Almond はシ旦テムの存続のための必要不可欠な政治 システムの機能(f u n c t i o n a lr e q u i s i t e s 〕を明らかにし,それによって政治 システムの特性を説明しようとした.
政治過程のシステム的視点
転 換 環境に対する産出 徴 収 配 分 規 制 象 徴
環境的結果
*政措システム自体の活動によって誘発されたのでない変化
費料:
G a b d e lA A l m o n d a n d G . B l n g h ' m P o w e l l )• . . C o m p a r a t i v e P o l i t i c " Sy " 四 "
homs, and P a b e y , 2 n d e d ( B o , t o n , M a " ・ l i t t l e , B r n w n a n d C n m p a n y , 1 9 7 8 ) , P I O
Almond のシステム理論はEaston の場合よりもっと具体的に取り扱って いる。すなわち投入過程においては政治社会化およびロクルート(p o l i t i c a l s o c 1 a l i z a t 1 o n and recrmtment )利益の表出(i n t e r e s ta r t 1 c u l a t 1 o n )利益の結 集( i n t e r e s ta g g r e g a t i o n )政治的コミュニケーション(p o l i t i c a lcommuni‑
c a t i o n 〕の機能を遂行する。その一方産出過程においては政治システムは 規 則 制 定 (r u l e ‑making 〕規則適用( r u l e ‑ a p p l i c a t i o n 〕 お よ び 規 則 審 判 ( r u l e a d j u d i c a t i o n )の機能を遂行するのであるが,このような機能はお のおの立法・行政・司法の機能を意味するものである。
このようなAlmond の投入ー産出モテーノレ ( i n p u t ‑ o u t p u tmodel)は基本的
にそれが すべての政治 V ステムに対する分析を比較研究方法によって可
能にし得る理論的構造を初めて構築しようと試みた点 で評価されている
比較陸治・行政研究に関する考察 5 が,その一方で多少の批判もある。 FredW. R i g g s によれば,このモデル は先進政治体系の研究においては有用であると考えられるが,過渡的体系 ( t r a n s i t i o n a l s y s t e m s 〕の分析には不適当であるという。すなわち法規制 定(r u l emaking )を導出することができない投入機能と,場合によっては 実施きれない法規を持っているそのような国家の政策に対しては他のモデ ルが必要であるという。ここで要求されるモデルは 二重モデル 〔 a two‑
t i e r e d model 〕で,それは公式的(f o r m a l 〕な構造と実際的な(e f f e c t i v e ) 構造,つまり理念的に規定されたものと実際に発生するものとの差異を区 別する体系といえる。これが R i g g s がいわゆるプリズム・モデノレ(p r i s ‑ m a t i c model 〕を提唱した理由ともいえよう." "
さらに FredW. R i g g s は比較行政の脈絡(c o n t e x t )のなかで行政の生態 的接近に有用なモデルとして社会の変遷に伴う環境変数と行政行動問の関 係を考察した。すなわち彼は発展途上国を対象とする比較行政研究に生態 的接近方法(e c o l o g i c a la p p r o a c h )を援用 L,農業社会・転移社会〔p r i s m a t i c s o c i e t y 〕・産業社会という環境変数を判別するかたわら,これらの 変数と行政行動聞の関係を明らかにする理論モデルを提示した。間
第二に徴視的接近方法は政治・行政 V ステム l l : おける個人的行為者の行 動的類型に関する研究に焦点をあてている。先述のシステム的接近が macro ー l e v e la p p r o a c h であるとすれば,ここでの行動的接近は m i c r o ‑ l e v e l a p p r o a c h であり,その基礎分析単位は個人である.つまり微視的接 近方法は基本的に人間の内的要素.""特に行動に焦点を合わせており,制 度もしくは行動によって説明が難しい場合には個人の行為を規定している 文化によって説明を可能にする。
しかしながら上述の巨視的および徴視的接近方法はおのおの異なる国々
における実際的研究に関しては多少の問題点を含んでいるといえる。すな
わちこの二つの接近方法においてはおのおの異なる政治的・行政的環境に
おける概念上の変数と土着的状況問の差異および正確な経験的指標の樹立
における混乱性が大きな障害物として登場する。
このような方法論上の混乱性を克服するための一つの代案として提示さ れたものが中範囲接近方法である。この方法は検討可能な最大限の範囲内 で官僚制組織の比較とか,異なる国々における特殊政策の比較のような,
実際的に達成可能な研究をなしとげることが出来るというのである。川こ れまでのところ行政の比較研究に利用できる最も有望な中範囲モデ ルは,
官僚制モデル,つまり MaxWeber によって定式化された官僚制の理念型 に基礎を置き,その後これをかなり大きく修正して作られたそテ ルであ る 。 " "
町発展水準の比較
先に述べた方法論以外に比較政治研究者の闘で常に課題となってきたの は発展( development )に関する問題である。もともと発展の概念規定に 対して合意を得ることは難しいが,ここでは発展過程を単線的接近方法 ( u n i l i n e a r a p p r o a c h )万華鏡的接近方法( k a l e i d o s c o p i ca p p r o a c h )および 二次元的接近方法〔 t w o ‑ d i m e n s i o n a la p p r o a c h 〕の三つに分けて考察する ことにする。
Fred W. R i g g s の場合,発展過程もしくは発展問題を単線的( u n i l i n e a r )
・偏光的( p o l a r i z e d 〕視点と万華鏡的( k a l e i d o s c o p i c )・相対論的( r e l a t i v ‑ i s t i c 〕視点に分けている。ここで前者の視点では共通性すなわち普遍性を 発展もしくは近代化の象徴として捉えており,後者の視点では多様性
〔 d i v e r s i t y 〕すなわちそれぞれの形態がもっ特殊性を強調する。一方
R i g g s のプロズム的( p r i s m a t i c )視点は先の二つの視点を結合して捉えて
いる。つまり特殊性のなかで普遍性を発見できるいろいろな方法を知るこ
とが可能になる.換言すればプロズム的視点はほぼ偏光的視点と万華鏡的
視点の中間的形態を取っているもので,本質的に弁証法的であるが単線的
ではなく,また循環的であるが相対論的ではないという。とりあえず
R i g g s のいわゆるプリズム的社会〔 p r i s m a t i cs o 口 e t y )に対する理論はそも
そもアジ 7 ・アフリカおよび南米における発展もしくは近代化過程を説明
比較政治・行政研究に関する考察
7
するためのものであった。"旬
1 単線的接近方法
この接近方法においては伝統社会から近代社会への前進が単線的進歩で あるという建前から,伝統社会が西欧の政治文化および制度を受け容れる ことによって西欧化もしくは近代化 c m L,近代社会へ移行することがすな わち発展であるとする。
近代化理論は伝統/近代二分法を社会発展の尺度として伝統社会と近代 社会において現れる政治的特色を提示する
0""伝統社会と近代社会が抱え
ている要素に対する考え方は学者によって異なるが,大体において伝統社 会においては帰属的・特殊的・拡散的・感情的行動性向が強し政治的・
社会的分化の程度が微弱であり,伝統的権威が継続して維持できる。これ とは対照的に近代社会においては成就的・普遍的・具体的・打算的行動性 向が強く,政治的分化がよくできており,合理的および法的根拠に基づい た権威が存在する。このような分類に従えば西欧の国々は近代社会に属 L ,アジア・アフリカ・南米の国々はいまだ伝統社会の特色が顕著な社会 である。特にこのような伝統社会はいつかは西欧のような近代社会に発展 することが予測されており,伝統社会が発展をなしとげるためには伝統的 規範および制度を捨てて社会構成員が近代的価値を受容するのが必要であ
るという。附
ど〈初期における近代化理論の特徴は,第ーに単なる理念型的な構成で しかない伝統/近代二分法を現実的な継起や倫理的な理想と混同 L ,欧米 社会を近代性の水準もしくは発展の頂点とみたてた上で,発展的な政治変 動をこの水準や頂点へ向かう進化・進展として概念化する傾向があっ た。剛換言すればこれはもとより後進社会は先進社会が辿ってきた近代化 ないし発展段階を遅かれ早かれ経過してくるに違いないとする想定である。
第二に 1 9 6 0 年代の近代化理論は発展問題の学際的性格を表面的に認めた
にすぎず,特に社会学者と政治学者には非歴史主義の傾向があり,同時に
経済的要因を重要な変数とはみない傾向もあった。
第三に近代化理論は国際社会の 持てる園 と 持たざる国 との極端 に不均衡な富の配分を理解できなかった。つまり近代化理論では西欧先進 工業国と大多数の第三世界新興国との格差の拡大を説明できないのであ
る。削
要するに単線的接近方法を支持する学者たち聞は発展途上の国々が発 展した国々の政治・行政 V ステムを受容することによって発展をもたらす
ことができると主張する。
2.万華鏡的接近方法
この接近方法の主眼点は万華鏡的視点にもとづいた相対論者〔r el a t i v i s t s )の支援のもとに,すべての社会が自己固有の歴史・文化・言語・
宗教および伝統的意味における自己の主体性確立のため努力することにあ る。闘すなわちこの接近方法においては発展はそれぞれの国々が究極的に はおのおの固有の状態に復帰することを意味しており,例えば伝統的生活 様式(t r a d i t i o n a lway o f ・ l i f e )および文化の保存が必要である。
先述の単線的接近方法においては第三世界の国々がなるべく西欧化する のが近代化または発展であるとみなした。これとは対照的に万華鏡的接近 方法においては自己孤立化を通じて第三世界の国々が従属から脱皮 L. ' " ' 自国の力量を培養すること,つまり孤立を手段として統合することが発展 であるとみなしている。
さらに近代化理論に対して,従属理論家たちは第三世界国家の低発展は 歴史的産物であるゆえに 1 6 世紀から発展を始めた西欧資本主義がどのよう な発展過程を経たかに対する分析を強調する。したがって近代化理論家た ちが時間と空間を超越した 普遍的妥当性 をもっ理論を作ろうとしたの に対 L,従属理論家たちは同時的〔s y n c h r o n i c 〕分析ではなく異時的
〔 d i a c h r o n i c )分析に重点を置いている。前者は基本的に第三世界国家が先
進国家の近代化過程をそのまま踏襲することを前提としているが,後者は
比較政治行政研究に関する考察
9
周辺国家が中枢国家の発展を決して模倣することはできないと主張す る。間
端的にいえば従属論者は従来発展研究でほぼ閑却されてきた 世界 と 歴史 の二つの次元に注意を喚起して,既存の発展解釈枠の欠陥を鮮や かに浮き彫りにしてみせた。その効果は外在的な変動因を事実上等閑に付 してきた当該研究領域に刺激を与えたところにあった。そして彼らの典型 的な見解は 第三世界の国々は世界資本主義体制の中で従属的な立場にあ
り,その命運は外部の諸力によって決定づけられている といえる。聞 このように従属論者は発展の論理を見極める上で外部環境の形態形成に 主眼点を置くことにより,ヨーロッパ資本主義の世界的拡大過程と結びつ いた特異な歴史状況の重要性をも強調した。いわゆる中枢部の発展は第三 世界の低発展という犠牲のうえに成り立っており,それゆえ両者は,決し て進化論的な二つの異なる段階ではなくいわば同ーの全体構造の光画と陰 画の関係にある。図式化していえば,従来近代化論者によって伝統/近代 二分法のもとに進化論的尺度上後方に配置されていた第三世界の国々は,
今度は従属論者の手によって中枢/周辺二分法のもとに,全世界的な広が りをもっ不平等関係の枠内で相互に密接に連関しあう同時的ー並行的存在 の一方の側に位置するものとして捉え返されたわけである。つまるとこ ろ,従属論者の枠組にたとえ全面的には賛同しなくとも,第三世界の発展 論議を妥当なものにしようとするならば,ともかくも,従来の分析枠組を 放棄して,発展的変動の外因性の問題に正面から取り組まざるを得なく なってくるのである。間
最近の発展研究の動向をみれば,第ーはリベラル派の動向で,これは合
理的選択モデルに依拠している公共政策分析を第三世界の問題解決に適用
しようとする企てである。すなわち第三世界の各国政府に政策決定能力を
向上させる技術や,政策決定内容を合理化する方法を伝授しようとするも
のである。第二はラディカノレ派の動向で,これは資本主義的生産様式のい
や増す浸透に起因する発展の歪みを告発 L, 従属からの解放 による公
正な社会秩序への変草を唱導する企てて、ある。剛
3 . 二次元的接近方法
この接近方法聞は発展という意味を,異なる発展目標を調和させる過程 として捉えるものである。したがってこの方法は単線的接近方法とは異な り発展が必ずしも西欧的政治・行政 γ ステムの教義を単純に受容するもの であるとは考えていない。またその一方で,システムがこの教義によく同 化できない場合にはシステムのなかに病理現象が拡散する可能性も起こり 得る。言いかえればこの接近方法においては特定の国々が一方で西欧化も しくは近代化を推進しながらも他方では自国固有の伝統を保存する,つま り日本で見られるような 近代化と孤立主義の融合 を図るものといえ る。剛
近代化理論の単線的で目的論的な性格についてはすでに多くの批判がみ られているが,そのなかでも SamuelP . H u n t i n g t 叩の批判は大きな衝撃を 与えた。彼は近代化理論によく見られる単線的発展論に挑戦し,しかも近 代化論者が軽視して来た問題,具体的には近代化過程での秩序の崩壊の問 題を強調した。 H u n t i n g t o n は政治安定を公然、たる紛争がないことと規範的 意味において定義し,政治発展を社会流動化( s o c i a lm o b i l i z a t i o n 〕と政治 参加の緊張を十分に処理し得る制度の成長として捉え,刷発展の概念を政 治組織もしくは行政組織の制度化 ( i n s t i t u t i o n a l i z a t i o n 〕に求めている。
先にふれたように, FredW. R i g g s によれば単線的・偏光的視点は共通
性すなわち普遍性を,万華鏡的・相対論的視点は多様性すなわちそれぞれ
の形態がもっ特殊性をおのおの強調するものであり,さらにプリズム的視
点は特殊性と普遍性の両者の結合を通じ特殊性のなかで普遍性を発見する
ことが可能であるということであった。つまり彼のプリズム的視点は多様
な変化によってあらわれる特殊性と,その影に隠されている共通性すなわ
ち普遍性を追求するものであり,この両者聞における持続的な相互補完に
よってわれわれが現実をより詳しく把握することができるということであ
比較政治・行政研究に関する考察 1 1 る。間
ここでプリズム的接近方法が果たして複雑多岐な現代社会における発展 的変化の原因および結果をよく解明でき得るのかーこの当面の問題に対 して多〈の発展理論家たちは近代化に関連した一つの特性として分化 ( d i f f e r e n t i a t i o n )聞という概念を提示している。この概念は発展過程にお いて未分化の役割および構造が分化された役割および構造に,さらに組織 形態が 機能的に多辺な ( f u n c t i o n a ld i f f u s e )ものから機能的に 特定 な( s p e c i f i c )ものに変化するという意味をもつものであり,またこのよう な発展的変化から普遍性を発見することができるのである。剛
R i g g s はこのような分化の必要性のほかに,もう一つの普遍的特性のあ らわれとして統合 ( i n t e g r a t i o n )の必要性を強調 L ,発展の尺度は分化と 統合というこつの概念にもとづき二次元的接近方法によって説明されなけ ればならないとした. '~'彼によれば発展とは社会が分化しながらも,それ が統合され得る力量を培養するものであるという。剛
もともと F r e dW. R i g g s は彼の著書 A d m i n i s t r a t i o ni n D e v e l o p i n g C o u n t r i e s : The Theory o f P n s m a t i c S o c i e t y , , 〔 1 9 6 4 年)においてプリズム 的社会聞という新しい概念を発展途上国に適用・解釈することによって 初めて比較行政研究における新たな道を切りひらいた。その当時〈発展途 上国=プリズム的社会〉という公式が般化される程プリズム・モデルは 強い説得力を持っていたが,彼は後年 P r i s m a t i cS o c i e t y R e v i s i t e d "
0973 年〕という論文の中で元来のプリズム的社会に対する概念規定を修 正している。
すなわち社会が分化されているが統合がうまくできない場合にプリズム
的現象が現れるものであるとすれば,このような現象は社会が分化されれ
ばされる程もっと現れる可能性が大きいということである。その理由とし
ては社会が分化されればされる程もっと多くの統合力量が要求されるから
である。ちなみにアメリカに見られる都市問題・人種暴動・学生デモ・政
治的無関心およびヒッピー現象などはプリズム的現象のあらわれであり,
したがってアメリカもプリズム的社会,すなわち後述の新プリズム的社会 ( n e o p r i s m a t i c s o c i e t y 〕であることが上の論文に述べられている。同時 に R i g g s のいわゆるプロズム的特徴は,程度の差はあれ,発展した国々に おいても存在しているものといえよう。
次の図表に示されているように第三世界国家のような 統合が欠如して いる分化社会 (mal i n t e g r a t e d d i f f r e n t i a t e d s o c i e t y 〕において見られる 特徴的な状況は 原初的プリズム的 ( o r t h o p r i s m a t i c 〕閣であるといわ れているが,これとは対照的に西欧社会においてみられるプリズム的特徴 は 新プリズム的 ( n e o ‑ p r i s m a t i c 〕であると Riggs は表現している。醐
︵ 司
ω
い
ω H
凶Z
門︶
統合
︵ 官 官 民 忠 臣 非統合 官
︶E
プリズム的類型〔p r i s m a t i ct y p e s )
分化 ( d i f f e r e n t i a t e d )
器包(J~
‑vμri
町n a 勾
出所
F < e d W Rigg•, P , f a m a t i ' Sod"y R•vi;i"d (Mo«i•town, N . J G•nml L e a r n i n g P < e
田,1 9 7 3 )
v おわりに
いわゆる政治シ月テムにおける構成要素ならびにその関連構造聞の比較
といえば,一般的にはシステムを支える正統性原理,政治エロートの構成
比較政治行政研究に関する考察
1 3
とそのリクルートのシステム,政策の形成にかかわる構造・制度および機 構などについて各国の比較を行うのが通常である柵が,本稿においては比 較政治・行政研究の三つの柱として比較の対象・比較の範囲および発展水 準の比較を取り上げ,おのおの方法論的視点から接近方法を中心として考 察してきた。
しかしこの方法論上の議論については必ずしも学者聞に一致した見解は 得られておらず,いまだ未解決のまま残されている。そのなかでも, 発 展 の問題をどのように取り扱うべきかについては, 1 9 6 0 年代以降比較政 治・行政の研究において多くの学者たちの関心を集めてきた。また比較研 究の初期においては後進国が先進国のようになるためにはどのようにすべ きかが主要関心事であったが,現今においては後進国は存在していても,
発展モデルになり得る先進国が存在しないのではないかということが取り ざたされている。
このような傾向は F r e dW. R i g g s がし、わゆる 新プリズム的現象 ( n e o ‑ p r i s m a t i c phenomena )として捉えた如く,アメロカを含む西欧諸国が時 間が経過するにつれて発展途上国の特徴的側面をもつようになるというこ と を 示 唆 し て い る 。 Dwight Waldo も 彼 の 論 文 Toward w o r l d
d e v e l o p m e n t ' ? " 0976 年)のなかで第一・第二および第三世界が発展面に おいて収散の傾向をみせていると指摘している。剛
今までの多くの学者たちの理論もしくはそデノレがすべての現実あるいは 未来に展開される状況にあてはまるわけではないということが明白になっ ているが,それにもかかわらずこれに対処でき得る新しい理論ないしそデ ノレはいまだはっきりと提示されていない。
しかしながら比較政治・行政研究にたずさわっている学者たちはいずれ にせよ現代社会における学究的生活を一層豊かにさせる完成された政治・
行政理論を生み出すことになるであろう。
注 の . .
( I )薮野祐三・砂田一郎共編『比較政治学の理論』〔東京:東海大学出版会, 1 9 叩年〉
p . 2 . ( 2 ) 向上, p . 2 7 .
( 3 ) Jame' A . B i l l a n d R o b e c l L . H a c d g c a v e , J c , , ComParat;ve P o l
山 口TheQ u e r t f o r Theory (Columbu" O h i o
'・Chade,E M e c c i l l P u b l i , h i n g C o , , 1 9 7 3 ) p p . 4 ‑ 5 . ( 4 )例えばアメリカりベトナム参戦および W a t e c g a t e 事件,第三世界において予測でき
なかった変化などがあげられる.
( 5 )例えば d e p e n d e n c yt h e o c y , ' t a t e t h e o c y , n e o ‑ c o c p
町a ti s m など.
( 6 ) F c e d e d c k s 聞のいわゆる
a社会的公平 ( S o c 1 a ¥e q
叫y )は公共サーピスの平等性,行 政官四責任性および市民申要求に対する対応性白確保を意味する[ H .G e o c g e F c e d e n c k s o n , New P u b l i c A d m i n i s t r a t i o n , ( A l a b a m > ' The U n i v e c s i t y o f Alabama P e e
凪1 9 8 0 ) p . 6 参照 L
( 7 ) 1 9 7 0 年代に台頭した後期行動主義( p o s
トb e h a v i o n s m ),特に D a v i dE a s t o n は完全に 行動に焦点を合わせた計量化による学問の科学化は社会科学の分野においては不可 能であり,形市上学的問題( metap h y s i c o l p r n b l e m 〕を考慮に入れない場合社会科学 白価値・機能が大幅に減少すると示唆した。
( s ) Gabde¥ A. Almond , ' I n t r n d u c t i o n ' A F u n c t i o n a l Apprnach t o C o m p a c a t i v e P o l i t i c s i n G a b c i e l A . Almond a n d James S . Coleman ( e d s . ) The P o l i t i c s of D
即e l o p i n gA r e a . < ( P c i n c e t o n ' P n n c e t o n U n i v e c s i t y Pcm, I
日6 0 ) , p p . 3 6 4 ' ( 9 ) E a s t o n のシステム理論は静的な法律および制度よりは動態的な過程に焦点をおくべ
きだと強調している.こ白ため彼は国家( s t a t e 〕という非動態的であり抽象的な概 念を,政治行為( p o l i t i c o ¥a c t i o n )を基本的構成単位とする政治システム( p o l i t i " I s y s t e m 〕 と い う 動 態 的 な 概 念 に 代 置 し た [ R o n a l dH . C h i l c o t e , T h e o r i e s o f Comparative P o l i t i c s c The S e a ' C h f o r a Paradigm ( B o u ¥ d e c , C n ¥ o r n d o ' Westview P c e s s , 1 9 8 1 ) , p p . 1 5 0 ー 1 5 3 容照]。
o~ より具体的な内容は D a v i dE o s t o n , A Framework f o r P o l i t i c a l A n a l y s i ' ( C h i c a g o ' U n i v e c s i t y o f C h i c a g o P e e
且1 9 6 5 ) , p p . 1 1 2 ‑ 1 1 5 参照.
O D F e e d W. R i g g s , Adminutration i n D
即e l o p i n g C o u n t r i e s : The Theory of P r i s m a t i c S o c i e t y ( B o s t o n ' Houghton M i f f l i n Company, 1 9 6 4 ) , p p . 4 5 6 4 5 7 .
ω これを説明するにあたり F e e dW. R i g g s はいわゆるサラ・モデル( s a ¥ am o d e l ) にお けるプリズム的な要素( p c i s m a t i cf a c t o c 〕として貢納的租税( t d b u t a c yt a x a t i o n ) , 封禄的予算( p c e b e n d a c yb u d g e t i n g ),賜与的経費( d o n a t i v ee x p e n d i t m e )
II)概念を 導入している[ F e e dW. R i g g s , A d m i n i r t r a t i o n i n D
即e l o p i n gC o u n t r i e s : The Theory of P r i s m a t i c S o c i e t y ( B o s t o n Houghton M
日f l i nCompany, 1 9 6 4 ) , C h a p . 9
ω 参照]. これに関連して行政行動論は行政に内在する人間的要因に着眼 L,意思決定過程を
核心とする行政行動を中心として行政由本質を究明する理論体系である. H e r b e r t
比較政治行政研究に関する考察 1 5 A . Simon は彼り著書 行政行動論
(A d m i n f r t r a t i v eB e h a v i o r , 1 9 7 6 )三版で 行政 は意思決定過程が中枢になっている という基本的命題に立脚し行政を行動面で把 置した.また彼は D W. S m i t h b u r g および V A . Thomps 叩との共著 行政学
( P u b l i c A d m i n i s t r a t 四 ' ・ 1 9 5 0 )で行政に内包されている心理的過程自分析を行政研 究昭課題にとり上げた.要するに Simon 行政理論の方法は論理的実証主義の科学方 法論と行政科学における社会心理学的方法に集約される[ H e r b e r tA . S i m o n , Admrmstrative S.ha
凹o r :A Study of Dec
悶on‑MakingPro"ss i n A d m i n i s t r a t i o e O r g a n i z a t i o n , 3 r d e d . (New Y o r k : M a c m i l l a n P u b l i s h i n g Company, 1 9 7 6 ) p . m および H e r b e r tA . S i m o n , D o n a l d W. S m i t h b u r g a n d V i c t o r A . Thompson, P u b l i c A d m i n i s t r a t i o n (New Y o r k : K n o p f , 1 9 5 0 ) p . v i ] .
Q~ m i d d l e r a n g e の概念は macro よりは小さいが m i c r o よりは大きい中間概士であり,こ の概念には実際上統計技法あるいはコンピュータ 処理を利用 Lて我々が証明でき るものをみな研究白範囲に含んでいる[ F e r r e lH e a d y , P u b l i c A d m i n i s t r a t i o n : A Comparative P e r s ρ e c t i v e , 3 r d . e d . (New Y o r k : M a r c e l D e k k e r , I n c . , 1 9 8 4 ) , p . 1 4 ] .
Q~ Dwight Waldo は官僚制モデルが有用であると考えるが,彼によればこのそデル由利 点は,こりそデルが 歴史と文化を超える大きな枠組町中に位置づけられ,官僚制 を社会の重要な変数と関連づけながら,同時に官僚制の最も目立った構造的・機能 的特性に注意を集中させている ところにある[ DwightW a l d o , Comparative P u b l i c Adm<mstratwn P r o l o g u e , P r o b l e m s and Prom<Se ( C h o c a g o C o m p a r a t < v e A d m i n i s t r a t i o n G r o u p , American S o c i e t y f o r P u b l i c A d m i n i s t r a t i o n , 1 9 6 4 ) , p . 2 4 ] 0 帥 F r e dW. R i g g s , P r i s m a t i c S o c i e t y R
即i s i t e d ( M o r r i s t o w n , N . ) . : G e n e r a l L e a r n i n g
P r e s s , 1 9 1 3 ) , C h a p t e r I .
仰 近 代 化 と は 1 71 9 世紀に西ヨーロッパと北アメリカで発展し,その後他のヨーロッパ 諸国に広がり, 1 9 ‑ 2 0 世紀に南アメリカ,アジア,アフりカ大陸に及んでいった型。
社 会 ・ 経 済 ・ 政 治 シ ス テ ム に 向 か う 変 動 過 程 で あ る [ S . N . E i s e n s t a d t , M o d e r n i z a t i o n : P r o t e s t and Change ( E n g l e w o o d C l i f f s : P r e n t i c
「H a l l , 1 9 6 6 )
参照].E i s e n s t a d t 田定義はそ白後,すべての近代化論者の研究自前提をなすことに 至った二分法的アプローチ白根幹にふれている.
0~
Andrew C . J a n o s , P o l i t i c s and Paradigms ( S t a n f o r d : S t a n f o r d U n i v e r s i t y P r e s s
』1 9 8 6 ) , p 4 4 .
ω 握明・金容浩,『比較政治学序説』〔全訂版〕(ソウル:法文社, 1 9 9 0 ) ' p p . 3 9 9 ‑ 4 0 0 . 側大木啓介他訳, 比較政治発展論の現況 『政治発展論』(東京:芦書房, 1 9 8 7 ) '
p . 1 9 5 .
~D
R i c h a r d A . H i g g o t t , P o l < t i c a l De υ e l o p m e n t Theory ( L o n d o n . Croom H e l m , 1 9 8 2 ) , C h a p t e r 2
~ Dame! L e r n e r , F r e d W. R i g g s , K a r l Deutch が挙げられる。
仰 F r e dW. R i g g s
』o p . c i t . , C h a p t e r 5
ω すなわち従属から脱皮することが発展の出発であるとみなす白が d e p e n d e n c y
t h e o r y (従属理論〉である.
ω 控明・金容浩,前掲書, p . 4 0 0 . 自
由 大木啓介他訳,前掲書, p . 1 9 7 . 的大木啓介他訳,前掲書, p p . 1 9 8 ‑ 1 9 9 .
側 D .Gold,wmthy , P o l i t i c a l A n a l y ' i ' a n d D e v e l o p m e n t S t u d i e ' , P o l i t i c s , v o l . 1 8 (May 1 9 8 3 ) , p p . 36‑47 参照。
ω 二次元的接近方法には SamuelP . H u n t i n g t o n り t h e o < Yo f i n , t i t u t i o n a h z a h o n およ び F r e d W R i g g
'町田o ‑ p r i s m a t i cm o d e l o f a d m m i s t r a t i v e s y s t e m i n d e v e l o p i n g c o u n t r i e s が古まれる。
帥 日本に見られる例としては,会社を家族主義ないし温情主義にもとづき固有の運営 方式を取り,このような運営り仕方によって近代化にも拍車をかける,ということ が挙げられる。
。 B Samuel P . Huntmgton , P o l山c a l D e v e l o p m e n t a n d P o l i t i c a l Decay ぺ World P o l
山c s , 1 7 ( 3 ) , p p . 386 4 3 0 参照.
また H u n t i n g t o n によれば,二次元的接近方法白一例として,経済発展に対比して社 会流動化が進行すると社会不満( S o c i a l! r u s t
悶t i o n )が多くなり,務動旗会(昇進な ど〉に対比して社会不満が多〈なると政治参加(デそなど〉が激増する.そしてこ 6 つ ような政治参加( p o l i t i c a lp a r t i c i p a t i o n 〕の激増は政治不安( p o l i t i c a li n s t a b i l i t y )を 招く結果となるという.すなわち,
社会流動化
ω 一一一一一一一=社会不満 経済発展
伸一一一一一一=政治容加 社会不満 移動機会
( o )一一一一←ー=政治不安 政治参加 政治制度化
[Samuel P . H u n t i n g t o n , P o l i t i c a l Ord" i n Changing S o c i e t i e s (New H a v e n , C o n n ' Y a l e U n i v e r s i t y P r e s s , 1 9
日8 ) C h a p t e r I参照]
ω 端的にいえば我々は以上回二つの方法りなかの一つの接近方法だけでは総体的な理 解を得ることは難しい.それは個別例的〔> d e o g r a p h i c )な特殊主義者( p a t i c u l
町i s t 〕 は一般論者によって検証されるはずの仮説を設定・提示するという面で必要であ り , 方 般 例 的 分 析 ( n o m o t h e t i ca n a l y s i s )を追求する普遍主義者たちはそれを演 縛的・帰納的に究明 L ,理論を形成することによって現実に適用可能なも唱にし得 る L ,また具体的な状況に対する説明を提供するからである[ F r e dW. R i g g s , o p . c i t . , C h a p t e r
I参照].
側 L u c i a n W. Pye は発展に伴うー速の問題として均等( e q u a h t y )・力量( c a p a c 町〉お よび分化( d i f f e r e n t > a t i o r 古田三つり問題をとりあげている.すなわちジステム内に おいて分化が進行するにつれて多様な政治的ないし行政的役割に対する機能的特性 が増大する。そして分化は知識 D 質および専門化。重要性を強調する[ L u c i a nW.
P y e , As
押c t so f P o l i t i c o / D e v e l o p m e n t ( B o s t o " ' L i t t l e , Brown Company. 1 9 6 6 ) ,
p p . 45‑67 容照].
比較政治行政研究に関する考察 1 7
c w つまり専門化の類型は個別的には異なるが分化申必要性は普遍的であるということ である。
伺 F r e dW. R i g g ,は1 9 6 4 年には,発展申尺度として分化だけをとりあげた一次元的接近 方法〔o n
「d > m e n , i o n a la p p r o a c h )を唱えたが, 1 9 7 3 年に存つては二次元的接近方法
〔 twod i m e n , i o n a l a p p r o a c h )を強調 L ,発展申尺度を分化および統合というこつの 概念を使用 Lて説明するに至った。彼は分化〔d i f f e r e n t i a t i o n 〕と統合 ( i n t e g r a t i o n ) の説明に当たって交響楽園田例をあげている. この楽団に民 L ている演奏者たちは おのお白音楽町旋律を創造する専門家であるにまちがいない.しかし各岩田演奏が 同僚たち白演奏とよく調和銅合〉が保たれた時にはじめてきれいな音楽四旋律が 出る白である [ F r e d W. R > & & ' ・ o p . c i t . , C h a p t e r 1 ] .
自
由 ここで統合され得る力量とは機能的自律性(f u n c t i o n a lautonomy )と機能的調和も しくは調整(f u n c t i o n a lharmony o r c o o r d i n a t i o n )を合わせたもりを意味する。
的 p r i , m a t i c' o c i e t y に対する説明に関しては, F r e dW. R i g g 'の文献以外に H 。 ward
E . McCurdy, PubUc Adm;n;s
Cumming' P u b l i , h i n g Company, I n c . , 1 9 7 7 ) p p . 3 1 3 ‑ 3 1 8 参照。
自
由 R i g g '申プリズム的社会( p r i , m a t i c' o c i e t y )とは犠本的に 外生的原初プりズム的 ( e x o o r t h o p r i > m a t i c )モデルを意味するもりであり,ここで外生的であるという白 は変化。発生が外生的圧力に起因する場合りことをいう.
M Fred W R i g g , , o p . d t . , C h a p t e r 2 自
由 山口定『政治体制』(東京:東京大学出版会, 1 9 8 9 年 ) . p p . 1 4 ‑ 1 5 .
0 U Dwight Waldo ,Toward World ' d e v e l o p m e n t 』 ' " ・ African Admfo;stratwe S t u d f o s
( 1 9 7 6 ) . p p . 9 3 1 0 1
AN ANALYSIS OF VARIOUS STUDIES OF COMPARATIVE POLITICS
AND ADMINISTRATION: SCOPE AND METHODOLOGY
《 Summary 》
Dao Boem S h i n
The optimum method t o p u r s u e t h e c o m p a r a t i v e s t u d y i n p o l i t i c a l s c i e n c e and p u b l i c a d m i m s t r a t i o n , 1 s a p e r s i s t e n t and l o n g t i m e q u e s t i o n , and s t i l l r e m a i n s u n r e s o l v e d . R e c e n t l y , t h i s q u e s t i o n h a s become even more i m p e r a t i v e m t h e s e n o u s and f r e q u e n t c o n t r o v e r s i e s among s c h o l a r s a b o u t t h e s t a t u s o f b o t h d i s c i p l i n e s a s a s c i e n c e .
Drawmg upon t h e c u r r e n t c o n t r o v e r s i e s , an a t t e m p t h a s been made m t h i s p a p e r t o r e v i e w c r i t i c a l l y t h r e e d i m e n s i o n s o f c o m p a r a t i v e p o l i t i c s and a d m i n i s t r a t i o n s : t h e s u b i e c t m a t t e r , t h e s c o p e o f a n a l y s i s , and d e v e l o p m e n t a s a n i n d i c a t o r o f c o m p a r i s o n . Below i s a b r i e f r e v i e w o f t h o s e t h r e e d i m e n s i o n s
A l t h o u g h t h e e v o l u t i o n o f t h e s t u d y o f c o m p a r a t i v e p o l i t i c s and a d m i m s t r a t i o n d o e s n o t l e n d i t s e l f t o s i m p l e c h a r a c t e r i z a t i o n , t h r e e m a j o r d 1 v 1 s i o n s a r e i d e n t i f i e d i n t e r m s o f t h e i r i m p o r t a n t s u b 1 e c t m a t t e r s and method o f a n a l y s i s . They a r e : t r a d i t 1 0 n a l a p p r o a c h , b e h a v i o r a l a p p r o a c h , and p o s t b e h a v i o r a l a p p r o a c h .
The s c o p e and method o f a n a l y s i s i n t h e e v o l u t i o n o f t h o s e t h r e e
b r o a d d 1 v 1 s i o n s o f c o m p a r a t i v e s t u d i e s i n b o t h d i s c i p l i n e s a r e i d e n t i f i e d
t o have e v o l v e d t h r o u g h t h r e e d i f f e r e n t s t a g e s : macro‑m i c r o m i d d l e
r a n g e a p p r o a c h . As i m p l i e d i n t h e a b o v e , m a c r o ‑ l e v e l a n a l y s i s which
t n e d t o compare t h e p o l i t y a s a w h o l e o r s y s t e m v a r i a b l e s between
n a t i o n s was u s u a l l y employed by t h e s t r u c t u r a l f u n c t i o n a l a p p r o a c h .
S t u d i e s on t h e d e v e l o p i n g c o u n t r i e s p i o n e e r e d by mainstream s c h o l a r s
s u c h a s D a v i d E a s t o n , Gabnel Almond, and Fred W. R i g g s b e l o n g t o
比較政措行政研究に関する考察