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岩手医科大学歯学部口腔生化学講座 佐藤 詔子

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Academic year: 2021

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岩医大歯誌 21巻2号 1996

181

特別講演

ヒト顎下腺細胞における上皮増殖因子によるシグ ナル伝達機構について

岩手医科大学歯学部口腔生化学講座 佐藤 詔子

 細胞増殖の調節機構は生体を正常に維持するための 基本的な仕組みの一つであり,近年,培養細胞系を用 いることにより,増殖調節機構の解明が進められてい る。一般に,細胞増殖因子は,それぞれに特異的な細 胞膜レセプターと結合することにより増殖刺激を開始 する。すなわち,増殖因子のシグナルを受けたレセプ ターの活性化に伴い,増殖シグナルが細胞内に存在す るシグナル伝達成分へ,さらに核へと伝えられて遺伝 子の発現やDNA合成を制御する。一方,細胞内在性 ガン遺伝子の多くは細胞増殖因子からのシグナルを核 へ伝える一連のタンパク質群をコードしている。これ らガン遺伝子産物の中にはレセプター様の構造を持っ ており,チロシンキナーゼ活性を示すものもあり,増 殖誘導に重要な役割を果たしているものと考えられ

る。また,核内に存在するガン遺伝子産物は,転写調 節因子として働いており,増殖誘導に伴いその発現が

一

時的に上昇する。従って細胞増殖因子,そのレセプ ターそしてガン遺伝子は細胞情報伝達経路のネット ワークの一員としての役割をもっており,ガン遺伝子 の研究の進展は細胞増殖のシグナル伝達機構を明確に することにっながる。

 当講座の研究テーマの一つはヒト顎下腺細胞におけ る増殖および分化とその調節機構の解析である。ヒト 顎下腺由来細胞株(HSG:human salivary gland ad−

enocarcinoma cell line)はグルココルチコイドによ り細胞増殖が抑制され,分化が誘導される。また,細 胞自身が分泌する高分子量上皮増殖因子(EGF)によ

るオートクリン増殖機構が存在する。今回,EGF刺激 後のEGFレセプター内在性チロシンキナーゼの活性 化,さらにシグナル伝達分子とくにMAP(mitogen−

activated protein)キナーゼ活性を調べるとともに核 内細胞性ガン遺伝子(cプbsやc仇yc)が転写制御に関 与する可能性にっいてこれまで得られた知見を紹介し

た。

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