奈良教育大学学術リポジトリNEAR
経済の低成長期における日本の小売業地域構造とそ の変化
著者 根田 克彦
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 41
号 1
ページ 23‑37
発行年 1992‑11‑25
その他のタイトル The Changing Spatial Pattern of Retailing Structure in Japan
URL http://hdl.handle.net/10105/1746
経済の低成長期における日本の小売業地域構造とその変化
根 田 克 彦 (奈良教育大学地理学教室)
(平成4年4月30日受理)
I は じ め に
小売業の地域構造に関する研究は、地理学において主要なテーマの一つであり、現在までに膨 大な数の研究蓄積がある。特に、 1950年代以降、都市の立地理論として考案された中心地理論 が小売業の分布を説明する理論的枠組として導入されて以来、この種の研究は隆盛を極めた。中 心地理論では、地域構造が中心地間の階層構造として把握される。小売業活動を中心地機能、都 市を中心地とみなすことにより、国家・地方レベルでの都市間階層構造が解明され(i)、また、小 売業の集積地である小売商業地を中心地とみなすことにより、都市圏・都市内レベルでの小売商 業地間階層構造が解明されるのである(2)。さらに、都市内レベルの研究では、小売商業地には中 心地理論に適合するものとしないものとがあることが明らかにされ、中心地理論と小売商業地類 型化研究とが統合された(3)。
上述のように、中心地理論が小売業の地理学の研究を充実させたことは確かであるが、一方で、
小売業の立地は中心地理論の枠組のみでは把握できず、小売業の組織・企業形態なども視座にい れる必要性が指摘されている(4)。また、従来高次中心機能とみなされてきた機能が、近年孤立立 地するようになり、中心地理論が現在の小売業.サービス業の立地理論として妥当しなくなって
きているとの指摘がある(5)。さらに、北アメリカの大都市圏では郊外に都心に匹敵する規模と高 次機能が立地するショッピングセンターが建設され、都心を階層的頂点とする単核構造から多核 構造へ変化していることが多数の研究により指摘されており(67、これは中心地理論の枠組のみで は現実の小売構造を説明できなくなっていることを示すものであろう。しかしながら、大都市圏 の小売業地域構造は現在でも階層構造が妥当するとの指摘もある(7)。
上記のような批判もあるが、中心地理論は、いまだ価値ある理論であることは疑問の余地はな い。しかしながら、一方で中心地理論は小売業の研究にある種の制約を与えたことは否めない。
第1に、中心地理論では、中心地に立地する中心機能の業種別の到達範囲に広狭の違いがあり、
それが中心地の階層と規模と草決定するとの考えに立脚する。そのため、中心地理論を理論的枠 組みとする研究では、小売業の業種以外の特徴が無視されることが挙げられる。現実の消費者買 物行動に影響を与えると考えられる、価格、店舗のイメージなどが、中心地理論の枠組では考察 できないのである(8)。近年、マ‑ケティング地理学では小売業の立地を決定する主体である小売 企業の立地展開などを分析する必要性が提唱されているが(9)、それらの研究では、個々の小売企 業の立地展開が主要対象で、小売業の地域構造を把握するには至っていない。
第2に、中心地理論によると、中心地間の規模・機能の違いは、立地する中心機能の種類と、
集積量の違いのみにより説明される。そのため、個々の中心地を取り巻く自然・経済環境の個性
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根 田 克 彦記述的分析は行われない。また、中心地内における中心機能、すなわち小売業間の相互作用(例 えば小売競合・補完など)を考察することはできない。 COhen and Lewis (1967)は、小売業 の研究において、個々の小売商業地環境のユニークな特徴が無視されてきたことを指摘してい
る(10)。
第3に、中心地理論は研究対象の単位地区と研究地域の範囲に限定を与えることが挙げられる。
買物は一般に消費者が小売店を訪れることにより達成されるので、中心地の階層構造は、中心地 間を消費者が移動することにより形成される.消費者の買物パターンは商品の種類により異なり、
消費者が近隣で入手しようとする商品を販売する店舗は、分散して分布する低次中心地に立地し、
遠方まで買物に行くことを厭わないような商品を販売する店舗は、少数の高次*心地に偏在して 立地する。従って、中心地理論の枠組では消費者の移動により形成される地域レベル以下を分析 対象として、単位地区間の階層構造は説明できるが、消費者の移動範囲を超える大きさの県・国 を単位地区とする地域構造は説明できない。分析スケールでいうと、中心地理論はメソスケール 以下の研究に適用できるが、それ以上のマクロスケールの研究には別の理論が必要となろうO
県・国レベルの小売業の地域的特色を考察する研究は、商業学において盛んである。商業学で は、小売企業・小売事業所間の相互作用、その環境諸要因との相互作用から成立する集合の動態 が、小売業構造と理解される(1】)。各地区の小売業構造は、基本的にその地区の内在的要因によっ て生じるものと考えられ、小売業の地域構造はその地域的差異として把握される。従って、この 種の研究では、分析の単位地区として、地区問の相互作用である消費者の移動による地域的差異 が生じない程度の範囲をもつもの(都市、県以上)が望ましい。
商業学における小売業構造の研究として、第1に、小売業構造を規定する環境、小売構造およ びそれらによって規定される小売業経営の成果である小売業生産性の地域的差異を考察する研究 がある(1功。それらの研究の主目的は、小売業の生産性を規定する要因を特定することであるが、
地域的差異に着目した研究として、社会指標により類型化された都道府県のグループにより、小 売業店舗数や生産性を規定する要因が異なることを指摘した清水(1982)や(13)、店舗密度の規定 要因について全国と北海道とを比較した住谷(1988)の研究がある(14)。
第2に、小売業構造の地域的差異を主目的とする研究がある。この種の研究として、特定都市 や都道府県の小売業構造を考察する研究は多いが、ここでは、日本全国を対象として小売業の地 域構造の地域差を考察した研究に的を絞る。荒川(1962)は、都道府県別に業種構成、店舗密度 などの小売業構造を分析して、都市的地域と農村的地域の対比とその変化を考察し、その格差は 小売業構造の発展段階による違いであると指摘している(is)。すなわち、大部分の都道府県は、ま ず、食料品店の充実、次いで衣料品店の充実、最後にその他小売業充実という発展パターンを示 すのだが、例外も多い。荒川の分析時点において、北海道・東北・北関東・九州の地区は食料品 店が充実しており、これらの地区の小売業構造の後進性を示している。一方、東京・近畿の地区 は、食料品店が減少しており、先進地域としての特徴を持っのである。さらに、近年では懸田 (1987; 1989)が、業種構成、規模などの小売構造を変数とするクラスター分析により都道府県 を類型化して、その1968年以降の変化を考察した(16)。その結果、食料品比率と単独店比率が高 い東北・九州の地区と、経営規模が大きく大型店シェアも高い大都市が所在する地区との対比が 明らかになった。本研究では、懸田の研究と方法論的に類似するが、懸田がそれほど触れなかっ た小売業構造を表す指標の分布の変化と、その変化の様相に焦点を当てて、近年における日本の 小売業の地域構造の変化を考察することを目的とする。
小売業構造を分析する際に、分析単位の設定と、指標の選定が問題となる。本研究では、地区 間で消費者の移動が少ないと見なせる都道府県を単位地区とする。次に、指標は、以下の過程に より選定した。
日本の小売業の特徴は、欧米に比べると零細性、過多性および生業性、さらにそれによる低生 産性にあるといわれる。この特徴は、日本における経済の高度成長期の市場スラックと零細小売 業を存続させた制度によるところが大きいとの指摘がある(17)。その説によると、高度成長期の個 人消費の増加と大規模小売店の増加を抑制する政策が、本来競争により淘汰されるべき生産性が 低い零細・生業的小売業を生きながらえさせ、それが小売業機構の効率化を妨げ、低生産性を維 持したのである。本研究では、我が国小売業の低生産性の特徴と目される指標を選定し、その都 道府県別地域差を考察したい。そのため、指標として、零細性、過多性、生業性、生産性、大規 模小売店の割合および個人消費のレベルの程度を表す指標を選定する。具体的には、零細性を表 す指標として、従業者数1 ・ 2大規模小売業店舗数率(これを零細店率と呼ぶ。以下同様)、生 業性を表す指標として常時雇用従業者のない個人商店店舗率(生業店率)、過多性の程度を表す 指標として店舗密度、大規模小売店のシェアを示す指標として売場面積500 nf以上の店舗の販売 額が全小売業のそれに占める割合(大型店率)、生産性の指標として従業者当りの年間販売額 (労働生産性)、個人消費を表す指標として人口1人当り年間販売額を選んだ。
変化指数
1974 ′76 ‑79 ′82 '85 ‑88
sss
第1図 小売業の店舗数と従業者数の変化 資料:商業統計
1974 '76 ′79 '82 '85 ′88
年次 第2匿l 小売業各指標の変化
資料:商業統計
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梶 田 ft. r*ところで、第1図によると、日本の小売業店舗数は、経済の低成長期が始まった1974年以降 でも増加を続け、それが減少したのは1982年以降である。一方、従業者数は1982‑85年の一 時期を除くと一貫して増加しており(18)、逆に、従業者数1 ・ 2人の零細店舗は1982年までは僅 かながら増加していたが、 1982年以降急激に減少している 1982年以降の小売業店舗数の減少 は、零細店舗の減少によるところが大きい(19)。
また、上記の指標の変化を示した第2図によると、 1人当り販売街と労働生産性は、 1974年 以降急激に増加しているが、 1982年以降その増加幅が若干減少している。また、零細店率と生 業店率は一貫して減少しているが、特に1982年以降の減少幅が大きい.これらのことにより、
1982年までは零細店・生業店の減少幅が小さく、それらは急上昇を示す個人消費の増加と、大 型店の普及度が低かったことにより支えられてきたといえる。以上により、日本の小売業構造は、
1982年を境にして、大幅な変化を遂げたことが分かる。そこで、本研究では、経済の低成長期 の初期である1976年以降1982年を境にして1988年現在まで、日本の小売業地域構造がいかに 変化してきたかを考察することとする。
Ⅱ 小売業地域構造とその変化 1.各指標の平均値と変動係数の変化
1976年と1982年、さらに1988年現在の各指標の平均値とその変動係数の変化を示したのが 第1表である。零細店率、生業店率の平均値は、 1982年までの減少幅が小さいが、 1982年以降 急滅しているo店舗密度の平均値は1976‑82年間は微増しているが、それ以降減少しており、
1988年の値は1976年のそれより低下している。一方、それらの変動係数は、特に1982年以降 増加傾向にあり、この期間にそれらの地域格差が拡大したことを示している。 1976年以降、全 ての都道府県で零細店率と生業店率が減少しており、この期間、特に、 1982年以降全国的に零
第1表 平均値と変動係数の変化
指 標 名 1 9 76 年 19 8 2 年 19 8 8 年
零 細 店 率 (% ) 3 .9 7 6 1 .8 4 5 5 .9 1
0 .0 7 0 .0 7 0 .0 8
生 業 店 率 (% ) 6 6 .6 4 6 1 .4 7 4 5 .2 2 0 .0 9 0 .1 0 0 .1 6
店 舗 密 度 (千 人 当 り ) 1 5 .4 3 1 5 .6 7 1 4 .4 1 0 .1 3 0 .1 3 0 .14
大 型 店 率 (% ) 18 .6 4 2 1 .2 5 2 1 .5 3
0 .2 4 0 .1 8 0 .1 7
労 働 生 産 性 ( 千 万 円 ) 0 .9 2 1 .3 7 1 .5 5 0 .1 2 0 .1 1 0 .1 2
1 人 当 り 販 売 萄 ( 万 円 ) 4 6 .38 7 5 .18 8 8 .3 9 0 .1 3 0 .1 1 0 .1 2
上段:平均値 下段:変動係数 資料:商業統計表
細性、生業性の特徴は低下したが、その減 少幅が地域により異なっているといえよう。
次に、大型店率の平均値は、 1976‑82年 間は急増しているが、その後微増する程度 であり、労働生産性、 1人当り販売額の平 均値は一貫して増加している。また、変動 係数は労働生産性と1人当り販売額でほと
んど変化していないが、大型店率の値は急 減しており、この期間に大型店の全国的展 開が進展して地域格差が縮小したことを示 している。以上により、 1982年までは全 国的に大型店の全国的普及は進んだとはい え、零細店率、生業店率の減少幅は僅かで あり、店舗密度も増加していた。その後、
1982年以降、零細店・生業店の減少幅が 全国的に大きくなり、店舗密度も減少した が、その減少幅が大きい地域とそれが小さ
い地域の格差が拡大したのである。一方、全期間を通じて、労働生産性と1人当り販売額の平均 値は全国的に増加したが、その地域間格差はほとんど変化しなかった。零細店、生業店の減少と 労働生産性の増加を小売業の効率化と呼称すると、 1982年以降、全国的に小売業の効率化が進 展したが、その効率化の程度は、地域により格差があったといえよう。
次に、 1976年、 1982年および1988年の各指標の分布を示したのが、第3図である。
零細店率の分布をみると、 1976年で最大の値を示すのは沖縄県(零細店率82.2%)で、次い で、鹿児島県、徳島県、高知県、和歌山県、愛媛県である。逆に、それが低値を示すのは北海道 (零細店率50.9%)で、次いで、関東地方の神奈川県、東京都、埼玉県である。一般に、北海道 を除くと関東を中心として外縁部になるにつれて零細店率は高まる傾向にあり、特に紀伊半島か ら沖縄に至る太平洋岸の地域で高い。この傾向は、 1982年や1988年でも同様である。なお、
1982年以降宮城県が東北地方で唯一平均以下の零細店率を示しているが、これは新幹線開通に ともない、仙台市に従業者規模が比較的大きいチェーン店の集積が高まったためであろう(20)。
生業店率の割合が最も高いのは1976年では沖縄県であり、最も低いのは北海道と東京都であ る。分布傾向は零細店率と類似しており、本州中心部で高く、外縁部で低い傾向にある。しかし、
本州でも富山県から和歌山県に至る一帯に生業店率の高い県が連なっている。 1988年になると、
千葉県から愛知県まで生業店率が低い県が連なり、 1976年より本州恥L、部で低く、縁辺部で高 い分布傾向が鮮明になる。なお、零細店率と同様に、宮城県の生業店率の値は、 1982年以降平 均以下になっている。
店舗密度の分布も、上記と同様に、全年次を通じて北海道を除くと関東を中心とする地域で低 く、縁辺になるに従い高まる傾向にあり、その特徴は強まっている。特に、全年次を通じて、東 京縁辺の埼玉県、千葉県および神奈川県の値は著しく低い。
一方、大型店率と労働生産性の分布は、上記3指標と逆の傾向にある。すなわち、全年次を通 じて、北海道を除くと縁辺部で低い傾向にあるが、特に、四国・九州で低い。この傾向は1988 年には、一層明瞭になっている。
最後に、 1人当り販売額の分布も大型店率、労働生産性と同様の傾向を示すが、東京都と大阪 府、京都府の周辺地域では、平均より低いレベルを示す。このことは、これらの地区の住民が上 記の大都市に買物を依存していることを示すものであり、大都市圏内では消費者の移動による小 売業地域構造への影響が無視できない。
2.都道府県の類型化
前節で、各指標の分布を個々に検討したが、それのみでは日本全体の小売業地域構造の特徴が 不明瞭である。そこで、上記指標を各年次ごとに標準化した値をデータとして、ワード法クラス ター分析により、類似する特徴を示す都道府県を類型化して、各年次における日本の小売業地域 構造を検討する。クラスター間距離の増大量が2番目に大きい結合段階で類型化を行った結果(21)、
1976年では4類型、 1982・88年では、それぞれ3類型が得られた。各クラスターの分布は第4 図に、各クラスターの指標別平均値と標準偏差は第2表に示した。
1976年で得られた4類型の内、最大の地区数を有する頬型はA類型である。この類型の各指 標の平均値を1976年の他の類型と比較すると、零細店率、生業店率および店舗密度がB類型に 次ぐ高値を示し、また、大型店率は最低である。これらの類型に属する地区は全国に広く分布し ている。次ぎに、 B類型は、零細店率、生業倍率および店舗密度の平均値が最大であり、労働生
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根 田 克 彦第3図 各指標の分布とその変化 資料:商業統計
産性と1人当り販売額は最低である。 B類型に属する地区は、山梨県、奈良県、和歌山県、およ び香川県を除く四国3県、さらに鹿児島県、沖縄県である。・C類型は大型店率、労働生産性、 1 人当り販売額がD類型に次ぐ高値を示し、零細店率、生業店率および店舗密度がD類型に次い で低い。これらの地区は、愛知県、大阪府、京都府などの大都市や、宮城県、広島県などの広域 中心都市が所在する県および東京都に隣接する地区である。最後に、 D類型は北海道と東京都の みからなり、大型店率、労働生産性、 1人当り販売覇の平均値が最大で、零細店率、生業店率お
■書x+2s一 匡習芳+S‑芳十2s ト音+s Eヨ芳一S〜貢 Eコ晋‑2s一文IS □ ‑芳一Zs
第3囲(続き)各指標の分布とその変化 資料:商業統計
よび店舗密度が最低である。零細店率、生業店率、店舗密度が低いほど、かつ労働生産性と1人 当り販売額が高いほど小売業の効率化が進展しているとみなすと、各類型の効率化の進展度は、
D、 C、 A、 Bの順になる。
1982年では3類型が得られ、その中でE類型は構成地区数が最大で、 1982年の他の2類型と 比べると、大型店率の平均が最低を示す他は、いずれもF類型とG類型の中間の値を示す.次 ぎに、 F類型は、零細店率、生業店率、店舗密度が3類型の中で最大を示し、労働生産性、 1人 当り販売額の平均値が最低である。 F類型は、奈良県、和歌山県、徳島県、高知県、鹿児島県お よび沖縄県のみである。最後に、 G類型は、零細店率、生業店率、店舗密度が最低で、大型店率、
労働生産性、 1人当り販売額が最大である。 G類型の地区は、北海道と関東地方にのみ分布する。
1982年の各類型を小売業の効率化の高い順に並べると、 G、 E、 Fとなる。
1988年の3類型の内、 H類型の地区数が最大であり、 1988年の他の類型と比較すると、いず れの指標の平均値も中間の値を示す。 I類型は零細店率、生業店率、店舗密度が最大で、逆に、
大型店率、労働生産性、 1人当り販売額が最低である。この類型の地区は、和歌山県、徳島県、
高知県および鹿児島県のみである。最後に、 J類型の平均値は、零細店率、生業店率、店舗密度 で最低を示し、大型店率、労働生産性、 1人当り販売額が最大である。この類型に属する地区は 北海道、愛知県、大阪府と、関東地方の諸都県である。小売業の効率化の程度は、 J、 H、 Iの僧
にr笥い。
以上により、日本の小売業の地域構造の変化は、以下のようにまとめられる 1976年におい て、東京都と北海道のみが極端に零細店率、生業店率、店舗密度が低く、大型店率、労働生産性
と1人当り販売額が最大であった。この当時、この2地区が小売業構造の効率化が最も進展して おり、その点について突出していたといえる(22)。次いで、小売業の効率化が進展していた地区は、
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恨 m & <%第4図 各年次の都道府県の類型化
第2表 各類型の平均値と標準偏差
類 型 1 9 7 6 年 19 8 2 年 1 9 8 8 年
指 標 A D E F G H I J
零 細 店 率 ( % ) 6 3 .E 7 1 .14 6 1 .0 6 5 2 .7 9 6 1 .5 9 3.1 1 54 i 55 .9 1 6 4 .8 1 4 9 .5 9
1 .7 5 4 .4 9 2 .8 7 1 .7 7 4 .3 4 3 .23 1 .9 6 3 .4 6 3 .5 4
生 業 店 率 ( % ) 6 7 .4 0 74 .50 6 2 .0 4 5 0 .7 1 6 1 .6 9 6 9 .88 4 9 .8 3 4 5 .8 3 5 7 .19 3 3 .6 3 2 .83 2 .54 4 .6 2 1 .7 4 3 .2 0 2 .48 4 .76 3 .9 0 3 .5 2 4 .E 店 舗 密 度 1 5 .93 4 7 .3 2 13 .4 2 12 .4 4 1 5 .8 6 1 8 .0 2 1 1 .6 3 14 .6 4 17 .3 8 1 1 .1 5
( 千 人 当 り) O .s 2 .0 4 1 .6 0 0 .7 1 1 .0 9 2 .4 3 1 .2 1 1 .2 0 0 .8 4 1 .48 大 型 店 率 ( % ) 16 .58 17 .2 6 2 3 .18 2 5 .9 2 2 0 .4 5 2 0 .63 27 .8 1 2 0 .4 3 2 0 .3 9 2 7 .8 2 2 .59 3 .3 0 2 .8 9 7 .3 8 2 .94 3 .76 3 .5 4 2 .3 9 1 .9 8 3 .70
労 働 生 産 性 O .」 O .」 1 .0 4 1 .2 2 1 .3 7 1 .1 7 1 .6 5 1 .5 3 1 .2 8 1 .8 5
(千 万 円 ) 0 .0 5 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 2 0 .1 0 0 .1 1 0 .10 0 12 0 .1 1 0 .1 2
1 人 当 り販 売 朝 4 6 .3 9 3 8 .9 6 3 .5 0 6 4 .2 8 7 6 .2 6 63 .3 1 8 1 .6 2 3 .2 0 7 5 .8 6 98 .26 ( .'j p t 3 .0 3 3 .8 4 4 .2 6 1 .4 2 4 .56 8 .0 5 15 .9 9 6 .5 3 8 .7 9 14 .96
都 道 府 県 数 2 6 1 1 3 6 3 5
上段:平均値 下段:標準偏差
広域中心都市や大都市が所在している府県であった。これが、 1982年になると、北海道と関東 地方の都県の小売業の効率化が突出して、他の府県との格差が拡大した。そのため、 1976年で は異なる小売業構造を示していた広域中心都市・大都市が所在する府県と、それ以外の県との間 で、小売業効率化に関する特徴の差が減少して、それらが同一類型としてまとめられたのである。
さらに、 1988年になると、最も小売業構造の効率化が進展している類型として、 1982年の北海 道と関東地方の都県に、愛知県と大阪府とがまとめられた。小売業の効率化の程度は、まず首都 圏で進展し、次いで、わが国の3大都市圏の中心である大阪府、愛知県でも進んだといえる。
なお、どの年次でも、紀伊半島から鹿児島・沖縄県に至る太平洋岸一帯では、最も小売業の効 率化の程度が遅れている類型としてまとめられた。これらの頬型は、 1976年と1982年では大型 店の割合が高かったが、 1988年にはそれが最低となった。この特徴を示す類型はどの年次でも 抽出できたが、その構成地区数は年々減少している。
Ⅲ 小売業構造の変化の様相 1.各指標の変化率の相関分析
前章において1976年、 1982年および1988年の小売業の地域構造をそれぞれ比較した。本章 では、各年次の地域構造がいかにして形成されてきたか、その動態を考察する。そのために各指 標の都道府県別変化率を、 1976‑82年間、 1982‑ 年間でそれぞれ求め、それらの指標間の 相関分析を行った。それにより、各指標の変化にいかなる関係があるのかを分析する。
1976‑82年間における各指標別変化率の相関係数を示したのが、第3表である。 5%水準で 有意の関係を示すペアは、大型店率と労働生産性、大型店率と1人当り販売額および労働生産性 と1人当り販売額のみで、いずれも正の値を示す。この内、労働生産性と1人当り販売額との間
第3表 各指標変化率の間の相関係数(1976‑82年)
零細店率 生業店率 店舗密度 大型店率 労働生産性1人当り販売戟 零細店率
生業店率 店舗密度 大型店率 労働生産性
1人当り販売額
零細店率 生業店率 1,'i舗密硬 大型店率 労働生産性
1人当り販売覇
1.00 0.27 0.05 ‑0.07 ‑0.15 ‑0.27 1.00 0.08 ‑0.04 ‑0.22 ‑0.09 1.00 ‑0.23 ‑0.23 0.04 1.00 0.32 * 0.34 *
1.00 0.82 * 1.00
* 5%水準で有意 第4表 各指標変化率の間の相関係数(1982‑88年)
零細店率 生業店率 店舗密度 大型店率 労働生産性1人当り販売萄
1.00 0.70 * .63* ‑0.10 ‑0.2 ‑0.44 * 1.00 0.29 * 0.21 ‑0.24 ‑0.28
1.00 ‑0.01 ‑0.45 * ‑0.36*
1.00 ‑0.21 ‑0.2 1.00 0.85 *
1.00
* 5 %水準で有意
32
根 田 克 彦の相関が最大である(相関係数0.82)。この期間これらの指標はいずれも増加していたので、こ の結果は、大型店の立地がその地域の小売業の効率化を促す核となったことを示すものであろう。
1982‑ 年間における各指標間の相関係数を示した第4表によると、零細店率と生業店率、
零細店率と店舗密度、生業店率と店舗密度、労働生産性と1人当り販売額のペアが、 5%水準 で有為な正の相関を示す。逆に、零細店率と1人当り販売額、店舗密度と労働生産性、店舗密度 と1人当り販売額のペアが有為な負の相関を示している。前の期間と同様に最大の相関を示すペ アは、労働生産性と1人当り販売額である(相関係数0.85)。この期間に零細店率、生業店率お よび店舗密度はいずれも減少し、労働生産性と1人当り販売額は増加した。このことから、零細 店率が減少した地区では生業店率や店舗密度も減少し、それらの減少幅が大きい地区で、労働生 産性と1人当り販売頃の増加幅が大きかったといえよう。すなわち、 1982‑88年間においては、
零細店、生業店の減少が店舗密度の低下を促し、それが小売業の効率化を促進するという関係が 明瞭になったのである。なお、この期間において、大型店の変化率はどの指標とも有為な相関を 示していない1982年以降、小売業の効率化に大型店が貢献する程度が減少し、替わって、近 年増加が著しい大企業の支店の増加により、小売業の効率化が進展したといえるかもしれない。
これには、 1980年代前半の全国的な大型店の出店規制による影響が大きいと考えられる。
2.各指標の変化率の類型化
1976‑82年間と、 1982‑88年間における各指標の変化率を標準化した値に、ワード法クラ スター分析を施し、類似する変動を示す都道府
県を類型化した。その結果、 1976‑82年間で は5類型、 1982‑88年間では4類型が得られ た。各指標の分布を第5図に、類型ごとの平均 値と標準偏差を第5表に示した。
1976‑82年間で得られた類型の内、 A類型 は、 1人当り販売額の増加幅の平均が最少であ るが、零細店率と生業店率の減少幅の平均が大 きい。 A類型の地区は、広域中心都市や大都 市が所定する道府県が主体である。次に、 B類 型は、労働生産性の伸びが類型中最低であるが、
零細店率と生業店率の低下幅は比較的大きく、
大型店率の伸び幅が最大である。この類型の地 区は東北地方と、岐阜県、三重県、岡山県、広 島県および沖縄県である。 C類型は零細店率と 生業店率、および大型店率の減少幅が最低で、
店舗密度の増加幅が最大である。この類型は最 も小売業の効率化が進展しなかった類型と考え られ、これらは既に小売業の効率化が最も進ん でいたといえる東京都、大阪府に、前章におい て小売業の効率化が最も遅れている類型として 抽出された紀伊半島から九州に至る太平洋岸の
四A 田B E∃F [ヨG [∃C [コD コh Hi
原図E
第5図 変化率をデータとする都道府県の類型化
地区である。 D類型は労働生産性の伸びが最大で、大型店率と1人当り販売額の伸びも高いが、
零細店率と生業店率の減少幅が比較的小さい。 D類型の地区は青森県と九州・四国地方の県、さ らに、本州の日本海側の地区である。 E類型は零細店率と生業店率の減少幅が最大で、 1人当り 販売額の伸びが最大、労働生産性の伸びも大きい。この類型の地区は、石川県を除くと関東から 九州にかけての太平洋岸に分布する。以上、 1976‑82年間の小売業構造の変化をまとめると、
どの類型でも小売業の効率化が程度の差はあれ進展しており、効率化の進展度が最も高い類型は、
EとD類型とみなせる。しかしながら、変化の様相は複雑で、一概に小売業の効率化の進展度 により類型を順位づけることは困難である。
1982‑88年間において得られた4類型の内、 F類型は店舗密度の減少幅が他の類型と比べる と最低であり、零細店率と生業店率の減少幅も小さい。また、労働生産性と1人当り販売額の増 加率は最低である。この時期において、最も小売業の効率化が進展しなかった類型と考えられる。
F類型の地区は、わが国の縁辺部に広く分布する。次に、 G類型は大型店率の増加幅が最大であ るが、零細店率と生業店率の減少幅が最低である。この類型の地区は、富山県、島根県、徳島県 および沖縄県である。 H類型は、大型店率がこの時間で唯一減少しているが、その他の指標の 平均値の変化をみると、小売業の効率化がI類型に次いで進んだ類型と考えられる。この類型の 地区は、本州の中心部に広く分布する。最後に、 I類型は最も小売業の効率化が進展した類型で、
それらは、首都圏と京阪神大都市圏で、近年人口増加が著しい郊外の地区である。
以上をまとめると、 1976‑82年間では、小売業構造の変化の地域的様相が複雑であるが、
1982‑88年間では、東京・京阪神大都市圏の地区と、それ以外の地域との間に小売業の効率化 の進展度に関して、地域格差が明らかに生じたといえる。
第5衰 変化率をデータとする各類型の平均値と標準偏差
類 型 19 7 6 ‑ 8 2fl E 1 9 8 2 一 8 8 年
指 標 A D H
零 細 店 率 変 化 率 一 3 .2 2 ‑ 3 .6 3 ‑ 2 .8 2 一 2 .9 1 ‑ 3 .9 5 8 .4 5 】 7 .8 3 ‑ 9 ー ‑ 1 3 .3 2 ( % ) 1 .3 8 0 .6 0 1 .4 6 0 .9 9 0 .9 5 1 ▼19 1 .0 5 1 .1 6 1 .1 3 生 業 店 率 変 化 率 ‑ 8 .2 0 一 7 .3 9 ‑ 6 .7 6 ‑ 7 .2 8 ー 9 .17 ‑ 2 3 .6 8 ‑ 2 0 .0 1 ‑ 2 9 .3 6 一 3 0 .S
L V 0 .7 4 0 .8 0 1 .2 0 0 .8 5 0 .3 9 3 .8 2 3 .9 7 4 .9 3 5 .6
店 舗 密 度 変 化 率 1 .5 0 2 .14 5 .4 2 0 .2 1 0 .6 7 6 .7 7 ー 8 .4 0 ‑ 8 .3 6 ‑ l l .3 9
( % ) 1 .7 4 2 .2 9 0 i 2 .7 0 1 .6 3 1 .4 0 3 .C 1 .2 1 0 .7 9
大 型 店 率 変 化 率 4 .4 9 2 6 .4 5 2 .9 7 23 .5 8 19 .9 1 2 .4 9 1 7 .7 1 ‑ 1 、6 3
( lV 5 .5 9 7 .9 2 9 .0 2 8 .0 5 7 .0 5 4 .7 5 6 .4 6 2 .0 2
労 働 生 産 性 4 5 .4 6 44 .15 4 6 .4 6 5 5 .0 4 5 4 .1 2 8 .9 5 1 4 .3 0 1 4 .9 3 16 .2 1
変 化 率 ( % ) 3 .1 0 4 .6 2 3 .3 2 3 .2 4 .0 1 2 .4 2 1 .5 7 3 .1 3 3 .7 9
1 人 当 り 販 売 額 5 6 .8 2 58 .6 0 6 2 .9 0 6 6 .5 0 6 7 .8 7 1 2 .5 7 1 7 .6 5 1 9 .88 23 .7 8
変 化 率 ( % ) 2 .4 5 3 .13 3 .3 7 3 .6 8 4 .2 4 2 .4 2 1 .9 0 4 .2 2 4 .4 1
都 道 府 県 数 1 2 1 3 17 2 0
上段:平均値 下段:標準偏差
34 根 田 克 彦
Ⅳ ま と め
本研究では、都道府県を単位地区として、経済の低成長期における日本の小売業地域構造の変 化を考察した。結果は、以下にまとめられる。
①我が国の小売業の特徴は、欧米諸国と比較すると零細性、過多性および生業性と、それによ る低生産性にあるといわれているが、 1976年以降日本全体で、零細店の減少が著しく進み、そ の特徴は希薄化する傾向にある。零細店・生業店の減少と生産性の向上を小売業の効率化と呼称 すると、近年日本の小売業構造は、効率化が進展しているとみなせる。しかしながら、効率化の 指標の分布を個々に検討すると、そこには著しい地域間格差が存在する。すなわち、北海道を除 くと、一般に本州中央部で零細店率、生業店率および店舗密度が低く、かつ大型店率、労働生産 性、 1人当り販売額が高いが、周辺部では、その逆の傾向を示す。この傾向は、近年ますます顕 著になっている。
②次に、上記の指標の地域間差異の傾向をまとめるために、各指標を変数とするワード法クラ スター分析により、 1976年、 1982年および1988年のそれぞれにおいて都道府県を類型化した。
その結果、 1976年では4類型、 1982年と1988年では、それぞれ3類型が得られた。小売業の効 率化が進展している類型は、 1976年では3大都市と広域中心都市が所在する県であったが、
1988年になると、首都圏の地区と愛知県、大阪府とが同じ類型としてまとめられ、それらとそ れ以外の県とで小売業の効率化に格差が生じた。
最後に、上記期間における小売業構造の変化の様相をまとめるために、各指標の変化率を変数 として都道府県を類型化したO その結果、 1976‑82年間では5類型、 1982‑88年間では4類 型が得られた。 1976‑82年間では小売業の効率化の進展は地区により差があり、分布パターン
に際だった特徴が兄いだせなかったが、 1982‑88年間では本州申し、部、特に首都圏と京阪神大 都市圏の地区で小売業の効率化の進展の度合が高く、それ以外の地区との格差は拡大した。
第1章で述べたように、従来小売業の地域構造は中心地理論により説明されることが大きかっ た。しかしながら、近年における小売業の機構の著しい変貌を地理学において把握し、その地域 構造を考察するためには、中心地理論ばかりでは不充分である。本研究は、商業学における小売 業構造の概念を借用して、我が国における小売業と環境変数との相互作用により生じる構造の地 域差について考察した。もとより、この試みは初段階であるので、今後変数の吟味や分析方法に ついて一層考察の必要があろう.また、本研究では小売業の零細性、生業性、低生産性が低下す ることを小売業の効率化と呼称した。だが、効率化の進展が必ずしも進むべき方向とはいえない であろう。確かに、小売業は経済活動であるので企業競争による淘太の結果、効率化が進展する ことは避けられない。しかしながら、小売業は日常的生活を支える活動であるので、消費者の利 便性を抜きにしてその立地の動向を考えるべきでない。消費者利益と小売業の立地との関係を考 察することも必要であろう。筆者は、ミクロレベルで、 「効率的」経営の大型店・チェーン店の 進出にともなう小売業地域の変化について分析してきたが(23)、その変化が地域社会でいかなる意 味を持っか考えてみることも必要であろう(24)。この様なミクロレベルの実態調査と、中心地理論 や商業学の理論的枠組を援用するメソレベル以上の小売業地域構造の研究を相互に補完すること により、小売業の地理学の一層の充実が図られるであろう(25)。いずれも今後の課題である。
注および引用文献
(1)初期の研究として、例えば以下のものがある。
Carruthers, W. I. (1967) : Major shopping centres in England and Wales, 1961. Regional Studies,
1,65‑81.
(2)初期の研究例は、以下のとおりである。
Carol, H. (1960) : The hierarchy of central functions within the city. A. A. A. G., 50, 419‑438.
Clark, W.A.V. (1967): The spatial structure of retail functions in a New Zealand city. New Zealand Geography, 23, 23 ‑ 33.
(3) Berry, B.J.L. (1963): Commercial structure and commercial blight. Research Paper, 85, Department of Geogrphy, University of Chicago.
Davies, R.L. (1974): Nucleated and ribbon components of retail system in Britain. Town Planning Revew, 45, 91 ‑ 111.
(4)スコット著、鈴木安昭訳(1979): 『小売業の地域構造』大明堂.
Dawson, J. A. (1972): Retail structure in groups of towns. Regional and Urban Economics, 2, 25
‑65.
(5) Schiller, R. (1971) : Location trends of specialist services. Regional Studies, 5, 1 ‑ 10.
(6) Dawson, J.A. (1974): The suburbanization of retail activity, in Johnson, J.H. ed.: Suburban growth. John Wiley & Sons, London, 155‑ 175.
Hartshorn, T.A. and Muller, P.0. (1989): Suburban downtown and the transformation of metropolitan Atlanta s business landscape. Urban Geography, 10, 375 ‑ 395.
(7) Morrill, R. (1987) : The structure of shopping in a metropolis. Urban Geography, 8, 97‑ 128.
(8) Kivell, P.T. and Show, G̲ (1980): The study of retail location, in Dawson, J.A. ed.: Retail geography‑ Croom Helm, London, p 112.
(9)佐藤俊雄(1989):北米マーケティング地理学の企業活動‑の応用研究.人文地理、 41, 435‑453.
Cohen, S. B. and Lewis, G. K. (1967) : Form and function in the geography of retailing. Economic Geography, 43, 1 ‑42.
(ll)鈴木安昭(1974):小売業の構造とその展開(序説).青山経済論集, 9 (2 ‑ 3), 163‑176.
(12)小売業の環境、構造および成果の関係についての議論は、以下の研究に詳しい。
米谷雅之(1985) : 米谷雅之(1986) : 住谷 宏(1985):
(13)清水 猛(1982):
(14)住谷 宏(1988):
大学国府台経済研究, (15)荒川柘吾(1962):
(16)懸田 豊(1987):
懸田 豊(1989):
(17)田村正妃(1986):
小売生産性の地域間差異[上].山口経済学雑誌, 34 (3・4), 407‑431.
小売生産性の地域間差異[下].山口経済学雑誌, 35 (3・4), 295‑323.
小売生産性の規定因に関する実証研究 千葉商科大学論叢, 23 (3), 75‑99.
地域特性と小売流通.三田商学研究, 25 (2), 215‑227.
店舗密度の規定要因に関する一考察‑全国ベースと北海道地域の比較‑.千葉商科
1, 123‑134.
『小売商業構造論』千倉書房, 286‑329.
我が国小売業の地域構造に関する一考察.富山女子短期大学紀要, 22, 94‑ 108.
地域小売構造の類型化.千葉商科大学国府台経済研究, 2, 105‑ 118.
『日本型流通システム』千倉書房, 31‑66.
1985年商業統計調査については、対象事業所の補足率が低いとの批判がある(横森豊雄(1987):小売 商店減少と商業政策.専修商学論集, 43, 215‑256.)。
1988年度商業統計調査より、対象事業所の範囲が拡大され、従来調査対象外であった事業所内店舗や無 店舗販売が含まれたので、厳密な意味では直接の比較はできない。しかし、それにもかかわらず小売業店 舗数が減少していることは、実態は数字以上であることを示すものである1991年の商業統計速報でも、
この傾向は続いている(懸田 豊(1992): 91年商業統計上小売業.日経流通新聞, 1992. 4. 16.)。
(20)石沢 孝(1988):支石の立地動向からみた仙台市中心部における小売業の変容.地理学評論, 61A,
36
根 田 克 彦816‑829,
(21)奥野隆史(1977): 『計量地理学の基礎』大明堂, 318‑320.
(22)北海道については、本州と比較すると元々零細店舗割合が低く、近年効率化が進展したとは一概にいえ ない(杉本 修(1982):北海道小売業構造の特質について.北海道経済調査 2, 197‑207.)。
(23)根田克彦(1989a):茨城県鉾田町における中心部小売商業地の変化.北海道教育大学紀要第1部B社 会科学編, 40(1), 1‑16.
根田克彦(1989 b) :大規模小売店の立地を契機とする周辺商業地の変化一釧路市新橋大通商店街を例に
‑.東北地理, 41, 148‑159.
なお、松田(松田隆典(1991):大店法下の京都中心部における中小零細店舗‑生鮮食料品を事例とし てI.経済地理学年報, 37, 334‑353.)は、ス‑パーの進出にともない、中小零細小売業が階層分化して いることを、実態調査により明らかにしている。
(24)大都市中心部の近年における近隣商業地の衰退について、杉岡(杉岡碩夫(1991): 『大店法と都市商 業・市民一商業集積政策序説‑』日本評論社, 200‑213.)は、老人・子供などの生活弱者の買物利便性 を視座にいれた行政の対応の必要性を指摘している。
(25)商業地理学において、農業・工業地理学で認められる地域の構成要素を総合的に把握するような「構 造」の研究が少ないことを、須原(須原芙士雄(1986):近年における我が国商業地理学の研究テーマ‑
その特色と問題点‑1 水津一郎先生退官記念会事業全編: 『人文地理学の視圏』大明堂, 625‑635)が指 摘している。
[付記]本研究は、 1990年東北地理学会秋季大会(於弘前大学)で発表した内容に加筆・修正したもので ある。
The Changing Spatial Pattern of Retailing Structure in Japan
Katsuhiko Neda
(Department of Geography, Nara University of Education, Nara 630 , Japan) (Received April 30, 1992)
The purpose of this paper is to examine the spatial pattern of retailing structure and it's changes in Japan from 1976 to 1988. The results are summarized as follows :
1. In Japan, the number of retail establishments, notably the number of small‑scale stores with one or two employees, has decreased during 1980s, while the number of employees has increased slightly (Fig. 1 ). Fig. 2 shows the changes of six variables in retail structure between 1974 and 1988. The ratios of small‑scale stores and of the stores have no fulトtime workers and retail establishments per 1,000 persons have decreased, by contrary, the ratio of large‑scale stores, the annual turnover per person and productivity as measured by sales per employee, have increased. The changes of spatial patterns of those variables in 1976, 1982 and 1988 are shown in Fig.3. This shows that prefectures
with low ratios of small‑scale stores and of the stores have no fulLtime workers and high productivity are located in the Pacific belt zone, ranging from Kanto to the northern part of Kyusyu, while prefectures with high ratios of small‑scale stores and of the stores have no full‑time workers and low productivity are placed in Tohoku,
Shikoku and the southern part of Kyusyu.
2. Ward's method of cluster analysis is applied to integrate prefectures. In 1976, prefectures are integrated into 4 groups, while in 1982 and 1988, prefectures are integ‑
rated into 3 groups respectively (Fig. 4). In 1976, prefectures within three metropoli‑
tan areas and prefectures have regional central cities are integrated one group which shows very low rations of small‑scale stores and of the stores have no fulLtime workers and very high productivity. But, in 1988, prefectures with very low ratios of smalLscale stores and of the stores have no full‑time workers and very high productivity are Aichi,
Osaka and within Tokyo Metropolitan area.
3. Moreover, in order to examine the changing pattern of retail structure, Wards method of cluster analysis is applied to the percentage changes in six variables. In the period from 1976 to 1982, prefectures are integrated into 5 groups, and in the period from 1982 to 1988, prefectures are integrated into 4 groups (Fig. 5). In former period, prefectures show very high rates of decrease in rations of small‑scale stores and of the stores have no fulLtime workers and very high rates of increase in productivity are located within three metropolitan areas or have regional central cities. In the latter period, the prefectures in the central part of Japan, have very high rates of decrease in the ratios of smalLscale stores and of the stores have no full‑time workers and very high increase in productivity.