経済構造分析と
地域経済循環の重要性
岡山大学大学院
社会文化科学研究科
中村良平
平成19年8月8日 フォーラム地域発展へのアプローチ
構 成
1.地域内の経済循環
2.経済循環からの漏出
3.地方経済のゆがみ:アンバランス
4.地域経済の診断:地域経済構造分析
5.地域経済の状況
6.持続可能な地域経済と地域格差の是正
農業Aさんが有機栽培の野菜を80の有機肥料の費用をかけて栽培 し、町の朝市で販売、地ビール製造販売のBさんが180で購入。 パンの製造販売Cさんは100の売り上げが生まれるが、パンの生産 費用に60かかったので、そこでの付加価値分の所得は40となる。 パン製造販売のCさんは得た所得40で地ビール製造販売のBさん のところで地ビールを購入。 農業Aさんは付加価値分の100の所得が入り、これでパンの製造販 売をしているCさんの店でパンを100で購入。 地ビール製造販売のBさんは40の売り上げを得るが、その製造費用 は25であったので、懐に入る所得は15となる。 180という消費(最終需要)が発生することで生まれた付加価値の合 計は、ここまでで155となる。原材料費には165使われている。
1.地域内の経済循環
有機肥料野菜
(栽培・販売)
有機肥料の購入 労働力C:パン
(製造・販売)
原材料の購入B:地ビール
(製造・販売)
100 180 80 財の流れ 60 40 原材料の購入 25 480 15 財の流れ 財の流れ1.地域内の経済循環
◉最初の支出180はどこから来たのか?
➸隣町にビールを売って得た収入だと移出
➸公共事業からだともとは税金
◉原材料費の合計は165、これも提供者の所得
➸これが域内からだと効果が大きい
◉各生産者が創意工夫して、生産性を上げると
付加価値率も向上
◉しかし、1つの町の中での循環には限界も
➸もっと大きな市場を目指す
➸大都市の市場に目を向ける
<各産業の生産額を100とした場合> *一般機械器具製造業 *建設業 *商業 *医療・保険・介護 21.8 34.7 49.2 47.3 消 費 (2000年神戸市産業連関表) 雇用者所得 営業余剰 中間投入 域内の企業あるいは 域外企業等から部品 や材料を調達等 4.2 1.3 8.3 5.6 63.9 53.3 30.6 40.7 域内で再投資、本社に送金されて 他地域で投資、株主に配当、銀行 に預けて銀行が国債を購入等 域内で消費されれ ば域内経済に波 及効果があるが、 域外で消費の可 能性もあり 例えば、東京本社 の工場・支店と域内 資本の企業では、 その使い道に差が 出る 域内で調達されれ ば域内経済に波及 効果があるが、域 外から調達の可能 性もあり 地域毎に様々 将来目指すべき方向、そのための政策とも、地域毎に様々 自治体が、主な役割を果たしていくことが必要
2.経済循環からの漏出
工場従業者と製造業従業者の関係
茨城 埼玉 東京都 神奈川 静岡 愛知 大阪府 兵庫 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000 900,000 工業統計の従業者数:人(2000年) 0 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000 1,200,000 国 勢 調 査 の 従 業 者 数 :人工場付加価値と製造業生産額の関係
茨城 埼玉 千葉 東京 都 神奈 川 静岡 愛知 三重 大阪 府 兵庫 福岡 0 2,000,000 4,000,000 6,000,000 8,000,000 10,000,000 工業統計の付加価値額(2 000年度変換) 0 2,000,000 4,000,000 6,000,000 8,000,000 10,000,000 製造 業 の生 産 額 ( 2 00 0 年度 )地方経済は移入超過:X(移出)-M(移入)<0
地方経済は貯蓄超過:S(貯蓄)-I(投資) >0
地方経済が均衡するにはG(財政支出)>T(税収)
地方経済の典型的特徴
地域需要に対して供給不足
地域に投資先がなく、東京のコール市場で運用
地域への資金循環が出来ない
地方政府の支出を賄うのには地方税収では不足
3.地方経済のゆがみ:アンバランス
➸ 地域のマネー不足をどうするか
地方経済が均衡するには、漏出=注入となること
すなわち、
(貯蓄+税収+移入)=(投資+歳出+移出)
これより、(貯蓄-投資)+(税収-歳出)=(移出-移入)
(貯蓄ー投資)+(移入ー移出)=(歳出ー税収)
地域経済にとってのマネーの漏出(leakage)とは、貯蓄、
税金、移入
地域経済にとってのマネーの注入(injection)とは、投資、公
的支出、移出
3.地方経済のゆがみ:アンバランス
北 海 道 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 秋 田 県 山 形 県 福 島 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 県 新 潟 県 富 山 県 石 川 県 福 井 県 山 梨 県 長 野 県 岐 阜 県 静 岡 県 愛 知 県 三 重 県 滋 賀 県 京 都 府 大 阪 府 兵 庫 県 奈 良 県 和 歌 山 県 鳥 取 県 島 根 県 岡 山 県 広 島 県 山 口 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 福 岡 県 佐 賀 県 長 崎 県 熊 本 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 県 沖 縄 県 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.0 預貸 比 率 200 0年 200 4年
S(貯蓄)とI(投資)の関係を銀行の預貸比率でみると、
預貸比率=貸出/預金地域経済の循環
地方財政のT(自主財源)とG(公的支出)の関係を
みると、
T:歳入から普通交付税、国庫支出金の普通建設事業費、地方債を除いた額 G:人件費、物件費、維持補修費、扶助費、補助費等、普通建設事業費の合計 北 海 道 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 秋 田 県 山 形 県 福 島 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 県 新 潟 県 富 山 県 石 川 県 福 井 県 山 梨 県 長 野 県 岐 阜 県 静 岡 県 愛 知 県 三 重 県 滋 賀 県 京 都 府 大 阪 府 兵 庫 県 奈 良 県 和 歌 山 県 鳥 取 県 島 根 県 岡 山 県 広 島 県 山 口 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 福 岡 県 佐 賀 県 長 崎 県 熊 本 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 県 沖 縄 県 -30 -20 -10 0 10 20 (T -G )/ P 万円 /人 平成16年度決算・域外からマネーを獲得している産業の識別
・付加価値を生み出している産業の識別
・市民生活を支えている産業の識別
4.地域経済構造分析
・生産における中間投入の域内調達率は高いか
・地域に財・サービスの需要先が確保されているか
・生み出された付加価値は地域に落ちているか
地域産業は安定的・持続的に成長しているか
産業の識別
循環の識別
地域の資金循環(マネーフロー)図の作成
様
々
な
政
策
シ
ミ
ュ
レ
ー
シ
ョ
ン
14
1.1人当たり県民所得の変動係数の推移
・交付税のある場合とない場合
2.1人当たり県民所得
・47都道府県の相対位置
3.生産額の各地域の構成比
・全国11地域,1990~2004年度
4.サービス業生産額の構成割合:代表県
・建設業、製造業、サービス業(民営・公営)
5.年齢階層別の人口増減
・1995~2000,中四国の県
5.地域経済の状況
地域格差の長期推移
'55 56575859606162636465666768697071727374757677787980818283848586878889909192939495969798'99'0001020304 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 0.22 0.24 0.26 0.28 変 動 係 数 ( 地 域 格 差 の 程 度 ) 財政移転後 財政移転前 地 域 間 の バ ラ ツ キ が 大 き い地域格差のバラツキ
1 95 5 1 95 6 1 95 7 1 95 8 1 95 9 1 96 0 1 96 1 1 96 2 1 96 3 1 96 4 1 96 5 1 96 6 1 96 7 1 96 8 1 96 9 1 97 0 1 97 1 1 97 2 1 97 3 1 97 4 1 97 5 1 97 6 1 97 7 1 97 8 1 97 9 1 98 0 1 98 1 1 98 2 1 98 3 1 98 4 1 98 5 1 98 6 1 98 7 1 98 8 1 98 9 1 99 0 1 99 1 1 99 2 1 99 3 1 99 4 1 99 5 1 99 6 1 99 7 1 99 8 1 99 9 2 00 0 2 00 1 2 00 2 2 00 3 2 00 4 0.5 1.0 1.5 2.0 格差指数 東京都 1人当たりの県民所得、47地域の平均値を1産業生産額対全国シェアの推移
8.56 8.54 8.71 8.87 9.00 8.91 8.84 8.91 8.94 8.91 8.98 9.01 8.95 9.02 8.97 2.56 2.56 2.59 2.63 2.68 2.70 2.66 2.62 2.66 2.62 2.64 2.68 2.65 2.64 2.60 17.19 17.28 17.15 17.13 16.74 16.93 17.00 16.71 16.45 16.32 16.12 15.95 15.97 15.88 15.89 12.65 12.75 12.63 12.48 12.52 12.67 12.83 12.70 12.76 12.66 12.59 12.73 12.99 12.96 13.11 14.12 14.15 14.10 14.14 14.07 13.94 13.82 13.77 13.71 13.68 13.74 13.64 13.64 13.79 13.83 17.85 17.51 17.55 17.33 17.30 17.09 17.11 17.62 17.98 18.36 18.41 18.67 18.59 18.66 18.68 7.61 7.55 7.44 7.46 7.57 7.65 7.57 7.63 7.49 7.50 7.59 7.44 7.45 7.45 7.39 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 0 20 40 60 80 100 産業生産額の対全国割合( %) 九州・沖縄 四国 中国 近畿 東海 北陸 南関東 東京都 北関東 東北 北海道 出典)県民経済計算年報18