韓国の経済構造改革
金
宗舷
目 次Ⅰ.
はじめにⅠ
Ⅰ
.
経済危機の様相 と原因1.
危機の様相 .2.危機の根本原因 ⅠⅠⅠ.金融構造改革1.
目標 と内容 2.結果Ⅰ
Ⅴ.
企業構造改革 1.背景 2.目標 と内容3.
追加的 目標Ⅴ.
労働市場 の改革1.
基本 目標 2.主要 内容Vl
.
結 びに代 えて I.は じめに'
9
7
年末に金融危機 に見舞われた韓国がI
MF
か らの緊急支援を受 けるとともに経 済構造 改革を始めて早 くも満2年 になろ うとしている。その間推進すべ くして為 し得なか った経 済構造の改革は金融危機 とい う強力 なシ ョックとI
MF
の圧力 によって進め られ る よ うに なった。そのことは金融危機が直接的には,金融政閑の対外債務返済の困難 とい う短期的 問題 として現れたものではあるが,究極的 には経済構造 に係わ る長期的問題 として認識 さ れていたか らに外ならない。謂わは経済構造の改革は,開発年代 を通 じて形成 され順機能 して来た 「韓国型」経済成長 システムが成熟段階への移行 に即応 して自ら適合的 に調整す ることが出来ず,経済危機の発生 とい う事態に直面 して外部か らの圧力の下で急激 な形で 進め られ るに至 った ものである。それは,た とえ外圧 の下で進め られ るよ うになった とは 1-言 え, その必要性 は早 くか ら認識 されて来たのであ り,その間政府や企業 によって進めれ て来た ものである。 したが って現在進行中の構造改革 は,その間試図されなが らも効果的 に遂行 し得 なか った ものであって,根本的に行われ なければならない課題であったのであ る。 改革 の対象が 「韓国型」経済 システムそれ 自体であるとい う場合, ここでは政府や企業 等経済主体 の経済行動 に係わ る構造的問題が対象 となることになるであろ う。そ こで改革 は金融機関や企業及び労働市場 といった企業活動が直接係わ る部門に限 らず,政府部門ま で も含む ものでな くてほならない。 しかも急激 な経済構造の改革 は大 きな社会的苦痛を伴 うものであって,苦痛を分担す るとい う国民的合意が必要である。従 って経済構造改革が 本来 の 目標 を十分達成す るためには,経済部門のみでな く政治や社会 といった部門にも及 ぶ広範 な改革の遂行が必要である。 この様 な意味で経済構造改革下の韓国は現在大 きな社 会経済的変化 の渦中にあると言 える。 ■本稿 は韓国における経済構造改革の推進状況を金融,企業及 び労働市場を中心 に考察 し た ものである。 これ らはそれぞれ密接 に係わ りなが ら韓国の経済構造を特徴づけて来た部 門であ り,従 って構造改革の核心部門である。本稿 ではこれ らの部門において改革は どの 様 な方 向 と内容で進め られてお りそ してそれほどの程度進行 しているのかについて考察 さ れている。 '98年 か ら始 まった韓 国の経済構造改革 は基本的 にぼ 99年末 までにほ完成す るとい う目 標 で進 め られて来た ものであ り,その よ うな観点か らみれば改革 は今 日大詰めの段階に連 しているといえよ う。そ して改革 は形 の上では相当な成果をあげて来た ことは事実である。 しか し本来の 目標 に達す るまでには残 されている問題 も多い。その意味で改革は未だ進行 中である。 ll.経済危機の様相 と原因 1.危機の様相 韓 国経済 は1997年末 に発生 した金融危機 によって総体的危機局面に突入 した。金融危機 は直接的には,国内の金融機関が外国の金融機関に対 して返済期間が迫 っていた巨額 の短 期債務 を返済す ることが出来ず,その繰延べ申込み も拒否 され ることによった発生 した も のであった。それは言 うまで もな く外国金融機関の国内金融機関に対す る信頼がな くなっ たか らである。その間韓 国の金融機関は外国の金融機関か ら競争的に資金を短期で借入れ, 国内企業 には長期で貸 出 した。そのなかで企業 は拡張戦略 を追求 した。その結果韓国の対 外債務 は1,500億 ドル もの巨額 にふ くれ上 ったのである。 韓国経済 は金融危機の発生に先立 って1996年か ら既 に危機的様相を呈 していた。た とえ -
2-韓国の経済構造改革
は1
2
月決算上場企業5
0
8
社 を対象 とした'
9
6
年度決算結果 の分析 に よれ ば,純利益合計 は前 年 同期 に比べ6
2.
5
%
も激減 し,売上増加率 も前年度の2
1.
6
%
か ら1
5
%
へ と急落 している。 (1) 特 に韓国輸出の2
0
%
を占め る半導体企業 の純利益率 は9
0
%
程 も激減 した。同年 の経常収支 赤字 は2
3
0
億 ドルにも達 した。収益率の大幅 な減少にも拘 らず企業 の外形的拡大志向は一 向 に衰 えをみせず,その中でGDP
も7.
1
%
と不況 とは思 えない程 の高い成長 を した。 しか し外形的拡大にも拘 らず企業の内実化 は進 まず,脆弱 な財務構造のなかで大企業 の 経営破綻 さえ取沙汰 され るよ うになった。それ は早 くも'
9
7
年1月に韓宝の破綻 に よって現 実 として現われたのである。財閥 ランキング第1
4
位 の韓宝の破綻 は内実の伴わない企業 の 過度 な投資が辿 る結果を象徴的に示 した例であった。その後 を追 うよ うに3月には同 ラン キング2
3
位の三美 グループの主力企業である三美 と三美総合特殊鋼そ して三大 自動車 メー カーの一つで財閥 ランキング第8
位 の起亜が相次いで経営破綻 に陥 った。過度 な投資 によ りこれ ら企業の金融負債 は1
9
9
7
年現在総資産 の6
0
%
(「起亜」)か ら8
0
%
(「韓宝」・「三美」) (2)
に-も達 し,1
0
0
′
%
を超 える企業(
「建柴」)もあった。その中でい くつかの財閥系企業 の経営 不安が曝 されるようになった。財閥系大企業の経営不安が伝 えられ る中でそれ ら企業へ多 額 の融資 をした金融機関に対す る不安 も募 るよ うになったのである。一方株価 とウォンの 対外価値 は大 きく下落 した。総合株価指数 は1
9
9
4
年1
1
月の1
1
1
0.
5
を ピークーに以後下落 し続 汁,1
9
9
7
年1
1
月にはその5
5.
5
%
の4
9
4.
1
まで下落 した。そ して ウオソの価値ぼ9
7
年第1・4
半期 の1
ドル8
6
5.
4
ウォンか ら'
9
8
年第1・4
半期 には1
6
1
1.
7
ウォンへ と暴落 し殆 ど半価 に なって しまった。外貨保有額 も同期間中に2
9
1
億5,
0
0
0
万 ドルか ら2
0
4
億1,
0
0
0
万 ドル- と大 きく減少 した。 金融敢 闘や,ひいては経済一般 に対す る不安要素が大 き くなる中で外国の銀行 は韓国の 金融機関 に対 して満期 になった貸出金の返済 を迫 った。中央銀行であ る韓国銀行 は手持ち の外貨 を もって国内銀行の対外債務の支払 いを肩代 りして当面の事態 を切 り抜 け よ うとし た。しか しそれ も事態を打開す ることは出来 なかった。'
9
7
年第4・4
半期 に2
2
4
億 ドルあっ た可用保有外貨が'
9
8
年1
月には8
8.
7
億 ドル と事実上底 をつ くといった状態 のなかで韓 国 (3) 銀行の対外債務肩代 り返済能力にも限界があったか らである。金融機関は行詰 り危機 に直 面 した。危機的状態が続 くなかで政府 も迅速 に効果的に対応す ることが出来 なか った。結 局 当面 の金融機関を打開す るために政府 はI
MF
か ら緊急支援 を受 け なけれ ばな らな く なったのである。 2.危機の根本原因 韓国の金融機関が既 に進行 していた東南 アジア諸国の経済危機 と関連があるとい うこと は言 うまでもないことであろ う。近年韓 国は貿易及 び直接投資を通 じてアジア諸 国 との経 3-済関係を大 き く拡大 させて来た。ちなみに韓国の対 アセアン諸国-の輸出額 は1980-97年 に約11億 ドルか ら約202億 ドルへ と17.8倍 も増加 して韓国輸 出総額(1360億 ドル)の約15% を占め対 日本輸 出比 (10.9%)を上回 るよ うになった。韓 国のこの地域に対す る直接投資 も1981-97年 に550万 ドルか ら15億 ド/レへ と27倍 も増加 した。関係が大 きくなった アセアン 諸国の経済危機 はそれだけ韓 国経済 に も大 きな不安要因になった。 アセアン諸国の経済危 機が進行す るなかで韓国の企業, ひいては経済一般 に対す る不安が増幅され,短期外債 の 償還要求 が集中的に行われたのである。 しか し韓国の金融危機が東南 アジア諸国の経済危機 と関連があるといっても,その こと が国内的原因の重要性を否定す ることではない.む しろその原因は根本的には韓国経済 に 内在す るものであって外部的 なものではない。そ してそれは短期的 ・表面的なものではな く長期 に亙 って形成 され根本的 な次元で作用 して来た構造的 なものである。それは韓国型 経済成長 システムそれ 自体であると言 えよ う。 韓 国型経済成長 システムは,経済開発 ない し経済成長を強力に推進す るため韓国政府が 計画 に沿 って財政,金融等政策手段 を動員 し企業活動を積極的に支援 し誘導す る中で形成 された政府 ・企業協 同システムである。それは1960年代お よび70年代 の 「開発年代」 をつ うじて形 成 され経済開発のため合 目的的に機能 して来た ものである。事実 この様 なシステ (4) ムが機能す る中で韓国は急速 な工業化,経済成長を遂げて来 た。しか し開発段階を経 て よ り高次 の段階-の発展 しなければならな くなった経済に とってほ政府主導の経済成長 シス テムは民間主導 のそれへ と根本的に転換 しなければな らなかった。即 ち政府による指示的 経済 システムは企業 による市場 の競争 システムに転換 しなければならなかった。特 にクp バ リゼイシ ョソが進む中でその必要性 は尚更大 きかったのである。 政府主導 か ら民間企業主導へ の転換 の必要性 は1980年代初頭 よ り認識 され るよ うにな り,一連 の政府規制 の緩和 ない し改革が進めれ るよ うになった。政府 は1982年以降各種の 規制緩和 ともに貿易 自由化 をすすめ,'87年以降には為替管理 の自由化や金融 自律化の断行 とともに労働法改正 によ り労使関係における国家統制 の後退 と自主的 な労使関係の構築を 推進 した。そ しで 90年代 に入 っては金融実名制や不動産投機抑制 など規制を強化す る側面 もあったが,1993年以降は税制 を中心 とした財政改革,金融 自由化そ して一層の行政規制 緩和 を推進 した。その中で経済活動 における政府の介入 ・規制 は大 き く後退 し,民間主導 の領域が大 き く拡大 した ことは事実である。 にも拘 らずそれによって政府主導の指示的経 済 システ ムが民間主導 の競争的市場経済システムへ と実質的に転換 した訳ではなか った。 基本的に重要 な部門では政府規制 は依然 として存在 してお り,規制緩和, 自由化が進 んだ 部門においてもそれは必ず しも効果的,効率的ではなかったのである。 民間企業 も経済開発過程で形成 された組織 と行動様式を経営環境?大 きな変化 に適合的 4
-韓 国の経済構造改革 に自ら変革す ることが出来 なかった。企業 は開発年代を通 じて政府 の開発政策 に即応,様 々 な特恵的 な支援を受 けなが ら急成長 し今 日の財閥体制を築 き上 げた。開発年代 を経て政府 規制 も緩和 の方向に向か うとともにグ ロバ リゼイシ ョソの進展 に ともな うボーダ レス大競 争 の時代の到来 とい う経営環境の根本的変化 の中で,企業 は自ら経営 システムの効率化 を 計 り技術革新を通 じて生産性の向上を積極的に推 し進め競争力を高めなければな らなか っ た。 この よ うな方向への努力が企業の側 になかった訳ではない。国際競争力を高めるため の技術開発 の必要性 は早 くか ら強調 され企業 もそのための投資を拡大 して来た ことは事実 である。そ して LGや三星 グノケープ等 においてみ る如 く,企業 によっては近年広範 囲な組織 (5) 改編,改革を進めて来た ことも事実である。 しか しその様 な努力 は一般的に企業構造調整 の実効をあげる様 な ものではなかった。む しろ企業 は開発年代 か ら追求 して来た外形的 お よび 「蛸足型」拡張戦略 に執着 し,それが結果的には企業 の内実化 よ りも不実化 を助長す るよ うになったのである。 企業の外形的拡張 に必要 な資源 は金融機関か らの借入れによって調達 された。韓国の財 閥企業の資金調達 は資本市場を通ず るよ りも主 に金融機関を通 じた間接金融 によって行わ れて来た。間接金融 に依存す る限 り借入金額がい くら大 きくなっても企業の株式支配構造 は変 らない。従 って拡張戦略を追求す る企業 に とって銀行か らの借入れを確実にす ること は極めて重要 なことであった。'90年代 に入 って政府 は財閥企業の銀行か らの借 り入れを規 制 しその拡張性向を抑制 しよ うとした。 にも拘 らず政府主導の 「官治金融」 はな くなるこ とな く,規制 か ら免れるために企業 の対政府 ロビー活動 は活発 に行われそれがむ しろ 「政 経癒着」 ないし 「不正融資」をもた らす ことになった。 一方財閥企業 は綜合金融会社か らは何 ん ら規制を受けることな く融資を受 ける ことが出 来た。商業銀行部門への参入が禁 じられていた財閥 は参入が 自由であった綜合金融 ,証券, 保険,投資信託,相互信金等,非銀行金融機関-第2金融圏へ積極的に参入 し支配力を拡 大 した。 5大財閥の系列金融会社数 は1999年 8月現在,現代13社,三星,LG の各 8社,大 (表
1
)
金融圏別預金,貸出比重の推移 (単位 :%)
1970 11975 1980 1985 1990 1996 預金 銀行 85.5. 86.0 171.8 35.4 42.8 33.2 第 2金融圏 14.5 14.0 28.2 44.6 57.2 66.8 貸出 銀行 78.4 78.7 63.4 55.2 49.5 43.5 第 2金融圏 21.6 21.3 36.6 44.8 50.5 56.5 出所 :チャソカソス,
「銀行及び第2金融圏間非対称的規制の推移 と影響」, 『金融経済研究』(韓国銀行),第90号,1997年 8月,16頁。 5-(6) 字の6社,SKの4社,合計39社 に達 している。その間第2金融圏は政府による預 ・貸金利 上の優遇等各種 インセンチ ブによって急成長 した。1996年現在預金および貸出に占める第 2金融圏の市場 シ ェアはそれぞれ66.8%,56.5%と銀行のそれの32.2%,43.5%をはるか に上回 るよ うになった ((表
1
)
参照)0 財閥企業 の旺盛 な投資意欲 に呼応 して金融機関は競 って多額 の低利資金を海外で調達 し なが ら国内企業へ融資 し,その額 は1994年∼96年 に国内生産(
GDP)
の40%にも達 した。 (7)
それは韓 国の経済規模 に照 らして明らかに過剰投資であった。借入れに依存 した過大投資 に よ り企業 の財務構造や現金の流れは悪化 した。12月末 (1996年)決算上場金融499社の財 務構造分析 に よれば,企業 の平均負債比率 は前年 に比べて18.9%も増大 し,281.8%にも達 (8) した。 内実 の伴わ ない過剰投資 は13%もの高金利の中で資本費用を高め特に不景気の場合 経営 は不安 になる。経営不安を乗 り切 るために企業 は引 き続 き追加的資金を投入 しなけれ ばな くな りその結果負債 は雪だ るま式 に増大す るよ うになった。 しか しその よ うな ことが何時 まで も続 くことは出来 ない。融資先企業の経営不安を感知 した銀行 は追加的融資を差控 えるとともに債権 を回収 しよ うとす る。政府 もいつ まで も救 済金融 を続 ける訳 にはいかない。経営に行詰 った企業 は結局破綻への道を辿 らなけれ ばな らなかった.97年度 に発生 した 「韓宝」を初め とす る財閥系大企業の一連の破綻 は正 にそ の よ うな論理 の必然的な帰結 であったのである。金融規制 の緩和,市場開放が進む中で, 金融 システムの安定 と健全性を保 ったために必要 な規制 まで もな くな り新たな監督機構 も 導入 されなかった。市場の安定 を支 える制度的装置が不備であったのである。その結果企 (9) 業 の国内外での融資や資金調達 の実態 は全 く把握 出来 なかっちoそ こで企業の透 明性 に対 す る根本的 な疑 いが発生 し企業不信がっのるよ うになったのである。 財閥系企業 の経営不安が噂 され る中で,それに融資 した銀行 に対す る不安がつのるのは 当然であろ う。開発金融 システムの中で 「政策金融」 に慣れて来た銀行は担保中心の貸 出 を して来たのであるが,企業評価能力は弱 く,不 良貸 出は固疾化 した。実際,経営破綻 に 陥 った財閥企業 に巨額の融資を した主力銀行は巨額 の不良債権をかかえ自らの存続 さえ危 ぶ まれているよ うになった。その代表例が第1銀行 とソウル銀行であったが,.その他 の銀 行 も程度の差 こそあれ莫大 な不良債権をかかえこむ よ うになったのである。金融不安 は経 営基盤の脆弱な綜合金融会社の場合, よ り大 きか った。金融不安に直面 して政府 は向 う3
年間預金 の金額保障を約束す ることによって先ず は事態を安静化 させたが内国銀行の対外 信用 は大 き く失墜 したのである。 嵩 はる資本費用 とともに企業経営を圧迫 したのは高い労働費用であった。80年代 中 は頃 まで企業 の国際競争力 を大 きく支 えて来たのは低賃銀であったが,「民主化宣言」(1987年) 以降民主化が急進展 し,それまで抑圧 されて来た労働者 の法的権益が大 きく伸長す るとと 6-韓国の経済構造改革 もに賃銀 も大幅に上昇 した。労働賃銀 は1985-96年 に5倍弱上昇 した。低賃銀 は高賃銀-と急転 したのである。高賃銀であっても生産性が高ければ問題 はないであろ う。 しか し企 業の技術開発努力による生産性向上 の効果 は賃銀の上昇を償 う程大 き くほなかった。 他方労働 モラールはむ しろ低下 した。労働者 は以前の よ うには働かな くなった と言われ るよ うになったのである。労働者 の3K産業忌避 とレジャー選好傾 向は大 きくなった。そ の上労働市場 は硬直化 した。使用者 は経営不振 で構造調整 をしよ うとしても従業員を解雇 す ることは出来なか った。そ して使用者 は必要 な時に外部 か らの派遣労働者 を一定期間雇 用す ることも出来 なかった。労働組合は,組織率は12.2% (1996年現在) と必ず しも高 く はないが,その権益 は法的に大 き く保障 され るよ うになった。組合 は特 に財閥系大企業 に おいて強力であった
。OECD
加入 むと向って ウォンの対外価値が高 く決め られている状態で の1人当 りGNP 1万 ドル(1995年)とい う所得水準で,早 くもかつての「英国病」にかかっ た といわれ るよ うになったのである。労働市場 の硬直性 は外国企業の国内への進 出にも大 きな阻害原因 として認識 され るよ うになった。 韓国の金融危機 は金融部門に限 られた ものではな く,究極的 には経済の総体的危機であ り,構造的なものである。それは基本的には開発年代 に確立 された 「韓 国型」経済成長 シ ステムが新たな経営条件 の変化 に適合的 に転換 し得 なかった ことか ら発生 した ものであ る。従 って経済危機 を克服す るためには構造的 な次元 での改革が要求 されたのであ る。I
MF
は当面の金融危機 に対処すべ く2000年 までに総額210億 ドルの支援 を約束す るととも に韓国政府 に対 して経済構造の広範 な改革を要求 した。I
MF
が要求 した改革の内容 は基本 的には,その必要性が認識 されなが らも実行 し得 なかった経済構造の根本にかかわ るよ う なものである。深刻 な経済危機 に直面 し, なすべ きであ りなが ら成 し得 なか った改革がI
MF
の圧力の下に進め られ るよ うになったのである。 日.金融構造改革 1. 目標 と内容 経済危機の原因は,直接的には,金融危機 にあった。金融危政 は,基本的には,金融 シ ステムの欠陥によって発生 した ものであ り,その中心 には未熟 で非効率的 な金 融機 関が あった。従 って金融構造改革 は,優先的に断行 されね ばな らない改革であった。金融構造 改革の 目標 は個別金融機関の健全性を回復 し経営効率化 と金融 システムの安定かを実現す ることにあった。 金融機関の健全性を回復す るためには莫大な規模の不良債権を整理 し自己資本比率を国 際基準 にまで引上げなければな らない。'97年末現在韓国における一般銀行の不良貸 出 と無 収益貸出が総貸出に占める割合 はそれぞれ2.7%と6.0%,計8.7%であった。事情 は地方銀 7-(表 2)一般銀行の不良貸出推移 (年末基準,単位 :億 ウォン,%) '92 '93 '94 '95 '96 '97 一般銀行 不良貸出 24,
(
1.247)8 29,(
I.38)24 1_
8,(
1
5.
0
26 2)
2,(0.994)4 24,(0.483)9 100,(2.9070) 無収益貸出 101.630 119,292 113,900 124-,839 118,739 226,521 (7.1) (7.4) (5.8) (5.?) (4.1) (6.0) 都市銀行 不良貸出 22,(
1.687 27,8) (1.446. 19) 6,(
1.
310
8 1)
9,(0.999)8 21,(0.085)6 76,(2.703)0. 無収益貸出 94,038 111,262 104,481 111,354 103,815 184,526 (7..4) (7.9) (6.2) (5.3) (4.1) (5.5) 地方銀行 不良貸出 (1,0.5961) 1,(
1.
870
8)
2,(0,290)8 2,(1.904)6 3,(0.3893 2) 4,(5.280)0 無収益貸出 7,565 8,030 9,419 12,485 14,924 41,995 注'.1)国民銀行は,'95年 より,そして信託銀行ぼ 97年より収録。 2) ( )内の数字は総貸出に対する不良貸出と無収益貸出の比率 (%)0 出所 :金融監督院 行の場合一層悪 く,それぞれの比率が5.8%,10.1%と,合せて16% も占めていた((表 2) 参照.)一方,銀行の 自己資本比率 は1997年現在8.92%となっているが,国際基準 に合せ て債権及 び有価証券充当金 を100%積立てる場合には7.04%とBIS(国際決済銀行)の要求 (10) 水準である 8% には大 きく及 ばない。そ こで金融構造改革 は,先ず第1段階 として金融機 関の健全性回復 のための構造調整 を推進 した。 金融機関の構造調整の内容 としては先ず第1に,不良金融機関を閉鎖 し,生 き残 る可能 性のある不良金融機関は リス トラを推進 し資本拡充 を計 るとともに金融機関本来の資本仲 介機能 の回復 とい うリエンジニア リングを計 り,そ して不良債権は統合預金保険公社 を通 じて早急 に整理す る, とい うことであった。不良債権の整理 と預金の安定性保障のために 政府は不良債権整理基金を設置 し ('97年11月),預金保険機構を統合 した ('98年 4月)0 更に構造調整 を推進 し,金融機関の資産 の健全性 と金融 システムの安定性 を実現す るた めの制度的監督装置 として金融監督委員会が設置 された('98年 4月)。金融部門における規 制緩和が進み,金融機関が競 って外国か ら資金を借入れていたにも拘 らず,資金 の健全 な 流れを監督 し金融 システムの安定化 を誘導す る監督装置が制度的に存在 しない状態の中で . 今回の金融危機 は発生 したのであった。傘下 に統合金融監督院をもつ同委員会は銀行,特 殊銀行,綜合金融会社,証券会社,保険会社等すべての金融機関を一元的 ・統合的に監督 す る鹿構であ り金融部門のみでな く企業部門を含めて進行中の構造調整において主導的役 8-韓国の経済構造改革 割を果 して しる。 金融機関の自己資本比率を高め るために,銀行 について監督当局 は,'97年現在 自己資本 がBIS基準8%に満たない12の銀行に対 して,早期是正勧告 ・命令を出 し,実行 されない 場合 には強制的に合併 ・清算の手順を とることになった。その中で大型銀行7行 (朝興, 商業,韓-,外換,平和,江原,忠北) は強力 な自助努力 とともに一部経営陣の交替,減 資等の措置 を受け,小型銀行
5
行 (同和,大同,東南,京故,忠清) は, いずれ も負債が 資産 を超 える地方銀行であるが,他の優良銀行5行 (新韓,韓美,-チ,国民,住宅) に 資産,負債一括譲渡方式で吸収 されることになった。莫大 な不良債権 をかかえた第1銀行 とソウル銀行 は実質的に国有化 された後,'99年1月末 まで公開入札で売却す ることになっ た。 綜合金融会社 については,第2
次評価で合格 と判定 されない場合即時,営業停止措置を 受けることになった。その結果,20社 の うちの13社の認可が取消 され,1社 (第1綜金) の営業が停止 された。 これ ら綜合金融会社 の清算手続の進行 と預金支払 のために,受皿銀 行 として-ナルム綜合金融会社が設立 された。証券,保険,投資信託, リース業その他非 銀行金融機関全体 についても同様 な方式 による構造調整が広範 に行われたのである。 この様に,金融構造調整の第1段階は危機管理 とい う次元で不良金融機関の整理 を推進 した段階であ り,内容的には不良債権 の確認-整理計画の樹立-整理計画案に対す る判定 及 び処理 とい う手順で進め られた。'98年9月末 までに完了 した第1段階金融構造調整 の内 訳 は (表3
)
の如 くである。 他方金融機関の信用評価 を高めるために,会計基準 と情報公開は国際基準 に合 うよ う強 化 し,大型金融機関の財務諸表 は国際公認機関が監督す ることとした。そ して商業銀行, 特殊銀行および開発機関 (産業銀行,輸出入銀行等) は国際的に公認 された国内及 び海外 会計法人 と経営診断契約を締結す ることに した。株式会社の外部監査 に関す る法律 も改正 (表3)第1次金融構造調整の内訳 対 象 ・内 訳 銀行 5行整理,7行正常化移行覚書提出,-13行経営診断実施 綜合金融会社 16社認可取消 証券会社 2社許可取消,4社営業停止 保険会社 4社退出,18社経営改善処置,2保証保険社合併推進 リ」ス会社 10社整理手続 投資信託会社 1社認可取消, 6投信運用社整理手続 信用金庫2
金庫認可取消,2
2
金庫経営管理,9
金庫経営指導 9-された
(
'
9
7
年1
2
月)0 金融構造調整ぽ9
8
年以降の第2
段階,そ しで9
9
年 の第3
段階- と続 き,不良銀行及 び第2
金融圏の整理 が推進 され,
'
9
9
年末の完了段階で全銀行のBI
S
比率8
0
%
達成が実現 され る ことになっている。 金融監督委員会 は金融機関の資産健全性についてゐ監督 を強化す るに当 り国際基準の貸 出健全性分類及 び充当金積立基準をつ くり,適時の是正処置発動要件 についての監督機関 の悪意性を排除 し,国際的公示,監査,会計基準を作成す ることになった。そして同委員 会ぼ9
9
年1月 よ り市 中銀行 に適用 され る健全性規制 を特殊銀行 と開発金融機関 に も導入 し'
9
9
年3月まで産業,輸 出入,企業銀行 を検査 しうる装置をつ くるとともに産業銀行に対 す る検査 をす ることになっている。更に銀行 と綜合金融会社 の同一系列企業への与信限度 額 は自己資本 の2
5
%
以内- と大幅に引 き下げ られ るとともに,総資本の1
0
%
を超 える巨額 与信の総額 は総資本金 の5
0
0
%
以内を限定 として運用 し,超過分は2
0
0
0
年 まで減縮 され る運 びになっている。更に政府は銀行の所有構造の改善及び責任経営制の確立のための銀行法 の改正等,金融構造調整の加速化 と金融規制 の緩和 を 目指 して,2
2
件 に及ぶ金融関連法律 の改正 ないし制定を進めて来た。 構造調整 によって金融機関の健全性が確立 され,監督機構 の設置等制度的装置の整備 に よって金融 システムの安定性が確保 されれば,金融機関は本来の姿 に戻 って商業的原理 に 徹 し効率性 と生産性を高めなければならない。政府 は銀行,保険,証券,信託等金融及 び 金融サー ビス業への参入条件を緩和す るために現行の認可制 を一定基準下での登録制 に転 換す るとともに金融機関間の吸収,合併を促進す るために各種の認可,承認事項を廃止す (ll) るための法案を検討 し,'
9
9
年5月中に最終案を確定す ることになった。規制緩和,韓国版 ビックバ ンが進み金融市場が対外的に完全 に解放 されれば競争 は激化 し,そ こで生 き残 る ために金融機関は経営革新を推進 しなければならない。 金融構造調整を推進す るに当 って政府 は,金融機関の自救努力を積極的に誘導す るとと もに,不 良債権の買収や増資等 を支援す るために総額6
4
兆 ウォンにものぼる公的資金を投 入 してい る。その中の約5
0
%
は金融機関の不良債権 を買収す るために,そ して残 りは増資 及 び損失補填 と預金の肩代わ り支給 に当て られている。それに特殊銀行増資に当てる8.
5
兆 ウォンを加 えれば公的資金の投入総額 は7
2.
5
兆 ウォンに達す る ((表4)
参照)。政府の増 資支援 と銀行の資本拡充努力によって,一般銀行のBI
S
資本比率は1
9
9
7
年末の7.
0
4
%
か ら (12)1
9
9
8
年末 には8.
2
3
%
- と高 まった。 2.結果 構造調整が推進 され る中で金融機関は大 き く再編 されている。先づ構造調整を経 て金融 機関は数的に大 き く変化 した。(表5
)は構造調整前後 の金融機関数の変化 を示 した もので - 10-韓 国の経済構造改革 (表
4
〉金融構造調整のための公的資金の投入 (単位 :兆 ウォン) 既投入(97.ll-98.12) '99年中投入予定 計 不良債権買入 19.9 12.6 32.5 増資及び損失補填 13.2 4.3 -17.5 預金肩代 り支給 7.8 6.2 14.0 小 計 40.9 23.1 64.0 _特殊銀行増資 8.0 0.5 8.5 出所 :金融監督委員会 (表5
)
構造調整前後の金融機関数 金融機関 構造調整以前 構造調整以後 ('99. 5月末現在) 新設 現在 瓢 合併 営業停止等 計 銀 行 33 5 5 10 - 23 綜 金 社 30 16 2 18 - 12 証 券 会 社 30 . 5 1 6 '2* 32 投 信 社 31 2 5 7 - 24 保 険 会 社 50 4 1 5 - 45 リース会社 25 5 5 2 22 信 用 金 庫 231 24 3 13 40 - 191 信 協 1,666 52 26 53 131 9 1,544 *転換 出所 :金融監督委員会 ある。認可の取消 しや合併 によって銀行数 は33行か ら23行へ と約 3分 の 1,そ して綜合金 融会社数 は30社か ら12社- と3分の 2近 くも減少 したのである。 金融機関の再編成 は数的側面 においてのみで な く金融機関相互間 における相対的地位 の 変動 において も大 き く進行 した。金融機関の数的変動 (減少) は不良金融機関 の退 出 と合 併 に よるものであるあが,その過程 は同時 に残存個別金融機関の相対的地位 の変動 の過程 で もあったのである。 先づBIS自己資本比率8%とい う基準 に達せず不良銀行 との判定 を受 け正常比 移 行覚 書を提 出させ られた前述 の7行 は,政府 の勧告 を受 け,積極的に外資の誘致 と合併 を進め た。その中で商業,韓-銀行が合併 を宣言 し,必要 な手順 を経 て,- ソ ピッ銀行 として登 場す るよ うになった。江原銀行 は現代綜合金融会社 と合併す ることにな り,朝興銀 行 は忠 北銀行,更には江原銀行 と合併す ること●になった。一方,経営診断が実施 された1
3
行 も必 ニ 11-ず Lも満足 な評価 を受 けることは出来 なかった。そ こで これ らの銀行 も合併を進めた。そ の中でボ ラム銀行 と-ナ銀行そ して国民銀行 と長期信用銀行 はそれぞれ合併す るに ことに なった。信託銀行 は方向未定であ るが,新韓,韓美 の2行は独 自生存が予想 されてお り, 地方銀行5行 (大鞘,光州,慶南,釜 山,全北) 紘, 自救努力を通 じての独 自生存又は合 併を,そ して経営改善命令を受 けた済州銀行 は大株主の追加的増資による生 き残 りをそれ ぞれ模索 している。政府管理下 に編入 されていた第 1銀行 ぼ 99年9月に海外への売却交渉 の妥結 をみた。 合併運動が展開 され るなかで銀行界では,商業 一韓一,-ナーポラム,国民 一長期信用, 朝興 一江原等合併
4
行を主軸 とす る先導銀行 グループ,外換,新韓,信託,韓美,第1
又 は ソウル銀行を買収 した外資系等 からなる中堅銀行 グループ,そ して地方銀行か らなる地 域銀行 グループとい う構図が新た に形成 され るよ うになった。 このような構図は未だ流動 的であ り,今後 の展開によっては変動が充分 あ り得 る。例 えば中堅銀行 も今後合併を通 じ て先導銀行 グループに仲間入 りす る可能性があ り,地方銀行は ソウルに本店 をもつ都市銀 行 との戦略的提携 を通 じて地域鍍行 としての地位の確保 を模索す るであろ う。更に合併を (表6)
金融校閲の人員,店舗減少状況 人員 .店舗数 (人,個) 1人当 り資産 (億 ウォン)1) 797年末 '98年末 増減率 (%) '97年 末 '98年末 増減率 (%) 一般銀行綜金社 人員店舗人員 111,4,6,9612712 779 5,5,1,66108248 △33 △△ 9,2019995(4(4(△3△1△14%)56%)%) n.49a. n,76a. n.55a. リース社 人員 2,172 1,080 △ 1,092(△50%) n.a. n.a. n.a. 証券社 店舗人員 287,1,3,2330344 292 62,ll.4,38547959 △△1△4,8,8242075(7(0(△1△1△24-)7.2 )9) 1n.3.a.4 1n.7.a.7 n.3a.2 保険社 人員 -投信社 人員会社 ・316,0,0,1,24621336223502016 28,8,5,1,22075022069942746 △△ 2;△△A△ 1,1,213275124(5(6(9(17((△△2△2△△2△9 )3 )5.)0 )1 )5 ) 316.3.4.491 337.9.6.323 10.8229 相互信用金庫 人員会社 注.1)投信社 は 1人当 り受託高 出所 :金融監督委員会 ー 12-韓 国の経済構造改革 果た した- ナ, ボラム銀行 は将来,投資,証券,保険,住宅金融等すべ ての金融分野で営 (13) 業す るユニバーサル云ソクへの動 きをみせ てい るo構造調整 に よって金融業界 では大 きな 地殻変動が行 っているのである。 個別金融機関内部の調整 も進 んだ。金融機関 は不良化 を免れ るための 日数努力の一環 と して人員や店舗の大幅な整理 を進 めた。'98年末現在 までの1年 間に一般銀行 の人員数 と店 舗数 はそれぞれ34% と16%減少 したのに対 して 1人当 り総資産 は55%増加 した。その他 の 金融機関の場合,会社 によって差異があるが, リース社 では人員が50% も減少 し,証券社 は人員 の18%と店舗の15%が減少 した (く表6)参照)0 その間推進 されて来た金融機関構造調整 の成果 は どの様 に評価 され てい るので あろ う か。(表7)はこの様 な問題 について,'99年6月 に金融機関,企業,政府,学界 の専門家103 人を対象 に実施 したアソケ- ト調査 の結果 をま とめた ものである。 アンケー ト調査 は会社 機関の組織 ・人員削減,不良金融機関の整理,銀行 の合併,金融機関の海外売却,不良債 権 の処理,規制監督機構 の改編,健全性基準の強化,規制 の実効性等主要8項 目に対 して, 金融市場 の機能回復,金融制度の安定性確保,金融産業 の効率性向上,構造調整財源 の効 率的使用, イソセ ソヂブ構造 の改善等5つ の評価基準 につ いての意見 を聞 くとい う方法で 行われた。全体 として総合的 にみた場合,金融構造調整 に対 す る評価 は10点満点基準 で (表7)金融構造調整の総合評価 金融政閑人員削減 不良金融組織/ 機関些理 銀行合併 金融機関海外売却 権処理 規制監不良偉 督機構改編 鹿全性基準強化 規制の実効性 評価基準別総合評価 金融市場の機能回復 7.4 7.4 5.9 6.9 金融制度の安全性確俸 6.4 5.5 7.9 7.7 7.2 7.8 6.7 7.0 金融産業の効率性向上 短期的費用節減 6.6 7.4 8.0 6.2 5.5 6.7 中.長期 力量強化 5.1 6.2 8.0 7.2 6.8 6.1 6.6 構造調整財源の効率的使用 6.0 6.5 6.4 4.6 5.2 6.3 7.3 6.0. インセンチブ構 造の改善 6.6 6.5 5.1 5.0 5.2 7.9 7.5 6.3 出所 :親政範,「第1次構造調整の成果 と今後の課題」
,
『第1次金融調整の成果 と今後の政策方 向』
,韓 国経済研究院,1999年7月,●25貢。 - 13-6.0-7.0と普通 を若干上 回っている。項 目別 にみれば,金融制度の安定性確保,金融市場 の発展 のための与件の造成,規制 ・監督の合理化等金融環境 の改善 には或 る程度成果 をあ げているが,金融産業 の中 ・長期力量強化,構造調整財源 の効率的利用, インセンチ ブ改 善及 び法律 ・制度 の安定性 と信頼性提高の面では不十分であった と評価 されている。一方, 金融監督院の資料 によれ ば98年末現在 において も金融機関全体の不良債権 は未だ貸 出総 額の10.4%に当 る60兆 ウオソに達 している。貸 出総額 に対す る不良債権の比率は リースが 30.1%と最 も高 く,証券27.3%,公庫24.0%,信協22.3%,綜金20.0%,保険8.8%,特殊 (14) 銀行8.0%,一般銀行7.4%の順 になっている。金融機関の構造調整 は未だ多 くの課題 を抱 えているとい えよ う。 IV.企業構造改革 1.背景 企業構造改革 の核心 は財閥改革 にあ る。韓 国の財閥 は血縁的 に継承 され るオーナーに よって集権的 に支配 され る多角化 した事業複合体であるとい う特徴を もっている。個 々の 大企業 はその殆 ん どが特定財閥の企業 グループの1つ の構成部分 として存在 してい る。 従 って 「企業構造改革」 は本質的には 「財閥改革」 とい うことになる0 韓 国の財閥 は売上げや資産等の基準 によ り「5大」,「10大」,「30大
」
財閥 と格付 け され ている。財閥は,過去30余年 に亙 る韓国の急速 な工業化,経済成長の過程で,政府の経済 開発政策 に積極的に即応 しそ して政府の各種支援 に支 えられて急速 に成長 し巨大化 した。 これ ら財閥は関連の有無 を問わず, さまざまな産業部門に亙 って事業を展開 しなが ら企業 の外形的 ない し 「蛸足型」
拡張戦略を追求 して来た。その結果,財閥は,格付けが上位で あれ ばある程,事業を多角的に展開 し,軽工業か ら重化学工業, さらには半導体産業 にい た る工業部門 と金融,輸送,物流業 など広範 な分野 に亙 って ワンセ ッ トづっの大企業 をも つ企業集団を形成す るよ うになった。 これ ら財閥は付加価値生産,輸出など経済活動 のさ まざまな分野で大 きな比重をもっている。(表8)は30大財閥の経済的地位の推移を示 した ものである。1995年現在30大財閥は付加価値生産 においてGNPの16.2%,全産業の売上高 及 び総資産 においてそれぞれ,45.8%と44.6%を占めている。開発年代を通 じて経済 開発 の主役 として積極的役割 を遂行 しなが ら急成長 した財閥は経済力を大 きく集中 し,今や韓 国経済 において極めて重要な要素 となった。従 って財閥改革 は金融改革 とならんで経済構 造改革の核心を成す ものである。 巨大 な経済力をもつ財閥はオーナーない し大株主 によって強力に支配 されて来た。財閥 オーナーの強力 な支配力 は資本の所有構造 に基づいている.(表9
)昼30大企業集団の内部 持分率の変動推移を示 した ものである。 ここで 「内部持分率」 とは大株主1人 と系列会社 - 14-韓 国の経済構造改革 く表 8)30大財閥の規模別経済力一般集中度推移 (全産業1)) (単位 :
%)
総資産3) 5大4) 10大4) 30大4) 5大 lo大 30大 -5大 lo大 6.6 8.1 12.5 30.8 38.6 48.8 23.5 31.3 6.1 7.9 ll.0 31.5 38.7 48.7 25.1 33.8 7.4 9.8 12.9 30.5 37.5 47.3 25.5 33.7 7.2 9.6 13.0 27.2 32.8 41.3 24.0 32.5 7.8 10.2 13.6 27.6 34.1 41.7 24.0 32.6 10.1 12.8 16.2 30.7 37.8 45.8 25.4 33.8 5 7 8 1 3 5 8 8 8 9 9 9 9 9 9 9 9 9 1 1 1 1 1 1 9 0 9 5 2 6 2 5 5 3 3 44 4 4 4 4 4 注 :1)金融 ・保険業を除いた全産業 2)付加価値のGNPに対する比率 3)全産業に対する比率 4)財閥のランク 出所 :韓国経済研究院 く表9
)30大財閥の内部持分率奨動推移 (単位 :%) 区分 1987 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 大株主1人持分(A) 15.1 13.7 13.9 12.6 10.3 9.7 10.5 10.3 8.5 7.9 系列合社持分 (B) 41.1 31.7 33.0 33.5 33.1 33.1 32.8 33.8 34.5 36.6 出所 :公正取引委員会 が所有す る株式比率の ことである。「大株主1人」とは姻戚 を含むオーナー自身 の ことであ るo内部持分率ぼ 90年代 に入 り低下傾 向にある とはいえ'98年 にはむ しろ上昇 して44.50/.に 達 している。 ところで この内分持分率はその大部分 (36.6%)が系列企業が相互 に出資 し 合 った持分であ り大株主1人の持分 は7.9%に過 ぎない。オーナーは僅 か 8%に も満たない 持分 を もってグループ企業全体 に対 して強 力 な支配力 を行使 してい る訳 で あ る. それ は オーナーが投資 した代表企業が他 の系列企業 に出資 し,そ してそれ ら企業 が相互 に投資す る とい うことによって高 い 「内部持分率」 を確保 しているか らである0 財閥の急速 な成長過程で必要 な資本は資本市場で調達 され るよ りも銀行融資 に よって調 達 された。財閥の系列企業 は銀行融資を受 ける際相互 に債務 を保障 した。 それ に よって系 列企業 は自己の担保能力をはるかに超 える融資 を受 け ることが出来 た。財閥企業 の旺盛 な 資本需要 に銀行は積極的 に融資 した。銀行融資 とい う間接金融 に大 き く依存す る限 り財閥 企業 は,所有構造 に大 きな変動を伴 うことな く,拡張戦略 を追求す ることが出来た のであ る。 . - 15-拡張戦略 は,個別企業 の外形的拡張のみでな く,新た な事業分野への多角的進 出 とい う 形 で積極的 に進め られた。む しろ多角化 こそ財閥が追求 した戦略 の核心であった といえる であろ う。多角化 は本来 の事業 との関連分野のみで な く非関連分野 にも及 んだ。特 に
「
5
大」財閥 にお いて特徴的 に見 られ るよ うに,上位財 閥であはある程,非関連多角化 が一般 的であった。 それ は財閥 の 「輪足型拡張」 の過程 で あった。 そ こで財閥は関連,非関連事 業分野で多数 の系列企業 を抱 えるよ うになった。例 えば「
5
大」財閥の順位 によってみた 系列企業数 は,現代57社,三星59社,大字29社,LG52社,SK(鮮京)47社である ('97年 (15) 10月現在)0 間接金融 に大 き く依存 した拡張の結果,財閥企業 の債務 は巨額 に上 り,財務構造 は悪化 した。5大財閥の 自己資本 に対す る負債比率 は,'97年4月現在,現代437%,三星267%, (16) LG347%,大字338%,SK383%と三星を除いて,300-400%台の水準 に達 している。東西 証券 の分析 に よれ ば12月未決済上場企業499社 の平均負債比率ぼ 96-'97年 に245.60/.か ら (17) 281.8%へ と19%も増加 した。借入資金への過大 な依存 は企業 の金融費用 を高め利益 を減少 させ ることになる。高賃銀構造 の中で労働費用 も著 しく高 まった。10大財閥の'97年上半期 の純利益 は6,218億 ウォンと前年 同期 の1兆733億 ウォンに比べて42.1%も減少 した。特 に (18) 三星の場合,それ は74.8%も減少 した。 高費用構造 の中で企業 は経嘗合理化や技術開発 を積極的 に進めて経営効率 ・生産性を高 めなけれ ばな らなかった。企業 もその必要性 は十分認識 し,それな りの努力を した ことは 事実であ る。 しか し硬直的 な労働市場 の中で企業合理化 は困難であ り,外国か らの先進技 術の導入 も容易ではなかった。更 に広範 な非関連事業分野 に亙 る企業群 を傘下に収めてい る巨大財閥がそれ ら全企業 の経営効率を一律的に高め,強 い競争力を備 えることは極めて 困難であ った。そ こで財閥企業 グル ープの うちで, 1部 の企業が健全であっても他 の企業 が不健全 であれば,その ことがグル ープ全体 の経営基盤を弱 くす ることになる。 その様 な中で も財閥 の拡張指向性 は弱 まらなか った。90年代 に入 り三星 は,既存 の三大 メーカーだけで も生産力過剰 といわれた 自動車産業-参入 し巨額 の新規投資を した。 自動 車産業へ の参入 は,韓 国財閥格付 け第1位 を続 け最 も堅実だ と評価 されて来た三星 に,財 務上大 きな負担 をかけ ることになった。既存 の自動車 メーカ-3
社 は競争的 に海外 自動車 業界 に進 出 した。更に三星 と現代 は,それぞれ数千億 ウォンを投入 して石油化学へ新規参 入 した。この様 な巨大 な設備投資 は過剰,重複投資 として世論 の批判 を受 けたのであ るが, 投資 のための資金 は金融機関か らの借入れ に大 き く依存 したのである.斗山グループの様 に系列企業 の統合及 び投資先企業 の株式持分の売却等を通 じて構造調整 を前 もって推進 し た事例 はあるがそれ は例外的 な ことであ った。 財閥 グループの中で も非公開企業 は経営実績が不良であって も外部 に公表 され ることは - 16-韓 国の経済構造改革 な く,主力銀行 もグループ企業 が相互保障 しているので特 に問題 に しなか った。謂わ は相 互保障 は財閥の飽 くなき拡張 を可能 に した手段 であった。 しか し過度 に外部資金 に依存 し て無謀 にまで拡張戦略 を追求す る企業 は究極的 には行詰 らざるを得 ないであろ う。その こ とば 97年 における企業 の大規模 な過剰,重複投資 のなかで現実 の こととして現れた ので あった。 過剰,重複投資の代表的例 としては巨大 な鉄鋼 プラン トの建設 を推進 した 「韓宝」があ げ られ るであろ う。 自動車 メーカーの 「起亜」 も事業範 囲を拡大 して破綻 した。 同様 な例 は堅実 な自動車部品製造企業 を持 ちなが ら造船業 にまで進 出 した 「漢肇」 グループ,堅実 な放維企業 であ りなが ら リゾー トホテルに過大 な投資を した「ツアンバ ソウル」,酒類 の大 メーカーであ りなが ら流通,建設, ケイブルTV分野 まで多角化 した「虞露」,大手 アパ ー ト建設企業 であ りなが ら百貨店や放送分野 まで も手がけた 「青丘」等枚挙 にい とまが ない (19) 程 である。(表10)は破綻 した大企業 の財務構造 を表わ した ものである。30大財閥平均 の場 合 も高 い負債比率が不渡大企業 の場合 には比較 にな らない程高 く, それだけ金融費用負担 率 も高 い。従 って自己資本利益率 は極 めて低 い。財務構造 の劣悪 な状況が示 されているの である。 企業 の飢 くなき多角化戦略 の追求 とそのための巨大 な投資 を資金面 で支 えたのは銀行 か らの融資であった。 しか し一旦それ らの企業が行詰 り破綻す るよ うになれ ば,そ こに融資 した金融機関 はそれだけ不良債権 を抱 き込む よ うになる。特 に破綻企業 に大 き く肩 入れ を した主力銀行 に対す る不安が高 ま り市場 は警戒す る うよ うにな る。それが拡散す る と結局 は,金融危機 に追 い込 まれ るよ うにな声。金融構造改革 そ して企業構造改革 は この様 な事 態 に直面 して,金融機関 と企業を構造的 に改善す るために進 め られ ているのであ る。 (表10)'97年不渡 (裕余措置を含む)大企業の財務構造 ('96年基準) (単位 :
%)
韓宝 三美 虞露 大農 韓信共営 起亜 30平均大財閥2) 負債比率 2,086 2,809 1,699 __1) 651 522 355 金融費用負担率 6.6 15.7 19.6 12.3 ld.1 6.6 4.8 自己資本利益率 -5.2 -173.7 -195.1 -325.7 -2.0 -5.6 1.1 注 :1)大農は資本の完全蚕食により負債比率計算不能。 2)グループによる規模の差異を考慮 し,自己資本,売上高,流動負債等の比重 を加重値 として使用 した加重平均。 出所 :LG
経済研究院 - 1712. 目標 と内容 「企業構造調整」 と呼ばれている改革は韓 国企業が持つ構造的問題を根本的に是正 しよ うとす るもので,次 の如 き5大原則 に基づいて進め られている。即ちそれは①企業経営の 透明性 の確立,(訓 目互債務保障の解消,③財務構造 の健全化,⑥核心企業の設定及び中小 企業 との協力強化,⑤支配株主 と経営者 の責任性の強化である。相互 に間接 な関連をもつ これ らの原則 は前述 の如 き韓国企業構造の本質的問題 にかかわ る改革の方向を示す もので ある。 企業構造調整 は政府が介入,強制す るのではな く市場原理 によ り企業 自らが自律的に推 進す ることにな っている。だか らといって構造調整の推進が企業 の 自律性のみに任 され政 府はただ傍観者的立場 にあるのではない。企業構造の本質 にかかわ る問題の早急で根本的 な改革 は,当事者 としての企業が 自らの力のみで推進す るには余 りにも大 き く困難な問題 である。そ こで政府が大 きな役割を果 さなければならない。事実,政府は企業構造調整を 推進す るために政治的,行政的方策を動員 して直接 ・間接的に誘導 した り支援 している。 政府 と財界 は,早 くも'98年1月に企業構造調整 のための 5大原則 に合意 した。これを受 けて現代,三星,
LG
の3
大財閥は早 々に事業縮小,財務構造の健全化,債務保障の解消, 連結財務諸表 の作成等を主要 内容 とす る改革案を相次いで発表 した。(義ll)は5大財閥の 構造調整計画を まとめた ものである。 そこでは5大財閥は各 自のスケジュールに従 って核 心事業 を選定 して系列社を大 き く調整 し,外資導入や関連企業 ない し持株の売却 を通 じて 財務構造を改善す ることを明 らかにしている。一方政府は 「合意」を受けて,'98年2月末 までに公正取引法,証券取引法,倒産関連法,株式会社の外部監督 に関す る法律等1
0
大関 連法令を改正 した。 この様 に構造調整 は企業 自ら自律的に推進す るが,それが不十分であった り遅滞す る場 合政府 は必要 な行政手段や政治力を動員 してその徹底的で早急な推進 を促 している。更に 政府 は関連制度 を持続的 に補完 ・整備す るとともに,企業の合併,分割,負債償還,株式 (20) 譲渡,事業用固定資産 の交換等企業の自救努力 に対 して減免税等税制上の支援 をしている。 企業構造改革 の第1の原則 は企業経営の透明性 を確立す ることである。そのために,上 場会社 は外部者 の監査 を経た財務諸表 を国際基準 によって作成,公表す るとともにグルー プ内の関連会社 に対す る連結財務諸表 も公開 しなければな らない。そ して公認会計士 の独 立性を高めるため上場企業及び財閥に対 して外部監査人選定委員会の設置が義務づ け られ るよ うになった。 これで財閥傘下企業 グループの連結決算が行われて公表 されることにな り,経営の透明性が確保 され るもの と期待 されている。連結財務諸表の導入時期 は当初の 2090年 か ら99事業年度 まで と早め られているoそ こで98年度中には連結財務諸表 の作成基 準を制定 し,企業会計基準 も国際的基準に合 うよ うに改正 されることになった。そ して上 - 18-韓 国の経済構造改革 (義ll) 5大財閥の構造調整計画 (1998年5月) 外資誘致 核心事業の選定 系列社 の調整 財務の改善 其他 _現代 2ドルの外資導入002年 まで85億 建設, 自動車,電子,重化学, 現代海上等の系列 か らの分9社 1比 率 を1999年 まセ負債94%に の私財を2大秩主(オーナー)002年ま 金融及びサー ビス 離 縮小 で出資2,819億 ウォ ン 三星 '98年 中 に50億ドル誘致 電子,ビス等金融,サー 電気,電管,コ- 負債比率を14- 5業 ニソグ3部品会 年197%,200992年9 国内不動産 (2兆1,000億 ウ オ 檀 社 の統廃合 124%に縮小 ソ相当) の売却 大字 20ドル誘致00年 まで70億 動車,重工業等■(秩)大字, 自 2000社を年 まで系列20社に縮小 負債比率を現在の413.8%か ら 輸 出支援及 び海中期資金支援, 主力育成 11999年 末 ま で67.5%に縮小 外同伴進 出の強化 LG 関連企業の売却を通 じて65億 ド 融,サー ビス部化学,電子,金 非主力業種の売却 負債比率を1年 ま で199%に ルの売却999 主要 オフィス ビ ルを調達 門 の 中 か ら- 4琴種 3 縮小 SK 持分の売却及び外資誘致により 報通信を主軸 とエネルギー,悼 系列社 を45ら10余社 に縮小社 か 1比 率 を200%以 物 出資及 び配当999年 まで負債 大株主株式の現 出所 :『IMF下の構造調整政策の点検 と課題
』
,韓国経済研究院,1998年 8月,25京Q 場 会社 は2000年第 1 ・4分期 よ り義務 的 に分期 報告 書 を作 成 す る ことに な って い る。 第2の原則 は グル ープ企 業相互 間 の債務保 障 を解 消す る ことで あ る。 これ は グル ープ企 業 間相互 出資 の縮 小 とともに企業 の資金 調達 力 を 「蛸足 型」 拡 張 のた め で は な く核 心部 分 を中心 とした企業発展 に集 中 させ よ うとす る もので あ る。 しか し財 閥企 業 の成 長 を支 えて て来 た相互債務保 障 を直 ち に解 消す る こ とは財 閥 自体 の経 営 破綻 , ひいて は国民経 済 の大 きな混乱 を招 くか も知 れ な い問題 で あ る。 だ か らとい って相 互債務保 障 の解 消 を いつ まで も延 ばすわ けにはいか ない。 それ は改革 自体 を遅 らせ る ことに な るか らで あ る。 改 正公 正 取 引法 ('98年2月)は30大 財閥 の新規財務保 障 と金融機 関 の系 列社債 務 入保要 求 を禁 止 す る と ともに,既存債務保 障 は2000年 3月 まで解 消す る ことを決定 した。更 に政 府-I
MF
間 の第 4期金融政策 に関す る合意 内容 に よれ ば,5大財 閥ぽ 98年 末 まで に異業種 間 のすべ て の相 互債務保障 を解 消 し,2000年 3月 まで に ほ同業種 間相 互債 務保 障 まで も完全解 消す る こ ととな ってい る。 第3の原則 は財務構造 の健全化 で あ る。 そ のた め に財 閥企業 は負債 償還 計 画 や予 想 され る現金 の流 れ及 び利子 負担 能力等 を主取 引銀 行 に提示 す れ ば,銀 行 は債 権者 として, 不 良 - 19-企業判定委員会 を設置 して,優良企業 と不 良企業を判別 し,前者 に対 しては支援をそして 後者 に対 してほ迅速 な退 出を誘導す ることにした。 そ して企業 に とって自己資本を
5
倍以 上超過す る借入金 の利子 は2000年 か ら経費 として認め られな くなった。第1次判定('98年 6月) の結果,5大財閥傘下企業20社 と6-30大財閥傘下企業20社を含む55社が退出対象 の不良企業 として指定 された。 これ ら退出対象大企業5
5
社の整理方式 は清算(
2
6
社),売却 (21) (13社),合併 (12社),其他 -指定管理 (4社)等である。財閥企業 の負債償還計画は所 有不動産等各種資産や一部企業 の売却 も含 まれている。銀行は債枚回収のための専担部署 を設置 し,外国人専門家を採用 しなが ら企業の リス トラ計画の評価 と債権回収能力の強化 を進めている。 企業構造調整 を円滑 に推進す るために各種支援制度 も活用 され るよ うになった。政府 は 会社整理法,和議法,破産法等倒産関連法 を整備 ('98年2月改正)し,引 き続 き法律の未 備点を補完 し企業整理手続 の迅速化のための制度改善を進めている。更に産業銀行等25の 金融機関によって設立 された('98年10月)1.6兆 ウォン規模の企業構造調整基金 は貸出金 の 出資転換や短期債務の長期転換等 を積極的 に支援 し,成業公社や金融機関は資産担保付債 券 の発行を活性化す ることによって資産の売却 お よび流動化を促進 し,そ して土地公社 ぼ (22) 98年10月まで3.5兆 ウォン程 の企業保有不動産 の買収を推進 した。 この様 な中で5
大財閥系列企業 は重複,過剰融資 を解消す るための9
業種の事業構造調 整 とともに系列全体の企業改善作業(
wo
r
ko
u
t
)
を併行 して推進 し,6-6
4
大財閥系列及 び 中堅大企業 は,既 に選定 された企業 お よび新たに追加 され る企業 を中心に債権銀行 と企業 間の協議 を通 じて企業改善計画を樹立 ・推進 し,そ して中小企業 は各銀行 の中小企業対策 班 が中心 にな り自救計画等を勘案 して企業改善作用 を推進す ることになった。 この様 にして第1次判定で退 出大企業 として指定 された5大財閥傘下20社を含む55社 の 中で,'99年5月現在,17社 は持分及 び事業売却,分社,債権団 との協議に よ り再生 し,ll 社 は合併,5社 は指定管理,そ して2
2
社 は清算 された。更に'98年10月には5大財閥主債権 銀行が追加選定 した退 出対象25社 の中で5社が清算又は売却,4社が合併 された。(表12) は5大財閥の負債比率縮小推進状況を表 した ものである.その間一定の実績をあげてい る ことは事実であ り,'99年末の200%以下 とい う目標達成は可能であると予想 されている。 しか しすべ てが順調に進 んでいる訳ではない。その中で特 に注 目されるのは大字の場合 である.大字ぼ 97年末∼'98年末 に負債が42兆8000億 ウォンか ら59兆9000億 ウォンへ と17兆 ウォンも増加 した。大字は拡大経営を続 けなが ら構造調整 は他の財閥に比べて1
年以上 も 遅れそ して事業調整 も遅れた。その中で大字ぼ9
9
年7
月に到 って11兆 ウォンにのぼる短期 債務の支払満期が到来す ることによって資金難が集中 し経営危機 に陥 った。財閥 ランチ ン グ第3位 の大字の破綻 は国民経済 に及ぼす影響 も大 きいoそ こで政府は債権金融機関を通 - 20-韓 国の経済構造 改革 く表12) 5大財閥の負債比率縮小推進現況 (単位 :%) 1997年 末 計 画1998年 末実 績 19(目標)99年 末 現代 5ケ2.3 - 449.3 199.7 三星 365.5 271.0 276.0 193.5 大字 473.6 - 527.0 199.5 LG 507.8 364.0 341.0 199.8 SK 466.2 377.3 354.9 199.7 注 :負債比率は資産再評価を除いた数値 出所 : 『今後の大企業の環境変化 と対応課題
』
韓国経済 研究 院,1997年7月,18頁。 じて4兆 ウォンの資金支援 を新た に始めた。 これ に対 して大字 は 自救計画 として(1)10兆 ウ ォ ンの追加担保 を債権団に提供す る, (2)大字 グル ープを 自動車 と㈱大字 中心 の専 門 グル ー プに再編成 し,余他系列社 は独立法人化 を推進す る, (3)現会長 は経営正常化後経 営陣 か ら 引退す る, とい う案 を提示 した。 これ に対 して債権 団は構造調整実績 が不振 の場 合,担保 を処分 しグル ープを強制解体す る方針 である(23)0 他方6
大財閥以下中堅大企業 につ いては,企業改善作業対象企業 として,83社 が追加選 定 されたが,その 日放計画 の遂行実績ぼ 95年5月現在,資産売却110/0,人員 削減500/.と不 振状態 にある。中小企業 については,'98年末 まで満期延長,新規支援,金利優待 を通 じて 総計42.4兆 ウオソにのぼ る資金 を援助 した。 第4の原則 は核心企業 を中軸 とす る財閥企業 グル ープの再編成 であ る。 これ は非 関連産 業部 門の多数 の企業 か ら成 り立 ってい る財閥企業 グル ープを核心企業 を中心 とす る関連産 業企業 グループに再編成す ることに よって,財 閥の 「蛸足型」拡張指 向性 と過剰 ,重複投 資 の要因をな くし,経営資源 を主力部門 に集 中 して企業 の経営効率そ して究極的 には競争 力 を高め よ うとい うものである。 そのために財閥 は,それぞれ 自分 の核心事業分野 を設定 し,債務改善約定 に照 して,企 業改善作業 をす る時 には,非主力企業 を果敢 に整理 しなけれ ばな らない。 それ は財 閥間 の 大型業種交換, いわ ゆる ビックデ ィールを含む もので あ る。特 に多 くの業種 にわ た ってそ れぞれ大企業 を競合的に もっている5
大財閥の場合,核心事業部 門中心 の企業 グル ープ再 編成 に当 って, ビックデ ィールは重要 である. しか し ビックデ ィールは,財閥の産 業的基 盤 を大 き く再編成 し将来的 には財閥相互間の相対的地位 に大 きな影響 を及 ぼ し うる もので あ って,特 に事業多角化を広範 に推 し進 め多 くの産業分野で競合す る大企業 を も ってい る5
大財閥 に とっては重大 な ことである。従 って核心事業部門中心 の企業体制造 りの必要 性 - 21-ほ認めなが らも,
5
大財閥が大型業種交換を自発的 に協議 して進めることは実際 において はそれ程容易な ことではない。そ こで政府は ビックデ ィールを5大財閥の 自主性 に任す と しなが らも,必要 な政策手段 と政治力 を動員 し強力 に誘導 しているのである。 この様 な中で5
大財閥 は協議 を重ね'
9
8
年9
月に相互 の事業構造調整 につ いて合意 した 内容を発表 した。その内容は (表1
3
)
にまとめ られ ている。合意では事業構造調整の方法 は ビックデ ィールよ りもコソソーシュムとい う折衷方式 になっているが,9つの事業分野 で既存 の企業体制を大 き く再編成 し,5大財閥の事業構造 も大 きく再構築す ることになっ ている。合意 された事業構造調整が実現 されれば,それぞれの事業分野で よ り強力な企業 体制が構築 され,過剰,重複投資を回避 しなが ら経営資源をよ り効率的に利用す ることに よって企業 の国際競争力 は大 き く高 まることが期待 されている。特に各事業分野で合併に よ り単一法人 として営業す る企業 は積極的に外資を誘致す るとともに,既存の財閥体制で 紘,実質的 にはなかった専門経営者体制を確立す ることになっている。 事業調整 は,関連事業分野 における企業体制 を大 きく再編成す るよ うな重大 な変草を伴 うものである。そ して,それ は関連企業間における利害関係の鋭い対立や大規模 な リス ト ラを伴 うものである。従 ってその推進 は容易なことではない。例 えば半導体部門における 現代 とLGの間でみ られた よ うな責任経営主体の決定や被合併企業の株式評価をめ ぐる葛 蘇,電子部門における大字の場合のよ うに被合併企業の従業員の反掻,そ して自動車部門 の三星 にみ られた よ うな被合併企業傘下の多数の下請部品 メーカーの不安 ・反擬等,事業 調整 に伴 う企業間及 び企業 内部の葛藤,摩擦 は社会的にも大 きな問題 としてと り上 げ られ た。更に事業調整を推進す るに当 って企業 は政府 に対 して出資転換,税金の減免,優待金 利 の適用,短期負債 の長期転換,新規 の資金支援等 を要求 している。税制 ・金融を通 じた 政府の支援 に対 しては特定財閥,企業への特恵賦与 であるとい う与論 の強い批判 もある。 この様 な中で事業調整 は,余曲折を経 なが らも,合意後1
年後の'
9
9
年9
月現在 まで精油, 半導体,鉄道車軸等の3
業種で完了 し,航空機,船舶用エ ンジン,発電設備 は1
0
月完了を 目標 に進 めている。石油化学 は今後 に課題 を残 してお り, 自動車は霧散 した。事業調整 に (24) 係わ る今後の課題 としては債権団の出資転換や外資誘致業があげ られている。 第5の原則 は支配株主及 び経営者の責任性強化 とい う企業の支配構造即 ち, コーポ レー トガバナ ンスに係 る問題である。財閥オーナーは, 自身の株式持分は大 き くないにも拘わ らず,系列社 の相互持合い持分 と併せ持つ ことによって高度の資本支配を実現 し,それ に 基づいて強力 な経営支配を して来た。 オーナーのグループに対す る統制力は絶大で,新事 業への進 出等企業の重要 な意思決定 は究極的にはオーナーの判断によって行われた。絶 大 な統制力 を持 ったオーナーの主観的,直観的 な,その意味で非合理的 な意思決定 に基づ い\ て遂行 された企業者活動 によって韓国の企業 は成長 し今 日の財閥体制が形成 されたので あ ー 22-韓 国の経済構造改革 (表