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ソーシャルワーク教育における実習指導体制に関す る研究

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(1)

ソーシャルワーク教育における実習指導体制に関す る研究

その他のタイトル A Study on System of Practicum in Social Work Education

著者 福田 公教, 岡田 忠克

雑誌名 人間健康学研究 : Journal for the study of health and well‑being

巻 5‑6

ページ 47‑55

発行年 2013‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00023263

(2)

ソーシャルワーク教育における 実習指導体制に関する研究

福田公教• 岡 田 忠 克

Abstract 

This article examines the framework and the foundation of the contents of the social work practicum  in an amendment to the Certified Social Workers and Certified Care Workers Act in 2007. In order to  consider the future system of social work practicum supervision, the purpose of this article focuses  especially on the roles and the issues of teachers, field instructors, and students. 

As a result, it is revealed that supervision of certified social workers is not clearly defined; therefore,  in this article, it  is  defined that "social work practicum supervision is  a process of training a certified  social worker based on providing three functions such as management, support, and education for  students by teachers and field instructors". In other words, a student receives double supervisions from  teacher and a field instructor in the social work practicum. In additionasissues of double supervi sions, this  study examines the ways of visit instruction and the contents of social work practicum  program in the system of the social work practicum. 

1  はじめに

実習はソーシャルワーク教育において、学生が理 論的枠組みと技術を具体的な実践を通して修得する ものであり、その中核をなすといわれている(賓田 2009: 65)。社会福祉士養成に関わる実習、実習指導 の研究については、 1987年の資格法制定以降にその 数が飛躍的に増加していることや実習内容の質を担 保する議論が高まってきたことが指摘されている(柳 2006:94)。さらに、 2007年の法改正の後に実習、

実習指導の実際についての研究が活発となっている。

具体的な研究内容については、各論者の所属する 大学の学生、もしくは特定の大学に関わる実習指導 者を対象としたものが中心となっているところに一 つの特徴がある。荒木 (2012)は、学生と実習指導 者の関係について、高梨 (2012)は、実習の導入教 育について、福富・坂下 (2010)は、実習における 巡回指導における教員の役割と課題について、論者 の所属する大学における実習、実習指導の効果につ いて考察している。同様に、寺田ほか (2012) 実習の課題について、所属する大学の実習に焦点を 当て、実習巡回および帰校日指導について実習指導 者の視点について調査を行っている。小川・矢野

(2007)も同じく所属する大学の実習に焦点を当て、

スーパービジョンにおける教員の役割について調査 を行っている。

これらの論考は、実習、実習指導について特定の 養成校もしくは実習担当教員の事例を考察したもの であり、これらの結論を一般化する際、一定の課題 を有している(福富・坂下2010:28)。また、実習 の一側面を取り分けて論じたものであり、実習、実 習指導体制全体の考察を意図したものではなかった。

実習、実習指導体制全体の考察について、原田ほ (2010)は、教員、実習指導者、学生の連携につ いて、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士の それぞれの実習から現状と課題について論じている。

社会福祉士養成における実習の現状を論じる中で、

実習内容の整備について、養成校および養成校の実 習指導担当教員、実習生、施設・機関の実習指導者 の三者間の連携が大きな鍵である(原田ほか2010:

191)と指摘している。

そこで本稿では、まず2007年「社会福祉士及び介 護福祉士法」改正における実習教育の内容を概観し た上で、実践力の向上を目指した実習のあり方につ いて、実習指導体制のあり方を考察する。とくに養

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48 

人間健康学研究 第

5・6

合併号

成校の実習担当教員、実習先の実習指導者および学 生の三者の役割および課題に焦点を当てて考察する。

I I

  2007年「社会福祉士及び介護福祉士法」改正に おける実習教育の内容

2007年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が1987 年の制定以降初めて改正された。これにより社会福 祉士の定義が改められ、養成カリキュラムが大幅に 改訂された。とりわけ、大学における社会福祉士養 成において、実習、実習指導の意味とその構成に大

きな変革が起こることとなった。

l.  社会福祉士の定義

2007年の法改正により、社会福祉士の定義が見直 された。従来「身体上若しくは精神上の障害がある こと又は環境上の理由により日常生活を営むのに支 障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導 その他の援助を行うことを業とする者」(法第2 とされていたものが、「身体上若しくは精神上の障害 があること又は環境上の理由により日常生活を営む のに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、

指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の 保健医療サービスを提供する者その他の関係者との 連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者」

と改定された。

この改正により、ソーシャルワークにおけるコー デイネート機能も相談援助に含めて考えるようにな った(福富・坂下2010:18)や従来の定義は個別援 助を強く意識したものであったものが、改正後の定 義では地域のネットワーク構築等の従来から取り組 まれていた実践も相談援助の範疇として認識される ようになった(中村ほか2008:14‑16)ととらえら れている。

2. 新カリキュラムにおける実習・実習指導教育 の枠組み

1)国レベルの指針

今回の法改正に伴い、従来、自由裁量が認められ ていた大学における実習、実習指導の内容に一定の 要件が課せられることとなった。.その意図するとこ ろは、従来から社会福祉士制度の課題の一つとして、

実際の社会福祉士の養成の中で、必ずしも社会福祉

士として求められる高い実践力を有する社会福祉士 が養成されていないのではないか(社会保障審議会 福祉部会2006:22)との認識があり、実習のあり方 について、実習の質の担保および標準化を図ってい く(社会保障審議会福祉部会2006: 24‑26)ことと されている。

具体的に見直された実習教育の主な内容について は、①科目名称および実習教育時間数の変更、②実 習担当教員の要件の厳格化、③実習担当教員の配置、

④実習指導室(教室)の配置、⑤実習科目の授業形 態等があり、実習、実習指導教育の標準化が目的と されている。また、より具体的な教育内容について は、「大学等において開講する社会福祉に関する科目 の確認に係る指針について」(厚生労働省社援発第 0328003号)に示されている。

指針の中で実習に関する事項としては、以下のこ とが示されている。

①巡回指導について

実習先は、巡回指導が可能な範囲で選定するとと もに、実習担当教員は、少なくとも週1回以上の巡 回指導を行うこと。これにより難い場合には、実習 期間中に少なくとも 1回以上の巡回指導を行う場合 に限り、いわゆる帰校日指導を実習施設との十分な 連携の下、行うことができる。

②科目名称および実習の時間数の変更

従来の社会福祉援助技術現場実習指導は相談援助 実習指導に、社会福祉援助技術現場実習は相談援助 実習にそれぞれ名称が改められた。実習の時間数は 相談援助実習指導に90時間、相談援助実習に180 間と従来どおりの時間数であるが、ただし相談援助 業務の一連の過程を網羅的かつ集中的に学習できる よう、 1の施設において120時間以上行うことを基 本とすることとなった。

③実習先と協議・確認を行う事項

実習内容、実習指導体制および実習中のリスク管 理等については実習先との間で十分に協議し、確認 を行うこと。

④実習先との連携について

各実習施設における実習計画が、当該実習施設と の連携の下に定められていること。

以上のように、大学と実習施設・機関が巡回指導・

帰校日指導をはじめ、実習に関わるあらゆる局面に

(4)

ソーシャルワーク教育における実習指導体制に関する研究(福田・岡田)

49 

おいて、国レベルの指針において、これまで以上に これまでも大学側と施設側の相互乗り入れ教育の必 実習担当教員と実習指導者が協議・連携することが 要性(白澤2003: 3334)が指摘されたり、より有 求められている。 意義な実習を行うための学生も含めた三者連携の充

2)日本社会福祉士養成校協会の指針

今回の法改正は、もともと養成校関係者から提起 されたものであり、このことは実習・ 演習教育の標 準確立に向けた取り組みとして極めて重要である(諏 2009:iii)と指摘されている。日本社会福祉士養 成校協会では、 2008年度から厚生労働省の委託によ

り社会福祉士実習演習担当教員講習会を行ってお り、その際テキストとして、日本社会福祉士養成校 協会編 (2009)『相談援助実習指導・現場実習教員テ キスト』が使用され、実践的な社会福祉士養成教育 を行うための最低基準としての意味合いがある(白 2009:i)とされている。

具体的には実習指導について、①現場における実 習効果を最大限にするための事前の準備を入念に行 うこと、②実習中における効果的な教育スーパービ ジョンを行うこと、③実習後における実習経験の効 果的な定着を図ること、といった実習前・中・後の 一貫性を持った教育が求められている(米本2009: 80)。その上で、実習担当教員には、①実習教育マネ ジメントカ、②実習教育プログラミングカ、③実習 教育スーパービジョン能力、④社会福祉士像の伝達 能力が求められている(米本2009: 8891)

これらの前提になるのが、実習とは明確な目標を 持つ教育活動であり、実習の責任は第一義的に養成 校にあるということである。その上で、実習担当教 員と実習指導者は、実習目標・内容・指導方法につ いて共通認識を持ち、実習指導における連携・共同 のパートナーとして機能することが求められている

(諏訪2009:iv‑v)

以上のように、実習、実習指導における教育内容 の標準化と実践力のある社会福祉士の養成を目指し て、日本社会福祉士養成校協会の標準テキストでも 実習担当教員と実習指導者の連携が求められている。

3. 新カリキュラムにおける実習・実習指導教育 の課題

このように、今回の法改正では繰り返し実習担当 教員と実習指導者の連携の必要性が指摘されている。

実の必要性(小川・矢野2007:94)が指摘されてい る。このことは、実習を実習施設に「お任せ」とも いえる実態が一部に見られたこと(諏訪2009:iv 山口2008:40)への反省や実習現場の多忙さから教 員が実習先を訪問しても指導者に会うこともできな かったり、教員も訪問時に挨拶のみで具体的な話も できずということが少なからず散見された(小川・

矢野2007:94)ことへの反省がある。

法改正をうけての実習教育の課題について小川 (2010 : 7576)は、以下のように整理している。実 習マネジメントにおいては、教育現場側と実習現場 側双方での話し合いを行い、実習指導内容の明確化、

それに伴う具体的な指導内容を含む計画が求められ ている。実習教育プログラミングにおいては、いく らミニマムスタンダードが提示されたとしても、教 育内容の運用、指導方法に関しては、各教育現場側 と実習現場側の裁量に任されている部分があり、共 通した認識を持って取り組むことが課題となってい る。また、スーパービジョンにおける教育現場と実 習現場の連携の必要性等が指摘され、とりわけ、教 育現場と実習現場の二重のスーパービジョンの整備 が課題として取り上げられている。

Ill  二重のスーパービジョン

1.  スーパービジョンと実習スーパービジョン ソーシャルワーク理論におけるスーパービジョン の定義については、論者によってそれぞれの視点か ら論じられており、多様な見方がある。福山・萬歳 (2005 : 195197) 6人の論者のスーパービジョ ンの定義を分析し、その特性を過程と方法に二分で きるとした上で、「ソーシャルワーク・スーパービジ ョンとは、管理、支持、教育という三機能を提供す ることにより実践家の社会化の過程を含む、専門職 育成の過程である」と整理している。

その上で、福山・萬歳 (2005: 204208)は、第1 の管理機能とは、①職務・職責、役割・機能を確認 する、②業務・援助行動の計画性を確認する、③業 務・援助の考え方や視点に社会福祉の理論を活用し たかを確認する、④業務・援助の効果予測を確認す

(5)

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人 間 健 康 学 研 究 第

5・6

合 併 号

ることとしている。第2の教育機能とは、管理機能 における①〜④についての不足部分を確認する。つ まり、組織運営、会議運営、企画や記録管理の仕方、

援助計画の立て方、個別、集団支援計画の仕方を教 え、その能力の向上を図ることとしている。第3 支持機能とは、管理機能における①〜④にまつわる 悩み、不安、自信喪失を確認し、スーパーバイジ一 とスーパーバイザーが、スーパーバイジーのできて いるところ、良いところ、これから伸ばして欲しい 能力をともに理解し、認めることとしている。

このようなスーパービジョンのとらえ方について 藤林 (2008: 245)は、そのまま実習生のスーパービ ジョンにも応用可能であるとしつつも、実習生への 実習中の指導を実習指導というか、スーパービジョ ンというかについては明確な定義はないと指摘して いる。このことについて、田村 (2008: 232233) 社会福祉士及び介護福祉士法法制定当初、実習指導 者をスーパーバイザーと呼ぶことはなかったことを 指摘し、その後数年のうちに大学教育現場での使用 により、現場に広がってきたとの印象を述べている。

日本社会福祉士養成校協会編 (2009)『相談援助実 習指導・現場実習教員テキスト』は、社会福祉士養 成教育の最低基準の意味合いを持つとの見方がある。

その中で米本 (2009: 83)は、社会福祉士養成を専 門職の再生産ととらえるならば、その資格を有する 者が実習指導者(スーパーバイザー)になるべきと いう原則が成り立ち、実習指導者は、すなわちスー

パーバイザーであると指摘している。また、川上 (2009: 172)は、スーパービジョンとは、ほぼ実習 教育に置き換えて読んで構わないが、教員が学生に 対してよりスーパービジョン的な関わりをするとい う点を強調する意味でこの用語を用いていると指摘 している。

以上のように、社会福祉士養成における実習、実 習指導におけるスーパービジョンについては、明確 な定義がなされているわけではない。本稿では、実 習スーパービジョンとは、「実習担当教員および実習 指導者が相談援助実習指導を履修している実習生を 対象に管理、支持、教育という三機能を提供するこ とにより社会福祉士を養成する過程である」と定義 することとする。つまり、米本 (2009:87)が指摘 するように、実習生は実習担当教員と実習指導者か ら二重のスーパービジョンを受けることとなるので ある。

2. 二重のスーパービジョンにおける三者の役割 1)二重のスーパービジョンとは何か

実習スーパービジョンでは、実習前、実習中、実 習後の一貫したスーパービジョンが展開されなけれ ばならない。実習前・実習後のスーパービジョンは、

実習担当教員が中心となって行う。また、実習中の スーパービジョンは実習指導者が中心となって行う が、実習巡回および帰校日指導では、実習担当教員 によりスーパービジョンが行われるため、実習中は

スーパーバイジ一

(実習生)

実習スーパ

炒 ョ ン ] : 実習ヌーパーピジョン 、1

スーパーバイザー スーパーバイザー

(実習指導者) 連 携 (実習担当教員)

出所:村井美紀(

2009:216)

を基に一部改変.

l実習スーパービジョンの構造

(6)

ソーシャルワーク教育における実習指導体制に関する研究(福田・岡田)

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実習担当教員および実習指導者の双方の緊密な連携 が必要とされる。

このように、実習スーパービジョンにおける二重 のスーパービジョンとは、スーパーバイジーである 実習生が、実習前、実習中、実習後において、実習 担当教員および実習指導者の双方からスーパービジ

ョンを受けることを意味している(図1)

2)実習スーパービジョンの機能

小川 (2010: 8182)は、実習スーパービジョンを 機能別に整理している。ここでは、小川の論考を参 照し、二重のスーパービジョン体制下における実習 担当教員、実習指導者および実習生のそれぞれの視 点から 3つの機能について再考することとする。

①管理機能

実習スーパービジョンにおける管理機能を福山・

萬歳 (2005:204208)に準じて整理すると、①実習 生の職務・職責、役割・機能を確認する、②実習の 計画性を確認する、③実習の考え方や視点に社会福 祉の理論を活用したかを確認する、④実習の効果予 測を確認することとなる。

a)実習生の職務・責任、役割・機能の確認 実習生の職務・責任、役割・機能の確認とは、ニ 重のスーパービジョン体制の中で、そのことを明確 にすることである。実習では、実習生は養成校に所 属する学習者としての役割と実習先の組織の一員と しての役割を担うこととなる。その上で、実習先に おける情報へのアクセス等の実習生の責任の範囲を 明確にし、二重のスーパービジョン体制の中で、実 習生がスーパーバイジーとなることを意識づけしな ければならない。

ここでの実習担当教員の役割は、まず実習前に実 習指導の授業展開の中で、実習生に対して事前指導 を行い、二重のスーパービジョン体制下における実 習生の全般的な職務・責任、役割・機能を確認する ことである。また、実習中は、巡回指導および帰校 日指導の時間を通して、実習生が適切に役割を果た しているかを確認することになる。実習指導者は、

実習先における実習生の立場や責任範囲を実習生と 確認しなければならない。これは、実習前の事前訪 問時に、基本事項を説明した上で、実習中は構造的 およぴ必要に応じた臨時的な面談と記録を通して行

われる。実習生は、必要に応じて分からないことを 自ら実習指導者および実習担当教員に相談すること が求められる。実習担当教員と実習指導者は、実習 生の役割について、養成校からの期待と実習先での 期待の相互理解を図るべく連携を取ることが求めら れる。

b)実習の計画性の確認

実習スーパービジョンでは、実習計画書およぴ実 習先ごとの実習プログラムにより、実習の目的・計 画・実習内容・具体的効果を明確にすることが求め られる。実習担当教員は、実習前に実習指導の授業 の展開の中で、実習計画書の作成を指導し、実習生 が実習前の事前訪問を行った際の実習指導者からの フィードバックを基に必要に応じて実習計画書の方 向性を修正する。実習担当教員は、実習中に巡回指 導および帰校日指導の際に、実習が計画に沿って行 われているかを確認し、必要に応じて学生への指導 を行い、実習指導者との連携の下、計画の修正を図 る。実習指導者は、実習先ごとの実習プログラムを 作成し、それに基づいて実習生の実習計画書の方向 性を修正する。実習中は、毎日の実習計画が実習プ ログラムおよび実習計画書と整合性があるかを確認 する。

c)実習の考え方や視点が社会福祉の理論に立脚して いるかの確認

実習スーパービジョンにおいて、学生が作成した 実習計画書および実習先が準備した実習プログラム によって行われる具体的な実習内容が、社会福祉の 価値・知識・技術に立脚したものであるかを確認す る。実習指導者は、主として実習生との面談や記録 を通して、実習生の実習内容を確認することが中心 となる。実習担当教員は、実習中の巡回指導およぴ 帰校日指導の中で、実習生の実習の考え方や視点を 確認することとなる。これに加えて、実習担当教員 は、実習後に実習生の実習内容を振り返る際にスペ シフィックな実習先で行われた実習をより一般化し た社会福祉の援助の中での意味を問い直し、確認す る作業が求められる。

d)実習の効果予測の確認

実習の効果予測の確認は、実習スーパービジョン における評価機能を意味している。実習担当教員は、

実習計画書を学生が作成する際に学生と共に実習の

(7)

52 

人間健康学研究 第

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合併号

見通しを立て、実習の効果と限界を考える。実習中 んでいるときに、何に悩んでいるのかを明らかにし、

においては、実習指導者は実習担当者と連携し、実 その気持ちを受け止めるとともに、前向きに実習に 際の実習内容の効果を予測しながら、必要に応じて 取り組めるように支えることである。

中間評価を行い 、最終的な実習の評価を付けること となる。実習後は実習担当教員が中心となり、行っ た実習内容について振り返りを行う。

②教育機能

教育機能は、前述の管理機能の

4

点における不足 部分を確認し、スーパーバイザーの専門的知識・技 術で補うことである。ここでの教育とは、新たな知 識、技術を教えることだけでなく、今まで得てきた 知識、技術を実習内容に結びつけ、すでに実習に用 いられていることを意識化させることであり、今後 学ばなければならない内容や分野を示唆することも に含まれる(福山・萬歳

2005:207)

。実習担当教員 および実習指導者は、実習中に実習生の実習体験が 社会福祉のどのような理論や技術によって行われて いるかを実習生が認識できるように後押しする。

③支持機能

支持機能とは、実習生が実習が上手くいかずに悩

不明

10

(37.0%) 

≫ 

そ げ

分野ごと

14

(51.9%) 

2

実習指 導クラスのパタ ーン

IV 

二重のスーパーピジョンの現状と課題 ここでは、二重のスーパービジョンの現状を把握 するために、日本社会福祉教育学校連盟近畿プロッ

ク支部 ・ 日本社会福祉士養成校協会近畿プロック

(2011)

が行った調査

I)

のうち、二重のスーパービジ ョンに関連のある項目を取り上げて、考察していく こととする。

1. 

各養成校における新カリキュラムに基づく実 習指導の実施体制

各養成校における新カリキュラムに基づく実習指 導の実施体制であるが、実習指導のクラスのパター ンは「分野ごと」が 51.9%で最も多く、半数を超え ていた。「混合」は 3.7%であった(図 2 )。

実習指導における教員一人あたりの学生数は、「

10

名以下」が

44.4%

と最も多くなっていた。次いで、

10

名以下

12

(44.4%) 

15 20

名 6 校

(22.0%) 

10 15

名 9 校

(33.0%) 

3

教員一人あたりの学生数

その他

3

訪問

1

(130%

帰校3 回 専任教

8

校 不明 、 . . . . .   員のみ

訪問4 回 I"

(29.6%

1

13

3

(48.1%) 

(13 0%) 

118.H

4

担当教員の構成 図

5

巡回指導の方法

(8)

ソーシャルワーク教育における実習指尊体制に関する研究(福田•

53 

1相談援助実習のプログラム内容

値と割合

実習担当教員と実習指導者が協議 3  (11.1%)  実習担当教員、実習指導者および学生の 3者で協議 1  (4.4%)  実習計画書を基に学生と実習指導者で協議 4  (14.8%)  実習先への実習プログラムモデルの提示 3  (11.1%)  実習懇談会時に実習プログラムの話し合い 1  (4.4%)  実習先との研究会 1  (4.4%)  実習前の打ち合わせ会 2  (8.7%)  実習先の実習プログラムで実習 1  (4.4%)  実習懇談会および実習担当教員と実習指導者が協議 5  (18.5%)  その他

/.:,. 

「10 15」 33.0%、「15 20名」 22.0%となって いた(図 3)

実習指導における担当教員の構成は、「専任教員の み」および「専任教員と非常勤講師」が 48.1%とな っており、ほぼ2分していた(図4)

2.  各養成校における巡回指導の方法

各養成校における巡回指導の方法は、「実習訪問2 回と帰校日指導 2回」が 33.3%と最も多かった。次 いで、「実習訪問 1回と帰校日指導 3回」 29.6%、「実 習訪問 4回」 13.0%であった(図 5)

3.  実習のプログラム内容

実習のプログラム内容は、アンケートにおける記 述を再集計し、表1としてまとめた。全体の中で最 も割合の高かったのは「実習懇談会および実習担当 教員と実習指導者が協議」の 18.5%であった。次い で、「実習計画書を基に学生と実習指導者で協議」

14.8%、「実習担当教員と実習指導者が協議」および

「実習先への実習プログラムモデルの提示」がそれぞ れ 11.1%であった。

4.  二重のスーパービジョンの課題

1)各養成校における新カリキュラムに基づく実習 指導の実施体制について

各養成校における新カリキュラムに基づく実習指 導の体制については、半数以上の養成校において、

分野ごとの実習指導が行われている。このような分

2  (8.7%)  23  (100.0%) 

野ごとの実習指導体制が行われることによって、実 習前の実習指導の展開の中で、実習生の職務・責任、

役割・機能を明確にするプロセスでは、特定の実習 先に対する理解を深めることができると考えられる。

具体的な施設や機関の機能や役割を理解し、そこで 実践を行うソーシャルワーカーを前提に実習計画書 を作成することとなるからである。一方で、実習後 の実習指導の展開においては、実習の考え方や視点 が社会福祉の理論に立脚しているかの確認を行う必 要がある。この際、特定の実習先で行われている実 践をより一般化したソーシャルワーク援助という枠 組みの中での理解を深めていく必要がある。この点 については分野ごとの実習指導を前提とする場合、

ふり返りの方法への工夫や実習報告会を活用してい くことが必要となる。

次に、教員一人あたりの学生数については、 10名 以下が約4割を占め、 15名以下を含めるとほぽ8 の養成校が占めることとなる。教員あたりの学生数 は、国の基準である 20名以下と比較して、低く抑え てあることが分かる。このような教員一人あたりの 学生数を少人数にすることによって、実習担当教員 と実習指導者よるよりきめ細かい指導や連携を促進 していくことが期待される。

担当教員の構成については、専任教員のみと専任 教員と非常勤がほぼ二分する形となった。教員一人 あたりの学生数を少人数にするような実習指導の体 制を考慮する際、養成校における教育が専任教員の みで完結することは難しいことが考えられる。この

(9)

54  人間健康学研究

5・6

合併号

ような現実を勘案すると、担当教員の構成について は専任教員と非常勤講師という体制が今後さらに増 えていく可能性が高い。その際は両者の間で指導方 針を共有するなどの連携をより強化していくことが 求められている。さらに、実習指導体制の中で、教 員間の連携や実習指導者との関わりにどのような影 響があるか検討する必要がある。

2)各養成校における巡回指導の方法

各養成校における巡回指導の方法については、実 習訪問2回と帰校日指導2回が約3割であり、実習 訪問1回と帰校日指導3回を含めると約6割を占め ることとなる。国レベルの指針において、巡回指導 については、実習先を巡回指導が可能な範囲で選定 するとともに、少なくとも 1回以上の巡回指導を基 本としている。それにより難い場合に帰校日指導が 認められているが、多くの養成校では、帰校日指導 を前提とした体制を組んでいる。

この実態を前提にするならば、最も実習担当教員 と実習指導者の連携が必要となる実習中のスーパー ビジョンのあり方について、帰校日指導を前提とた 連携のあり方を検討していくことが求められる。と りわけ、実習の計画性の確認に焦点を当てた場合、

実習前と実習後の連携も含めて、実習計画および実 習プログラムの検討を行う必要性がある。

3)実習プログラムの内容

実習のプログラム内容については、実習懇談会お よび実習担当教員と実習指導者が協議が約2割を占 めていた。実習担当教員と実習指導者が協議も含め ると約3割の養成校において、実習担当教員と実習 指導者の間で協議が行われていた。一方で、実習計 画書を基に学生と実習指導者で協議や実習懇談会時 に実習プログラムを話し合うといった、特定の実習 生の実習に関して、実習担当教員と実習指導者が間 接的に協議を行う養成校もある。また、実習先への 実習プログラムモデルの提示や実習先の実習プログ ラムで実習といったほぽ丸投げと受け取れる養成校 もある。実習プログラムの検討方法として、理想的 である実習担当教員、実習指導者および学生の 3者 で協議については、 4.4%と低調であった。

実際の実習場面において、今回の法改正における

ミニマムスタンダードは実習担当教員と実習指導者 の裁量のもと、実習先および実習生の特性を考慮し ながら、両者の連携の基に咀噌されなければならな いものである。このことは、個々の学生の実習の効 果予測を確認していく作業とも通底しており、実習 指導体制を考慮する際、改善が求められる領域であ

おわりに

今回の法改正によって、社会福祉士養成における 実習、実習指導は実践力もしくは標準化をキーワー ドに大きな変革が起こった。本稿では、ソーシャル ワーク教育における実習指導体制に関して、とりわ け、二重のスーパービジョン体制を明らかにした上 で、そこに含まれる課題を明らかにした。しかしな がら、スーパービジョン体制に焦点を当てたため、

二重のスーパービジョンにおける支持機能について は、十分な検討ができなかった。実習は、実習先で 生活する社会福祉対象者である利用者を抜きに成立 しない。実習のあり方については、このような実習 生、実習担当教員および実習指導者の三者からの視 点からだけでなく、利用者の視点から検討すること の必要性がある。以上の点については、今後の課題

とした。

1)本調査は、日本社会福祉教育学校連盟近畿プロック 支部および日本社会福祉士養成校協会近畿プロックに 加盟している56の養成校(賛助会員も含む)を対象 に、質問紙を用いたアンケート調査で実施された。調 査の期間は、 2011年 9月 24日から 2011年 10月 11日 で、有効回答数は27,回収率は48.2%となっている。

なお、本調査の実施およぴ集計は、関西福祉科学大学 の野村恭代氏と大阪市立大学大学院の鵜浦直子氏が担 当している。

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