生産関数についての一考察 : Set Theoretical Methodを中心として
その他のタイトル A Consideration on Production Function
著者 神保 一郎
雑誌名 關西大學經済論集
巻 10
号 4
ページ 406‑432
発行年 1960‑12‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/15541
406
にあり︑それとアナロガスな方法で生産の理論が結び付けられて︑一般均衡理論への道が開かれているのに対し 線型経済学と普通広く考えられているものの内容は︑
プログラミング︑一般均衡理論等々であり︑ アクティヴィティ・アナリシス︑投入産出分析︑リニア・
そこで中心的な役割を演じているのは常に生産関数なのである︒即ち
ヒックスの﹁価値と資本﹂を近代経済学の︱つの輝かしい頂点と見るならば︑
て︑現代ではアクティヴィティ
(A ct iv it y)
の分析を中心とした生産の理論が先づその方法的基礎を提出し︑
アナロガスな方法で需要の理論が設定され︑不動点定理を中心とした一般均衡理論へと結集されている︒
一方投入産出分析ではオープン・モデルを前提とすれば最終需要の変動に対して投入係数が如何なる変化を蒙る
( 1 )
かを示すのがサムエルソン
(S
am
ue
ls
on
)
の代替定理であり︑又価格の変動に対して如何に投入係数が変動するかを
探究するのがアクティヴィティ・アナリシスの問題である︒
生 産 関 数 に つ い て の
神
│
S e
t T
h e
o r
e t
i c
a l
M
et
ho
d
;t
<:
J中
︐ヽ
心と
して
ーー
ー
その分析の重点はむしろ需要の理論
それと
考 察
保
六八
郎
生産
関数
につ
いて
の一
考察
︵神
保︶
ここで︐は産出量であり︑
V1 ヽ
VZ…•…••Vmは投入量である。
六九
この生産関数は次の性質を持つものと一般に仮
X 1
1
f
(V 1,
V
2,
⁝
⁝
⁝
90m)
る ︒
︵しかし例え結合生産の場合にあっても議論の本 リニア・プログラミングは投入産出分析がマクロ・アナリシスであるに対してミクロの分野にアクティヴィティ・アナリシスにおける生産関数を利用したものであり︑この新しい分析の
T o o l
が操作可能な変数を以て構成され
うる点に着目して企業経営の計画の問題を解こうとするものである︒
だから線型経済学が現代経済学の代名詞の如くに扱われている昨今にあっては生産関数の重要性は理論経済学の
中において益々大であると言わねばならない︒ケインズ︑ヒックスを頂点とする近代経済学がその努力を需要の理
論に集中したに対して︑現代の経済学はそれを生産の理論に集中していると言いえないであろうか︒
註
(1 )
"
Ab
st
ra
ct
of a
Th
eo
re
m Co
nc
er
ni
ng
Su b s ti t u ta b i li t i n y O
pe
n L
eo
nt
ie
f Mode
ls
, ••
T ja l l in g C•
Ko
op
ma
ns
d . e
Ac
ti
v ,
さ,
An
al
ys
is
of
r P
od
uc
ti
on
a
nd
Al l o ca t i on .
1 9
5 1. chapter
v n
pp
.1
42
ー
14
6
一
︑ 伝 統 的 生 産 関 数
ある変数の価が与えられれば︑他の変数の価が決定される時この二つの変数は関数の関係にあると言われる︒生
産にあって投入量が与えられれば産出量が決定される点に着目して生産の関係を示そうとするのが生産関数であ
以下の議論では単純化のため結合生産のない場合を考えよう︒
質には何ら変化はないであろう︒︶そしてこの場合︑生産関数は次の型で示される︒
(1・1)
408
であ
る︒ (1
・ 2 )
式の条件を考慮すれば常に負であり︑
競争の仮定︶︒ここで生産費を
71
1 W
1 V 1
+
U2 02 +⁝
⁝ +u m0 m
さ て の 価 格 を
P
とし
︑ 冗とすれば
V1 ヽ
む⁝⁝⁝
V m
の価格を
w~
等産出量曲線は原点に対して凸であると仮定される︒ この事は等産出量曲線が右下りである事を意味する︒更にこの
であ
る︒
信
1 1
ー g
[
\
g L
き ︶
1き01
fJ
V2
とな
る︒
これは等産出量曲線を示す方程式でありその勾配は さfさfa02
1 1 + r
計
lll
o
この事は投入量の増加が必ず産出量を増加せしめる事を意味している︒
a r
Po in t)
はない︒何故なら投入量が増加しても産出量が増加しないと言う様な事は起り得ないからである︒
今便
宜上
︑
0 2 : :
. . . . . .
o m
としこれを与えられたものとする︵完全
: x
ヽva、……•••Vmを一定と仮定する。その結果は 定されている︒
> ︒ af
翌i
( i 1 1
1 1.2•……邑 生産関数についての一考察︵神保︶
( 1
・ 2 ) (
1
・ 3 ) (
1
・ 4 )
この仮定が満される限り特異点(Singul• 七0
生産関数についての一考察︵神保︶ 同様の事は第一図によって説明されうる︒
1 1 ︑
1 2 ︑⁝⁝⁝⁝は等産出量曲線であり
11A
12
^
⁝
⁝
⁝ な る 産 出 量
が得られる︒これは限界生産力均等の法則に他ならない︒
i 1
1 p
1 1
W2
I u
•••••••••
.
I i
/2
u m
Im
が得られる︒ただし
f l ヽん︑⁝⁝⁝
f m
はfの
ー
笙m+
J . f m
11
0
‑ w 1
+
J . f
i 1
10
ー翌
2+
uf
21
10
pーi
II
O
‑ ‑ ‑ ‑ . ̲ 、 ‑
をゼロとおけば
Rー
i{]lf(0190
2, ⁝⁝9笠
m ) }
RI
IP
x
ー
71
1P
x̲
ピさ 吾
V1・
ヽ
生産主体は
( 1
・ 1 )
式の条件の下において利潤
四、……•••Vmに関する偏微係数である。以上より
について︑生産主体のかかる行動の結果を求めるためこれを
X ヽ
七
( 1
・ 6 ) (
1
・ 7 )
Vi、如………••Vmについて逐次偏微分したもの
を最大ならしめるように行動する︒さてここで未定乗数法を使用し入を未定乗数とすれば︑
( 1
・ 5 )
410
故に は生産の均衡点であり︑この点では等費用直線は等産出量曲線
1 2
と接している︒しかるに等費用直線は二つの投
入物の価格の比をも示しているからこれはまさしく限界生産力均等の法則を図示したものに他ならない︒即ち
さてここで生産関数
X1 1 f
(V 1,
V
2,
……
•0m) /2 /1 U )
1
W2
き
/1
" ー
き
/2
Vi
B
Iz
゜ s
第 ー 図
投入
し︑
1 2
の指示する産出量を生産するのが一番有利な事となる︒Q点
( 1
・ 1 )
る経済主体は完全競争を前提とする限り
Q点の示す割合で
V i ︑
四 を
費用直線であり︑
は全て等しい生産費を要するものと考えられている︒さて直線ABは次
々と色々な等産出量曲線を横ぎり︑遂にはQ点に於てこの直線に接する
等産出量曲線ムに達する︒この点からは直線上をどちらの方向に動いた
としても低い水準の等産出量曲線と交る事となるから利潤の最大を求め
この直線上の一点で示されている
V i
と
四の組合せ
等しい産出量を生み出す
V i
とABは等
を示
し︑
Ji (i 11
1.2•……•n)は四とを代替する事により常に
四との組合せの集合である︒
V1
と
生産関数についての一考察︵神保︶
七
゜
ろう
︒
生産関数についての一考察︵神保︶ が一次同次であると仮定しよう︒そうすればオイレル
(E ul er )
の定理により
X1
1 /
1 V
1 +
/2
V 2
+⁝
⁝+
fm
0m
となる︒ここで
( 1
・ 7 )
式を考慮すれば
と言いうる︒
不変
(C on st an t Re tu rn s to
Sc al e)
であ
る︒
二
︑ 伝 統 的 生 産 関 数
七
( 1
・ 8 )
が得られるから
( 1
・ 5 )
式より均衡に於ては生産関数の一次同次を仮定する限り利潤はゼロとならざるを得ない
この事はもし
( 1
・ 7 )
式で示された比率以外で生産要素を使用すればマイナスの利潤の生ずる事を
意味する︒生産関数の一次同次の経済学的イムプリケーションは言うまでもない事ではあるが︑規模に関して収穫
限界分析によって設定される生産関数は分析の
T o o l
としてはまことにエレガントなものではあるが必ずしも完
全なものではないと考えられる︒それは内部に幾多の困難を持つからである︒その主たるものは次の如きものであ
先づ第一は特異点
(S in gu la r Po in t)
の存在をどう処理するかと言う問題である︒伝統的生産関数には特異点のな
い事が仮定されていた︒特異点が生ずるのは主として投入物の利用可能量に何らかの制限がある場合であり︵第二
図ではIを等産出量曲線とすれば点P
は特
異点
︶︑
px
11
W1
V1
十 さ
20
2+
⁝⁝
+w
m
きm
この時には限界分析の結論も何ら意味を持たないであろう︒ の
困 難
412
したとき等産出量曲線上の均衡点がP
成立し得ない場合が生ずる︒Q点に於ては必ずしもA︑B︑は等産出量曲線への接線ではないからである︒
又均衡解が必ず非負
(N on
, ne g
a ti v
e )である事が保証されていない︒負の解は現実的には如何とも解釈のつかぬも
のであろう︒例えば負の労働の投入とは如何なるものであろうか︒我々は産出物を分解する事により労働を取出せ
ると言うのであろうか︒かかる童話は経済学が現実の分析を意図する限り︑あくまで排除せねばならぬ︒
そして最後に制約条件が二つ以上の場合には必ずしも限界生産力均等の法則が成立しない︒第四図に於てAB
は等費用直線であり︑生産はこの費用の範囲内で遂行せられるものとする︒又生産要素に対しては点数による配給
制度が課せられており︑A︑B︑によって示される制約が存在するものとする︒即ちこの場合にあっては生産関数に
.二つの制約条件が附されているものと仮定するのである︒そうすれば第四図に於て斜線をほどこした部分は生産可
坊
p ︒ 切
第 2 図
からQへと移動したとすれば︑ 第 3 図 A
生産
関数
につ
いて
の一
考察
︵神
保︶
祐 .
Q点に於ては限界生産力均等の法則が した時︑価格がABからA︑B︑に変化
線 ︑
ABを等費用直線︵或は価格直線︶と い︒即ち第三図に於て1を等産出量曲 微少なる価格変化の結果すら分析し得な 第二には高度に代替的な場合に於ては 在するのが普通であり︑特異点のない場
( 1 )
合こそ特異なのである︒ しかも生産の場合にあっては特異点が存 七四
生産関数についての一考察︵神保︶ 能集合 ( Fe a s ib l
S e
et
)
である︒そして0印をつけた点は生産可能集合の中の最も高い産出量であるからオプティマ
ムな点ではあるが︑それは必ずしも等費用直線と等産出量曲線との接点になつていない
( a
︑b
図 ︶ ︒
以上の様な困難を如何にして克服するかがここにおける問題である︒以下に於てこの困難を回避しつつやはり同
じ結論に到達し得る事を示そう︒しかもその帰結はより明瞭なより強力な型で導き出し得るであろう︒
註
(1 ) 特異点の存在する生産関数について限界分析の立場よりの優れた研究は
Pa
ul
An
th
on
y S
am
ue
ls
on
; F
au
nd
at
io
ns
of
Ec
on
om
ic
An a l ys i
s ,
19
47
.
pp .7 0 │ , 74
によって与えられている︒
三
︑ 公 理 主 義 と 生 産 関 数
議論を進めるに先立つて次の事を仮定しよう︒普通︑財及びサービスは整数で測定されるのであるがここではそ
花
B A
3 2 1
ード
I I I
t
B
七五
I1
9﹄1
I I
A
7/j
第 4 図
勾.
ま ︑
. れが有理数であるとする︒こうすれば伝統的理論にあってはレフ・ゼロの濃度の数の集合で済ましうると言う利点を持ち︑かくて整数と同じ濃度の数を使用しうる︒だから以下に取扱われる数は次の実数の公理に対して閉ている事となる︒
a9
be
R
とし
︑
R
を 有 理 数 全 体 の 集 合 と す れ d + b e
( A
・ 1 ) a +b11b+a
( A
・ 2 )
R
( A
・ 3 )
任意の二元
又
ab
eR
が存在し
( B
・ 1 )
ab
" "
ba
( B
・ 2 )
︵乗法の交換法則︶
(a
b)
C1
1a
(b
c)
(C
) a
(b
+C
)1
1a
b+
ac
( B
・ 3 ) a
x 1
1b
を満足するXがただ︱つ存在するC が存在し
︵乗法の結合法則︶ a︑bに対して
a+
NI
Ib
を満足する
(a
+b
)
+C11a+︵b+C) ︵加法の交換法則︶
Xがただ︱つ存在する︒
︵除法の可能性︶
右のA.B.C
の公理を全て満足するものを可換体
(C om mu ta ti ve Fi el d)
と呼びここで使用する有理数体
(R at io na l Nu mb er Field)
はその部分集合である︒実数の公理が必ずしも経済現象の全てに妥当する保障はない︒
の議論に於てとりあっかわれる数量は全て有理数体に所属するものとし︑実数の公理が妥当するものとする︒ 生産関数についての一考察︵神保︶
︵加法の結合法則︶
︵減 法の 可能 性︶
しかし以下 Cの濃度の数の集合が仮定されたがここでは高々ア 七六
そしてこれを今後アクティヴィティ
(A ct iv it y)
と呼ぶ事とする︒アクティヴィティは必ずしも一単位の産出量に
基準化されているとは限らないから一般化して L
o
k
生産関数についての一考察︵神保︶ 011f
(L 9k )
L
を労
働︑
Kを資本とすれば
第 5 図
ヘただ こ
し II
― ̀ :i:s‑ ~:i:s-• .→
A ,
一 一
. 0
^
ヽ‑゜七七
さてここで︱つの例をあげて出発の手掛りとしよう︒我々にとつて最もポピュラーな生産関数は0
を産
出量
︑
であるとする︒そして
( 3
・ 1 )
で示されるもの︑即ち資本と労働と言う二つの投入物を費消して︱つの産出物を生産する場合である︒産出物一単
位を生産するに要する投入量をそれぞれー︑Kとすれば産出物二単位を生産するに必要な投入量がそれぞれ二倍
であるとすればこの関係は第五図の如くに示される︒これはいわゆる規模
に関して収穫不変を仮定する事である︒ここでは産出量を表わすものが一
つと︑投入量を表わすものが二つと一︳一個の数字によってこの関係が表現さ
れている︒我々は投入物はマイナスの産出物と見てこの事をベクトルを使
つて次の様に記す事にしよう︒
( 3
・ 2 )
n倍の産出量を得る為にはn倍の投入量が必要
416
で表
現さ
れ︑
さて第五図では投入量と産出量の関係を直線で示してあるが生産可能集合は•印の点だけであると言うのがこれ
までの議論であった︒しかし原点0と産出量一の点との間も生産が可能であると仮定しよう︒これを分割可能性
して
いる
︶
a11[]
08 としておいた方が好都合である︒そしてこのベクトルの要素
(E
le
me
nt
)
がプラスの時には産出物を︑
には投入物を示していると考えるのであるから︑各要素が大なる程望ましい財であると言い得よう︒即ちここでは
望ましい財とはより少ない投入量でより大なる産出量を生むものであり︑これはアクティヴィティのベクトルの大
小を通じて判別が容易である︒第五図では産出物の軸は裏にかくされて居るが︑
は二次元空間の一点を規定し︑三個の数字の集合は三次元空間の一点を規定する︒だから
( 3
・ 2 )
式及び
( 3
• 3 )
式のアクティヴィティ
イ
全 ?
だ~-し II :
‑ 、 、
::'~ 這 ゜…. ~ ~ ~Iまto ...
^、‑
゜
( 3
・ 3 ) (
3
・ 4 )
の場合は投入量を︑
a i 1 1 0
の場合はその生産に関係のない事を︑
a;
︒の場合は産出量を示> aは三次元空間の一点として示される︒さてn個の投入産出量を示しているアクテ 一般的に言って二個の数字の集合 生産関数についての一考察︵神保︶
マイナスの時
( 1 )
n次元空間の一点として考えられる︒この空間の性質をn次元位相空間
R n
であると仮定しよう︒
七八
ば
生産関数についての一考察︵神保︶
(a )Y
は閉集合である︒ 生産主体
(A ge nt )
によって生産可能な
~ I:)
I I
‑ ~ ‑
f・・・ …..I:) '"I:) I ...:)
‑ ‑ I I
‑ ‑
~ ~~~
O ・・・・・・I:) I:) I:)
~.. ,. ...
` →
産可能であるとするに等しく︑ なるアクティヴィティに
~
I I
一 、
° ……~~~
這 . ,"' ...
‑ ‑
と言
う︒
これは
u ( y
(2) , c2)なる近傍がyにすつかり含まれている場合である︒ 0
^ ハ
x
^ ハ
1
七九
ここでは生産可能点をn次元位相空間の一点 に含まれていない場合であり︑後者はy
の点
y(2)において で示されるアクティヴィティの水準
( A c t i v i t y
L ev e
l )
で表現し得︑又
ab eR
と言う実数の公理より導かれる︒
n次元空間の一点をy
で表
わし
︑
( 3
・ 4 )
Xを掛け合せた点も生
( 3
・
5 )
その全ての点の集合をYで表わせ
閉集合と言うのは境界点と内点とを含む集合であり、前者はyの点y(1)においていずれの近傍u(y(1ご€1)
( 2 )
し︑しかもすつかりもとyy
in te rs ec ti on
418
第 6 図 o︳ さてあるアクティヴィティ︑例えば地点AからB としてとらえたのであるからこの様な近傍を考慮しうる︒又分割可能性を仮定する事により生産可能集合は両端を
(b )
Y 3 0
Xがゼロの場合︑
だからこの体系では条件によって生産主体が何ら活動しない場合も解明しうるであろう︒
られる︒手ですくつて土を運ぶ場合もあるし︑トロッコを使う場合も︑ダンプカーを使う場合もある︒同じ労働と
資本と言った二種類の投入物であったとしても︑ その生産主体は何ら活動をしない場合を含んでいる︒
ヘ土砂を運ぶと言う場合を考えて見れば色々な方法が考え
その時に与えられた技術を色々と採用する事により異なった投入
量と産出量の量的関係︑即ち異なったアクティヴィティが見られる︒先に︱つのアクティヴィティしか存在しない
と考えたのであるが更にもう︱つのアクティヴィティが存在する場合を
考え両者が全く独立であるとしよう︒そうすれば第六図に於て今迄の仮
定では半直線
0 1
とル.が生産可能であると言うのであった︒同じ産出
゜
量を示す二つの点LとMを結べばこの線分上の点は生産可能となり
( 2 )
M
産 出 量 或 は ー と 等 し く な る の で あ る
︒ 又 同 じ ア ク テ ィ ヴ ィ テ ィ を
︒︒
O M 或は
O L
の上に加える事を考えれば0を原点とする半直線川.と刀
M
及び両半直線に挟まれた平面は生産可能な点の集合となり直線は等
L
お は
0をも含む︒だから 含む線分となるから閉集合である︒ 生産関数についての一考察︵神保︶八〇
生産関数についての一考察︵神保︶ 能集合は凸錐体である︒ 凸錐体とは
RI Vo
なる場合yEyならば
ay
E
Yであり且つ
y ( i )
E
Y,
y
C2
)E
Yであるならば
y ( 1 )
+
y(
2)
mY
である集合であり︑分割可能性と加法性は生産可能集合がこの様な条件を満たすのを保証している︒だから生産可
(d )Y
は凸錐体
(C
on
ev
x
Co
ne
)
であ
る︒
( 4 )
これが加法性の仮定である︒そして
Y i
は閉集合であったからその直和集合Yも閉集合となる︒ ('C)和~Y;
n Y
或はこれを一般化して
( C )
(Yi+ざ)~y とすれば 只n
Y;
=
o
Y ;
:l
y;
Yj
.3
yj
~ I I
ほS
I I
~
;::i ;::i ;::i ;::i
ミ ・・・・・・"' .., ...
‑ .
‑ . ⇔ . ‑ .
‑ ‑
y ] 1 1 : a s l
ヽ [ [ ニ
l有理数と考えてさしつかえ無い事を意味する︒ 産出量直線となる︒
この仮定をn次元に拡大して この事はアクティヴィティ・レベルを先に
O
Mぃい1と考えたのであるが︑x
八 X
を単に非負の
420
こ こ で Rn+
は
生産可能集合が原点を除いて第I象限に属さないと言うのと全く同じである︒この場合にあっては二次元空間につ
いて考えられた事はn次元空間についてもそのまま主張しうるであろうからこれを一般的に次の様に書き得よう︒
+
( e )
Yn Rn +1
10
先r r
象 限
ャI
象 限
n次元位相空間の正象限の事である︒又︵e︶が成立する為の必要にしてかつ充分なる条件は次 ゜ +
ヤ 皿 象 限
. .ナ阿象限 生産関数についての一考察︵神保︶
第 7 図
る ︒ 数は全て非負でなければならないしかるに第C
I l 象限︑第皿象 (
5 )
さて次にクープマンス
( T . C•
K o
o p
m a
n s
)
のI m
p o s s
i b i l
i t y
o f L
an
d o
f Co
ck
ai
gn
eについて述べよう︒即ち先に
規定したアクティヴィティの要素が全部プラスの符号を持つ事は全く不可能である︒何故ならば生産のアクティヴ
ィティに於て何の投入量もなくして何らかの産出量を獲得し得ないからである︒無から有を生じ得ないのである︒
この事を二次元空間の一点について考えて見よう︒二次元空間で
で表現される︒
Im
po
器i b
i l i t
o f y
L
an
d o
f C
oc
ka
in
gn
e
このアクティヴィティの要素
a l ︑
いと言う事である︒さて第七図に於て第I象限で示される二組の
限︑第
I V 象限では要素の一部或は全部が非正
( N
o n
, po s
i t i v
e )
であ
だから
I m p o
s s i b
i l i t
y
o f
La
nd
f oC
oc
ka
ig
ne
と言うのは のが全部プラスではあり得な
a1
1[
戸 ]
のアクティヴィティは二個の数字の組合せ
八
とは
生産関数についての一考察︵神保︶
R2 十
この証明は次の様にして与えられる︒
PY~OであるためにはY Ay帆
0 ,
yE
Y ,
P>︒ の如きものである︒
︹補 助定 理︺
第 8
区
(Y
UR
n + ︶
I I I ( Y )
‑ +
︵R
n+
︶̲
11
(5
ー十
︵ー
Rn
+︶
11
(5
̲+
'︵
R[
︶'
別に
取れ
ば︑
負極錐
( Y
ー)
であ
る︒
Yn
Rn
+ 1
10
八
さてより両辺の凸錐体の負極錐をそれぞれ別
Y に所属す トルは互に直交するベクトルであり︑さy肌0はyに対して直
交するPの左側の半空間
( Ha l S f pa ce )
であ
り︑
る全てのyと直交するPの左側の半空間の
in te rs ec ti on
が となるP点の集合である︒第八図ではさy110となるベク
( Y ) ‑
=
{P
;
透肌
OyE
Y}
( 6 )
Yn
Rn
110のための必要にしてかつ充分なる条件は次のような正のベクトルPが存在する事である︒ +
の負極錐
(N eg at iv e P o l a r Co ne )
が
R n
と空集合でない
in te rs ec ti on
を持たねばな
らない︒ここに負極錐と言うのは
422
即ち 故に
} ー
p
>
゜
≫
p
^
゜
p11P
ー ︾
仮定により
} v o
又}mRn1 全空間であるから n次元空間における負象限︵二次元空間では第直象限︶を示している︒又原点0
( O ) ‑ =
(R
n + >
R 5
ー ︶
︵や+︾や̲︶はや+とRnーで張られる空間を指すものとする︒故に
( Y
) ‑
+︵
Rn
l)
11
(R
i+
9R
il
)
(R
n+
︑
Rn
̲︶
は全
空間
であ
るか
ら`
>
O
を含
む︒
≫
311P+p
これを移項して
であるから に分解し得る︒ ここでRnーは 生産関数についての一考察︵神保︶
(Y )I IJ JP
︾
( R n ー
︶
品︾とすれば右の等式より^Pは次の様
八四
の負極錐は
生産関数についての一考察︵神保︶ い︒したがつてYは原点を除いて非負のベクトルを含まない︒故に
次に非可逆性
( I r r e v e r s i b i l i t y )
をY
( 7 )
( f
) Y
n ( ー
Y )
11
0
として示し得る︒
べての商品に対してゼロの産出量を生ぜしめるような事がないのを意味している︒即ちある時点に於て知られてい
る全てのアクティヴィティを
Yn Rn
+1
10
2y 肌
0
さて
︑
であ
り︑
アクティヴィティの若干あるいは全てをとつて︑ でP>︒ 負極錐の定義から しかるにPe
P
>
゜
について仮定する︒これは
︵充 分条 件︶
となるPが存在すれば
y肌
0
き 肌
0,
yE Y
Yn Rn +1
10
py~OであればP>︒で
( Y
) ーであるから
( Y ) ーはP>︒であるPを必ず含む︒
でありy>︒
︵必 要条 件︶
八五
その正の一次結合であるアクティヴィティがす は成立し得ない︒即ちyは正の価を取り得な となる様なPが必ず存在する︒