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購買態度の基本的次元の分析 : 合理性と情緒性

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購買態度の基本的次元の分析 : 合理性と情緒性

その他のタイトル Analysis on basic dimensions of consumer buying attitudes : rationality and

emotionality

著者 佐々木 土師二

雑誌名 関西大学社会学部紀要

巻 7

号 2

ページ 39‑64

発行年 1976‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00023150

(2)

購買態度の基本的次元の分析*

一合理性と情緒性—

佐 々 木 土 師

I 問 題

1 購買態度の基本的次元の検出の意義

社会的態度の領域においては,いわゆる 態度間構造研究 として,種々の態度に共通する特 性としての 基本的次元"を明らかにするための研究が, Thurstoneの進歩主義一ー保守主義.

国家主義―非国家主義. あるいは Eysenck の進歩主義—保守主義,軟心ー一硬心という各 2 次元の検出に代表されるような,多くの成果を生み出している(田中・松山 1 9 6 5 ) 。しかし,

消費者態度に関する研究では,主に購買態度について,デーク収集が多方面で非常に豊富に行わ れ,高度の数量的分析がほどこされているにもかかわらず,その 基本的次元 を把握するため の努力は,従来,ほとんど払われていなかったと言えるだろう。

購買態度は,さまざまな対象(商品,サービス,企業,販売方法,広告など)に関して,種々 の測定方法にもとづき,好悪,評価,イメージ,期待,意図などの側面でしらべられ,対象者個 人のデモグラフィック的,社会経済的あるいは心理的な諸属性との間の相関性をとらえるだけで はなく,さらに最近では因子分析などの多変量解析の技法を駆使して,個々の態度変量の間に潜 在する共通次元の内容的性質を計量的に把握する試みがなされることも少なくないのである。つ まり,購買態度の諸変量における相互連関性すなわち 構造 へのアプローチが見られることが 多くなってきた。

ところが,この方向でのアプローチが行われたとしても,そのほとんどは,個別的な特定の対 象に関するものであり,態度項目や測定尺度など態度測度の選定でもその折々の必要性や関心に 応じた任意性が強く,また因子分析などを通して見出された次元(因子など)の特性を他の場合 に得られている次元の特性と比較検討されることもめったにない。購買態度の 構造 の分析と はいっても,一時的で限定的なデークから導びき出された態度次元の 並列的状態 を提示する

* 

本論文のための調査デークは株式会社日本マーケティングシステムズ,および社団法人流通問題研究 協会からご提供いただきました。また因子分析にあたっては関西大学の社会学部助手東村高良氏および 大学院修土課程長尾治明氏のご尽力をいただきました。ここに記して謝意を表わします。

‑ 39‑

(3)

結果に終っているのである。

われわれが態度研究を行う主たる目的は,実行行動への準備体制としての機能をもつと仮説し て構成されている心理的要因である態度の,対象に関する方向性や強度を把握することによって,

将来起りうる実行行動についての予測的知見を得ようとするところにあるだろう。そして,この 予測の精度は,実行行動に対する関連性において一貫性があり安定的な態度測度を見出すことに

よって,高めることができる。

ところで,この目的に適う態度測度として,唯一つの絶対的なものがあると考えるのではなく,

それを操作的に設定する仕方との相対的な関係のなかでかなり任意にその種類や数を増減しうる ものと考えることができる。しかも,これらの複数の態度測度には,それぞれが同一の実行行動 に関連するものである限り,なんらかの 共通特性 を認めることができるはずであり,この共 通特性そのものが実行行動の本質に強く関わっているといえるのである。そこで,実行行動への 予測力を高めるためには,種々の態度測度の間の共通特性を明らかにし,この共通特性と実行行 動との関連性を確定することが必要になろう。

購買態度に関して因子分析的研究が行われる意味は,このような共通特性の抽出を多くの態度 測度にもとづいて行うところにある。

さて,因子分析的に抽出される共通特性(因子)が,そこで採用されている態度測度の性質に 直接的に依存していることは言うまでもない。ところが購買態度分析においては態度測度の採用 における任意性が強いために,結果として抽出される共通特性も一時的,限定的なものにならざ るをえない。つまり,ある一つの分析で抽出された因子について,他の分析で得られている因子 との異同性を比較しうる前提が整っていないことが多いのである。このことが,前述したように,

因子という名の態度次元の並列的状態の提示から前進して,その構造化をはかることができない 現状を生み出している。

しかし,この現状は,購買態度分析のほとんどが,個別的な商品,サービス,企業などに関す るマーケティング・リサーチの領域のなかで,実践的意義を求めて行われているという事情を反 映するものであってみれば,この事実をある程度踏まえて,購買態度研究の前進を展望しなけれ ばならない。

この立場での視点からわれわれが注目したいのは,冒頭で社会的態度に関して述べたような,

態度の 基本的次元,, を明らかにするという研究の方向である。表面的には任意的意味を強くあ らわした共通特性(因子)が得られているとしても,より潜在的なレベルにおいてなんらかの共 通性格が認められるならば,この共通性格である基本的次元との関連において,一見したところ 任意的な共通特性の位置づけが可能になるはずである。このような基本的次元が見出されたなら ば,現状では比較不可能に見える購買態度因子の間の異同性や量的比較を検討する途が開かれる だろう。

この着想は,相互の関連性において差異がある個々の態度測度の間からいくつかの共通特性を

‑ 4 0 ‑

(4)

購買態度の基本的次元の分析(佐々木)

抽出するという因子分析的方法を,さらに一段階進めることを示しているのであって,この背後 には,購買態度の構造を 階層的 にとらえるという考えがある。つまり,社会的態度に関して Eysenckによって示されている, 特殊的意見ー→習慣的意見_態度ー~ デオロギーという ような形での,いくつかの水準が想定され,操作的には,より低次の水準での相関性からより高 次の水準が導びき出されると考えるのである(田中 1 9 6 4 ,   p .  3 6 ) 。

2  合理性と情緒性に関する論議

購買態度の構造を階層的にとらえ,より基本的な次元を導びき出そうとする分析は,実証的な 試みとしては未開拓であるが,その方向への着想は過去の研究のなかから見出すことができる。

そして,それらの研究において論じられている,基本的次元に関する最大の話題は,消費者行動 を規定する要因としての 情緒性 と 合理性 についてのものであった。

われわれは,情緒性と合理性をめぐる論議に関して,二つの研究的な系譜を見ることができる だろう。その一つは購買動機の分析に関するものであり,他の一つは,説得的コミュニケーショ ンにおける訴求の方法と効果に関するものである。後者が 影響するもの"に視点を定めている と見れば,前者は 影響されるもの"に関心を寄せていると言うことができるが,いずれの場合 にも他方への問題の広がりを意識しながらそれぞれの分析的枠組みを設定しているところから,

これらの二つの系譜は一つに合流させうることもできるであろう。

( 1 )   購買動機における情緒性と合理性の分析

この領域での研究でまず着目しなければならないのは C o p e l a n d ,M. T. ( 1 9 2 6 ) による購買動 機の 2 類型化である。彼によって 情緒的購買動機 ( e m o t i o n a lbuying m o t i v e ) " および 合理 的購買動機 ( r a t i o n a lbuying m o t i v e ) " という命名を受けた 2タイプの動機群が初めて提唱され,

そこに含まれる 33 の下位的動機がリストアップされたのである。

Copelandは , 1 9 2 3 年発行の雑誌,週刊誌,農業新聞などに掲載された 9 3 6 種の広告における 消費者購買動機に関する表現内容を分析した結果から「商品化政策(マーチャンダイジング)の ために基本的である」 ( p . 1 6 2 ) と評価できるものとして,上記の 2 類型を提唱したのであるが,

情緒的購買動機には 張り合うこと ( e m u l a t i o n ) " "味覚を満たすこと ( s a t i s f a c t i o no f  t h e  a p ‑ p e t i t e ) "   "自分の風采を自負すること ( p r i d eo f  p e r s o n a l  a p p e a r a n c e ) "   "清潔なこと ( c l e a n l i ‑ ness)"" リクレーションを楽しむこと ( p l e a s u r eo f  r e c r e a t i o n ) "  "家庭を快適にすること ( s e c u r ‑ i n g  home c o n f o r t ) "その他の23 の動機が含まれ, 他方,合理的購買動機には 使用上の信頼感 ( d e p e n d a b i l i t y  i n  u s e ) "  "耐久性 ( d u r a b i l i t y ) " "購買上の経済性 (economyi n  p u r c h a s e ) "そ の他の 10 の動機が含まれているとした。このように,それぞれの動機群の性質を総括的に表現す るものとして 情緒的 あるいは 合理的"という性格的表現が与えられているのであるが,動 機としての両者の機能的な差異について,情緒的動機は「その起源が人間の本能や感情にあり,

行為に対する衝動的促進力や考慮にもとづかない促進力をあらわす」 ( p . 1 6 2 ) と述べ,他方,合

‑ 41‑

(5)

理的動機については「理性に対する訴求によって喚起され……(中略)……この動機に影響され ると,消費者は行為前にそれを買うことの損得を注意深くはかりにかける」 ( p . 1 6 3 ) と説明して いる

1)

この Copeland の購買動機分析は, その後長期間にわたって, いちじるしい影響をマーケテ ィングにおける購買行動研究に及ぼした。 Newman, J .   W. ( 1 9 5 8 ) は , 次 の よ う に 言 っ て い る 。

購買動機に関する扱い方は, 約30 年前にコープランドが書物を著わした時と何ら本質的 な違いがみられない。 たいていの本では, コープランドと全く同じ動機の分類ないし似た ような分類が手短かに述べてあるだけで, こうしたやり方にどんな価値があるのかについ ては, じゅぶんな説明はおろか, 疑 問 す ら 投 げ か け ら れ て は い な い ( 松 井 他 訳 1 9 6 3 ,   p . 2 4 ) 。

Copeland の購買動機分析に対する批判は, この Newman の言葉にも示唆されているように,

1950 年代(とくに後半)に発展したモチペーシ三ン・リサーチ ( m o t i v a t i o nr e s e a r c h ) のなかで,

ようやく顕在化した。批判の的は,主に,購買動機の 一覧表"であった。 その理由は, New‑

man による「消費者の購買時の欲望や購買の理由は, 個人とその環境からなる全体の状況内で 要因を研究することによってはじめて明かにされる。……(中略)……動機の一覧表をつくるや り方は……消費者とは数え上げることのできるいくつかの普遍的な力によってかり立てられる人 間を意味していたのであり,人間の行動を理解するには『例の』動機の一覧表を見さえすればこ と足りたのである。ひところマーケティングにおいて有力であったこの考え方も,こんにちでは,

余りにも単純化された理論であることが次第に認識されてきた」(松井他訳 1 9 6 3 ,   p.23) とい う言葉で示されるだろう

2)

モチベーション・リサーチの立場では,購買動機を,人の購買行動を導びく働きをもつさまざ まの要因が 全体的 かつ 力動的 に関連づけられた場合に認められる 複合状態"もしくは 相互作用的関係 そのものであると考えている,と見ることができよう

3)

。 したがって,合理

1 )   C o p e l a n d  ( 1 9 2 6 ) による情緒的および合理的動機に関する総括的説明は,次のような結論的コメント で,より明瞭に行われている:

情緒的動機と合理的動機を区分することは商品化の目的にとって特に重要である。情緒的動機が惹起 せしめられた場合には,それは個人的な感情 (feeling) を満たしたり先天的•本能的な欲求を充足させ るための行為をするように消費者を刺激する。しかしながら,消費者が合理的動機によって影響された 場合には,彼は,行為に先立って,購買する理由を意識的に熟考する。

情緒的購買動機は,理由づけ ( r e a s o n i n g ) の過程によってではなく, 着想の暗示, 描写あるいは連 合によって惹起される。 しかし合理的購買動機を惹起するためには,見込客が自分の行為の根拠に関 して論理的な結論を生み出すことができるように,購買理由を慎重に説明することが不可欠である

( p . 1 8 8 ) 。

2 )   D i c h t e r ,  E .   ( 1 9 6 0 ) にも 動機の一覧表"に対するきびしい批判がみられる(多湖訳 1 9 6 4 , p . 2 8 ‑ 3 1 ) 。

3 )   D i c h t e r  ( 1 9 6 0 ) にこの考えがよく表われている(多湖訳 1 9 6 4 ,   p . 3 8 ‑ 3 9 ) 。

‑42‑

(6)

購買態度の基本的次元の分析(佐々木)

的動機と情緒的動機を明確に区分する立場は

4)

"要素主義的,, であり 原子論的 であるとして 拒否されることになる。 C o p e l a n d の動機類型化への見解も,例えば H a n s e n ,H. L .  ( 1 9 5 6 ) に

よって「購買の動機を感情的とか,理性的なものとかに分けて考えることは,よく考えていくと 一概には律しがた<, 結果も判断しえないものとなることがわかる」(宇野訳 1 9 6 0 ,   p . 2 5 ) と 述べられているような理解が一般的になっていったのである。

( 2 )   説得的コミュニーションにおける合理的訴求と情緒的訴求

異なる訴求方法としての 合理的 あるいは 情緒的 なメッセージは, Knower, F .   H . ( 1 9 3 6 )   ゃ Hartmann, G .  W.  ( 1 9 3 6 ) によって初めて実験的に取り扱われた。 Hartmann は異なる 2 つ の訴求方法の性質について,影響力の比較の問題にふれて,次のように述べている。

この問題の設定は,これら 2 つのクイプの精神的過程の間を極端な形で 2 区分したり対立 させることを意味しているが,現実での 対比 ( c o n t r a s t ) " は,合理性と情緒性のさまざま な組合せを含んでいる 2 種類の訴求の間で,見られるものである ( p . 1 0 1 ) 。

ここでは,情緒的訴求と合理的訴求は,訴求方法における対立的な性質をもつものとして,言 いかえれば,同一次元上での対極的関係にあるものとしてとらえているようである。

H o v l a n d ,  C .   I .   e t   a l .   ( 1 9 5 3 ) は,説得的コミュニケーションに関する体系的研究のなかで Hartmann の仕事を中心に論評している。 そこで, 情緒的か合理的かという区分が明確な操作 的定義にもとづいていないと批判しているが,二つの訴求クイプの次元的関係については言及し ていない。

Hovland 以後の情緒的訴求に関する研究は,合理的訴求との比較への関心を弱め, おどしア ピール ( f e a ra p p e a l ) " の効果分析へ焦点を定めていった。そのなかで M a r t i n e a u ,P . ,   C o x ,  D .   F .   あるいは B a u e r ,R .   A .   などの発言が情緒的訴求と合理的訴求に関して行われているが, そ れぞれの訴求を,異なる心理的機能に関連するものとしてとらえるところに共通点が認められる。

M a r t i n e a u  ( 1 9 5 7 ) は , 合理的訴求を 事実の記述により論理的な考えを表現するもの と,

また情緒的訴求を アートやレイアウトでの色彩,形態,広がりなどで感情,態度,ムードをひ き起すもの としており,それぞれが独自の目的をもつ表現形式であると考えている。したがっ て,広告コミュニケーションにおいては両方の訴求の調和のとれた結合が求められるのであって,

そのなかで情緒的訴求のためのシンボル操作が重要であることを強調している ( p . 1 3 3 ‑ 1 4 4 ) 。 Cox ( 1 9 6 7 ) は , この分野での研究結果に Hovland らによって総括されているような矛盾が 多いのは,実験条件の差異による 状況的 なものではなく, 概念的 なものに帰因すると考

4) 

C o p e l a n d  ( 1 9 2 6 ) は前記の脚注 1 ) の文章につづいて,次のように述べている:

合理的動機に対して訴求が行われる場合には,消費者がその品物を買うべき理由がはっきりと提示さ れなければならない。他方,情緒的動機に対する訴求では,購買の意思決定をする際に消費者が理性を 用いるということを期待するのは,無理である。このことから,合理的動機への訴求と情緒的動機への 訴求は,それぞれが消費者の側にまったく別個の態度や精神的過程を必要としているので,同時に効果 的に展開させることはできないということが言えるだろう ( p . 1 8 9 ) 。

‑ 4 3 ‑

(7)

えた。そして.情緒的訴求と合理的訴求を区分する方法があるのか,と問いかけている。

かりに 合理的"という言葉を,個人がその満足(経済的な満足であろうと.他の心理的 な満足であろうと)を極大化したり不満足を極小化しようとする試みと規定するならば.す べての行動は合理的であるとみなされねばならない。他方, 情緒的 という言葉を.なん らかの形で感じ ( f e e l i n g ) , 態度あるいは情緒に結びついている行動を意味するとするなら ば,すべての行動は情緒的であるとみなされねばならない。要するに,それらの言葉は人間 行動を記述するのに非常に有効であるとは言えないのだ—~とくにそれらがお互いに対比的 に用いられる場合には ( p . 1 1 7 ) 。

Cox は , 行動であれ訴求であれ, 合理的なものと情緒的なものとが,さまざまな種類で,さ まざまな水準や程度で含まれていると考えるべきだとする。 つまり, すべての訴求は, それら がなんらかの既存の態度や動機に向けて行われねばならないというところから 情緒的"である のだが,それには その動機に対する訴求の強さ"と その動機の充足に関係する行為の仕方に 関する明示性"において差異があると考え,前者は 情緒性の差異 であり後者は 合理性の差 異"であると概念化している。したがって,高度に情緒的であるとともに高度に合理的であるよ

うな訴求というものが考えられ, このような訴求は,買い手に動機を満たそうとする欲求を増大 させ,同時に,覚醒されている欲求を満たすような行為について明白な方向性を指示するものに なると言う。

この視点はさらに整理されて, Bauer & Cox ( 1 9 6 7 ) では「ラフに考えれば, これまで合理 的訴求と言われていたものは 動因低減のためのコミュニケーシ三ン"にほぼ対応し,また情緒 的訴求は 動因覚醒のためのコミュニケーション"にほぼ対応する」と述べられている ( p . 4 7 4 ) 。

したがって両者を対立的に見るのは間違いで,完全に補完的なものと考えるべきだということに なり,ほとんどの状況におけるコミュニケーションで,訴求要素としての情緒性と合理性の両方 を含むことが求められるという結論になる。

( 3 )   合理性・情緒性の操作的規定の問題

消費者行動の心理的規定要因としての合理性と情緒性の問題は,説得的コミュニケーションに 関する研究のなかではメッセージの構成要素としてそれぞれ独自の機能をもつものとしてとらえ られ,また購買動機分析に関する研究では 2分法的に区別することができないとして両方の性質 を含む全体的な合成体としてのモチベーションがとらえられる,という方向に論議が展開してい った。

実践的目的を意識した場合でのこの問題に関する論議では,恐らく,このような方向をたどる ことも十分にありうると考えられる。コミュニケーション効果をあげるためには,あるいは,商 品の購買動機をすっかり説明するためには,合理性と情緒性の両方の性質を同時に考える必要が あるということである。

しかし,これでは,合理性とか情緒性と言われているものが「何であるのか」ということに答

‑ 4 4 ‑

(8)

購買態度の基本的次元の分析(佐々木)

えたことにはならない。それぞれの性質を構成する下位的次元があるとすれば,それらが同一の ものなのか異なるものなのか,同一次元上での程度の違いなのか別次元に属するものなのか,とい うような問題は相変らず解明されぬままに残されている。 この点に多少ふれている Martineau の説明は同語反復的であるし, また Bauer& Cox のとらえ方はそれ以前のアプローチの方向

とはかなり異質のものである。

そこで,前節での各分野での論議の展開が帰結的に示しているような一種の 析衷案"は,研 究的観点に立って, 再度, 洗い直してみる必要がある。 この観点からすれば, N i c o s i a ,  F .  M. 

( 1 9 6 6 ) の問題提起が一つの前進をあらわしている。

N i c o s i a は,経済学における「消費者は合理的か」という問題をめぐる論議にもふれながら,

マーケティングにおける消費者行動分析において「消費者は合理的であるとともに合理的でな い」という 折衷案 を安易に受け入れる立場があることを指摘し,この立場の見解は「考察や 研究の出発点を一体どこに求めるべきかという研究者の問題設定 ( i n q u i r y ) を停止させる」とと もに「消費者は合理的なのか,それとも合理的でないのか」と断定しようとする立場が暗に前提 としていること.つまり

i  合理性に関する操作的規定がある。

i i   合理性という構成概念は消費者意思決定過程を概念化し観察するために実際上有効である。

ということの真偽を確かめずに, それを受け入れてしまうという誤ちを犯す, と述べている ( p . 3 9 ) 。そして N i c o s i a は,上記 2 点に関して,合理性と情緒性の一つの側面が 探索行動のク イプ ( t y p eo f  s e a r c h ) " にあらわれていると考え,一つの対極的関係にあるとして把握すること によって,合理性と情緒性をめぐる論議を実質的に意味あるものに生き返らせようとする。 探 索行動"は,彼によれば,製品選択へ到る中間段階において, 比較目的でのショッビングのよ

うな身体的活動 や 消費者自身の記憶のなかから情報を回復(想起)するような精神的過程 などが標識 ( i n d i c a t o r ) となるもので,探索行動が大きい(広い)場合は 合理的"であり,逆 に探索行動が小さい(挟い)場合は 情緒的"であると規定できると考えられている ( p . 3 4 ‑ 3 6 ) 。 3  この研究の目的

合理性と情緒性を購買態度の基本的次元として考えることができる根拠は,この問題をめぐる 過去の論議のなかに認めることができるが,それが操作的に取り扱われてこそ,その性質につい てのより深い検討が可能になり,購買行動の説明概念としての有効性や限界が明らかになってく る。したがって,われわれは,購買態度に関する因子分析的アプローチを通して,以下の問題に 答えることによって,購買態度の基本的次元を操作的に取り扱う途を開きたいと考える。

i  購買態度の基本的次元として 合理性 'と 情緒性 という内容的性格が導びき出されう るか。

i i   合理性と情緒性の関係をどう考えれぱよいのか。一一この問題は, 合理性と情緒性が,

‑4Q‑

(9)

N i c o s i a の考えるように, 同一次元上の対極的な関係にあるものとしてとらえられるのか,

それとも購買動機分析に関する過去の論議の帰結から暗示されるように,異なる次元を構成 するものと考えられるのかということである。

i i i   合理性と情緒性を構成するのは,どのような下位的次元であるのか。一その下位的次元 を N i c o s i a は 探索行動のクイプ"に求めているが, 「一つのディメンジョンで合理性を規 定することは,それを操作的に取り扱い,実証的研究で使用可能にするための,一つのやり 方である」 ( p . 3 4 脚注)と述べているように,他にもディメンジョン(下位的次元)を求め

ることが可能である。この場合, どのようなものを見出すことができるだろうか。

i v   合理性と情緒性を測定するための,簡略化された態度項目バッテリーとして,何が適当か。

一基本的次元としての合理性と情緒性に関して消費者を位置づけるための測定方法の開発 をめざし,この分析の結論にそって一つの提案を行いたい。

I I 分 析

1 ,   2 次因子としての合理性と情緒性

購買態度に関する因子分析の結果がお互いに相関関係にある因子を抽出している場合,それら の因子は前述した 並列的状態 ではあっても,そこからより高次の共通性格を導びき出すこと ができる。いわゆる "2 次因子分析 である。まず第一歩として,株式会社日本マーケティング システムズの行った購買態度に関する因子分析が斜交解による 8因子を抽出しており,それぞれ が非常に明瞭な内容的性質として解釈される因子であることを利用し,これの因子間相関行列に

もとづいて 2次因子を導びき出し,購買態度の基本的次元の性格について探索する。

( 1 )   調査とデーク

日本マーケティングシステムズの購買態度調査は,消費意識の体系化をはかる目的で,その一 つの下部領域としての購買態度の性質を明らかにするために,昭和 4 7 年 8 月に東京都 2 3 区および 近隣 5 市(武蔵野,三鷹,調布,保谷,田無)に居住する 1 5 歳から 4 9 歳の個人男女 9 0 0 人を無作 為抽出し,留置法による質問紙調査の形式で実施されたものである。有効回答は 5 9 7 人(男 3 0 0 人,女 2 9 8 人)から得られた(回収率 66.3%) 。

購買態度は表 1 に示される 26 項目の各々に 5 段階評定を求めることによって測定された。評定 値は,その通り,ややその通り,どちらともいえない,やや違う,違う,という回答カテゴリー

に対し,それぞれ, 1,2,3,4,5 が与えられている。

( 2 )   8 個の 1次因子と因子間相関

それぞれの態度項目について 5 段階評定値を標準得点 (T スコア)に変換して, 2 6 項目間の積 率相関行列が求められた。その対角成分に,非対角成分のうち各行の最大値の絶対値をその行に 対応する共通性の推定値として入れ, この相関行列にもとづき,主因子法による因子分析を行い,

-46-

(10)

126

購買態度項目の因子行列―

8

因子解の場合 (注) 負荷盤の小数点は省略する

47 

因 二」

1 2 3 4 

5 6 7 8 

購買態度項目 高価なものを買いたい場合には,借金してでも,はやく手に入れる

1 17 02 ‑00 25 

1804 ‑05 10 

国産品だけてなく外国製品にも関心をもつ……….

2 14 ‑11 ‑33 11 09 ‑07 02 20 

品質の良し、物だけを選んて買う.... …... 

3 13 ‑13 ‑51 

1804 05 15 15 

新しし、物がでた時は人よりもはやく買う……….. …….... 

4 78 05 01 03 ‑09 02 03 ‑03 

流行中のものを買う・...

5 69 ‑00 ‑04 ‑05 05 ‑12 ‑09 01 

見た惑じとか美しさを特に重視して買う………...

6 19 01 02 03 ‑05 ‑56 ‑03 ‑03 

とにかく安くて経済的な物を買う•………..

7 ‑09 01 01 ‑24 ‑10 

1103 ‑54 

その物のムードや情緒を特に重視して買う.. ………. 

8 ‑06 ‑06 ‑03 ‑02 01 ‑65 ‑01 02 

実用性とか使いやすさを特に重視して買う•……·……….

9 ‑12 ‑11 ‑28 ‑33 04 02 06 ‑17 

テレビや新聞などで広告しているものを買う………

1022 04 ‑03 04 05 ‑04 ‑37 ‑36 

「おまけ」や景品がつしヽているものを買う·…•……….

11 16 07 16 ‑00 ‑02 ‑06 ‑28 ‑43 

できるだけ前に買ったものと同じプランド(銘柄)を買う•…·……

·12‑08 15 ‑38 02 12 ‑04 ‑22 ‑15 

気にしヽる物を見つければし、つでも買う……….. ・・・・

1313 03 ‑29 28 ‑04 ‑15 07 ‑08 

買うのは必要最低限にとどめておく………••••• ……

・14 ‑05 ‑13 ‑04 ‑53 04 08 ‑04 ‑10 

できるだけ多くのものと比較した上て買う物を決める•………..

15 00 ‑63 ‑03 ‑26 03 ‑04 04 ‑00 

いろいろな人の意見を聞いたうえで買う物を決める…・………..

16 11 ‑35 ‑05 ‑24 02 09 ‑17 ‑06 

バーゲンセールを利用する・・...

17 10 ‑25 ‑04 02 ‑05 11 11 ‑54 

あわただしくても繁盛して

1,

ヽる店で買う………

1806 ‑17 

1106 08 12 ‑32 ‑27 

買う時は有名な専門店やデバートを利用する………

1903 ‑05 ‑51 15 ‑01 ‑10 ‑09 ‑05 

何軒かの店へ行って比較したうえで買う物を決める•………..

20 ‑06 ‑81 00 07 ‑02 ‑03 ‑00 ‑01 

できるだけ「行きつけ」の店で買う...

…• •

…... 

●● ●● 

…...  …..  ・・・・・・.. …, 

21 

1129 ‑42 ‑17 ‑11 03 ‑09 ‑01 

買う時には店員がすすめるものにする•………..

22 09 ‑00 01 ‑04 ‑07 ‑04 ‑67 19 

買う時にはよく広告して¥,, る店で買う….. ………

・23 ‑04 ‑03 ‑02 02 

11‑07 ‑65 ‑11 

どの店で買えば得かを買いに行く前によく調べてみる…•…………..

24 ‑05 ‑47 ‑03 ‑07 ‑12 13 ‑21 ‑07 

できるだけクレジット・カードで買う・・... ・・・・・

2504 ‑07 ‑05 11 ‑71 ‑01 ‑03 ‑05 

できるだけ分割払し、 (月賦)で買う・・・・・・・・・・・・・・・.. …... 

26 00 04 05 ‑11 ‑67 ‑00 ‑02 04 

苺這器滞

8

桝汁菩哭沖 s 半羊︵守ふ汁︶

(11)

2 8

因子間の相関行列 ( 注 ) 相関係数の1

000

倍の数値を示す。

\  流行指向

探索指向

安指全購買

向 節約指向 信指用購買

向 指 向 ム ー ド

売指手情報

向 低指価格

1  1000  057  ‑069  250  ‑256  ‑340  ‑304  ‑120  2  057  1000  165  259  035 

101 ‑006  211  3  ‑069  165  1000  180 

103 062  042  045  4  250  259  180  1000  ‑063 

158 ‑007  125  5  ‑256  035 

103 ‑063  1000  112  306  135  6  ‑340 

101 062 

158 112  1000  233  015  7  ‑304  ‑006  042  ‑007  306  233  1000  312  8 

120 211  045  125  135  015  312  1000 

8 因子が抽出されている。単純構造を得るためにコーティミン法による斜交回転をほどこして得 られた因子行列が表 1 に示されるものである。

その結果, 8 因子は次のように解釈・命名された。なお( )内の符号は各因子の命名に対応 する因子負荷の方向をあらわしている。

1  流行指向(+)

2  探索指向(‑) 3  安全購買指向(‑) 4  節約指向(‑) 5  信用購買指向(‑) 6  ムード指向(‑) 7  売手情報指向(‑) 8  低価格指向(‑)

なお, これら 8 因子の間の相関は表 2 の通りであった。ここで各因子の命名に対応した相関を 求めるとすれば,第

1

因子(流行指向)に 表

3

2 次因子分析結果— 2 因子解の場合 関する係数の符号を逆転すればよい。

( 3 )   合理性と情緒性の抽出

因子間相関行列(表 2) を主成分分析し,

これを Varimax 回転したものを 解"と するという形での抽出方法によって.二つ の 2 次因子が求められたが, 比較のため に三つの 2 次因子を求めることも行った。

Varimax  (直交)解を求めたのは,購買態 度の階層的構造のなかでより高次の水準に ある基本的次元は,低次の水準にあるもの

1

次 因 子

1

流 行 指 向

2

探 索 指 向

安全購買指向

4

節 約 指 向

信用購買指向

ムード指向

売手情報指向

8

低 価 格 指 向 因子の寄与率

‑ 4 8 ‑

因 子 負 荷 量

共通性

II 

‑0.739  0.141  0.567 

‑0.053  0.698  0.490  0.031  0.431  0.187 

‑0.272  0.681  0.538  0.571  0.057  0.329  0.563  ‑0.214  0.363  0.726  0.215  0.573  0.393  0.560  0.468  1.949  1.565  3.514  (55.5)  (44.5)  (100.0) 

(12)

購買態度の基本的次元の分析(佐々木)

より,相互の独立性が強く,理念的 には無相関の関係にあると考えるか らである。また 2 次因子を "2" と したのは,想定される基本的次元が 合理性と情緒性であるためで, これ らが同一次元のものであるならば同 ーの 2 次因子にともに高い負荷を示

4 2

因子解による

2

次因子分析の結果の総括 I 

1

流 行 指 向

(.739) 7 

売手情報指向

(.726)  5 

信用購買指向

(.571)  6 

ム ー ド 指 向

(.563) 

( 注 ) ( )内は負荷量を示す。

I I  

2

探 索 指 向

(.698)

4 節 約 指 向

(.681)

8 低 価 格 指 向

(.560)  3 

安全購買指向

(.431) 

す結果として表われるであろうし,異なる次元に属するものであるならばそれぞれの 2 次因子に 分かれる結果を生むであろうと予想された。

二つの 2 次因子は表 3 に示した因子行列として抽出された。 負荷量

0.400

を基準として 2 次因 子に対する 8 個の 1 次因子の関係をみると,いずれにも一方の 2 次因子が高い負荷を示している ことがわかる。なお, 1 次因子は, 8 個のうち第 1 因子(流行指向)を除く 7 個が,マイナス方 向に対して命名されていたので, これを命名の実質的意味に対応するように符号転換して,各 2 次因子が高い負荷を示す 1 次因子をとり出せば表 4 の通りになる。第 8 因子(低価格指向)に対

して第

12

次因子が基準に近い負荷

(0.393)

を示している以外は,各

1

次因子には

2次因子のい

ずれか一方が集中的な負荷をみせている。

第 I および第 I I の 2 次因子の意味をより明瞭に把握するために, 2 クイプに分けられた各 4 個 の 1 次因子がそれぞれ高い負荷を示す二つの態度項目を表 1 からとり出してみた。それが表 5 で ある。

この表から二つの 2 次因子の意味がかなり明瞭になる。第 I2 次因子は,商品のムード性や流 行性に影響され,購買時点でのコミュニケーション状況に依存するところが大きく,信用購買を 利用して支払いの心理的負担の一時的軽減をはかろうとする傾向をあらわしている。他方,第 I I

2 次因子は,経済性を重視し,購買に対して慎重で比較選択性が高い傾向をあらわしている。ゎ 表

5

二つの

2

次因子に高負荷を示す

1

次因子の主要態度項目

I  I I  

1

流行指向

4, 

新しい物が出れば人よりはやく

2  120. 

何軒かの店で比較して

5. 

流行中のものを買う 探索指向

15. 

できるだけ多くのものと比較して

7 売指手情報

22. 

買う時には店員がすすめるもの

4

節約指向

14. 

買うのは必要最低限にとどめる

23. 

買う時にはよく広告している店で

9. 

実用性や使い易さを重視する

5 信指用購買

25. 

できるだけクレジット・カードで

8 低指価格

7. 

安くて経済的なものを

26. 

できるだけ分割払いで

17. 

バーゲンセールを利用する

6 ム ー ド 8. 

その物のムードや情緒を重視して

3 指安全購買

3. 

品質の良い物だけを選んで

指 向

6. 

見た感じとか美しさを重視して

19. 

買う時は有名専門店やデバートで

( 注 ) 項目は簡略化して記されている。

49‑

(13)

6 3

因子解を求めた

2

次因子分析の結果の総括

I[ 

5

信用購買指向

(.713)  4

節 約 指 向

(.699)  6

ムード指向

(.721)  7 

売手情報指向

(.657)  2

探 索 指 向

(.678)  7

流 行 指 向

(.658)  8

低価格指向

(.599)  3 

安全購買指向

(.577)  3 

安全購買指向

(.556) 

8

低価格指向

(.427) 

れわれは,前者が 情緒性 を,また,後者が 合理性 をあらわしていると了解し,そのよう に命名することができるであろう。

以上の結果は,購買態度の基本的次元として合理性と情緒性が導びき出され,かつ,その 2次 元は相互に独立的(直交的)なものと考えられることを示唆している。

このように明瞭な単純構造が得られた 2因子解の場合にくらべて,比較のために求めた 3因子 解の場合はすっきりしない構造が示されている。その因子行列にもとづいて, 2因子解における 表

4

と同じ形式の総括を示したのが表

6

である。 ここでも負荷量

0.400

を基準として 8個の

1

次 因子に対する各 2 次因子の負荷をみたが,第 3 因子(安全購買指向)へ第 I I および第 m の,また 第 8 因子(低価格指向)へ第 I および第 I I の各 2 次因子が高い負荷を示しているところから, 2  因子解の場合ほどに明瞭な次元分割が行えないことが示される。さらに命名にあたっても,第 I I

2次因子は 合理性 を,また第 m 2次因子は 情緒性"をそれぞれあらわすものと解されるが,

第 I2 次因子の解釈は困難である。

以上の点から,基本的次元をあらわす 2 次因子分析としては "2 因子解 のケースの方が実質 的意味が深いと言えるだろう。

2 合理性と情緒性の直接的抽出

分析 I では 8 個の 1 次因子を 2 次因子分析することによって,合理性ならびに情緒性と解釈し うる 2次元が,相互に独立的な関係にあるものとして抽出された。この 2つの基本的次元は,購 買態度変数を寵接に因子分析した場合の 1 次因子としても確認することができるものだろうか。

あるいは,同様の結果が異なる対象者からの購買態度デークの分析でも見出されうるのだろうか。

われわれはこの点について検討するために分析 I での基礎となった

26

項目を

16

項目に縮限した 購買態度調査を,対象者を 主婦"に限定して実施し,これを分析した。さらに調査条件が分析 I とは異なるデークを用いたために,分析 I での出発点となった 8 因子に内容的に類似した因子 構造が,今回の

16

変数の因子分析によっても見出されるか否かという問題の検討も,付随的な目 的を構成した。

( 1 )   調査とデーク

社団法人流通問題研究協会が,昭和

49

2

月に,東京杉並区の国電西荻窪駅前の住宅地域(駅 から半径約

300 1,000

メートルの円環状の範囲にある

4

町に含まれる

10

丁)の一般世帯の主婦

ー ()0~

(14)

購買態度の基本的次元の分析(佐々木)

を対象として,買物行動に関する留置法による質問紙調査を実施した。その調査内容の一部に,

一般的な購買態度をしらべる目的で,分析 I で示された 8 因子のそれぞれがもっとも高い負荷を 示 し た 各 2 項 目 , 合 計 1 6 項目を選び出して用いることになった。

ここで採用された 1 6 項目は,唯一つの例外を除き,表 5に掲げられているものと同じである。

この表の項目から採用されなかった唯一のものは,第 2因子(探索指向)に関する「何軒かの店 へ行って比較したうえで買うものを決める」であって, これを同じ第 2 因 子 が 高 負 荷 を 示 し た

「どの店で買えば得かを買いに行く前によく調べてみる」と差し代えた

5)

。 したがって表 7 に示 されている 1 6 項目が用いられたわけである。

回答カテゴリーは分析 I の場合と同じ 5 段階であって「その通り」から「違う」までに 1 から 5 までの評定値が与えられた。

調査は

5

(10

丁)の約

13,000

世帯から

1,076

世帯を無作為抽出して,個別訪問により質問紙 の留置ならびに回収を行うという形式をとったが, 最 終 的 な 有 効 回 答 は

700

世 帯 か ら ( 回 収 率

65.1%)

であった。

この分析は,この有効回答からさらに

1/2

を抽出し,

353

人のデータに関して行ったものであ り,各項目別の評定値の平均ならびに標準偏差は表 7 に示されている。

表 7 1 6 購買態度項目の評定結果と 2 因子解 ( 注 ) 負荷量の小数点は省略する。

‑ ‑ 購 買 態 度 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 項目‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑分‑析結‑果 ‑

評 定 値 因 子 負 荷 量

共通性 平 均 標準偏差

1  2 

品質の良し、物だけを選んで買う………•

1.898  0.829  243  ‑052  0.062  2 

新しい物がでた時は人よりもはやく買う••………"……••

4.184  1.050  013  ‑610 

.373 3 流

行 の も の を 買 う ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .

3.632  1.109  004  ‑652  0.425  4 見た惑じとか美しさを特に重視して買う……… 3.144  1.161  118  ‑610  0.386  5 

とにかく安くて経済的なものを買う…•……••………

2.589  1.165  644  ‑102  0.425  6 そのもののムードや情緒を特に重視して買う……… 3.161  1.183  ‑015  ‑539  0.291  7 

実用性とか使いやすさを特に重視して買う•………••

1.663  0.731  424  255  0.244  8 買うのは必要最低限にとどめておく……… 1.997  1.028  577  314  0.432  9 できるだけ多くのものと比較した上で買う物を決める… 2.161  1.045  631  104  0.409  10 

バーゲンセールを利用する・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . .… . . . .  

2.510  1.186  625  ‑174  0.421  11  買う時は有名な専門店やデバートを利用する•………•…• 2.442  1.022  018  ‑282  0.080  12 

買う時には店員がすすめるものにする•………••

3.629  0.982  024  ‑530  0.281  13 

買う時にはよく広告している店で買う•………·……•……

3.436  1.125  346  ‑500  0.370  14 

どの店で買えば得かを買いに行く前によく調べてみる…

2.796  1.222  648  ‑123  0.436  15 

できるだけクレジット・カードで買う•………••

4.329  1.116  159  ‑274  0.100  16 

できるだけ分割払し、(月賦)で買う………

4.584  0.903  351  ‑276  0.199 

因子の寄与率

2.479  2.4541  4.933 

(50.3)  (49.7)  (100.0) 

5) 

「何軒かの店で比較して」と「できるだけ多くのものと比較して」は実質的に同じ行動を意味するこ とが多いと考えられ,また 事前探索"の側面を含む項目を入れるために,この差し代えが行われた。

‑ 51‑

(15)

1 2

因子に関する

16

項目の布樅

+1.0  +0.8  +o.6  +0.4 

ー│>/││

ヽ~

払  

/‑割 / 

力 分

で ト 卜 ツ ー ー ジ バ レ

プ ク

6  

ート ト 1 5

︒ ト

3 い

+ l

︵ 第

2 因子

‑0.8 

9

多くのものと比較して決める

!.‑7 実用性や使い易さを重視

' . ‑ s 買うのは必要最低限

1

品質の良い物 だけを選んで

‑1.0 

‑1.0 ‑0.8  ‑0.6  ‑0.4  ‑0.2  t0.2  +0.4  t0.6  t0.8  tl.O 

( 第

1

因子)

( 2 )   2因子を求めての分析

まず 5 段階評定値にもとづき 1 6 項目閻の積率相関係数が求められ, 16Xl6 の相関行列が構成さ れた。抽出因子数を "2" と決めて,合理 l 生と情緒性をあらわす因子がそれぞれ導びき出される ことを期待した。共通性の推定は,主因子法の繰返し法で行ない,これを対角成分に入れた相関 行列の主因子解を Varimax 法で回転し 解"とした。

抽出された 2 因子の 1 6 項目に対する負荷量は,因子行列として表 7 に示されている。第 1 因子 ではプラスの,また第 2 因子ではマイナスの高い負荷量を示す項目から, 2 つの因子の内容的性 質が解釈されるが,第 2 因子の符号を逆転して命名に対応した形に変えて,直交的な 2 因子に関

して各項目を布置させたのが図 1 である。

負荷景 0 . 4 0 0 を基準として各項目への 2 因子の負荷をみると, 1 6 項目は明らかに 3 つのタイプ に分割されることがわかる。つまり,

第 1 因子が高く負荷する項目。

項目番号 5 , 1 4 ,   9 ,   1 0 ,   8 ,   7 の 6 項目で図の右部にその内容が書かれているもの。

i i   第 2 因子が高く負荷する項目。

項目番号 3 , 2 ,   4 ,   6 ,   1 2 ,   1 3 の 6 項目で図の上部にその内容が書かれているもの。

i i i   両因子がともに高く負荷しない項目。

項目番号 1 , 1 1 ,   1 5 ,   1 6 で図の左下部にその内容が書かれているもの。

‑ 52‑

(16)

購買態度の基本的次元の分析(佐々木)

表 8 分析 I , I I の結果にみられる対応関係 分 析 I 

両分析に共通の態度項目 分析 I I 1 次因子 2 次因子 I  1 次因子

1 .   流行指向 k '   2 新しい物は人よりはやく 3 流行中のものを 7 .   売手情報指向 1./ 1 2 店員がすすめるものを

6 .   ムード指向

5 .   信用購買指向

2 .   探索指向 4 .   節約指向 8 .   低価格指向

3 .   安全購買指向

1 5 クレジットカードで 1 6 分割払いで

9 多くのものと比較して決める 1 4 どの店で買えば得かしらべる

7 実用性や使い易さを重視

8 買うのは必要最低限 I  i 合理性 l

5 安くて経済的な物を 1 0 バーゲンセールを利用

1 品質の良い物だけを選んで >

1 1 有名な専門店やデパートで

このように 2つの因子の両方が同時に高く負荷する項目はなく,非常に単純な構造としてとら えられることがわかる。

加えて, 2 つの因子の解釈にもあまり問題はない。第 1 因子は,経済性・実用性・節約などへ の指向を示し,探索行動への積極性をみせているところから."合理性"をあらわすものと言える し,また第 2因子は,ムードや感覚性の重視流行や新採用への積極性,コミュニケーションに よる被影響性の高いことなどを示しているところから 情緒性"をあらわすものと言える。

( 3 )   分析 I,I I の結果の比較

こうして分析 I I は,分析 I での 2 次因子レベルでの結果を支持する内容をもつ 2 次元を抽出し たが,個々の態度項目について比較する場合にも,二つの分析結果に一貫性がみられるだろうか。

これを検討するために, 1 6 項目から出発して,二つの分析結果を比較するための表 8 が作成され た 。

分析 I I で取り扱われた 1 6 項目は,前述のように,分析 I における 8 因子をそれぞれ代表する項 目であるので,その 2次因子分析で 2次元をあらわすものとされた各 4因子に関する各 8項目が,

分析 I I での 2 次元でも対応的なあらわれ方をすることが期待される。表 8 での項目, 1 次因子な らびに 2次因子を結ぶ線は,有意な関連を認めたことを示している。

一見して明らかなように分析 I の 8 因子中 6 因子に関する 1 2 項目において,分析 I I でも対応す

‑ 53 ‑

(17)

916購買態度項目の因子行列―6因子解の場合(注)負荷量の小数点は省略する

54  因 子

I

I 共通性

購買態度項目 1 品質の良しヽ物だけを選んで買う……...………•• ……•• …•• 147 053 342 ‑017 ー112399 0.313  2 

新しし、物がでた時は人よりもはやく買う…………..

……• 607 070 ‑005 ‑165 021 ‑040 0.403  3 

流行のものを買う・..................................................

622 138 021 ‑016 023 ー1810.440  4 

見た感じとか美しさを特に重視して買う•………••

541 ‑038 073 016 218 ‑024 0.348  5 

とにかく安くて経済的なものを買う………

072 467 ‑230 ‑047 199 249 0.380  6 

そのもののムードや情緒を特に重視して買う•…………••

482 ‑063 166 ‑073 117 126 0.299  7

実用性とか使いやすさを特に重視して買う•………••

‑048 119 ‑015 013 ‑036 574 0.348  8 買うのは必要最低限にとどめておく…..……• ……... …… ‑185 291 ‑014 ‑063 011 484 0.357  9 

できるだけ多くのものと比較した上で買う物を決める…

‑032 537 054 ‑018 ‑087 216 0.347  10 

バーゲンセールを利用する・......................................

032 636 ‑022 ‑118 098 ‑020 0.429  11 

買う時は有名な専門店やデパートを利用する•…………••

092 008 518 ‑052 124 008 0.296  12 

買う時には店員がすすめるものにする•………••

203 047 259 ー152‑671 ‑069 0.588  13 

買う時にはよく広告している店で買う•………••

247 326 ‑091 ‑051 450 ‑066 0.385  14 

どの店で買えば得かを買いに行く前によく調べてみる・・・

063 597 104 ‑089 074 132 

.402 15 

できるだけクレジット・カードで買う…………•…...

….. 027 099 231 ‑677 050 ‑069 0.529  16 できるだけ分割払し、(月賦)で買う....………... …….. … 212 154 ‑159 ‑574 121 140 0.457  因子の寄与率1.506 1.540 0.640 0.878 0.824 

0.934 

6.322  (23.8) (24.4) (10.1) (13.9) (13.0) (14.8) (100.0) 

(18)

購買態度の基本的次元の分析(佐々木)

る結果が得られている。しかし 信用購買指向 と 安全購買指向., の 2 因子に関する 4 項目は,

分析 I I の 情緒性.,因子にも 合理性"因子にも強い関連を示さないということがわかった。

( 4 )   最適解における因子の検討

分 析 I での 8 因子をそれぞれ高く負荷する各 2 項目を代表的なものとして選び出し,この

16

項 目に対する 主婦 の回答を得たところから,態度変量バッテリーの構成と回答者という 2 点で,

分析 I とは大きく異なる条件の上で成立しているデークの分析であった。そこで,この新しいデ ークを因子分析した場合に得られる結果は,分析 I での 8 因子と同じ内容をもっているか否か,

ということも興味ある問題であろう。

われわれは,

16Xl6

の相関行列から抽出する因子の 最適数 を求めるために,辻岡・東村ら

(1975)

の S c r e eT e s t を行ない, これを "6" と決定した。そのうえ,主因子法の繰返し法で 共通性を推定し,これを相関行列の対角成分に入れ,その主因子解を Varimax 法で回転したも のを 解 とした。ここで直交解を採用したのは分析 I での 8 因子は斜交解によるものであるか ら因子間相関があるとは言え,それぞれを代表する各 2 項目への回答は,表 1 の因子行列での負 荷量が示しているように,比較的独立的な関係にあるものと考えられるので,そこから抽出され

る因子も相互の独立性が高いことが予想されるからである

6)

表1

0 6

因子の高負荷項目と分析

I

での

8

因子との比較

因子 渦 負 荷 項 目 ( )内は負荷量 I  分析

I

での

8

因子

6

因子への命名

流行中のものを

(.622) 

}1

流 行 指 向

1  2

新しい物は人よりはやく

(.607) 

4

見た感じや美しさを重視

(.541)  }6 

ムード的採用指向

6 ムードや情報を重視 (.482) 

ム ー ド 指 向

10

バーゲンセールを利用

(.636) 

} s   低 価 格 指 向

2  5 安くて経済的な物を (.467)  14 

どの店で買えば得かしらべる

(.597) 

}2

探 索 指 向

経 済 性 指 向

9 多くの物と比較して決める (.537) 

1 1   有名な専門店やデパートで

(.518) 

安全購買指向 1 安 全 購 買 指 向

1 品質の良い物だけを選んで (.342) 

15 

クレジットカードで

(.677) 

16 

分割払いで

(.574)  5 

信用購買指向 信 用 購 買 指 向

5  12

店員がすすめるものを

(.671) 

13 

よく広告している店で

(.450)  7 

売手情報指向 売 手 情 報 指 向

7

実用性や使い易さを重視

(.574) 

}4

節 約 指 向

6  8 買うのは必要最低限 (.484) 

実 質 性 指 向

1 品質の良い物だけを選んで (.399) 

( 注 ) 負荷量.

0.350

以上をとりだしたが,第

3

因子の項目

1

は例外。これは分析 I での

8

因子との対応 のために特にとりあげた。

6)  Promax (斜交)解も求めて比較したが,因子構造の単純化が目立って進められているとは言えない。

‑ 5 5 ‑

(19)

求められた因子行列は表 9 に示される。

また各因子が高く負荷する項目をとり出したのが表1 0 である。この表によって,新たに得た 6 因子と分析 I での 8 因子を比較してみると, 8 因子のそれぞれを代表する各 2 項目は 6 因子解で

も同一の因子に含まれることがわかる。ただし,因子数が 8 から 6 に減少したことが, 8 因子解 で分離していたものを合体させるという結果を生み出している。しかもこの合体は, 2次因子レ ベルでは同一の因子に含まれていたものの間に起っている。つまり,新らしい第 1 因子は 流行 指向 と ムード指向"が合体した ムー的採用指向 と呼ぶことができるものであり,また第

2 因子は 低価格指向"と 探索指向"が合体した 経済性指向"と呼びうるものである。

もう一つの違いは「品質の良い物だけを選んで(項目 1) 」にみられるものである。 この項目 は , 8因子解では 安全購買指向"の負荷が高いものであったが, ここでは, むしろ 節約指 向"との関連を強くみせる結果になっており, 実質性指向"と呼びうる因子を構成している。

しかしまた,この項目は 安全購買指向"を構成するものとしても「有名な専門店やデパートで

(項目 1 1 ) 」に次ぐ負荷量をもっている。

2 つの因子解には以上のような差異があるが,因子数が 2 個縮限されていることを考えると,

非常に似た構造をもっていると評価できるであろう。

皿 考 察

1  基本的次元の性質について

この研究の目的としてわれわれが設定していた 4 つの問題のうち 3 つは,基本的次元としての 合理性,, と 情緒性,, の性質に関するものであったが,前節の分析から, この点についての一 応の結論をみることができる。そこで分析結果を確認しながら,購買態度の基本的次元の性質を 考察したい。

まず第一に,分析から明らかにされることは,購買態度の基本的次元として,分析 I では 2 次 因子の形で,また分析 I I では直接的な 1 次因子の形で,それぞれ 合理性,, と 情緒性 という 内容的性格を樽びき出すことができた,ということである。このことは, Copeland以来の過去 の論議の方向の適切さが確認されたことであるとともに, N i c o s i a( 1 9 6 6 )が,その真偽を確かめ ようとした,合理性(したがって情緒性も)という構成概念が消費者意思決定過程の理解のため に実際上有効なのかという疑問に対しても,操作的な裏付けのうえで「やはり有効である」とい う回答をする根拠を提供したものであると考えられる。われわれは,今後,購買態度を,したが って購買行動を考えるとき,合理性と情緒性と呼びうる心理的性質を重要な機能能的役割をもつ ものとして想定することができるのである。

第二の問題は, 合理性と情緒性という二つの性質の次元的関連性に関するものであった。 N i ‑ c o s i aは , この論議に明確な実質性を与えるために,両者を 1 次元上の対極的関係にあるものと

‑ 56 ‑

(20)

購買態庶の基本的次元の分析(佐々木)

表1 1 二つの基本的次元を構成する下位的次元

‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 」

( 1 )   商品選は情択緒にお価け値る感の重覚視 的あ ( 1 )   商品選択需における重実用視的あ

るい 的 るいは必的価値の

次下位的 元

(2) 

商 や 革 品 選 新 択 性 へ に み の 積 ら 極 れ 性 る流行性

(2)

や商低価品選格択性へにみの積ら極れ性 る経済性

(8) 

広 の 告 売 や 手 店 情 報 従 業 へ 員 の 依 の 勧 存 奨 性など

(3) 

商お品や店舗域の比較や探索に

け る 広 性

してとらえる立場から発言していた。しかし分析結果は,基本的次元としての合理性と情緒性を 独立的な二つの次元として把握する立場に,われわれを置かせることになった。合理性と情緒性 は 背 反 的 関 係 に あ る の で は な く , 合 理 的 で あ る と と も に 情 緒 的 で あ る ― あ る い は 両 方 と も 「 な い 」 ― と い う 場 合 も あ り う る わ け で あ る 。 こ の よ う な 2 次元的把握は,広範かつ多様な購買態 度を総括する機能を果すものとして考えられる 基本的次元"の性質として, 1 次元的にとらえ

るよりも,柔軟性に富み,現実的であると思われる。

第三の問題は合理性と情緒性を構成する下位的次元が何かということであった。この点につい て,われわれは,それぞれの下位的次元を構成する要素が二つの水準に分けられることにまず注 意する必要があろう。表 8 に示されているように,情緒性のそれぞれにおいて,分析 I の 2 次因 子では下位的次元となりうるが分析 I I ではそうでない要素があり,これらは,安定的な構成要素 とはいえぬものである。このために,より安定的に下位的次元を構成している要素をとり出して 当面の問題に答えるとすれば,表11に示すような各 3要素が考えられるであろう。下位的次元( 1 ) は商品選択の価値基準に, ( 2 ) は選択的手がかりとする商品特性に,また ( 3 ) は情報探索の方法に,

それぞれ関係するものであると解することができる。

2  2 次元性の問題に関するコメント

基本的レベルにおける合理性と情緒性の 2 次元性に関連して,購買行動の決定要因としての両 者の性質をめぐる過去の論議を見たときに,われわれの分析結果との関係において若干コメント すべき問題点があることに気づく。

第ーは,従来の合理性と情緒性に関する論議では,この両者を 1 次元上の対極的な関係にある とは考えない立場でも,購買行動の動機としての一方に注目することが他方を軽視する傾向を生 み出していることが多かったという点である。

合理性を強調する考えは,いわゆる 経済的合理性"を重視した伝統的な経済学的アプローチ に代表されるだろう。 「最小の手段で最大の効果をあげる」という経済原則にしたがうものとし て消費者行動をとらえ,財の購入によって得られる主観的満足(つまり,効用)を 極大化"す るための動機によって購買行動が成立すると考えられた。その行動主体である 経済人 ( e c o n o ‑ mic man)" は非現実的な人間像を描き出すものとしてさまざまの批判を受けている

7)

‑ 5 7 ‑

表 2 8 因子間の相関行列 ( 注 ) 相関係数の1 0 0 0 倍の数値を示す。 \  流行指向1  探索指向2  安指全購買3  向 節約指向 信指用購買4 5  向 指 向ム ー ド6  売指手情報7  向 低指価格8  向 1  1 0 0 0  0 5 7  ‑069  2 5 0  ‑256  ‑340  ‑304  ‑120  2  0 5 7  1 0 0 0  1 6 5  2 5 9  0 3 5  ー 1 0 1 ‑006  2 1 1  3  ‑069  1 6 5  1 0 0
表 6 3 因子解を求めた 2 次因子分析の結果の総括 I  I [  m  5 信用購買指向 ( . 7 1 3 )  4 節 約 指 向 ( . 6 9 9 )  6 ムード指向 (
図 1 2 因子に関する 1 6 項目の布樅 + 1 . 0  + 0 . 8  + o . 6  + 0 . 4  ー│>/││ でヽ~ ' 払 /‑割 / 力分6 でト卜ツーージバレプク 6   ート ト1 5︒ト⑫︒3い+l‑︵ 第2因子 ‑ 0
表 1 5 フォーマットの項目別回答状況 フォーマット I I 分析 I デーク ( 5 9 6 人)の回答分布 (%)  分析 I I デーク 月 . ,  J I 項 ( 1 )  ( 2 )  ( 3 )  ( 4 )  ( 5 )  ( 3 5 3 人)の 目 そ だ ど や 違 後 の ぃそ ちい や 評 定 値 平 均 番 通 遥 らえ 違 別 号 とな ( 表 6 から再録) り し ヽ り も 1 , ヽ う う ①  1 5  28  3 3  1 3  1 1  2

参照

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