嚥下困難者用高分子電解質ゲルのテクスチャーに対 する塩類の影響
著者名(日) 秋間 彩香, 谷米(長谷川) 温子, 熊谷 仁
雑誌名 共立女子大学家政学部紀要
巻 64
ページ 85‑92
発行年 2018‑01
URL http://id.nii.ac.jp/1087/00003194/
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止
哨下困難者用高分子電解質ゲルのテクスチャーに対する塩類の影響
E f f e c t o f S a l t s on t h e T e x t u r e o f P o l y e l e c t r o l y t e G e l s f o r D y s p h a g i c P a t i e n t s
秋間彩香•谷米(長谷川)温子・熊谷仁
Ayaka Akima, Atsuko Hasegawa‑Tanigome, and H i t o s h i Kumagai
1 .
緒言近年、摂食時に誤燕(食物の唖下時に食塊が 気管から肺へと到達すること)をする高齢者の 増加に伴い、増粘剤やゲル化剤を用いた唖下困 難者用介護食(以下、介護食)の開発が行われ ている。
介護食には軟らかく、べたつかず、まとまり やすい物性のものがよいとされ、そうした特性 は2バイトテクスチャー試験
( T e x t u r eP r o f i l e A n a l y s i s ; TP A
試験)1、
2)で評価されることが多 ぃ。TPA
試験では、図1
に示すように、円筒形 の試料の上部にレオメータに装瘤した平らなプ ランジャーを当てて一定の速度(測定速度)で 2回圧縮し、応力v s .
歪みの関係を測定する。そして、
1
回目の圧縮ピークの高さがかたさ( h a r d n e s s )
、その直後の引っ張り過程の負の応 力を示すピーク面積が付着性( a d h e s i v e n e s s )
、2
回目の圧縮ピークと1
回目の圧縮ピークの面 積比が凝集性( c o h e s i v e n e s s )
と定義される。付藩性はべたつき、凝集性はまとまりやすさの 指標とされる。
2 0 0 9
年に、厚生労働省は、「え ん下困難者用食品」の基準を策定した (2010年 に消費者庁に移管) 3、
4)。この新基準では、硬さ(「えん下困難者用食品」の基準では硬さという 漢字が用いられているので、本稿でも以下、硬
さと表記する)、付着性、凝集性の3つのパラメ ータに関して、許可基準
I
(重度)から許可基 準JI[ (軽度)までそれぞれの範囲が設定されて いる3
、4)0唖下困難者にどのような物性の食品が適して いるかは非常に難しいが、物性の選定、数値化
一ヤジンラ
プ ▲ ' *
凸
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JUI,
翌吋 :かたさ
[ N i m
りB: 付君性
[ J i m
勺. . 4 . , t . . 4 . 1 :
凝築性歪み
図
I TPA
試験( T e x t u r eP r o f i l e A n a l y s i s )
‑85‑
共立女子大学家政学部紀要
第 6 4
号( 2 0 1 8 )
は重要な問題である。一方で、作られた物性基 準に合致した介護食を調製するテクスチャーデ ザインを行うことも重要である。介護食に用い られるゲル化剤には、ゼラチンや、
K
ーカラギー ナンなど高分子電解質のものが多くみられる。金属塩は、高分子電解質と多様な相互作用をし、
ゲルや増粘剤溶液など食品ハイドロコロイドの 物性に大きな影智を与える。しかし、ハイドロ コロイドのべたつきや食塊のまとまりやすさと 対応する大変形の力学特性・テクスチャーや唖 下特性に対する金属塩の影轡は明らかではない。
本研究では、電解質高分子から調製される食品 ハイドロコロイドや介護食品のテクスチャーに 金属塩が与える影智に関して検討を行った。
2 .
方法2 .
1. 試料ゲルとしては、壊れにくいゲルを形成する、
K
ーカラギーナン(以下、CA)
、弾力性に富み、離水が少ないゲルを形成する、ローカストビー ンガム.
K
‑カラギーナン混合ゲル(以下、LOCA)
、なめらかな食感のゲルを形成するゼラ チン、弾力に富み壊れにくいゲルを形成するロ ーカストビーンガム・キサンタンガム混合ゲル(以下、
LOXA)
を用いた。これらのゲル調製 に用いた、K
ーカラギーナン、ローカストピーン ガム、ゼラチン、キサンタンガムは、介護食と してもよく利用される増粘剤、ゲル化剤である。添加する金属塩としては一価の金属塩である 塩化ナトリウムと二価の金属塩である塩化カル
シウムを用いた。
2 . 2 .
テクスチャー測定本研究では、大変形を伴う試験法として、上 述の
TPA
試験の他、試料の破壊特性を評価するための破断試験を行った。
2 . 2 .
1.TPA
試験TPA
試験は、厚生労働省の「えん下困難者用 食品」の基準の測定方法に準拠して行った。直 径40mm
のステンレス製のシャーレに高さあ るいは深さ15mm
に充填した試料を、直径2 0 mm
、高さ8mm
の樹脂製円柱型プランジャーを用いてクリアランス
5mm
(変形率6 6 . 6 % )
、 プランジャー速度lOmm/s
で試料の中心部を2
回連続圧縮した。得られたテクスチャー曲線か ら、硬さ、付着性、凝集性を算出した。装置と しては、(株)山電(東京)社製のレオメータ レ オナーRE
2‑ 3 3 0 0 5 C "
を用いた。測定温度は、CA
、LOCA
、LOXA
に関しては2 0
℃、ゼラチンに関 しては1 0
℃ とした。2 . 2 . 2 .
破断試験破断試験は、図2に示すようにプランジャー により試料を一定速度で圧縮し、そのときにか かる破断荷重と歪みの関係を求めるものである。
ジャー
コ
1~
ヵ岡
/ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑
破 荷 重‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑
破断歪み
/
歪み
図2 破断試験
(a‑l)CA+Na 1 0 0 0 0 0
l 1 0 0 0 0 『 i I i
│已百=
I 1 0 0 0 i ; i .
1 0 0
0 0
ユ0 . 40 . 6 0 . 8 l NaClC
匹: : e n l r a
血n(M)
( a ‑ 2 ) CA..Ca 1 0 0 0 0 0
宕 匝
i :
ヽ
1 0 0 0 0 国
j 1 0 0 0
ロ ロ園1 0 0
0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 I
~C~Coa::en匹on(M)
ボ 量 一
LOCig
曲
) 1 e E ‑ N )
目g
百 ー
ー一
e ̀
゜ .
1 0 0
0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 0 . 5 NaCl C o a : : e a t n t i o n ( M )
(b勾
LOCA+Ca 1 0 0 0 0 0
含z
1 0 0 0 0
ヽ目g
百 =
1 0 0 0
届
°
゜
1 0 0
0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 o . s
Cae'2
C c
匹:entr::a血 ⑱ ( c ‑ 1 ) G e l a t i n + N a ( e r 2 ) G e l a t i n + C a
1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0
~^
e 1 0 0 0 0
. . △ △ ▲1 ・ ‑ r •
J
1 0 0 0
臣 j1 0 0 0
△ 屈]1 0 0 1 0 0
0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 I 0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 I NaCl C o a : e n t n t i o n (M)
CaC~Coa:eatr.aふm(M)( d ‑ 1 ) LOXA+Na ( d
勾LOXA+Ca 1 0 0 0 0 0
巨
i 1 0 10000~<>3 0 0 0 0 戸
宕
: z
` 1 0 0 0 0
3 ◆I 1 0 0 0 i 1 0 0 0
1 0 0
0 O . S I J . S 2 NaCl Coa:entn
ふ,n(M)
1 0 0
0 O . S 1 1 . S 2 eac~Conce:ntmion (M)
図3 ゲルの硬さ (Hardness)‑87‑
共立女子大学家政学部紀要 第
6 4 号 ( 2 0 1 8 ) ( a ‑ 1 ) CA+Na
1 0 0 0 0
! 1 0 0 0 r~n i
; ., ●
者
1 0 0
! 1 0
0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 I NaCl Co
匹n l r a t i o n(M) ( b ‑ 1 ) LOCA+Na
雹 1 0 0 0
, 1 0 0
よ〇● 0 ●・ i
芝1 0
0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 o . s
NaCIC
匹: e n t r a t i o n
⑱( c ‑ 1 ) Gelatin+Na ( c ‑ 2 ) G e l a t
印a 1 0 0 0 1 0 0 0
e
^ 細
一. . . ~ . ,
▲▲^ e
一...‑.1001~~
I
塁! ! 1 0 0
△J
&
匝 △
1 0
0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 I NaCtCo
匹n t r a t i o n(M) ( d ‑ 1 ) LOXA+Na
r : : 』
1 0
0 O . S 1 1 . S 2 NaCl C o n c e n t r a t i o z
パM)
( a ‑ 2 ) CA+ca 1 0 0 0 0
I 1 0 0 0 田 「
I
<'
1 0 0 口 国
ロ1 0
0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 I
Ca~Coo:enlra血n(M)( b ‑ 2 ) LOCA+Ca
1 0 0 0
︒ ゜
ー( t u
‑ [ ︶ 日目
g口
且
PV
1 0
0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 o . s
CaCt:Co 皿 日 t r a t i o n ( M )
1 0
0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 I C a C I : C o n c e n t r a t i o n (M) ( d ‑ 2 ) LOXA+Ca
亙 1 0 0 0
1 0 0
9 e
忌 且
PV
匿
oR
000)
◇
1 0
0 O . S 1 1 . S 2 Q
屯O
匹e n t r a t i o n
⑲図
4
ゲルの付滸性( A d h e s i v e n e s s )
(a‑l)CA+Na ( a ‑ 2 ) CA+ca
為呂
0 . 8
] 。
0 0 . . 6 4
*Cl•
8
。 . 2
罫‑I i i
゜ NaCl C 0 0 . 2 0 o n c . 4 e 0 n t r . 6 a 0 t i o . n 8 I (M) ( b ‑ 1 ) LOCA+Na
尻
0 . 8
5 0 . 6
-~
』0 . 4
80 . 2
に口品田
゜ 0 0 C a C l . 2 : 0 C .
匹 畑4 0 . 6
I0
ra. 血 8 a ⑲ I ( b ‑ l ) LOCA+Ca
召
0 . 8
! 0 . 6
』 0 . 4
U 0 . 2
゜ NaCl C 0 0 . 1 0 o n . c 2 e 0 n t . r 3 a 0 t i . o 4 n ⑲ o . s ( c ‑ 1 ) Gelatin+Na
貝 0 . 8
.
! 0 . 6
旦 0 . 4
゜
o 。 . 2
゜ 0 0 C a O . : 1 0 C o . n 2 0 c e n . t 3 0 r a t . i 4 o n o . s ⑲ ( c ‑ 2 ) Gelatin+ca
尻
0 . 8
呂u 0 . 6 -~
且0 . 4
80 . 2
゜ NaCl C 0 0 . 2 0 o n . c 4 e 0 n t r . 6 a 0 t i o . n 8 1 (M)
▲▲
: I . : :
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. . 8 0 . 4
8
0 . 2
゜ 0 0 C a C t . : 2 0 C o . n 4 0 c e n . t 6 r 0 a t . i 8 o I n ⑲
^
‑
( d ‑ 1 ) LOXA+Na
j
8 為0 . 8
: : : ~ 冷 ◇
◆ ◆0 . 2
( d ‑ 2 ) LOXA+Ca
゜ NaClC 0 O . S
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J
図5 ゲルの凝集性 (Cohesiveness)
‑89‑
共立女子大学家政学部紀要 第
6 4
号( 2 0 1 8 )
(a)CA 3 0
€
音 ! 2 0
トCD
1 0 t
口.
口゜
0 2 B 0 r 4 e a k 0 i 6 n g s 0 t 8 r a i 0 n 1 ( % ) 0 0
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1 . 2 9 6
口
Nona d d i t i o n .
ロN a C l0 . 2 M.
aNac10.1M.
口c a c l , 2 o . o s M.
I曰 C a C l l0 . 2 M.
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( c ) G e l a t i n 1 0
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1
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m
= 2
゜
A
0 20 40 60 80 1 0 0 B r e a k i n g s t r a i n ( % ) G c l a l i n I . S 9 6
△
Non a d d i t i o n .
△ N a C l O . S M • • N a C l I M .
△ C a C l . 2 0 . 1 M. △ C a C 1 2 O . S M
(IJ)LOCA 4 0
€30 r C b
1 : 1 .
゜
0 2 Breakingsb 0 4 0 6 0 8
血(%)0 1 0 0 LOCA 4 . 0 9 6
0
Non a d d i t i o n .
O N
心O . O SM.
●N 8 C I 0 . 3 M.
cC8Cl1 0 . 0 1 M.
8C a c ) : O . I S M
(d)LOXA
20
g
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l S
「゜
◇.
一CD5JO 「 ◆
> s
t <>゜ 0 20 40 60 80 I 00 B r e a k i n g s t a :
血(%)LOXA 0 . 4 9 6
◇
N a C l 0 . 1 M.
◆N a C l 2 M.
◇
C
紀1 20 . 1 S M.
令C a C l 2IM
図6 ゲルの破断挙動
ゲルなどの固体試料が破壊すると図のように破 断曲線にピークが生じる。最初に得られたピー クを破断点とし、そのときの荷重の値を破断荷 重、歪みの値を破断歪みとする。
破断試験においても、レオメータとしては、
山電社製
RE2‑33005C
を用いた。測定は、直径22mm
、高さ8mm
の試料を直径55mm
、高さ8mm
の樹脂製円柱型プランジャーを用いて、測定速度
lmm/s
で、歪み9 0 . 0 %
で行った。測 定温度は、TPA
試験と同様にした。3 .
結果と考察3 .
結果と考察3 . 1 . TPA
試験図3に
TPA
試験から求められる硬さの測定 結果を示す。図の左側は塩化ナトリウム、右側 は塩化カルシウムを添加した図である。CA
、LOCA
の硬さの値は、いずれのゲル化剤浪度に おいても、塩化ナトリウム、塩化カルシウムの 少抵添加により1 0
倍以上増加したが、さらに添 加濃度が増すにつれて低下した。ゼラチンの硬 さの値は、塩化ナトリウム添加では変化がほと んど見られなかったが、塩化カルシウム添加で は添加浪度が増すことで低下した。LOXA
の硬 さの値は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム共 に少最添加により1 0
倍程度まで値が増加し、そ の後添加濃度を増すと塩化ナトリウムでは変化 が見られず、塩化カルシウムでは低下した。つ まり、いずれのゲルにおいても、検討したゲル 化剤濃度範囲では、添加塩濃度の増加により硬 さの値が増加し、さらに高濃度になると低下す る傾向がみられた。これは、塩添加により高分 子電解質間の架橋点( j u n c t i o nz o n e )
は増える が、塩濃度が高くなるとイオンによる電荷遮蔽 効果によって硬さの値が低下するためと考えら れる5)0国の「えん下困難者用食品」の基準において は硬さの範囲が、許可基準
I
では2 . 5 X 1 0 1 ‑1
x
1 0 4
N/m2、許可基準I I
(中程度)で1 X 1 0 3
‑ 1 . 5 x 1 0 4 Nim
尺許可基準皿で3X 1 0 2 ‑2 X
1 0 4 Nim
北設定されている3
、 4)。図3から、塩 添加によって各ゲル、特にCA
、LOCA
の硬さ の値は、許可基準の範囲に制御可能なことがう かがわれる。図4に
TPA
試験から求められる付着性の測 定結果を示す。CA
の付滸性の値は、硬さと同 様に、塩化ナトリウム、塩化カルシウムの少祗 添加によって1 0
倍以上増加したが、さらに添加 汲度が増すにつれて低下した。LOCA
、ゼラチ ン、LOXA
に関しては、金属塩の添加による付 着性の値の大きな変化は見られなかった。国の「えん下困難者用食品」の基準において は付滸性の設定範囲が、許可基準
I
では4 X 1 0 2 J / m 3
以下、許可基準I I
では1 X 1 0 3 J / m 3
以下、許可基準皿では
1 . 5 X 1 0 3 J / m 3
以下である3 、
4)0 図4から、塩添加によって、ゲルの特にCA
の 付着性値は、許可基準の範囲に制御可能なこと が確認できる。図5に
TPA
試験から求められる凝集性の測 定結果を示す。いずれのゲルにおいても、塩化 ナトリウム、塩化カルシウムの少試添加によっ て0 2 ‑ 0 . 4
付近まで凝集性が低下し、さらに添 加浪度が増すにつれて値が増加した。「えん下困難者用食品」において凝集性の範 囲は、許可基準
I
では0 . 2 ‑ 0 . 6
、許可基準I I
で は0 2 ‑ 0 . 9
に設定されている(許可基準皿では 凝集性の範囲は設定されていない) 3, 4)。今回 使用したゲル化剤では、塩添加により凝集性の 値を0 . 2 ‑ 0 . 8
程度まで変化させることができた。3 . 2 .
破断試験図6に破断試験から求められた破断荷重と破 断歪みの関係を示す。
CA
に関しては、塩化ナ トリウム、塩化カルシウム共に、少抵添加によ って破断荷重が商くなり破断歪みは低下し、硬 くてもろいゲルに変化することが確認された。さらに金属塩の添加拭が増加すると、破断荷重 は低下し、やわらかく壊れやすいゲルに変化し た。
LOCA
では、金属塩の添加醤増加に伴って 破断荷重、破断歪率は低下し、やわらかく壊れ‑ 91‑
共立女子大学家政学部紀要 第
6 4号 ( 2 0 1 8 )
やすいゲルに変化した。ゼラチンに関しては、
塩化ナトリウム添加では破断荷重と破断歪みの 変化はなく、塩化カルシウムの添加によってよ りやわらかいゲルに変化した。
LOXA
は、無添 加では弾力があり壊れにくいため明確な破断点 は見られなかったが、金属塩の添加によって壊 れやすいゲルに変化した。TPA
試験から得られる凝集性は、唖下困難者 用食品の まとまりやすさ"の指標として採用さ れている。唖下困難者用食品に求められる"まと まりやすさ"とは、摂食時の食塊形成のしやすさ、食塊のまとまりやすさ(食塊がばらばらになり にくいこと)である。ただ、
TPA
試験から求め られる凝集性は、第2
のピーク面積A2
と第1
ピークの値A1
の比である。破壊されやすい試 料に関しては、第2
のピーク面積A2
が第1
ピ ークの値A1
に比べて小さくなるので、凝集性 の値は小さくなる。こうした破壊しやすいもの を まとまりにくい"食品として凝集性の値から 評価することは妥当そうである。塩添加により 破断応力あるいは破断歪みが低下し破壊しやす くなる(図6)と、凝集性の値の低下する(図5) 傾向がうかがわれる。4 .
まとめ本研究では、複数のゲルを用いて、塩添加が ゲルのテクスチャーに及ぼす影蓉に関してより 検討を行った。その結果、添加する金属塩の種 類や抵を調整することにより、多様なテクスチ ャーを有するゲルの調製が可能であることが確 認された。
謝 辞
本研究の一部は、ソルト・サイエンス研究財 団 (H28年度助成番号 1653)の助成を受けて 行った。
参考文献
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