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シ ス テ ムデザイ ン研究科 情報通信 シス テ ム学域

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(1)

平 成 2 6 年 度 修 士 論 文

超音波生体画像化におけ る周波数依存減衰 によ る画質劣化の改善

シ ス テ ムデザイ ン研究科 情報通信 シス テ ム学域

平岡 拓也

指導教員  田川憲男 教授

(2)

1

章  序論

1.1

本研究の背景 と 目的

1.2

本論文の構成 第

2

章  本研究の関連知識

2.1

超音波診断法

2.1.1

超音波診断法の特徴

2.1 .2

超音波診断装置の構成

2.1.3

超音波画像の表示方法

2.1.4

画像の分解能

2.1 .5

超音波画像のア ーチ フ ァ ク ト

2.2

生体高調波画像化法

2.2.1 THI

の発生原理

2.2.2 THI

の利点と欠点

2.3

パルス圧縮法

2.3.1

パルス圧縮法の概要

2.3.2

リ ニ ア

FM

チ ヤー プ

3 章  提案手法

3.1

提案手法の概要

3.2

探触子の特性補償

3.2.1

探触子の特性補償

3.2 .2

高調波帯におけ る探触子の特性補償

3.3 FDA

補償手法

3.3.1

基本的な考え方

3.3.2

基本波に対す る

FDA

補償手法

3.3.3

高調波に対する

FDA

補償手法

1

3 4 4 4 5 7 8 9 11 11 12 14 14 14 19 19 19 19 20 21 21 21 21

(3)

l l

3.3.4

受信信号を增幅 させ る手法

3.3.5 FDA

の定義

4

章  シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

4.1

基本波帯 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

4.1 .1

探触子の特性補償

4.1.2 FDA

補償

4.2

高調波帯 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

4.2.1

探触子の特性補償

4.2.2 FDA

補償

4.3

画像化によ る評価

4.3.1

画像化準備

4.3.2

画像化結果

5 章  実験

5.1

実験準備

5.2 FDA

補償実験

6

章  結論

6.1

本研究の総括 と 今後の研究課題 謝辞

参考文献

本研究に関す る研究業績

23 25 26 26 26 28 32 32 34 39 39 40 41 41 43 47 47 48 49 50

(4)

図 目 次

2.1

探触子の構成

2.2 A

モ ー ド およ び

B

モ ー ドの概念図

. . . . 2.3

多重反射の概念図

. . . . 2.4

サイ ド ロ ーブの概念図 

. . . . 2.5

非線形音響媒質中の伝搬によ る高調波の発生

. . . . 2.6

基本波 と 高調波の ビーム幅

. . . . 2.7

矩形窓 をかけ たチ ヤープ信号の例

. . . . 2.8

ハ ミ ング窓 をかけたチ ヤープ信号の例 

. . . . 2.9

矩形窓 をかけ たチ ヤー プ信号の圧縮波形 と エ ンベロ ー プ

2.10

ハ ミ ン グ窓 を かけ たチ ヤー プ信号の圧縮波形 と エ ンベロ ー プ

3.1 RFDA(

ω

) (破線)

と 、

R FDA(ω)l (実線) , (a)

線形近似, (b) 曲線近似

. . . 3.2 F DA

を受け た エ コ ー信号 

. . . . 3.3 F D A

に よ る低下 を増幅 し た信号

. . . . 3.4

補償信号に対す る エ コ ー信号 

. . . . 3.5

圧縮検波波形の比較

FDA

を受けたエ コ ー信号

(点線), FDA

によ る低下を

増幅 し た信号

(破線),

補償信号に対するエ コ ー信号

(実線) . . . . 4.1

探触子の特性補償のための シ ミ ュ レ ー シ ョ ンモ デル

. . . . 4.2

探触子の特性補償前の信号

: (a)

任意の

FM

チ ヤー プ送信信号

f l ( t) , (b)

エ コ ー信号

gl( t) . . . . 4.3

探触子の特性補償後の信号

: (a)

探触子の特性補償送信信号

s,( t) , (b)

エ コ ー信号

. . . . . . . . 4.4 F D A

補 償の ため の シ ミ ュ レ ー シ ョ ンモ デル

. . . .

4.5 FDA

の影響 を受けたエ コ ー信号

: ( a)

時間波形

, (b)

周波数領域の振幅ス

ペク ト ル

(

実線

)

と理想的な振幅スペク ト ル

(

破線

) . . . . 4.6 RFDA(

ω

) (

破線

)

l RFDA(

ω

)l (

実線

) : (a)

線形近似

, (b)

曲線近似

. .

6 8 10 10 11 13 17 17 18 18 22 24 24 24

25 26

27 27 28 29 29

(5)

iv

4.7

補償後のエ コ ー信号

: (a)

線形補償後のエ コ ー信号

, (b) (a) の周波数領域

におけ る振幅スペ ク ト ル

(実線)

と理想的な振幅スペ ク ト ル

(

破線) , (c) 曲 線補償後のエ コ ー信号

, ( d) (c) の周波数領域におけ る振幅スペ ク ト ル(

実 線

) と理想的な振幅スペク トル(破線) . . . 30 4.8

圧縮検波波形

: ( a)

補償前のエ コ ー信号

(点線)

と線形補償後のエ コ ー信号

(実線) , . . . 31 4.9

探触子の特性補償前の信号

: (a)

任意のFM チヤー プ信号

f , (t), (b)

エ コ ー

信号g2(t) . . . 33

4.10

探触子の特性補償後の信号

: (a)

探触子の特性補償送信信号

s2( t), (b)

コ ー信号

. . . . . . . . . . . . . .

4.11 FDA

の影響 を受けたエ コ ー信号

: (a) 第二高調波 , (b)

周波数領域の振幅

スペ ク ト ル

(実線)

と理想的な振幅スペク ト ル

(破線) . . . . 4.12 RFDA2(

ω

) (

破線

)

と 、

R FDA2(ω

、 

) (

実線

) : (a)

線形近似

, (b)

曲線近似

.

4.13

補償後のエ コ ー信号

: (a)

線形補償後のエ コ ー信号

, (b)

曲線補償後のエ

コ ー信号

, (c) (a) の第二高調波 , (d) (b) の第二高調波 , (e) (c) の周波

数領域の振幅スペ ク ト ル

(実線)

と理想的な振幅スペク ト ル

(破線) , (f) (d)

の周波数領域の振幅スペ ク ト ル

(

実線

)

と 理想的 な振幅スペ ク ト ル

(

破線

) .

4.14

圧縮検波波形

: ( a)

補償前のエ コー信号

(点線)

と線形補償後のエ コ ー信号

(実線), . . . .

4.15

画像化 のた め の シ ミ ュ レ ー シ ョ ンモ デル

. . . . 4.16 B

モ ー ド 画像

: (a)

補償前の基本波, (a) 曲線補償後の基本波,

. . . . . 5.1

実験 モ デル

. . . . 5.2

使用 し た探触子

. . . . 5.3

任意の

FM

チ ヤー プ信号

. . . .

5.4 FDA

の影響を受けたエ コ ー信号

: (a)

時間波形

, (b)

周波数領域の振幅ス

ペク ト ル

(実線)

と理想的な振幅スペク ト ル

(破線) . . . . 5.5 FDA

の影響を受けたエ コー信号

: (a)

5.4(a) の第二高調波, (b)

周波数 領域の振幅スペ ク ト ル

(

実線

)

と理想的な振幅スペ ク ト ル

(

破線

) . . . . 5.6 RFDA2(

ω

) (

破線

)

I ii FI)A2(

ω

)l (

実線

) . . . . 5.7

補償後のエ コ ー信号

: ( a)

曲線補償後のエ コ ー信号

, (b )

周波数領域の振

幅スペク ト ル

(実線)

と理想的な振幅スペク ト ル

(破線) . . . . 5.8

補償後のエ コ ー信号

: (a)

5.7(a) の第二高調波 , (b)

周波数領域の振幅 スペク ト ル

(実線)

と理想的な振幅スペク ト ル

(破線) . . . .

33

35 35

36 37 39 40 41 42 43

44

44 45

45 45

(6)

5.9

圧縮検波波形

: ( a)

補償前の基本波エ コ ー信号

(点線)

と 曲線補償後の基本 波エ コ ー信号

(実線) , (b)

補償前の第二高調波 エ コ ー信号

(

点線) と 曲線補

償後の第二高調波エ コ ー信号

(

実線)

46

(7)

第 1 章  序論

1.1 本研究の背景と 目的

近年, 高齢化や医療技術の高度化等に伴い超音波診断の需要が高ま っ て きて い る. 超音 波診断には

,

被曝の恐れがな く

,

実時間で画像診断が行え る と い う 利点があ る一方で

,

他 の生体内の画像化法, 例えば

X

C T

やM R I な ど と比較 し て低画質で ある. そこ で本研 究で は, 生体内

,

特 に生体深部に おけ る超音波画像の高画質化 を目的 と し て い る

.

超音 波画像の高画質化のためには, パルス圧縮技術

(Pulse Compression Technique: P C T )

が有効で あ る

. P C T

では, 送信信号と の相関処理によ っ て受信エ コ ー信号の時間圧縮を 行 う. 圧縮後の信号の時間波形は, 送信信号の帯域幅に逆比例 し て細 く な る ため

,

帯域幅 を広げ る こ と で距離分解能が向上す る

.

さ ら に

P C T

に おい て継続時間の長い信号を用 い る こ と で信号対雑音比

(Signal to Noise Ratio: S N R )

を高める こ と がで き る. そこ で本研究では, 広帯域かつ継続時間の長い

F M

チ ヤー プ信号を送信信号と し て採用す る.

一方, 別の高分解能化手法と し て生体高調波画像化法

( Tissue Harmonic Imaging: T H I )

が挙げ ら れる. T H I と は, 音響的非線形性 を有す る生体組織 を超音波が伝搬す る際 に逐次的 に生 じ る高調波成分 を利用 し て画像化 を行 う 手法で あ る

.

高調波は高次に な る に つれて急激に振幅が減少す るため, 二次高調波 を用い るのが一般的 で あ る

. T H I

の利点 と し て以下が挙げ ら れ る

. ( 1 )

二次高調波の帯域幅は

,

基本波成分の約

2

倍で あ るため

,

距離分解能が向上す る

. ( 2 )

非線形性によ る高調波の発生は音圧の高い ビームの中心近

く に制限 さ れる ため

,

ビーム幅が狭 く な り 方位分解能が向上す る

. ( 3 )

多重反射や送信 波のサイ ド ロ ー ブは音圧が低いため

,

高調波は発生 し づ ら く

,

ゆえ に それ ら に よ る ア ーチ フ ァ ク ト が軽減 さ れる

. T H I

P C T

を適用す る こ と で

,

分解能 と

S N R

の向上が期 待で き る. し かし

,

高調波の利用は周波数依存減衰

(Frequency Dependent A t tenuat ion:

F D A )

の影響 を受けやす く な る. F D A と は生体内 を伝搬す る超音波信号の周波数が高

く な る につれて大 き く な る減衰特性のこ と で あ る

.

広帯域 な信 号や, 二次高調波 な どの高

周波成分を持つ信号を送受信する際に, F D A は強 く 影響す る. F D A によ るエ コ ー波形

の歪みは, P C T の圧縮特性 を著 し く 低下 させ, その結果

,

画質劣化が生 じ る. 先行研究

で は既 に

, S N R

を低下 させ る こ と な く

F D A

によ っ て生 じ る基本波エ コ ーの歪みを軽減

(8)

す る

F D A

補償手法を提案 し てい る

.

こ の手法は

,

エ コ ー信号が

F D A

によ る歪みを受け た上で

,

歪みのない理想的 な信号にな るよ う に送信

F M

チ ヤー プ信号を適切に変調す る と い う も ので あ る

.

本研究で はまず, こ れまでの検討に比べよ り 生体に近い条件での シ ミ ュ レ ー シ ョ ン評価 を行い

,

その結果に基づいて従来法よ り も有効な送信波変調手法を検討す る. さ ら に こ の手法 を

T H I

へ拡張 し

,

実験 と シ ミ ュ レ ー シ ョ ンによ り その有効性 を確認 す る

.

本論文は, 全

6 章 よ り な り,

各章の概要は以下の通 り で あ る.

(9)

1.2.

本論文の構成

3

1.2

本論文の構成

1

:

序論

l

章は序論で あ り

,

超音波診断におけ る最近の研究動向について述べた後

,

本研究の 意義 と日的 を示す.

2

章 : 本研究の関連知識

2

章で は本研究の関連知識 と し て

,

超音波診断法の概要 と

P C T

について説明す る

.

3

:

提案手法

3 章で は,

提案手法で あ る

F D A

補償手法について述べ る. まず, 探触子の特性の補

償につい て述べ る. 次に, 基本波帯に おけ る

F D A

補償手法の概要 と アル ゴ リ ズムを従来 法 と の差異も 含めて述べる

.

また提案手法で あ る

F D A

補償手法の

T H I

への拡張に つい て も 説明す る

.

4

:

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

4

章では

,

シ ミ ュ レ ー シ ョ ンによ り

,

基本波 と 高調波双方に対 す る提案手法の有効性 を評価 す る

.

まず, 簡潔 な シ ミ ュ レ ー シ ョ ンモ デルを用い て探触子の特性の補償について 確認す る

.

次に

,

生体 を模 し たモ デルを作成 し

,

シ ミ ュ レ ー ト さ れるエ コ ー を解析 し

,

波 形や画像 を用いて提案手法の有効性を評価す る

.

5

:

実験

5

章では

,

実験によ り 提案手法の有効性を評価す る

.

実際に使用 さ れてい る探触子を 用いた実験に よ り

,

提案手法の実性能 を確認す る

.

6

:

結論

6 章は結論で あ り,

本研究で得 ら れた成果 を整理す る と と も に

,

本研究に関す る今後

の展望 な どに つい て述べ る.

(10)

第 2 章  本研究の関連知識

2.1 超音波診断法

2.1.1

超音波診断法の特徴

超音波診断装置 と は超音波 を送信 し

,

生体組織から のエ コ ーを受信 し て体の内部の情報

を映像化 し

,

計測す る装置で あ る. 超音波診断の特徴の一つは, 放射線 を用い る レ ン ト ゲ ン

撮影や

X

C T

と は異 な り

. 音波 を利用 し て い るため被曝の危険 がない こ と で あ る。  頭部 X

CT

で は一度の診断で平均

2.4

ミ リ シーベル ト の放射線を受け る

.

一般的 な生活 を し

てい る人の自然放射線量の世界平均値が

2.4

ミ リ シーベル ト と さ れて お り

,

人が自然界か

ら 一年間で受け る放射線 を一度の診断で受け るこ と になる

.

特に胎児な どは放射線被ば く

に対 し て弱い と さ れて い るので

,

超音波診断が有効に な る

.

も う 一つの特徴は

,X

C T

M RI

と 比較 し て映像化の原理が単純なこ と で ある.X 線

CT

M RI

で は映像化す る際に

複雑 な計算 を行 う ため

.

診断部位の実時間表示がで き ない

.

し かし 超音波診断で は

,

映像化

の原理が単純で あ り 画像 を構成す る時間が短いため実時間表示が可能で あ り

.

心臓 な どの

実時間検査な どに用い ら れてい る. また, 映像化の原理が単純 なため, 装置の小型化が可能

で あ り

, 価格 もX

CT

の約

1/ 10

以下と 安価にで き る と い う利点がある. し かし

,

超音波

診断では

X

C T

M RI

と 比較し て画質が低いこ と や, 頭蓋骨 な ど骨に覆われた組織の

画像化がで き ない と い う 欠点 も あ る.

(11)

2.1.

超音波診断法

5

2.1.2

超音波診断装置の構成

超音波診断装置は, 探触子, 信号処理回路, 観察用モ ニ タ およ び記憶装置によ り 構成 さ れ て い る. こ こ で は探触子について概略 を示す.

探触子

探触子は超音波 を生体内に送信し

,

また生体内か ら超音波信号を受信す る働 き を持 ち, 装 置の性能 を左右す る重要な部分で ある

.

探触子に求め ら れる性能は, 送受信感度が高 く 軽量 で, 人間工学的観点から も手にな じ みやすい形状で あ る こ と な どで あ り

, その構成は音響レ

ンズ, 音響整合層

,

振動子, およ びパ ッ キ ング材よ り な る.(図

2.1)

探触子には大ま かに分類 し て次のよ う な も のがあ る. シ ン グル ビ ームスキ ャ ナ は振動 子が

1

個の も ので あ る

. ア レ イ

型探触子は振動子を多数配列 し た探触子の総称で, 振動子を直線状に配列 し た リ ニ ア ア レ イ

,

凸面状に配列 し た コ ンベ ツク スア レイ

,

短冊状に並んだ多数の振動子に対 し 電子的に時 間差位相制御 し て画像焦点 を作 る フ エイ ズ ド ア レイ があ る. ま た ア ニ ユラ ア レ イ は, 円形 の振動子 を同心円状に配置 し た も ので あ り

,

マ ト リ ッ ク ス ア レイ は振動子が縦 と 横に規則 的 な二次元配列 を な し

, 一箇所の観測点で2

方向の情報が同時に得 ら れる も ので あ る. ァ ク テ イ ブマ ト リ ツ ク ス ア レ イ は通称, 1.5D ア レ イ と 呼ばれ, 厚み方向 に対 し て も 電子 フ ォ ー カ ス を行 う も ので

,

超音波 ビームを制御す る こ と によ り 非常 に薄い ス ラ イ ス厚 を得 る こ と がで き る. こ れには特 に浅部でのア ーチ フ ァ ク ト を除去 し

, 組織構造の微小 な差異 を鮮明に

視覚化で き る特徴があ る

.

音響レ ンズ

音響 レ ンズは

Snell

の法則に し たがい超音波 ビームを収束 さ せ る も ので

, 探触子の先端

に位置 し て い る. 生体 と の密着 を よ く す る ためその形状は前方 に凸に蒲鉾状 を呈す る. 材 質は生体 と ほぼ音響イ ン ピー ダ ンスが等 し く

, 音速が生体に比べて遅い と い う 性質が求め

ら れ, 一般的 には耐熱, 耐酸絶縁性に富む シ リ コ ン ゴムが用い ら れてい る.

整合層

整合層は, 超音波 を よ り 効率的 に生体内へ伝搬 させ る ための も ので

, 一般に,

複数の整合

層によ り 構成 さ れる. 生体 と 振動子の間ではこ の整合層の働 き によ り 超音波 を発生す る振

動子自体の高い音響特性 イ ン ピ ー ダ ンス と 生体の音響特性 イ ン ピ ー ダ ンス の違い によ る

体表面での超音波反射 を少な く し て, 超音波の生体内への効率的 な伝搬 を可能に し てい る.

(12)

ま た

,

電気エ ネ ルギ ー と 音波のエ ネ ルギーの変換効率 を改善 し 送受信変換 を高め る効果 も

あ る.

振動子

振動子は圧電効果 を利用 し て超音波の送受信を行 う もので あ る. 振動子 と し て使用す る 代表的 な圧電材料には, 複合圧電体, 高分子圧電体. 圧電セ ラ ミ ッ ク スの

3 種類があ る. 中で

も圧電 セ ラ ミ ッ ク ス材料は, 電気音響変換効率が高 く 現在最 も多用 さ れて い る圧電材料で, チ タ ン酸 ジル コ ン酸鉛系や チ タ ン酸鉛系の物質 が用い ら れて い る

.

バ ツキ ン グ材

バ ツキ ン グ材は振動子後方 に放射 し た音響エネ ルギーを速やかに消散 し

, 振動 を吸収す

る働 き を持つ. こ のバ ツキ ン グ材によ り 振動子後方から の反射波 が抑圧 さ れ, 生体 か ら の 反射波だけ を効率的に受信す る こ と がで き る. 材質には金属粉末 を重鎮 し たエ ポキ シ樹脂 や フ ィ ラ メ ン ト 粉末 を重鎮 し た ゴムが用い ら れ る.

音習レンズ

◆・ ◆

音習整合層

◆ ・

圧電振動子

'

'

-

パッキング材 l'

◆ _

スライス方向断面

2.1

探触子の構成

配列方向断面

(13)

2.1.

超音波診断法

7

2. 1.3

超音波画像の表示方法

こ こ では本研究に特に関連する超音波画像の表示方法について説明す る. パルス反射法 では, 探触子から超音波パルス を照射 し

,

エ コ ーが受信 さ れる までの時間 を測定す る こ と によ っ て

,

目的 と す る反射体までの距離を求め る こ と がで き る

.

反射点までの距離

d[cm]

,

生体軟部組織での超音波の伝搬速度

c[m / s]

と往復の時間

t[s] から次式によ り 求め るこ

と がで き る

.

d=

・c ・t

(2.1)

c

1530[m / s] で一定で あるので,

時間

t

を測定す る と 距離

d

を求め るこ と がで き る. こ

の方法によ り 検出 し た超音波のエ コ ーを表示す る方法を以下に示す.

A

モード

(Am pli tude m ode)

A

モ ー ド は送信 さ れた超音波が反射 し

,

反射の強 さ と

,

受信す る ま で の時間 を 基に し て

,

反射 さ れた物質 までの位置 

(

距離

)

を計算し

,

物質 までの距離 を横軸に

,

反射 し た超 音波の振幅 を縦軸に と り

,

グラ フ を作成す る

(図2.2) . A

モ ー ド像は

1

次元表示で あ るた

1 画像で得 ら れる情報が少な く,

また プロ ー ブの当 て方が少 し 異な る だけで全 く 別の波

形 に な っ て し ま う な ど

,

表示の再現性に乏 し い. こ のため

,

初期 にはよ く 用い ら れたが, 次第 に使われ な く な り

,

現在は

A

モ ー ド 単独の装置は生産 さ れて い ない

.

こ の方法で は,

プロ ー ブから 反射体 までの距離は分かるが, 反射体の形態 を知 る こ と はで き ない.

B

モー ド

( B r i ghtness m ode)

B

モ ー ド は

A

モ ー ド が振幅 と 位置 を表示す る のに比 べて

,

こ の振幅 を輝度 と し て画像 表示す る方法で あ る

. 1

本の超音波 ビームでは

1

次元像 し か得 ら れないが

,

超音波 ビーム を走査す る こ と で, 2 次元の画像が作成で き る. つま り

,

超音波断層像が表示で き る 

(図

2.2) .

こ の方法によ り 生体の形態が認識 し やす く な り

,

診断が容易になっ た. 現在の超音

波診断の中心的 な表示法 と な っ て い る.

(14)

探 触 子

(

時 間

Aモード

◆ 

輝度変調 走査

Bモード

2.2 A

モ ー ド および

B

モー ドの概念図

2. 1.4

画像の分解能

分解能は, 超音波画像の良否を左右す る最も重要な因子で

,

空間分解能 

(距離分解能,

方位分解能

,

ス ラ イ ス方向分解能

) ,

コ ン ト ラ ス ト 分解能 と

,

時間分解能があ る.

距離分解能

距離分解能 と は

,

超音波の進行方向に並ぶ

2

点を分離 し て表示す る識別可能な最小距離 を言い

,

縦方向分解能 と も い う

.

距離分解能 △

X [cm]

は次式で表 さ れ る

.

X = n

・  λ -

2 (2.2)

n

は送信パルス内 の搬送波 のサイ ク ル数

,

λは波長で あ り

, n

λはパル ス幅 で あ る

.

よ っ て距離分解能 は周波数が高 く

,

サイ ク ル数が小 さ いほ ど向上 す る

.

し か し 周波数 を高 く す る ほ ど超音波の減衰が増 し 深部の観察が難 し く な る

.

方位分解能

方位分解能 と は, 超音波 ビームの進行方向に対 し て垂直に並ぶ

2 点 を分離 し て表示可能

な最小距離 をいい

,

横方向分解能 と も い う

. 2 点の距離が超音波 ビーム幅 (

横方向) よ り

(15)

2.1.

超音波診断法

9

大 き い場合に識別可能 と な り

,

サイ ド ロ ーブ

(後述)

が十分小 さ い も の と 仮定す る と き方 位分解能 △

1J

は次式 に て 表 さ れ る

.

11= 1.22 ・ 

-

D λ

・ 

X (2.3)

λは波長

, X

は反射体 と 音源 と の距離

, D

は探触子の口径で あ る

.

方位分解能は探触子の 口径が大 き く かつ中心周波数が高いほどよ い. し かし

,

探 子の口径が大き く な る と

,

近 距離音場の分解能が悪 く な るので

,

探触子の口径の小 さ い も のがよ い. その一方で探触子 の口径が小 さ い と 超音波の拡散が早ま る. よ って, 遠距離 までの指向性 を得 るためには探 触子の口径 を 大 き く し なけ れば な ら ない.

ま た, 周波数 を高 く な る と 減衰によ り 遠距離での観察が難 し く な る

.

ス ラ イ ス方向分解能

ス ラ イ ス方向分解能 と は, 探触子の厚み方向に並ぶ

2 点 を 分離 し て表示可能 な最小距離

を い う

.

探触子の ス ラ イ ス方向分解能 を向上 さ せ る ために シ リ コ ン製の音響 レ ンズによ っ て超音波 ビームが絞 ら れる. こ の音響 レ ンズは固定焦点のため, 焦点以外の領域で は ビー ムが広が り ス ラ イ ス方向の分解能は低下す る

.

コ ン ト ラ ス ト 分解能

コ ン ト ラ ス ト 分解能 と は, 画像上で識別可能なエ コ ー強度の差で あ り

,

組織間の輝度差 がどれだけ識別で き る かで表す. ノ イ ズの多い信号や信号強度の低い信号は コ ン ト ラ ス ト 分解能 を低下 さ せ る. SNR を向上 さ せれば, コ ン ト ラ ス ト 分解能 も 向上す る

.

時間分解能

時間分解能は フ レ ームレ ー ト によ って評価 さ れる

.

フ レ ームレ ー ト はパルス繰返 し 周波

数 と

1 画像 を作 る ための走査線数によ り 決ま る. 1 フ レ ームの走査にかか る時間が短いほ

ど時間 分解能 は高 く な り

,

リ アル タ イ ム性が向上 す る

.

2.1.5

超音波画像のアーチ フ アク ト

ア ーチ フ アク ト

(

虚像) は超音波 ビームの反射や屈折 に よ り

,

実際 に存在 し ない も のが

画像 に映 っ て し ま っ た り

,

本来の形が歪んで見えた り す る場合 を言 う

.

こ こ で は本研究に

関連す る多重反射 と サイ ド ロ ー ブ ノ ア ー チ フ アク ト につい て 述べ る

.

(16)

多重反射

多重反射 と は, 探触子から放射 さ れた超音波パルスが探触子の生体 と の接触面あ るいは 組織の境界間で何回 も 往復し て反射が繰 り返 さ れる現象 をい う 

(

2.3) .

反射体 と 探触 子の間で起 こ る多重反射は, 実際の反射体の後方に反射体 と 探触子の距離の整数倍に相当 す る間隔で ア ーチ フ ァ ク ト と し て出現す る. また反射体が非常に小 さ い場合で も

,

周囲組 織 と の音響イ ン ピー ダ ンスの差が大 き い と同 じ 現象 が起き

,

こ れ を特に コ メ ッ ト 様エ コ ー

と 呼び, 強い エ コ ーの後方 に彗星の尾のよ う なエ コ ーが線状 に尾 を引 い て 見 ら れ る

.

サイ ド ロ ー ブ

超音波 ビ ームは主 に探触子の中心軸方向に放射 さ れ る メ イ ンロ ー ブ と

,

それ を 囲み異 な つ と 方向 に超 音波 ビ ー ムが放射 さ れ る サイ ド ロ ー ブか ら な る

.

サイ ド ロ ー ブの音圧はメ イ ンロ ーブの

30~ 40dB

程度 と 大き く

,

サイ ド ロ ー ブ方向に反 射 の強い物体が あ る と

,

そ れに よ る反射像が メ イ ンロ ー ブ像 に重 な っ て描出 さ れ る 

(

2.4) .

子 

!

、 、口  口 

管 「 - l

-

反 体 

. j

l・'

[ ・ 

_ 1

5

e

=

[ -

-

l

l

2.3

多重反射の概念図 - モニタ上多◆ 反

標Ia 子 

、口

1

-

t

/ メインロ ープ ,

l

アーチファ = - 強い 反

2

2.4

サイ ドロ ーブの概念図

(17)

2.2.

生体高調波画像化法

11

2.2 生体高調波画像化法

生体高調波画像化法

( T issue Harmonic Imaging:THI )

と は生体内部におけ る超音波の 非線形伝搬によ り 発生す るハーモ ニ ツク 

(

高調波) 成分 を検出 し て, 生体組織 を描出す る も ので

,

近年では空間分解能を高 く で き る超音波画像化手法 と し て実際の医療超音波診断 装置にその機能が組み込 まれて い る

.

造影剤に対 し て入射 さ れた超音波に生 じ る非線形効 果に よ り 発生す る高調波 を検出 し て描出す る手法 も あ る が

, T HI

で は造影剤 を用い ない で高調波 を検出 す る と い う 特徴があ る

.

2.2.1 T H I

の発生原理

媒質中 を伝搬す る超音波の音速は, 縦波の粗密に応 じ て, わずかながら変化す る. す な わち

,

疎の部位では音速は遅 く

,

密では速 く な る

.

こ のため

,

2.5

に示すよ う に

,

媒質 中 を伝搬す る正弦波状の音波は, その伝搬距離が長 く な る につれて鋸歯状波 に近づいて い く

.

こ の波形のス ペ ク ト ルには, その波形の基本周波数の他に

,

高調波成分が多 く 含 ま れて い る

.

こ れが, 組織 か ら のエ コ ー信号に含 まれ る高調波信号の発生の メ カ ニ ズ ムで あ る. 以 下に こ の非線形性の重要 な特徴 を述べ る.

( i)

波形のひずみは蓄積す る

.

(ii) 第2 高調波の振幅は入射超音波の振幅の2 乗 に比例す る.

音波 の伝搬距離 が短 い と き にはわずかなひずみで も

,

その距離が長 く な る に伴 っ て ひずみ が蓄 積 さ れ

,

ハ ー モ ニ ツ ク 成分 が顕著 に な る

.

送信波

伝般途中

伝般後

一 一 一

2.5

非線形音響媒質中の伝搬に よ る高調波の発生

(18)

2.2.2 TH I

の利点と欠点

利点

( a)

距離分解能の良い画像

高調波の帯域幅は, 基本波の帯域幅に比べ広い 

( -l

分な音圧強度があれば

2

次高調波 の帯域幅 は基本波の帯域幅の

2

倍 にな る

) .

そのため基本波のパルス幅 に比 べ

,

高調波の パルス幅は細 く な るので, 基本波で生成 し た画像よ り も

,

距離分解能の良い画像が得 ら れ

.

( b)

方位分解能の良い画像

非線形歪みは音圧が高 く ない と 発生 し ない. ま た送信 ビームの音圧は ビ ーム中央付近 では強いが, 中央か ら端に な るほど, 音圧は急激に弱 く な る

.

こ のため高調波の発生は音 圧の高い ビーム中央 に制限 さ れ

,

ビーム幅が狭ま り 結果 と し て方位分解能が向上す る 

(

2.6) .

( c)

アーチ フ ァ ク ト の少な い画像

超音波画像 には さ ま ざ ま な ア ーチ フ ァ ク ト が生 じ る が, その中 で も

,

前述の, 多重反 射 と サイ ド ロ ー ブ に よ る ア ー チ フ ァ ク ト は特 に大 き な間題 で あ る

. T H I

で は, 非線形 ひ ずみは音圧の

2 乗に比例す る ため,

一度反射体で反射 し たエ コ ー ヘ その音圧 が低 く な り

,

エ コ ー成分では高調波はほ と んど発生 し ないため, 多重反射に よ る ア ーチ フ ァ ク ト が少 な い

.

ま た基本波のサイ ド ロ ー ブ強度は, メ イ ンロ ーブに比べ

3 0 ~ 4 0 dB

小 さ いのに対 し

,

高調波のサイ ド ロ ー ブ強度は, メ イ ンロ ーブに比べ

6 0 ~ 8 0 dB

程小 さ い

,

こ のた めサイ ド ロ ー ブに よ る ア ーチ フ ァ ク ト が少 な く な る

.

( d)

体表から のエ コ ー の抑圧

超音波診断画像に おい て

,

体表から のエ コ ーは特に不要で あ る. し か し 基本波成分を 使 っ た画像では こ れを抑 え る こ と がで き なかっ た

. T HI

では前述の と お り

,

高調波は伝搬 距離が増すにつれて 発生す るので

,

伝搬距離がと て も近い体表か ら のエ コ ー を抑 え る こ と がで き る

.

(e)

生体深部の高周波画像化

高調波は基本波が生体内 を伝搬す る につれて発生す るので

,

高調波の帯域の信号 を送

(19)

2.2.

生体高調波画像化法

13

受信す るの と 比較 し て周波数依存減衰の影響が小 さ く な る. 従 っ て同 じ 帯域で も T HI を 利用す る こ と で生体深部の高周波の画像化が可能 と な る

.

欠点

(a) SNR

の低下

高調波の音圧は基本波の音圧に比べて非常に小 さ い ため

,

圧縮波形の

SNR

が低下する

.

(b) FDA

への影響

高調波は基本波 に比べ倍の周波数成分も持つため

,

周波数依存減衰がよ り 強 く 作用す る

.

そのため, T HI は電気的 ノ イ ズ, シス テ ムノ イ ズの影響 を受け やす く

,

特 に生体深 部で の画像化 に不都合が生 じ る

.

基本波のビーム領域

l

ハーモニツクのビーム領域

2.6

基本波 と 高調波の ビーム幅

(20)

2.3

パル ス圧縮法

2 .3 .1

パルス圧縮法の概要

SNR

を改善す る一般的 な手法 と し て

,

パルス圧縮技術が挙げ ら れ る. パルス圧縮技術 で は照射 エ ネ ルギ ー を增やすた めに

,

符 号化信号 を照射時間 の長い パル ス と し て 送信す る

.

そ し て目標から の反射波 を受信 し た後に処理を行 う こ と によ り

,

尖頭電力が大 き く 幅 の細いパルス を送信 し た場合 と同 じ 効果 を得 る手法で ある. パルス圧縮技術はこ こ

1 0

年 にわた り

,

医療超音波分野 を中心に数多 く の研究がな さ れて い る. パルス圧縮に用い る符 号化信号は様 々あ る が, こ こ では リ ニ ア

FM

チ ヤー プについて述べ る.

2.3.2

リ ニア

FM

チ ヤー プ

時間 と と も に周波数が線形に変化 

(

チ ヤー プ

chirp)

す る信号は

sl( t) = rect

( )

exp

[

32

(

tot

t2

)]

で表 さ れる. こ こ に

fo

中心周波数, k は

S, (t) の瞬時周波数

f, = [

2

(

tot + t2

)]

= fo

kt

(2.4)

(2.5)

の時間に対す る変化率

, T

s, ( t)

の持続時間であ り

, rect

関数は次式で定義 さ れる

.

rect

( ) = 1 -

t

= 0 t < - , < t (2.6)

(2.4) , (2.5)

から瞬時周波数の変化量

B はkT

と なる. sl( t) のスペ ク ト ルは

sl(t) を

フ ー リ エ変換す る こ と によ り 得 ら れ,

SI(f ) = /

sl(t) ・ exp[

-

.

27r f tl dt

= [z(y2) - z(y,)]exp

[-

.

一 

f

)2

]

と な る. こ こ に, Z ( y) は複素 プレネ ル積分で

z (y) = CF(y) +

-

y) = yexp[ [ a2

]

d(

(2.7)

(2.8)

(21)

2.3.

パルス圧縮法

15

に よ り 表 さ れ る

. :Ill , ll2

は, それぞれ次式 に よ り 定義 さ れ る.

, = - 2(f - f 。 ) -

J2

=-

2(f - fo)

(2.9) (2.10)

パル ス圧縮 の フ ィ ル タ のイ ンパルス レ ス ポ ン ス と し て次式で 表 さ れ る も の を 考 え る

.

]  )

22

fo 

(

2  7 ﹁

 

PX 

一一(t,n 

式 

(2.11 )

から 分かるよ う 入力信号

sl (t) の瞬時周波数が( tot

化するのに対し

, h(t)

の瞬時周波数は

( tot

T )

から

( fot

-

ル タ の伝達関数は

h( t)

を フ ー リ エ変換す る こ と によ り

(2.11)

-

)

から

( tot

)

に変

T)

に変化す る

.

こ の ブ イ

H

(f) = J 二

h(t) ・ exp[

-

j27r f tl dt

= /

exp

[-

.727r( fo

- f) -

t 2

]

dt

= exp

[ 一 

fo)2

]

パルス圧縮の フ ィ ル タ に信 号

,sl( t) が入力 さ れれば時間領域 に おけ る,

h( t)

の コ ン ボ リ ュ ー シ ヨ ン積分によ っ て与 え ら れ る

.

s2(t) =

二 /

sl(

τ

) ・ h(t

- τ

)d

τ

=

J j

Bsinc]

: Bt)exp

[

.]27r( fot

-

t2)

]

た だ し

, sinc

関数は次式で定義 さ れる

.

(2.12)

疎の出力は

sl(t) と

(2.13)

l Sin(7Ta

')

s nc a' = (2.14)

7

「a

(2.4)

で表 さ れる入力信号

s,(t) に比べて,

(2.13)

での出力信号

s2( t) は振幅におい

て電圧で 、f 「

B (電力ではT B 倍) .

パルス幅が約 倍 と な る こ と がわかる. ま た, パル ス圧縮 フ ィ ル タ の周波数領域におけ る出力は

S2( f ) のフ ーリ エ変換,

ま た

SI( f )

H ( f )

の積で 表 さ れ

S2(f) = = S,(f )

/- :

s2(t)exp[

・ 

H(f )

-

2 f tl dt

= [Z(l/2)

-

Z(l/1)] (2.15)

(22)

と な る

.

次に

,

パルス圧縮 フ ィ ル タ がマ ツチ ド フ イル タ と し て構成 さ れて い る場合 を考 え る. マ ツチ ド フ イル タ と はその フ ィ ル タ の入力 に おけ る

S/ N

を固定 し た と き 出力 の

S/ N

が最大 と な る フ ィ ル タ を い う

.

ただ し

,

こ こ で は雑音は白色正規性 と す る

.

こ の と き マ ツ チ ド フ イル タ の伝達関数は出力信号の遅延 を無視すれば

HM(f ) =

]

2)

f(

t- 二 , 一一

˜

.  ・

-PX e)]y

*

Z

)2y(

*   s

-

(2.16)

で与え ら れ る

.

こ こ に

,

ア ス タ リ ス ク

* は共役複素数 を表す.

また, こ の フ ィ ル タ のイ ン パルス応答 は

hM(t) = sl(f)

= rect

( )

exp

[

327r

(

fot

-

t2

)]

(2.17)

で表 さ れ る. し たがっ て

,

時間領域におけ る出力信号は

sl ( t)

hM( t) の コ ン ボリ ュ ー シ ヨ

ン積分に よ り 得 ら れ

szM(t) =

/-

0 0

。。

rect( )rect( )

・ 

exp

L

2 j fot

一 

j (t

- τ

)

dt (2.18)

と な る. 式

(2.13)

と の比較 を容易にするために, 式

(2.18)

を正規化すれば最終的に得

s . , =

/ i

R (') 1 Q

ー 一 - - ltl

と な る. 式

(2.19)

において

,

振幅の ピーク が生じ る

t = 0

よ り 時間軸方向に離れる に し たがい分子の第二項は小 さ く な るので

,

(2.19)

(2.13)

で表 さ れる波形の振幅 と ほ ぼ同 じ に な る

.

2.7 に,

矩形波のチ ヤー プ信号, 図

2.8 にハ ミ ング窓のチ ヤー プ信号,

2.9,

2.10

にそれぞれの圧縮波形の検波信号を示す. ハ ミ ング窓 を掛け る と 距離方向の

特性 を悪化 さ せ る レ ン ジサイ ド ロ ー ブ を抑 え る こ と がで き る が矩形窓 と 比べて半値幅が

広が っ て い る

.

(23)

2.3.

パルス圧縮法

17

1 0 . 8 0 . 6 0 . 4 0 . 2

E 0

ll:l;

- 0 . 2 - 0 . 4 - 0 . 6 - 0 . 8 - 1

1 0 . 8 0 . 6 0 . 4 0 . 2 E a, 0

ll:l:

- 0 . 2 - 0 . 4 - 0 . 6 - 0 . 8 - 1

2.17

矩 。をか たチ ヤ

a

ー プ信号の例

T i me [mi c r o sec ]

o図 2.8 1

ハ ミ 、 ン

2

グ窓 をかけ た ヤー プ信号の例

T i me [mi c r o sec ]

(24)

-l

') :

')Ip(

u Z.,T ,T ePu u 〇

N  9 7 4 2 1 00 0 0 0 0 0 0 0 

2 .9 -

矩形 力

:lけ だ ヂ ヤa ブイ售号の圧縮被形 と2

エ ンベロ ー プ

T i me [mi c r o sec ]

-:- 〇

-pa

Z.,TITeu unE ⁝

-0:N  1 9 8 7 6 5 4 00 0 0 0 0 

2 .10

ミ .,1

・ 

タ窓を か

19'・

たチ - 波形 と エ ンベロ ー プ

T i me [mi c r o sec ]

(25)

第 3 章  提案手法

19

3.1 提案手法の概要

FDA

を補償す る ための実験や シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 う 前に, まず探触子の特性 を補償 す る必要があ る ため

,

は じ めにその手法につい て述べ る. 次 に, 基本波帯 に おけ る

FDA

補償手法の概要 と アル ゴリ ズムを述ぺ

,

その後

, FDA

補償手法の

THI

への拡張について 述 べ る

.

3.2

探触子の特性補償

3.2.1

探触子の特性補償

探触子の特性補償は振幅 と 位相の双方に対 し て行 う

.

まず, 任意の

FM

チ ヤー プ信号

f , ( t)

を送信 し

,

対応す るエ コ ー信号と し て

g,( t)

を取得す る. こ のと き

FDA

の影響 を受 け ないよ う にす るため, 探触子の近 く に反射体 を設定す る必要があ る. f , ( t) の周波数領域 を

Fl(

ω

) , gl( t)

の周波数領域を

G I(

ω

)

と表す

.

こ こ で両者の振幅の比 を

RTf(

ω

)

と す る と

,

l

.F1(

ω

)l

n (

ω

) = (3.1)

と 表せ る

.

さ ら に

,

両者の位相差 を計算 し て送信信号の位相に足 し 合わせた も の を

.I,(

ω

)

と す る と

,

Il(

ω

) = arg(Fl(

ω

)) 十arg(Fl(

ω

)) - arg(GI(

ω

)) (3.2)

と 表せ る. 最後に

,

求めた振幅の比

RT,(ω)

と 位相補償 を し た

I, (ω)

を掛け合わせ る.

Re(SI(

ω

)) = RTf(

ω 、

) Fl(

ω

)leos( I(

ω

)) (3.3) Im(SI(

ω

)) = RTf(

ω

)l F1(

ω

)l sin(I(

ω

)) (3.4)

上記で計算 し た実部 と 虚部に逆

FF T

処理を施すこ と で

,

探触子の特性 を補償す る送信信

sl ( t) が得 ら れ,

こ の補償送信信号を以降の処理に対す る基本送信信号 と し て用い る.

(26)

3.2 .2

高調波帯におけ る探触子の特性補償

本研究では

,

高調波 を使用す るため

,

高調波帯におけ る探触子の特性補償が必要と な る

.

エ コ ー信号

g, ( t)

は一つの探触子で送受信 し て得 ら れた信号で あ り

, g,( t) の高調波g2( t)

を受信す る際には, 基本波帯の送信特性 と 高調波帯の受信特性を受けて い る. 従 っ て

,

ま ず基本波帯の送信特性 と 高調波帯の受信特性を計測す る必要があ る

.

基本波帯の送信特 性は, 送受信実験中に, 送信波 をハイ ドロ ホ ンで計測す る こ と で求め る こ と がで き る

.

送 信の振幅特性 と し て

S,(ω) ,

位相特性 と し て

I,(ω)

を以下の通 り 求め る.

Fl(

ω

)l

,(

ω

) = (3.5)

It(

ω

) = arg(Fl(

ω

))

-

arg(GI(

ω

)) (3.6)

高調波帯の受信特性は, 高調波帯の送受信実験中に, 送信波をハイ ドロ ホ ンで計測 し

,

送 受信の特性から 送信波の特性 を差 し引 く こ と で求める こ と がで き る. 受信の振幅特性 と し て

Sr(

ω

) ,

位相特性 と し て

I r(

ω

)

を以下の通 り 求め る

.

IF2(

ω

)l r(

ω

) =

Ir(

ω

) = arg(F2(

ω

)) - arg(G2(

ω

))

それぞれ を求めた ら

,

位相補償 さ れた位相

I2(ω) を計算す る.

I2(

ω

) = arg( Fl(

ω

))

arg( It(

ω

))

a

g( Ir(

ω

))/ 2

最後に, 求めた振幅の比

R,(

ω

) , Rr(

ω

)

と 位相補償を し た

I2(ω)

を掛け合わせ る.

Re(S2 (

ω

) ) = Rt(

ω

)Rr(

ω

)l Fl (

ω

)leos( I2 (

ω

) ) Im(S2(

ω

)) = Rt(

ω

)Rr(

ω

)lF1 (

ω

)l Sin( I2(

ω

))

(3.7) (3.8)

(3.9)

(3.10) (3.11)

上記で計算 し た実部 と 虚部に逆

FF T

処理を施すこ と で, 高調波帯におけ る探触子の特性

を補償す る送信信号

s2( t)

が得 ら れる

.

(27)

3.3. FDA

補償手法

21

3.3 FD A 補償手法

3.3.1

基本的な考え方

生体深部に超音波 を送信 し た場合

,

伝搬距離が長 く

FDA

の影響 を大き く 受け る

. POT

によ る高

SNR

化が有効で あ る も のの

FDA

によ る波形歪みによ り 圧縮精度が著 し く 低下 し

,

圧縮画像が不鮮明に な っ て し ま う

.

そこ で

FDA

補償手法で は, まず

ROI

を設定 し

,

探触子の特性 を補償 し た送信信号を送信 し て エ コ ー信号を取得す る. こ のエ コ ー信号には 探触子から

ROI

までの減衰情報が含まれる

.

こ のエ コ ー信号の減衰情報から

FDA

補償手 法 を用いて補償送信信号を決定す る. 決定 さ れた信号は, 減衰の大 き く な る高周波成分を 增幅 さ せ た形状 に な る. 決定 さ れた信号を再び探触子か ら 送信 し エ コ ー信号 を取得す る

.

こ の送信信号も ま た伝搬過程で

FDA

の影響を受け るが

,

補償によ っ て增幅 さ せた高周波 成分がエ コ ー信号を受信す る時点で

FDA

と 相殺 さ れ

,

波形歪みの軽減 さ れたエ コ ー信号

を取得す る こ と がで き る

.

3.3 .2

基本波に対する 

F D A

補償手法

まず前項で求めた基本送信信号

s,( t) をFDA

のあ る媒質に伝播 させ る. そ し て得 ら れ たエ コ ー信号 を

k l ( t)

と お く

.

前提 と し て

, FDA

は振幅のみ減衰す る も の と し

,

位相につ いての処理は行わない

. FDA

によ る減衰関数

R FDA(

ω

)

を次のよ う に定義す る

.

l F1(

ω

)l

F A(

ω

) = (3.12)

K I (

ω

) はk l ( t) の周波数表示で ある.

実際の手順では, 計測雑音の影響を回避す るためこ

こ で求めた

R FDA(ω)

を近似す る必要があ る. 本研究では近似手法を線形近似 と 曲線近似 の二種類について評価し た

.

3.1

に減衰関数

R FDA(

ω

)(

点線

)

と 二種類の近似

(

実線

)

を示 す・  近似 し た

R FDA(

ω

)

\R FDA(ω)l と お く と, FDA

補償送信信号は

Scmp(ω)=

RFDA(

ω

)l S(

ω

)

と 表せ る. 振幅変調 し た

Scmp(ω) の時間波形で あ るscmp( t) を送信す る と,

その結果 得 ら れるエ コ ー信号は

FDA

によ る減衰の影響を受け た上で

,

理想的 なエ コ ー信号にな る

と 考え ら れ る

.

3.3 .3

高調波に対する 

FD A

補償手法

高調波帯の

F D A

から 減衰関数 を求め る

任意の

FM

チ ヤー プ信号

f l (t)

の二倍の周波数帯域 を持つ, 高調波チ ヤー プ信号を

f 2( t) ,

エ コ ー信号

k l ( t) の第二高調波 をk2( t)

と お く

.

こ こ で前項 と同様に高調波帯におけ る減衰

図 目 次 2.1  探触子の構成 2.2  A モ ー ド およ び B モ ー ドの概念図 .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  2.3  多重反射の概念図
図 4.1  探触子の特性補償のための シ ミ ュ レ ー シ ョ ンモ デル
図 4.4  FDA 補償のための シ ミ ュ レ ー シ ョ ンモ デル 表 4.1  シ ミ ュ レ ー シ ョ ンモ デル内 の媒質パ ラ メ ー タ 媒質  音速  [m ・  s- 1 ]  密度 [kg m- 3 ]  減衰率 [dB・ cm-1  ・ M H Z - 1 ]  非線形パ ラ メ ー タ[.B'/A]  肝臓  1050-1070  1560-1590  0.75-0.95  6.75  腫瘍  2500  1900  0.6  7
図 4.12  R FDA2(ω )  (破線)  と 、 R FDA2(ω )l  (実線)  : (a)  線形近似,  (b)  曲線近似
+2

参照

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金沢大学学際科学実験センター アイソトープ総合研究施設 千葉大学大学院医学研究院

東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻. [email protected]