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新たな C 型肝炎ウイルス検査の手順の検証について

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服政策研究事業)

平成30年度 分担研究報告書

肝炎ウイルス感染状況と感染後の長期経過に関する研究 新たな C 型肝炎ウイルス検査の手順の検証について 研究協力者 高橋 文枝 財団法人岩手県予防医学協会 臨床検査技師

研究協力者 佐々木純子 財団法人岩手県予防医学協会医療技術部臨床検査課長 研究協力者 腰山 誠 財団法人岩手県予防医学協会医療技術部長

研究要旨

C型肝炎ウイルス検診のために設定された「HCVキャリアを見出すための検査手順」は、2013年度から

「HCV抗原検査」を削除し改訂された。

「新なHCVキャリアを見出すための検査手順」において、一次スクリーニングの「HCV抗体検査」試薬 として、2社3試薬が推奨された。その中の一つであるLumipulse Presutoについて、HCV検査を受診した

126,302例の判定振り分けにより検証したところ、HCV抗体陽性率は0.42%、HCV抗体「高力価群」(判定

理由①)の207例と「中・低力価群」の中でHCV-RNAが陽性であった(判定理由②)40例、の計247例

(0.20% 247/126,302)が「現在C型肝炎ウイルスに感染している可能性が高い」と判定された。NAT 実施率は0.26%であった。

HCV抗体高力価群においてHCV-RNA陰性例が28例認められたが、問診等により把握できる範囲では、

その多くが医療機関の管理下にある方であった。本来の検診対象者ではないものの、肝炎検診の判定として は「医療機関受診を要する」と判定することが妥当であると思われた。

「新なHCVキャリアを見出すための検査手順」は、精度を維持ししつつ、検査の簡便化とコスト軽減が できたものと考えられた。

A. 研究目的

2013年度から新たなC型肝炎ウイルス検査手順に よる肝炎ウイルス検診がスタートした。新たなC型 肝炎ウイルス検査手順が公表されるにあたり、一次 スクリーニングの「HCV抗体検査」試薬として、2 社3試薬が測定値により高力価・中力価・低力価に 適切に群別ができる試薬として推奨された。その中 の一つである、ルミパルスプレストオーソHCV(以 下Lumipulse Presuto)(オーソ・クリニカル・ダイア グノスティックス株式会社製)について肝炎ウイル ス検診検体の測定データにより、新たな検査手順の 検証を行う。

B. 研究方法

(1)対象と方法

2013年4月~2018年3月に住民健診または一日 人間ドックまたは職域健診においてHCV検査を受診 した126,302人について新たなC型肝炎ウイルス検

査手順による、判定振り分けをおこなった。

倫理面への配慮:集計用データは、個人を特定でき る氏名・生年月日等の属性情報を削除して用いた。

また集計用のコンピュータは、パスワードにより管 理され、研究者以外が閲覧できないことから,倫理面 の問題はないと判断した。

C. 研究結果

2013年4月~2018年3月に住民健診または一日 人間ドックまたは職域健診においてHCV検査を受診 した126,302人について、一次スクリーニングHCV 抗体検査をLumipulse Prestoにより実施し、その解 析結果を図1に示した。

126,302例中Lumipulse Presto の測定値が1.0 COI 以上を示し陽性と判定された者は533例(0.42%

533/126,302)であった。HCV抗体陽性例をHCV抗 体測定値により群別したところ、測定値50COI以上

(2)

158 を示し「高力価群」と判定されたのは207例(0.16%

207/126,302 )、測定値5~50 COI未満を示し「中力 価群」と判定されたのは160例(0.13%

160/126,302)、測定値1~5 COI未満を示し「低力価 群」と判定されたのは166例(0.13% 166/126,302)

であった。

「中力価群」及び「低力価群」計326例中NATに よりHCV-RNAが陽性であった者は40例(0.03%

40/126,302)であった。HCV-RNAが陽性であった40 例は全例HCV抗体「中力価群」であった。

これによりHCV抗体「高力価群」(判定理由①)

の207例と「中・低力価群」の中でHCV-RNAが陽性 であった(判定理由②)40例、の計247例(0.20%

247/126,302)が「現在C型肝炎ウイルスに感染して いる可能性が高い」と判定された。

新たなC型肝炎ウイルス検査手順による、126,302 例の検診検体の判定振り分けにおいて、「中力価群」

及び「低力価群」のNAT実施率は0.26 %であった。

また、「高力価群」207例について、NATを実施し たところ、HCV-RNAが陽性であった者は179例、

HCV-RNAが陰性であった者は28例であった。

これにより、「現在C型肝炎ウイルスに感染してい る可能性が高い」と判定された247例中、HCV- RNA が陽性であった者は219例(88.66%、219/247)、

HCV- RNAが陰性であった者は28例(11.34%

28/247)であった。

HCV抗体「高力価群」でHCV- RNAが陰性であっ た28例中、自記式の問診により18例に慢性肝炎、

または、肝障害の既往があった。また、受診した医 療機関への追跡調査の回答から、11例に抗ウイルス 治療が行われていたことが報告されている。また、

11例は著効と判定された後の受診であった。

D. 考察

Lumipulse Prestoを一次スクリーニングとする新 たなC型肝炎ウイルス検査手順において、測定値に より高力価・中力価・低力価に適切に群別しHCVキ ャリアを効率的に検出していることが確認できた。

新たなC型肝炎ウイルス検査手順においてNAT実施 率は0.26%であった。

新たなC型肝炎ウイルス検査手順において、HCV 抗原検査を削除したが、NAT実施率は低く抑えられ、

精度を維持ししつつ、検査の簡便化とコスト軽減が

できたものと考えられた。

また、HCV抗体高力価群においてHCV-RNA陰性例 が28例認められたが、問診等により把握できる範囲 では、その多くが医療機関の管理下にある方であっ た。HCVキャリアの治療が進み、その割合が増加す る傾向にある。本来の検診対象者ではないものの、

肝炎検診の判定としては「医療機関受診を要する」

と判定することが妥当であると思われた。

E. 結論

Lumipulse Prestoを一次スクリーニングとする新 たなC型肝炎ウイルス検査手順において、測定値に より高力価・中力価・低力価に適切に群別しHCVキ ャリアを効率的に検出していることが確認できた。

(3)

159

50以上 550未満 15未満

NATによるHCV-RNAの検出 (TaqManPCR)

スクリーニング検査– Lumipulse Presto– 126,302人 陰 性 測定値

(COI)

現在C型肝炎ウイルスに 感染している可能性が高い。

現在C型肝炎ウイルスに 感染している可能性が低い。

① ②

③ ④

125,769

99.58% 207

0. 16%

286

0.23 % 40

0.03 %

247人 (0. 20%126,055人 (99.80% HCV-RNA陽 性 HCV-RNA陰 性

160

0. 13%166

0.13 %

新たな HCV 検査手順の検証について

検査期間:20134月~20183

HCV-RNA陽性:219/126,3020.17%HCV-RNA陰性: 28/126,3020.02%

(4)

160

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