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臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業))    臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究 

分担研究報告書   

上級者臨床研究コーディネーター養成のための標準カリキュラム   

研究分担者:小原  泉(自治医科大学看護学部  准教授)

    山田  浩(静岡県立大学薬学部  教授) 

       

        研究要旨

  CRCに求められる人材像との一貫性が確保された、上級者CRC養成標準カリキュラムの 作成を目的に本研究を行った。平成25 年度に作成した上級者CRC養成標準カリキュラム 試案を構成する各授業科目について、授業の目標、内容および方法を検討した。同時に、試 案に基づいて実施された研修の評価をふまえ、カリキュラム試案を修正した。その結果、合 計11の授業科目(講義12コマおよび演習4コマ)で構成されるカリキュラムが作成され、

各授業科目の目標等はシラバスにまとめられた。作成されたカリキュラムは、求められる CRC の人材像を反映しており、企画運営主体や講師にかかわらず一定の内容と水準の研修 の実施を実現する、標準カリキュラムと位置づけることができる。

A.研究目的

質の高い臨床研究・治験の実施には臨床研 究コーディネーター(以下、CRC)の関与 が不可欠であり、専門職としてその役割を発 揮することが期待されている。しかしながら、

初期研修後のCRCに対する教育は、厚生労 働省による「上級者CRC養成研修」が毎年 実施されているものの、求められる人材像と カリキュラムとの一貫性は明確とはいえな い。本研究の目的はCRCに求められる人材 像との一貫性が確保された、上級者CRC養 成標準カリキュラムを作成することである。

B.研究方法

  平成 25 年度に、Association of Clinical Research Professional; ACRP が明らかに している典型的な臨床研究支援人材の 14 の役割・責務1)(以下、ACRP の 14 領域)

に基づいて上級者CRC養成標準カリキュラ ム(以下、上級者カリキュラム)の試案を作 成した。平成26年度は、上級者カリキュラ ム試案を構成する各授業科目の授業の目標、

内容および方法を検討し、シラバスとしてま とめた。同時に、上級者カリキュラム試案に 基づいて実施された養成研修の評価をふま え、カリキュラム試案を修正した。

C.研究結果 1.シラバス

  カリキュラム試案では、ACRPの14領域 のうち「試験関連文書の管理」「臨床試験管 理」「被験薬・機器の管理責任」「品質管理」

については、初級者CRC養成上は必要であ るが、上級者カリキュラム試案では不要とし ており、残る10領域に「その他」を加えた 11領域の授業科目を配置した。11領域のう

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        ち「被験者保護」と「管理者としてのスキル」

は、含める授業内容の特性から複数の授業科 目を配置したため、14 の授業科目について 授業目標等の検討を開始した。標準カリキュ ラム試案による研修の受講者・主催者アンケ ートを踏まえた評価から全体的時間数の過 多と授業内容の重複が明らかとなり、カリキ ュラムが一部修正されたことから、最終的に 授業科目数は11科目となり、それらに対す る授業目標等をシラバスとしてまとめた。シ ラバスは、授業科目の目標とテーマ、授業の 方法と時間、内容および参考文献等で構成し た。

2.標準カリキュラム

  上級者標準カリキュラム試案に基づいて 実施された研修(厚生労働省主催、平成26 年度上級者CRC養成研修)は、①医療機関 における勤務年数がCRC担当期間を含めて 5年以上、②継続3年以上の専任CRCの勤務 実績のある等の要件を満たすCRCを対象と していた。これは本カリキュラムでの受講者 像とほぼ同様である。この研修の評価として、

全体的時間数の過多と、「リーダーシップ論」

と「組織マネジメント論」の授業内容の重複 という課題が明らかとなった。これをふまえ、

「リーダーシップ論」と「組織マネジメント 論」は授業科目としては1つにまとめた。授 業時間は「コマ」の概念を取り入れ、1コマ の授業時間を40分〜60分として調整しやす い形とした。これらの調整の結果、講義が計 12コマ、演習が計4コマ、合計16コマから成 るカリキュラムとなり、1コマを45分と仮定 すると合計12時間、2日間で実施可能なカリ キュラムとなった。

  試案に基づいて実施された前述の研修に おける受講生の目標達成度は、一部の授業科

目を除いて良好であった。このことから、受 講者像と授業目標のレベルは概ね合致して いると判断し、受講者の条件や授業科目の目 標について大きな修正は行わなかった。最終 的に標準カリキュラムの受講者像は、①医療 機関での勤務経験 5 年程度の知識を有し、

CRCとして3年以上の経験がある、②初級 CRC養成研修を終了している、の2点とし た。最後に前述のシラバスに記載した講義や 演習の目標との整合性を図るため表現の修 正を行い、最終的な上級者標準カリキュラム とした(別添資料)。

 

D. 考察

1.CRC人材像との一貫性

  教育効果が高い研修プログラムの作成に は、学習者のニーズの把握が不可欠であり、

目指すべき人材像の明確化はその1つの方 法2)といわれている。「臨床研究コーディネ ーター養成カリキュラムの標準化に関する 研究」の中で明らかにされたCRCの人材像 は、「活動範囲としている領域に精通」「対応」

「マネジメント」「コミュニケーション」「コ ーディネーション」「コンサルテーション」

「医療人として相応しい行動」という7つの コンピテンシーを有する人材であった。した がってCRCの養成においては、この7つの コンピテンシーを備えた人材の養成を目標 とすることが適当である。

7 つのコンピテンシーのうち、「医療人と して相応しい行動」のための教育を、養成研 修のカリキュラムで対応することは不適当 である。この教育は標準カリキュラムに含め るのではなく、研修の受講条件として一定の 医療機関での勤務経験を含めることが適当 と考える。したがって、最終的に標準カリキ ュラムの受講者の像として「医療機関での勤 務経験5年程度の知識を有する」と設定した

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        ことは、7つのコンピテンシーを備えた

CRCを養成する上で、妥当といえる。

その他6つのコンピテンシーについては、

上級者標準カリキュラムで対応すべき能力 である。作成したカリキュラムは ACRP の 14 領域を網羅した幅広い知識を学習可能で あることから、1つ目のコンピテンシー「活 動範囲としている領域に精通」に対応したカ リキュラムといえる。本カリキュラムではグ ループワーク形式の演習が複数組まれてお り、業務で遭遇する問題の解決や課題に取り 組む力を養うことができることから、2つ目 のコンピテンシー「対応」も網羅している。

その他4つのコンピテンシー「マネジメント」

「コミュニケーション」「コーディネーショ ン」「コンサルテーション」についても、作 成したカリキュラムの授業テーマとして取 り上げられている。以上から、作成したカリ キュラムは、求められるCRCの人材像を反 映した妥当な内容である。

2.作成したカリキュラムの意義

  これまで上級者CRC養成研修は、厚生労 働省が主催し、外部団体の企画運営により開 催されてきた。本研究で作成した上級者 CRC 養成カリキュラムに基づいて養成研修 が企画運営されることによって、企画運営主 体が変わっても一定の内容と水準の研修が 実施されることが期待できる。

  また、研修という性質上、テーマ毎に講師 が選定され多くの講師が授業に関与する。研 修を担当する講師の授業設計が様々である 場合、達成目標の到達度を踏まえた継続的な カリキュラム評価がされにくいことが懸念 される。シラバスとは授業計画のことであり、

授業の目標、内容、学習方法、指導計画、評 価方法といった授業の概要を示したもの3)

である。本研究で作成したシラバスに基づく

研修が実施されることによって、授業の目標 やそれに基づく授業設計について企画運営 側と講師の共通認識が諮りやすくなり、授業 としての研修の質の確保に有用である。以上 より本研究で作成したカリキュラムとシラ バスに基づいた研修は、上級者CRC養成の 標準カリキュラムと位置づけることができ る。

3.受講者像

  カリキュラムの受講者の像を「医療機関で の勤務経験5年程度の知識を有し、CRCと して3年以上の経験がある」と設定した。こ れは3年の経験を有するCRCが上級者のレ ベルにあることを意味しているのではない。

3年以上の経験を有するCRCが養成研修を 受講した後、さらに実務経験と研鑽を重ね、

上級者に相応しい人材が養成されることを 意図したカリキュラムである。

カリキュラム試案に基づいて実施された 前述の研修の受講生の目標達成度は、一部の 授業科目を除いて良好だったことから、カリ キュラムの水準からみてもこの受講者像は 適当と考える。

4.今後の課題

今後の課題として、以下の2点が考えられ る。1つは、標準カリキュラムとシラバスの 見直しである。臨床研究の環境は、その多様 性や国際化が著しいと同時に、その信頼性へ の重大な課題も明らかとなり、変化が著しい。

CRC の活動範囲やコンピテンシーの変化が 容易に予想されることから、標準カリキュラ ムやシラバスの見直しを1〜2年に一度は行 う必要がある。このような養成教育の評価を 継続的に行う組織や機能を形成していくこ とが次の課題と考える。

2つ目の課題は、上級者研修の講師となる

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        人材の育成である。上級者研修への参加ニー

は一層高まることが予想され、研修の開催回 数を増やす必要がある。上級者研修の修了者 が後進の教育にも関心をもち、講師を担える 力をつけていくことにより、講師となる人材 の確保が充足する。すでに国をリードする活 躍の講師を選定することも一案であるが、

CRC 自らが研修の講師を担い後進を教育で きることが、専門職としてのあるべき姿と考 える。

E.結論

CRC に求められる人材像との一貫性が確 保された、上級者CRC養成標準カリキュラ ム作成を目的に本研究を行った結果、別添資 料1のようなカリキュラムが作成され、含ま れる授業の目標、内容や方法はシラバスにま とめられた。これらは、養成研修の内容や水 準の保証、授業目標やそれに基づく授業設計 のばらつきの緩和等に有用である。養成教育 の評価を行う組織や機能を形成や、研修講師 を担い後進を教育できるCRCの確保が今後 の課題である。

F.健康危険情報   なし

G.研究発表 1.論文発表   なし

2.学会発表

  本研究の一部は、第35回日本臨床薬理学 会シンポジウム34 「国際的な質の高い臨床 研究支援を目指したCRC養成・スキルアッ ププログラムの標準化」にて、CRC 養成研 修「上級カリキュラム」の作成、で発表した

(2014 年12 月6日、ひめぎんホール(愛

媛県県民文化会館)).

H.知的財産権の出願・登録状況   なし

I.引用文献

1 ) Jennefer Holcomb, The Professional Development Pathway -Establishing a Standard for Clinical Research Training-.

Monitor, December 2011, 78-81.

2)中井俊樹編著:看護現場で使える教育学 の理論と技法, メディカ出版, 2014.

3)舟島なをみ監修:看護学教育における授 業展開 質の高い講義・演習・実習の実現 に向けて, 医学書院, 2013.

【謝辞】

カリキュラム試案を全面導入して平成 26 年度上級者CRC養成研修(厚生労働省主催)

を企画運営下さいました独立行政法人 国立 病院機構本部総合研究センター 治験研究部 治験推進室の皆様に厚く御礼申し上げます。

参照

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