新潟県中山間地域等農業活性化対策検討会資料
Village Plan 2030
~持続可能な中山間地域農業への取組~
令和3年(2021年)3月29日(月)
農 林 水 産 部
資 料 5
1 中山間地域の現状と今後の予測①農家と農業者
-1-
農業の根幹となる「人」と「農地」の状況から、新潟県の中山間地農業が今世紀以降、どのように推移し、今後どうなる のか、先日公表された「2020年農林業センサス」をもとに、まず農家数、農業就業人口など「人」から考察します。
中山間地農業を担う農家・農業者の減少は、地域の持続可能性に直結する
2000 年に比べ農家数は3割を切り、農業者は1/4になる。
主たる担い手層が「四捨五入80代」になり、リタイアが加速する。
【2030年新潟県中山間地農業は】
農家の5戸に4戸は後継者がいない。
(2015年までは販売農家、2020年からは個別経営体)
49% 52%
48% 54% 62% 81%
37%
32%
35% 30%
21%
6%
14%
16%
17%
16%
17%
12%
62.2
68.9
72.4 72.7 73.0 73.6
51.3
57.6
60.7 61.9
63.1 65.5
50 55 60 65 70 75
0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000
2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 (速報値)
2030年 (試算)
高齢化率 (人) (%)
② 主副業別農家数と高齢化率の推移
副業的農家 準主業農家 主業農家
高齢化率(中山間) 高齢化率(平場)
95,913
23,937 41,954
54,409 66,601
82,001
「準主業経営体」とは、農業所得が「農業+農業生産関連事業+農外所得」の50%未満で、
65歳未満の農業就業者がいる経営体をいう。 「副業的経営体」とは、65歳未満の農業就業 者がいない経営体をいう
59,085 52,595 45,136 37,622 29,157
15,927 57,180
53,933
47,151
40,831
33,429
20,377 0
20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000
2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 (速報値)
2030年 (試算)
(戸)
① 総農家数の推移
中山間 平 場
116,265
36,304(58) 62,586
78,453 92,287
106,528
(61) (55) 2030年の右側( )は 2020年を100とした 割合
0 2,000 4,000 6,000 8,000 人
2030年(試算) 2020年(速報値) 2015年
2010年 2005年
③ 年齢別基幹的農業従事者数の推移(中山間)
1 中山間地域の現状と今後の予測②農地と経営体
-2-
平場では農地の集積・集約、大規模化が進む
。【2030年新潟県中山間地農業は】
中山間地域は現状では、中山間地域等直接支払制度等 により、農地が何とか維持されている。
次に、農地と経営規模の状況から、これまでの推移と今後の進展を考察します。
③ 経営規模・地域別(平場・中山間地)構成比
中山間地農業では、生産性向上を図る産業政策よりも、農業・農地維持の地域政策が必要
6%
8%
10%
21%
28%
34%
15%
18%
19%
18%
19%
17%
20%
17%
12%
8%
6%
4%
6%
4%
3%
6%
1%
1%
0 40,000 80,000 120,000 160,000
2020 (R2) 2015 (H27)
2010 (H22)
(ha)
② 経営規模別経営耕地面積
1ha未満 1~3ha 3~5ha 5~10ha
10~30ha 30~50ha 50~100ha 100ha以上
144,318 150,767
145,789
58%
中山間地域は規模拡大に限界があり、
担い手の減少により農地維持が困難となる。
7% 5%
88%
2030年(試算)
5ha以上 3~5ha 3ha未満
6% 6%
88%
2020年(速報値) 3% 4%
93%
2005年
39%
20%
41%
5ha以上3~5ha 3ha未満
21%
60% 19%
7% 14%
79%
中 山 間 平 場
(試算)
50,186 50,047 46,778 46,306
34,600 101,223 100,720 99,011 98,012
96,853
1.3 1.6 1.8
2.4
3.6
2.3 2.8 3.2
4.0
7.1
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0
0 40,000 80,000 120,000 160,000
2005年 2010年 2015年 2020年 2030年
① 経営耕地面積と1経営体あたり耕地面積
経営耕地面積(中山間) 経営耕地面積(平場)
1経営体当たり(中山間) 1経営体当たり(平場)
ha ha
(速報値)
2 これまでの取組を検証する①農業政策へのスタンス
-3-
農林水産部では中山間地域の維持・発展の取り組みを進めてきましたが、一層問題は深刻化しています。
これまでの県の取組にどのような課題があったのか、「3つの不等式」にヒントがありそうです。
「稼ぎに直結しない仕事」の弱体化は、市町村やJA等関係機関にも共通している。
【メニュー支援>参画型支援】
●市町村などの取組を支援する メニューは、ボリュームはとも かくかなり用意されている。
●しかし定住促進などのメニュー は、ビジョンや戦略性など長期 的視点に欠く応急対応が中心 となっている。
●一方、地域の主体的な取組を コーディネートする参画型支援 のノウハウは失われつつある。
【技術指導>地域指導】
●高度化、専門化する業界に対 して、地域振興局は 「地域班 体制」から 「専門班体制」に転 換した。
●この結果、技術指導に特化す ることとなり、農家からの信頼 や成果も出ているが、一方で地 域やコミュニティとの接点は減 少している。
【産業政策>地域政策】
●農林水産行政は「産業政策」と
「地域政策」が両輪である。
●しかし近年、市場競争の激化 や社会構造の変化に対し、大 規模化・法人化・機械化など、
「産業政策」を中心に取り組ん で来たのではないか。
●中山間地域の「地域政策」に
対して、広域自治体である県
の役割や期待される機能を
しっかり検討すべきである。
3 これまでの取組を検証する②個別支援から見えてきたこと
-4-
しかしながら、ここ数年、各地域振興局が実施している個別の取り組み支援と、本庁で主催している人材育成 研修などから取り組むべき方向性や課題が見えてきたと考えています。
長期的な視点に立った「地域主体の取組のコーディネート」が重要
《外部人材との協働による活性化への取組》
○ 集落住民に加え、地域おこし協力隊や 外部の人材が参画することの有効性が 確認できた
○ 働き方の仕組みづくりを通じて、協力 隊OB等が定着する事例が現れた
● 集落に次世代のキーパーソンとなる人 材が少ない
● 県・市町村・JA等の職員は、コー ディネートのノウハウが不足している
《集落の主体的なプランづくりを引き出す取組》
○ 県・市町村・JA等が共通の問題意識 をもって連携し、住民主体のプランづく りを支援する体制が評価された
○ 農業就業人口の将来シミュレーション による、具体的な目標設定の重要性が確 認できた
● 新しい手法のため、より多くの職員等 が支援手法を習得し、集落の主体的取組 をコーディネートしていく必要がある
《集落主体の活性化への取組》
○ 集落住民が主体となって将来ビジョン を策定することの重要性が確認できた
○ 地域ぐるみの営農や6次産業化の取組 により、人口流出に歯止めがかかって いる。
● 地域の条件はそれぞれ異なり、他地域 での単純な応用は困難であるため、モ デルが横展開につながらない
○ 条件不利な急傾斜1ha当たり15万円 を助成し、集落営農等の経営発展効果 や集落全体に及ぼす効果を検証
○ 公募で選定した6地区で、採択年度か ら3年間継続して助成
「公的サポート」モデル事業
(H29~R2)
○ 農業をベースに、多様な人材の多様な 働き方の仕組みづくりに取り組む地区 を、市町村と連携して支援
○ 地域振興局単位で対象地区を8地区選 定し、令和元年度から2年間継続して 取組を支援
未来につなぐ中山間地域活性化支援事業
(R元~R2)
○ 「人口安定化シナリオ」という新しい 手法に、OJT方式も組み合わせた研修に より、伴走型で支援できる人材を育成
○ 令和2年度、52名の市町村や地域振興 局の職員等を対象に、14の重点地区を設 定し、研修を実施
集落サポート人材育成事業
(R2~)
4 中山間地農業を探るトレンド
-5-
中山間地農業には、持続可能な循環型社会、田園回帰・・・確実にトレンドが向いています
新潟県の状況は、全国各自治体に共通する課題です。中山間地域の農業・農村を次の世代につなぐために、ヒン トや追い風となるトレンドが動き始めています。未来につながるヒントは、必ずあるはずです。
①【食料・農業・農村基本計画】
(令和2年3月閣議決定)
〇地域資源の高付加価値化
〇中小・家族経営、多様な経営スタイル
〇農村地域を支える体制及び人材育成
・「新しい農村政策のあり方に関する検 討会」設置
参照:P16(参考5)農林水産省から知事 会へ提案
〇コミュニティ主体の地域社会維持
④【ポスト・コロナの社会トレンド】
〇人と人が直接出会わなくても仕事がで き、新たな価値が創られるテレワーク やワーケーションの拡大
○衛生、健康、環境への関心の高まりや 巣ごもりなど新しい生活様式(食生活 スタイル)の定着
○都会の三密から自然回帰、農村(田 園)回帰の高まり
②【国土保全と生物多様性保全】
〇近年の大規模災害の多発で、山村に広 がる森林の多面的機能の高度発揮への 要望の高まり
〇企業の社会貢献活動や災害ボランティア など多様化する里山や棚田との関わり
○野生鳥獣被害対策と野生生物と人との 共存の両立
〇森林の持続可能な経営
〇再生可能エネルギーの普及
〇緩衝帯の整備等による野生鳥獣との共生
〇山村独自の魅力を生かしたサービス産業 の発展 ※グランピング、トレイルランニング
③【持続可能な開発目標( SDGs )】
〇持続可能なインフラの整備
〇基本的サービスと、環境に優しく働きがい のある人間らしい仕事の提供
-6-
5 中山間地域農業の維持・発展に向けた取組の方向性
担い手の減少、高齢化など厳しい状況のなかで、県内各地で中山間地域農業の維持・発展にながる活動が 展開されています。
このような事例から成功のポイントを探り、農林水産部としての取組の方向性を定めました。
【地域の現状】
●担い手減少
●超高齢化
●耕作放棄
●学校廃校…
【産業化の仕掛け】
経済的に自立できる活動で 地域にお金が入る
仕掛けをつくったこと
【協働する仕掛け】
人と情報の交流をもとに 外部と協働するスタイルで
柔軟に展開したこと
【活動が拡がる仕掛け】
取組が新たな取組につながり、
次世代に継続されていること
【活動組織】
活動を推進する エンジンとなる組織
ができたこと
【人 材】
地域の有志が 将来を考え始 めたこと
【将来プラン】
的確な現状分 析と現実的な 事業計画が立 案されたこと
【人材養成】
意欲的に取組む方 や活動を的確にサ ポートする自治体 職員等の人材養成
【組織づくり支援】
継続的な活動を推進 する主体となる農業 法人等の組織づくり 支援
【計画策定支援】
現 状 分 析 や 将 来 予 測 に 基 づ く 地 域 プ ラ ン の 策 定 を 市 町 村等と連携し支援