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リスクの対応の種類

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Academic year: 2021

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11月 7日(火)

環境省総合政策局環境経済課が作成した太陽光発電事業のキャッシュフロー表(エクセルファイルのこと、以下

「CF表」という。)の見方、作成上の注意点を学んでいく。

なお、このCF表は金融機関向けに事業性評価にために作成したシミュレーションである。したがって、資金の 貸手側からの事業性評価を知ることができる。

また、環境省のホームページに『地域における再生可能エネルギー事業の事業性評価等に関する手引き(金融機 関向け)Ver2.1~太陽光発電事業編~』という手引書があるので参考にされたい。

CF表(事業収支計算書)を作成する際にまず行うことは、イニシャルとランニングの項目出しと諸条件の設定 である。このCF表は、事業規模10億円以下の太陽光発電事業の項目、諸条件をほぼ網羅しているが、重要なこ とはどんな項目があり、どんな条件設定が考えられるのか、を自分の頭で一から考えてみることである。

エクセルファイル等によるシミュレーションがなかった時代は電卓による手計算で表を作成していた。この方法 では作成時間がかかるし、条件が変わった場合の試算を数通り作成することが困難であった。手計算での表作成は 薦めないが、入力する数値の意味を知る上では手計算を試してみた方がよいと思う。

2回の講座のうち、今回1回目では先ずいくつかの基本的な必要知識を解説していく。

◆元金均等返済と元利均等返済

ローンの代表的な返済方法には「元金均等返済」と「元利均等返済」がある。「元金均等返済」は、毎月の元金 返済額が一定の返済方法であり、一方、「元利均等返済」は毎月の返済額が一定の返済方法である。

現在の超低金利下では大きな差異が生じないが、金利上昇が考えられるので、それぞれの特徴を押さえておく必 要がある。「元金均等返済」と「元利均等返済」の特徴を受講生に考えてもらい発表してもらった。

◆減価償却

減価償却の方法には、「定額法」と「定率法」の2種類がある。

太陽光発電設備の法定耐用年数は一般的に17年であり、定額法で償却していく。

毎月の元金返済額が一定 毎月の返済額が一定

元金均等返済 元利均等返済

返 済済 額額 がが 最最 初初 のの うう ちち はは 多多 くく 、、 徐徐 々々 にに 減 少 す る

少 す る 少 す る 少 す る

当 初初 はは 金金 利利 分分 のの 返返 済済 がが 多多 くく 、、 元元 金金 分分 の 返 済 が 少 な い

返 済 が 少 な い 返 済 が 少 な い 返 済 が 少 な い

後 半半 のの ほほ どど 返返 済済 額額 がが 減減 るる のの でで 、、 長長 期期 的 な 安 定 収 入 確 保 に 向 く

な 安 定 収 入 確 保 に 向 く な 安 定 収 入 確 保 に 向 く な 安 定 収 入 確 保 に 向 く

毎 月月 のの 返返 済済 額額 がが 一一 定定 なな のの でで 、、 返返 済済 計計 画 が 立 て や す い

が 立 て や す い が 立 て や す い が 立 て や す い

総 返 済 額 は 、 元 金 均 等 返 済 よ り も 多 い 総 返 済 額 は 、 元 金 均 等 返 済 よ り も 多 い 総 返 済 額 は 、 元 金 均 等 返 済 よ り も 多 い 総 返 済 額 は 、 元 金 均 等 返 済 よ り も 多 い

総 返返 済済 額額 はは 、、 元元 利利 均均 等等 返返 済済 よよ りり もも 少少 な

当 初初 のの 返返 済済 額額 (( 金金 利利 支支 払払 いい 額額 )) がが 大大 き い の で 、 資 金 計 画 上 の 工 夫 が 必 要 い の で 、 資 金 計 画 上 の 工 夫 が 必 要 い の で 、 資 金 計 画 上 の 工 夫 が 必 要 い の で 、 資 金 計 画 上 の 工 夫 が 必 要

債 務務 のの 減減 少少 がが 遅遅 くく なな るる のの でで 、、 元元 金金 均均 等 返 済 よ り も 相 続 税 対 策 上 効 果 的

返 済 よ り も 相 続 税 対 策 上 効 果 的 返 済 よ り も 相 続 税 対 策 上 効 果 的 返 済 よ り も 相 続 税 対 策 上 効 果 的

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◆利回り

利回りには「表面利回り」と「ネット利回り(実質利回り)」があり、広告等で売主が使っている利回りは「表 面利回り」であるが、収益力をみるには経費を引いた「ネット利回り」で考えるべきである。

NOINet Operating Income 純収益、償却前営業利益)

年間収入から経費を差し引いた利益額で、減価償却と借入金返済は考慮に含まない。NOIは不動産の本質的価値 あるいは物件の力・収益力である。なお、このCF表では、元利償却前キャッシュフローである。

DSCRDebt Service Coverage Ratio、返済余力割合)

借入金返済の安全性を見るための指標である。収益(NOI)が借入金の年間返済額の何倍にあたるかを計算する もので、1以上が求められ、1.052以上が望ましい。

下記の計算式になる。

DSCR=÷ADSAnnual Debt Service、年間返済額)

なお、このCF表では事業期間内の平均、最高、最低のDSCRが算出される。

IRRInternal Rate of Return、内部収益率)

将来期待できる収益の現在価値が投資額と等しくなる割引率で、PIRR(プロジェクトのIRR)とEIRR(自己資 本のIRR)があり、このCF表ではいずれも算出される。

PIRRは、不動産全体を評価するIRRで、最低限借入金利を上回っている必要がある。

EIRRは、自己資本に対する収益率を示すIRR

IRRは万能ではないが、不動産以外の投資にも通用する指標なので、債券投資など他の投資との比較が可能であ る。したがって、投資指標としてよく活用されている。

IRRのイメージ図を下記に示す。将来価値を現在価値に割り戻す作業を行っている。

プラス

10年後に売却

マイナス

毎 年 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 現 在 価 値 の の 合 計 が 毎 年 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 現 在 価 値 の の 合 計 が 毎 年 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 現 在 価 値 の の 合 計 が 毎 年 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 現 在 価 値 の の 合 計 が 初 期 投 資 金 額 ( ま た は 自 己 資 金 ) と 一 致 す る 初 期 投 資 金 額 ( ま た は 自 己 資 金 ) と 一 致 す る 初 期 投 資 金 額 ( ま た は 自 己 資 金 ) と 一 致 す る 初 期 投 資 金 額 ( ま た は 自 己 資 金 ) と 一 致 す る 利 回 り が I R R

利 回 り が I R R 利 回 り が I R R 利 回 り が I R R 初期投資

7年目 の C F

8年目 の C F

9年目 の C F

10年目 の C F 売却益 の C F

+

1年目 の C F

2年目 の C F

3年目 の C F

4年目 の C F

5年目 の C F

6年目 の C F

(3)

投資期間満了時の復帰価格(売却価格)が太陽光発電事業の場合は0(ゼロ)なのだろうか?という問題提起を した。

TVMTime Value of Money、貨幣の時間的価値)

今日受け取る1ドルの方が将来受け取る1ドルよりも価値があるというファイナンスの最重要概念である。

今日のお金の方が、明日のお金よりも価値がある理由は、①インフレーション、②将来の不確実性(リスク)

③機会費用、の3つで説明できる。

現在価値を将来価値に換算する「終価係数」

将来価値を現在価値に割り戻すあるいは割り引く「現価係数」、の他、

「年金終価係数」「減債基金係数」「年金現価係数」「資本回収係数」がある。このうち、「資本回収係数」は、

貸し手から見た言い方であり、借り手から見た場合は元利均等償還率で、月賦であれば住宅ローンの返済金の計算 方法ということになる。

複利計算の基本概念を受講生にいくつかの演習問題を通して学んでもらった。TVM の概念を理解していないと IRRは理解できない。

◆損益計算と収支計算

このCF表は、1枚で「損益計算」と「収支計算(資金計算)」の両方を兼ねている。

「損益計算」は、年度の会計上、税務上の事業収支計算であり、

「収支計算(資金計算)」は、年度の資金繰り状況の事業収支計算である。

「損益計算」と「収支計算」別々の表にする方がわかりやすいと思うが、一長一短がある。税務的な問題を詳し く取り扱おうとした場合は別々にした方がよいであろう。

◆借地の場合の注意点

太陽光発電事業を借地でやる場合、建物所有を目的とした土地賃貸借でないため、借地借家法の適用がなく、民 法上の賃貸借となるので、次の2点に注意する必要がある。

一つは、契約期間が最長20年間であること(民法が改正され賃貸借契約の最長期間が50年間になったが改正法 の施行日はまだ決まっていない)

もう一つは、対抗要件が賃借権の登記であること。

◆リスクについて

このCF表に限らず、事業収支計算書からは、事業リスクの一部しか見えない。

受講生に不動産賃貸事業(ビル、マンションなど)にはどんなリスクが考えられるかを発表してもらった。

太陽光発電事業は、不動産賃貸事業と異なり、空室リスク、陳腐化リスクはないといえる。しかし、経営努力し てもNOIを増加させることは難しい。

← 地 主 の 協 力 要

← 地 主 の 協 力 要

← 地 主 の 協 力 要

← 地 主 の 協 力 要

↑ 1 年 未 満 は 期 間 の 定 め が な い 賃 貸 借 に

↑ 1 年 未 満 は 期 間 の 定 め が な い 賃 貸 借 に

↑ 1 年 未 満 は 期 間 の 定 め が な い 賃 貸 借 に

↑ 1 年 未 満 は 期 間 の 定 め が な い 賃 貸 借 に 抵 当 権 V S 賃 借 権抵 当 権 V S 賃 借 権抵 当 権 V S 賃 借 権抵 当 権 V S 賃 借 権

「 対 抗 要 件 」 と は 、 例 え ば 第 三 者 ( 他 人 ) に 地 主 が 売 っち ゃ た ら 借 主 は 勝 て る の ? 負 け る の ?「 対 抗 要 件 」 と は 、 例 え ば 第 三 者 ( 他 人 ) に 地 主 が 売 っち ゃ た ら 借 主 は 勝 て る の ? 負 け る の ?「 対 抗 要 件 」 と は 、 例 え ば 第 三 者 ( 他 人 ) に 地 主 が 売 っち ゃ た ら 借 主 は 勝 て る の ? 負 け る の ?「 対 抗 要 件 」 と は 、 例 え ば 第 三 者 ( 他 人 ) に 地 主 が 売 っち ゃ た ら 借 主 は 勝 て る の ? 負 け る の ? 対 抗 要 件

対 抗 要 件対 抗 要 件 対 抗 要 件

「 賃 借 権 の 登 記 」

「 賃 借 権 の 登 記 」

「 賃 借 権 の 登 記 」

「 賃 借 権 の 登 記 」 登 記 の 他 に 「 建 物 の 登 記 」 登 記 の 他 に 「 建 物 の 登 記 」 登 記 の 他 に 「 建 物 の 登 記 」 登 記 の 他 に 「 建 物 の 登 記 」

登 記 の 他 に 「 引 渡 し 」 登 記 の 他 に 「 引 渡 し 」 登 記 の 他 に 「 引 渡 し 」 登 記 の 他 に 「 引 渡 し 」 借 地 借 家 法 の 適 用 が ある 借 地

借 地 借 家 法 の 適 用 が ある 借 地 借 地 借 家 法 の 適 用 が ある 借 地 借 地 借 家 法 の 適 用 が ある 借 地 民 法 上 の 賃 貸 借

民 法 上 の 賃 貸 借 民 法 上 の 賃 貸 借 民 法 上 の 賃 貸 借

借 地 借 家 法 の 適 用 が ある 借 家 借 地 借 家 法 の 適 用 が ある 借 家 借 地 借 家 法 の 適 用 が ある 借 家 借 地 借 家 法 の 適 用 が ある 借 家

期 間期 間 期 間期 間 最 長 3 0 年 最 長 3 0 年最 長 3 0 年 最 長 3 0 年 3 0 年 以 上 3 0 年 以 上3 0 年 以 上 3 0 年 以 上 制 限 な し 制 限 な し制 限 な し 制 限 な し

(4)

不動産価値の公式(金利との関係)

◆土地有効活用から見た太陽光発電事業のメリット

市街化調整区域山林、地形が悪い半端な土地などの価値の低い土地の有効活用が可能なことであろう。

【宿題】

①CF表のエクセルファイルを使い、いくつかのシミュレーションを試すこと

固定買い取り価格の5つのケース(40円、36円、32円、21円、10円)でのPIRRDSCRは?

…目的はこのエクセルファイルになれるため

②条件のどこをどのくらい改善できれば、買い取り価格が低下しても事業性があると考えられるか?

③太陽光発電の課題は何か?(キャッシュフロー計算表でのシミュレーション結果にこだわらずに考えてみる)

空 室空 室空 室空 室

賃 料 下 落賃 料 下 落賃 料 下 落賃 料 下 落

陳 腐 化陳 腐 化陳 腐 化陳 腐 化

物 理 的 劣 化物 理 的 劣 化物 理 的 劣 化物 理 的 劣 化

金 利 変 動金 利 変 動金 利 変 動金 利 変 動

法 改 正法 改 正法 改 正法 改 正

イ ン フ レイ ン フ レイ ン フ レイ ン フ レ

NOI CapRat e

V ₌

r i

Value(価値)

収 入 ( 収 益 ) 収 入 ( 収 益 ) 収 入 ( 収 益 ) 収 入 ( 収 益 )

金 利 金 利 金 利 金 利

(5)

11 14日(火)

前週の宿題を受講生から順番に発表してもらい、ディスカッションを行った。

先ず、【課題①】の固定買い取り価格の5つのケースでのPIRRDSCRの数値の確認を行った。

次に、【課題①】の設定条件についての補足説明を行った。

◆リスクマネジメント

リスク対応の種類は、リスクの回避、リスクの低減、リスク共有、リスク保有の4つに分けることができ、影響 の大きさと起こりやすさで次の図のようになる。

保険は「リスク共有」の代表的手段である。

リスクの分散

リスクの対応の種類

影 響 の 大 き さ

起こりやすさ(発生確率・頻度)

リスク共有 リスクの回避

リスク保有 リスクの低減

保険=リスクの移転・転嫁

事業撤退、製品回収

安全対策、手順書作成 何もしない、放置する

高 低

(6)

民法第717条の土地工作物責任は無過失責任である。一次的には工作物の占有者が責任を負うが占有者が必要な 注意義務を果たしていたことを立証すれば免責される中間責任で、二次的には所有者に過失がなくても責 任を負うこととされている。

施設賠償責任保険で填補することはある程度可能である。太陽光発電事業者は火災保険等に加え施設賠償責任保 険にも加入しておいた方がよい。なお、発生頻度が少ないので保険料は安い。

◆消費税

このCF表は税抜き計算で計算している。しかし、例外があって、初期費用については支払った消費税相当分が 還付されることがあるので、消費税の還付金のみ計算に入れている点に注意する必要がある。

なお、消費税の計算式は下記の通りであり、このCF表のように支払った消費税が全額還付されることはない。

消費税の納付税額 = 課税期間中の課税売上に係る消費税額 − 課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額

◆引当金

このCF表ではパネルの撤去費用として毎年5万円引き当てている。「撤去費用積立」 パネルの処分費用は考慮されていない。

◆回収期間法(Payback period)

事業収益性の判断指標の一つで、投資したお金が何年間で回収することができるかを見積もる。

計算が簡単であるため実務ではよく利用されている。

【課題②及び③】についての発表、ディスカッションでは、

・設備費用の引き下げ、維持管理費用の引き下げについて、具体的数値を上げて発表した受講者もいた。

・設備をリースを組んだ場合?

・借地でなく自己所有地の場合?

・パネル等発電設備の耐久性向上

・発電効率(変換効率)の上昇

・蓄電技術の革新

・太陽光を電気に変換せず、熱として利用すれば変化効率がよい

EV車に蓄電する

・パネルの処分の方法、費用はどうなっていくのだろうか?

・パネルの再利用は可能なのか?

・再生可能エネルギーの世界の潮流は風力 など広汎な意見があった。

(7)

【所感】

受講者の様々な立場、知識・経験が多様な中での再エネ開発の企画立案~事業構築、再エネ普及に貢献できる人 材養成をめざすプログラムということで対応に苦慮致しました。そこで、基本的事項を解説し、エクセルファイル をいじってもらい、受講者に気づいてもらおうというスタイルで臨みました。

懐疑的な受講者意見があったのも事実でしたが、受講者全員が柔軟な発想が持っていることに関心致しました。

太陽光発電事業が中心でしたので、「エネルギー=電気」という固定観念がありましたが、必ずしも電気エネルギ ーに変換する必要もないことを発想として持っておく必要を感じました。

また、パネルを使用した太陽光発電の「出口」問題があまり議論されていないことに注意しておく必要性を感じ ました。

参照

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