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論文内容要旨

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Academic year: 2021

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論文内容要旨

論文題名

天 然 物 か ら 生 成 す る 活 性 酸 素 の 分 析 と そ の 抗 菌 及 び 抗 酸 化 作 用 昭和大学大学院 薬学研究科 薬学専攻 臨床分析化学 田島 規子

内容要旨

【緒言】天然物の有する抗菌,抗酸化作用等の様々な性質は,医薬品,サ プリメント,食品添加物等に広く利用されている.天然物から抽出,精製 された化合物の有用性が科学的に解明され,医薬品等に応用されている例 は多い.しかし天然物そのまま,あるいは粉砕や粗抽出した混合物として 利用される例もまた多く,そうした混合物の場合には作用機序は必ずしも 解明されているとは限らない.そこで本研究では活性酸素に着目し,天然 物の中から胃腸に作用する生薬 16 種類,柿(葉、蔕、実),精油 15 種類及 び精油成分である 30 種類の化合物の活性酸素生成能を測定し,それぞれ の抗菌,抗酸化作用との関係を明らかにした.

【実験】活性酸素は過シュウ酸エステル化学発光法により分析した.活性 酸素種の同定はフェントン反応とスピントラップ法を組み合わせた電子 スピン共鳴法(ESR)を用いた.抗菌活性は寒天培地を用いた平板塗抹法と これを簡略化した方法により生菌数を測定し,試料による細菌の生育阻害 活性を測定した.抗酸化作用は,ヒドロキシラジカルの消去活性を ESR 法 により測定した.

【結果及び考察】生薬と柿から過酸化水素が生成し,その濃度は高いもの では茶カテキンと同等程度であった.これらは生薬や柿に含まれるタンニ ンから生成したと考えられた.また,最も過酸化水素生成量の多かった生 薬である五倍子と,柿葉及び蔕について抗菌活性を測定したところ,E.

coli, S. aureus等の胃腸に影響する細菌に対して抗菌作用を示した。カ タラーゼによって抗菌作用が消失または減弱したことから,五倍子および 柿の抗菌作用は過酸化水素によると考えられた.細菌の中でも, 食中毒や 日和見感染性の原因菌に比べ E. faecalis, L. casei等の腸内恒常性維

(2)

持に寄与する細菌は過酸化水素感受性が低い傾向を示したことから,腸内 細菌叢のバランスに影響することによって,生薬が腸内環境改善に寄与す る可能性が示唆された.また,柿葉の抗菌作用は柿の葉寿司の保存性や,

柿茶として飲用することによる有用性が示唆されたと言える.

精油では,Eucalyptus,Tea tree,Rosemary 等から過酸化水素が生成 した.また,精油の過酸化水素生成と抗酸化活性には相関が認められた.

精 油 に 含 ま れ る 化 合 物 に つ い て も 同 様 に 試 験 し た 結 果 , Geraniol, Eugenol,ß-Citronellol 等で過酸化水素が生成した.また,Neryl acetate, Terpineol, Benzaldehyde 等で抗酸化作用が観察された.しかし,精油成 分では過酸化水素生成と抗酸化活性には相関は認められなかった.更に、

精油の過酸化水素生成能と抗酸化活性は,いずれも含有成分から計算され る値とは必ずしも一致しなかった.以上より,精油の性質は個々の成分の 性質だけでなく,混合物であることにより発現していると考えられた.

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