九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
EJ等のリンク機能の応用事例 リンク・リゾルバーの 効き目
片岡, 真
九州大学附属図書館
http://hdl.handle.net/2324/2902
出版情報:大学の図書館. 24 (8), pp.161-164, 2005-08. 大学図書館問題研究会 バージョン:
権利関係:
大学の図書館 No. 381 第24巻8号 (2005.8) p.161-164
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特集 電子ジャーナルとコンソーシアムの近況 EJ等のリンク機能の応用事例
リンク・リゾルバーの効き目 片岡 真
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ベンダーメンテナンスの電子ジャーナル集 そもそも九州大学がリンク・リゾルバー [Link Resolver]を導入するきっかけになっ たのは、利用者に提供する電子ジャーナル集 のメンテナンスをどうにか楽にしたいとの思 いから、ベンダーメンテナンスの電子ジャー ナル集導入を検討したことに始まる。当時九 州大学では、九州地区国立大学図書館協議会 の電子ジャーナル利用支援システムを使用し ており、Excel ファイルで利用可能タイトル を修正しそれを取り込めば電子ジャーナル集 となり、A-Z リストや雑誌名からの検索、さ らに学内限定でユーザID・パスワードなども 小窓に表示できるという優れものだった。し かし複雑化する雑誌業務に追われる毎日の中 で、契約タイトルのExcelファイルメンテナ ンスさえ滞るようになってしまっていた。ベ ンダーメンテナンスの電子ジャーナル集のよ いところは、出版社のパッケージを一括登録 でき、パッケージに含まれるタイトルの入れ 替えやURL変更がベンダー任せであること、
そしてサーバを自前で管理する煩わしさから 解放されることだ。九州大学では、2005年4 月 か ら Serials Solutions 社 の E-Journal
A.M.Sを正式導入し、これらの恩恵に授かる
こととなった。
実際にこのシステムでタイトル登録をして みると、それまで6,000件程度だった登録タ イトル数が、純タイトルで 22,000 件、のべ 29,000件となった(2005年6月現在)。これ により、改めて図書館員の情報収集による利 用可能タイトル把握の限界を知るとともに、
出版社のパッケージや世界中にある何千もの
フリーアクセスの電子ジャーナルが、クリッ ク一つで登録できてしまう便利さを実感した。
ユーザインターフェースについても、タイト ル検索、A-Z リストの他、分野からの検索、
DOIやPubMed IDからの検索、出版社ウェ ブサイトへ直接アクセスなど多彩な機能をサ ポートしている。
図1 E-Journal A.M.Sの画面
リンク・リゾルバーというもの
ところで、この電子ジャーナル集にはオプ ションがあり、Web of Scienceなどデータベ ースの検索結果に表示された論文情報から、
中間窓を表示して電子ジャーナルが九州大学 で利用可能かどうか(=電子ジャーナル集に 登録されているかどうか)を表示し、さらに OPACや文献複写申込を始めとする九州大学 で利用できるサービスへナビゲートできる。
一般にリンク・リゾルバーと呼ばれているも のである。九州大学では、この時期ちょうど 電子資料のマネジメントや利用支援体制を強 化すべく組織再編を検討していたこともあり、
このリンク・リゾルバー(Serials Solutions 社のArticle Linker)もE-Journal A.M.Sと 併せて導入した。
大学の図書館 No. 381 第24巻8号 (2005.8) p.161-164
図2 「きゅうとLinQ」(Article Linker)の 概念図
導入にあたり、データベース検索結果に表 示されるリンク・リゾルバーのアイコンやリ ンク表示が九州大学のサービスであることが わかるように、「きゅうとLinQ(りんきゅ〜)」
と名付けて(九州大学附属図書館のマスコッ トであるきゅうと君のマークと”Link”をもじ った”LinQ”を組み合わせている)アイコンを 作成した。このリンクアイコンがデータベー スの検索結果へ文献ごとに表示され、利用者 がこれをクリックすることで、先の中間窓を 呼び出すことができる。各データベースベン ダーから Serials Solutions 社サーバへの論 文情報受け渡しは、OpenURL 0.1 に準拠し
ている1)。利用者は中間窓に表示されたメニ
ューからフルテキスト、OPAC、文献複写申 込、Google検索などのリンクを辿り、適切な 方法で一次論文を入手することができる。例 として図3にWeb of Science検索結果からの 画面展開例を示した。
こうして、データベースごとに提供される フルテキストや OPAC へのリンクをきゅう とLinQへ統合することができた。またWeb of ScienceやEBSCOhostからのフルテキス トリンクのために行ってきた電子ジャーナル リストのベンダーへの提出も不要となった。
その後きゅうと LinQを利用できるデータベ ース(リソース)にGoogle Scholarを加え、
更にきゅうと LinQ 中間窓からのサービスに Webcat Plusを追加するなど、サービスも着 実に充実してきている。今後は積極的に学内
広報を行い、利用者に電子ジャーナル集やき ゅうと LinQの機能を使いこなしてもらえた らと願っている。
図3 Web of Scienceからの画面展開例 Web of Science検索結果
きゅうとLinQの中間窓
フルテキスト
クリック
クリック
大学の図書館 No. 381 第24巻8号 (2005.8) p.161-164 これからのこと
ベンダーメンテナンスの電子ジャーナル集 は、自館で URL 情報をメンテナンスする図 書館員が一度は思い描く「電子ジャーナルの URL情報を世界(日本)のどこか一カ所で管 理してくれたらいいなぁ」を実現してくれる。
リンク・リゾルバーはWeb上の二次情報と、
フルテキストを始めとする図書館のサービス を結びつけてくれる。これらのサービスは北 米では既に一般的となっているが、各ベンダ ーによる機能強化や、価格的に手頃な製品の 登場により今後は国内でも導入が進むことだ ろう。参考のため、表1に国内で利用できる サービスを示した。
ベンダー 電子ジャーナ ル集
リンク・リゾ ルバー Bowker Ulrich’s Resource Linker
EBSCO A-to-Z LinkSource Endeavor なし LinkFinder
Plus Ex Libris S.F.X
Ovid
Technologies なし LinkSolver Serials
Solutions
E-Journal A.M.S
Article Linker Swets
Information Services
SwetsWise Title Bank
SwetsWise Linker 表1 国内で利用できるベンダーメンテナン スの電子ジャーナル集とリンク・リゾルバー
このように、九州大学附属図書館は電子リ ソースのシステム管理の新しい一歩を踏み出 したが、本番はこれからである。電子リソー スの契約とアクセス管理、二次情報データベ ースの統合検索、そしてユーザに的確な電子 リソースをナビゲートするWebページ。これ らを統合的にシステム管理できれば、より確 かで使いやすい電子リソースの利用環境が実
現するだけでなく、それに携わる図書館職員 の仕事をも整理してくれることだろう2)。こ のことは、コンピュータ・ネットワークの登 場後、各大学が図書館システムを導入し、
NACSIS-CAT と連携して図書や雑誌の目録
をとり、貸出管理、OPAC による検索環境、
ILLを整備してきたことと、どこか同じこと のように思える。
注釈・参考文献
1) OpenURLは主に雑誌論文を取り扱い、記 述方法がわかりやすいOpenURL 0.1の他、
雑誌以外のジャンル(図書、会議録など)や 多様な文字コードをサポートした OpenURL 1.0、そして OpenURL 1.0 を基に策定され た ”ANSI/NISO Z39.88 - 2004 The OpenURL Framework for Context-Sensitive Services”がある。Article
Linkerは、2005 年 8 月にOpenURL 1.0対応 予定。
2) 次の書籍には、電子ジャーナルを始めとす る電子リソースをめぐる状況や問題に対する 解決の試みが網羅的に書かれている。
Curtis, D. ; Scheschy, V. M. E-Journals : a how-to-do-it manual for building, managing, and supporting electronic journal collections, New York, Neal-Schuman Publishers Inc. 2005 (How-to-do-it manuals for libraries ; no.
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(かたおか・しん/九州大学附属図書館)