Network File System バージョン 4 の
HP-UX 11i v3 への導入
White paper
目次
Tはじめに...2 TNFSv4 の新機能 ...2 NFSv4 における変更点...2 COMPOUND RPC ...2 マウント プロトコルおよびロック プロトコルは使用しない ...4 ステートフル プロトコルとしての NFSv4 ...4 ファイルのオープンおよびクローズ...6 デリゲーション...8 プロトコルの一部としてのロック...8 セキュリティ...10 NFSv4 を HP-UX 11i v3 サーバにマウントする方法...10 nfsmapid:名前ベースのユーザ ID およびグループ ID ...12 NFSv4 を HP-UX 11i v3 クライアントにマウントする方法 ...12 まとめ...14 詳細情報...14はじめに
HP-UX の最新リリース HP-UX 11i v3 より、Microsoft® Windows® との相互運用性が高まり、セキュリティや 性能が向上した NFSv4 (Network File System バージョン 4) を使用できるようになりました。本書では、最新 の HP-UX 11i v3 および今後リリースされるバージョンで利用できる NFSv4 の主な機能や、HP-UX システム 管理者が NFSv4 を実装したクライアントやサーバを使用するにあたり理解しておく必要のある情報について 説明します。
NFSv4 の新機能
NFSv4 では、次のような新しい機能が多数追加されました。 • ステートの導入 • ファイル デリゲーション (権限委譲) の導入 ― NFSv4 サーバを使用すると、NFSv4 クライアントはネットワ ークを介してサーバに要求を送信することなく、キャッシュにあるファイルへのアクセスや編集ができるように なります。• RPC (Remote Procedure Call: リモート プロシージャ コール) である複合リモート プロシージャを使用したネ ットワーク トラフィックの削減 ― 複合リモート プロシージャを使用することにより、従来より実行されている 各 NFS 操作 (LOOKUP、OPEN、READ) を 1 つの複合 RPC 要求にまとめることができるため、複雑な操作 でもネットワークを 1 度往復するだけで実行できます。
• Kerberos 5 や ACL (Access Control List) など多種にわたる高度なセキュリティ メカニズムの中から、採用 するセキュリティ機能を選択 • NFSv3 や NFSv 2 を実装したクライアントおよびサーバとのシームレスな共存
NFSv4 における変更点
NFSv4 と従来の NFS プロトコルには、次のような 5 つの大きな違いがあります。 • 複合ステートメント (現在対応している RPC は、NULL プロシージャと COMPOUND プロシージャの 2 種類 のみ) • 独立していたマウント プロトコルおよびロック プロトコルを統合 • プロトコルへのステートの導入 • セキュリティ • デリゲーションCOMPOUND RPC
従来の NFS プロトコルでは、NFS の要求に対する応答が非効率であることが問題となっていました。つまり、 すでに操作した要求に対する結果によって次の要求が変わる場合、クライアントは新たな要求を送信する前に サーバからの応答を待たなければなりませんでした。そのため、従来のプロトコルを使用すると、必ず不要なレ イテンシが発生していたのです。COMPOUND (複合) 要求を使用することにより、クライアントは複数の NFS 要求を 1 つの要求にまとめてネットワーク送信することができます。 本書では、NFS 要求および応答を Ethereal の追跡機能を用いて表示する方法について説明します。Ethereal は Wireshark とも呼ばれるマルチプロトコル ネットワーク分析ツールです。Ethereal を入手するには、HP Internet Express バンドルとして HP Software Depot (http://software.hp.com (英語)) からダウンロードする か、Ethereal の Web サイト http://www.ethereal.com (英語) からダウンロードしてください (無償)。Ethereal は、ネットワークを介して NFSv4 要求が送信されると、要求の内容とそれに対する応答を出力します。出力に はプロトコルが指定したすべてのフィールドが表示されますが、出力が非常に長くなる場合は出力の一部分が 削除され、そのかわりに省略記号が表示されます。図 1. COMPOUND RPC 要求
1 行目および 2 行目は、この出力が NFS 追跡情報であり、プロトコルのバージョンが 4 であることを示してい ます。3 行目はクライアントが作成した NFSv4 RPC の種類を表示しています。NFSv4 が対応している RPC は COMPOUND RPC および NULL RPC の 2 種類のみであるため、ほとんどの場合、COMPOUND プロシー ジャが作成されます。4 行目から 8 行目は RPC の内容を記述したヘッダー情報です。たとえば、4 行目はこ の RPC がマウント要求であることを示すタグです。COMPOUND プロシージャは、複数の opcode と呼ばれ るサブ要求で構成されています。図 1 の 8 行目を見ると、この要求は 5 つの opcode で構成されていること がわかります。
他の行は NFSv4 要求をテキストで表示したものであり、データの階層に応じてインデントされています。たとえ ば、attrmask は GETATTR opcode 内のフィールドであるため、16 行目は 15 行目 よりインデントされていま す。また、17 行目および 18 行目は attrmask フィールド内にあることを示しています。attrmask にはインデン トされている行があと 2 行 (19 行目と 20 行目) がありますが、出力を短くするために省略記号で表示されて います。
この COMPOUND 要求には、PUTROOTFH、GETFH、LOOKUP、2 回目の GETFH、GETATTR の各 opcode 要求が含まれており、それぞれ 9 行目、10 行目、11 行目、14 行目および 15 行目に出力されています。こ の例で使用されている opcodeや他の opcode についての詳細は http://www.ietf.org/rfc/rfc3530.txt (英 語) から入手できる IETF (Internet Engineering Task Force) の RFC (Request For Comment) 3530 を参照して ください。
図 2. COMPOUND RPC 応答
サーバは、障害が発生しない限り、各 opcode に対してそれぞれステータスおよび戻り値を返します。たとえば、 PUTROOTFH opcode を実行した結果、ステータス NFS4_OK が返されており (9 行目および 10 行目)、 GETATTR opcode の実行結果には、ステータス (22 行目の NFS4_OK) に加えて GETATTR opcode が要求 したさまざまな属性値が返されています。 ある opcode の実行中に障害が発生した場合、以降の opcode は実行されず、サーバに蓄積されていた実行 済みの結果はクライアントに返されます。 FTTR4_SUPPORTED_ATTRS 要求 (図 1 の 17 行目) とそれに対する応答 (図 2 の 25 行目から 28 行目) に 注目してください。NFSv4 から、NFS がサポートする属性の種類が拡張されました。たとえば、NFSv4 仕様へ の準拠に必要な必須属性、NFS 相互運用性をサポートする推奨属性、およびサーバが値/ペア割り当てを維 持できるようにする名前指定属性などを使用できるようになりました。ただし HP-UX 11i v3 では現在、名前指 定属性をサポートしていません。 GETATTR 操作を実行すると、NFSv4 クライアントから、特定ファイルにどのような NFSv4 属性がサポートされ ているかをサーバに照会できます。この機能により、Windows クライアント アプリケーションや NFSv4 インプ リメンテーションが、NFSv4 サーバがサポートするファイルの属性をサーバに照会でき、それに応じて機能を 適用または除外できるようになるため、Windows と UNIX® の相互運用性が高まります。
マウント
プロトコルおよびロック プロトコルは使用しない
図 1 にはマウント プロトコルのメッセージが一切ありません。これは、NFSv4 の一部である PUTROOTFH opcode がマウントの処理を行っているためです。同様に、独立したロック プロトコルもありません。ロックは NFSv4 opcode である LOCK、LOCKU、LOCKT が処理しています。これらの opcode については、「プロトコ ルの一部としてのロック」項目で説明します。ステートフル
プロトコルとしての NFSv4
従来の NFS プロトコルは、NFS サーバがそのクライアントの情報や状況を一切保持しないことから、ステート レスでした。たとえば、従来の NFS プロトコルではオープンまたはクローズ操作が定義されておらず、NFS ク ライアントがディレクトリおよびファイル上で LOOKUP 操作を実行し、NFS サーバは適切なディレクトリまたは ファイル ハンドルを返していました。また、読み込みなどのファイル操作は、特定のファイル ハンドルから一連のバイト範囲を読み込む NFS 要求として実行されていました。このファイル ハンドルは、NFS クライアントから は認識できないものの、多くの場合、ファイルに関連付けられたディスクベースのデータを示しています。 これに対し、NFSv4 はステートフル プロトコルです。したがって、NFSv4 サーバはクライアント、クライアントが 開いているファイル、およびロックに関する情報を保持しています。たとえば図 3 のような 2 回目の COMPOUND プロシージャは mount コマンドの一部として作成されたものであり、SETCLIENTID opcode の みで構成されています。 図 3. SETCLIENTID opcode 要求 SETCLIENTID opcode は、このクライアントに関連付けられたステートを管理するハンドルを作成する際に使用 され、client、callback、callback_ident フィールドで構成されています。図 3 の 12 行目から 14 行目 に出力 されている callback フィールドは、このクライアント ID に関連付けられており、16 行目の callback_ident とと もに、デリゲーション管理に使用されます。デリゲーションについては、以降の項目で説明します。
SETCLIENTID opcode を受信すると、サーバはクライアントに固有 ID を割り当て、SETCLIENTID opcode に対 する応答の中でその固有 ID をクライアントに通知します。図 4 はこの応答を示したものです。
図 4. SETCLIENTID opcode に対する応答
サーバがこのクライアントに割り当てたクライアント ID は、図 4 の 11 行目に出力されています。
NFSv4 はステートフル プロトコルであるため、opcode によっては、サーバがクライアントを識別できるようにク ライアントからこのクライアント ID をサーバに送信しなければならないものもあります。たとえば、ロックは 1 つ のクライアント (つまりクライアント ID) と関連付けられているため、ロック opcode である LOCK、LOCKU、 LOCKT ではすべて、クライアントからの送信時に各 opcode にクライアント ID を組み込まなければなりません。 NFSv4 の一部として定義されている opcode の一覧を見るには、nfsstat コマンドを実行します。nfsstat コマンドは拡張されて、NFSv4 の統計値を表示できるようになりました。たとえば図 5 は、NFSv4 を実装した 後の NFSv4 opcode の実行状況を示しています。
図 5. nfsstat コマンドによる NFSv4 出力
この出力には NFSv4 の NULL プロシージャおよび COMPOUND プロシージャだけではなく、COMPOUND プロシージャの一部として送信されるすべての opcode が表示されています。この一覧には、GETFH (8 行目)、 PUTROOTFH (18 行目)、SETCLIENTID (24 行目) が含まれていますが、これらは最初のマウント要求 (図 1)、 およびクライアントの識別 (図 3) で使用された opcode です。SETCLIENTID_CONFIRM の詳細については RFC を参照してください。 また図 5 には、ファイルオープンに関連する opcode、OPEN (14 行目) および CLOSE (4 行目) と、ロックに 関連する opcode、LOCK、LOCKU、LOCKT (10 行目) も含まれています。
ファイルのオープンおよびクローズ
図 6 は open() システム コールが実行された後に生成された Ethereal 追跡情報を示しています。サーバが クライアントに返信したクライアント ID は、NFSv4 の各操作で使用できます。 ファイル オープンの際、サーバはこのクライアントによるファイル オープンのインスタンスを特定するステート ID を返します。このファイル オープンに関連付けられたステートはサーバに保持されます。図 6. OPEN opcode 要求
OPEN opcode は 12 行目に出力されており、OPEN opcode のパラメータの 1 つはクライアント ID です (16 行目)。前述したように、クライアント ID はファイルをオープンしているクライアントの確認に必要です。16 行目 のクライアント ID が、SETCLIENTID opcode の一部としてクライアントに返された ID (図 4 の 11 行目) と一 致していることに注意してください。
次に、14 行目および 15 行目にある OPEN opcode の share_access および share_deny フィールドに注目 します。これらのフィールドは共有ロック方式をサポートするために使用されます。この共有ロック機能は Windows 環境ではよく使用されていますが、NFSv4 でも使用できるようになりました。共有ロックがサポートさ れることにより、HP-UX 11i v3 サーバでも共有ロックを多用する Windows アプリケーションを使用できるよう になるため、Windows と UNIX の相互運用性が高まります。 共有ロックを使用すると、クライアントはファイルに対してオープン アクセスできますが、以降別のクライアント によるオープン アクセスは拒否されます。ただし、共有ロックを使用できない場合、または以降のアクセス ロッ ク要求を拒否できない場合は、オープンに失敗します。たとえば、クライアントがファイルを読み込んでいる間 はファイルが更新されないようにしたい場合、クライアントは共有読み込みロックおよび共有書き込み拒否ロッ クをかけた状態でファイルを開きます。その際、他のクライアントが書き込み中でなければ、そのファイルをオ ープンできます。なお、共有ロックはクライアントがファイルをクローズするまで保持されます。したがって、ある クライアントがファイルをオープンした後に、他のクライアントが共有書き込みアクセスを使用してそのファイル をオープンしようとしても、最初にオープンしたクライアントがクローズするまで、次のクライアントはオープンで きません。 図 7 は OPEN opcode に対するサーバの応答を示しています。
図 7. OPEN opcode に対する応答 13 行目のステート ID は、OPEN opcode に対する応答の一部としてサーバが返したものであり、このクライ アントがファイルをオープンしている状態を示しています。この ID を使用して、ステートとこのファイル オープン のインスタンスとが関連付けられます。
デリゲーション
通常、ネットワークにあるファイル ロックおよびファイル データの管理は NFS サーバが行います。複数のクラ イアントがリモートから複数の管理ファイルにアクセスする場合には、集中して管理を担当するマシンが必要で す。 しかし、あるファイルに対して書き込みを行っているクライアントが 1 台のみの場合、また、複数のクライアント があるファイルに対して読み込みのみを行っている場合、ファイルのロックおよびデータの管理をそのクライア ントに委譲することが可能です (つまり、ファイルのロックおよびデータは書き込み中の 1 つのクライアントまた は読み込み中の複数のクライアントがローカルで管理します)。ファイルを管理する際は NFS サーバおよび NFS クライアント間でネットワーク トラフィックを転送する必要がありますが、管理を委譲することによりこのや りとりが不要となるため、性能が向上します。 管理を委譲すると、クライアントがファイル ロックおよびデータ管理の責任を負うので、サーバはクライアントが 起動し、アクセスできる状態であることを確認する必要があります。NFSv4 サーバはクライアントが利用可能な 状態であることを確認するために、NFSv4 クライアントのコールバック デーモン (nfs4cbd) に RPC 要求を送信 します。サーバは、SETCLIENTID 要求 (図 3 参照) で送信される callback および callback_ident フィールドを 使用して、クライアントの nfs4cbd がリスンしている場所を特定します。デリゲーションを無効にする必要がある場合、nfs4cbd はそのクライアントが管理しているすべてのロック権限 やファイル データをサーバに返す必要があります。
NFSv4 クライアントは、HP-UX 11i v3 でのデリゲーションをサポートしています。ただし、HP-UX 11i v3 上の NFSv4 サーバがクライアントへファイル管理の権限を委譲できるのは、ローカルからそのファイルにアクセスさ れることがない場合に限られます。たとえば、サーバがディレクトリ “dir” をエクスポートすると、サーバ上のロ ーカル プロセスは “dir” ディレクトリ内のファイルにアクセスできないはずです。この制限は次の HP-UX 11i v3 リリースで解消される予定です。
プロトコルの一部としてのロック
従来の NFS プロトコルはステートレスですが、ロックやノードの状態 (起動、再起動中、終了などの状態) など を管理するために付属のプロトコルやデーモンが作成されていました。ただし、これらのプロトコルおよびデー モンは NFS と関連付けられているものの、NFS プロトコルには含まれていません。作成されたプロトコルやデ ーモンには、ロックおよびノード ステータス デーモン (それぞれ rpc.lockd および rpc.statd) に加え、ロック マネージャ プロトコルなどがあります。これらの各デーモンは NFSv2 および NFSv3 が稼動している HP-UX 11i v3 にも存在しています。
NFSv4 がサポートするすべての opcode リストを出力した図 5 を見ると、LOCK、LOCKT、LOCKU (10 行目) などロック関連の opcode も表示されています。LOCK、LOCKT、LOCKU opcode は、それぞれファイル ロック の作成、試行、解除の操作に対応しています。従来の NFS ではロックの操作を NFS の外側で行っていました が、NFSv4 ではこれらの opcode を追加してプロトコル内からロックの操作を行うようになりました。
図 8 の Ethereal の追跡情報は C プログラムにより生成された出力です。ファイルをオープンした後、最初の 3 バイトに読み込みロックを適用するよう要求しています。この要求にはファイルと関連付けられたステート ID (18 行目) とクライアント ID (23 行目) が含まれており、それぞれ図 7 の 15 行目にある OPEN opcode が 付与したステート ID、および、図 4 の 11 行目にある SETCLIENTID opcode が付与したクライアント ID と一 致しています。ロック要求はこのクライアントとファイル オープンのインスタンスとの両方に関連付けられている ため、両方の ID が必要になります。
図 8. LOCK opcode 要求
図 9. LOCK opcode に対する応答 この特定のロックを指すステート ID (17~19 行目) をサーバがクライアントにどのように返すかに注目してくだ さい。また、サーバはクライアントのステートを保持しているため、クライアントにクライアント ID も返しています。 この例では、サーバはこのクライアントの特定のロックについてステートを維持しています。 クライアントが LOCKU opcode を使用してロックを解除しようとした場合、サーバがこのロック要求を処理でき るよう、ロックに関連付けられたステート ID がサーバに通知されます。
セキュリティ
従来の NFS プロトコルでは、高度なセキュリティの使用を推奨していませんでした。そのため NFS クライアン トでは、通常、高度なセキュリティのかわりに、整数ベースの標準的な UNIX 認証 (AUTH_SYS) または無認証 (AUTH_NONE) を使用していました。しかし、NFSv4 仕様に準拠するには GSS-API や Kerberos、LIPKEY な どの高度なセキュリティ機能を実装する必要があるため、NFSv4 のセキュリティは確実に向上しています。 NFSv4 仕様では、クライアントおよびサーバのネゴシエーション機能を使用して、使用するセキュリティのタイ プを決定するよう規定しています。ネゴシエーションでは、まずクライアントが SECINFO opcode をサーバに送 信します。サーバは利用できるセキュリティ タイプの優先順位を記載したリストを返信します。リストの一番上 には、サーバにとって一番好ましいセキュリティ タイプが記述されています。クライアントはそのリストの中から 任意にセキュリティ タイプを選択します。クライアントが選択したそのセキュリティ タイプはクライアントとサーバ の両方で採用されます。 NFSv4 でも AUTH_SYS または AUTH_NONE セキュリティを使用したい場合は、引き続き利用することも可 能です。また、NFSv4 ではアクセス コントロール リスト (ACL) もサポートしています。NFSv4 ACL の仕様は Windows 環境にある ACL をベースに作成されたため、Windows 環境で利用できる ACL と類似しています。
NFSv4 を HP-UX 11i v3 サーバにマウントする方法
デフォルトでは、HP-UX 11i v3 サーバで NFSv4 を使用できないように設定されています。NFSv4 を使用でき ない状態のサーバに NFSv4 をマウントしようとすると、次のようなエラー メッセージが出力されます。
図 10. mount コマンドのエラー NFSv4 をマウントするには、サーバ上の NFS 構成ファイル /etc/default/nfs を修正します。または以下で説 明するように setoncenv(1M) コマンドを使用します。なお、この構成ファイルには、NFS クライアント、NFS サ ーバ、およびロック マネージャに関するあらゆる構成変数が含まれています。 クライアントで NFSv4 ファイル システムをマウントするには、図 11 のように setoncenv(1M) コマンドを実 行し、/etc/default/nfs ファイルの NFS_SERVER_VERSMAX 値を 4 に変更します。 図 11. サーバ上で NFSv4 を使用する
図 12 のように、起動/シャットダウン スクリプトである /sbin/init.d/nfs.server を stop および start パラメ ータとあわせて実行し、NFS サーバのサービスをサーバ上で再起動します。 図 12. NFSv4 サーバ サービスの再起動 デフォルトでは、ネゴシエーション機能を使用して、NFS クライアントとサーバが使用するプロトコルのバージョ ンを決定します。クライアントとサーバは両方がサポートするプロトコルの中で、バージョン番号が最も高いプロ トコルを採用します。たとえば、クライアントが NFSv2、NFSv3 および NFSv4 をサポートしており、サーバが NFSv2 および NFSv3 のみをサポートする場合、クライアントとサーバは NFSv3 を使用します。この方法によ り、NFSv4 をマウントしたクライアントおよびサーバは、NFSv4 をサポートしていない他のクライアントおよびサ ーバともシームレスに動作します。 NFSv4 のみを使用するには、構成パラメータ NFS_SERVER_VERSMIN および NFS_SERVER_VERSMAX の 値を 4 に設定します。NFS_SERVER_VERSMIN および NFS_SERVER_VERSMAX は、NFS サーバが使用でき
を使用するには、構成ファイル NFS_SERVER_VERSMIN および NFS_SERVER_VERSMAX の値をそれぞれ 3 と 4 に設定します。 NFS サーバを再起動した後、/var/adm/syslog/syslog.log ファイルにエラー メッセージがないことを確認しま す。 最後に share コマンドを実行し、マウントできるように変更したディレクトリを共有します。詳細については share(1M) のマンページを参照してください。
nfsmapid:名前ベースのユーザ ID およびグループ ID
従来の NFS プロトコルではユーザ ID (UID) およびグループ ID (GID) を 32 ビットの整数で表示していたのに 対し、NFSv4 サーバおよびクライアントは、ファイルの所有者およびグループの属性を文字列で表示します。 たとえば、図 13 は close() システム コールの一部として送信された GETATTR opcode 要求に対する応答 を示しています。図 13. GETATTR opcode に対する応答
GETATTR opcode に対する応答は 11 行目以降に表示されており、ファイルの所有者およびグループの値は 19 行 目 か ら 26 行 目 に か け て 出 力 さ れ て い ま す 。 こ の 例 の 場 合 、 UID お よ び GID は そ れ ぞ れ “[email protected]” および “[email protected]” です。
HP-UX システム上の基本となるファイル システムは整数ベースの UID および GID を使用しているので、 NFSv4 は文字列の UID および GID を整数へ置き換える必要があります。たとえばファイルを作成する場合、 NFS サーバは [email protected] という文字列と、システム上で user1 を表す 32 ビットの UID とマッピング させる必要があります。この変換は nfsmapid デーモンにより実行されます。
NFSv4 を HP-UX 11i v3 クライアントにマウントする方法
デフォルトでは、HP-UX 11i v3 を実行するクライアントでは NFSv4 を使用できないように設定されています。 HP-UX 11i v3 クライアントで NFSv4 を使用するには、HP-UX 11i v3 サーバで NFSv4 を使用する際の設定 方法と同様に、構成ファイル /etc/default/nfs 内の構成変数 NFS_CLIENT_VERSMAX の値を 4 に設定した 後、起動/シャットダウンスクリプト /sbin/init.d/nfs.client を stop および start パラメータとあわせて実行し、 NFS クライアントを再起動します。
HP-UX 11i v3 クライアントで NFSv4 のみを使用するように設定するには、構成変数 NFS_CLIENT_VERSMIN および NFS_CLIENT_VERSMAX の値を両方とも 4 に設定します。
が使用するプロトコルのバージョンの種類
mount server:/server_mount /client_mountpoint
テ ートしていない場合、クライアントとサーバ
ジョンを指定せずに NFSv4 でマウントする
NFS_SERVER_VERSMIN お よ び NFS_SERVER_VERSMAX と 同 様 、 NFS_CLIENT_VERSMIN お よ び NFS_CLIENT_VERSMAX を使用すると、HP-UX 11i v3 クライアント
を指定できます。たとえば、HP-UX 11i v3 クライアントで NFSv2、NFSv3 および NFSv4 を有効にする場合、 構成変数 NFS_CLIENT_VERSMIN および NFS_CLIENT_VERSMAX の値をそれぞれ 2 と 4 に設定します。 クライアントが再起動した後 NFSv4 をマウントするには、次のような簡単な mount コマンドを実行します。 クライアントおよびサーバの両方が NFSv4 をサポートするよう設定されている場合、リモート ファイル シス ムは NFSv4 を使用してマウントされます。両方とも NFSv4 をサポ はネゴシエーション機能を使用し、両方がサポートするプロトコルの中で最も高い番号のバージョンを採用しま す。使用可能な NFS プロトコルを確認するには、オプションを指定せずに nfsstat –m コマンドを実行しま す。このコマンドを実行するとマウント オプションが表示され、使用中のプロトコル バージョンを確認できます (図 14)。 図 14. バー 上記の方法とは別に、次の構文を使用して、マウントする NFS プロトコルのバージョンをコマンド ラインで明示 に指定することも可能です。 NFSv4 をサポートしていない場合 バージョンを表示するには、 ジョンを指定して NFSv4 でマウントする 的
mount –overs=4 server:/server_mount /client_mountpoint プロトコルのバージョンを直接指定したものの、クライアントまたはサーバが は、図 10 のようなエラー メッセージが出力されます。使用中の NFS プロトコル nfsstat –m コマンドを実行します。2 番目の方法で NFSv4 マウントをした場合の出力は、図 15 のように なります。 図 15. バー 本書の例では、いずれの方法を使用しても NFSv4 が nfsstat –m コマンドの出力に表示されています。
まとめ
NFS (Network File System: ネットワーク ファイル システム) は 1985 年に実装されて以来、複数のバージョ ンがリリースされてきました。最新バージョンである NFSv4 では、NFS プロトコルへのステートの導入や、ACL、 ロック、マウントなどの補助的な機能をプロトコルへ組み込むなど、従来の NFS プロトコルに大きな変更が加 えられています。さらに、属性機能、共有ロック、ACL サポートなどの機能拡張や、セキュリティの強化が行わ れているため、Microsoft Windows との相互運用性が向上しました。この最新バージョンである NFS プロトコ ルを使用することにより、高い信頼性の確保や性能の向上を実現できるだけでなく、旧バージョンの NFS プロ トコルのみを実装しているシステムとも完全に相互運用できるようになりました。 最新版の HP-UX 11i リリースでは、機能が大幅に拡張されたこの NFSv4 を使用できます。
詳細情報
• HP-UX について http://www.hp.com/go/hpux11i (英語) http://www.jpn.hp.com/products/software/oe/hpux/ (日本語) • HP Integrity サーバについて http://www.hp.com/go/integrity (英語) http://www.hp.com/jp/integrity (日本語) お問い合わせはカスタマ インフォメーション センタへ03-6416-6660
月~金9:00~19:00 土10:00~18:00 (日、祝祭日、年末年始および5/1を除く) HP-UX 製品に関する情報はhttp://www.hp.com/jp/hpux
HP-UX に関する技術情報はhttp://www.hp.com/jp/developer
記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 記載事項は2007年5月現在のものです。 本書に記載された内容は、予告なく変更されることがあります。 本書中の技術的あるいは校正上の誤り、省略に対して、 いかなる責任も負いかねますのでご了承ください。本書は、『Introducing Network File System Version 4 on HP-UX 11i v3 (4AA0-7689ENW, 09/2006)』 (英語) を もとに加筆・修正して日本語で提供するものです。