• 検索結果がありません。

第14回群馬小児循環器研究会

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第14回群馬小児循環器研究会"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

日本小児循環器学会雑誌 8巻5号 700〜701頁(1993年)

第14回群馬小児循環器研究会

 日 時 平成4年11月13日(金)

 場所前橋マーキュリーホテル  会 長 田端 裕之

 1.逆行性模骨動脈造影により診断しえた MAPCAの1乳児例

    群馬県立小児医療センター循環器科       小須田貴史,曽根 克彦,田端 裕之       広野 一輝,佐藤 喜和

 肺動脈弁閉鎖を伴なったFallot四徴症には約

20〜40%に大動脈と末梢肺動脈を接続している太い側 副動脈:major aorto−pulmonary collateral artery

(以下MAPCA)の存在することが報告されている.今 回我々は逆行性梼骨動脈造影にて診断しえた両側

MAPCAを伴ったFallot四徴症の極型の1例を経験

したので報告する.

 症例は日齢2の男児で,チアノーゼと心雑音が認め られたため当科に紹介され入院した.臨床症状,胸部 X線,心電図,心エコー検査より肺動脈弁閉鎖をとも なったFallot四徴症と診断して,逆行性椀骨動脈造影 を施行した.左椀骨動脈造影では鎖骨下動脈より左上 肺野に向う肺動脈に接続するMAPCAを認め,右榛骨 動脈造影では腕頭動脈より右肺動脈末梢へ接続する

MAPCAおよび中心肺動脈が描出された,本例は

MAPCAと中心肺動脈が混在している型であり,今後 の肺動脈の発達を待って手術治療を検討する予定であ

る.

 MAPCAの診断は困難なことが多いが本例のよう

に逆行性梼骨動脈造影が有用である場合があり試みら れるべき方法と思われる.

 2.膜性部中隔瘤を形成したにもかかわらず肺高血 圧症を合併した心室中隔欠損症の1学童例

    群馬大学小児科 小林 富男,小林 敏宏  症例は15歳の男児で,1ヵ月検診で心雑音を指摘さ

れ,中等症の心室中隔欠損症(以下VSD)の診断を受 け,1歳10ヵ月まで経過観察されていたがその後中断 していた.15歳になり来院し,心電図上の右室肥大と II音の充進を認めたため心臓カテーテル検査の目的で 当院に入院した.

 身体発育は良好で,胸骨左縁第3肋間を中心に

Levine 3/6度の収縮期逆流性雑音とII音の充進を認め た.胸部X−Pでは肺血流量の増加と左2弓の突出を認 め,心電図は右軸偏位,右室肥大を呈していた.左室

造影では膜性部中隔瘤を伴ったVSDを認め,膜性部 中隔瘤の小孔からジェット状の短絡血流が認められ,

VSDは閉鎖過程にあると思われた.しかし,心臓カ テーテル検査所見では主肺動脈圧は65/40(55)mmHg と高く,右室圧は67/0(27)mmHg,大動脈圧は117/

73(90)mmHg,左房平均圧は6mmHg, L→R短絡

量率は25%,肺体血流量比は1.33,肺体血圧比は 54.0%,肺体血管抵抗比は40.6%であった.

 VSDは閉鎖過程にあるにもかかわらず,肺高血圧症 を合併した原因として,1:乳幼児期には短絡血が比 較的多く,早期に肺高血圧症に進展した.2:原発性 肺高血圧症や何等かの肺血管の異常の合併などが考え られた.現在,α一blockerの投与にて経過観察中であ

る.

 3.心房中隔裂開術が有効であった乳児期一側房室 弁閉鎖の2例

    済生会前橋病院小児科

      篠原  真,小野 真康     同 心臓外科  石原 茂樹,原  修二       新浪  博,田中佐登司     群馬県立小児医療セソター循環器科       曽根 克彦,田端 裕之  大血管転位症,三尖弁閉鎖症などの先天性心疾患で は適度の心房間または心室間での短絡が生存していく 上で不可欠である.今回我々は乳児期に心房中隔裂開 術が有効であった一側房室弁閉鎖の2例を経験したの で報告した.症例1は3ヵ月の女児で,DORV, MA,

ASD, PDA, PHの診断にて,日齢18にPDA Iigation とPA bandingを施行した.術前の心エコー検査では 心房中隔は大きく開いており,心臓カテーテル検査で は左房と右房の圧波形では両房間の圧差は平均圧で2 mmHgとほとんど圧差を認めなかった.しかしチア ノーゼは徐々に増加していき,3ヵ月時に再入院,血 液ガス所見はpH 7.152, PCO255 . 2mmHg, PO, 21.2 mmHg, BE 10.3と著明な低酸素血症とアシドーシ スを認めた.bandingにより肺血流が減少したためと 考え左のB−Tshuntを行なった.術直後は一時PaO2 は上昇したがすぐに悪化,心エコー検査では心房間交 通路は狭く,LA→RAへの血流は減少していた.そこ

Presented by Medical*Online

(2)

日小循誌 8(5),1993

でベッドサイドにてBASを施行,その結果PaO2は

26.6→45.5mmHgと著明な上昇を認めた.症例2は2

ヵ月の男児で,出生後TGA, MA, PA, PDAの診断 でPGE1療法を開始した.心臓カテーテル検査にて

LA→RAに18mmHgの圧差を認めた. BASは数回 行なったが心房間の圧差に変化はなく,2ヵ月で

Blalock−Hanlon手術, rt. modified B・T shuntを行 なった.LA→RAの圧差は術後は3mmHgとなった.

症例1のようにASDと思われていた欠損孔でも縮小 することがあり,これらの先天性心疾患に伴う心房中 欠損,卵円孔開存は経過観察する上で充分な注意が必 要と思われた.

 4.ファロー四徴症術後の臓器障害に関する検討     群馬大学第二外科

      石川  進,大滝 章男,大谷 嘉巳       坂田 一宏,高橋  徹,市川 秀昭       佐藤 泰史,相崎 雅弘,吉田 一郎       森下 靖雄

 過去3年間に臓器障害が発生した7例中,右心不全 によらない原因不明例が4例あった.症例は3〜5歳 の男児で,全例cardioplegiaを用いた心停止下に根治 術を施行した.体外循環及び大動脈遮断時間は,各々 平均193分,90分であった.術中及び術後早期の血行動 態は良好で感染もなかった.多臓器障害は術後第1

2病日に発生した.GOTは全例で3,0001U/L以上,

CPK及びLDHは各々最高例で24,000U/L,21,000 U/Lまで上昇した.4例中2例が腎不全に,1例が肝 不全になり,また全例に軽度一中等度の意識障害と不 随意運動を主とする中枢神経系障害を認めた.4例と

も8〜51日間(平均23日)の集中治療により治癒した.

多臓器障害が特定期間(1年間)の小児例のみに発生 したことより,小児開心術に用いた何らかの器材にエ チレン・オキサイドが残存し,多臓器障害を起こした 可能性が最も高いと考えられた.

701−(113)

 5.母親が出産後突然死した肥大型心筋症の1新生 児例

    桐生厚生病院小児科

      井上 佳也,竹内 東光,金子 浩章       田端 雅彦,桑島  信,島野  了       松本 芳郎

 我々は,肥大型心筋症と診断した新生児例を経験し たので報告する.症例は日齢4の男児.母親は,患児 の分娩12時間後に突然死している.母方の祖父は拡張 型心筋症で治療中である.患児は在胎40週,帝王切開 で出生,Apgar score 8−9−10,出生体重は3,239gで あった.日齢4,患児に心雑音を認めたため当科を受 診した.受診時,チアノーゼはなく,両上下肢の脈拍 は触知良好.胸部聴診上,胸骨左縁第3〜4肋間に Levine 2/6度の収縮期雑音を認めた.患児の日齢8の 胸部X線写真では,CTRは58%で,肺欝血が認められ

た.日齢4の心電図ではV4RからV1誘導にかけてT

波は陰性でST低下を認めた.日齢15の心エコー検査 では,心室中隔の壁厚は12mmと肥大し,左室後壁は 6mm,内腔は狭小化し, Mモードでは僧帽弁前尖の収 縮期前方運動を認めた.8ヵ月時の胸部X線写真で は,心胸郭比は58%で,心拡大傾向はなく心電図では,

不完全右脚ブロックを認め,左側胸部誘導では2ヵ月 時に比較して,R波の増高を認めた.心エコー上は左 室後壁,心室中隔の壁厚に変化はなかったが,新生児 期に比較すると左室内腔は拡大していた.

 肥大型心筋症のうちで突然死の家族歴は予後不良因 子と言われている.本例は,近年報告されている拡張 型様肥大型心筋症である可能性があり,慎重に観察を 行なう予定である.

 特別講演

 『臓器・心房錯位症候群,無脾症候群・多脾症候群,

ある視点から』

 国立岡山病院小児医療センター医長 立石 一馬

Presented by Medical*Online

参照

関連したドキュメント

にて優れることが報告された 5, 6) .しかし,同症例の中 でも巨脾症例になると PLS は HALS と比較して有意に

 尿路結石症のうち小児期に発生するものは比較的少

10例中2例(症例7,8)に内胸動脈のstringsignを 認めた.症例7は47歳男性,LMTの75%狭窄に対し

問 238−239 ₁₀ 月 ₁₄ 日(月曜日)に小学校において、₅₀ 名の児童が発熱・嘔吐・下痢

本学級の児童は,89%の児童が「外国 語活動が好きだ」と回答しており,多く

例えば、EPA・DHA

在宅の病児や 自宅など病院・療育施設以 通年 病児や障 在宅の病児や 障害児に遊び 外で療養している病児や障 (月2回程度) 害児の自

自由報告(4) 発達障害児の母親の生活困難に関する考察 ―1 年間の調査に基づいて―